説明

打込み工具

【課題】ドライバガイドが可動式に構成される場合でも、最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持できるようにする。
【解決手段】ドライバガイド30は、先端が打込み材Wに対して圧着させるコンタクトトップ31として形成され、工具本体に対して相対的に移動可能な可動式にて構成される。ここで押付け面36を有する内部露出部材35は、ドライバガイド30とは分離された別の部材にて形成されているので、打込み釘85の打込み位置に向けて送られる送り機構65の送り力によって最後釘83を押付け面36に押し付けて最後釘83をドライバガイド30の内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釘等の打込み部材を打ち込むにあたり、該打込み部材を打ち込むドライバを該打込み部材とともにガイドするドライバガイドを具備する打込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打込み工具として、打込み対象に向けて打込み部材としての釘を打ち込む釘打ち機が知られている。このような釘打ち機は、具備されるマガジンに複数の釘を装填することができるように構成される。このような複数の釘は、適宜の樹脂にて成形された帯状の連結部材により、この適宜の数(例えば10本)で結束されている。このように結束された釘は、ドライバで押し出されることにより、次に打ち込まれる釘との間で結束された結束樹脂帯を決壊させて、打込み釘として打込み対象に打ち込まれる。
以下、この結束樹脂帯にて束ねられた釘を『結束釘』と称し、打込み対象に打ち込まれる釘を『打込み釘』と称し、この結束釘から順次打ち込まれていくことにより残り1つとなった最後の釘を『最後釘』と称する。
【0003】
一方、このような釘打ち機にあっては、法制度による安全指導の下、ドライバガイドは、該ドライバガイドの発射先端をコンタクトトップとして形成し、該コンタクトトップを打込み対象に押し付けた場合に限り、釘を打ち込むことができるように構成される。具体的には、コンタクトトップを打込み対象に押し付けると、ドライバガイドは釘打ち機本体側となる基端側に移動し、コンタクトトップを打込み対象に押し付けていると検出するように構成されている。このように、このような釘打ち機にあっては、コンタクトトップを打込み対象に押し付けている場合に限り、釘の打つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3520754号
【特許文献2】特許第4047988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、ドライバガイドの内部に装填される結束釘は、上記した最後釘で無い場合には、上記した結束樹脂帯を介して次に打ち込まれる結束釘からの支持を受けるようになっている。つまり、ドライバガイドの内部に装填される結束釘は、この結束樹脂帯を介した結束釘同士の支持を受けることによって、このドライバガイドの内部の正しい打込み位置に打込み釘を位置決めして支持しておくことができる。
【0006】
しかしながら、上記したようにドライバガイドの内部に装填される結束釘が上記した最後釘となる場合には、結束樹脂帯を介した結束釘同士の支持を受けることができないこととなる。そうすると、このドライバガイドの内部の正しい打込み位置に打込み釘を位置決めして支持しておくことができなくなる。
このため、上記したドライバガイドのコンタクトを検出可能な構造によってドライバガイドが移動することとなると、結束樹脂帯を介した結束釘同士の支持を受けれない最後釘は、この移動を受けてドライバガイドの内部の正しい打込み位置からズレてしまって、この最後釘が打込みノーズ内から外に出てしまったり、次の釘とを重ねて打たれてしまったりすることがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、釘等の打込み部材を打ち込むにあたり、打込み部材を打ち込むドライバを打込み部材とともにガイドするドライバガイドを具備する打込み工具において、例えばドライバガイドの発射先端を打込み対象に押し付けて該ドライバガイドが該発射先端から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動するようにドライバガイドが可動式に構成される場合でも、最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る打込み工具は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る打込み工具は、釘等の打込み部材を打ち込むにあたり、該打込み部材を打ち込むドライバを該打込み部材とともにガイドするドライバガイドを具備する打込み工具であって、前記ドライバガイドは、打込み工具本体に対して相対的に移動可能な可動式に構成されており、前記ドライバガイドの内部には、該ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に関係なく、前記ドライバにて打ち込まれるまで該ドライバガイドの内部の打込み位置に前記打込み部材を保持しておく打込み部材保持手段が設けられていることを特徴とする。
この第1の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドは、打込み工具本体に対して相対的に移動可能な可動式のドライバガイドとして構成されているので、釘等の打込み部材を打ち込むにあたり、ドライバガイドの発射先端を打込み対象への圧着させた場合に、打込み工具本体に対して相対的にドライバガイドが移動させて、この圧着状態を検出することができる。ここで、このドライバガイドの内部には、ドライバガイドの打込み工具本体に対する相対的な移動に関係なく、ドライバにて打ち込まれるまでドライバガイドの内部の打込み位置に打込み部材を保持しておく打込み部材保持手段が設けられている。これによって、このようにドライバガイドの発射先端を打込み対象に押し付けてドライバガイドが発射先端から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動した場合でも、打込み部材保持手段により最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
【0009】
第2の発明に係る打込み工具は、前記第1の発明に係る打込み工具において、前記打込み部材保持手段は、前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に連動せず、該ドライバガイドとは分離されて該ドライバガイドの内部に露出される内部露出部材を備え、前記内部露出部材は、前記打込み位置に向けて送られる該打込み部材の送り力によって該打込み部材が押し付けられる押付け面を備え、前記押付け面に押し付けられた前記打込み部材は、前記ドライバにて打ち込まれるまで前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に関係なく、該ドライバガイドの内部の打込み位置に保持されることを特徴とする。
