説明

把手孔を有する運搬用容器及び把手孔の開閉部材並びに開閉部材の製造方法

【課題】把手孔を利用して容器を容易に持ち運ぶことができると共に、格別の作業を行うことなく異物が把手孔を通って容器内に侵入することを防止できるようにする。
【解決手段】開閉部材22の本体部23を容器内側から把手孔20を塞ぐように配置して把手孔20の周囲に形成されたフランジ21に係止部25を係止することで開閉部材20を容器に装着する。作業者が把手孔20に手を差し込んで本体部23を押すと、本体部23が容器内側へ向かって回動して把手孔20が開放される。これにより、作業者が把手孔20に手を差し込んで容器を持つことができる。その後、作業者が把手孔20から手を抜くと、本体部23が容器外側へ向かって回動して本体部23の外周縁が把手孔20の周囲の側壁14内面に当接して元の位置に戻ることで把手孔20を容器内側から閉鎖する。これにより、異物が把手孔20を通って容器内に侵入することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱状の容器本体の側壁に把手孔が形成された運搬用容器及びその運搬用容器に装着される把手孔の開閉部材並びにその開閉部材の製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品等を内部に収容して運搬又は保管する箱状の容器は、持ち運びを容易にするために、容器の対向する1対の側壁にそれぞれ把手孔を形成し、この把手孔に作業者が手(例えば、親指以外の4本の指)を差し込んで容器を持つことができるようにしたものがある。
【0003】
このような把手孔が形成された容器としては、例えば、特許文献1(特開2001−18979号公報)に記載されているように、段ボール箱(容器)の対向する1対の側板に、それぞれ把持片を型抜き加工により折り曲げ可能に形成し、この把持片を段ボール箱の内側へ折り曲げることで、段ボール箱の各側壁に握り孔(把手孔)を形成するようにしたものがある。
【特許文献1】特開2001−18979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した把手孔が形成された容器は、物品等を収容して複数段に重ねた状態で運搬又は保管するときに、外部から把手孔を通って砂塵、埃、水滴等の異物が容器内に侵入することがあり、このような異物が容器内に収容された物品に付着すると、物品の品質を劣化させる可能性がある。例えば、砂塵や埃が物品の表面に付着すると、物品の表面が汚れたり、振動によって物品の表面に擦り傷が発生する可能性がある。また、水滴が物品の表面に付着すると、吸水による性能変化や錆が発生する可能性がある。
【0005】
この対策として、容器を持ち運んだ後に、把手孔を塞ぐように接着テープを貼着することがあるが、この方法は、容器を持ち運んだ後に接着テープを貼着する作業が必要になるばかりか、容器を再び持ち運ぶときに接着テープを剥がす作業が必要になるため、非常に面倒である。
【0006】
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、把手孔を利用して容器を容易に持ち運ぶことができると共に、格別の作業を行うことなく異物が把手孔を通って容器内に侵入することを防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、箱状の容器本体の対向する1対の側壁にそれぞれ把手孔が形成される共に各把手孔の周囲に沿ってそれぞれ側壁から容器本体の外側へ突出するフランジが環状に一体に形成された運搬用容器において、容器は、把手孔の位置に、外形寸法が把手孔の横方向寸法と縦方向寸法のうちの少なくとも一方を上回る大きさに形成された板状の本体部と、本体部の横方向と縦方向のいずれか一方の縁から該本体部の外面側(容器本体の外側)へ突出し前記把手孔に挿通可能な突出部と、突出部の先端側に形成されてフランジに係止する係止部とが一体に設けられると共に、少なくとも本体部と突出部との連結部及び係止部が弾性変形可能な材料で形成された開閉部材(請求項7参照)を備え、この開閉部材は、本体部が容器本体の内側から把手孔を塞ぐように配置されて係止部がフランジに嵌め合わされて係止されることで容器本体に装着され、容器本体の外側から把手孔を通して本体部に外力が作用したときに本体部が容器本体の内側へ向かって弾性変位して把手孔を開放し、外力が解除されたときに本体部が容器本体の外側へ向かって弾性復元して本体部の外周縁の少なくとも一部が把手孔の周囲の側壁内面に当接することで把手孔を容器本体の内側から閉鎖するように構成したものである。ここで、板状の本体部は、平板状の本体部に限定されず、例えば湾曲した板状の本体部も含むものとする。
【0008】
この構成では、容器本体の把手孔の周囲に形成されたフランジに、開閉部材の係止部を係止させることで、容器本体に開閉部材を装着するようにしたので、既存の容器(把手孔の周囲にフランジが形成された容器)に格別の変更や後加工を加えることなく、また容器製造装置に変更を加えたり、新たに製作することなく、開閉部材を容易に装着することができると共に、開閉部材が不要になったときには開閉部材を容易に取り外すことができる。
【0009】
また、作業者が容器本体の把手孔に手を差し込むと、開閉部材の本体部が押されて把手孔が開放されるため、作業者が把手孔に手を差し込んで容器本体を持つことができ、容器本体を容易に持ち運ぶことができる。その後、作業者が容器本体の把手孔から手を抜くと、開閉部材の本体部が元の位置に戻って把手孔が閉鎖されるため、格別の操作や作業を行うことなく、容器の保管中や運送中に異物(砂塵、塵、水滴等)が把手孔を通って容器内に侵入することを防止できる。
【0010】
更に、開閉部材の本体部で把手孔を閉鎖することで、容器本体の把手孔の位置よりも上側まで物品を収容しても移動中等に物品が把手孔を通って容器本体の外にこぼれることが防止されるため、容器本体の把手孔の位置よりも上側まで物品を収容することが可能となる。これにより、容器一個当りの収容量を従来よりも多くすることができ、保管スペースや運送スペースを節減することができる。
【0011】
この場合、請求項2のように、把手孔の上縁に沿って形成された上縁フランジ部に開閉部材の係止部を係止し、開閉部材の本体部が前記上縁側を中心にして回動するようにしても良い。このようにすれば、把手孔の上縁を補強する上縁フランジ部を利用して開閉部材を簡単に装着することができる。
【0012】
