説明

抄紙機若しくはその類の乾燥セクションにおける負圧制御装置及び方法

本発明の目的は、2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに関連した抄紙機又はその類の乾燥セクションにおける負圧を制御する装置及び方法である。本発明の目的は、また、板紙抄紙機又は仕上機のような、抄紙機又はその類の走行性要素である。走行性要素は、互いに接触し、ボックス状の走行性要素の容積を境界付ける入口側、下部及び出口側と、入口側の表面に関連して配設され、前記表面を第1部分と第2部分に分けるシール要素とを含む。走行性要素は、前記入口側の第1部分の表面から前記第2部分まで延びそれらを接続する流路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、下記の独立請求項のプリアンブルによる抄紙機若しくはその類の乾燥セクションにおける負圧制御装置及び方法である。
【背景技術】
【0002】
抄紙機又は板紙抄紙機の典型的な乾燥セクションでは、乾燥されるべきウェブは、高温の乾燥シリンダに接触する2つ以上のワイヤにより支持されて搬送される。欠点は、あるポイントにて、乾燥ワイヤからの接触から離脱するウェブの傾向があり、これにより、走行性の問題を起こす。問題のポイントは、具体的には、
・いわゆるオープニングニップ、即ちウェブとワイヤが乾燥シリンダから離れるポイントである。そのポイントまでは、ウェブは、ワイヤとシリンダの間で走行され、ワイヤがシリンダから離脱するとき、ウェブは、シリンダ表面に追従する傾向にあり、これにより、ウェブから離れる傾向となる。
また、問題のその他のポイントは、いわゆるクロージングニップがあり、そこでは、ウェブ及びワイヤはシリンダに接触するように至らされる。このポイントでは、ウェブは、ニップに形成される過剰圧力に起因してワイヤから離れる傾向にある。
オープニング及びクロージングニップは、乾燥シリンダ間に位置する回転ロールに関連して乾燥シリンダにて双方が存在する。
【0003】
乾燥シリンダの間のポケットスペースに負圧を生成するためにブロー又はサクションボックス及び回転サクションロールのような異なる種類の走行性要素を使用することは従来から知られている。負圧は、ワイヤとのウェブの接触を維持することを促進し、それにより、抄紙機の走行性を向上する。しかし、走行性要素により負圧を生成することは、通常、相当な量のエネルギを消費する。これに起因して、目的は、ポケットスペース内により多くの負圧領域であって、支配する負圧が互いに異なるように構成できる負圧領域を形成することである。しかし、これらの負圧領域の負圧を制御することは困難で複雑である。
【0004】
特許文献1は、紙の制御されたそり及び良好な走行性を狙った抄紙機のインピンジメントユニットを開示するが、エネルギを節約する解決策を開示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】フィンランド特許第110442号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術に関する問題点を低減し又は完全に無くすことである。
【0007】
本発明の目的は、特に2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに負圧を生成するときに、ポケットスペースの負圧の制御を促進し、可能ならば、同時に、抄紙機又はその類の乾燥セクションにおけるエネルギ消費を低減することである。
本発明の目的は、抄紙機又はその類の走行性を損なうことなく回転ロールとしてロールタイプのより自由な選択又は回転サクションロールにおいてより低い負圧の使用を可能とすることである。
【0008】
本発明の目的は、第1乾燥シリンダのオープニングニップ及び第2乾燥シリンダのクロージングニップに関連してワイヤとのウェブの接触を維持することを促進することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、吸引構造を好ましくは用いずに、回転ロールとして機能する補助手段を備えるより経済的なロール構造を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
とりわけ、上述の目的を実現するために、本発明による装置及び方法は、添付の独立請求項の特徴部分に提示されることにより特徴付けられる。
【0011】
この文章で言及される実施例は、該当する場合は、本発明による装置及び方法、走行性要素の双方に関連するが、これは常に別々に言及されない。
【0012】
板紙抄紙機又は仕上機のような、抄紙機又はその類における本発明による典型的な走行性要素は、
・互いに接触し、ボックス状の走行性要素の容積を境界付ける入口側、下部及び出口側と、
入口側の表面に関連して配設され、前記表面を第1部分と第2部分に分けるシール要素とを含み、これにより、前記走行性要素は、前記入口側の表面の第1部分から前記第2部分まで延びそれらを接続する流路を備える。
本発明による典型的な装置は、2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに関連した抄紙機又はその類の乾燥セクションにおける負圧を制御する装置であって、前記ポケットスペースを区画する構成要素として、
・第1乾燥シリンダと、
