説明

打撃工具

【課題】 打撃工具において、工具本体に収容された内部機構を覆うべく備えられるカバー部材につき、新しい機能の付加技術を提供する。
【解決手段】 工具ビット119と、工具本体103と、工具本体103に収容される複数の内部機構として、モータ111と、モータ軸112とを有し、モータ軸112が工具ビット長軸線に対し当該工具ビット長軸線を横切るように交差状に配置されている打撃工具であって、モータ軸112の長軸方向一端部側において、工具本体103に装着されるとともに、モータ軸112の端部を覆うカバー部材191を更に有し、カバー部材191は、内部機構の少なくとも一部を保持することを特徴とする打撃工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマやハンマドリル等のような打撃工具において、工具本体内に収容される内部機構の覆蓋技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動ハンマは、ハンマビットを長軸方向に直線状に駆動させるモータを備えている。回転軸線方向の一端側に電流供給用のカーボンブラシを保持するブラシホルダが配置されるモータの場合、消耗品であるカーボンブラシの交換に対応するべくモータカバーが着脱自在に備えられる。モータを収容するモータハウジングに、当該モータの軸方向一端側をモータカバーによって覆う構成は、例えば、2007−44869号公報に記載されている。
【0003】
しかしながら、モータカバーは、モータ、特にブラシホルダとその周辺領域を覆うべく備えられたものであり、覆いとしての機能を有するに過ぎずない。
【特許文献1】特開2007−44869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、打撃工具において、工具本体に収容された内部機構を覆うべく備えられるカバー部材につき、新しい機能の付加技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明に係る打撃工具の好ましい形態は、工具ビットを長軸方向に直線状に駆動させ、これによって当該工具ビットに所定のハンマ作業を遂行させる打撃工具において、工具本体と、工具本体に収容される複数の内部機構と、内部機構としてのモータと、内部機構としてのモータ軸を有する。モータ軸はモータの通電駆動によって回転駆動される。そして、モータ軸が工具ビット長軸線に対しては当該工具ビット長軸線を横切るように交差状に配置される。なお、本発明における「所定のハンマ作業」とは、工具ビットが直線状の打撃動作のみを行うハンマ作業のみならず、直線状の打撃動作と周方向の回転動作とを行うハンマドリル作業を好適に包含する。
【0006】
本発明に係る打撃工具の好ましい形態においては、モータ軸の長軸方向一端部側において、工具本体に装着されるとともに、モータ軸の端部を覆うカバー部材を更に有し、当該カバー部材は、内部機構の少なくとも一部を保持する構成とした。なお、本発明における「保持」は、内部機構の少なくとも一部にモータ長軸方向の外力を加えて保持する態様、モータ長軸方向と交差する方向に外力を加えて保持する態様のいずれも好適に包含する。本発明によれば、カバー部材が、内部機構を覆う機能以外に、当該内部機構を保持する機能を備えたことにより、例えば、当該カバー部材によって保持される内部機構につき、当該内部機構を保持するための機構を別に設定しなくて済むことになる。
【0007】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、モータは、モータ軸と共に回転する回転子、モータ軸の長軸方向一端部を支持する軸受、及び回転子と軸受間に配置され、当該回転子に対する電流供給用のカーボンブラシを保持するブラシホルダユニットを有している。そして保持対象としての内部機構は、軸受を収容する軸受収容部であり、カバー部材は、軸受収容部をモータ軸の長軸方向一端部側から押圧しつつ径方向に押圧して保持する構成としている。なお、本発明における「軸受収容部」は、典型的には、モータを収容するモータハウジングのモータ軸線方向一端側に、当該モータハウジングの一部として一体状に設けられる。このため、回転子と軸受間にブラシホルダユニットが配置される構成の場合、ブラシホルダユニットは、ハウジングにおける、回転子等を収容する本体領域と軸受を収容する軸受収容部との連接領域に配置されることになる。その結果、当該連接領域、すなわちモータ軸線方向の端部に位置する軸受収容部と本体領域間に補強リブを設定できないこと、少なくともカーボンブラシを保持するブラシホルダ部がモータ軸側(整流子)に向かって突入することを許容する開口部が設定されること、等の理由で強度が低下し、モータの駆動時に芯振れを起こす可能性がある。
【0008】
しかるに、本発明によれば、軸受収容部を、カバー部材によってモータ軸の長軸方向一端部側から押圧しつつ径方向に押圧する構成としたことにより、ブラシホルダユニットが配置されることに伴う本体領域と軸受収容部間の連接領域の強度低下を補うことが可能となり、これによりモータ駆動時の芯振れを防止できる。