或は、請求項3のように、把手孔の下縁に沿って形成された下縁フランジ部に開閉部材の係止部を係止し、開閉部材の本体部が前記下縁側を中心にして回動するようにしても良い。このようにすれば、把手孔の下縁を補強する下縁フランジ部を利用して開閉部材を簡単に装着することができる。
【0013】
或は、請求項4のように、把手孔の側縁に沿って形成された側縁フランジ部に開閉部材の係止部を係止し、開閉部材の本体部が前記側縁側を中心にして回動するようにしても良い。このようにすれば、把手孔の側縁を補強する側縁フランジ部を利用して開閉部材を簡単に装着することができる。
【0014】
或は、請求項5、18のように、開閉部材は、容器本体の外側から把手孔を通して本体部に外力が作用したときに本体部が連結部を中心にして容器本体の内側へ向かって弾性変位して回動することで把手孔を開放し、外力が解除されたときに本体部が連結部を中心にして容器本体の外側へ向かって弾性復元して回動することで把手孔を閉鎖するようにしても良い。
【0015】
この場合、請求項6、19のように、連結部には、突出部の基端部に沿って連続した凹溝が形成され、該凹溝が形成された部分が該凹溝に隣接する他の部分よりも薄肉に形成されているようにしても良い。このようにすれば、連結部のうち凹溝を形成した部分が薄肉になって曲り易くなる。
【0016】
また、請求項8のように、突出部を本体部の上縁又は下縁から該本体部の外面側へ突出するように設け、前記突出部の先端側に係止部をフランジを巻き込み可能に略折り返し状に形成するようにしても良い。このようにすれば、開閉部材の係止部をフランジに確実に嵌め合わせて係止させることができる。
【0017】
この場合、請求項9のように、本体部の上縁又は下縁から該本体部と略平行方向に延びる延長部を設け、前記延長部を把手孔の周囲の側壁内面に当接可能に形成するようにしても良い。このようにすれば、開閉部材の延長部と係止部との間にフランジを挟み込むようして開閉部材を装着することができるため、開閉部材を正確な位置に装着することができると共に、本体部が外側に位置ずれせず係止部がフランジから外れるのを防止することができる。
【0018】
更に、請求項10のように、係止部には、容器本体の側壁外面のフランジと交差する方向に形成された補強リブに嵌合可能なスリットを形成するようにしても良い。このようにすれば、補強リブに邪魔されずに係止部をフランジに係止させることができ、更に、開閉部材の横方向(把手孔の横方向)の位置ずれを防止できる。
【0019】
また、請求項11のように、少なくとも連結部及び係止部を柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料で形成すると良い。このようにすれば、開閉部材を容易に開閉回動させることができると共に、係止部を容易にフランジに係止させることができる。
【0020】
この場合、請求項12のように、開閉部材の全体を柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料で形成するようにしても良い。このようにすれば、作業者が把手孔に手を差し込んで開閉部材が手に当たったときの感触を軟らかくすることができ、また、製造が容易である。
【0021】
更に、請求項13のように、弾性ポリマー材料は、ゴム、合成樹脂、熱可塑性エラストマーのうちの1つを用いるようにすると良い。これらの材料は、容易に入手することができる。
【0022】
また、請求項14のように、連結部は、突出部の基端部に沿って延びる凹溝を形成して薄肉になるようにしても良い。このようにすれば、連結部のうち凹溝を形成した部分が他の部分よりも薄肉になって曲り易くなるため、開閉部材を容易に開動作(内側へ回動)させることができると共に、開閉部材の開閉時(回動時)に他の部分の変形を防止することができる。
【0023】
また、請求項15のように、突出部を本体部の上縁から該本体部の外面側へ突出するように設け、突出部の下面に本体部と略平行方向に延びる中空の筒状部を一体に形成するようにしても良い。このようにすれば、作業者が把手孔に手を差し込んで筒状部を手で持ったときの感触を軟らかくすることができる。
【0024】
更に、請求項16のように、筒状部は、本体部と略平行方向に凹部と凸部が交互に連続する略波状に形成するようにしても良い。このようにすれば、作業者が把手孔に手を差し込んで筒状部を手で持ったときに手の指が凹部に嵌まって安定して持つことができる。
【0025】
また、請求項17のように、本体部の下縁が上縁よりも突出部の突出方向側に突出して形成されているようにしても良い。このようにすれば、開閉部材が容器本体に装着されたときに本体部の下縁側が容器本体の側壁内面に確実に当接するようにできる。
【0026】
本発明の開閉部材を製造する場合には、請求項20のように、板状の本体部と、本体部の上縁又は下縁から該本体部と交差する方向へ突出する突出部と、突出部の先端側に形成されてフランジに嵌め合わされて係止する係止部とが一体に設けられると共に、少なくとも本体部と突出部との連結部及び係止部が弾性変形可能な材料で形成されていて、長手方向に連続する長尺な開閉部材連続体を準備する連続体準備工程と、開閉部材連続体の本体部を所定の横方向寸法に切断する処理と開閉部材連続体の突出部及び係止部を把手孔の横方向寸法を上回らない横方向寸法に切断する処理とを同時に又は順番に実施する切断工程とを実行し、本体部は、外形寸法が把手孔の縦方向寸法と横方向寸法のうちの少なくとも一方を上回る寸法に形成するようにすると良い。尚、本体部を切断する処理と突出部及び係止部を切断する処理とを順番に実施する場合には、本体部を切断した後に突出部及び係止部を切断するようにしても良いし、突出部及び係止部を切断した後に本体部を切断するようにしても良い。このようにすれば、開閉部材連続体を切断するだけで開閉部材を製造することができるため、開閉部材を容易且つ安価に製造することができる。
【0027】
この場合、請求項21のように、連続体準備工程として、開閉部材連続体をポリマー材料から一定横断面形状に押出成形する押出成形工程を実行するようにしても良い。このようにすれば、押出成形により開閉部材連続体を連続して効率的且つ簡単に製造することができる。
【0028】
また、請求項22のように、押出成形工程において、少なくとも連結部及び係止部を弾性変形可能なポリマー材料で成形するようにしても良い。連結部及び係止部を部分的に弾性変形可能なポリマー材料で成形する場合でも、異種のポリマー材料の共押出成形により開閉部材連続体を簡単に成形することができる。
