説明

抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法

【課題】
抄紙用未延伸PPS繊維の製造において、熱収縮率が小さく、かつ水分繊性が良好である抄紙用PPS繊維を製造する事を目的とする。
【解決手段】
紡糸速度500〜3000m/分での溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド未延伸繊維を、温度70℃以上の温水浴中を延伸することなく通過させて0.5〜10秒間の熱処理をした後、温度70〜90℃の乾熱域を弛緩状態で通過させて5〜60分間の弛緩熱処理をすることにより、さらに所定長に切断して短繊維とすることにより抄紙用ポリフェニレンサルファイド未延伸短繊維を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性・耐薬品性を有する抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略す)からなる繊維は、PPS素材の特性に由来し、耐熱性・耐薬品性・難燃性などに優れており、従来からこの特性を生かした種々の用途、例えば、各種フィルター、電気絶縁材、抄紙カンバス、電池セパレーターなどの用途に使用されてきている。これら用途で使用されるPPS繊維製品としては、例えば、PPS繊維製の湿式不織布が挙げられる。
【0003】
この湿式不織布は、主として、延伸されたPPS短繊維と、延伸熱圧着のためのバインダー繊維としての未延伸PPS繊維(非晶質PPS繊維)とから構成されている。
【0004】
PPS湿式不織布に関する改良としては、例えば、次のようなものがある。
【0005】
特開2007−39840号公報(特許文献1)には、良好なPPS湿式不織布を得るため、ポリフェニレンスルホン延伸繊維と、ドロー延伸により細繊度化した未延伸PPS繊維とを用いることが提案されている。しかし、この方法で用いているドロー延伸された未延伸繊維は、高温での熱収縮率が大きく寸法安定性に劣るため、抄紙工程で収縮し、湿式不織布にシワやふくれや乾燥ムラが発生してしまい、良好な湿式不織布が得られ難いという問題がある。
【0006】
また、特開2004−285536号公報(特許文献2)には、良好なPPS湿式不織布を得るため、延伸PPS繊維を130〜160℃で弛緩熱処理を施すことにより低収縮化することが提案されている。この方法でバインダー繊維としては引取速度800m/分で紡糸された通常の未延伸PPS繊維(乾熱収縮率40%)が用いられている。PPS延伸繊維とPPS未延伸繊維との収縮率を比較した場合、PPS未延伸繊維の収縮率の方が極めて大きいので、PPS延伸繊維を低収縮化だけでは、抄紙工程での収縮ムラに由来するシワやふくれや乾燥ムラを十分に解消することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−39840号公報
【特許文献2】特開2004−285536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した従来技術における課題を解決し、抄紙用未延伸PPS繊維の製造において、熱収縮率が小さく、かつ水分繊性が良好である抄紙用PPS繊維を製造する事を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法は、溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド未延伸繊維を、温度70℃以上の水浴中を延伸することなく通過させて0.5〜10秒間の熱処理をした後、温度70〜90℃の乾熱域を弛緩状態で通過させて5〜60分間の弛緩熱処理をすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明法によると、熱収縮率が小さく水分繊性も良好で、抄紙用として好適な未延伸PPS繊維を製造する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の抄紙用PPS繊維の製造方法は、溶融紡糸により製造されたPPS未延伸繊維を、温度70℃以上の温水浴中を延伸することなく通過させて0.5秒以上の熱処理をした後、温度70〜90℃の乾熱域を弛緩状態で通過させて5〜60分間の弛緩熱処理をすることを特徴とするものである。
【0012】
ここでPPSは、繰り返しの単位として、p−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位などの、フェニレンサルファイド単位を含有するポリマーである。PPSはこれらのいずれかの単位のホモポリマーでもよいし、両方の単位を有する共重合体でもよい。また他の芳香族サルファイドとの共重合体であってもよい。
【0013】
