抑毛光照射装置
【課題】肌面に対する影響を抑制しつつ、体毛の発毛および成長を効率的に抑制することができる抑毛光照射装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る抑毛光照射装置1は、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光37をヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46に向けて照射する抑毛光照射装置1であって、前記抑毛光37のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定している。
【解決手段】本発明に係る抑毛光照射装置1は、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光37をヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46に向けて照射する抑毛光照射装置1であって、前記抑毛光37のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抑毛光照射装置に関する。更に詳しくは、人体のヒゲの発毛および成長を効果的に抑制することができる抑毛光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー光を用いて皮膚表面の体毛(例えば、ヒゲ)を切除する装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この切除装置は、レーザー光を発生させるレーザー源と、レーザー光を焦束させる光学手段と、レーザー光の照射位置を変えるマニピュレータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−501047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載された切除装置は、レーザー光によって体毛を切除するのみであり、体毛の発毛および成長を抑制する抑毛効果はない。また、使用するレーザー光のエネルギー密度が大きいため、皮膚表面に悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、肌面に対する影響を抑制しつつ、体毛の発毛および成長を効率的に抑制することができる抑毛光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、人体のヒゲの発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光をヒゲに向けて照射する抑毛光照射装置であって、前記抑毛光のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る抑毛光照射装置によれば、0.1〜10J/cm2のエネルギーの抑毛光を用いることで、ヒゲの発毛および成長を効果的に抑制することができる。また、人体の皮膚表面に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがある紫外線を使用しないため、皮膚への影響を抑えることができる。なお、本発明に係る抑毛光は、従来よりも小さいエネルギーを有するため、人体の皮膚表面に与える悪影響を更に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図2】図1のポリゴンミラーによって抑毛光を反射する状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の変形例の内部を示す概略的な断面図である。
【図4】図1の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。
【図5】図4のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図6】図5の画像を複数の領域に分割した状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図8】図7の照射部を示す斜視図である。
【図9】図7のメカニカルシャッターを示す正面図であり、(a)は閉じた状態のメカニカルシャッターを示し、(b)は開いた状態のメカニカルシャッターを示す。
【図10】図7の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。
【図11】図10のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図12】抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図14】図13のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図15】本図のうち、(a)は分割ミラーが作動している状態を示す抑毛光照射装置の一部の断面図であり、(b)は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図20】実施例1〜3において抑毛光を照射した人体の顔の部位を示す正面図である。
【図21】実施例1の結果を示すグラフであり、照射した抑毛光のエネルギーと照射後におけるヒゲの本数との関係を示す。
【図22】実施例2の結果を示すグラフであり、抑毛光の波長域とヒゲの本数減少率との関係を示す。
【図23】実施例3の結果を示すグラフであり、抑毛光の波長域と成長抑制ヒゲの本数増加率との関係を示す。
【図24】波長域が400〜700nmの抑毛光について、照射の有無と成長速度が遅い毛の割合を示すグラフである。
【図25】波長域が700〜1200nmの抑毛光について、照射の有無と成長速度が遅い毛の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置を説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図2は図1のポリゴンミラーによって抑毛光を反射する状態を示す側面図である。また、図3は本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の変形例の内部を示す概略的な断面図、図4は図1の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。さらに、図5は図4のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図6は図5の画像を複数の領域に分割した状態を示す。
【0013】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置1は、外面を覆う筐体3の内部に配設されたカメラ9、光源7、ポリゴンミラー群11、レンズ13を備えている。
【0014】
前記カメラ9は、筐体3の底壁面に固定されており、レンズ13を介して皮膚表面39の画像を映し出す。前記光源7は、筐体3の側壁面に設置されており、先端部から抑毛光37を照射する。この光源7は、例えば、キセノンランプ等を好適に用いることができる。前記ポリゴンミラー群11は、板状に形成された個々のポリゴンミラー17が厚さ方向に積層されたものであり、それぞれ1枚ごとのポリゴンミラー17が回転軸を中心にして回動可能に軸支されている。具体的には、1枚ごとのポリゴンミラー17は、両側に形成された側面21,21と、外周に沿って形成された反射面19とから側面視正六角状の板状部材に形成されている。また、図2に示すように、光源7から発せられた抑毛光37が、ポリゴンミラー17の反射面19に当たって反射するが、実線の位置にあるポリゴンミラー17が矢印方向に回転して二点鎖線の位置にきたときには、抑毛光37も二点鎖線の方向に向けて反射される。
【0015】
また、前記筐体3の端部には、前記カメラ9に対向する位置に照射部5が設けられている。該照射部5は、ポリゴンミラー群11で反射された抑毛光37がレンズ13を介して照射口23から照射されるように構成されている。
【0016】