【0009】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、モータ軸によって回転駆動される内部機構としての駆動軸と、駆動軸の回転出力を直線運動に変換して工具ビットを直線状に駆動する内部機構としての駆動機構を有し、工具本体は、当該駆動軸及び駆動機構を収容する密閉された収容空間を有する。そして、保持対象としての内部機構は、収容空間の内部と外部とを連通して当該収容空間の圧力を調整するエア抜き機構であり、カバー部材は、エア抜き機構をモータ軸の軸方向一端部側から押圧して保持する構成とした。なお、本発明における「エア抜き機構」は、典型的には、収容空間の内部を外部に連通するエア通路を有するとともに、当該エア通路に潤滑油吸着用のフィルターを収容した筒状部材を主体として構成され、例えば、駆動機構を収容する工具本体に設けた開口に対してモータ軸の軸線方向に沿って嵌め込むことによって取り付けられる。また、フィルターとしては、フェルト、スポンジ、あるいは布等を好適に用いることができるが、これらに限らず潤滑剤を吸着して捕捉することが可能なものを適宜用いることができる。
【0010】
本発明によれば、エア抜き機構をカバー部材によってモータ軸の軸方向一端部側から押圧して保持する構成としたことにより、収容空間の内部圧力によるエア抜き機構の脱落を確実に防止することが可能となる。
【0011】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、モータ軸によって回転駆動される内部機構としての駆動軸と、駆動軸の回転出力を直線運動に変換して工具ビットを直線状に駆動する内部機構としての駆動機構を有し、工具本体は、当該駆動軸及び駆動機構を収容する密閉された収容空間を更に有する。そして、保持対象としての内部機構は、収容空間内に潤滑油を供給する給油口を塞ぐ給油口キャップであり、カバー部材は、給油口キャップをモータ軸の軸方向一端部側から押圧して保持する構成とした。本発明によれば、上記のエア抜き機構の場合と同様、収容空間の内部圧力による給油口キャップの脱落を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、打撃工具において、工具本体に収容された内部機構を覆うべく備えられるカバー部材につき、新しい機能の付加技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図1〜図6を参照しつつ説明する。本実施の形態は、打撃工具の一例として電動ハンマを用いて説明する。図1には電動ハンマ101の全体構成が示され、図2には電動ハンマ101の主要部の構成が拡大して示され、図3には図2の一部が更に拡大して示され、図4には図3の一部が更に拡大して示される。また、図5には電動ハンマ101の全体構成が一部を断面した平面図として示され、図6には駆動モータ111の全体構成が図1のA−A線断面図として示される。
【0014】
本実施の形態に係る電動式の電動ハンマ101は、図1に示すように、概括的に見て、電動ハンマ101の外郭を形成する本体部103、当該本体部103の長軸方向における先端領域(図示左側)に接続されたツールホルダ137、当該ツールホルダ137に着脱自在に取付けられたハンマビット119、本体部103の長軸方向における他端部(図示右側)に連接された作業者が握るハンドグリップ109を主体として構成される。本体部103は、本発明における「工具本体」に対応し、ハンマビット119は、本発明における「工具ビット」に対応する。ハンマビット119は、ツールホルダ137に対し、その長軸方向(本体部103の長軸方向)への相対的な往復動が可能に、かつその周方向への相対的な回動が規制された状態で保持される。なお説明の便宜上、ハンマビット119側を前、ハンドグリップ109側を後という。
【0015】
本体部103は、駆動モータ111を収容するモータハウジング105と、当該モータハウジング105に接合されて運動変換機構113及び歯車減速機構161を収容するギアハウジング107と、当該ギアハウジング107に接合されて打撃要素115を収容するバレル部108を主体として構成される。ギアハウジング107は、モータハウジング105の前側及び上方領域に配置される。バレル部108は、ギアハウジング107の前端部に配置されてハンマビット119の長軸線上を前方に延在される。また、ハンドグリップ109は前方が開口されたコ字形に形成され、モータハウジング105の後部に連接されている。ハンドグリップ109の上部領域には、駆動モータ111を通電駆動する電源スイッチ131及び当該電源スイッチ131をオン位置とオフ位置間で動作させる操作部材133が配置されている。操作部材133は、ハンドグリップ109をハンマビット長軸方向と交差する水平方向(左右方向)に摺動自在に組み付けられ、作業者の手指によりスライド操作され、電源スイッチ131をオン位置へ動作することで駆動モータ111を通電駆動する。
