説明

払い出しシュートおよび粉体払い出しシステム

【課題】十分に発塵の防止を行うことのできる粉体払い出しシュートを提供することである。さらに、設備投資の低廉化、設備設置スペースの削減を可能とする粉体払い出しシステムを提供することである。
【解決手段】粉体払い出しシュート10は、粉体貯留槽3から下方の容器内に粉体を払い出すためのシュートであって、昇降可能な下部シュート部材13と、この下部シュート部材13と粉体貯留槽3の払い出し部間を連絡する伸縮自在な防塵フード12と、前記下部シュート部材13の内部に配されるレベル計16と、このレベル計16により検出される粉体レベルに基づき前記下部シュート部材13を所定の高さ上昇させる機能を有する昇降装置18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの破砕物または粉砕物およびこれらの造粒物や木材粉その他粉の多い品物(以下「粉体」と総称する)を一旦貯留槽に貯え、そこから運搬車へ払い出す粉体払い出しシュートおよび粉体払い出しシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より粉体のハンドリングについては、次の工程に送る前に貯留槽に一旦貯蔵し、そこから運搬車で搬出していた。図7は、この従来の粉体の貯留および搬送システムを示す説明図である。図中、1は気送管、2は受入れ装置、3は粉体貯留槽、4は供給設備、5は排出ホッパー、6はゲート、および7は容器(運搬車)を、それぞれ表す。
【0003】
前工程の工場で処理された粉体は気送管1で輸送され、受入れ装置2で空気と粉体とに分離されて、粉体を下部の粉体貯留槽3に一旦貯蔵する。更に、次の工程へ輸送する場合、供給設備4で排出ホッパー5へ運搬車1台分の粉体を払い出しする。排出ホッパー5で受入れた粉体はホッパー5の下に停車中の運搬車7へゲート6を開いて払い出す。
【0004】
従来の技術では、運搬車7にその1台分の容量を速く払い出しするため、粉体貯留槽3に加えて、供給設備4および排出ホッパー5が必要であった。さらにゲート6で粉体を一気に高所から運搬車に払い出しするため、粉体の飛散が多く発生していた。
【0005】
そこで、このような粉体の飛散を防ぐために、粉塵防止用シュートが使用されている。例えば、特開2000−302219号公報(特許文献1)に開示されている技術がある。これは、コンベア等で搬送されてきた粉体や粒状物を堆積させる粉塵防止用のシュートであり、円筒状に巻いたシートの下部円周に沿って短冊状のシートが設けられたシュート本体と、このシュート本体の外周に間隔をおいて配置された複数のリングと、このリング間を結ぶ紐と、最下部のリングに結ばれた紐を巻き上げ、巻き下げしてリングを順次昇降させるリング昇降装置と、を備えている。
【特許文献1】特開2000−302219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術には、次のような問題がある。まず、従来の粉体の貯留および搬送システムにおいては、設備投資が多大になってしまうこと、また設備設置スペースも大きいものが必要になるというものである。
【0007】
さらに、特許文献1に記載の粉塵防止シュートは、シュートの下に粉体が堆積されていくにつれて、短冊部の下部は粉体の山状の堆積を覆うように広がっていくため、隙間が開いてしまい粉体の飛散の防止が完全にはできない、粉塵防止シュート断面の形状が円筒状であり一度に多量の粉体の払い出しを行うには効率的でないなどの問題である。
【0008】
本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点を解決し、十分に発塵の防止を行うことのできる粉体払い出しシュートを提供することを目的とする。さらに、設備投資の低廉化、設備設置スペースの削減を可能とする粉体払い出しシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、粉体貯留槽から下方の容器内に粉体を払い出しするためのシュートであって、昇降可能な下部シュート部材と、該下部シュート部材と前記粉体貯留槽の払い出し部間を連絡する伸縮自在な防塵フードと、前記下部シュート部材の内部に配されるレベル計と、該レベル計により検出される粉体レベルに基づき前記下部シュート部材を所定の高さ分上昇させる機能を有する昇降装置とを備え、前記下部シュート部材を下降させることにより、その下端が前記容器内部材に当接できるようにしたことを特徴とする粉体払い出しシュートである。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の粉体払い出しシュートと、該粉体払い出しシュートを通じて粉体が払い出される容器とを備え、該容器底部の下部払い出し部の上方に設けられた邪魔板上面に下降した下部シュート部材の下端が当接するようにしたことを特徴とする粉体払い出しシステムである。