また、溶融紡糸に供されるPPSは、メルトフローレート値が50〜250であることが好ましく、さらに好ましくは70〜170であるのが良い。メルトフローレート値が、50未満であると、溶融紡糸時にPPS溶融樹脂粘度が高くなり、紡糸設備を特殊な高耐圧仕様にしなければならず、製造設備用の高騰を招く事になる。即ち、メルトフローレート値を50以上とすることにより、溶融紡糸時の溶液粘度を抑え、特殊な高耐圧仕様の紡糸設備を必要とせずに済む。また、メルトフローレート値が250を越えると、溶融紡糸時にPPSの溶融粘度が低くなり、紡出時に糸切れが多発し、紡糸工程が著しく悪くなり易い。また、メルトフローレート値を250以下とすることはPPS繊維としての良好な力学的特性を得るために有効である。
【0014】
本発明法では、まず、PPSを通常の紡糸速度で溶融紡糸し、PPS未延伸繊維とする。この溶融紡糸は、PPSの粉粒体やペレットをエクストルーダー型溶融紡糸機等の通常の溶融紡糸機中で溶融し口金を通じて溶融紡出し冷却固化させ、500〜3000m/分で引き取ることにより行えばよい。未延伸繊維は、紡糸後に実質的な延伸が行われていない繊維であり、非晶質PPS繊維とも称される。紡糸速度が高過ぎる場合には、紡糸工程においてポリマの配向延伸が促進されるので、紡糸速度は3000m/分以下とすることが好ましい。また、紡糸速度が低過ぎると、ポリマーの配向が進みにくく、紡糸時に単糸同士が接触して紡糸融着を起こす可能性が高いので、紡糸することが難しい。
【0015】
このようにして得られた未延伸PPS繊維は、引き取られて一旦缶内に収納された後に、温度70℃以上の温水浴中を延伸することなく通過させて熱処理を施す。温水浴中の通過時間は0.5秒以上、好ましくは0.5〜10秒間とする。次いで、温度70〜90℃の乾熱域を弛緩状態で通過させて弛緩熱処理する。乾熱域を通過させる時間は5〜60分間とする。このように熱処理することにより、抄紙用バインダー繊維として好適なPPS繊維とすることが出来る。
【0016】
温度70℃以上の温水浴としては、水もしくは少量の添加剤を含む水溶液を70℃以上の所定温度に加熱させた温水の浴を用いればよい。この温水浴の温度範囲は70℃以上、好ましくは80〜90℃である。70℃未満であると、熱処理後の未延伸繊維の収縮率を低減させることが困難であり、抄紙工程で湿式不織布にシワやふくれ、乾燥ムラなどが発生し易い。一方、90℃を越えると、PPS繊維のガラス転移点を越えるため、繊維同士の融着を起こり易く、抄紙工程での繊維分散性が悪化し易い。
【0017】
温水浴中を延伸することなく通過させるためには、糸条走行速度の制御を、温水浴前、温水浴後のどちらか一方のみとすればよい。例えば、温水浴前でのローラーでは糸条走行速度制御せず、温水浴後でのローラーで糸条走行速度を所定値に制御する方法を採用すればよい。
【0018】
温度70〜90℃の乾熱域としては、トンネル型のコンベア移動式高温乾燥器を使用すればよい。この乾熱域の温度は70〜90℃、好ましくは80〜90℃である。70℃未満であると、熱処理後の未延伸繊維の収縮率を低減させることが困難であり、抄紙工程で湿式不織布にシワやふくれ、乾燥ムラなどが発生し易い。一方、90℃を越えると、PPS繊維のガラス転移点を超えるため、繊維同士の融着が起こり、抄紙工程での繊維分散性が悪く、未分繊状態で偏在し易くなる。
【0019】
乾熱域での弛緩熱処理の温度範囲は、PPS繊維のガラス転移点(約90℃)よりも若干低い温度範囲、即ち、70〜90℃、特に80〜90℃の温度範囲とする事が重要である。この温度範囲で弛緩熱処理する事により、未延伸PPS繊維を結晶化させずに、予め適度に熱収縮させる事が出来る。
【0020】
このように温水浴での熱処理と乾熱域での弛緩熱処理とを行って得られるPPS未延伸繊維は、結晶化が進んでないため、温度を上げた時に軟化し易く、例えば、抄紙の乾燥工程で軟化し、湿式不織布を構成する繊維間同士を融着させる、従来通りのバインダー繊維としての機能を発揮する事が出来る。
【0021】
また予め適度に熱収縮させて乾熱収縮率を低くしているため、抄紙の乾燥工程での収縮が抑制出来、シワ、膨れなどを小さくする事が出来る。
【0022】
また、地合いの良い紙を得るためには、抄紙時にPPS短繊維を水中に均一に分散させる必要があるが、本発明法によるPPS未延伸短繊維は、乾熱収縮率を低くするための熱処理を施しているが、熱処理時に繊維間の融着が進まないような条件を採用している。その結果、本発明法によるPPS短繊維は水分散性も良好であり、特に湿式抄紙に適しているのである。
【0023】
温水浴での熱処理時間や乾熱域での熱処理時間については、熱処理装置の能力及び、繊維への熱伝導効率によって最適値を決定すればよい。結晶化抑制効果を十分に発現させるためには、温度が高いほど時間を短くした方が好ましい。しかし、短時間過ぎると低収縮化の効果が発現せず、長過ぎると繊維間の融着が生じ易くなり、抄紙作成時に短繊維の分散性不良を起こし易くなる。この点から、温水浴での処理時間は0.5〜10秒、好ましくは1〜3秒とする。また、乾熱域での弛緩熱処理時間は5〜60分、好ましくは20〜50分とする。
