説明

投与器

接着材料を投与および/または塗布する塗布装置は、閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分を具備する。空洞は重合可能な接着材料を有する壊れやすい容器を受け入れるようサイズ決めされる。本体部分と一体化した、周囲間隙を有する、少なくとも1つの破断用部材は、空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する。本体部分に対して運動可能な環状ハウジングは、第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有し、第1および第2係合部材は協働して相互に係合可能である。環状ハウジングが、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して動かされると、少なくとも1つの破断可能な部材の少なくとも一部が、空洞の中へと偏向される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本発明は、接着剤塗布装置などの投与器に関し、詳細には、重合可能な接着組成物を塗布/投与するための接着剤塗布装置に関する。
【0002】
〔背景〕
モノマーおよびポリマー接着剤は、工業用(家庭を含む)および医療用の適用の双方において使用される。こうした接着剤には、1,1‐2置換エチレンのモノマーおよびポリマー(1,1-disubstituted ethylene monomers and polymers)、例えばα‐シアノアクリレートが含まれる。このようなモノマーおよびポリマーの接着性特質の発見以来、それらが硬化するスピード、結果的に形成される結合の強度、および、それらの使用の相対的な容易性によって、幅広い使用が見出されてきた。こうした特徴によって、α‐シアノアクリレート接着剤は、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材、および、比較的最近では生体組織の結合など、多くの適用における主要な選択肢とされている。
【0003】
α‐シアノアクリレートのモノマー形態は、極めて反応がよく、空気中または(ヒトを含む)動物の組織などの湿った表面上に存在する水分を含め、微量の開始剤が存在する中でも急速に重合することが知られている。α‐シアノアクリレートのモノマーは、ポリマーを形成するのに、陰イオン重合が可能であるか、フリーラジカル重合が可能であるか、または、双性イオンもしくはイオン対による重合が可能である。いったん重合が開始されると、硬化速度は、非常に急速であり得る。
【0004】
1,1‐2置換エチレンの接着組成物の医療用の適用には、創傷部縫合における外科用縫合糸および/またはステープルの代替物または補助物としての使用、ならびに、裂傷、擦過傷、火傷、口内炎、糜爛、小さな切傷およびかすり傷、ならびにその他の創傷などの表面創傷を覆って保護するための使用が含まれる。接着剤は、接合されるべき表面に塗布されるとき、通常はモノマー形態で塗布され、結果として生じる重合が、所望の接着結合をもたらす。
【0005】
しかしながら、モノマー形態の接着または密封材料(adhesive or sealant material)を塗布する必要性により、および、モノマーの急速な重合速度により、効果的で、商業的に実現可能な塗布器および/または投与器を設計することは、非常に困難であった。このような塗布器および/または投与器は、モノマーが時期尚早には重合しないこと、モノマーが容易に塗布されること、モノマーが、塗布の際に所望の速度で重合すること、ならびに、モノマーと塗布器の衛生および/または滅菌特質が維持されること、という、相反する要件のバランスを取らなければならない。
【0006】
既知の塗布器および/または投与器に伴う問題には、例えば、接着または密封材料が重力によってのみ塗布装置から供給されるということが含まれる。このような重力供給方法は、使用の間における塗布装置からの接着または密封材料の流出に対する所望の制御を備え得ない。さらには、既知の塗布器/投与器は、使用時における接着または密封材料の設置に対する良好な制御を備え得ない。
【0007】
〔概要〕
上記の必要性は、接着または密封組成物の経済的かつ効率的な使用を可能にする塗布器および投与器を提供することによって、対処される。ある実施形態では、ユーザーにとって使い勝手の良い塗布器および/または投与器が提供される。
【0008】
一実施形態では、重合可能な接着材料を投与するための塗布装置が提供される。塗布装置は、閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分を具備する。空洞は、重合可能な接着材料を有する壊れやすい容器を受け入れるようサイズ決めされる。少なくとも1つの破断用部材は本体部分と一体化しており、各破断用部材は周囲間隙を有する。少なくとも1つの破断用部材は、空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する。環状ハウジングは、本体部分に対して運動可能であり、少なくとも1つの第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有し、第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である。貯蔵部は、本体部分の開いた遠位端部に固定され、貯蔵部は、塗布手段を有する。保持用部材は、本体部分と貯蔵部との間に位置する。環状ハウジングが、第1および第2係合部材が協働して相互に係合してない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して動かされると、破断用部材の少なくとも一部は、空洞の中へと偏向され、壊れやすい容器を破断させるかまたは突き刺し、接着材料を貯蔵部の中へと流出させる。
【0009】