【0029】
更に、請求項23のように、押出成形工程において、開閉部材連続体の全体を容器本体よりも硬度が小さく弾性変形可能なポリマー材料で成形するようにしても良い。このようにすれば、1種類のポリマー材料の通常の押出成形により開閉部材連続体をより簡単に成形することができる。
【0030】
また、請求項24のように、押出成形工程において、突出部の下面に長手方向に連続して延びる中空の筒状部を一体に成形するようにしても良い。このようにすれば、押出成形により筒状部を簡単に成形することができる。
【0031】
更に、請求項25のように、外周部に凸部と凹部が交互に連続して形成された押圧ローラを用い、押出成形工程後に筒状部の下面に押圧ローラの外周部を押し付けた状態で該押圧ローラを押出成形速度と同期して回転させることで筒状部を長手方向に凹部と凸部が交互に連続する略波状に成形する凹凸成形工程を実行するようにしても良い。このようにすれば、押圧ローラにより筒状部を簡単に略波状に成形することができる。
【0032】
この場合、請求項26のように、押圧ローラは、外周長が本体部の横方向寸法の整数倍になるように形成すると良い。このようにすれば、押圧ローラが1回転する毎に開閉部材の所定個数分ずつ筒状部を略波状に成形することができる。
【0033】
更に、請求項27のように、押圧ローラには、他の凸部と周長が異なる凸部を少なくとも1つ形成すると良い。このようにすれば、開閉部材連続体の筒状部に他の凹部と長さが異なる凹部を成形することができ、その部分を切断の目安とすることができる。
【0034】
また、請求項28のように、押出成形工程において、筒状部の内部のうち突出部の下面に長手方向(押出方向)に連続して延びる通気溝を成形し、凹凸成形工程において、筒状部の各凸部内の中空部が通気溝によって長手方向に連通するように筒状部を略波状に成形するようにしても良い。このようにすれば、筒状部の各凸部内の中空部が通気溝によって連通するため、空気圧の変動による凸部の不測の変形を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0036】
本発明の実施例1を図1乃至図13に基づいて説明する。
図1乃至図3に示すように、運搬用容器の容器本体11は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂の射出成形により箱状に形成され、底壁12と、この底壁12の短辺側を挟んで対向する1対の第1側壁13と、底壁12の長辺側を挟んで対向する1対の第2側壁14とが一体に設けられている。
【0037】
容器本体11の上端部の外周縁(各側壁13,14の上端部の外周縁)には、上縁フランジ15が一体に形成され、各側壁13,14の外面(容器本体11のコーナー部も含む)には、縦方向に延びる複数本(又は1本)の縦補強リブ16や横方向に延びる複数本(又は1本)の横補強リブ17が一体に形成されている。
【0038】
また、底壁12の下面には、複数の位置決め突部18が一体に形成され、容器本体11を複数段に積み重ねる際に、上段側の容器本体11の位置決め突部18が下段側の容器本体11(図1の二点鎖線参照)の開口部に嵌まるようになっている。各位置決め突部18は、格子状の補強リブ19(図2参照)によって形成されている。
【0039】
更に、図3乃至図5に示すように、対向する1対の第2側壁14の上部側には、それぞれ略四角形(本実施例1では略長方形)の把手孔20が形成され、各把手孔20の周囲に沿ってそれぞれ第2側壁14から容器本体11の外側へ突出するフランジ21が把手孔20の形に対応して環状に一体に形成されている。各把手孔20に作業者が手(例えば親指以外の4本の指)を差し込んで容器本体11を持つことができるようになっている。フランジ21は、把手孔20の上縁に沿って形成された上縁フランジ部21aと、把手孔20の下縁に沿って形成された下縁フランジ部21bと、把手孔20の側縁に沿って形成された側縁フランジ部21c,21cとから構成されている。
【0040】
次に、図6乃至図10を用いて、容器本体11の把手孔20を塞ぐように装着される開閉部材22の構成について説明する。
図6乃至図8に示すように、開閉部材22は、後述する製造方法によって、平板状に形成された本体部23と、この本体部23の上縁から該本体部23の外面側(容器本体11の側壁13,14の外側で本体部23と略直角に交差する方向)へ突出する突出部24と、この突出部24の先端側に形成されてフランジ21(本実施例1では上縁フランジ部21a)に係止する係止部25と、本体部23の上縁から該本体部23と略平行方向(上方に延長する方向)に延びる延長部26とが一体に設けられている。更に、突出部24の下面には、本体部23と略平行方向(容器本体11の把手孔20の横方向)に延びる中空の筒状部27が一体に形成されている。この筒状部27は、本体部23と略平行方向に複数(例えば4個)の凹部28と複数(例えば5個)の凸部29が交互に連続する略波状に形成されている。
【0041】
図6に示すように、本体部23は、横方向寸法Eと縦方向寸法Gのうちの少なくとも一方が把手孔20の横方向寸法Xと縦方向寸法Y(図4参照)のうちの少なくとも一方を上回る大きさに形成されるが、好ましくは横方向寸法Eと縦方向寸法Gがそれぞれ把手孔20の横方向寸法Xと縦方向寸法Yを上回る寸法に形成されて把手孔20を確実に塞ぐことができるようになっている。突出部24及び係止部25は、横方向寸法Fが把手孔20の横方向寸法Xを上回らない寸法(ほぼ同じか又は少し小さい寸法)に形成され、把手孔20内を通すことができるようになっている。
【0042】
図7に示すように、突出部24及び係止部25は、先端側の両角部が面取りされてテーパー部30が形成され、図8に示すように、本体部23と延長部26は、それぞれ外周縁が面取りされてテーパー部31,32が形成され、出し入れする物品の引っ掛かりが生じ無いようにしている。また、係止部25は、上縁フランジ部21aを巻き込んで嵌め合わせ可能に略折り返し状に形成され、上縁フランジ部21aに確実に係止させることができるようになっている。
【0043】