・マシン長手方向で前記第1乾燥シリンダの後に配置された第2乾燥シリンダと、
・前記第1及び第2乾燥シリンダよりも鉛直方向で下方で、且つ、マシン長手方向で前記第1及び第2乾燥シリンダの間に水平方向に配置されるように構成された回転ロールと、
・前記第1乾燥シリンダの周面から前記回転ロールの周面を介して前記第2乾燥シリンダの周面まで走行するように構成されたワイヤとを含み、
当該装置は、更に、ボックス状の走行性要素を含み、
該走行性要素は、
・抄紙機又はその類のクロス方向に長く、
ウェブ走行部の全幅に実質的に亘って延在するように構成され、
・少なくとも前記ポケットスペース内に主に配置され、
当該走行性要素は、
・入口側、下部及び出口側と、
・前記第1乾燥シリンダにて前記ワイヤに向けられるシール要素であって、前記走行性要素の入口側の表面を第1部分と第2部分に分けるシール要素とを含み、
前記走行性要素は、前記走行性要素の入口側の表面の第1部分から前記第2部分まで延びる少なくとも1つの流路であって、それらの部分間を空気が移動するのを可能とする流路を備える。
【0013】
抄紙機又はその類の乾燥セクションにおけるポケットスペースの負圧は、走行性要素の入口側に流路を配置し、当該流路により、シール要素により分離されるポケットスペースの負圧領域が接続されることにより、従来よりも非常に正確に制御できることが、驚くべきことに発見された。流路により、空気は、ポケットスペースの負圧領域間を、必要なときに、流れ、これにより、異なる負圧領域の負圧及びそれらの間の圧力差をより正確に調整することができる。同時に、回転ロールの動作は、非常に強化され、ウェブの制御は、低いエネルギ消費で改善される。これは、空気をガイドするのに適した本発明による流路は、走行性要素の前部、即ち、走行性要素とワイヤの間のギャップに関連し、シール要素に関連して、走行性要素の入口側に配置されるためである。
【0014】
本発明の一実施例によれば、流路(バイパス)は、第1及び第2負圧領域の間に、走行性要素内に配設され、当該流路に沿って、空気は、当該負圧領域間で移動することが可能とされ、また、当該流路により、例えば所望の態様で圧力差のバランスを取るように、流れを調整することによって負圧領域の負圧を制御することが可能である。バイパス流路は、それにより、当該負圧領域間における制御されたアクティブな漏出流路である。本発明のこの実施例によれば、本装置は、第2シール要素の上方に位置するポケットスペースの一部に第2負圧領域を含み、当該第2負圧領域は、第2シール要素に加えて、第1乾燥シリンダ及び走行性要素の入口側により境界付けられる。また、本装置は、更に、第2負圧領域において第1負圧領域より高い負圧を生成できるように第2負圧領域において負圧を生成する手段を含む。
【0015】
本発明による好ましい実施例によれば、2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに関連した抄紙機又はその類の乾燥セクションにおける負圧を制御する装置は、前記ポケットスペースを区画する構成要素として、
・第1乾燥シリンダと、
・マシン長手方向で前記第1乾燥シリンダの後に配置された第2乾燥シリンダと、
・前記第1及び第2乾燥シリンダよりも鉛直方向で下方で、且つ、マシン長手方向で前記第1及び第2乾燥シリンダの間に水平方向に配置されるように構成された回転ロールと、
・前記第1乾燥シリンダから前記回転ロールへと走行し、そこから更に前記第2乾燥シリンダへと走行するように構成されたワイヤであって、該ワイヤにより支持されるウェブと共にウェブ経路を形成し、該ウェブ経路では、前記ウェブは、該ワイヤと前記第1及び第2乾燥シリンダの間と前記回転サクションロールの外周上の該ワイヤの外面へと案内されることができる、ワイヤとを含み、
当該装置は、更に、ボックス状の走行性要素を含み、該走行性要素は、前記抄紙機のクロス方向に長く、前記ウェブ走行部の全幅に亘って実質的に延在し、前記ポケットスペース内に主に少なくとも配置され、
該走行性要素は、入口側と、下部と、出口側とを備え、
入口側では、前記走行性要素は、前記ポケットスペースから離れる方向に、前記ウェブ走行部の走行方向に実質的に抗して空気を噴くために、該走行性要素と前記第1乾燥シリンダの間のギャップに関連して入口側ブローノズルを備え、
当該装置は、更に、
・第1乾燥シリンダ、回転ロール、及び、それらを介して走行するワイヤ、走行性要素、第1乾燥シリンダでワイヤに向けられるシール要素により境界付けられる第1負圧領域と、
・第2シール要素の上方に位置するポケットスペースの一部に第2負圧領域であって、第2シール要素に加えて、第1乾燥シリンダ及び走行性要素の入口側により境界付けられる第2負圧領域と、
・第2負圧領域において第1負圧領域より高い負圧を生成できるように第2負圧領域において負圧を生成する手段とを含み、
これにより、少なくとも1つの流路は、第1及び第2負圧領域間で、走行性要素内に配置され、当該流路に沿って、空気は、負圧領域間で移動することが可能とされることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施例によれば、空気をガイドするのに適した流路は、従って、走行性要素とワイヤの間のギャップに関連して、走行性要素の前部、即ち入口側に、シール要素と関連して配置されることができる。この流路により、少なくとも2つの異なる負圧領域間での、空気の流れ及び圧力、即ち圧力差を調整し制御することが可能である。この流路は、好ましくは、抄紙機又はその類のクロス方向に長く、ウェブ走行部の全幅に亘って実質的に延在する。