別の実施形態では、重合可能な接着材料を投与するための塗布装置が提供される。塗布装置は、閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分を具備する。複数の破断用部材は本体部分と一体化しており、各破断用部材は周囲間隙を有し、複数の破断用部材は、空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する。少なくとも1つの半剛体セクションは、複数の破断用部材のそれぞれに密封可能に接触し、対応する各周囲間隙を密封可能に覆う。環状ハウジングは、本体部分に対して円周で回転可能であり、第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有し、第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である。貯蔵部は、本体部分の開いた遠位端部に固定される。貯蔵部は、塗布手段を具備する遠位開口部を有する。保持用部材は、本体部分と貯蔵部との間に位置する。流出制限部は、貯蔵部の遠位開口部の近位側にある。重合可能なモノマー接着材料の壊れやすい容器は、閉じた近位端部と保持用部材との間の空洞の内部に配される。環状ハウジングが、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して円周で回転されると、破断用部材の少なくとも一部は、空洞の中へと偏向され、壊れやすい容器を破断させるかまたは突き刺し、接着材料を貯蔵部の中へと流出させる。
【0010】
別の実施形態では、接着材料を塗布/投与する方法が提供される。方法は、接着材料を投与および/または塗布するための塗布装置を提供することを具備する。塗布装置は、閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分を具備する。少なくとも1つの破断用部材は本体部分と一体化しており、各破断用部材は周囲間隙を有し、少なくとも1つの破断用部材は、空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能である。各破断用部材は第1係合部材を有する。環状ハウジングは、本体部分に対して運動可能であり、第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有し、第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である。貯蔵部は、本体部分の開いた遠位端部に固定され、貯蔵部は、塗布手段を具備する遠位開口部をさらに有する。保持用部材は、本体部分と貯蔵部との間に位置し、接着材料の壊れやすい容器は、閉じた近位端部と保持用部材との間の空洞の内部に配される。環状ハウジングを、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して動かすことで、破断用部材の少なくとも一部を空洞の中へと偏向させ、壊れやすい容器を破断させるかまたは突き刺す。貯蔵部を絞ることで、貯蔵部の内部に正の圧力を提供し、接着材料を貯蔵部から基材(substrate)に投与する。絞られた貯蔵部を解放することで、接着材料を空洞の内部の容器から貯蔵部の中に追い込むように、貯蔵部の内部に負の圧力を作り出す。
【0011】
〔詳細な説明〕
ある実施形態では、塗布器および/または投与器(以降、本明細書において「塗布装置」として言及される)は、接着または密封材料を混合、投与、および/または塗布するための、手による操作を容易にするよう設計される。例えば、使用者に親近感を与えるペン型の塗布器および/または投与器が提供される。ある実施形態では、塗布器は、装置からの接着剤の漏出を削減または排除するよう、使用者によって固定的に把持されるよう、使用者にとってより快適であるよう、および/または、より容易に作動できるよう、設計される。塗布器は、塗布装置上での「手の前方(hands forward)」位置を備え、接着または密封材料の設置に対する、より好適な制御を提供する。加えて、アクチュエーターの設置および長さは、手の前方位置を維持しつつ、塗布器の使用の容易性を備え、それによって、接着または密封材料の流出および方向付けに対する、より好適な制御を備える。ある実施形態では、アクチュエーターは、塗布器の本体と同一平面となるように、本体部分の中へと陥入してよい。
【0012】
詳細には、実施形態は、接着または密封材料を投与、混合、および/または塗布するための塗布装置に向けられており、塗布装置は、本体部分、本体部分内の空洞、本体部分に対して運動可能なアクチュエーター、および、本体部分と一体化しており、アクチュエーターにより協働的に係合可能な、少なくとも1つの破断用部材を具備し、本体部分に対するアクチュエーターの運動は、少なくとも1つの破断用部材の少なくとも一部を本体部分の空洞の中へと動かす。
【0013】
ある実施形態では、塗布装置は本体部分を具備する。本体部分は、閉じた近位端部、および本体部分の内部に空洞を形成する開いた遠位端部を含む。空洞は、接着または密封材料の壊れやすい容器を受け入れるようサイズ決めされてよい。本体部分は、1つ以上の本体セグメントを具備してよい。閉じた遠位端部は、使用時に、壊れやすい容器を挿入するための、ネジキャップまたはスナップ留めキャップなどの再密封可能な手段を具備してよい。ネジキャップまたはスナップ留めキャップは、好ましくは、本体と密封する際にロック留めして再開封を防ぐよう設計される。本体部分または本体部分の本体セグメントは、成型または機械加工されてよい。
【0014】
様々な実施形態では、塗布装置は、空洞の内部に少なくとも部分的に配された、接着または密封材料の壊れやすい容器をさらに具備し、本体部分に対するアクチュエーターの運動は、1つ以上の破断用部材を動かして壊れやすい容器を破裂させる。
【0015】