図8に示すように、開閉部材22は、本体部23と突出部24との連結部33(突出部24の基端部及び前記基端部近傍の本体部23の範囲の連結部33)及び係止部25が弾性変形可能なポリマー材料で形成され、連結部33及び係止部25以外の部分が別のポリマー材料(連結部33及び係止部25よりも硬いポリマー材料)で形成されている。連結部33及び係止部25を形成する弾性変形可能なポリマー材料は、容器本体11よりも硬度が小さく且つ柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料であり、例えば、加硫済みのゴム、合成樹脂、熱可塑性エラストマー等の容易に入手可能な材料が用いられる。このような弾性ポリマー材料で連結部33及び係止部25を形成することで、折り返し状の係止部25を弾性変形させて拡開して巻き込ませ、弾性復元で閉じさせて容易にフランジ21(上縁フランジ部21a)に係止させることができると共に、開閉部材22を連結部33を中心にして弾性変形させ容易に開閉回動させることができる。
【0044】
また、本体部23は、本体部23の上縁に対して下縁が所定寸法Aだけ突出部24側(容器本体11の第2側壁14の外側)に突出するように傾斜して形成され、開閉部材22が容器本体11に装着されたときに本体部23の下縁側が容器本体11の第2側壁14内面に確実に当接するようになっている。連結部33には、突出部24の基端部に沿って延びる連続した凹溝34が形成され、連結部33のうち凹溝34を形成した部分が他の隣接部分よりも薄肉になって曲り易くなっている。更に、筒状部27の内部のうち突出部24の下面には、本体部23と略平行方向(長手方向)に連続して延びる複数の通気溝35が形成され、筒状部27の各凸部29内の中空部が通気溝35によって長手方向に連通している。
【0045】
図9及び図10に示すように、開閉部材22は、本体部23が容器本体11の内側から把手孔20を塞ぐように配置した状態で、把手孔20の上縁に沿って形成された上縁フランジ部21aに係止部25を弾性変形させて拡開し、上縁フランジ部21aを巻き込んで嵌め合わせ、弾性復元で閉じさせて係止することで、把手孔20の上縁を補強する上縁フランジ部21aを利用して開閉部材22を簡単に容器本体11に装着できるようになっている。この際、延長部26が把手孔20の上側の第2側壁14内面に当接することで、延長部26と係止部25との間に上縁フランジ部21aを挟み込むようしている。尚、開閉部材20を取り外すときは、前記と逆の手順で容易に取り外せる。
【0046】
そして、作業者が容器本体11の把手孔20に手(例えば、親指以外の4本の指)を差し込んで開閉部材22の本体部23を押すことによって容器本体11の外側から把手孔20を通して本体部23に外力が作用したときに、図10に二点鎖線で示すように、本体部23が連結部33(上縁側)を中心にして容器本体11の内側へ向かって弾性変位して回動して把手孔20が開放される。これにより、作業者が把手孔20に手を差し込んで容器本体11を持つことができる。
【0047】
その後、作業者が容器本体11の把手孔20から手を抜くことによって開閉部材22に作用していた外力が解除されたときに、図10に実線で示すように、本体部23が連結部33を中心にして容器本体11の外側へ向かって弾性復元して回動して本体部23の外周縁が把手孔20の周囲の第2側壁14内面に当接して元の位置に戻ることで把手孔20を容器本体11の内側から閉鎖する。これにより、異物(砂塵、塵、水滴等)が把手孔20を通って容器本体11内に侵入することを防止する。
【0048】
次に、図11乃至図13を用いて、開閉部材22の製造方法について説明する。
開閉部材22を製造する場合には、まず、押出成形工程(連続体準備工程)を実行する。この押出成形工程では、図11に示すように、押出成形機36により、長手方向に連続する一定横断面形状の長尺な開閉部材連続体37をポリマー材料から押出成形する。この開閉部材連続体37は、本体部23と突出部24と係止部25と延長部26と筒状部27とが一体に成形され、筒状部27の内部のうち突出部24の下面に長手方向に連続して延びる通気溝35が成形されている。本実施例1では、共押出成形により、連結部33及び係止部25を容器本体11よりも硬度が小さく且つ柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料で成形し、連結部33及び係止部25以外の部分を別のポリマー材料(連結部33及び係止部25よりも硬いポリマー材料)で成形する。これにより、開閉部材連続体37を連続して効率的且つ簡単に製造することができる。
【0049】
押出成形工程の実行後、凹凸成形工程を実行する。この凹凸成形工程では、図11及び図12に示すように、押圧装置38を用いる。この押圧装置38には、外周部に凸部39と凹部40が交互に連続して形成された押圧ローラ41が設けられ、この押圧ローラ41の回転軸42が軸受43に支持された状態で制御されたモータ等(図示せず)によって回転駆動されるようになっている。この押圧ローラ41の上方には、押出成形機36から所定の一定横断面形状に押し出される開閉部材連続体37を支持する支持部材44が配置されている。この支持部材44は、横断面略L字形状に形成された被係止部45に、開閉部材連続体37の係止部25を係止させることで、開閉部材連続体37を吊り下げた状態で支持するようになっている。
【0050】
凹凸成形工程では、押出成形機36から押し出される開閉部材連続体37の筒状部27が塑性変形可能なときに筒状部27の下面に押圧ローラ41の外周部を押し付けた状態で該押圧ローラ41を押出成形速度と同期して回転駆動させることで、筒状部27の下面に押圧ローラ41の凸部39と凹部40を交互に押し付けて筒状部27を長手方向に凹部28と凸部29が交互に連続する略波状に成形する。これにより、筒状部27を簡単に略波状に成形することができる。この際、筒状部27の各凸部29内の中空部が通気溝35によって長手方向に連通して通気可能にするように筒状部27を略波状に成形する。
【0051】
押圧ローラ41は、外周長が開閉部材22の本体部23の横方向寸法Eの整数倍(例えば1倍)になるように形成され、押圧ローラ41が1回転する毎に開閉部材22の所定個数分(例えば1個分)ずつ筒状部27を略波状に成形するようになっている。更に、押圧ローラ41には、他の凸部39よりも周長が長い凸部39Lが1つ形成されている。これにより、開閉部材連続体37の筒状部27に他の凹部28より長い凹部28Lを成形することができ、その部分を切断の目安とすることができる。
【0052】
