説明

把手付き鍋

【課題】ねじが外れた状態で把手を持ち上げても鍋が容易に落下しなくて安全なこと。
【解決手段】調理物を収容する本体2と、本体2の外壁5に一端7を固定した2個の板状の金具3と、前記金具3の他端8と固定した樹脂製の把手4とを備え、金具3は、把手4の下方からねじ9で把手4と固定され、把手4は、他端8の外形の周囲に金具3を把手4にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部10が形成され、かつ、他端8に設けた挿入部11を下方から覆う引っ掛け部12が設けられ、他端8に設けた回転防止部13の前記本体2側の端面と当接しねじ9が外れたときに把手4が金具3から外れるのを防止するのに足る高さを有するように形成された壁15を設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手を有する鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金具を介して樹脂製の把手を取り付けた鍋は、次のような方法で把手が鍋に取り付けられるのが一般的である(把手に金具をインサート成形する場合を除く)。すなわち、把手の下方から金具をねじで把手と固定する方法であり、金具は2個使用するのが普通である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−146278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、樹脂劣化、締め付け不良、締め忘れなどの理由によりねじが外れたときに把手を持ち上げると、鍋が落下し、怪我をするという安全上の課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ねじが外れた状態で把手を持ち上げても鍋が容易に落下しない安全な把手付き鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の把手付き鍋は、調理物を収容する本体と、前記本体の外壁に一端を固定した2個の板状の金具と、前記金具の他端と固定した樹脂製の把手とを備え、前記金具は、前記把手の下方からねじで前記把手と固定され、前記把手は、前記他端の外形の周囲に前記金具を前記把手にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部が形成され、かつ、前記他端に設けた挿入部を下方から覆う引っ掛け部が設けられ、前記他端に設けた回転防止部の前記本体側の端面と当接し前記ねじが外れたときに前記把手が前記金具から外れるのを防止するのに足る高さを有するように形成された壁を設けたものである。
【0006】
これにより、ねじが外れた状態で把手を持ち上げても、金具の挿入部が把手の引っ掛け部に引っ掛かる、または、金具の回転防止部と把手の壁が接触して金具の回転を止めることにより、鍋の落下を防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の把手付き鍋は、ねじが外れた状態で把手を持ち上げても鍋の落下を防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、調理物を収容する本体と、前記本体の外壁に一端を固定した2個の板状の金具と、前記金具の他端と固定した樹脂製の把手とを備え、前記金具は、前記把手の下方からねじで前記把手と固定され、前記把手は、前記他端の外形の周囲に前記金具を前記把手にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部が形成され、かつ、前記他端に設けた挿入部を下方から覆う引っ掛け部が設けられ、前記他端に設けた回転防止部の前記本体側の端面と当接し前記ねじが外れたときに前記把手が前記金具から外れるのを防止するのに足る高さを有するように形成された壁が設けられているので、金具の挿入部が把手の引っ掛け部に引っ掛かる、または、金具の回転防止部と把手の壁が接触して金具の回転を止めることにより、鍋の落下を防止することができる。
【0009】