なお、図3に示すように、カメラ9の配設位置を変更する態様も可能である。筐体3の側壁面を橋渡すレール34,34が設けられ、該レール34,34にカメラ9が走行可能に取り付けられている。これによって、皮膚表面39の画像を映し出すときには、カメラ9はレンズ13に対向する位置に配置され、抑毛光37を照射するときには、上側または下側にスライドして抑毛光37を遮光しないようにする。
【0017】
次いで、図4〜図6を用いて、第1実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0018】
まず、カメラ9を用いて、図5のような皮膚表面39の画像を映し出す。図5では、皮膚表面39にホクロ41やヒゲ43等が点在している。ここで、図5および図6に示すように、ヒゲ43の根本近傍の皮膚部分は、やや盛り上がった楕円状の凸部44になっている。
【0019】
次に、画像処理部において、図6のように、画像をポリゴンミラー17の厚さ分だけ分割した分割画像45とし、その分割画像において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域47を決定する。従って、唇を除くヒゲ43のみを選択することができる。そして、この照射領域47に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。このように、光源7は、ONとOFFを繰り返してポリゴンミラー17が所定角度になった時点で所望の照射領域47にだけ抑毛光37を照射することができる。
【0020】
ここで、照射スポットが皮膚表面39におけるヒゲ周辺部46の場合は、抑毛光37を照射するが、ホクロ41や皮膚の場合は、照射しないように光源7からの照射を制御する。これは、前記画像処理部からの信号が光源7に伝達され、ポリゴンミラー17が所定角度に回動したときに、光源7からの照射を行ったり停止したりする。図4では、照射スポットがヒゲ43の部位に位置したため、光源7から発した抑毛光37がポリゴンミラー17の反射面によって反射されたのち、レンズ13によって集約されたのち、ヒゲ周辺部46に照射される。
【0021】
次いで、本発明に係る抑毛光37について説明する。当該抑毛光37は、紫外線以外の光であり、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制する作用を有する。また、エネルギーは、0.1〜10J/cm2であるが、好ましくは、0.1〜1.0J/cm2であり、更に好ましくは0.1〜0.4J/cm2である。
【0022】
ここで、紫外線を含む光を抑毛光37とすると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。従って、本発明に係る抑毛光37は、紫外線を除く光とする。また、エネルギーが0.1J/cm2未満の場合は、後述する実施例1〜3に示すように、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が小さくなり好ましくない。一方、エネルギーが10J/cm2よりも大きくすると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。なお、エネルギーを高くするほどヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が高くなることは明らかであるが、皮膚表面39の悪影響を考慮することも必要である。従って、本発明に係る抑毛光37のエネルギーは、少なくとも0.1〜10J/cm2とする。
【0023】
さらに、抑毛光37の波長は、400〜1200nmが好ましい。後述する実施例1〜3に示すように、波長が400〜1200nmの抑毛光37を皮膚表面39に照射すると、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が高くなるからである。なお、抑毛光37の波長は、400〜700nmが更に好ましい。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
(1)本実施形態に係る抑毛光照射装置1は、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光37をヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46に向けて照射する抑毛光照射装置1であって、前記抑毛光37のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定している。
【0026】
エネルギーが0.1J/cm2未満の場合は、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が小さくなり好ましくない。一方、エネルギーが10J/cm2よりも大きくなると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。このように、0.1〜10J/cm2のエネルギーの抑毛光37を用いることで、ヒゲ43の発毛および成長を効果的に抑制することができる。また、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがある紫外線を使用しないため、皮膚への影響を抑えることができる。
【0027】
なお、本実施形態に係る抑毛光37は、従来よりも小さいエネルギーを有するため、人体の皮膚表面39に与える悪影響を抑制することができる。
【0028】
(2)前記抑毛光37の波長は、400〜1200nmであるため、ヒゲ43の発毛および成長を更に効果的に抑制することができる。
【0029】
(3)皮膚表面39の画像をカメラ9を用いて映し出し、その画像からヒゲ43を選択する画像処理部と、該画像処理部の画像データに基づいて、抑毛光37をヒゲ43に向けて選択的に照射する照射部5と、を備えている。従って、ヒゲ43のない皮膚部分(特に、唇やホクロ41等)への抑毛光37の照射量を低減し、皮膚への影響を小さくすることができる。
【0030】
(4)前記画像処理部は、唇を除く皮膚部分のヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択する。このように、皮膚表面39のうち特に抑毛光37の影響を受けやすい唇部分への照射を防止することにより、皮膚への影響を更に小さくすることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0032】
図7は本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図8は図7の照射部を示す斜視図である。また、図9は図7のメカニカルシャッターを示す正面図であり、(a)は閉じた状態のメカニカルシャッターを示し、(b)は開いた状態のメカニカルシャッターを示す。図10は図7の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図、図11は図10のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図12は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。なお、前述した第1実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置は、外面を覆う筐体の内部に配設されたカメラ9、光源7、ミラー53、メカニカルシャッター59、レンズ57を備えている。
【0034】
筐体3、カメラ9、光源7は、図1の第1実施形態に係る抑毛光照射装置のものと同一構造である。光源7の下方には、斜め方向に沿ってミラー53が配置されており、該ミラー53によって、光源7から発せられた抑毛光37を照射部5に向けて反射させる。
【0035】
また、照射部5には、図8に示すように、複数の円形の照射孔61が筐体3の長手方向に沿って貫通して形成されており、これらの照射孔61には、メカニカルシャッター59とレンズ57がそれぞれ配設されている。このメカニカルシャッター59は、複数(本実施形態では、6枚)のリーフ状のセクター63が周方向に沿って配設されており、これらのセクター63が開閉可能に構成されている。図9(a)は閉じた状態のメカニカルシャッター59を示し、図9(b)は開いた状態のメカニカルシャッター59を示している。なお、メカニカルシャッター59が閉じると、光源7からの抑毛光37がメカニカルシャッター59で遮光され、メカニカルシャッター59が開くと、抑毛光37が開口部65を介してレンズ57に送られたのち、照射孔61から照射される。なお、光源7は、連続して抑毛光37を発生させても良く、パルス光でも良い。