凹凸成形工程の実行後、切断工程を実行する。この切断工程では、図13に示すように、筒状部27が略波状に成形された開閉部材連続体37を引取機46で引き取りながら切断装置47に供給する。引取機46と切断装置47との間には、開閉部材連続体37の筒状部27の凹部28と凸部29に沿って上下動する凹凸検知部48を備えた凹凸センサ49が配置され、この凹凸センサ49の出力信号(パルス信号)が制御装置50に入力される。この制御装置50は、凹凸センサ49の出力信号に基づいて凹部28及び/又は凸部29の数をカウントし、そのカウント値が所定値に達したときに切断装置47に駆動信号を出力して切断装置47を切断動作させる。
【0053】
切断装置47には、開閉部材連続体37の本体部23を切断する刃と、開閉部材連続体37の突出部24及び係止部25を本体部23とは別の位置で切断する刃を一体的に設けた切断刃51が備えられている。尚、開閉部材連続体37の本体部23を切断する刃と、開閉部材連続体37の突出部24及び係止部25を本体部23とは別の位置で切断する刃を別々に設けるようにしても良い。この切断装置47で、開閉部材連続体37の本体部23を所定の横方向寸法E(把手孔20の横方向寸法Xを上回る横方向寸法)に切断する処理と、開閉部材連続体37の突出部24及び係止部25を所定の横方向寸法F(把手孔20の横方向寸法Xを上回らない横方向寸法)に切断する処理とを同時に実施する。これにより、開閉部材の製造が完了する。このようにして、押出成形した開閉部材連続体37を切断するだけで開閉部材22を製造することができるため、開閉部材22を容易且つ安価に製造することができる。
【0054】
尚、開閉部材連続体37の筒状部27に凹部28及び凸部29を成形しない場合には、切断装置47から下流側に所定間隔だけ離れて配置された位置センサ52(例えば、発光素子52aと受光素子52bとからなる光センサ)で開閉部材連続体37の先端部を検出したときに、制御装置50が切断装置47に駆動信号を出力して切断装置47を切断動作させるようにしても良い。
【0055】
また、本体部23を切断する処理と突出部24及び係止部25を切断する処理とを必ずしも同時に実施する必要はなく、本体部23を切断する処理と突出部24及び係止部25を切断する処理とを順番に実施するようにしても良い。この場合、本体部24を切断した後に突出部24及び係止部25を切断するようにしても良いし、突出部24及び係止部25を切断した後に本体部23を切断するようにしても良い。
【0056】
以上説明した本実施例1では、容器本体11の把手孔20の周囲に形成されたフランジ21(上縁フランジ部21a)に、開閉部材22の係止部25を係止させることで、容器本体11に開閉部材22を装着するようにしたので、既存の容器本体11(把手孔20の周囲にフランジ21が形成された容器本体11)に格別の形状の変更や孔開け等の後加工を加えることなく、また容器製造装置に変更を加えたり、新規に製作することなく、開閉部材22を容易に装着することができると共に、開閉部材22が不要になったときには開閉部材22を容易に取り外すことができる。
【0057】
また、作業者が容器本体11の把手孔20に手を差し込むと、開閉部材22の本体部23が押されて把手孔20が開放されるため、作業者が把手孔20に手を差し込んで容器本体11を持つことができ、容器本体11を容易に持ち運ぶことができる。その後、作業者が容器本体11の把手孔20から手を抜くと、開閉部材22の本体部23が元の位置に戻って把手孔20が閉鎖されるため、格別の操作や作業を行うことなく、容器本体11の保管中や運送中に異物(砂塵、塵、水滴等)が把手孔20を通って容器本体11内に侵入することを防止でき、容器本体11内に収容された物品等の品質を確保することができる。
【0058】
更に、開閉部材22の本体部23で把手孔20を閉鎖することで、容器本体11の把手孔20の位置よりも上側まで物品を収容しても移動中等に物品が把手孔20を通って容器本体11の外にこぼれることが防止されるため、容器本体11の把手孔20の位置よりも上側まで物品を収容することが可能となる。これにより、容器一個当りの収容量を従来よりも多くすることができ、保管スペースや運送スペースを節減することができる。
【0059】
また、本実施例1では、開閉部材22の延長部26と係止部25との間にフランジ21(上縁フランジ部21a)を挟み込むようして開閉部材22を装着するようにしたので、開閉部材22を正確な位置に装着することができると共に、係止部25がフランジ21から外れるのを防止することができる。
【0060】
また、本実施例1では、連結部33に凹溝34を形成することで、連結部33のうち凹溝34を形成した部分が薄肉になって曲り易くなるようにしたので、開閉部材22を容易に開動作(内側へ回動)させることができると共に、開閉部材22の開閉時(回動時)に他の部分の変形を防止することができる。
【0061】
また、本実施例1では、開閉部材22の突出部24の下面に中空の筒状部27を形成するようにしたので、作業者が把手孔20に手を差し込んで筒状部27を手で持ったときの感触を軟らかくすることができる。しかも、筒状部27を凹部28と凸部29が交互に連続する略波状に形成するようにしたので、作業者が把手孔20に手を差し込んで筒状部27を手で持ったときに手の指が凹部28に嵌まって安定して持つことができる。
【0062】
また、本実施例1では、押出成形工程において、筒状部27の内部のうち突出部24の下面に長手方向に連続して延びる通気溝35を成形し、凹凸成形工程において、筒状部27の各凸部29内の中空部が通気溝35によって長手方向に連通するように筒状部27を略波状に成形するようにしたので、開閉部材22の製造完了後も筒状部27の各凸部29内の中空部が通気溝35によって連通した状態となり、空気圧の変動による凸部29の変形を防止することができる。
【実施例2】
【0063】
次に、図14及び図15を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0064】
本実施例2では、図14に示すように、容器本体11は、第2側壁14の外面中央部にも、縦補強リブ16が形成され、この縦補強リブ16がフランジ21の上縁フランジ部21aの中央部及び下縁フランジ部21bの中央部に、各フランジ部21a,21bと直交する方向に連結している。更に、図15に示すように、開閉部材22は、係止部25の中央部(縦補強リブ16に対応する位置)に、縦補強リブ16に嵌合可能なスリット53が形成されている。その他の構成は、前記実施例1と同じである。
【0065】
これにより、容器本体11の第2側壁14の外面中央部に縦補強リブ16が形成されている場合でも、この縦補強リブ16に邪魔されず(干渉せず)に開閉部材22の係止部25をフランジ21(上縁フランジ部21a)に係止させることができる。更に、係止後は、横方向の位置ずれを防止する。