この第2の発明に係る打込み工具によれば、打込み部材を、ドライバガイドとは分離されてドライバガイドの内部に露出される内部露出部材の押付け面に、打込み位置に向けて送られる送り力によって押し付けることができる。ここで、この押付け面を有する内部露出部材は、ドライバガイドとは分離された別の部材にて形成されているので、この第2の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドが先端側(発射側)から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動した場合でも、最後の打込み部材(最後釘)を押付け面に押し付けて最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
【0010】
第3の発明に係る打込み工具は、前記第2の発明に係る打込み工具において、前記ドライバガイドには、前記内部露出部材の前記押付け面を該ドライバガイドの内部に露出するための開口部が設けられていることを特徴とする。
この第3の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドには、内部露出部材の押付け面をドライバガイドの内部に露出するための開口部が設けられているので、上記した内部露出部材の押付け面を配設するにあたって開口部を設定するだけで内部露出部材の押付け面をドライバガイドの内部に露出させることができて、製造の簡単化を図ることができる。
【0011】
第4の発明に係る打込み工具は、前記第2または前記第3の発明に係る打込み工具において、前記打込み部材の外周面には、該打込み部材を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯が設けられており、前記押付け面に対する前記打込み部材の押付けは、前記打込み部材の外周面に設けられた前記結束樹脂帯を介したものであることを特徴とする。
この第4の発明に係る打込み工具によれば、打込み部材の外周面には、打込み部材を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯が設けられており、押付け面に対する打込み部材の押付けは、打込み部材の外周面に設けられた結束樹脂帯を介したものとなり、打込み部材を押し付けた場合の摩擦力を得られ易くして、最後の打込み部材(最後釘)を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
【0012】
第5の発明に係る打込み工具は、前記第1の発明に係る打込み工具において、前記打込み部材保持手段は、打込み時には前記ドライバガイドの内部の打込み通路を確保するように退避可能にされ、且つ打込み前には該ドライバガイドの内部の打込み通路内に突き出して打込み部材と係合する係合構造にて構成されていることを特徴とする。
この第5の発明に係る打込み工具によれば、打込み部材保持手段は係合構造にて構成されているので、打込み前にはドライバガイドの内部の打込み通路内に突き出して打込み部材と係合させることができつつ、打込み時にはドライバガイドの内部の打込み通路を確保するように退避させることができる。これによって、ドライバガイドが発射先端から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動した場合でも、係合構造が打込み部材と係合して打込み前の最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。なお、打込み時には係合構造がドライバガイドの内部の打込み通路を確保するように退避するので、打込み部材の打込みは問題なく行えるものとなっている。
【0013】
第6の発明に係る打込み工具は、前記第5の発明に係る打込み工具において、前記打込み部材の外周面には、該打込み部材を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯が設けられており、前記係合構造は、前記打込み位置に前記打込み部材を保持する場合には、前記打込み通路内に突き出して前記結束樹脂帯と係合し、且つ前記ドライバで該打込み部材を打ち込む場合には、該打込み通路内への突出しを退避させて前記結束樹脂帯との係合を解除する、爪体構造にて構成されていることを特徴とする。
この第6の発明に係る打込み工具によれば、係合構造は爪体構造にて構成されているので、打込み位置に打込み部材を保持する場合には、打込み通路内に突き出して結束樹脂帯と係合し、且つドライバで打込み部材を打ち込む場合には、打込み通路内への突出しを退避させて結束樹脂帯との係合を解除することができる。これによって、爪体構造による打込み部材の係合は、打込み部材の外周面に設けられた結束樹脂帯を介したものであるので、打込み部材の係合を得られ易くして、最後の打込み部材(最後釘)を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
【0014】
第7の発明に係る打込み工具は、前記第1から前記第6のいずれかの発明に係る打込み工具において、前記ドライバガイドの先端は、打込み対象に対して圧着させるコンタクトトップとして形成され、前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動は、該コンタクトトップの打込み対象に対する圧着によるものであることを特徴とする。
この第7の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドの先端は打込み対象に対して圧着させるコンタクトトップとして形成されるので、ドライバガイドの先端を圧着しているか否かの検出する構成を、ドライバガイドに付加することができて部材点数を少なくすることができる。
【0015】
第8の発明に係る打込み工具は、前記第7の発明に係る打込み工具において、前記打込み工具本体には、前記コンタクトトップの打込み対象に対する圧着に応じて閉じられる燃焼室が設けられる燃焼式打込み機であることを特徴とする。
この第8の発明に係る打込み工具によれば、打込み工具本体には、コンタクトトップの打込み対象に対する圧着に応じて閉じられる燃焼室が設けられるので、部材点数を少なくしながら上記した作用効果を得られる燃焼式打込み機を構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る打込み工具によれば、例えドライバガイドが発射先端から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動するようなドライバガイドが可動式に構成される場合でも、打込み部材保持手段により最後の打込み部材(最後釘)をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