【0036】
次いで、図10〜図12を用いて、第2実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0037】
まず、前記第1実施形態と同様に、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域73を決定する。そして、この照射領域73に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0038】
ここで、照射スポットが皮膚表面39におけるヒゲ43に対応する照射孔61においては、メカニカルシャッター59が開き、抑毛光37がレンズ57を介して集約されたのちにヒゲ周辺部46に向けて照射される。一方、ホクロ41や皮膚等に対応する照射孔61においては、メカニカルシャッター59が閉じ、抑毛光37が遮断される。
【0039】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0040】
本実施形態では、メカニカルシャッター59を開閉させることにより抑毛光37を照射するため、所望の部位に抑毛光37を確実に照射することができる。
【0041】
[第3の実施形態]
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0042】
図13は本発明の第3実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図14は図13のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図15のうち、(a)は分割ミラーが作動している状態を示す抑毛光照射装置の一部の断面図であり、(b)は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。なお、前述した第1および第2実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る抑毛光照射装置81においては、分割ミラー83を採用している。この分割ミラー83は、小さな矩形状の複数の分割体85,86からなり、回転軸を中心にしてそれぞれの分割体85,86が回動可能に軸支されている。そして、皮膚表面39における照射領域に向けて照射する分割体85,86は所定の角度まで回動させ、ホクロ41等の照射しない領域に対しては分割体85,86を回動させないようにする。
【0044】
次いで、図14〜図15を用いて、第3実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0045】
まず、前記第1実施形態と同様に、図14に示すように、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。即ち、本実施形態においても、図15(b)の二点鎖線に示すように、照射領域88は、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46である。
【0046】
ここで、図15(a)(b)に示すように、ヒゲ43に対応する分割体85は、所定の角度まで回動させて、光源7からの抑毛光37を反射させてヒゲ43に向けて照射する。一方、ヒゲ43以外のホクロ41等に対応する分割体86は、回動させずにそのままの位置に保持する。
【0047】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0048】
本実施形態では、分割ミラー83を用いて抑毛光37を照射するため、所望の部位に抑毛光37を確実に照射することができる。
【0049】
[第4の実施形態]
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0050】
図16は、本発明の第4実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。なお、前述した第1〜第3の実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
この抑毛光照射装置91においては、ヒゲ剃り本体95の先端部にヒゲ43の切断部93を設けると共に、ヒゲ剃り本体95の側方に照射部97とカメラ9を配設している。具体的には、皮膚表面39のヒゲ43を切断する切断部93を、ヒゲ43剃り本体95の先端部の左右両側に一対に配設している。また、ヒゲ剃り本体95の側方(切断部の側方)には、光源7を有する照射部97が配設されており、ヒゲ43を剃る直前または直後の皮膚表面39に向けて抑毛光37を照射する。さらに、照射部97の側方には、カメラ9が取り付けられており、このカメラ9で皮膚表面39の画像を映し出すことができる。
【0052】
次いで、図16を用いて、第4実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0053】
まず、前記第1実施形態と同様に、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43および凸部44を含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0054】
ここで、ヒゲ43は切断部93によって切断されるため、切断された後のヒゲ43の残りの部分、または、これから切断されるヒゲ周辺部46に向けて抑毛光37を照射する。
【0055】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0056】
本実施形態では、ヒゲ43を切断する切断部93を更に備え、該切断部93の側方に前記照射部97とカメラ9を配設している。
【0057】
従って、抑毛光37を照射しつつ、前記切断部93によってヒゲ43を切断することができるため、抑毛光37の照射およびヒゲ43の切断の処理時間を短縮できる。また、ヒゲ43の切断後に抑毛光37の照射を行うと、抑毛光37がヒゲ43によって遮光されないため、効率的に毛根へ抑毛光37を照射できる。
【0058】
また、照射部97がひげ剃り本体95の左右両側に設けられているため、ひげ剃り本体95を図16における左右方向のいずれに移動させても、ひげ剃りの前後に抑毛光37を照射できる。
【0059】
[第5の実施形態]
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0060】
図17は、本発明の第5実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。なお、前述した第1〜第4の実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係る抑毛光照射装置101においては、ヒゲ剃り本体103の先端部の両側に一対に切断部93,93が配設されており、これらの切断部93,93の間に照射部105,105が一対に配設されている。
【0062】
次いで、図17を用いて、第5実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0063】
まず、前記第1実施形態と同様に、図外のカメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0064】
ここで、ヒゲ43は切断部93によって切断されるため、切断された後のヒゲ43の残りの部分、または、これから切断されるヒゲ43および凸部44に向けて抑毛光37を照射する。
【0065】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0066】
本実施形態では、ヒゲ43を切断する切断部93を更に備え、該切断部93の内側に前記照射部105を配設している。
【0067】
従って、抑毛光37を照射しつつ、前記切断部93によってヒゲ43を切断することができるため、抑毛光37の照射およびヒゲ43切断の処理時間を短縮できる。また、ヒゲ43の切断後に抑毛光37の照射を行うと、抑毛光37がヒゲ43によって遮光されないため、効率的に抑毛光37を照射できる。