【0017】
この出願では、より高い負圧とは、より低い絶対圧力を意味する。それぞれ、より低い負圧は、より高い絶対圧力を意味する。負圧は、標準の大気圧(1バール、即ち100kPa)よりも低い圧力を意味する。
【0018】
典型的な抄紙機では、走行性要素、乾燥シリンダ及び回転ロールは、抄紙機又はその類のクロス方向に長い。それ故に、これらにより画成されるポケットスペースは、マシンのクロス方向で同様に長い。
【0019】
走行性要素の入口側は、抄紙機又はその類の長手方向で第1乾燥シリンダ側にある走行性要素の部分又は表面、好ましくは半分を意味する。それぞれ、走行性要素の出口側は、抄紙機又はその類の長手方向で第2乾燥シリンダ側にあるボックス状の走行性要素の部分又は表面、好ましくは半分を意味する。走行性要素の下部は、回転ロールに最も近くに位置する走行性要素の部分又は表面を意味し、当該下部は、回転ロールに実質的に向かうように構成された下面を含む。
【0020】
走行性要素は、好ましくは、ブローボックス又はその類である。走行性要素は、典型的には、1つ以上のブローノズル若しくはブロースロットを含み、それらから放出される空気ブローは、それと並んで走行する移動するウェブを乾燥し及び/又は制御するために使用することができる。
【0021】
本発明による装置では、第2乾燥シリンダは、通常、マシン方向で、第1乾燥シリンダの後に配置され、第1及び第2乾燥シリンダの長手軸が、略平行になり、同一の水平レベルに配置されるようにする。抄紙機又はその類の典型的な乾燥セクションは、多数の、同一高さに配置されたかかる乾燥シリンダを含む。回転ロールは、ロールの長手軸が乾燥シリンダの長手軸と略平行であるように、2つの隣接する乾燥シリンダ間に配置されるが、ロールは、乾燥シリンダよりも鉛直方向で下方のレベルに位置する。回転ロールは、その表面が乾燥シリンダの表面に触れないように、乾燥シリンダ間に配置される。
【0022】
尚、ポケットスペースの両端部は、典型的には、例えば、ギャッププレートのような、先行技術によるエンドプレートにより、シールされる。エンドプレートは、マシーンの両側に、マシーン方向に従って鉛直面内に配置され、乾燥シリンダ、回転ロール、ワイヤ及びウェブ走行部は、それらの間のスペース内に境界付けられる。
【0023】
この出願では、ポケットスペースの出口側及び入口側は、次の意味を有する。ポケットスペースは、マシンの水平長手方向で、ポケットスペースの中間にて、ウェブ走行部の全幅を有する仮想的な鉛直平面により出口側及び入口側に分割できる。入口側、即ちデバイス第1乾燥シリンダと回転サクションロールの間、及び、出口側、即ち回転サクションロールと第2乾燥シリンダの間では、ポケットスペースは、ワイヤで境界付けられ、それ故に、走行中は、ワイヤにより形成されるウェブ経路及びウェブによっても境界付けられる。
【0024】
この出願において、第1負圧領域は、第1乾燥シリンダ、回転ロール、及び、それらを介して走行するワイヤ、走行性要素、及び、第1乾燥シリンダの位置でワイヤ及びワイヤにより支持されるウェブ走行部に向けられるシール要素により境界付けられるスペースである。
【0025】
本発明の一実施例によれば、回転ロール内部を支配する負圧により第1負圧領域に負圧を生成することができ、当該負圧は、ロールの全周に設けられる開口を介して第1負圧領域に作用するようにされることができる。回転ロールが、内部に空気を吸引しないロールである場合、負圧は、例えば、負圧流路に負圧領域を接続することによって、生成することができる。かかる負圧流路は、例えば、走行性要素内を走ることができ、そこから、接続は、第1負圧領域に、例えば走行性要素の下側表面に形成される開口に構成される。負圧は、ポケットスペース又はその近傍において維持されるその他の負圧領域への接続により負圧領域を接続することによって構成されることもできる。この出願では、第2負圧領域は、シール要素の上方に位置するポケットスペースの一部におけるスペースであり、当該第2負圧領域は、第2シール要素に加えて、第1乾燥シリンダ及び走行性要素の入口側により境界付けられる。負圧領域は、主に、ポケットスペースから離れる方向に、ウェブ経路に向けた空気のブローにより生成される。
【0026】
本発明の一実施例によれば、補助シール要素は、走行性要素の下部に、好ましくは下面に配設される。補助シール要素は、走行性要素と回転サクションロールの間のギャップに、当該ギャップをシールしそれにより回転サクションロールの動作を強化するために、配設される。補助シール要素は、回転サクションロールの表面との接触から離れる方向で、ロールの回転方向に、回転ロールの出口側表面に沿って移動する空気流れをガイドする。それは、走行性要素と回転ロールの間のスペース内への空気の入りに対する具体的な物理的障害としても機能する。従って、可能な限り少ない量の空気は、補助シール要素と回転サクションロールの間の第1負圧領域内に、即ち走行性要素と回転サクションロールの間の中に入る。上述したことに起因して、十分な負圧は、従前よりも非常に低い回転サクションロールの負圧により第1負圧領域に生成されることができる。
【0027】