【0016】
駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。駆動モータ111は、モータ軸112の軸線がハンマビット119の長軸線を横切るように交差状に配置されている。ギアハウジング107の内部空間の上部領域には、駆動モータ111の回転出力を直線運動に変換して打撃要素115に伝達する運動変換機構113が収容されている。
【0017】
図2には運動変換機構113、歯車減速機構161及び打撃要素115が詳細に示される。運動変換機構113は、駆動モータ111の回転運動を直線運動に変換して打撃要素115に伝達するものであり、駆動モータ111によって回転駆動されるクランク軸121、当該クランク軸121と共に回転するクランク板124、当該クランク板124の回転中心からシフトした位置に設けられた偏心ピン122、当該偏心ピン122を介して連接されるクランクアーム123、及びクランクアーム123によって直線往復動されるピストン125等からなるクランク機構によって構成される。駆動子としてのピストン125は、打撃要素115を駆動するものであり、シリンダ141内をハンマビット119の長軸方向と同方向に摺動可能とされる。
【0018】
クランク機構は、駆動モータ111の前方に配置され、駆動モータ111によって歯車減速機構161を介して減速して駆動される。歯車減速機構161は、モータ軸112に形成された小歯車112a、小歯車112aに噛み合い係合する第1中間歯車163A、当該第1中間歯車163Aと一体に回転する第2中間歯車163B、第2中間歯車163Bを回転自在に支持する中間軸165、第2中間歯車163Bと噛み合い係合する被動歯車167を主体として構成される。被動歯車167は、クランク軸121に一体回転するように止着されている。クランク軸121は、その軸線がハンマビット長軸線を横切るように交差状に配置されるとともに、モータ軸112に対しては中間軸165と共に平行に配置される。クランク機構は、ギアハウジング107における密閉された内部空間であるクランク室116に収容され、歯車減速機構161は、ギアハウジング107におけるクランク室116よりも上方の密閉された内部空間であるギア室117に収容される。クランク室116及びギア室117は、本発明における「収容空間」に対応する。
【0019】
打撃要素115は、シリンダ141のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。シリンダ141内には、ピストン125とストライカ143との間に空気室141aが形成される。ストライカ143は、ピストン125の摺動動作に伴うシリンダ141の空気室141aの空気バネを介して駆動され、ツールホルダ137に摺動自在に配置された中間子としてのインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する構成とされる。歯車減速機構161、クランク機構、及び打撃要素115によって、本発明における「駆動機構」が構成される。また、クランク機構におけるクランク軸121が、本発明における「駆動軸」に対応する。
【0020】
電動ハンマ101の加工作業時(ハンマビット119の駆動時)において、本体部103にはハンマビット長軸方向の衝撃的かつ周期的な振動が発生する。なお、本体部103に生ずる制振対象としての主たる振動は、ピストン125とストライカ143が空気室141aの空気を圧縮したときの圧縮反力、及びストライカ143がインパクトボルト145を介してハンマビット119を打撃したときの、圧縮反力よりも僅かに遅れて発生する打撃反力である。
【0021】
図2に示すように、電動ハンマ101は、本体部103に生ずる上記振動を制振する制振機構としての動吸振器151及び当該動吸振器151を強制的(積極的)に駆動する加振機構171を備えている。
【0022】
動吸振器151は、シリンダ141に組み付けられるとともに、バレル部108によって収容される構成とされる。動吸振器151は、円環状の制振用のウェイト153と、当該ウェイト153のハンマビット長軸方向の前側と後側にそれぞれ配置された前後のコイルバネ155,157とを主体として構成される。
【0023】
ウェイト153は、シリンダ141の外側に配置される。前側のコイルバネ155は、シリンダ141の前端外周にハンマビット長軸方向に摺動自在に嵌合された前バネ受スリーブ158とウェイト153の前端面間に介在される。後側のコイルバネ157は、シリンダ141の後端外周にハンマビット長軸方向に摺動自在に嵌合された後バネ受スリーブ159とウェイト153の後端面間に介在される。前後のコイルバネ155,157は、ウェイト153にハンマビット長軸方向への付勢力を対向状に作用する。換言すれば、ウェイト153は、前後のコイルバネ155,157による付勢力が対向状に作用した状態でハンマビット軸方向に移動可能とされる。
【0024】