【0068】
また、照射部105がひげ剃り本体103の左右両側に設けられているため、ひげ剃り本体103を図17における左右方向のいずれに移動させても、ひげ剃りの前後に抑毛光37を照射できる。
【0069】
[第6の実施形態]
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0070】
図18は本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図19は本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【0071】
図18に示すように、本実施形態に係る抑毛光照射装置111を構成するヒゲ剃り本体113の先端部には、側面視略U字状に湾曲した外刃120と、該外刃120の内側に配置された内刃119と、が配設されている。外刃120は網目状に形成されており、刃と刃の間には間隙121が形成されている。また、内刃119は、図18に示すように側面視で、外周縁が外刃120の内面に沿った形状で、図19に示すように、左右方向に所定間隔をおいて複数に配置されている。また、内刃119は、内刃支持部117を介して図外の駆動部に連結されており、図19の矢印方向に沿って往復移動することにより、外刃120と内刃119とでヒゲ43を切断する。
【0072】
また、ヒゲ剃り本体113(筐体)の内部における内刃119の上方には、光源7が左右一対に配設されている。この光源7から発せられた抑毛光37は、内刃119と外刃120の間隙121を通過して皮膚表面39のヒゲ周辺部46に向けて照射される。
【0073】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0074】
本実施形態では、抑毛光照射装置111の外周を筐体であるひげ剃り本体113によって覆うと共に、該筐体の先端部に、ヒゲ43を切断する切断部である外刃120および内刃119を設け、前記筐体の内部に前記照射部115と図外のカメラを配設した。従って、抑毛光37の照射とヒゲ43の切断とを同時に行うことができるため、これらの処理時間を短縮できる。
【実施例】
【0075】
次に、実施例を通して本発明を更に明確にする。
【0076】
[実施例1]
まず、抑毛光のエネルギーとヒゲの発毛抑制効果との関係について検証を行った。
【0077】
図20に示すように、顔の一方側の半分に本実施形態に係る抑毛光を照射した。具体的には、鼻下部(A)、顎部(B)、頬部(C)、顎下部(D)の4箇所に照射した。照射時間は、30mm×20mmの部位に1ショットで0.2秒間照射し、徐々に照射部位をずらすことによって、前記A〜Dの部位を毎日照射した。なお、顔の他方側の半分には、照射を行わなかった。この抑毛光は、波長域が700〜1200nmであり、図21に示すように、異なるエネルギーの抑毛光を継続して4週間照射した。なお、ヒゲ43の本数の割合(%)は、初期の本数を基準の100%とした場合の相対値として、前記A〜Dにおける合計の値によって測定し、図21のグラフに示す結果を得た。
【0078】
図21に示すように、エネルギーが0.01J/cm2および0.08J/cm2の場合には、4週間後のヒゲ43本数が98%であり、ほとんど減少しなかった。一方、エネルギーが0.1J/cm2の場合には、4週間後のヒゲ43本数が86%となり、0.14J/cm2の場合には77%となり、ヒゲ43の抑毛効果が大きく発揮された。なお、図21には示していないが、0.14J/cm2以上のエネルギーの場合は、更に大きなヒゲ43の抑毛効果を発揮することは明白である。
【0079】
[実施例2]
次に、本発明に係る抑毛光によるヒゲの発毛抑制効果を、抑毛光の波長域とヒゲの本数の減少率(%)との関係を調べることによって検証した。
【0080】
実施例1の場合と同様の顔の部位A〜Dに、顔の一方側の半分に波長域が400〜700nmの抑毛光を照射し、顔の他方側の半分には、波長域が700〜1200nmの抑毛光を照射した。照射期間は継続して4〜6週間とし、3人の被験者に対して検証を行った。
【0081】
ここで、ヒゲの本数の減少率の算出方法を簡単に説明する。抑毛光を照射したことによるヒゲの本数減少率をY(T)とし、照射された側のヒゲの本数減少率をY(F)とし、照射をしなかった側のヒゲの本数減少率をY(C)とすると、Y(T)=Y(F)−Y(C)である。一方、照射した領域における照射前のヒゲの本数をN(0)、照射した領域における照射期間経過後の消失したヒゲの本数をN(A)とすると、Y(F)=N(A)/N(0)となる。なお、Y(C)もY(F)と同様に求めることができる。3人の被験者における本数65〜100本のヒゲについて、照射前と照射後の長さを測定して平均値を算出した。その結果を図22のグラフに示す。
【0082】
図22に示すように、波長域が400〜700nmの抑毛光を照射した場合には、ヒゲの本数の減少率は23%であり、波長域が700〜1200nmの抑毛光を照射した場合には、ヒゲの本数の減少率は8%であった。このように、波長域が700〜1200nmよりも400〜700nmの方が発毛抑制効果が高いことが判明し、かつ、全く照射しない(即ち、0nm)の場合よりも発毛抑制効果が高いことが判明した。
【0083】
[実施例3]
次に、本発明に係る抑毛光によるヒゲの成長抑制効果を、抑毛光の波長域と成長抑制ヒゲの本数の増加率(%)との関係を調べることによって検証した。この成長抑制ヒゲの本数の増加率とは、ヒゲの成長速度の遅延率を意味する。
【0084】
実施例1,2の場合と同様の顔の部位A〜Dに、顔の一方側の半分に波長域が400〜700nmの抑毛光を毎日継続して照射し、顔の他方側の半分には、波長域が700〜1200nmの抑毛光を毎日継続して照射した。照射期間は継続して4〜6週間とし、3人の被験者に対して検証を行った。
【0085】
3人の被験者における本数65〜100本のヒゲについて、照射前と照射後の長さを測定して、ヒゲの伸びる成長速度が遅くなったヒゲの割合を求めて平均値を算出した。
【0086】
図24に示すように、波長域が400〜700nmでは、照射を行った場合は成長速度が遅い毛の割合は62.9%であり、照射を行わなかった場合は54.7%であった。従って、これらの差8.2%(62.9%−54.7%=8.2%)が、図23に示す成長抑制ヒゲの本数増加率となる。
【0087】
一方、図25に示すように、波長域が700〜1200nmでは、照射を行った場合は成長速度が遅い毛の割合は50.5%であり、照射を行わなかった場合は46.4%であった。従って、これらの差4.1%(50.5%−46.4%=4.1%)が、図23に示す成長抑制ヒゲの本数増加率となる。
【0088】
このように、波長域が700〜1200nmよりも400〜700nmの方がヒゲの成長抑制効果が高いことが判明し、かつ、全く照射しない(即ち、0nm)の場合よりも成長抑制効果が高いことが判明した。
【符号の説明】
【0089】
1,31,51,71,8191,101,111 抑毛光照射装置
5,97,105 照射部
7,115 光源
9,35 カメラ
37 抑毛光
39 皮膚表面
43 ヒゲ
93 切断部