第2の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドが発射先端から打込み工具本体側となる基端側に向けて移動した場合でも、最後の打込み部材を押付け面に押し付けて最後の打込み部材をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
第3の発明に係る打込み工具によれば、開口部の大きさだけを設定するだけで内部露出部材の押付け面を形成することができて、製造の簡単化を図ることができる。
第4の発明に係る打込み工具によれば、打込み部材を押し付けた場合の摩擦力を得られ易くして、最後の打込み部材を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
第5の発明に係る打込み工具によれば、係合構造により打込み部材と係合して打込み前の最後の打込み部材をドライバガイドの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
第6の発明に係る打込み工具によれば、打込み部材の係合を得られ易くして、最後の打込み部材を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
第7の発明に係る打込み工具によれば、ドライバガイドの先端を圧着しているか否かの検出する構成を、ドライバガイドに付加することができて部材点数を少なくすることができる。
第8の発明に係る打込み工具によれば、部材点数を少なくしながら上記した作用効果を得られる燃焼式打込み機を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】燃焼式打込み機の内部を可視化した燃焼式打込み機の断面図である。
【図2】打込み不可の初期状態のドライバガイドの内部構造を断面にて示す構造断面図である。
【図3】図2におけるIII−III断面矢視を示す構造断面図である。
【図4】打込み不可のコンタクト移動途中状態のドライバガイドの内部構造を断面にて示す構造断面図である。
【図5】図4におけるV−V断面矢視を示す構造断面図である。
【図6】打込み可能なコンタクト移動完了状態のドライバガイドの内部構造を断面にて示す構造断面図である。
【図7】図6におけるVII−VII断面矢視を示す構造断面図である。
【図8】第2の実施の形態を示す図であり、初期段階のドライバガイドの側面視図および発射口の正面視図である。
【図9】図8におけるIX−IX断面矢視を示す構造断面図である。
【図10】第1段階のドライバガイドの側面視図および発射口の正面視図である。
【図11】図10におけるXI−XI断面矢視を示す構造断面図である。
【図12】第2段階のドライバガイドの側面視図および発射口の正面視図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面矢視を示す構造断面図である。
【図14】第3段階のドライバガイドの内部構造を断面にて示す構造断面図である。
【図15】図14におけるXV−XV断面矢視を示す構造断面図である。
【図16】第4段階のドライバガイドの側面視図および発射口の正面視図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII断面矢視を示す構造断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る打込み工具を実施するための第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、燃焼式打込み機10の内部を可視化した燃焼式打込み機10の断面図である。図1に示す燃焼式打込み機10は、本発明に係る打込み工具に相当する工具である。なお、以下の説明では、この燃焼式打込み機10の各部の構成を分かり易く説明するために、図1等に示すとおりで上下等の方向を規定している。つまり、この燃焼式打込み機10は、一般的に鉛直下向きの方向で打込み部材としての釘80を打ち込むため、このように汎用される打込み方法に鑑みて燃焼式打込み機10の上下等の方向を規定している。また、ドライバ15およびドライバガイド30等に関しては、打込み釘85の発射側を先端と規定しており、これとは発射側とは反対側を基端と規定している。なお、図1に示す符号Wは、本発明に係る打込み対象に相当する打込み材である。
図1に示す燃焼式打込み機10は、打込み部材としての打込み釘85(釘80)を打ち込む。このため、この燃焼式打込み機10は、打込み釘85を発射するためのドライバ15を具備するとともに、このドライバ15をガイドするドライバガイド30も具備する。すなわち、この燃焼式打込み機10は、概略、工具本体11と、ドライバガイド30と、マガジン60と、を備える。工具本体11は、本発明に係る打込み工具本体に相当し、打込み釘85を打ち込むにあたっての打込み打撃力を生ずるように機能する。
【0019】
工具本体11は、図1に示すように、本体ケース12の内側にシリンダ13を内装している。シリンダ13の内側にピストン14が往復動可能に収容されている。シリンダ13の下部には、ピストン14の下動限界のストッパとして機能するダンパ17が取り付けられている。ピストン14の下面中心には打込み具打撃用のドライバ15が取り付けられている。ドライバ15は、金属製の長尺棒状に形成される。このドライバ15の先端側部位は、ダンパ17の内周側を経てドライバガイド30の内部にに至っている。ここでピストン14とシリンダヘッド16との間には燃焼室20が形成される。この燃焼室20は、円筒形の燃焼室バルブ21が上下動することにより開け閉めされる構造を有する。この燃焼室バルブ21は、チャンバー22の上部に沿って一体に取り付けられている。チャンバー22は、略円筒形状を有して形成され、シリンダ13の外周側に沿って上下に移動可能に支持される。なお、図1に示す燃焼室20は、燃焼室バルブ21と一体でチャンバー22が下動して気密が解かれた開いた状態となっている。なお、チャンバー22の下動端位置で燃焼室バルブ21が開いた状態となっている場合には、シリンダ13に設けられる不図示のストッパに該チャンバー22が当接してチャンバー22の下動端位置が規制される。これに対して、チャンバー22の上動端位置で燃焼室バルブ21が閉じた状態となっている場合には、シリンダヘッド16に該チャンバー22が当接してチャンバー22の上動端位置が規制される。ここでチャンバー22の上動により一体で燃焼室バルブ21が上動してシリンダヘッド16に当接した閉じ位置に至った場合には、燃焼室20は気密に閉じた状態となる。