【0024】
上記の様にして熱処理して得られるPPS未延伸繊維は、単糸繊度が0.5〜4dtexであり、DSC測定による結晶化熱量が10J/g以上であり、かつ、150℃×30分の乾熱収縮率が35%以下であることが好ましい。これら特性を具備することにより、抄紙用のバインダーPPS繊維として特に好適なものとなる。
【0025】
単糸繊度は0.5〜4dtex、好ましくは1〜3dtexであるのが良い。繊度が0.5dtex未満であると、紡糸時に糸切れが多発し、紡糸性が著しく悪くなる。又、4dtexを越えると、抄紙作成時に抄紙の厚みが大きくなり、薄物が必要な抄紙用途には適さない。
【0026】
結晶化熱量は、10J/g以上、更には15J/g以上、更に好ましくは20J/g以上がよい。結晶化熱量が10J/g未満では、未結晶部分が少なすぎて乾燥工程等での軟化が不十分となり、抄紙のバインダー繊維としての融着機能が十分ではない。
【0027】
乾熱収縮率は35%以下が良く、更には20%以下、更に好ましくは15%以下がよい。乾熱収縮率が35%よりも大きい場合は、乾燥工程などで温度が上がった時の収縮が大きくなりすぎて、シワ・膨れが発生し、良好な湿式不織布を得ることが困難である。乾熱収縮率は小さければ小さいほど良いので、0〜35%であることが良い。
【0028】
また、短繊維の繊維長としては、1〜15mmが好ましい。より好ましくは1〜7mmである。1mm以上とする事で、繊維同士の絡合力が増し、湿式不織布の強度を高くする事が出来る。また15mm以下とする事で、繊維同士が絡合して塊状のダマになることを回避し、目付ムラ等が生じることを防ぐ事が出来る。
【0029】
以上の様に、本発明法によると、未延伸PPS繊維において、熱収縮率が小さく、かつ水分繊性が良好な抄紙用PPS未延伸繊維を製造する事が出来る。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を用いて本発明法を詳細に説明する。尚、本発明で用いる各特性値は以下の方法で求める。
【0031】
[メルトフローレート値]
JIS K7210(1999年改正)に準じて、温度315.5℃、荷重5000gにてメルトフローレート値を測定する。
【0032】
[結晶化熱量]
PPS繊維試料を約2mg精秤し、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−60)で窒素下、昇温速度10℃/分で昇温し、観察される主発熱ピークの発熱量を測定する事により結晶化熱量を求める。
【0033】
[乾熱収縮率]
JIS L 1015−7.15に拠って測定した。試料の短繊維を滑沢紙に貼り付け、1デニールあたり300mgに相当する初荷重をかけて長さ(原長、Amm)を測定した後、乾熱150℃で30分間の熱処理を行ない、その後の長さ(処理長、Bmm)を測り、次式で乾熱収縮率を求める。
【0034】
乾熱収縮率(%)=[((A)−(B))/(A)]×100
[水分散性]
約1リットルの水に約1gのPPS短繊維試料(繊維長6mm)を投入した後、ミキサー(オスター製オスターブレンダーOB−1)に投入し、13600rpmで撹拌する。15秒間の撹拌後における繊維の分散状態を目視で確認し、次の基準で判定する。
良好: 15秒間撹拌した後、繊維束はほぼ無くなっていた。
不良: 15秒間撹拌した後、繊維束が残った状態であった。
【0035】
(実施例1〜3)
メルトフローレート値が165の粉粒体状のポリフェニレンサルファイドを通常の方法で溶融し、紡糸速度1100m/分で紡糸し、引き取った。この未延伸糸を、延伸することなく所定温度の温水浴中を通過させて(温水浴の通過時間1秒間)熱処理し、更に、所定温度の乾熱域中を弛緩状態で通過させて(乾熱域の通過時間30分間)弛緩熱処理し、単糸繊度が3.0dtexの未延伸PPS繊維(トウ繊度59.0ktex)を製造した。温水浴中を通過させる際に延伸を生じさせないために、温水浴前での糸条走行速度を制御せず、温水浴後のローラーでの糸条走行を60m/分に制御した。また、乾熱域を通過する際の糸条を弛緩状態とするために、乾熱域の中を移動するコンベア上に弛緩状態の糸条を載せて通過させた。
【0036】
得られた未延伸PPS繊維について、乾熱収縮率、結晶化熱量、及び繊維間の接着状態を測定し、その結果を表1に示す。また、長さ6mmに切断して短繊維とし水分散性を評価した。得られた未延伸PPS繊維は、乾熱収縮率が小さく、結晶化熱量が大きく、かつ水分散性が良好であり、抄紙用バインダー繊維に適したものであった。
【0037】
(実施例4〜5)
乾熱域を通過する時間を40分又は50分に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。得られた未延伸PPS繊維は、乾熱収縮率が小さく、結晶化熱量が大きい、かつ水分散性が良好であり、抄紙用バインダー繊維に適したものであった。