第2の発明は、調理物を収容する本体と、前記本体の外壁に一端を固定した2個の板状の金具と、前記金具の他端と固定した樹脂製の把手とを備え、前記金具は、前記把手の下方からねじで前記把手と固定され、前記把手は、前記他端の外形の周囲に前記金具を前記把手にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部が形成され、かつ、前記他端に設けた挿入部を下方から覆う引っ掛け部が設けられ、前記他端に設けた回転防止部を下方から覆う第二の引っ掛け部が設けられているので、金具の挿入部が把手の引っ掛け部に引っ掛かる、または、金具の回転防止部が第二の引っ掛け部に引っ掛かり金具の回転を止めることにより、鍋の落下を防止することができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、2個の金具を、他端を対称形状とし、全体を同一形状としたとすることにより、部品点数を減らし、共用化によるコストダウンを図ることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、把手は、引っ掛け部を前記把手と一体成形され、ねじが外れたときに前記把手が金具から外れる方向と異なる方向から挿入部を前記引っ掛け部に挿入してから前記金具を前記把手に前記ねじで固定した後に、前記把手が固定された前記金具を本体に固定したことにより、引っ掛け部を把手と一体成形できるので、部品点数を減らし設計の簡素化で信頼性の向上を図ることができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1〜図8は、本発明の実施の形態1における把手付き鍋を示すものである。
【0014】
図1、図2、図3は鍋の全体を示す平面図と下面図、および下面部分拡大図である。鍋1は調理物を収容する本体2と4個の金具3と2個の把手4で構成されている。本体2は金属製もしくはセラミック製で、把手4は樹脂製である。
【0015】
具体的には、本体2の外壁5にねじ6で金具3の一端7が固定されている。この固定は、ねじ固定に限らず、リベット、かしめ、溶接、インサート成形などどのような固定方法でもよい。また、2個の金具3と1個の把手4を1対とし、金具3の他端8と把手4はねじ9で固定されている。鍋1は把手4を両手で持つことができるように、これを本体2の両側面に2対備えている。
【0016】
ここで、把手4の固定について図4〜図8を用いて詳細に説明する。
図4、図5は把手4と金具3の取り付け状態を説明する斜視図、図6、図7は把手単品の斜視図、図8は金具の斜視図である。
【0017】
把手4には、他端8の外形の周囲に金具3を把手4にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部10が形成されている。位置規制部10は、金具3との当接部を複数個所形成することで構成されているが、水平方向の動きを規制できていれば、位置規制の方法に制限はない。また、把手4には、他端8に設けた挿入部11を下方から覆う引っ掛け部12が設けられている。
【0018】
また、把手4には、他端8に設けた回転防止部13の鍋側の端面14と当接し、ねじ9が外れたときに把手4が金具3から外れるのを防止するのに足る高さを有するように形成された壁15が設けられている。回転防止部13とは、ねじ9が全て外れた状態で把手4
の片方を持ち上げようとしたときに、把手4と金具3が相対的に回転するのを防止するものである。
【0019】
また、2個の金具3は、他端8を対称形状とし、全体を同一形状としている。
【0020】
本実施の形態では、引っ掛け部12は把手4と一体成形されているが、引っ掛け部12を把手4と別部材とし、例えば、ねじや溶着により把手4に固定にしてもよい。
【0021】
ただし、引っ掛け部12を把手4と一体成形する場合は、ねじ9が外れたときに把手4が金具3から外れる方向と異なる方向から挿入部11を引っ掛け部12に挿入してから金具3を把手4にねじ9で固定した後に、把手4が固定された金具3を本体2に固定する組み立て順序としている。
【0022】
以上のように構成された鍋について、以下その動作、作用を説明する。
【0023】
ねじ9が全て外れた状態(通常は起こりえないが、樹脂劣化、締め付け不良、締め忘れなどの理由によることを想定)で把手4の両方を同時に持ち上げると、本体2は自重で略鉛直下方に落下しようとするが、金具3の挿入部11が把手4の引っ掛け部12に引っ掛かるので、本体2の落下を防止することができ、把手4の動きにより異常を認知できる。
【0024】
または、ねじ9が全て外れた状態で把手4の片方を持ち上げると、把手4は回転しながら金具3から外れようとするが、金具3の回転防止部13と把手4の壁15が接触して金具3の回転を止めることにより、把手4は金具3から外れないので、把手4が金具3から外れることによる本体2の落下を防止することができ、把手4の動きにより異常を認知できる。
【0025】
結果、怪我を未然に防止することができるので、安全である。
【0026】
また、2個の金具3を共用化しているので、部品点数を減らし、コストダウンを図ることができる。
【0027】
また、引っ掛け部12は把手4と一体成形しているので、部品点数を減らし設計の簡素化で信頼性の向上を図ることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における把手付き鍋を示すもので、把手4と金具3の取り付け状態を説明する斜視図である。本実施の形態は実施の形態1と原理は同じなので、相違点のみ説明する。