【0020】
燃焼室20内には、電動モータ23で回転する撹拌ファン24と点火プラグ(不図示)が配置されている。電動モータ23と点火プラグは、本体ケース12の上部に取り付けたシリンダヘッド16に取り付けられている。チャンバー22の上動により一体で上動した燃焼室バルブ21とピストン14とシリンダヘッド16によって気密に閉じられた燃焼室20が形成される。ここで、チャンバー22の上動は、ドライバガイド30のオン位置への上動操作によりなされる。なお、このドライバガイド30の先端(下端)は、打込み材Wに圧着させるコンタクトトップ31として形成される。このため、上記したドライバガイド30の工具本体11に対する相対的な移動(上動操作)は、コンタクトトップ31の打込み材Wに対する圧着によるものものとなっている。このように上記した燃焼室20は、コンタクトトップ31の打込み材Wに対する圧着に応じて閉じられるようになっている。また、工具本体11の側部には、カセット式のガスボンベ25が収容されている。このガスボンベ25は、後述するドライバガイド30のオン位置への上動操作により燃焼室バルブ21が閉じ位置となると、燃焼室20内に可燃性ガスを供給する。そうすると、電動モータ23が起動して撹拌ファン24が回転して、気密に閉じられた燃焼室20内に混合気を生成する。
工具本体11の側部には、使用者が片手で把持可能なハンドル部26が設けられている。このハンドル部26の付け根部分には、下面側に向かって突き出すスイッチレバー27と、このスイッチレバー27と連動する点火スイッチ28が設けられている。このため、ハンドル部26を把持した手の指先でスイッチレバー27を引き操作すると、点火スイッチ28がオンとなり、点火プラグに点火して混合気を燃焼させる。この際に生じた混合気の燃焼圧力によりピストン14は衝撃的に下動させられ、ドライバ15を打ち込む打撃力となる。なお、図示符号29は、充電式のバッテリパックであり、この工具本体11に電力供給する電源として装着されている。
【0021】
このように構成された工具本体11の下部にはドライバガイド30が配設され、このドライバガイド30の側部にはマガジン60が配設される。なお、ドライバガイド30は、上記したドライバ15等をガイドする機能と、上記した先端のコンタクトトップ31の打込み材Wへの押付けを検出する機能とを有する。
図1に示すように、マガジン60には、ドライバガイド30の内部に10本束ねられた結束釘81として装填される。この結束釘81は、10本並列にされた釘80を適宜の樹脂の成形品となる結束樹脂帯87により束ねることにより形成される。つまり、この結束樹脂帯87は、釘80を10本ずつで装填できるように束ねつつ、1本を打込み釘85としてドライバ15により打ち込まれる衝撃にて結束が決壊されるようになっている。なお、この結束樹脂帯87は、1本を打込み釘85としてドライバ15により打ち込まれる衝撃にて、結束が決壊ではなく圧縮されるようにされる機能であってもよい。このように10本にて結束された結束釘81は、1本ずつ打込み釘85としてドライバ15により順次打ち込まれることにより、結束されていない最後の1本の釘80となる。この10本のうち、残りの最後の1本となった打込み釘85は最後釘83に設定される。なお、この最後釘83は、他の釘80とは束ねられた状態となっていないが、自身の周囲には結束樹脂帯87が残されている。つまり、結束釘81をなす釘80の1本1本の外周面には、ドライバ15により打ち込まれるまで、樹脂成形された結束樹脂帯87が残ったままとなる。
このように束ねられる結束釘81は、工具本体11の打ち込み動作に連動して、結束釘81を1本ずつドライバガイド30の内部にマガジン60の送り機能によりピッチ送りされ、ドライバガイド30の内部に供給された釘80は、打込み釘85としてドライバ15にて打ち込まれる。このため、マガジン60には、工具本体11の打ち込み動作に連動して、結束釘81を1本ずつドライバガイド30の内部にピッチ送りする送り機構65が設けられている。
【0022】
次にドライバガイド30に関して、ドライバガイド30の周辺構造とともに説明する。
図2は、打込み不可の初期状態のドライバガイド30の内部構造を断面にて示す構造断面図である。図3は、図2におけるIII−III断面矢視を示す構造断面図である。図4は、打込み不可のコンタクト移動途中状態のドライバガイド30の内部構造を断面にて示す構造断面図である。図5は、図4におけるV−V断面矢視を示す構造断面図である。図6は、打込み可能なコンタクト移動完了状態のドライバガイド30の内部構造を断面にて示す構造断面図である。図7は、図6におけるVII−VII断面矢視を示す構造断面図である。なお、図2、図4、図6に関しては、図示されるドライバガイド30を分かり易くするために、釘80を発射する方向を左側に向けて図示している。
送り機構65は、図2および図3に示すように、プッシャ機構体66と、このプッシャ機構体66を付勢する不図示の送り付勢ばねとを備える。プッシャ機構体66は、不図示の送り付勢ばねの付勢力を受けてドライバガイド30側に向けてスライド移動する。つまり、図2および図3に示すように、プッシャ機構体66がドライバガイド30側に向けてスライド移動すると、このプッシャ機構体66のプッシャ部材68は、マガジン60に装填された結束釘81をドライバガイド30の内部に供給するように結束釘81を押していくこととなる。
ここでプッシャ機構体66は、概略、ホルダ67と、プッシャ部材68と、付勢ばね69とを備える。ホルダ67は、不図示の送り付勢ばねの付勢力を受けつつ、マガジン本体61に対して相対的にスライド移動可能にガイド支持される部材である。プッシャ部材68は、このホルダ67に回動可能に支持されて結束釘81を押していく部材である。付勢ばね69は、結束釘81を押し出す配置位置にプッシャ部材68を配置させるように付勢する部材である。なお、付勢ばね69の付勢力に抗して結束釘81を押し出す配置位置からプッシャ部材68を退避させた場合には、このマガジン60に新たな結束釘81が装填可能な状態となる。
【0023】
上記したドライバ15は、工具本体11により生ずる打撃機能により、マガジン60から供給された結束釘81を打込み釘85として打込み材Wに打ち込む。このため、このドライバ15を嵌挿させるように配設されるドライバガイド30は、このように打ち込むためのドライバ15の打込み移動をガイドする機能と、このドライバ15により打ち出される打込み釘85の発射軌道をガイドする機能とを有して構成される。
図1に示すように、工具本体11の下部にはノーズケース51が取り付けられている。このノーズケース51の下部側(先端側)には、筒形状のガイド部52として形成されている。このガイド部52の内周側にはドライバガイド30が嵌挿されている。このドライバガイド30は、基端側がノーズケース51内のガイド支持構造により上下移動可能にガイド支持されており、先端側がノーズケース51のガイド部52のガイド支持構造により上下移動可能にガイド支持されている。