【0066】
尚、上記各実施例1,2では、把手孔20の上縁に沿って形成された上縁フランジ部21aに係止部25を係止して、開閉部材22の本体部23を上縁側を中心にして開閉回動する構成としたが、把手孔20の下縁に沿って形成された下縁フランジ部21bに係止部25を係止して、開閉部材22の本体部23を下縁側を中心にして開閉回動する構成にしても良い。或は、把手孔20の一方の側縁に沿って形成された側縁フランジ部21cに係止部25を係止して、開閉部材22の本体部23を一方の側縁側を中心にして開閉回動する構成にしても良い。
【0067】
また、上記各実施例1,2では、開閉部材22の連結部33及び係止部25のみを弾性ポリマー材料で形成するようにしたが、開閉部材22の連結部33から係止部25までの部分(連結部33と突出部24と筒状部27と係止部25)のみを弾性ポリマー材料で形成するようにしたり、或は、開閉部材22の全体を弾性ポリマー材料で形成するようにしても良い。開閉部材22の全体を弾性ポリマー材料で形成すると、弾性変形する範囲が上記各実施例1,2のときよりも広くなり、開閉部材22の連結部33等に局部的なクリープ変形等が生じるのを防げる。
【0068】
更に、上記各実施例1,2では、突出部24の下面に設ける筒状部27を略波状に形成するようにしたが、筒状部27を略直線状に形成するようにしても良い。また、筒状部27を省略した構成にしても良い。
【実施例3】
【0069】
次に、図16乃至図18を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0070】
本実施例3では、図16乃至図18に示すように、開閉部材54は、弾性ポリマー材料の射出成形又は圧縮成形等によって、本体部55と、この本体部55の上縁両端部からそれぞれ該本体部55の外面側(本体部55と直交する方向)へ突出する突出片56と、各突出片56の先端側に形成されてフランジ21(本実施例3では側縁フランジ部21c)に係止する係止部57と、本体部55の上縁から該本体部55と略平行方向(上方に延長する方向)に延びる延長部58とが一体に設けられている。
【0071】
各突出片56は、それぞれ本体部55の側縁に沿って縦方向に延びるように形成されているが、上端角部のみで本体部55の上縁に連結されている。また、本体部55と突出片56との連結部59には、凹溝60が形成され、連結部59のうち凹溝60を形成した部分が薄肉になって曲り易くなっている。
【0072】
この開閉部材54は、該開閉部材54の全体が弾性ポリマー材料(容器本体11よりも硬度が小さく且つ柔軟で弾性復元力を有するポリマー材料)で形成され、作業者が把手孔20に手を差し込んで開閉部材54が手に当たったときの感触を軟らかくするようにしている。
【0073】
図17に示すように、開閉部材54は、本体部55が容器本体11の内側から把手孔20を塞ぐように配置した状態で、把手孔20の各側縁に沿って形成された2つの側縁フランジ部21cにそれぞれ係止部57を係止することで、把手孔20の側縁を補強する側縁フランジ部21cを利用して開閉部材54を簡単に容器本体11に装着できるようになっている。
【0074】
以上説明した本実施例3においても、容器本体11に開閉部材54を装着することで、容器本体11の把手孔20を利用して容器本体11を容易に持ち運ぶことができると共に、格別の作業を行うことなく異物が把手孔20を通って容器本体11内に侵入することを防止できる。
【0075】
尚、上記実施例3では、開閉部材54の全体を弾性ポリマー材料で形成するようにしたが、開閉部材54の連結部59及び係止部57のみを弾性ポリマー材料で形成するようにしたり、或は、開閉部材54の連結部59から係止部57までの部分(連結部59と突出片56と係止部57)のみを弾性ポリマー材料で形成するようにしても良い。
【0076】
また、上記各実施例1〜3では、容器本体11に略四角形の把手孔20を形成したが、把手孔の形状は適宜変更しても良く、例えば、把手孔の形状を略半円形や略長円形や略楕円形等に形成にしても良い。
【0077】
また、上記各実施例1〜3では、平板状に形成された本体部23,55を用いるようにしたが、本体部の形状は平板状に限定されず、例えば、突出部24の側が半径方向内側となるように上下方向に及び/又は長手方向に湾曲した板状に形成された本体部を用いるようにしても良い。
【0078】
更に、上記各第1〜第3実施例では、代表的例として図面上で本体部23,55の横方向の寸法Eが把手孔の横方向の寸法Xよりも10%程度大きい例を図示しているが、本体部23,55の横方向の寸法Eは把手孔の横方向の寸法Xの数倍程度(容器の側壁13,14の長さ寸法を越えない範囲で、例えば3〜4倍程度)大きくしてもよい。上記のような寸法を有する開閉部材を容器本体の把手孔に装着して使用すれば、前記本体部に外力が作用したとき前記把手孔に対応する部分とその近傍部分(本体部材の横方向のほぼ中央部分)だけが容器本体の内側に向かって弾性変位して把手孔を解放し、本体部の横方向の両端部分は弾性変位せず側壁に接触したままの状態を保つことがある。逆に、外力が解除されたとき前記把手孔に対応する部分とその近傍部分だけが容器本体の外側に向かって弾性復元して把手孔を閉鎖し、本体部の長手方向の両端部分は弾性復元せず側壁に接触したままの状態を保つことがある。本願において、「本体部分が弾性変位し、弾性復元し」とは、前記の各第1〜第3実施例の図示の如く本体部全体が弾性変位と弾性復元する態様に限定されず、前述した様に本体部の横方向の一部分(把手孔に対応する部分とその近傍部分)だけが弾性変位し、弾性復元する態様をも含む。
【0079】
また、本発明は、射出成形等により箱状に成形された容器に限定されず、平板状の展開形状を折り曲げて箱状に組み立てた容器に適用しても良い。更に、開閉部材54は、押出成形に代えて射出成形や圧縮成形で成形することもできる等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1における容器本体の正面図である。
【図2】実施例1の容器本体の平面図である。
【図3】実施例1の容器本体の側面図である。
【図4】実施例1の容器本体の把手孔及びその周辺部を容器本体の外側から見た図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】実施例1の開閉部材の正面図である。