ある実施形態では、本体部分または本体部分の本体セグメントは、少なくとも1つの破断用部材を具備する。破断用部材は、本体部分の1つ以上の周囲間隙から形成される。破断用部材は、近位側で本体部分と一体化していて、遠位側で本体部分の長さ方向軸に概して平行な方向に延びてよい。代替的に、破断用部材は、遠位側で本体部分と一体化していて、近位側で本体部分の長さ方向軸と概して平行な方向に延びてよい。破断用部材は、円周で本体部分と一体化してよい。破断用部材は、その少なくとも一部が空洞に入るように、偏向可能である。破断用部材は1つのみであっても、または複数であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「複数」とは、少なくとも2つを指す。ある実施形態では、2つの破断用部材がある。破断用部材は、その遠位端部の近くまたは遠位端部に第1係合部材を具備する。第1係合部材は、丸い突出物、歯部、突起部、またはその相当物であってよい。第1係合部材は、代替的に、凹部、カムレース(cam race)、またはその相当物であってよい。1つ以上の破断用部材は、偏向によって1つ以上の破断用部材の少なくとも一部が空洞に入るように、本体部分または本体部分の本体セグメントのどこに位置付けられてもよい。
【0016】
ある実施形態では、塗布装置は、少なくとも1つの半剛体セクションを具備する。半剛体セクションは、接着材料が塗布装置の本体部分から漏出するのを制限するように、密封を提供する。半剛体セクションは、少なくとも1つの破断用部材のそれぞれに密封可能に接触し、対応する各周囲間隙を密封可能に覆う。複数の破断用部材および対応する間隙があってよく、それらは、単一の半剛体セクションによって接触および密封される。代替的に、各破断用部材および対応する間隙は、別個の半剛体セクションによって接触および密封されてよい。半剛体部分は、本体部分の破断用部材および対応する間隙の周りに密封を提供し、壊れやすい容器が破裂された後の空洞からの漏出を削減または排除する。ある実施形態では、半剛体部分は、破断用部材の係合部材の少なくとも一部を除いて、破断用部材に本質的に覆いかぶさることによって、破断用部材に密封可能に接触する。このことは、破断用部材の係合部材の外向きの突起部のための穴などの孔を半剛体セクションに提供することによって達成されてよい。半剛体部分は、概して、本体部分より剛性の弱い材料からなる。半剛体部分は、熱可塑性エラストマーであってよい。半剛体セクションは、共射出成型、挿入成型、またはオーバーモールドによって形成されてよい。ある実施形態では、半剛体セクションは、本体部分または本体部分の本体セグメントから、例えば、薄壁セクションとして、形成されてよい。
【0017】
ある実施形態では、塗布装置は、アクチュエーターを具備する。ある実施形態では、アクチュエーターは、運動可能な環状ハウジングまたは環状カラーを具備する。用語「環状ハウジング」および「環状カラー」は、本明細書において交換可能に使用される。環状ハウジングは、第2係合部材を包含してよい。運動可能な環状ハウジングの第2係合部材は、破断用部材の少なくとも1つの第1係合部材に係合する。第2係合部材は、第1係合部材に対して相補的である。例えば、第1係合部材が、丸い突出物、歯部、突起部、またはその相当物であるとき、第2係合部材は、カム、カムレース、もしくはその相当物、または、厚みの増した壁セクションであってよい。代替的に、第1係合部材が、カム、カムレース、もしくはその相当物、または、厚みの増した壁セクションである場合、第2係合部材は、丸い突出物、歯部、突起部、またはその相当物であってよい。
【0018】
ある実施形態では、アクチュエーターは、本体部分に運動可能に据え付けられた環状ハウジングを具備する。環状ハウジングは、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分において、円周で回転可能であるか、または、軸方向に運動可能に据え付けられてよく、よって、環状ハウジングが第2位置にあるとき、破断用部材は、空洞の中へと偏向されるようになる。ある実施形態では、環状ハウジングは、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して円周で回転可能であり、よって、環状ハウジングが第2位置にあるとき、破断用部材は、空洞の中へと偏向されるようになる。ある実施形態において、環状ハウジングは、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して軸方向に運動可能であり、よって、環状ハウジングが第2位置にあるとき、破断用部材は、空洞の中へと偏向されるようになる。ある実施形態において、環状ハウジングは、第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、本体部分に対して円周で回転可能かつ非軸方向に運動可能であり、よって、環状ハウジングが第2位置にあるとき、破断用部材は、空洞の中へと偏向されるようになる。例示として、第1位置から第2位置への環状ハウジングの運動によって、第1および第2係合部材は、協働して相互に係合され、よって、少なくとも1つの破断用部材の少なくとも一部は、空洞の中へと偏向されて、壊れやすい容器を破裂させる。ある実施形態では、破断用部材の少なくとも一部を空洞の中へと動かす、本体部分に対するアクチュエーターの運動は、塗布装置の使用の前には抑制される。
【0019】
ある実施形態では、塗布装置は、本体部分の開いた遠位端部に少なくとも部分的に配された保持用部材をさらに具備する。保持用部材は、本体部分と貯蔵部との間に位置付けられてよい。保持用部材は、重合可能な接着材料の流出を、本体部分から貯蔵部の中へと方向付け、また/または、通気(venting)を提供する。保持用部材は、破断された壊れやすい容器の砕片を本体部分の内部に拘束する。保持用部材は、好ましくは、貯蔵部の遠位開口部の近位側に位置付けられる。保持用部材は、多孔性、吸収性、および本質的に吸着性のうちの少なくとも1つである材料で作られてよい。保持用部材は、浸潤性材料(wicking materials)で作られてよい。保持用部材は、通気要素と組み合わせた一方向流出制御要素を具備してよく、よって、接着または密封材料が空洞を同時に離れると空気が空洞に容易にまたは妨げなく入るようになる。ある実施形態では、保持用部材は、複数の孔を含んでよい。例えば、保持用部材は、概して小さい孔によって円周を囲まれた概して中心にある孔を具備してよく、よって、接着または密封材料が空洞を同時に離れると空気が空洞に容易にまたは妨げなく入るようになる。
【0020】