本発明の一実施例によれば、補助シール要素は、シールストリップ又は多段シールストリップ、例えばラビリンスシールである。このようにして、先行技術で通常的に使用される出口側ブローは、完全にも削除でき、これにより、例えば製造される紙1トンあたりで、エネルギの相当な節約が達成される。本発明の好ましい実施例によれば、走行性要素の出口側は、ブローノズル又はブロースロットが実質的に不要であり、即ち、走行性要素の出口側では、アクティブブローを生成する要素ないし部品は存在しない。本発明の好ましい実施例によれば、補助シール要素は、走行性要素の下部の出口側部分にて、即ちポケットスペースを境界付ける出口側のウェブ走行部からの距離が、水平方向で、出口側と出口側ウェブ走行部との間の水平距離の1−50%であり、好ましくは1−25%であり、最も好ましくは1−20%であるポイントにて、構成される。補助シール要素は、従って、入口側ウェブ走行部よりもポケットスペースを境界付ける出口側ウェブ走行部により近くに配置されることができる。この実施例の利点は、回転サクションロールの上側表面の可能な限り大きな部分が、補助シール要素により境界付けられる第1負圧領域内に、即ちマシン長手方向に見て補助シール要素の入口側に留まることである。これにより、回転サクションロールの吸引は、第1負圧領域の負圧を生成するために可能な限り効率的に利用されることができる。本発明の1つの好ましい実施例では、補助シール要素は、走行性要素の下面に配設され、概して走行性要素の下面の中間に配置される。これは、補助シール要素と走行性要素の下面との接続ポイントから走行性要素の下面の入口側の第1エッジまでの距離が、出口側の第2エッジまでと概して同じであることを意味する。
【0028】
本発明の一実施例によれば、走行性要素の入口側に関連したシール要素及び/又は補助シール要素は、マシーンの横方向で各部分に分割される。シール要素及び/又は補助シール要素は、好ましくは、抄紙機又はその類のクロス方向に長く、ウェブ走行部の全幅に亘って実質的に延在する。シール要素及び/又は補助シール要素は、幾つかの部品の組み立てであることができる。これにより、輸送中の長い筋かいを回避することができるので、その搭載、輸送及び貯蔵は、容易である。
【0029】
本発明の一実施例によれば、バルブ、絞り弁、若しくは前記流路内の空気流に影響する他の装置又は手段が流路に配設される。また、空気流及び/又は圧力を調整する装置は、流路に配設されることができる。従って、ポケットスペースの第1負圧領域と第2負圧領域の間の圧力差を調整するために、バルブ又は絞り弁を使用することが可能であり、バルブ又は絞り弁は、好ましくは抄紙機の他の制御手段と共に、又は抄紙機の側から、被駆動側(tending side)又は駆動側から制御されることができる。調整は、圧力及び/又は流れの調整に基づくことができる。
【0030】
走行中、目的は、第1負圧領域において、典型的には、50−700Paの間、より好ましくは100−500Pa、最も好ましくは150−300Pa、標準の大気圧レベル(約1バール、即ち105Pa)よりも低い負圧を維持することである。走行中、目的は、第2負圧領域において、典型的には、800−5000Paの間、より好ましくは1000−3000Pa、最も好ましくは1500−2500Paであって、標準の大気圧レベルよりも低い負圧を維持することである。
【0031】
本発明の一実施例によれば、流路は、マシーンの横方向で互いに隣接する少なくとも2つの流路に分割されることができる。負圧領域に接続する流路は、次いで、マシーン方向で各部分に分割され、各部分は、マシーンのクロス方向で互いに隣接する。走行性要素は、マシーン方向で各部分へと対応する態様で分割されることができ、これにより、走行性要素は、少なくとも1つ、好ましくは幾つかの仕切り壁をマシーン方向に備えることができる。このようにして、ポケットスペースは、個別に制御されることができる幾つかの隣接する負圧セクションへと分割することができる。これは、各走行状況に適すような負圧条件の最適化を可能とする。隣接する負圧セクションの第1及び第2負圧領域は、例えば、第1負圧領域では、最も外側のセクションで、第1負圧が支配し、当該第1負圧が、最も外側のセクション間の位置する中間負圧セクションの第1負圧領域における負圧よりも高いか低い、実質的に異なる負圧になるように、最適化することができる。対応する態様で、最も外側の負圧セクション及び中間負圧セクションの第2負圧領域における負圧が互いに異なることができる。
【0032】
幾つかの隣接する負圧セクションが使用される場合、互いに第1及び第2負圧領域に接続する流路におけるバルブ、絞り弁、回転プレート若しくは他の調整手段を、互いに独立して別々に回転し又は調整することが可能であり、従って、シール要素により分離された第1負圧領域における負圧は、クロスマシン方向の異なる位置にて第2負圧領域とは異なるように調整されることができる。
【0033】
本発明の一実施例によれば、当該装置は、負圧領域間の流路内の分割されたテール通紙領域を含み、当該領域の動作は、テール通紙中及びテール通紙後に正確な態様で制御される。従って、ウェブ走行部のテール通紙用のバランスのために、別のテール通紙領域を流路内に配置することができる。テール通紙中、流路の空気流及び/又は圧力は、テール通紙中は第1の値に制御され、テール通紙後、即ち広いウェブ走行部での通常の稼動状況では、第2の値に制御される。テール通紙領域は、ウェブ走行部の中央領域、駆動側又は被駆動側において、ウェブ走行部に対して配置されることができる。