【0024】
このドライバガイド30は、上記したドライバガイド本来の機能のほか、ノーズケース51内で隣接配置されるコンタクト機構55により、打込み材W(打込み対象)に対しての圧着状態を検出するコンタクトアームとしての機能も有する。つまり、上記したように、ドライバガイド30の先端(下端)は、打込み材Wに圧着させるコンタクトトップ31として形成され、ドライバガイド30は、工具本体11に対して相対的な移動が可能となっている。つまり、ドライバガイド30は、ドライバ15を案内する機能と、コンタクトトップ31の打込み材W(打込み対象)に対する圧着によりチャンバー22の上動させて燃焼室20を閉じる機能とを備える。なお、打込み材W(打込み対象)に対してコンタクトトップ31が非接触となる通常の状態では、チャンバー22の下動させて燃焼室20が開かせている。
コンタクト機構55は、上記したコンタクトアームとしての機能も有するドライバガイド30にチャンバー22を連動させる構造を有する。具体的には、コンタクト機構55は、チャンバー22を連動させる連動ロッド56を具備して構成される。この連動ロッド56は、係合部57によりドライバガイド30と係合している。このようにドライバガイド30と連動する連動ロッド56は、不図示となる結合部材を介してチャンバー22と連結されている。このようにして、コンタクトトップ31が圧着したドライバガイド30は、工具本体11に対する相対的に移動(上動操作)することにより、コンタクト機構55を介してチャンバー22の上動させて燃焼室20を気密に閉じるようになる。
【0025】
ドライバガイド30の内部には、ドライバガイド30の内部の打込み位置に打込み釘85を保持しておくための保持構造が設けられている。なお、この打込み釘85の打込み位置とは、図2および図3に示すように、上記したマガジン60からドライバガイド30の内部に送り機構65によりピッチ送りされた打込み釘85の位置に相当する。なお、この打込み釘85は、結束釘81であるため、マガジン60に装填されている他の結束釘81からの支持も受けている。また、図2および図3に示すように、ドライバガイド30のうちマガジン60が配設される側には、ドライバガイド30の内部に打込み釘85を供給することができるように、マガジンに装填される結束釘81を送るための開口形状32を有して形成されている。なお、この開口形状32は、ドライバガイド30が工具本体11に対して相対的に移動する移動範囲に応じて設定されている。このため、ドライバガイド30が最下端(最先端側)に位置する場合であっても、ドライバガイド30が最上端(最基端側)に位置する場合であっても、ドライバガイド30の内部に打込み釘85を供給することができるようになっている。
【0026】
また、このドライバガイド30のうち、この開口形状32と対向する内周壁33には、開口部34が設けられている。この開口部34は、上記した開口形状32と同様、ドライバガイド30が工具本体11に対して相対的に移動する移動範囲に応じて設定されている。具体的には、この開口部34は、ドライバガイド30の移動距離に合わせた長方形にて形成されている。つまり、ドライバガイド30が最下端(最先端側)に位置する場合であっても、ドライバガイド30が最上端(最基端側)に位置する場合であっても、この開口部34は、次に説明する内部露出部材35の押付け面36がドライバガイド30の内部に露出可能な開口形状を有して形成されている。
内部露出部材35は、略平板形状にて形成されており、上記した工具本体11と一体となるノーズケース51にて固定支持される。つまり、この内部露出部材35も、ノーズケース51と同様、上記した工具本体11と一体となっている。つまり、内部露出部材35は、ドライバガイド30とは分離された部材となっている。このため、ドライバガイド30の工具本体11に対する相対的な移動に連動することなく、工具本体11と一体となるように工具本体11に固定されたものとなる。このように略平板形状にて形成される内部露出部材35は、ドライバガイド30の内部に露出する面が、このドライバガイド30の内部の打込み位置に向けて送られる打込み釘85が押し付けられる押付け面36として形成される。この押付け面36には、上記したマガジン60に設けられる送り機構65の送り力によって打込み釘85が押し付けられるようになっている。
【0027】
このように押付け面36に押し付けられた打込み釘85は、ドライバ15にて打ち込まれるまでドライバガイド30の工具本体11に対する相対的な移動に関係なく、ドライバガイド30の内部の打込み位置に保持されるようになっている。つまり、上記したようにドライバガイド30が工具本体11に対して相対的に移動する場合でも、打込み釘85は、このドライバガイド30からの摩擦力を受けて移動することなく、ドライバ15にて打ち込まれるまでドライバガイド30の内部の打込み位置に位置したままで保持することができる。言い換えれば、コンタクトトップ31の打込み材Wに対する圧着によってドライバガイド30が基端側に移動しても、送り機構65の送り力により押付け面36に押し付けられた打込み釘85はその位置からズレてしまうことなく移動することがない。
つまり、押付け面36を具備する内部露出部材35と、この押付け面36をドライバガイド30の内部に露出可能にするドライバガイド30の開口部34とは、本発明に係る打込み部材保持手段に相当し、ドライバ15にて打ち込まれるまでドライバガイド30の内部の打込み位置に打込み釘85を保持しておく機能を有する。なお、この内部露出部材35の押付け面36に打込み釘85を押し付ける押付け力は、マガジン60の送り機構65によるものとなっている。
ここで、このドライバガイド30の内部に露出する内部露出部材35の押付け面36に打込み釘85を押し付けるにあたっては、この打込み釘85の外周面に設けられた結束樹脂帯87を介したものとなっている。なお、このように押し付けられる打込み釘85の結束樹脂帯87は、通常の結束釘81の1本として供給される場合や、結束釘81の最後の1本として供給される最後釘83の場合にかかわらず、内部露出部材35の押付け面36に押し付けられるものとなっている。
【0028】
上記した燃焼式打込み機10によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記した燃焼式打込み機10によれば、ドライバガイド30は、工具本体11に対して相対的に移動可能な可動式のドライバガイド30として構成されているので、釘80を打ち込むにあたり、ドライバガイド30の発射先端を打込み材Wへの圧着させた場合に、工具本体11に対して相対的にドライバガイド30が移動させて、この圧着状態を検出することができる。