ある実施形態では、保持用部材は、破断された壊れやすい容器の小片が空洞を出るのを防ぐためにフィルターをさらに具備してよい。フィルターは、保持用部材と壊れやすい容器との間に位置付けられてよい。代替的に、フィルターは、保持用部材がフィルターと壊れやすい容器との間にくるように、位置付けられてよい。フィルターは、保持用部材と一体化していてよい。フィルターは、いかなる材料でもよく、または、重合可能な接着材料に適合可能であるか、もしくは相互作用しないものであってよい。例示として、フィルターは、スクリーン、または、多孔性ディスクであってよい。さらに例示として、フィルターは、ポリエチレン(例えば、高密度または超高分子量の)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ガラス、または穴でエッチングされた金属からなってもよい。ある実施形態では、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤および安定剤のうちの少なくとも1つが、保持用部材の中もしくは上、および/またはフィルターの中もしくは上にある。
【0021】
ある実施形態では、塗布装置は、本体部分の開いた遠位端部に固定された貯蔵部をさらに具備する。貯蔵部は、空洞と流体連通しており、接着または密封材料を受容する。貯蔵部は、本質的に中空の室であり、貯蔵部、サイフォン、および/または投与用ポンプとして機能してよい。貯蔵部は、絞られた後に解放されると、空洞から接着剤を吸い上げることができ、これは、貯蔵部が元の形状へ回復することによって引き起こされる圧力差による。貯蔵部は、可撓性、半可撓性、半剛体、補強体または外骨格(exoskeleton)であってよい。ある実施形態では、貯蔵部は可撓性である。貯蔵部は、ポリシリコーン、KRATON(登録商標)、ポリウレタン、熱可塑性エラストマーなどの、接着または密封材料に適合可能ないかなる材料からなってもよい。ある実施形態では、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および安定剤のうちの少なくとも1つが、貯蔵部の中または上にある。貯蔵部は、例えば、液体射出成型(LIM)などにより、成型されてよい。
【0022】
ある実施形態では、塗布装置は、貯蔵部に接続されるか、または貯蔵部と一体化した、塗布装置先端部などの塗布手段をさらに具備する。ある実施形態では、塗布手段は、チューブ、ノズル、へら、回転ボール、ブラシ、およびスポンジのうちの1つを具備してよい。ある実施形態では、塗布装置先端部などの塗布手段は、取り外し可能、および/または、交換可能である。塗布器の先端部の例は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許第6,425,704号、および第6,705,790号に見出すことができる。
【0023】
ある実施形態では、塗布装置は、塗布装置先端部の近位側の貯蔵部内に配された流出制限部をさらに具備し、流出制限部は、材料が貯蔵部から投与されているときに、材料の制限された流出を提供する。流出制限部は、塗布装置先端部の近位側に摩擦により固定されてよい。流出制限部は、機械加工されたプラグであってよく、孔を包含してよい。流出制限部は、好ましくは、保持用部材よりもいっそう流出を制限し、および/または本体部分から貯蔵部への流体の通路をフィルターにかける。ある実施形態では、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および安定剤のうちの少なくとも1つが、流出制限部の中または上にある。ある実施形態では、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および安定剤のうちの少なくとも1つが、保持用部材/フィルターの中もしくは上、貯蔵部の中もしくは上、流出制限部の中もしくは上、および/または、塗布手段の中もしくは上にある。
【0024】
他の実施形態では、接着または密封材料を塗布/投与する方法が提供される。方法は、接着または密封材料の容器を少なくとも部分的に塗布装置の空洞内に含む塗布装置を提供することと、;本体部分に対してアクチュエーターを動かして破断用部材を偏向させ容器を破裂させることと、;可撓性の貯蔵部を絞って接着剤を空洞から吸い上げることと、;接着または密封材料を貯蔵部から投与することと、を具備する。ある実施形態では、方法は、結合されるべき基材に、投与された接着または密封材料を塗布することをさらに具備する。特に医療の実施形態において、基材は、接着剤または密封材を要する、生きた組織を含めたいかなる材料であってもよい。基材は、メッシュなどの可撓性材料であってよい。ある実施形態では、メッシュは、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および/もしくは安定剤、ならびに/または、接着材料のうちの少なくとも1つを具備する。
【0025】
他の実施形態では、方法は、塗布装置の空洞の中に少なくとも部分的に接着または密封材料の容器を設置することと、;本体部分に対してアクチュエーターを動かして破断用部材を偏向させ容器を破裂させることと、;可撓性の貯蔵部を絞って空洞から接着剤を吸い上げることと、貯蔵部から接着または密封材料を投与することと、を具備する。
【0026】
ある実施形態では、塗布装置は、1つ以上の接着または密封材料を含む壊れやすい容器を具備する。本明細書で使用される場合、用語「アンプル」および「カートリッジ」は、交換可能に使用され、接着剤もしくは接着組成物、または密封材料を含有することのできる壊れやすい容器を指す。容器に関連しての用語「壊れやすい」は、概して、容器の内容物が解放されるように、簡単にまたは容易に、破断または破裂される容器の能力を指す。接着または密封材料は、重合可能なモノマーの接着または密封材料を具備してよい。ある実施形態では、接着または密封材料は、重合可能な1,1‐2置換エチレンのモノマー調合物を具備する。ある実施形態では、接着または密封材料は、シアノアクリレート調合物を具備する。ある実施形態では、合成接着材料、例えばポリウレタン、ポリエチレングリコール、アクリレート、グルタルアルデヒド、および、生物学に基づく接着剤などが使用されてよい。