【0034】
テール通紙中、目的は、テール通紙領域の第1負圧領域において、標準大気圧レベルよりも0−500Pa低い負圧を、第2負圧領域において、標準大気圧レベルよりも500−3000Pa低い負圧を維持することである。即ち、第1負圧領域での負圧は、約99.5−101kPaであり、第2負圧領域での負圧は、約97−99.5kPaである。
【0035】
本発明の一実施例は、1つ又は幾つかのテール通紙手段を含み、当該テール通紙手段は、例えば、テールエンドを形成し、搬送し、受け、ガイドし、更に搬送するために必要とされる異なる種類の装置であることができる。これらの装置は、異なる種類の水カッター、ドローを傾斜させる手段、ダンパー及び測定装置の異なる種類の装置であることもできる。テール通紙手段は、非駆動側又は駆動側のいずれかで、ウェブ走行部のエッジ領域に配置されることができる。また、それらは、ウェブ走行部の中央領域、例えば中心ラインにあることができる。テール通紙セクターに対して、特に好ましくは、ブローやサクションのためのような、異なる特性の可能性のためのシール要素及び/又は補助シール要素が設けられる。適切な表面粗さ、コーティングは、テール通紙領域又はテール通紙セクターにおける回転ロールのジャケット上に組み込まれることもでき、これは、別のテール通紙領域としても考えられるジャケットの延長部として結合されることができる。
【0036】
本発明の一実施例によれば、シール要素の上述の位置は、より正確に言及すると、実質的に第1乾燥シリンダのオープニングニップに関連している。
【0037】
本発明の好ましい実施例によれば、シール要素は、多段シールである。シール要素及び/又は補助シール要素は、ラビリンスシールであることができる。それは、例えばテフロン(登録商標)ストリップで形成することができる。シール要素又は補助シール要素の材料は、例えば、テフロン(登録商標)、プラスティック、ゴム、複合材料若しくはスチールやアルミニウムのような金属であることができる。材料に対する要件は、空気の自由な流れを防止できるような十分な剛性である。更に、それは、小さい片が分離された場合に、パルプ化の際に問題を起こさないようにするために、容易に再パルプ化可能であり若しくは完全に再パルプ化不能である。
【0038】
溝付き及び孔付きサクションロール(vac- roll)、溝付き及び孔付きロール、溝付きロール、穿孔ロール若しくは平滑ロールは、本発明による装置の回転ロールとして機能することができる。本発明の一実施例によれば、本装置は、それ故に、回転ロール内部に負圧を生成する手段を含み、したがって、回転サクションロールの近傍に位置する第1負圧領域よりも高い負圧を、回転ロール内に生成でき、これにより、第1負圧領域から回転ロール内への空気流れを生成する。本実施例では、その際、ロールは、穿孔され、可能な場合は、溝も付けられる。ロールの内部への回転ロールの周囲上の吸引する流れは、第1圧力領域の方向でアクティブであり、ワイヤ及びワイヤ走行部がロールの表面から離れる瞬間(出口ポイント)にて開始し、ワイヤ及びワイヤ走行部がロールの表面に出会う瞬間(入口ポイント)にて終わる。
【0039】
知られた解決策では、回転サクションロール内の負圧は、約2000−2500Paである。本発明による装置に起因して、例えばファンにより対処される、負圧を生成するために必要な空気の量は、大幅に低減することができ、これは、例えば、ウェブ幅の1メートル当たり単位時間当たり800−1000立方メートルのレベルからウェブ幅の1メートル当たり単位時間当たり400立方メートルのレベルまで、相当なエネルギ節約に影響を有する。
【0040】
回転ロールが回転サクションロールである場合、その負圧は、回転サクションロールの上部のポケットスペース、特に第1負圧領域から空気を引く。回転サクションロールは、好ましくは、先行技術によるロールであり、そのジャケットは、孔を備え、そのジャケット表面は、溝を設けることもできる。溝は、好ましくは、開口を介して走行するように構成され、これにより、サクション効果が外周の領域上の溝内に、長い距離と領域に亘って、広がり、これにより、紙とロールの間の密着を強化し、比較的制限された領域である開口の領域だけに留まらないという、利点が達成される。溝及び開口は、ウェブ走行部の全幅に関して配設され、これにより、溝及び開口は、全体のウェブ走行部の幅を実質的にカバーする。
【0041】
本発明の一実施例では、負圧を生成する手段との接続を有さない回転ロールは、回転ロールとして使用することができる。回転サクションロールが回転ロールとして使用されない場合、ロールは、より自由に選択することができ、これにより、例えば溝付きロール、穿孔ロール、溝及び孔付きロール若しくは平滑なロールを使用することができる。ロールが回転サクションロールである場合、それは、好ましくは溝付き且つ穿孔される。使用されるロールがサクションロールで無い場合、相当なコスト節約が達成される。サクション接続部を備える穿孔ロールジャケットは、非常に大きいコストアイテムを形成する。これは、特に、同一の構造が乾燥セクションで繰り返され、幾つかの対応するロールが必要とされるためである。
【0042】