また、上記した燃焼式打込み機10によれば、打込み釘85を、ドライバガイド30とは分離されてドライバガイド30の内部に露出される内部露出部材35の押付け面36に、打込み位置に向けて送られる送り機構65の送り力によって押し付けることができる。ここで、この押付け面36を有する内部露出部材35は、ドライバガイド30とは分離された別の部材にて形成されているので、この燃焼式打込み機10によれば、ドライバガイド30が先端側から工具本体11側となる基端側に向けて移動した場合でも、最後釘83を押付け面36に押し付けて最後釘83をドライバガイド30の内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。
また、上記した燃焼式打込み機10によれば、ドライバガイド30には、内部露出部材35の押付け面36をドライバガイド30の内部に露出するための開口部34が設けられているので、上記した内部露出部材35の押付け面36を配設するにあたって開口部34を設定するだけで内部露出部材35の押付け面36をドライバガイド30の内部に露出させることができて、製造の簡単化を図ることができる。
また、上記した燃焼式打込み機10によれば、打込み釘85の外周面には、打込み釘85を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯87が設けられており、押付け面36に対する打込み釘85の押付けは、打込み釘85の外周面に設けられた結束樹脂帯87を介したものとなり、打込み釘85を押し付けた場合の摩擦力を得られ易くして、最後釘83を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
また、上記した燃焼式打込み機10によれば、ドライバガイド30の先端は打込み材Wに対して圧着させるコンタクトトップ31として形成されるので、ドライバガイド30の先端を圧着しているか否かの検出する構成を、ドライバガイド30に付加することができて部材点数を少なくすることができる。また、上記した燃焼式打込み機10によれば、工具本体11には、コンタクトトップ31の打込み材Wに対する圧着に応じて閉じられる燃焼室20が設けられるので、部材点数を少なくしながら上記した作用効果を得られる燃焼式打込み機を構成することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に、上記した第1の実施の形態とは相違する、本発明に係る打込み工具を実施するための第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この第2の実施の形態にあっては、上記した第1の実施の形態の燃焼式打込み機10のうち、ドライバガイド30の構造に関して相違するものとなっている。このため、以下においては、ドライバガイド30Aの構造についてを説明し、上記した第1の実施の形態の燃焼式打込み機10と同等に構成される部分については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
なお、この第2の実施の形態にあっても、上記した第1の実施の形態にて利用される、結束釘81の釘80が利用される。つまり、打込み釘85は、釘80の1本1本の外周面に樹脂成形された結束樹脂帯87が設けられている。
上記した第1の実施の形態における打込み部材保持手段は、押付け面36を具備する内部露出部材35と、この押付け面36をドライバガイド30の内部に露出可能にするドライバガイド30の開口部34とを具備して構成されるものであった。これに対して、第2の実施の形態における打込み部材保持手段は、ドライバガイド30の内部の打込み位置に打込み釘85を保持しておく保持機構70よりなる。つまり、上記した第1の実施の形態における打込み部材保持手段は、送り機構65による結束釘81の送り力を利用して、打込み釘85を側方から押し付けることによりドライバガイド30の内部の打込み位置に保持しておくものであった。これに対して第2の実施の形態における打込み部材保持手段は、打込み位置に存する打込み釘85の前方の打込み通路300内に爪体75が突き出すことにより、打込み釘85の結束樹脂帯87と係合するようになっており、この係合により打込み釘85を打込み位置に保持するようになっている。
【0030】
図8〜図17は、第2の実施の形態のドライバガイド30Aを示す図である。すなわち、図8(A)は、初期段階のドライバガイド30Aの側面視図である。図8(B)は、図8(A)のドライバガイド30Aの発射口の正面視図である。図9(A)は、図8(B)におけるIX−IX断面矢視を示す構造断面図である。また、図9(B)は、保持機構70に関して拡大して示す断面図である。これに対して、図10および図11は、ドライバガイド30Aの第1段階状態の移動状態を示しており、図12および図13は、ドライバガイド30Aの第2段階状態の移動状態を示しており、図14および図15は、ドライバガイド30Aの第3段階状態の移動状態を示しており、図16および図17は、ドライバガイド30Aの第4段階状態の移動状態を示している。なお、図10、図12、図14、図16は、図8に示すドライバガイド30Aの図示に対応しており、図11、図13、図15、図17は、図9に示すドライバガイド30Aの図示に対応している。
図8〜図17に示す保持機構70は、本発明に係る打込み部材保持手段に相当する。図8(図9)、図10(図11)、図12(図13)、図14(図15)、図16(図17)の順で、ドライバガイド30Aは、工具本体11に対して先端から基端に向けて移動している。なお、図8(図9)は、ドライバガイド30Aのコンタクトトップ31が打込み材Wに当てられていない状態を示す図であり、図10(図11)は、ドライバガイド30Aのコンタクトトップ31が打込み材Wに僅かに当てられている状態を示す図である。これに対して、図12(図13)および図14(図15)は、ドライバガイド30Aのコンタクトトップ31が打込み材Wに当てられてドライバガイド30Aが移動している状態を示す図であり、図16(図17)は、ドライバガイド30Aのコンタクトトップ31が打込み材Wに当てられて押圧されてドライバガイド30Aが完全に移動している状態を示す図である。
【0031】
保持機構70は、釘80を打ち込むに際して、ドライバガイド30Aの内部の打込み通路300を確保するように退避可能に構成されつつ、釘80を打ち込む前には、ドライバガイド30Aの内部の打込み通路300内に突き出して打込み釘85と係合するように構成される。なお、この保持機構70の打込み釘85の結束樹脂帯87の係合は、打込み通路300内に突き出した爪体75が打込み釘85の結束樹脂帯87に単純に当たることにより、打込み釘85の打込み位置から位置ズレを規制することによりなされるものである。