【0027】
塗布器/投与器の壊れやすい容器に使用されてよいモノマーは、ポリマーを形成するのに、簡単に重合可能であり、例えば、陰イオン重合が可能であるか、フリーラジカル重合が可能であるか、または、双性イオンもしくはイオン対による重合が可能である。こうしたモノマーのいくつかは、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、例えば、Leungらの米国特許第5,328,687号に開示される。好ましくは、シアノアクリレート接着組成物は、重合可能な1つ以上のシアノアクリレートモノマーを具備し、生体適合性がある。用語「生体適合性がある」とは、医療装置に適し、かつ医療装置の要件に見合う材料であって、長期もしくは短期のインプラント物のために、または埋め込み可能でない適用のために使用され、よって、意図される場所に埋め込まれるかまたは適用されると、材料は、許容不可能な反応を引き起こすことなく、要求される期間にわたって意図される機能を果たす、材料を指す。長期のインプラント物とは、30日より長い間、埋め込まれる物品として定義される。
【0028】
重合可能な1つ以上のシアノアクリレートモノマーを具備するシアノアクリレート接着組成物は、シアノアクリレートモノマーの組み合わせまたは混合物を含んでよい。
【0029】
例示として、有用なモノマーには、式(I)のα‐シアノアクリレートが含まれる。これらのモノマーは、当業分野で既知であり、下記の式を有し、
【化1】

ここで、Rは水素であり、Rは、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基(substituted hydrocarbyl group);式‐‐R‐O‐R‐O‐Rを有する基であって、ここで、Rは2〜4の炭素原子を有する1,2アルキレン基であり、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である、基;または、下記の式を有する基であって、
【化2】

ここで、Rは、
【化3】

であり、
ここで、nは1〜10、好ましくは1〜5の炭素原子であり、Rは有機部分である、基である。
【0030】
適するヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基の例には、1〜16の炭素原子を有する直鎖または有枝鎖アルキル基、;アシロキシ(acyloxy)基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアン基、またはハロアルキル基で置換された直鎖または有枝鎖C〜C16アルキル基、;2〜16の炭素原子を有する直鎖または有枝鎖アルケニル基;2〜12の炭素原子を有する直鎖または有枝鎖アルキニル基、;シクロアルキル基、;アラルキル基、;アルキルアリール基、;および、アリール基が含まれる。
【0031】
有機部分Rは、置換されても置換されなくてもよく、また、直鎖、有枝もしくは環式の、飽和した、飽和していない、または、芳香族のものであってよい。このような有機部分の例には、C〜Cアルキル部分、C〜Cアルケニル部分、C〜Cアルキニル部分、C〜C12脂環式部分、アリール部分、例えばフェニルおよび置換フェニル、ならびに、アラルキル部分、例えばベンジル、メチルベンジルおよびフェニルエチルが含まれる。他の有機部分には、置換炭化水素部分(substituted hydrocarbon moieties)、例えば、ハロ(例えば、クロロ‐、フルオロ‐、および臭素‐)置換炭化水素、および、酸素置換炭化水素(例えばアルコシキ置換炭化水素)部分が含まれる。好ましい有機基(organic radicals)は、1〜約8の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、およびアルキニル部分、ならびに、それらのハロ置換誘導体である。特に好ましいのは、4〜6の炭素原子のアルキル部分である。
【0032】
式(I)のシアノクリレートモノマーでは、Rは、1〜10の炭素原子を有するアルキル基または式‐AORを有する基であってよく、ここで、Aは、2〜8の炭素原子を有する二価直鎖または有枝鎖アルキレンまたはオキシアルキレン部分であり、Rは、1〜8の炭素原子を有する直鎖または有枝鎖アルキル部分(straight or branched alkyl moiety)である。
【0033】
式‐AORで表される基の例には、1‐メトキシ‐2‐プロピル、2-ブトキシエチル、イソプロポキシエチル、2‐メトキシエチル、および2‐エトキシエチルが含まれる。
【0034】
式(I)のα‐シアノアクリレートは、当業分野で既知の方法によって準備されてよい。参照によりそれぞれその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許第2,721,858号および第3,254,111号は、α‐シアノアクリレートを準備するための方法を開示している。例えば、α‐シアノアクリレートは、非水性の有機溶媒中および塩基性触媒の存在中で、シアノ酢酸アルキルをホルムアルデヒドと反応させて、続いて、重合抑制剤の存在中の無水の中間物ポリマー(anhydrous intermediate polymer)の熱分解によって、準備されてよい。
【0035】
式(I)のα‐シアノアクリレートであって、ここでRは式R‐O‐R‐O‐Rを有する基である、式(I)のα‐シアノアクリレートは、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、Kimuraらの米国特許第4,364,876号に開示されている方法より準備されてよい。Kimuraらの方法では、α‐シアノアクリレートは、シアノ酢酸をアルコールでエステル化するか、または、シアノ酢酸アルキルとアルコールをトランスエステル化することによって、シアノアセテートを生成すること、;モル比0.5〜1.5:1、好ましくは0.8〜1.2:1で触媒の存在中、シアノアセテートとホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを縮合して、縮合物を手に入れること、;直接、または縮合触媒の除去後、縮合反応混合物を解重合して、加工していないシアノアクリレート(crude cyanoacrylate)を生み出すこと、;および、加工していないシアノアクリレートを蒸留して高純度のシアノアクリレートを形成すること、によって準備される。