本体部103に搭載された動吸振器151は、電動ハンマ101の加工作業時において、制振対象である本体部103に対して、動吸振器151における制振要素であるウェイト153及び前後のコイルバネ155,157が協働して受動的な制振を行なう。これにより電動ハンマ101の本体部103に生ずる上記の振動が抑制されることとなる。
【0025】
次に動吸振器151を積極的に駆動する加振機構171につき説明する。加振機構171は、図2に示すように、クランク軸121の直下であって、かつ動吸振器151の後方に配置される。加振機構171は、図3及び図4、特に図4に詳細に示される。加振機構171は、カム軸172、カム軸172と共に回転する円形状の偏心カム173、偏心カム173の回転運動に基づきハンマビット長軸方向に直線状に動作して動吸振器151を駆動する動力伝達ピン174、カム軸172を回転自在に支持する軸受175,176、当該軸受175,176を収容する軸受ハウジング177を主体として構成される。
【0026】
加振機構171のカム軸172は、偏心カム173を挟んで下部に小径部172aを有し、上部に大径部172bを有し、当該大径部172bの上方に更にクランク板172cを有する。カム軸172は、小径部172aと大径部172bが軸受175,176を介して軸受収容部177a,177bに回転自在に支持される。これにより、カム軸172は、軸受175,176を介して軸受ハウジング177に一体化される。なお、偏心カム173の外側には、ニードルベアリング178が取り付けられており、これにより動力伝達ピン174との摺動による摩耗の防止が図られている。軸受ハウジング177は、ギアハウジング107の下面側、すなわち、クランク機構と対向する側に形成された取付用としての円形の開口部107cに下方から差し込まれてギアハウジング107のクランク室116内に配置されるとともに、ネジ189によってギアハウジング107に止着される。
なお、カム軸172のクランク板172cには、中心からシフトした位置にU字状の凹部(溝または長孔でもよい)からなる係合部172dが形成されている。この係合部172dは、軸受ハウジング177をギアハウジング107に組み付けた際に、前述したクランク機構における偏心ピン122の下端に設けた小径の突出端部122aに係合する。これによりカム軸172はクランク軸121と共に回転することが可能となる。
【0027】
動力伝達ピン174は、ハンマビット長軸方向に直列状に配置される前後2本のピン174a,174bによって構成され、そして2本のピン174a,174bのうち、偏心カム173(実質的にはニードルベアリング178の外輪、以下同様)に当接する一方(後側)のピン174aが軸受ハウジング177に取り付けられ、他方(前側)のピン174bがギアハウジング107の円筒部107aに取り付けられる。一方のピン174a、すなわち、偏心カム173に近い方のピン174aは、図2及び図3に示すように、軸受ハウジング177に設けたカム軸172の軸線と交差する方向(ハンマビット長軸方向)のピンガイド孔177cに摺動自在に挿入されるとともに、その挿入方向端部である後端面が偏心カム173に当接される。
なお、一方のピン174aは、偏心カム173が回転される際、当該ピン174aの後端面が偏心カム173の中心を通るハンマビット長軸線方向の直線上から外れることがないように、少なくとも偏心カム173の偏心量(偏心カム173に関する中心と回転中心間の距離)の2倍以上の直径を有する太さに設定されている。
【0028】
他方のピン174b、すなわち、偏心カム173から遠い方のピン174bは、ギアハウジング107の円筒部107aに形成されたハンマビット長軸方向のピンガイド孔107bに前方から挿入することで貫通状態に取り付けられる。他方のピン174bの長軸方向前端面は、動吸振器151の後バネ受スリーブ159の後端面に当接され(図2参照)、長軸方向後端面は、一方のピン174aの前端面に当接される。また、他方のピン174bは、強度が保障される範囲で極力細く設定される。すなわち、一方のピン174aよりも小径に形成されており、これによりバレル部108が取り付けられる円筒部107aの小径化を可能とし、ひいてはバレル部108の小径化が図られている。
仮に、動力伝達ピン174を1本で構成したときは、全体として一方のピン174aの太さが必要になり、その結果として円筒部107aが大径化し、それに伴いバレル部108も大径化することになる。しかるに、本実施の形態によれば、動力伝達ピン174を2本のピン174a,174bで構成することにより、動力伝達ピン174の動作の安定性を維持しつつバレル部108の小径化が達成される。
【0029】