第2の実施の形態のドライバガイド30Aにあっても、上記した第1の実施の形態のドライバガイド30と同様、打込み釘85を打ち込むためのドライバ15を嵌挿させ、該ドライバ15の打込み移動をガイドする機能と、該ドライバ15により打ち出される打込み釘85の発射軌道をガイドする機能とを有する。また、第2の実施の形態のドライバガイド30Aにあっても、上記した第1の実施の形態のドライバガイド30と同様、打込み材W(打込み対象)に対しての圧着状態を検出するコンタクトアームとしての機能も有する。つまり、ドライバガイド30Aの先端(下端)も、打込み材Wに圧着させるコンタクトトップ31として形成され、ドライバガイド30Aも、工具本体11に対して相対的な移動が可能となっている。
【0032】
ここで、第2の実施の形態のドライバガイド30Aにあっては、この開口形状32と対向する内周壁33には、切欠き溝37が設けられている。この切欠き溝37は、保持機構70の爪体75が入り込むことが可能な凹溝形状にて形成される。また、この切欠き溝37は、ドライバガイド30Aが工具本体11に対して相対的に移動する移動範囲よりも短くなる長さで形成されている。この切欠き溝37の先端側に先端側壁面371が形成されている。この切欠き溝37の対向部分には、ノーズケース51にて支持される保持機構70が設けられている。この保持機構70は、概略、ノーズケース51に固定支持される回動軸支部71と、この回動軸支部71の先端側を回動軸支持するレバー部材72と、このレバー部材72の基端側を外側に突き出させるように付勢する付勢ばね77と、を備える。
回動軸支部71は、レバー部材72を回動可能に支持する軸支持形状にて形成される。レバー部材72は、基端側が内外に揺動可能となるように、先端側が回動軸支部71により回動可能に支持される。また、このレバー部材72の中間外周面には、外側に突き出す爪体75が設けられている。この爪体75は、図9(B)等により拡大して示すように、先端側がドライバガイド30Aの延在方向に対して傾斜したテーパ面形状751にて形成され、基端側がドライバガイド30Aの延在方向に対して直交した直交面形状752にて形成される。このレバー部材72の基端には、レバー部材72の外側への揺動の限界を設定する当接凸部73が設けられている。この当接凸部73は、ノーズケース51に固定支持される当接規制部78に対して当接する部分である。この当接規制部78に対する当接凸部73の当接により、レバー部材72の外側への最大揺動限界端が設定される。この際、上記したレバー部材72の爪体75は、切欠き溝37内に入り込んだものとなる。このため、付勢ばね77は、レバー部材72の基端側が常時外側に突き出すように、レバー部材72の中間部分を常時外側に付勢する。
【0033】
このように構成された保持機構70は、切欠き溝37に対して次のように作用する。すなわち、図9(図8)および図11(図10)に示す状態では、ドライバガイド30Aは工具本体11に対する移動範囲の先端側に位置している。この際、ドライバガイド30Aは、打込み材Wに対しての圧着状態を検出していない。このため、保持機構70の爪体75は、上記したドライバガイド30Aの切欠き溝37に入り込んだ状態となっている。この場合には、爪体75は、ドライバガイド30Aの内部の打込み通路300内に突き出すこととなり、爪体75の直交面形状752は、打込み釘85の結束樹脂帯87と係合することができる。つまり、上記したドライバガイド30Aを具備する燃焼式打込み機によれば、保持機構70の係合構造は爪体75を具備して構成されており、打込み通路300内に突き出した爪体75の直交面形状752に結束樹脂帯87を当接させ、この打込み釘85の移動を規制することができる。これによって、ドライバガイド30Aが先端側から工具本体11側となる基端側に向けて移動した場合には、保持機構70の爪体75が打込み釘85と係合する(当接して移動を規制する)ことができるので、打込み前の最後釘83をドライバガイド30Aの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。また、爪体75による打込み釘85の係合は、打込み釘85の外周面に設けられた結束樹脂帯87を介したものであるので、打込み釘85の係合を得られ易くして、最後釘83を決められた位置に支持するにあたって有利となる。
【0034】
これに対して、図13(図12)および図15(図14)に示す状態では、ドライバガイド30Aは工具本体11に対する移動範囲の中間位置に位置している。この際、ドライバガイド30Aは、打込み材Wに対しての圧着状態を検出しかかっている。このため、保持機構70の爪体75のテーパ面形状751は、上記した切欠き溝37の先端側壁面371に当たることとなっており、この当たりによって切欠き溝37に入り込んでいた爪体75は、この切欠き溝37から出るように傾動している。
次いで、図17(図16)に示すように、ドライバガイド30Aは工具本体11に対する移動範囲の基端側に位置している。この際、ドライバガイド30Aは、打込み材Wに対しての圧着状態を検出している。このため、保持機構70の爪体75は、切欠き溝37から完全に出てしまってドライバガイド30の内周壁33に当たる状態となっている。このように、ドライバガイド30Aが工具本体11に対して移動範囲の最基端側に位置している場合には、保持機構70は打込み材Wに対しての圧着状態を検出することとなり、上記したようにドライバ15で打込み釘85を打ち込むことが可能な状態となる。ここで、保持機構70の爪体75の打込み通路300内への突出しは退避したものとなっており、爪体75の直交面形状752は打込み釘85の結束樹脂帯87と係合しておらず、打込み釘85を打ち出すことが可能な状態となっている。
【0035】
このドライバガイド30Aを具備する燃焼式打込み機によれば、保持機構70の係合構造は爪体75を具備して構成される。これによって、上記したようにドライバガイド30Aが打込み材Wに対しての圧着状態を検出していない場合には、打込み位置に打込み釘85を保持するように、爪体75が打込み通路300内に突き出して打込み釘85の結束樹脂帯87と係合する。つまり、打込み釘85の結束樹脂帯87は、打込み通路300内に突き出した爪体75の直交面形状752に当接して、この打込み釘85の移動を規制することができる。これによって、ドライバガイド30Aが先端側から工具本体11側となる基端側に向けて移動する場合でも、保持機構70の爪体75が打込み釘85の移動を規制するので、打込み前の最後釘83であってもドライバガイド30Aの内部の正しい打込み位置に位置決めして支持することができる。また、このように爪体75による打込み釘85の係合は、打込み釘85の外周面に設けられた結束樹脂帯87を介したものであるので、打込み釘85の係合を得られ易くして、最後釘83を決めた位置に支持するにあたって有利となる。なお、上記したようにドライバガイド30Aが打込み材Wに対しての圧着状態を検出している場合には、爪体75の打込み通路300内への突出しを退避させ、結束樹脂帯87との係合を解除し、ドライバ15による打込み釘85の打込みが可能な状態とすることができる。