113 ひげ剃り本体(筐体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、抑毛光照射装置に関する。更に詳しくは、人体のヒゲの発毛および成長を効果的に抑制することができる抑毛光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー光を用いて皮膚表面の体毛(例えば、ヒゲ)を切除する装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この切除装置は、レーザー光を発生させるレーザー源と、レーザー光を焦束させる光学手段と、レーザー光の照射位置を変えるマニピュレータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−501047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載された切除装置は、レーザー光によって体毛を切除するのみであり、体毛の発毛および成長を抑制する抑毛効果はない。また、使用するレーザー光のエネルギー密度が大きいため、皮膚表面に悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、肌面に対する影響を抑制しつつ、体毛の発毛および成長を効率的に抑制することができる抑毛光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、人体のヒゲの発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光をヒゲに向けて照射する抑毛光照射装置であって、前記抑毛光のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る抑毛光照射装置によれば、0.1〜10J/cm2のエネルギーの抑毛光を用いることで、ヒゲの発毛および成長を効果的に抑制することができる。また、人体の皮膚表面に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがある紫外線を使用しないため、皮膚への影響を抑えることができる。なお、本発明に係る抑毛光は、従来よりも小さいエネルギーを有するため、人体の皮膚表面に与える悪影響を更に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図2】図1のポリゴンミラーによって抑毛光を反射する状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の変形例の内部を示す概略的な断面図である。
【図4】図1の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。
【図5】図4のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図6】図5の画像を複数の領域に分割した状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図8】図7の照射部を示す斜視図である。
【図9】図7のメカニカルシャッターを示す正面図であり、(a)は閉じた状態のメカニカルシャッターを示し、(b)は開いた状態のメカニカルシャッターを示す。
【図10】図7の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。
【図11】図10のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図12】抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図14】図13のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図である。
【図15】本図のうち、(a)は分割ミラーが作動している状態を示す抑毛光照射装置の一部の断面図であり、(b)は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【図20】実施例1〜3において抑毛光を照射した人体の顔の部位を示す正面図である。
【図21】実施例1の結果を示すグラフであり、照射した抑毛光のエネルギーと照射後におけるヒゲの本数との関係を示す。
【図22】実施例2の結果を示すグラフであり、抑毛光の波長域とヒゲの本数減少率との関係を示す。
【図23】実施例3の結果を示すグラフであり、抑毛光の波長域と成長抑制ヒゲの本数増加率との関係を示す。
【図24】波長域が400〜700nmの抑毛光について、照射の有無と成長速度が遅い毛の割合を示すグラフである。
【図25】波長域が700〜1200nmの抑毛光について、照射の有無と成長速度が遅い毛の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置を説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図2は図1のポリゴンミラーによって抑毛光を反射する状態を示す側面図である。また、図3は本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置の変形例の内部を示す概略的な断面図、図4は図1の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図である。さらに、図5は図4のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図6は図5の画像を複数の領域に分割した状態を示す。
【0013】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る抑毛光照射装置1は、外面を覆う筐体3の内部に配設されたカメラ9、光源7、ポリゴンミラー群11、レンズ13を備えている。
【0014】
前記カメラ9は、筐体3の底壁面に固定されており、レンズ13を介して皮膚表面39の画像を映し出す。前記光源7は、筐体3の側壁面に設置されており、先端部から抑毛光37を照射する。この光源7は、例えば、キセノンランプ等を好適に用いることができる。前記ポリゴンミラー群11は、板状に形成された個々のポリゴンミラー17が厚さ方向に積層されたものであり、それぞれ1枚ごとのポリゴンミラー17が回転軸を中心にして回動可能に軸支されている。具体的には、1枚ごとのポリゴンミラー17は、両側に形成された側面21,21と、外周に沿って形成された反射面19とから側面視正六角状の板状部材に形成されている。また、図2に示すように、光源7から発せられた抑毛光37が、ポリゴンミラー17の反射面19に当たって反射するが、実線の位置にあるポリゴンミラー17が矢印方向に回転して二点鎖線の位置にきたときには、抑毛光37も二点鎖線の方向に向けて反射される。
【0015】
また、前記筐体3の端部には、前記カメラ9に対向する位置に照射部5が設けられている。該照射部5は、ポリゴンミラー群11で反射された抑毛光37がレンズ13を介して照射口23から照射されるように構成されている。
【0016】
なお、図3に示すように、カメラ9の配設位置を変更する態様も可能である。筐体3の側壁面を橋渡すレール34,34が設けられ、該レール34,34にカメラ9が走行可能に取り付けられている。これによって、皮膚表面39の画像を映し出すときには、カメラ9はレンズ13に対向する位置に配置され、抑毛光37を照射するときには、上側または下側にスライドして抑毛光37を遮光しないようにする。
【0017】
次いで、図4〜図6を用いて、第1実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0018】
まず、カメラ9を用いて、図5のような皮膚表面39の画像を映し出す。図5では、皮膚表面39にホクロ41やヒゲ43等が点在している。ここで、図5および図6に示すように、ヒゲ43の根本近傍の皮膚部分は、やや盛り上がった楕円状の凸部44になっている。
【0019】
次に、画像処理部において、図6のように、画像をポリゴンミラー17の厚さ分だけ分割した分割画像45とし、その分割画像において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域47を決定する。従って、唇を除くヒゲ43のみを選択することができる。そして、この照射領域47に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。このように、光源7は、ONとOFFを繰り返してポリゴンミラー17が所定角度になった時点で所望の照射領域47にだけ抑毛光37を照射することができる。
【0020】
ここで、照射スポットが皮膚表面39におけるヒゲ周辺部46の場合は、抑毛光37を照射するが、ホクロ41や皮膚の場合は、照射しないように光源7からの照射を制御する。これは、前記画像処理部からの信号が光源7に伝達され、ポリゴンミラー17が所定角度に回動したときに、光源7からの照射を行ったり停止したりする。図4では、照射スポットがヒゲ43の部位に位置したため、光源7から発した抑毛光37がポリゴンミラー17の反射面によって反射されたのち、レンズ13によって集約されたのち、ヒゲ周辺部46に照射される。
【0021】