また、軸受ハウジング177の下部の軸受収容部177bは、下方が開口177dされており、当該開口177dにクランク室116内の圧力を調整するためのエア抜き機構181が下方から組み付けられる。エア抜き機構181は、クランク室116の内部と外部を連通するエア通路182を有するフィルターケース184を主体として構成される。フィルターケース184は、フィルター収容室を有し、当該フィルター収容室には、エア通路182を通じてクランク室116内の潤滑油が外部に漏出することを防止する潤滑油を吸着するフィルター183が収容されている。フィルターケース184は、下部の軸受収容部177bの開口177dに対し下方からの嵌入によって取り外し可能に取り付けられ、嵌合面間に介在されたシール用のOリング185の摩擦によって嵌入位置に保持される。本実施の形態では、エア抜き用のフィルターケース184がカム軸172の直下に取り付けられるとともに、エア通路182の少なくとも内側開口部がカム軸172の軸線上に形成されている。このため、カム軸172の回転による遠心力でクランク室116内の潤滑油がエア通路182に進入し難くなり、潤滑油の漏れを低減できる。
【0030】
更に軸受ハウジング177には、クランク室116に潤滑油(グリス)を給油するための給油口186が形成されている。給油口186には当該給油口186を塞ぐ給油口キャップ187が下方からの嵌入によって取り外し可能に取り付けられる。給油口キャップ187は、嵌合面間に介在されたシール用のOリング188の摩擦によって嵌入位置に保持される。
【0031】
上述のように構成される電動ハンマ101においては、駆動モータ111の通電駆動によりクランク機構が駆動されると、当該クランク機構のクランク軸121と共に加振機構171のカム軸172が回転駆動される。カム軸172の回転動作は、偏心カム173及び動力伝達ピン174を介して直線動作に変換されて動吸振器151に入力される。すなわち、後バネ受スリーブ159及び後側コイルバネを介してウェイト153をハンマビット長軸方向に強制的に駆動し、これにより動吸振器151に制振作用を行わせる。すなわち、動吸振器151は、前述した受動的な制振作用に加え、ウェイト153を強制的に駆動する強制加振による能動的な制振機構としても作用し、ハンマ作業時に本体部103に生ずる振動を更に効果的に抑制する。
【0032】
図6には駆動モータ111の詳細が示される。図示のように、駆動モータ111は、モータ軸112、モータ軸112の上端側において一体に回転する遠心式の冷却ファン132、モータ軸112と一体に回転する電機子134、モータハウジング105に固定される固定子135、モータ軸112の下端側(冷却ファン132の反対側)に設けられた整流子136、整流子136の外周面に摺接して電流を供給する複数(2個)のカーボンブラシ(便宜上図示を省略する)を収容するブラシホルダユニット138を主体として構成される。モータ軸112は長軸方向の各端部が上下の軸受139a,139bを介してモータハウジング105に回転自在に支持される。なお、モータ軸112、電機子134、整流子136によって回転子が構成される。
【0033】
ブラシホルダユニット138は、図3にも示されるように、略筒状体からなるホルダベース138aに、少なくともカーボンブラシを保持するブラシホルダ部138b、駆動モータ111制御用のコントローラ140の雄側の端子140aと接続される雌側の端子138c、回転子側と接続される端子(便宜上図示を省略する)等の複数の部品が予め組み込まれたアッセンブリ体であり、整流子136の外周領域に対応するモータハウジング105の外側に配置される。すなわち、ブラシホルダユニット138は、モータハウジング105における、電機子134及び固定子135を収容する大径の本体領域部105cと、下部の軸受139bを収容する下部の軸受収容部105a間の連接領域105bの外側に配置される。ブラシホルダユニット138は、ホルダベース138をモータハウジング105の下方から連接領域105bの外側に被せるように嵌め込むとともに、ネジ(便宜上図示を省略する)によって連接領域105bに止着することで組み付けられる。なお、連接領域105bには、当該連接領域105bを径方向に貫通して整流子134の外周面と対向状に配置されるブラシホルダ部138bとの干渉を回避するべく、下端から上方に所定長さで延在する切欠き105dが形成されている。
【0034】
また、軸受収容部105a内には、軸受139bの長軸方後端面との間に当該軸受139bに対し長軸方向に弾発力を作用するウェーブワッシャー126が介在される。このウェーブワッシャー126は、軸受収容部105aの軸受収容空間に単に嵌め入れる構造にすると、例えば、駆動モータ111のモータハウジング105に対する組み付け作業時において、モータハウジング105を上向き(軸受収容部105aを上側)にすると、当該軸受収容部105aから脱落することになり、取り扱い上不便である。
【0035】
このことに鑑み、本実施の形態では、ウェーブワッシャー126を軸受収容空間から脱落しないように保持する部材としてのワッシャー保持リング127を備えている。ワッシャー保持リング127は、上端に鍔部127aを有し、下端に係止爪127bを有する筒状部材によって構成され、係止爪127bが軸受収容部105aの底面に形成された開口縁に係止することによって、当該軸受収容部105aに対し長軸方向の相対移動が許容された状態で取り付けられる。なお、相対移動量は、少なくともウェーブワッシャー126の弾性変形量よりも大きく設定される。ワッシャー保持リング127は、上端の鍔部127aによってウェーブワッシャー126を軸受収容部105aの底面との間に挟んで保持する。かくして、ウェーブワッシャー126は、軸受収容部105aに保持されて脱落が防止される。このため、駆動モータ111をモータハウジング105に組み付ける際の組み付け性が向上される。