【0029】
本実施の形態では、他端8に設けた回転防止部16を下方から覆う第2の引っ掛け部が設けられている。
【0030】
以上のように構成された鍋について、以下その動作、作用を説明する。
【0031】
ねじ9が全て外れた状態(通常は起こりえないが、樹脂劣化、締め付け不良、締め忘れなどの理由によることを想定)で把手4の両方を同時に持ち上げると、本体2は自重で略鉛直下方に落下しようとするが、金具3の挿入部11が把手4の引っ掛け部12に引っ掛かるので、本体2の落下を防止することができ、把手4の動きにより異常を認知できる。
【0032】
または、ねじ9が全て外れた状態で把手4の片方を持ち上げると、把手4は回転しなが
ら外れようとするが、金具3の回転防止部16と把手4の第2の引っ掛け部17に引っ掛かかるので、本体2の落下を防止することができ、把手4の動きにより異常を認知できる。
【0033】
結果、怪我を未然に防止することができるので、安全である。
【0034】
なお、本実施の形態では、引っ掛け部12と第2の引っ掛け部17は別にしているが、2つの部位を結合してもよいのはいうまでもない。この実施の形態の特徴は、金具3の把手4への取り付け自由度が低下するので、取り付け作業性は若干悪くなるが、金具3との引っ掛かりが確実となるので、信頼性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる鍋は、ねじが外れた状態で把手を持ち上げても鍋の落下を防止できるものであり、種々の把手付き鍋、すなわち、平面プレート、焼肉プレート、浅鍋、深鍋、天ぷら鍋、たこ焼きプレート等についても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1における把手付き鍋の平面図
【図2】同把手付き鍋の下面図
【図3】同把手付き鍋の下面部分拡大図
【図4】同把手付き鍋の把手と金具の取り付け状態を説明する斜視図
【図5】同把手付き鍋の把手と金具の取り付け状態を説明する斜視図
【図6】同把手付き鍋の把手単品の斜視図
【図7】同把手付き鍋の把手単品の斜視図
【図8】同把手付き鍋の金具の斜視図
【図9】本発明の実施の形態2における把手付き鍋の把手と金具の取り付け状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0037】
1 鍋
2 本体
3 金具
4 把手
5 外壁
7 一端
8 他端
9 ねじ
10 位置規制部
11 挿入部
12 引っ掛け部
13、16 回転防止部
14 端面
15 壁
17 第2の引っ掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を収容する本体と、前記本体の外壁に一端を固定した2個の板状の金具と、前記金具の他端と固定した樹脂製の把手とを備え、前記金具は、前記把手の下方からねじで前記把手と固定され、前記把手は、前記他端の外形の周囲に前記金具を前記把手にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部が形成され、かつ、前記他端に設けた挿入部を下方から覆う引っ掛け部が設けられ、前記他端に設けた回転防止部の前記本体側の端面と当接し前記ねじが外れたときに前記把手が前記金具から外れるのを防止するのに足る高さを有するように形成された壁が設けられた把手付き鍋。
【請求項2】
調理物を収容する本体と、前記本体の外壁に一端を固定した2個の板状の金具と、前記金具の他端と固定した樹脂製の把手とを備え、前記金具は、前記把手の下方からねじで前記把手と固定され、前記把手は、前記他端の外形の周囲に前記金具を前記把手にセットしたときの水平方向の動きを規制する位置規制部が形成され、かつ、前記他端に設けた挿入部を下方から覆う引っ掛け部が設けられ、前記他端に設けた回転防止部を下方から覆う第二の引っ掛け部が設けられた把手付き鍋。
【請求項3】
2個の金具は、他端を対称形状とし、全体を同一形状とした請求項1または2に記載の把手付き鍋。
【請求項4】
把手は、引っ掛け部を前記把手と一体成形され、ねじが外れたときに前記把手が金具から外れる方向と異なる方向から挿入部を前記引っ掛け部に挿入してから前記金具を前記把手に前記ねじで固定した後に、前記把手が固定された前記金具を本体に固定されてなる請求項1〜3いずれか1項に記載の把手付き鍋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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