【0036】
式(I)のα‐シアノアクリレートであって、ここでRは式
【化4】

を有する基である、式(I)のα‐シアノアクリレートは、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、Kronenthalらの米国特許第3,995,641号に記載される手順によって準備されてよい。式(I)のモノマーの例は、式:
【化5】

のα‐シアノアクリレートおよびシアノペンタジエノエート(cyanopentadienoates)を含み、
ここで、Zは-CH=CHであり、Rは上記に定義されるとおりである。式(II)のモノマーであって、ここでRは1〜10の炭素原子のアルキル基、つまり2‐シアノペンタ‐2、4‐ジエン酸エステルである、式(II)のモノマーは、適切な2‐シアノアセテートを、塩化亜鉛などの触媒の存在中でアクロレインと反応させることによって準備されてよい。2‐シアノペンタ‐2、4‐ジエン酸エステルを準備するこの方法は、例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許第3,554,990号に開示されている。
【0037】
単独でまたは組み合わせて使用されてよい、適するα‐シアノアクリレートモノマーには、2‐オクチルシアノアクリレートなどのアルキルα‐シアノアクリレート、;ドデシルシアノアクリレート、;2‐エチルヘキシルシアノアクリレート、;n‐ブチルシアノアクリレートなどのブチルシアノアクリレート、;エチルシアノアクリレート、;メチルシアノアクリレートまたは他のα‐シアノアクリレートモノマー、例えばメトキシエチルシアノアクリレート、;2‐エトキシエチルシアノアクリレート、;3‐メトキシブチルシアノアクリレート、;2‐ブトキシエチルシアノアクリレート、;2‐イソプロポキシエチルシアノアクリレート、;および1‐メトキシ‐2‐プロピルシアノアクリレートが含まれる。ある実施形態では、モノマーは、エチル、n‐ブチル、または2‐オクチル α‐シアノアクリレートである。使用されてよい他のシアノアクリレートモノマーには、アルキルエステルシアノアクリレートであって、例えば、アルキルシアノアセテートまたはアルキルエステルシアノアセテートの、パラホルムアルデヒドとのクネベナゲル反応、結果として生じる低重合体のその後の熱分解、および蒸留、によって準備される、アルキルエステルシアノアクリレートが含まれる。
【0038】
水分含有量が少ないように準備された、本質的に不純物のない(例えば医療グレードの)モノマーは、生物医学的な使用にとって好ましい。産業目的のために利用されるモノマーは、不純物のないものである必要はない。
【0039】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーは、式:
【化6】

を有してよく、
ここで、R1’およびR2’はそれぞれ、H、直鎖、有枝鎖もしくは環式のアルキルであるか、または、環式アルキル基との組み合わせであり、R3’は、直鎖、有枝鎖もしくは環式のアルキル基であり、mは1〜8である。好ましくは、R1’は、HまたはC、CもしくはCアルキル基、例えばメチルもしくはエチルであり、;R2’は、HまたはC、CもしくはCアルキル基、例えばメチルもしくはエチルであり、;R3’は、C〜C16アルキル基、より好ましくはC〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシル、さらに好ましくはC、CまたはCアルキル基であり、mは好ましくは1〜4である。
【0040】
アルキルエステルモノマーの例には、限定することなく
【化7】

が含まれてよい。
【0041】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーの追加的例には、限定することなく、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、およびエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。BLCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’はH、R2’はメチル、R3’はブチルである。BGCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’はH、R2’はH、R3’はブチルである。IPGCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’はH、R2’はH、R3’はイソプロピルである。ELCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’はH、R2’はメチル、R3’はエチルである。EGCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’はH、R2’はH、R3’はエチルである。
【0042】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーの他の例には、アルキルα‐シアノアクリロイルcaprolactate(alkyl alpha-cyanoacryloyl caprolactate)、およびアルキルα‐シアノアクリロイルbutrylactate(alkyl alpha-cyanoacryloyl butrylactate)が含まれる。本発明で有用な他のシアノアクリレートは、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、Kronenthalらの米国特許第3,995,641号に開示されている。
【0043】