【0036】
ギアハウジング107には、クランク室116の後方に下方が開口された略円形状のモータ配置空間が形成されている。駆動モータ111が組み付けられたモータハウジング105は、図2に示すように、冷却ファン132を上側にして、モータ配置空間に下方から挿入されとともに、ネジ(便宜上図示を省略する)によってギアハウジング107に接合される。かくして、ギアハウジング107の下方には、駆動モータ111の下部の軸受139bを収容する軸受収容部105a、ブラシホルダユニット138、前述した加振機構部171、エア抜き機構部181、給油口キャップ187等が露出状態に配置される。そこで、ギアハウジング107の下面側には、上記の露出する部材を含めて概ねギアハウジング107の下面全体を覆うように、カバー部材191が配置される。
【0037】
カバー部材191は、概ね矩形の皿形に形成され、便宜上図示を省略する複数のネジによってギアハウジング107に取り外し可能に止着され、図2に示すように、当該止着状態では、下部の軸受収容部105a、エア抜き機構部181のフィルターケース184及び給油口キャップ187を下方から押圧して保持する構成とされる。このために、カバー部材191の内側には、軸受収容部105aを保持する第1保持部192、フィルターケース184を保持する第2保持部193及び給油口キャップ187を保持する第3保持部194が形成されている。
【0038】
第1保持部192は、図6に示すように、円環状の凹部192aによって構成され、当該凹部192aの外寄りの縁部が軸受収容部105aの下縁部にOリング195を介して弾発状に係合することにより、当該軸受収容部105aを下方から長軸方向に押圧しつつ外径側から内径側に押圧して保持する構成とされる。すなわち、凹部192aと軸受収容部105aが互いに斜面あるいは曲面を介して係合することで、軸受収容部105aに対し軸方向成分と径方向成分の押圧力が作用するように構成されている。
【0039】
第2保持部193は、図4に示すように、カバー部材191の底面(内面)に上方に向かって一体に突出され、上方が開口された概ねカップ状の筒状体193aによって構成されており、フィルターケース184に下方から被さるように嵌合するとともに、筒状体193aの周壁面に沿って形成された底面よりも上方位置の段差端面193bによって当該フィルターケース184の軸方向下端面を下方から長軸方向に押圧して保持する構成とされる。また、筒状体193aの底面にはフィルター183の下面に当接する十字状のストッパ193cが設けられ、これによりフィルター183の下面と筒状体193aの底面間に所定の油溜りとしての空間が形成されている。このため、仮に潤滑油がフィルター183を通過した場合であっても、これを油溜りに滞留させて外部への漏れを防止できる。
【0040】
第3保持部194は、図4に示すように、カバー部材191の底面に上方に向かって一体に突出する突起194aによって構成され、当該突起194aが給油口キャップ187の下端面中央部を下方から長軸方向に押圧して保持する構成とされる。
【0041】
上述のように構成された本実施の形態では、カバー部材191が、ギアハウジング107に収容される各種の内部機構を覆う機能のみならず、当該内部機構を構成する構成部材の複数、すなわち軸受収容部105a、エア抜き機構部181及び給油口キャップ187を保持する機能を有する構成とした。前述のように、駆動モータ111がブラシホルダユニット138を備える構成の場合、モータハウジング105の本体領域105cと軸受収容部105a間の連接領域105bは、ブラシホルダユニット138が配置される関係で外径が細くなること、ブラシホルダ部138bを整流子136と対向させるための切欠き105dが形成されること、等の理由で強度が低下するという事情がある。
【0042】
しかるに、本実施の形態によれば、カバー部材191によって軸受収容部105aを長軸方向及び径方向に押圧して保持する構成としたことにより、連接領域105bの強度不足を補うことが可能となり、これによりモータ軸112の芯振れを防止することができる。また、Oリング195を介して軸受収容部105aを弾発状に保持する構成のため、軸受139bに対する防塵効果及び振動に起因してカバー部材191と軸受収容部105aが触れ合うことによって生ずる異音(ビビリ音)の防止効果が奏される。なお、本実施の形態では、軸受収容部105aを外径側から押圧して保持するとしたが、内径側から押圧して保持するように変更しても構わない。
【0043】