【0036】
なお、本発明に係る打込み工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態にあっては、打込み工具として燃焼式打込み機を例示して説明するものであった。しかしながら、本発明に係る打込み工具としては、この例に限定されることなく、例えば高圧エアを利用して釘等の打込み部材を打ち込むものであってもよく、適宜の打込み部材を打ち込む工具全てに適用できる技術である。
また、本発明に係るドライバガイドにあっても、上記した実施の形態のドライバガイド30の先端が打込み材Wに対して圧着させるコンタクトトップ31とした例に限定されることなく、打込み工具本体に対して相対的に移動可能な可動式に構成されるものであればよいものとされる。
また、上記した内部露出部材35は、打込み位置に向けて打込み釘85を送る送り機構65による打込み釘85の送り力によって、打込み釘85が押し付けられる押付け面36を備えるものであった。しかしながら、本発明に係る内部露出部材にあっては、この例に限定されることなく、ドライバガイドの工具本体に対する相対的な移動に連動せずにドライバガイドとは分離されてドライバガイドの内部に露出され、さらに打込み位置に向けて送られる打込み部材(釘等)の送り力によって打込み部材(釘等)が押し付けられる押付け面を具備して構成されるものであれば、適宜の態様を選択することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 燃焼式打込み機(打込み工具)
11 工具本体(打込み工具本体)
12 本体ケース
13 シリンダ
14 ピストン
15 ドライバ
16 シリンダヘッド
17 ダンパ
20 燃焼室
21 燃焼室バルブ
22 チャンバー
23 電動モータ
24 撹拌ファン
25 ガスボンベ
26 ハンドル部
27 スイッチレバー
28 点火スイッチ
30,30A ドライバガイド
300 打込み通路
31 コンタクトトップ
32 開口形状
33 内周壁
34 開口部
35 内部露出部材
36 押付け面
37 切欠き溝
371 先端側壁面
51 ノーズケース
52 ガイド部
55 コンタクト機構
56 連動ロッド
57 係合部
60 マガジン
61 マガジン本体
65 送り機構
66 プッシャ機構体
67 ホルダ
68 プッシャ部材
70 保持機構
71 回動軸支部
72 レバー部材
73 当接凸部
75 爪体
751 テーパ面形状
752 直交面形状
78 当接規制部
80 釘
81 結束釘
83 最後釘
85 打込み釘
87 結束樹脂帯
W 打込み材(打込み対象)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釘等の打込み部材を打ち込むにあたり、該打込み部材を打ち込むドライバを該打込み部材とともにガイドするドライバガイドを具備する打込み工具であって、
前記ドライバガイドは、打込み工具本体に対して相対的に移動可能な可動式に構成されており、
前記ドライバガイドの内部には、該ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に関係なく、前記ドライバにて打ち込まれるまで該ドライバガイドの内部の打込み位置に前記打込み部材を保持しておく打込み部材保持手段が設けられていることを特徴とする打込み工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打込み工具において、
前記打込み部材保持手段は、前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に連動せず、該ドライバガイドとは分離されて該ドライバガイドの内部に露出される内部露出部材を備え、
前記内部露出部材は、前記打込み位置に向けて送られる該打込み部材の送り力によって該打込み部材が押し付けられる押付け面を備え、
前記押付け面に押し付けられた前記打込み部材は、前記ドライバにて打ち込まれるまで前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動に関係なく、該ドライバガイドの内部の打込み位置に保持されることを特徴とする打込み工具。
【請求項3】
請求項2に記載の打込み工具において、
前記ドライバガイドには、前記内部露出部材の前記押付け面を該ドライバガイドの内部に露出するための開口部が設けられていることを特徴とする打込み工具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の打込み工具において、
前記打込み部材の外周面には、該打込み部材を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯が設けられており、
前記押付け面に対する前記打込み部材の押付けは、前記打込み部材の外周面に設けられた前記結束樹脂帯を介したものであることを特徴とする打込み工具。
【請求項5】
請求項1に記載の打込み工具において、
前記打込み部材保持手段は、打込み時には前記ドライバガイドの内部の打込み通路を確保するように退避可能にされ、且つ打込み前には該ドライバガイドの内部の打込み通路内に突き出して打込み部材と係合する係合構造にて構成されていることを特徴とする打込み工具。
【請求項6】
請求項5に記載の打込み工具において、
前記打込み部材の外周面には、該打込み部材を複数で束ねるために樹脂成形された結束樹脂帯が設けられており、
前記係合構造は、前記打込み位置に前記打込み部材を保持する場合には、前記打込み通路内に突き出して前記結束樹脂帯と係合し、且つ前記ドライバで該打込み部材を打ち込む場合には、該打込み通路内への突出しを退避させて前記結束樹脂帯との係合を解除する、爪体構造にて構成されていることを特徴とする打込み工具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の打込み工具において、
前記ドライバガイドの先端は、打込み対象に対して圧着させるコンタクトトップとして形成され、前記ドライバガイドの前記打込み工具本体に対する相対的な移動は、該コンタクトトップの打込み対象に対する圧着によるものであることを特徴とする打込み工具。
【請求項8】
請求項7に記載の打込み工具において、
前記打込み工具本体には、前記コンタクトトップの打込み対象に対する圧着に応じて閉じられる燃焼室が設けられる燃焼式打込み機であることを特徴とする打込み工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−111719(P2013−111719A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261556(P2011−261556)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】