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の粉体払い出しシステムにおいて、前記容器が運搬車の荷台であることを特徴とする粉体払い出しシステムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粉体払い出しシュートにより十分に発塵の発生を防止することができるとともに、粉体払い出しシステムにより、設備投資の低廉化、設備設置スペースの削減が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を、以下図面を用いて説明を行う。図1および図2は、本発明の粉体払い出しシュートの実施形態を示す説明図であり、図1は粉体払い出しシステム全体配置図の側面図を、図2は粉体払い出しシュートの正面図をそれぞれ表す。図1中、1は気送管、2は受入れ装置、3は粉体貯留槽、7は容器(運搬車)、および10は粉体払い出しシュートをそれぞれ表す。さらに、図2中、11はガイド、12は防塵フード、13は下部シュート部材、14はロ−タリーバルブ、15は着地検出器、16はレベル計、31は材料検出器、71はスクリュー、および72は邪魔板をそれぞれ表し、その他図1と同じ記号は同じものを表す。
【0014】
図1に示す粉体払い出しシステムは、粉体払い出しシュート10と、この粉体払い出しシュート10を通じて粉体が払い出される容器7とを備えている。さらに、図1には、前工程の工場で処理された粉体を輸送する気送管1と、空気と粉体とに分離する受入れ装置2と、粉体を一旦貯蔵する粉体貯留槽3とが示されている。
【0015】
ここで、図1および図2に示す粉体払い出しシュート10は、粉体貯留槽3から下方の容器内に粉体を払い出すためのシュートであって、昇降可能な下部シュート部材13と、この下部シュート部材13と粉体貯留槽3の払い出し部間を連絡する伸縮自在な防塵フード12と、前記下部シュート部材13の内部に配されるレベル計16と、このレベル計16により検出される粉体レベルに基づき前記下部シュート部材13を所定の高さ上昇させる機能を有する昇降装置18とを備えている。図1および図2に示す実施形態では、粉体貯留槽3から粉体払い出しシュート10を用いて粉体を払い出す下方の容器7は運搬車の荷台である。
【0016】
粉体貯留槽3は、粉体を切り出す払い出し部をその中央部に、切り出し板は払い出し部の両側に配置するとよい。さらに払い出し部の下方には運搬車7の荷台の全長と一致する長尺ロ−タリーバルブ14を取り付けることにより、粉体の払い出しを一気に行うことができて排出ホッパーを不要とすることができるので好ましい。このロータリーバルブ14は、その回転数によって単位時間当たりの払い出し量を制御する。さらに、粉体貯留槽3内には、粉体の払い出しの有無を検出するための材料検出器31を設ける。
【0017】
運搬車7は、特殊車両であって、一般に運搬車底部の下部払い出し部から、下方に運搬物を払い出すための2本のスクリュー71を有している。また、このスクリュー71の上方には、スクリュー71を運搬物が直撃しないための邪魔板72が設けられている。
【0018】
防塵フード12は、伸縮自在で、粉体貯留槽3より、防塵フード内部に粉体が落下するのを案内するガイド11が設置されている。このガイド11については、図3〜図6を用いて詳述する。
【0019】
レベル計16は、例えば粉体で周囲が埋まると振動が止まることによりその粉体レベルを検出する振動式や、回転しているのが止まることによりその粉体レベルを検出するパドル式が用いられる。
【0020】
昇降装置18は、駆動装置とこの駆動装置と下部シュート部材13とを連結するワイヤロープとからなり、駆動装置の駆動方向によって下部シュート部材13を昇降させる。
【0021】
次に、図1および図2に示す粉体払い出しシュート10を用いて、粉体貯留槽3から下方の運搬車7の荷台に粉体を払い出しする方法について、図3〜図6を用いて説明する。
【0022】
先ず図3は、粉体払い出しシュート10の直下の所定位置に運搬車7が停止している状態を示す図である。
【0023】
次に図4は、昇降装置18への駆動指令によって、下部シュート部材13が運搬車7内に下降し、下部シュート部材13の下端に配される着地検出器15が運搬車7底部の下部払い出し部の上方に設けられた邪魔板72上面に当接した状態を示す図である。
着地検出器15が邪魔板72上面に当接することによって運搬車7に着地したと判断して、下部シュート部材13が下降停止する。下部シュート部材13が運搬車7内に下降するにつれて、この下部シュート部材13と粉体貯留槽3の払い出し部間を連絡する防塵フード12が伸長する。
【0024】
また図5は、防塵フード内を粉体が落下している状態を示す説明図である。粉体貯留槽3内の材料検出器31が粉体が払い出されてないことを検出すると、貯留槽3内の切り出し板が駆動シリンダーによって左右に移動して粉体を払い出し部に集め、貯留槽外に払い出すロータリーバルブ14の回転によって払い出し部から粉体17を落下させる。払い出し部から落下した粉体17は、防塵フード12内のガイド11で中央に案内されて落下する。落下時に飛散する粉塵は上から下まで続く防塵フード12によってその飛散を防止される。