【0038】
(実施例6〜7)
温水浴を通過する時間を2秒又は3秒に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。得られた未延伸PPS繊維は、乾熱収縮率が小さく、結晶化熱量が大きく、かつ水分散性が良好であり、抄紙用バインダー繊維に適したものであった。
【0039】
(比較例1)
温水浴の温度を50℃に変更し、さらに、乾熱域の温度を50℃に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。
【0040】
得られた未延伸PPS繊維は、乾熱収縮率が高いものであった。この未延伸PPS繊維を長さ6mmの短繊維にしてバインダー繊維として用い、通常の湿式抄紙方法によって延伸PPS短繊維から湿式不織布を製造したところ、抄紙工程においてシワや膨れ、乾燥ムラなどが発生し、良好な湿式不織布を得る事が出来なかった。
【0041】
(比較例2)
温水浴の温度を95℃に変更し、さらに、乾熱域の温度を95℃に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。
【0042】
得られた未延伸PPS繊維は、水分散性が不良であり、繊維間同士に融着した部分が見られた。この未延伸PPS繊維を長さ6mmの短繊維にしてバインダー繊維として用い、通常の湿式抄紙方法によって延伸PPS短繊維から湿式不織布を製造したところ、抄紙工程において未延伸PPS繊維が分繊されずに偏在する部分が多くなり、良好な湿式不織布を得ることが出来なかった。
【0043】
(比較例3)
温水浴を通過する時間を0.2秒に変更し、さらに、乾熱域を通過する時間を3分に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。得られた未延伸PPS繊維は、乾熱収縮率が高いものであった。この未延伸PPS繊維を長さ6mmの短繊維にしてバインダー繊維として用い、通常の湿式抄紙方法によって延伸PPS短繊維から湿式不織布を製造したところ、抄紙工程においてシワや膨れ、乾燥ムラなどが発生し、良好な湿式不織布を得る事が出来なかった。
【0044】
(比較例4)
温水浴を通過する時間を15秒に変更し、さらに、乾熱域を通過する時間を70分に変更した以外は実施例2と同様にして、単糸繊度3.0dtexの未延伸PPS繊維を製造し、評価した。
【0045】
得られた未延伸PPS繊維は、水分散性が不良であり、繊維間同士に融着した部分が見られた。この未延伸PPS繊維を長さ6mmの短繊維にしてバインダー繊維として用い、通常の湿式抄紙方法によって延伸PPS短繊維から湿式不織布を製造したところ、抄紙工程において未延伸PPS繊維が分繊されずに偏在する部分が多くなり、良好な湿式不織布を得ることが出来なかった。
(比較例5)
実施例1〜3において紡糸されて引き取られた段階の未延伸糸について、実施例と同様にして評価したところ、乾熱収縮率は40%と高く、結晶化熱量は25Jであった。
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド未延伸繊維を、温度70℃以上の温水浴中を延伸することなく通過させて0.5〜10秒間の熱処理をした後、温度70〜90℃の乾熱域を弛緩状態で通過させて5〜60分間の弛緩熱処理をすることを特徴とする抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
【請求項2】
溶融紡糸する際の紡糸速度が500〜3000m/分であることを特徴とする、請求項1記載の抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
【請求項3】
ポリフェニレンサルファイド未延伸繊維が、メルトフローレート値が50〜250の粉粒体状のポリフェニレンサルファイドを溶融紡糸することによる未延伸繊維であり、弛緩熱処理して得られるポリフェニレンサルファイド繊維の単糸繊度が0.5〜4.0dtexであり、DSC測定による結晶化熱量が10J/g以上であり、かつ、150℃×30分の乾熱収縮率が35%以下である事を特徴とする、請求項1又は2に記載の抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
【請求項4】
弛緩熱処理した後に、繊維長1〜15mmに切断してポリフェニレンサルファイド短繊維を製造する事を特徴とする、請求項1、2又は3に記載の抄紙用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。

【公開番号】特開2010−174400(P2010−174400A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17791(P2009−17791)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】