また、カバー部材191によってエア抜き機構部171及び給油口キャップ187を押圧して保持するため、当該エア抜き機構部171及び給油口キャップ187につき、振動等による脱落防止のための措置を別途に講ずる必要がなくなる。また、例えば、カーボンブラシの交換時等、カバー部材191をギアハウジング107から取り外せば、ブラシ交換と同時に、エア抜き用のフィルター173の交換、潤滑油の補給等をも同時に行うことができ、利便性が高い。
【0044】
また、カバー部材191には、図2及び図6に示すように、軸受収容室105aを保持する第1保持部192の周辺領域に駆動モータ111冷却用の外気を取り入れる吸入口196が形成されている。駆動モータ111の通電駆動時において、冷却ファン132の回転によって吸入口196からモータハウジング105内に吸入された外気は、電機子134と固定子135の間、及び固定子135とハウジング内壁面の間を通ることで駆動モータ111を冷却する。本実施の形態においては、モータ冷却後の空気を、更に歯車減速機構161、クランク機構、打撃要素115等の冷却に用いるべく冷却流路が設定されている。図1及び図5に冷却空気の流れが矢印によって示される。
【0045】
すなわち、電動ハンマ101には、モータ冷却後の空気が、冷却ファン132によってモータハウジング105の上部開口から、ギアハウジング107と当該ギアハウジング107の外側を覆う本体カバー106の間の空間106aへと流入されたのち、バレル部108と当該バレル部108の外側を覆う本体カバー106の間の空間106bを通って前方へと流れ、その後、本体カバー106の左右側面に形成された放出口106c(図1及び図2の破線参照)を経て工具外部へ放出されるように、空気の流通経路が設定されている。かくして、上記流通経路を流れる空気によってギアハウジング107のギア室117内の歯車減速機構161、クランク室116内のクランク機構、そしてバレル部108内のシリンダ141、打撃要素115等が冷却される。これにより、電動ハンマ101における発熱部位全体を合理的に冷却することができる。
【0046】
本実施の形態は、打撃工具として電動ハンマを例にとって説明したが、ハンマビット119が打撃動作と回転動作を行うハンマドリルに適用してもよい。
【0047】
なお、本発明の趣旨に鑑み、以下の如き態様を構成することができる。
(態様1)
「請求項2に記載の打撃工具であって、
前記軸受収容部は、前記軸受との間に介在されるウェーブワッシャーと、当該ウェーブワッシャーを保持するワッシャー保持部材を有し、当該ワッシャー保持部材は、前記ウェーブワッシャーの弾性変形を許容するように前記軸受収容部に相対移動可能に取り付けられていることを特徴とする打撃工具。」
態様1に記載の発明によれば、ウェーブワッシャーの軸受収容部からの脱落を防止することができ、これによりモータを工具本体に組み付ける際の組み付け性を向上できる。
【0048】
(態様2)
「請求項2に記載の打撃工具であって、
前記カバー部材は、前記軸受収容部の端部に係合可能な凹部を有し、当該凹部と前記軸受収容部の間にはOリングが介在されていることを特徴とする打撃工具。」
態様2に記載の発明によれば、Oリングにより軸受収容部に対する防塵効果、及びカバー部材と軸受収容部が擦れ合うことで生ずる異音の防止効果等を得ることができる。
【0049】
(態様3)
請求項2に記載の打撃工具であって、
前記カバー部材には、前記軸受収容部の周辺領域に前記モータを冷却するべく外気を取り入れる吸入口が設けられ、前記工具本体の外側には当該工具本体を覆うとともに、空気の放出口を有する本体カバーが備えられており、前記モータ冷却後の空気が前記工具本体と前記本体カバー間の空間へと流入されるとともに前記放出口から外部へと放出され、これにより前記工具本体内に収容された前記駆動機構が冷却される構成としたことを特徴とする打撃工具。」
態様3に記載の発明によれば、モータ冷却用の空気を利用して打撃工具の駆動機構をも冷却でき、合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る電動ハンマの全体構成を示す断面図である。
【図2】電動ハンマの主要部の構成を示す断面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】電動ハンマの全体構成を示す一部切断平面図である。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0051】
101 電動ハンマ(打撃工具)
103 本体部(工具本体)
105 モータハウジング
105a 軸受収容部
105b 連接領域部
105c 本体領域部
105d 切欠き
106 本体カバー
106a 空間
106b 空間
106c 放出口
107 ギアハウジング
107a 円筒部
107b ピンガイド孔
107c 開口部
108 バレル部
109 ハンドグリップ
111 駆動モータ(モータ)
112 モータ軸
112a 小歯車
113 運動変換機構(駆動機構)
115 打撃要素(駆動機構)
116 クランク室
117 ギア室
119 ハンマビット(工具ビット)
121 クランク軸(駆動軸)
122 偏心ピン
122a 突出端部
123 クランクアーム
124 クランク板