次いで、本発明に係る抑毛光37について説明する。当該抑毛光37は、紫外線以外の光であり、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制する作用を有する。また、エネルギーは、0.1〜10J/cm2であるが、好ましくは、0.1〜1.0J/cm2であり、更に好ましくは0.1〜0.4J/cm2である。
【0022】
ここで、紫外線を含む光を抑毛光37とすると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。従って、本発明に係る抑毛光37は、紫外線を除く光とする。また、エネルギーが0.1J/cm2未満の場合は、後述する実施例1〜3に示すように、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が小さくなり好ましくない。一方、エネルギーが10J/cm2よりも大きくすると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。なお、エネルギーを高くするほどヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が高くなることは明らかであるが、皮膚表面39の悪影響を考慮することも必要である。従って、本発明に係る抑毛光37のエネルギーは、少なくとも0.1〜10J/cm2とする。
【0023】
さらに、抑毛光37の波長は、400〜1200nmが好ましい。後述する実施例1〜3に示すように、波長が400〜1200nmの抑毛光37を皮膚表面39に照射すると、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が高くなるからである。なお、抑毛光37の波長は、400〜700nmが更に好ましい。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
(1)本実施形態に係る抑毛光照射装置1は、人体のヒゲ43の発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光37をヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46に向けて照射する抑毛光照射装置1であって、前記抑毛光37のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定している。
【0026】
エネルギーが0.1J/cm2未満の場合は、ヒゲ43の発毛抑制効果および成長抑制効果が小さくなり好ましくない。一方、エネルギーが10J/cm2よりも大きくなると、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがあるため、好ましくない。このように、0.1〜10J/cm2のエネルギーの抑毛光37を用いることで、ヒゲ43の発毛および成長を効果的に抑制することができる。また、人体の皮膚表面39に対して悪影響(ダメージ)を与えるおそれがある紫外線を使用しないため、皮膚への影響を抑えることができる。
【0027】
なお、本実施形態に係る抑毛光37は、従来よりも小さいエネルギーを有するため、人体の皮膚表面39に与える悪影響を抑制することができる。
【0028】
(2)前記抑毛光37の波長は、400〜1200nmであるため、ヒゲ43の発毛および成長を更に効果的に抑制することができる。
【0029】
(3)皮膚表面39の画像をカメラ9を用いて映し出し、その画像からヒゲ43を選択する画像処理部と、該画像処理部の画像データに基づいて、抑毛光37をヒゲ43に向けて選択的に照射する照射部5と、を備えている。従って、ヒゲ43のない皮膚部分(特に、唇やホクロ41等)への抑毛光37の照射量を低減し、皮膚への影響を小さくすることができる。
【0030】
(4)前記画像処理部は、唇を除く皮膚部分のヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択する。このように、皮膚表面39のうち特に抑毛光37の影響を受けやすい唇部分への照射を防止することにより、皮膚への影響を更に小さくすることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0032】
図7は本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図8は図7の照射部を示す斜視図である。また、図9は図7のメカニカルシャッターを示す正面図であり、(a)は閉じた状態のメカニカルシャッターを示し、(b)は開いた状態のメカニカルシャッターを示す。図10は図7の抑毛光照射装置によって人体の皮膚表面に抑毛光を照射している状態を示す側面図、図11は図10のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図12は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。なお、前述した第1実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る抑毛光照射装置は、外面を覆う筐体の内部に配設されたカメラ9、光源7、ミラー53、メカニカルシャッター59、レンズ57を備えている。
【0034】
筐体3、カメラ9、光源7は、図1の第1実施形態に係る抑毛光照射装置のものと同一構造である。光源7の下方には、斜め方向に沿ってミラー53が配置されており、該ミラー53によって、光源7から発せられた抑毛光37を照射部5に向けて反射させる。
【0035】
また、照射部5には、図8に示すように、複数の円形の照射孔61が筐体3の長手方向に沿って貫通して形成されており、これらの照射孔61には、メカニカルシャッター59とレンズ57がそれぞれ配設されている。このメカニカルシャッター59は、複数(本実施形態では、6枚)のリーフ状のセクター63が周方向に沿って配設されており、これらのセクター63が開閉可能に構成されている。図9(a)は閉じた状態のメカニカルシャッター59を示し、図9(b)は開いた状態のメカニカルシャッター59を示している。なお、メカニカルシャッター59が閉じると、光源7からの抑毛光37がメカニカルシャッター59で遮光され、メカニカルシャッター59が開くと、抑毛光37が開口部65を介してレンズ57に送られたのち、照射孔61から照射される。なお、光源7は、連続して抑毛光37を発生させても良く、パルス光でも良い。
【0036】
次いで、図10〜図12を用いて、第2実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0037】
まず、前記第1実施形態と同様に、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域73を決定する。そして、この照射領域73に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0038】
ここで、照射スポットが皮膚表面39におけるヒゲ43に対応する照射孔61においては、メカニカルシャッター59が開き、抑毛光37がレンズ57を介して集約されたのちにヒゲ周辺部46に向けて照射される。一方、ホクロ41や皮膚等に対応する照射孔61においては、メカニカルシャッター59が閉じ、抑毛光37が遮断される。
【0039】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0040】
本実施形態では、メカニカルシャッター59を開閉させることにより抑毛光37を照射するため、所望の部位に抑毛光37を確実に照射することができる。
【0041】
[第3の実施形態]
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0042】
図13は本発明の第3実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図14は図13のカメラで皮膚表面を映し出した画像の概略図、図15のうち、(a)は分割ミラーが作動している状態を示す抑毛光照射装置の一部の断面図であり、(b)は抑毛光を照射する皮膚表面の部位を示す概略図である。なお、前述した第1および第2実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る抑毛光照射装置81においては、分割ミラー83を採用している。この分割ミラー83は、小さな矩形状の複数の分割体85,86からなり、回転軸を中心にしてそれぞれの分割体85,86が回動可能に軸支されている。そして、皮膚表面39における照射領域に向けて照射する分割体85,86は所定の角度まで回動させ、ホクロ41等の照射しない領域に対しては分割体85,86を回動させないようにする。