【図7】実施例1の開閉部材の平面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【図9】実施例1の容器本体に装着した開閉部材及びその周辺部を容器本体の内側から見た図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】押出成形機及び押圧装置の側面図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】切断装置及びその周辺部の概略構成図である。
【図14】実施例2の容器本体の側面図である。
【図15】実施例2の開閉部材の平面図である。
【図16】実施例3の開閉部材の正面図である。
【図17】実施例3の開閉部材の平面図である。
【図18】実施例3の開閉部材の側面図である。
【符号の説明】
【0081】
11…容器本体、12…底壁、13…第1側壁、14…第2側壁、20…把手孔、21…フランジ、22…開閉部材、23…本体部、24…突出部、25…係止部、26…延長部、27…筒状部、28…凹部、29…凸部、33…連結部、34…凹溝、35…通気溝、36…押出成形機、37…開閉部材連続体、38…押圧装置、41…押圧ローラ、47…切断装置、53…スリット、54…開閉部材、55…本体部、56…突出片、57…係止部、58…延長部、59…連結部、60…凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の容器本体の対向する1対の側壁にそれぞれ把手孔が形成されると共に各把手孔の周囲に沿ってそれぞれ前記側壁から前記容器本体の外側へ突出するフランジが環状に一体に形成された運搬用容器において、
前記容器は、前記把手孔の位置に、外形寸法が前記把手孔の横方向寸法と縦方向寸法のうちの少なくとも一方を上回る大きさに形成された板状の本体部と、前記本体部の横方向と縦方向のいずれか一方の縁から該本体部の外面側へ突出し前記把手孔に挿通可能な突出部と、前記突出部の先端側に形成されて前記フランジに係止する係止部とが一体に設けられると共に、少なくとも前記本体部と前記突出部との連結部及び前記係止部が弾性変形可能な材料で形成された開閉部材を備え、
前記開閉部材は、前記本体部が前記容器本体の内側から前記把手孔を塞ぐように配置されて前記係止部が前記フランジに嵌め合わされて係止されることで前記容器本体に装着され、前記容器本体の外側から前記把手孔を通して前記本体部に外力が作用したときに前記本体部が前記容器本体の内側へ向かって弾性変位して前記把手孔を開放し、前記外力が解除されたときに前記本体部が前記容器本体の外側へ向かって弾性復元して前記本体部の外周縁の少なくとも一部が前記把手孔の周囲の側壁内面に当接することで前記把手孔を前記容器本体の内側から閉鎖するように構成されていることを特徴とする運搬用容器。
【請求項2】
前記把手孔の上縁に沿って形成された上縁フランジ部に前記開閉部材の係止部が係止され、前記開閉部材の本体部が前記上縁側を中心にして回動することを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記把手孔の下縁に沿って形成された下縁フランジ部に前記開閉部材の係止部が係止され、前記開閉部材の本体部が前記下縁側を中心にして回動することを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記把手孔の側縁に沿って形成された側縁フランジ部に前記開閉部材の係止部が係止され、前記開閉部材の本体部が前記側縁側を中心にして回動することを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項5】
前記開閉部材は、前記容器本体の外側から前記把手孔を通して前記本体部に外力が作用したときに前記本体部が前記連結部を中心にして前記容器本体の内側へ向かって弾性変位して回動することで前記把手孔を開放し、前記外力が解除されたときに前記本体部が前記連結部を中心にして前記容器本体の外側へ向かって弾性復元して回動することで前記把手孔を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項6】
前記連結部には、前記突出部の基端部に沿って連続した凹溝が形成され、該凹溝が形成された部分が該凹溝に隣接する他の部分よりも薄肉に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の運搬用容器。
【請求項7】
箱状の容器本体の対向する1対の側壁にそれぞれ把手孔が形成されると共に各把手孔の周囲に沿ってそれぞれ前記側壁から前記容器本体の外側へ突出するフランジが環状に一体に形成された運搬用容器の把手孔に装着可能な開閉部材であって、
前記開閉部材は、外形寸法が前記把手孔の横方向寸法と縦方向寸法のうちの少なくとも一方を上回る大きさに形成された板状の本体部と、前記本体部の横方向と縦方向のいずれか一方の縁から該本体部の外面側へ突出し前記把手孔に挿通可能な突出部と、前記突出部の先端側に形成されて前記フランジに嵌め合わされて係止する係止部とが一体に設けられると共に、少なくとも前記本体部と前記突出部との連結部及び前記係止部が弾性変形可能な材料で形成され、
前記本体部が前記容器本体の内側から前記把手孔を塞ぐように配置されて前記係止部が前記フランジに係止されることで前記容器本体に装着された場合に、前記容器本体の外側から前記把手孔を通して前記本体部に外力が作用したときに前記本体部が前記容器本体の内側へ向かって弾性変位して前記把手孔を開放し、前記外力が解除されたときに前記本体部が前記容器本体の外側へ向かって弾性復元して前記本体部の外周縁の少なくとも一部が前記把手孔の周囲の側壁内面に当接することで前記把手孔を前記容器本体の内側から閉鎖するように構成されていることを特徴とする開閉部材。
【請求項8】
前記突出部が前記本体部の上縁又は下縁から該本体部の外面側へ突出するように設けられ、前記突出部の先端側に前記係止部が前記フランジを巻き込み可能に略折り返し状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の開閉部材。
【請求項9】
前記本体部の上縁又は下縁から該本体部と略平行方向に延びる延長部が設けられ、前記延長部が前記把手孔の周囲の側壁内面に当接可能に形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の開閉部材。
【請求項10】
前記係止部には、前記容器本体の側壁外面の前記フランジと交差する方向に形成された補強リブに嵌合可能なスリットが形成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項11】