125 ピストン
126 ウェーブワッシャー
127 ワッシャー保持リング
127a 鍔部
127b 係止爪
131 電源スイッチ
132 冷却ファン
133 操作部材
134 電機子
135 固定子
136 整流子
137 ツールホルダ
138 ブラシホルダユニット
138a ホルダベース
138b ブラシホルダ部
138c 雌側の端子
139a 上の軸受
139b 下の軸受
140 コントローラ
140a 雄側の端子
141 シリンダ
141a 空気室
143 ストライカ
145 インパクトボルト
151 動吸振器
153 ウェイト
155 前側のコイルバネ
157 後側のコイルバネ
158 前バネ受スリーブ
159 後バネ受スリーブ
161 歯車減速機構(駆動機構)
163 中間歯車
165 中間軸
167 被動歯車
171 加振機構
172 カム軸
172a 小径部
172b 大径部
172c クランク板
172d 係合部
173 偏心カム
174 動力伝達ピン
174a 一方(後側)のピン
174b 他方(前側)のピン
175,176 軸受
177 軸受ハウジング
177a 上の軸受収容部
177b 下の軸受収容部
177c ピンガイド孔
177d 開口
181 エア抜き機構
182 エア通路
183 フィルター
184 フィルターケース
185 Oリング
186 給油口
187 給油口キャップ
188 Oリング
189 ネジ
191 カバー部材
192 第1保持部
192a 凹部
193 第2保持部
193a 筒状体
193b 段差端面
193c ストッパ
194 第3保持部
194a 突起
195 Oリング
196 吸入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ビットを長軸方向に直線状に駆動させ、これによって当該工具ビットに所定のハンマ作業を遂行させる打撃工具であって、
工具本体と、
前記工具本体に収容される複数の内部機構と、
前記内部機構としてのモータと、
前記モータの通電駆動によって回転駆動される前記内部機構としてのモータ軸と、を有し、
前記モータ軸が前記工具ビット長軸線に対して当該工具ビット長軸線を横切るように交差状に配置されており、
前記モータ軸の長軸方向一端部側において、前記工具本体に装着されるとともに、前記モータ軸の端部を覆うカバー部材を更に有し、
前記カバー部材は、前記内部機構の少なくとも一部を保持することを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記モータは、前記モータ軸と共に回転する回転子、前記モータ軸の長軸方向一端部を支持する軸受、及び前記回転子と前記軸受間に配置され、当該回転子に対する電流供給用のカーボンブラシを保持するブラシホルダユニットを有しており、
前記保持対象としての前記内部機構は、前記軸受を収容する軸受収容部であり、前記カバー部材は、前記軸受収容部を前記モータ軸の長軸方向一端部側から押圧しつつ径方向に押圧して保持する構成としたことを特徴とする打撃工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の打撃工具であって、
前記モータ軸によって回転駆動される前記内部機構としての駆動軸と、
前記駆動軸の回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットを直線状に駆動する前記内部機構としての駆動機構を有し、
前記工具本体は、前記駆動軸及び前記駆動機構を収容する密閉された収容空間を有し、
前記保持対象としての前記内部機構は、前記収容空間の内部と外部とを連通して当該収容空間の圧力を調整するエア抜き機構であり、前記カバー部材は、前記エア抜き機構を前記モータ軸の軸方向一端部側から押圧して保持する構成としたことを特徴とする打撃工具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の打撃工具であって、
前記モータ軸によって回転駆動される前記内部機構としての駆動軸と、
前記駆動軸の回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットを直線状に駆動する前記内部機構としての駆動機構を有し、
前記工具本体は、前記駆動軸及び前記駆動機構を収容する密閉された収容空間を有し、
前記保持対象としての前記内部機構は、前記収容空間内に潤滑油を供給する給油口を塞ぐ給油口キャップであり、前記カバー部材は、前記給油口キャップを前記モータ軸の軸方向一端部側から押圧して保持する構成としたことを特徴とする打撃工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−220199(P2009−220199A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64977(P2008−64977)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】