【0044】
次いで、図14〜図15を用いて、第3実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0045】
まず、前記第1実施形態と同様に、図14に示すように、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。即ち、本実施形態においても、図15(b)の二点鎖線に示すように、照射領域88は、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46である。
【0046】
ここで、図15(a)(b)に示すように、ヒゲ43に対応する分割体85は、所定の角度まで回動させて、光源7からの抑毛光37を反射させてヒゲ43に向けて照射する。一方、ヒゲ43以外のホクロ41等に対応する分割体86は、回動させずにそのままの位置に保持する。
【0047】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0048】
本実施形態では、分割ミラー83を用いて抑毛光37を照射するため、所望の部位に抑毛光37を確実に照射することができる。
【0049】
[第4の実施形態]
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0050】
図16は、本発明の第4実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。なお、前述した第1〜第3の実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
この抑毛光照射装置91においては、ヒゲ剃り本体95の先端部にヒゲ43の切断部93を設けると共に、ヒゲ剃り本体95の側方に照射部97とカメラ9を配設している。具体的には、皮膚表面39のヒゲ43を切断する切断部93を、ヒゲ43剃り本体95の先端部の左右両側に一対に配設している。また、ヒゲ剃り本体95の側方(切断部の側方)には、光源7を有する照射部97が配設されており、ヒゲ43を剃る直前または直後の皮膚表面39に向けて抑毛光37を照射する。さらに、照射部97の側方には、カメラ9が取り付けられており、このカメラ9で皮膚表面39の画像を映し出すことができる。
【0052】
次いで、図16を用いて、第4実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0053】
まず、前記第1実施形態と同様に、カメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43および凸部44を含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0054】
ここで、ヒゲ43は切断部93によって切断されるため、切断された後のヒゲ43の残りの部分、または、これから切断されるヒゲ周辺部46に向けて抑毛光37を照射する。
【0055】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0056】
本実施形態では、ヒゲ43を切断する切断部93を更に備え、該切断部93の側方に前記照射部97とカメラ9を配設している。
【0057】
従って、抑毛光37を照射しつつ、前記切断部93によってヒゲ43を切断することができるため、抑毛光37の照射およびヒゲ43の切断の処理時間を短縮できる。また、ヒゲ43の切断後に抑毛光37の照射を行うと、抑毛光37がヒゲ43によって遮光されないため、効率的に毛根へ抑毛光37を照射できる。
【0058】
また、照射部97がひげ剃り本体95の左右両側に設けられているため、ひげ剃り本体95を図16における左右方向のいずれに移動させても、ひげ剃りの前後に抑毛光37を照射できる。
【0059】
[第5の実施形態]
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0060】
図17は、本発明の第5実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。なお、前述した第1〜第4の実施形態と同一部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係る抑毛光照射装置101においては、ヒゲ剃り本体103の先端部の両側に一対に切断部93,93が配設されており、これらの切断部93,93の間に照射部105,105が一対に配設されている。
【0062】
次いで、図17を用いて、第5実施形態に係る抑毛光照射装置の作動要領を説明する。
【0063】
まず、前記第1実施形態と同様に、図外のカメラ9を用いて皮膚表面39の画像を映し出したのち、画像処理部において、ヒゲ43と凸部44とを含むヒゲ周辺部46を選択的に捉えて照射領域を決定する。そして、この照射領域に向けて、光源7から抑毛光37を照射する。
【0064】
ここで、ヒゲ43は切断部93によって切断されるため、切断された後のヒゲ43の残りの部分、または、これから切断されるヒゲ43および凸部44に向けて抑毛光37を照射する。
【0065】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0066】
本実施形態では、ヒゲ43を切断する切断部93を更に備え、該切断部93の内側に前記照射部105を配設している。
【0067】
従って、抑毛光37を照射しつつ、前記切断部93によってヒゲ43を切断することができるため、抑毛光37の照射およびヒゲ43切断の処理時間を短縮できる。また、ヒゲ43の切断後に抑毛光37の照射を行うと、抑毛光37がヒゲ43によって遮光されないため、効率的に抑毛光37を照射できる。
【0068】
また、照射部105がひげ剃り本体103の左右両側に設けられているため、ひげ剃り本体103を図17における左右方向のいずれに移動させても、ひげ剃りの前後に抑毛光37を照射できる。
【0069】
[第6の実施形態]
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0070】
図18は本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図、図19は本発明の第6実施形態に係る抑毛光照射装置の内部を示す概略的な断面図である。
【0071】
図18に示すように、本実施形態に係る抑毛光照射装置111を構成するヒゲ剃り本体113の先端部には、側面視略U字状に湾曲した外刃120と、該外刃120の内側に配置された内刃119と、が配設されている。外刃120は網目状に形成されており、刃と刃の間には間隙121が形成されている。また、内刃119は、図18に示すように側面視で、外周縁が外刃120の内面に沿った形状で、図19に示すように、左右方向に所定間隔をおいて複数に配置されている。また、内刃119は、内刃支持部117を介して図外の駆動部に連結されており、図19の矢印方向に沿って往復移動することにより、外刃120と内刃119とでヒゲ43を切断する。
【0072】
また、ヒゲ剃り本体113(筐体)の内部における内刃119の上方には、光源7が左右一対に配設されている。この光源7から発せられた抑毛光37は、内刃119と外刃120の間隙121を通過して皮膚表面39のヒゲ周辺部46に向けて照射される。
【0073】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0074】
本実施形態では、抑毛光照射装置111の外周を筐体であるひげ剃り本体113によって覆うと共に、該筐体の先端部に、ヒゲ43を切断する切断部である外刃120および内刃119を設け、前記筐体の内部に前記照射部115と図外のカメラを配設した。従って、抑毛光37の照射とヒゲ43の切断とを同時に行うことができるため、これらの処理時間を短縮できる。
【実施例】
【0075】
次に、実施例を通して本発明を更に明確にする。
【0076】
[実施例1]