代替的にまたは追加的に、アルキルエーテルシアノアクリレートモノマーが使用されてよい。アルキルエチルシアノアクリレートは、一般的な式:
【化8】

を有し、
ここで、R1’’は、直鎖、有枝鎖または環式のアルキルであり、R2’’は、直鎖、有枝鎖または環式のアルキル基である。好ましくは、R1’’は、C、CまたはCアルキル基、例えばメチルまたはエチルであり、;R2’’は、C1〜16アルキル基、より好ましくは、C〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシル、さらに好ましくは、C、CまたはCアルキル基である。
【0044】
アルキルエーテルシアノアクリレートモノマーの例には、限定することなく、イソプロピオキシエチルシアノアクリレート(isopropyoxy ethyl cyanoacrylate)(IPECA)およびメトキシブチルシアノアクリレート(MBCA)またはその組み合わせが含まれる。IPECAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’’はエチレンであり、R2’’はイソプロピルである。MBCAは上記の式によって表されてよく、ここで、R1’’はn‐ブチレンであり、R2’’はメチルである。
【0045】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーおよびアルキルエーテルシアノアクリレートモノマーは、特に、それらの、生きている組織および付随する流体による吸収性により、医療用の適用に有用である。用語「吸収性の」もしくは「吸収性接着剤」、またはそれらの変形体は、組織適合性のある材料が、身体から排除されるかまたは身体内で代謝される製品への埋め込み後のある時点において、分解または生物分解する能力を指す。したがって、本明細書で使用される場合、吸収性とは、重合した接着剤が、接着剤の塗布の後で、完全にまたは部分的に組織によって吸収されることが可能であることを意味する。
【0046】
同様に、用語「非吸収性の」もしくは「非吸収性接着剤」、またはそれらの変形体は、接着剤の塗布の後で、完全にまたは部分的に組織によって吸収されることが完全にまたは実質的に不可能であることを指す。さらには、「より速い吸収」および「より遅い吸収」といった相対的な用語は、1つのモノマー種から生成されたポリマーが、もう一方のモノマー種から形成されたポリマーよりも速く(または遅く)吸収されることを表すために、2つのモノマー種に関して使用される。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に吸収される」とは、約3年以内に少なくとも90%が吸収されることを指す。同様に、用語「実質的に吸収されない」とは、約3年以内にせいぜい20%が吸収されることを意味する。好ましくは、これらのタイプのシアノアクリレートモノマーを使用する場合、重合した、塗布されたシアノアクリレートの100%が、生きている組織への接着剤の塗布の後、3年未満、好ましくは約2〜24ヵ月、より好ましくは3〜18ヵ月、最も好ましくは6〜12ヵ月の期間で、吸収され得る。吸収時間は、詳細な使用および関わる組織によって、様々であってよい。したがって、例えば、接着組成物が、骨などの硬組織に塗布される場合、より長い吸収時間が所望され得るが、接着組成物がより軟らかい組織に塗布される場合、より速い吸収時間が所望され得る。
【0048】
シアノアクリレートモノマーの選択は、モノマーの重合速度だけでなく、結果として生じるポリマーの吸収速度に影響を及ぼす。モノマーの重合速度だけでなく、結果として生じるポリマーの吸収速度に対する、より高度な制御をもたらすために、違う吸収速度および/または重合速度を有する2つ以上の異なるモノマーが、組み合わされて使用されてよい。
【0049】
壊れやすい容器の接着組成物は、違う吸収速度を備えたシアノアクリレートモノマー種の混合物を具備してよい。異なる吸収速度を有する2つのモノマー種が使用される場合、吸収速度は十分に異なって、2つのモノマーの混合物は、2つのモノマーの個々の吸収速度とは効果的に異なる第3の吸収速度を生じさせることが好ましい。こうした実施形態による組成物は、例えば、いずれも参照によりそれらの全てが本明細書に組み込まれる、2002年3月28日に米国特許公開第2002/0037310号として公開された、2001年8月2日出願の米国特許出願第09/919,877号、および、米国特許第6,620,846号に記載されている。
【0050】
吸収性のシアノアクリレートモノマーは、限定することなく内臓器官および血管を含めた、生きている様々な組織における創傷等の縫合および止血作用のある密封のための広い使用を有する。これらの吸収性調合物は、様々な器官および組織の内部または外部に塗布されてよい。開示されたような接着剤は、生体適合性であり、生きている組織の中または上に、内部でまたは外部で塗布されてよい。
【0051】
例えば、壊れやすい容器に適する接着組成物は、適する量のアルキルαシアノアクリレート、例えば2‐オクチルα‐シアノアクリレートを、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、およびエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)のうちの1つと混合することによって準備されてよい。このような混合物は、約90:10〜約10:90の重量比、好ましくは約75:25〜約25:75の重量比、例えば約60:40〜約40:60の重量比の範囲にあってよい。
【0052】
ある実施形態では、塗布装置は、重合可能なモノマー材料の重合および/または架橋を開始させるための、重合開始剤、促進剤、速度調節剤および/または架橋剤などの材料を含有してよい。重合開始剤、促進剤、速度調節剤および/または架橋剤は、塗布装置の保持用部材および/もしくはフィルター、流出制限部、ならびに/または貯蔵部の中に組み込まれてよい。
【0053】