【0025】
図2に示す実施形態では、左右に移動する切り出し板上に取り付けられた方向違いの突起によって、粉体を粉体貯留槽3中央に寄せているが、粉体を中央に集める方法はこれに限るものではない。
【0026】
さらに、図6は、粉体17がますます切り出されて、粉体17が下部シュート部材13内で一定高さに達すると、下部シュート部材13の内部に配されるレベル計16がレベル計16により検出される粉体レベルに基づき(レベル計16がオンとなって)、昇降装置18に駆動指令が入って下部シュート部材13を所定の高さ分上昇させる状態を示している。
【0027】
下部シュート部材13が上昇すると、下部シュート部材13の内部に溜まった粉体17がその重量によって自然と下部シュート部材13内から運搬車7内に流出する。粉体17が一定高さより下がるとレベル計16により検出される粉体レベルに基づき(レベル計16がオフとなって)、昇降装置18に停止指令が入って下部シュート部材13は停止する。下部シュート部材13内に常に一定高さの粉体17を溜めているので、下部シュート部材13下端と粉体17の間が開放して下部シュート部材13内部の粉体17が噴出することはない。つまり、下部シュート部材13下端と粉体17の間を常時粉体17でマテリアルシールしている。
【0028】
このように、レベル計16がオンオフを繰り返しながら、下部シュート部材13が運搬車7内を上昇して一定高さに達すると、昇降装置18内蔵の運搬車内満杯検出器(図示せず)が作動して、昇降装置18とロータリーバルブ14が駆動停止する。この後、昇降装置18が駆動し、再度下部シュート部材13が上昇して所定位置に停止して全工程が終了する。
【0029】
本発明の粉体払い出しシステムによれば、粉体貯留槽の払い出し部の下方には運搬車の荷台の全長と一致する長尺ロ−タリーバルブを取り付け、粉体払い出しシュートもこれと同じ幅を有しているので、粉体の払い出しを一気に行うことができて、払い出し中に運搬車を移動する必要がなくてハンドリング効率がよく、払い出し検査も簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の粉体払い出しシュートの実施形態を示す説明図で、粉体払い出しシステムの全体配置を示す。
【図2】本発明の粉体払い出しシュートの実施形態を示す説明図で、粉体払い出しシュートの正面図を示す。
【図3】粉体払い出しシュートの直下の所定位置に運搬車が停止している状態を示す説明図である。
【図4】昇降装置への駆動指令によって、下部シュート部材が運搬車内に下降し、着地検出器が運搬車に着地して、下部シュート部材が下降停止する状態を示す説明図である。
【図5】防塵フード内を粉体が落下している状態を示す説明図である。
【図6】粉体が下部シュート部材内で一定高さに達すると、下部シュート部材の内部に配されるレベル計により、下部シュート部材を所定の高さ分上昇させる状態を示す説明図である。
【図7】従来の粉体の貯留および搬送システムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 気送管
2 受入れ装置
3 粉体貯留槽
31 材料検出器
4 供給設備
5 排出ホッパー
6 ゲート
7 容器(運搬車)
71 スクリュー
72 邪魔板
10 粉体払い出しシュート
11 ガイド
12 防塵フード
13 下部シュート部材
14 ロ−タリーバルブ
15 着地検出器
16 レベル計
17 粉体
18 昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体貯留槽から下方の容器内に粉体を払い出しするためのシュートであって、昇降可能な下部シュート部材と、該下部シュート部材と前記粉体貯留槽の払い出し部間を連絡する伸縮自在な防塵フードと、前記下部シュート部材の内部に配されるレベル計と、該レベル計により検出される粉体レベルに基づき前記下部シュート部材を所定の高さ分上昇させる機能を有する昇降装置とを備え、前記下部シュート部材を下降させることにより、その下端が前記容器内部材に当接できるようにしたことを特徴とする粉体払い出しシュート。
【請求項2】
請求項1記載の粉体払い出しシュートと、該粉体払い出しシュートを通じて粉体が払い出される容器とを備え、該容器底部の下部払い出し部の上方に設けられた邪魔板上面に下降した下部シュート部材の下端が当接するようにしたことを特徴とする粉体払い出しシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体払い出しシステムにおいて、前記容器が運搬車の荷台であることを特徴とする粉体払い出しシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−69678(P2006−69678A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251513(P2004−251513)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】