本発明の一実施例によれば、入口側では、入口側ブローノズルは、前記ポケットスペースから離れる方向に、前記ウェブ走行部の走行方向に実質的に抗して空気を噴くために、該走行性要素と前記第1乾燥シリンダの間のギャップに関連して配置される。本発明の一実施例によれば、第2負圧領域に負圧を生成する手段として入口側ノズルが言及され、そこでは、コアンダ効果は、それ自体知られた態様で利用される。
【0043】
本発明の一実施例では、先行技術によれば、乾燥シリンダと回転ロールの間のポケットスペースの負圧は、走行性要素の入口側ブローノズルに加えて、出口側ブローノズルによりガイドされ、これにより、空気は、ポケットスペースから空気が吐き出され、及び/又は、走行性要素の出口と第2乾燥シリンダの間のギャップを介したポケットスペースへの空気の入りが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】2つの乾燥シリンダと1つの回転サクションロールの間のポケットスペースを示す図。
【図2】抄紙機の回転ロールと乾燥シリンダに関連した先行技術の構成を示す図。
【図3】1つの回転ロールと2つの乾燥シリンダに関連した本発明による構成を示す図。
【図4】本発明の第2実施例による構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、添付の概略図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【0046】
図1は、抄紙機の乾燥セクションにおける2つのシリンダ1,2と1つの回転ロール3の間に本発明の構成の部分を形成するポケットスペース9を概略図で示す。ポケットスペース9は、第1乾燥シリンダ1、第2乾燥シリンダ2、回転ロール3及びワイヤ5a,5bにより境界付けられる。より詳細には、ポケットスペース9は、その入口側9aでは、第1乾燥シリンダ1と回転ロール3の間のワイヤ5aにより、ポケットスペースの出口側9bでは、回転ロール3と第2乾燥シリンダ2の間のワイヤ5bにより境界付けられる。水平方向x及び抄紙機の長手方向Lでの回転ロールの位置は、乾燥シリンダ1,2間であるが、鉛直方向yでは、当該シリンダ1,2よりも低い。シリンダ1,2及びロール3の回転方向は、矢印Rにより指示される。理解されるべきこととして、上述の構造は、抄紙機又は板紙抄紙機の乾燥セクションにおいてその実質的な部分が繰り返されることによって繰り返される。個別の例外及び特注のマイナーな構造は、例えばテール通紙手段により生成でき、テール通紙手段は、例えば、テールエンドを形成し、搬送し、受け、ガイドし、更に搬送するために必要とされる異なる種類の手段である。これらの手段は、異なる種類の水カッター、ドローを傾斜させる手段、ダンパー及び測定装置の異なる種類の装置であることもできる。
【0047】
本図及び他の図では、ウェブ走行部は、2つの乾燥シリンダとワイヤの間をそれぞれ走行し、回転ロール上でワイヤの外側を走行する。
【0048】
図1は、また、次を示す。
・第1乾燥コーティング1のオープニングニップ7a、即ちワイヤ5aが、第1乾燥シリンダ1の外周から離れ回転ロール3に向かうポイント、
・回転ロールのクロージングニップ8a、即ちワイヤ5aが、第1乾燥シリンダ1の後、回転ロール3との接触に至るポイント、
・回転ロール3のオープニングニップ8b、即ちワイヤ5bが、回転ロール3の外周から離れ第2乾燥シリンダ2に向かうポイント、
・第2乾燥シリンダ2のクロージングニップ7b、即ちワイヤ5bが、回転ロール3の後、第2乾燥シリンダ2との接触に至るポイント。
【0049】
図2は、抄紙機の乾燥シリンダ1,2と回転ロール3の間のポケットスペース9に関連した先行技術の構成であって、この例ではブローボックスであるボックス状の走行性要素10を備える構成を示す。ブローボックスは、ポケットスペース9内の負圧領域を生成するために2つのブローノズル11、12を備える。走行性要素10の入口側10aに関して、入口側ブローノズル11が存在し、入口側ブローノズル11は、ポケットスペース9の入口側で、走行性要素10と第1乾燥シリンダ1の間のギャップに関連して、矢印13に従ってポケットスペース9から離れるウェブ走行部9の走行方向に抗して、空気を噴き、また、走行性要素の入口側10aと第1乾燥シリンダ1の間のギャップを介してポケットスペース9内にウェブ走行部6により連行される空気が入るのを防止する。更に、ポケットスペース9の負圧は、出口側ブローノズル12により制御され、出口側ブローノズル12は、ポケットスペース9の出口側9bで、矢印14に従いウェブ走行部6の走行方向に空気を噴き、これにより、ポケットスペース9から空気を排出し、走行性要素の出口側10bと第2シリンダ2の間のギャップを介してポケットスペース内に空気が入るのを防止する。ブローボックス10に加えて、ポケットスペース9の負圧は、回転ロール3により生成される。回転ロール3のサクションは、矢印15により示され、サクションの一部のみが図示される。
【0050】