少なくとも前記連結部及び前記係止部が柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料で形成されていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項12】
前記開閉部材の全体が柔軟で弾性復元力を有する弾性ポリマー材料で形成されていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項13】
前記弾性ポリマー材料は、ゴム、合成樹脂、熱可塑性エラストマーのうちの1つであることを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材。
【請求項14】
前記連結部は、前記突出部の基端部に沿って延びる凹溝が形成されて薄肉になっていることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項15】
前記突出部が前記本体部の上縁から該本体部の外面側へ突出するように設けられ、前記突出部の下面に前記本体部と略平行方向に延びる中空の筒状部が一体に形成されていることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項16】
前記筒状部は、前記本体部と略平行方向に凹部と凸部が交互に連続する略波状に形成されていることを特徴とする請求項15に記載の開閉部材。
【請求項17】
前記本体部の下縁が上縁よりも前記突出部の突出方向側に突出して形成されていることを特徴とする請求項7乃至16のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項18】
前記容器本体の外側から前記把手孔を通して前記本体部に外力が作用したときに前記本体部が前記連結部を中心にして前記容器本体の内側へ向かって弾性変位して回動することで前記把手孔を開放し、前記外力が解除されたときに前記本体部が前記連結部を中心にして前記容器本体の外側へ向かって弾性復元して回動することで前記把手孔を閉鎖することを特徴とする請求項7に記載の開閉部材。
【請求項19】
前記連結部には、前記突出部の基端部に沿って連続した凹溝が形成され、該凹溝が形成された部分が該凹溝に隣接する他の部分よりも薄肉に形成されていることを特徴とする請求項18に記載の開閉部材。
【請求項20】
箱状の容器本体の対向する1対の側壁にそれぞれ把手孔が形成されると共に各把手孔の周囲に沿ってそれぞれ前記側壁から前記容器本体の外側に突出するフランジが環状に一体に形成された運搬用容器の把手孔に装着可能な開閉部材を製造する方法であって、
板状の本体部と、前記本体部の上縁又は下縁から該本体部と交差する方向へ突出する突出部と、前記突出部の先端側に形成されて前記フランジに嵌め合わされて係止する係止部とが一体に設けられると共に、少なくとも前記本体部と前記突出部との連結部及び前記係止部が弾性変形可能な材料で形成されていて、長手方向に連続する長尺な開閉部材連続体を準備する連続体準備工程と、
前記開閉部材連続体の本体部を所定の横方向寸法に切断する処理と前記開閉部材連続体の突出部及び係止部を前記把手孔の横方向寸法を上回らない横方向寸法に切断する処理とを同時に又は順番に実施する切断工程とを含み、
前記本体部は、外形寸法が前記把手孔の縦方向寸法と横方向寸法のうちの少なくとも一方を上回る寸法に形成されることを特徴とする開閉部材の製造方法。
【請求項21】
前記連続体準備工程は、前記開閉部材連続体をポリマー材料から一定横断面形状に押出成形する押出成形工程であることを特徴とする請求項20に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項22】
前記押出成形工程において、少なくとも前記連結部及び前記係止部を弾性変形可能なポリマー材料で成形することを特徴とする請求項21に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項23】
前記押出成形工程において、前記開閉部材連続体の全体を前記容器本体よりも硬度が小さく弾性変形可能なポリマー材料で成形することを特徴とする請求項21に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項24】
前記押出成形工程において、前記突出部の下面に長手方向に連続して延びる中空の筒状部を一体に成形することを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の開閉部材の製造方法。
【請求項25】
外周部に凸部と凹部が交互に連続して形成された押圧ローラを用い、
前記押出成形工程後に前記筒状部の下面に前記押圧ローラの外周部を押し付けた状態で該押圧ローラを押出成形速度と同期して回転させることで前記筒状部を長手方向に凹部と凸部が交互に連続する略波状に成形する凹凸成形工程を含むことを特徴とする請求項24に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項26】
前記押圧ローラは、外周長が前記本体部の横方向寸法の整数倍になるように形成されていることを特徴とする請求項25に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項27】
前記押圧ローラには、他の凸部と周長が異なる凸部が少なくとも1つ形成されていることを特徴とする請求項25又は26に記載の開閉部材の製造方法。
【請求項28】
前記押出成形工程において、前記筒状部の内部のうち前記突出部の下面に長手方向に連続して延びる通気溝を成形し、
前記凹凸成形工程において、前記筒状部の各凸部内の中空部が前記通気溝によって長手方向に連通するように前記筒状部を略波状に成形することを特徴とする請求項25に記載の開閉部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−173344(P2009−173344A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331551(P2008−331551)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【出願人】(508001202)合資会社大洋資材 (1)
【Fターム(参考)】