まず、抑毛光のエネルギーとヒゲの発毛抑制効果との関係について検証を行った。
【0077】
図20に示すように、顔の一方側の半分に本実施形態に係る抑毛光を照射した。具体的には、鼻下部(A)、顎部(B)、頬部(C)、顎下部(D)の4箇所に照射した。照射時間は、30mm×20mmの部位に1ショットで0.2秒間照射し、徐々に照射部位をずらすことによって、前記A〜Dの部位を毎日照射した。なお、顔の他方側の半分には、照射を行わなかった。この抑毛光は、波長域が700〜1200nmであり、図21に示すように、異なるエネルギーの抑毛光を継続して4週間照射した。なお、ヒゲ43の本数の割合(%)は、初期の本数を基準の100%とした場合の相対値として、前記A〜Dにおける合計の値によって測定し、図21のグラフに示す結果を得た。
【0078】
図21に示すように、エネルギーが0.01J/cm2および0.08J/cm2の場合には、4週間後のヒゲ43本数が98%であり、ほとんど減少しなかった。一方、エネルギーが0.1J/cm2の場合には、4週間後のヒゲ43本数が86%となり、0.14J/cm2の場合には77%となり、ヒゲ43の抑毛効果が大きく発揮された。なお、図21には示していないが、0.14J/cm2以上のエネルギーの場合は、更に大きなヒゲ43の抑毛効果を発揮することは明白である。
【0079】
[実施例2]
次に、本発明に係る抑毛光によるヒゲの発毛抑制効果を、抑毛光の波長域とヒゲの本数の減少率(%)との関係を調べることによって検証した。
【0080】
実施例1の場合と同様の顔の部位A〜Dに、顔の一方側の半分に波長域が400〜700nmの抑毛光を照射し、顔の他方側の半分には、波長域が700〜1200nmの抑毛光を照射した。照射期間は継続して4〜6週間とし、3人の被験者に対して検証を行った。
【0081】
ここで、ヒゲの本数の減少率の算出方法を簡単に説明する。抑毛光を照射したことによるヒゲの本数減少率をY(T)とし、照射された側のヒゲの本数減少率をY(F)とし、照射をしなかった側のヒゲの本数減少率をY(C)とすると、Y(T)=Y(F)−Y(C)である。一方、照射した領域における照射前のヒゲの本数をN(0)、照射した領域における照射期間経過後の消失したヒゲの本数をN(A)とすると、Y(F)=N(A)/N(0)となる。なお、Y(C)もY(F)と同様に求めることができる。3人の被験者における本数65〜100本のヒゲについて、照射前と照射後の長さを測定して平均値を算出した。その結果を図22のグラフに示す。
【0082】
図22に示すように、波長域が400〜700nmの抑毛光を照射した場合には、ヒゲの本数の減少率は23%であり、波長域が700〜1200nmの抑毛光を照射した場合には、ヒゲの本数の減少率は8%であった。このように、波長域が700〜1200nmよりも400〜700nmの方が発毛抑制効果が高いことが判明し、かつ、全く照射しない(即ち、0nm)の場合よりも発毛抑制効果が高いことが判明した。
【0083】
[実施例3]
次に、本発明に係る抑毛光によるヒゲの成長抑制効果を、抑毛光の波長域と成長抑制ヒゲの本数の増加率(%)との関係を調べることによって検証した。この成長抑制ヒゲの本数の増加率とは、ヒゲの成長速度の遅延率を意味する。
【0084】
実施例1,2の場合と同様の顔の部位A〜Dに、顔の一方側の半分に波長域が400〜700nmの抑毛光を毎日継続して照射し、顔の他方側の半分には、波長域が700〜1200nmの抑毛光を毎日継続して照射した。照射期間は継続して4〜6週間とし、3人の被験者に対して検証を行った。
【0085】
3人の被験者における本数65〜100本のヒゲについて、照射前と照射後の長さを測定して、ヒゲの伸びる成長速度が遅くなったヒゲの割合を求めて平均値を算出した。
【0086】
図24に示すように、波長域が400〜700nmでは、照射を行った場合は成長速度が遅い毛の割合は62.9%であり、照射を行わなかった場合は54.7%であった。従って、これらの差8.2%(62.9%−54.7%=8.2%)が、図23に示す成長抑制ヒゲの本数増加率となる。
【0087】
一方、図25に示すように、波長域が700〜1200nmでは、照射を行った場合は成長速度が遅い毛の割合は50.5%であり、照射を行わなかった場合は46.4%であった。従って、これらの差4.1%(50.5%−46.4%=4.1%)が、図23に示す成長抑制ヒゲの本数増加率となる。
【0088】
このように、波長域が700〜1200nmよりも400〜700nmの方がヒゲの成長抑制効果が高いことが判明し、かつ、全く照射しない(即ち、0nm)の場合よりも成長抑制効果が高いことが判明した。
【符号の説明】
【0089】
1,31,51,71,8191,101,111 抑毛光照射装置
5,97,105 照射部
7,115 光源
9,35 カメラ
37 抑毛光
39 皮膚表面
43 ヒゲ
93 切断部
113 ひげ剃り本体(筐体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体のヒゲの発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光をヒゲに向けて照射する抑毛光照射装置であって、
前記抑毛光のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定したことを特徴とする抑毛光照射装置。
【請求項2】
前記抑毛光の波長は、400〜1200nmであることを特徴とする請求項1に記載の抑毛光照射装置。
【請求項3】
皮膚表面の画像をカメラを用いて映し出し、その画像からヒゲを選択する画像処理部と、該画像処理部の画像データに基づいて、抑毛光をヒゲに向けて選択的に照射する照射部と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の抑毛光照射装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、唇を除く皮膚部分のヒゲを選択することを特徴とする請求項3に記載の抑毛光照射装置。
【請求項5】
ヒゲを切断する切断部を更に備え、該切断部の側方に前記照射部とカメラを配設したことを特徴とする請求項3または4に記載の抑毛光照射装置。
【請求項6】
抑毛光照射装置の外周を筐体によって覆うと共に、該筐体の先端部に、ヒゲを切断する切断部を設け、前記筐体の内部に前記照射部とカメラを配設したことを特徴とする請求項3または4に記載の抑毛光照射装置。
【請求項1】
人体のヒゲの発毛および成長を抑制すると共に、紫外線以外の光である抑毛光をヒゲに向けて照射する抑毛光照射装置であって、
前記抑毛光のエネルギーを、0.1〜10J/cm2に設定したことを特徴とする抑毛光照射装置。
【請求項2】
前記抑毛光の波長は、400〜1200nmであることを特徴とする請求項1に記載の抑毛光照射装置。
【請求項3】
皮膚表面の画像をカメラを用いて映し出し、その画像からヒゲを選択する画像処理部と、該画像処理部の画像データに基づいて、抑毛光をヒゲに向けて選択的に照射する照射部と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の抑毛光照射装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、唇を除く皮膚部分のヒゲを選択することを特徴とする請求項3に記載の抑毛光照射装置。
【請求項5】
ヒゲを切断する切断部を更に備え、該切断部の側方に前記照射部とカメラを配設したことを特徴とする請求項3または4に記載の抑毛光照射装置。
【請求項6】
抑毛光照射装置の外周を筐体によって覆うと共に、該筐体の先端部に、ヒゲを切断する切断部を設け、前記筐体の内部に前記照射部とカメラを配設したことを特徴とする請求項3または4に記載の抑毛光照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−167450(P2011−167450A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36063(P2010−36063)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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