図3は、抄紙機の回転ロール3と2つの乾燥シリンダ1,2に関連した本発明の第1実施例による構成を示す。ブローボックスの入口側10aでは、ラビリンスシール20は、回転ロール3の前に位置する第1乾燥シリンダ1とブローボックスの間のオープニングニップ7aに関連して配置される。第1負圧領域91は、ポケットスペース内に生成され、当該第1負圧領域は、ラビリンスシール20、入口側乾燥シリンダ1と回転ロール3の間のウェブドロー6a、回転ロールの上面、ブローボックスの下部10c及び入口側10aにより境界付けられる。第2負圧領域92は、負圧が通常第1負圧領域91よりも高いが、ブローボックスの入口側10aでのブローノズル11からの空気ジェット13に起因してラビリンスシール20の上方に位置するポケットスペースの部分に形成される。ブローノズル11の空気ジェット13は、走行性要素の入口側に向けられ、そこで、好ましくは、開口の列又は細いスリットにより外側に向けられる。流れは、ウェブ走行部の進む方向に抗して湾曲表面の方向に上側に上昇する造形された延長部に追従する。第2負圧領域92は、下部がラビリンスシール20により境界付けられ、側方では、第1シリンダ1及びブローボックスの入口側10a及びポケットスペースの端部のギャッププレートにより境界付けられる。ポケットスペースの外側の空間は、参照符号29により指示される。ラビリンスシールは、多段のシールとしても実現されることができる。
【0051】
図3の構成の第1負圧領域91は、粗い傾斜したハッチングで、第2負圧領域92は、細かい傾斜したハッチングで示される。本例ではブローボックスである走行性要素10は、第1負圧領域91と第2負圧領域92の間に配置されたバイパス流路22を備え、バイパス流路22により、負圧領域91,92の間の圧力又は圧力差は、制御され、例えばバランスを取ることができる。
【0052】
図4は、抄紙機の回転ロール3と2つの乾燥シリンダ1,2に関連した本発明の実施例による構成を示す。ブローボックスの入口側10aでは、ラビリンスシール20は、回転ロール3の前に位置する第1乾燥シリンダ1とブローボックスの間のオープニングニップ7aに関連して配置される。第1負圧領域91は、ポケットスペース内に生成され、当該第1負圧領域は、ラビリンスシール20、入口側乾燥シリンダ1と回転ロール3の間の自由なウェブドロー6a、回転ロールの上面、ブローボックスの下部10c及び入口側10a及び補助シール要素19により境界付けられる。第2負圧領域92は、負圧が通常第1負圧領域91よりも高いが、ブローボックスの入口側10aでのブローノズル11からの空気ジェット13に起因してラビリンスシール20の上方に位置するポケットスペースの部分に形成される。第2圧力領域92は、下部がラビリンスシール20により境界付けられ、側方では、第1シリンダ1及びブローボックスの入口側10a及びポケットスペースの端部のギャッププレートにより境界付けられる。ポケットスペースの外側の空間は、参照符号29により指示される。ラビリンスシールは、多段のシールとしても実現されることができる。この実施例では、第1負圧領域91は、回転ロールに対して第1負圧領域をシールする役割の補助シール要素19により境界付けられる。補助シール要素は、例えばシールストリップであることができる。
【0053】
図4の構成の第1負圧領域91は、粗い傾斜したハッチングで、第2負圧領域92は、細かい傾斜したハッチングで示される。本例ではブローボックスである走行性要素10は、第1負圧領域91と第2負圧領域92の間に配置されたバイパス流路22を備え、バイパス流路22により、負圧領域91,92の間の圧力又は圧力差は、制御され、例えばバランスを取ることができる。
【0054】
本発明は、上述の例として示された実施例に限定されず、添付の請求項に定義される保護範囲内に広範囲にわたると解釈される目的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙抄紙機又は仕上機のような、抄紙機又はその類の走行性要素であって、
・互いに接触し、ボックス状の走行性要素の容積を境界付ける入口側、下部及び出口側と、
・入口側の表面に関連して配設され、前記表面を第1部分と第2部分に分けるシール要素とを含み、
前記走行性要素は、前記入口側の表面の第1部分から前記第2部分まで延びそれらを接続する流路を備えることを特徴とする、走行性要素。
【請求項2】
前記流路は、バルブ、絞り弁、若しくは前記流路内の空気流に影響する他の装置又は手段を備える、請求項1に記載の走行性要素。
【請求項3】
前記走行性要素の下部は、補助シール要素を備える、請求項1又は2に記載の走行性要素。
【請求項4】
2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに関連した抄紙機又はその類の乾燥セクションにおける負圧を制御する装置であって、前記ポケットスペースを区画する構成要素として、
・第1乾燥シリンダと、
・マシン長手方向で前記第1乾燥シリンダの後に配置された第2乾燥シリンダと、
・前記第1及び第2乾燥シリンダよりも鉛直方向で下方で、且つ、マシン長手方向で前記第1及び第2乾燥シリンダの間に水平方向に配置されるように構成された回転ロールと、
前記第1乾燥シリンダの周面から前記回転ロールの周面を介して前記第2乾燥シリンダの周面まで走行するように構成されたワイヤとを含み、
当該装置は、更に、ボックス状の走行性要素を含み、
該走行性要素は、
・抄紙機又はその類のクロス方向に長く、
ウェブ走行部の全幅に実質的に亘って延在するように構成され、
・少なくとも前記ポケットスペース内に主に配置され、
当該走行性要素は、
・入口側、下部及び出口側と、
・前記第1乾燥シリンダにて前記ワイヤに向けられるシール要素であって、前記走行性要素の入口側の表面を第1部分と第2部分に分けるシール要素とを含み、
前記走行性要素は、前記走行性要素の入口側の表面の第1部分から前記第2部分まで延びる少なくとも1つの流路であって、それらの部分間を空気が移動するのを可能とする流路を備えることを特徴とする、装置。
【請求項5】
入口側では、前記走行性要素は、前記ポケットスペースから離れる方向に、前記ウェブ走行部の走行方向に実質的に抗して空気を噴くために、該走行性要素と前記第1乾燥シリンダの間のギャップに関連して入口側ブローノズルを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流路は、前記抄紙機又はその類のクロス方向に長く、前記ウェブ走行部の略全幅に亘って延在する、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記流路は、少なくとも2つの異なる縦方向の流路であって、マシンの横方向で互いに隣り合う流路へと分割されることができる、請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ウェブ走行部のテール通紙のための部位のために、別々のテール通紙領域は、前記流路内に配置されることができる、請求項4〜7のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記テール通紙領域は、前記ウェブ走行部に関して、非駆動側、駆動側又は前記ウェブ走行部の中央領域において配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
バルブ、絞り弁、若しくは前記流路内の空気流に影響する他の装置は、前記流路に接続される、請求項4〜9のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記流路は、空気流及び/又は圧力を調整する装置を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記シール要素は、多段シールである、請求項4〜11のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
当該装置は、前記回転ロールの内側に負圧を生成する手段を含み、前記回転ロールの表面の近傍に位置する第1負圧領域よりも高い負圧を前記回転ロール内で生成でき、これにより、前記第1負圧領域から前記回転ロール内へ空気流れを提供する、請求項4〜12のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
2つの乾燥シリンダと1つの回転ロールの間のポケットスペースに関連した抄紙機又はその類の乾燥セクションにおけるエネルギを節約する方法であって、
・ワイヤは、前記第1乾燥シリンダ、回転サクションロール及び前記第2乾燥シリンダにより支持されて移動され、前記第1及び第2乾燥シリンダ、回転ロール及びワイヤは、ポケットスペースを画成し、前記ワイヤは、該ワイヤに支持されるウェブと共に、ウェブ走行部を形成し、該ウェブ走行部では、前記ウェブは、前記ワイヤと前記第1及び第2乾燥シリンダの間と前記回転ロールの外周上の該ワイヤの外面へと案内されることができ、
・前記ポケットスペースは、その外部のスペースとの間がボックス状の走行性要素によりシールされ、
該走行性要素は、前記抄紙機のクロス方向に長く、前記ウェブ走行部の全幅に亘って実質的に延在し、前記ポケットスペース内に主に少なくとも配置され、入口側と、下部と、出口側とを備え、
入口側では、前記走行性要素は、該走行性要素と前記第1乾燥シリンダの間のギャップに関連して入口側ブローノズルを備え、該ブローノズルにより、ブローノズル空気は、前記ポケットスペースから離れる方向に、前記ウェブ走行部の走行方向に実質的に抗して噴かれ、
・負圧は、前記第1乾燥シリンダと、前記回転ロールと、前記第2乾燥シリンダと、それらを介して走行するワイヤと、前記走行性要素と、前記第1乾燥シリンダにて前記ワイヤに向けられる前記シール要素とにより境界付けられる第1負圧領域で生成され、
・負圧は、前記シール要素の上方に位置するポケットスペースの一部の第2負圧領域に生成され、該第2負圧領域は、前記シール要素に加えて、前記第1乾燥シリンダ及び前記走行性要素の入口側により境界付けられ、
前記第1及び第2負圧領域間の圧力差は、前記走行性要素に配置される流路により制御されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記第1及び第2負圧領域間の圧力差は、テール通紙領域において、テール通紙中は第1の値に制御され、テール通紙後に第2の値に制御される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508111(P2011−508111A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540151(P2010−540151)
【出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【国際出願番号】PCT/FI2008/000149
【国際公開番号】WO2009/083637
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】