促進された重合は、塗布後に必要な待機時間を削減し、接着組成物をより便利に塗布できるようにする。有用な重合開始剤または促進剤には、医療用の適用に適するものが含まれ得る。本明細書における目的のため、語句「医療用の適用(単数または複数)に適する」とは、モノマーの重合が、5分未満または3分未満で、好ましくは2.5分未満で、より好ましくは1分未満で、また多くの場合は45秒未満で、発生することを意味する。当然、所望の重合時間は、異なる組成物および/または使用に応じて様々となり得る。好ましくは、吸収性が所望される場合、生きている組織への接着剤の塗布の後、2〜24ヵ月、例えば3〜18ヵ月または6〜12ヵ月で実質的に生体により吸収されるポリマーを提供するように、適する開始剤または促進剤および適するモノマーが選択される。開始剤および/または促進剤が使用される実施形態では、このような薬剤は、好ましくは、使用前に接着組成物と接触しない関係で位置させられ、よって、接着組成物の時期尚早な重合は発生しない。
【0054】
適する開始剤は、当業分野で既知であり、例えば、いずれも参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許第5,928,611号および第6,620,846号、ならびに、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2002/0037310号に記載されている。重合開始剤として有用な第4級の塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムの塩(Quaternary ammonium chloride and bromide salts)が特に適している。例示として、中でも、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリンなどの第4級アンモニウム塩が使用されてよい。
【0055】
1つ以上の第4級フッ化アンモニウム塩または1つ以上の第4級アンモニウムエーテル塩に加え、ベンザルコニウムまたはベンジルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物(Benzalkonium or benzyltrialkyl ammonium halides)、例えば塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム(benzyltrialkyl ammonium chloride)が使用されてよい。使用の際、ベンザルコニウムハロゲン化物は、精製されていない状態のベンザルコニウムハロゲン化物であってよく、違う鎖長化合物の混合物を具備しており、または、ベンザルコニウムハロゲン化物は、約12〜約18の炭素原子の鎖長を有する化合物を含め、あらゆる適する精製された化合物であり得、限定することなく、C12、C13、C14、C15、C16、C17およびC18化合物が含まれる。例示として、追加的な開始剤は、塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム(BTAC)などの第4級塩化アンモニウム塩(quaternary ammonium chloride salt)であってよい。
【0056】
他の開始剤または促進剤もまた、過度な実験なしに、当業者により選択されてよい。このような、適する開始剤または促進剤には、限定することなく、洗浄性の組成物、;界面活性剤、例えば非イオン性の界面活性剤、例えばポリソルベート20(例えばICI AmericasからのTween 20(商標))、ポリソルベート80(例えばICI AmericasからのTween 80(商標))およびポロキサマー、陽イオン性の界面活性剤、例えば臭化テトラブチルアンモニウム、陰イオン性の界面活性剤、例えばテトラデシル硫酸ナトリウム、および、両性または双性の界面活性剤、例えばドデシルジメチル(3‐スルホプロピル)水酸化アンモニウム(dodecyldimethyl(3-sulfopropyl)ammonium hydroxide)、分子内塩(inner salt)、;アミン、イミンおよびアミド、例えばイミダゾール、アルギニンおよびポビジン(povidine);ホスフィン、亜燐酸塩およびホスホニウム塩、例えばトリフェニルホスフィンおよび亜燐酸トリエチル;アルコール、例えばエチレングリコール、没食子酸メチル、;タンニン、;無機の塩基および塩、例えば重亜硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、および珪酸ナトリウム、;硫黄化合物、例えばチオ尿素および多硫化物、;ポリマー環式エーテル、例えばモネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリックスアレーン(calixarene)、およびポリマー‐エポキシド(polymeric-epoxides)、;環式および非環式炭酸塩、例えば炭酸ジエチル、;相間移動触媒、例えばAliquat 336、;有機金属、例えばナフテン酸コバルトおよびマンガンアセチルアセトネート(manganese acetylacetonate)、;ならびに、ラジカル開始剤または促進剤、および基(radicals)、例えば過酸化ジ‐t‐ブチルおよびアゾビスイソブチロニトリル、が含まれる。
【0057】
ある実施形態では、抗菌剤または治療剤が、重合接着組成物に含まれてよい。
【0058】
限定することなく上記に列挙されたものを含めたモノマー添加剤が、モノマー組成物に溶解しない実施形態、および/または、そうしたモノマー添加剤が、モノマーの時期尚早な重合を引き起こすだろう実施形態では、添加剤は、モノマー組成物を塗布する前に、適用部位に塗布されてよい。このような実施形態では、添加剤は、例えば、キット内の別個のパッケージで提供されてよい。
【0059】
このような添加剤が、重合可能な接着組成物に溶解する他の実施形態、および/または、このような添加剤が時期尚早な重合を引き起こさないだろう他の実施形態では、添加剤は、重合可能な接着組成物の製造中に、重合可能な接着組成物と組み合わせられてよい。
【0060】
添加剤は、環状のカラーまたはハウジングの動作によるカートリッジまたは1つもしくは複数のアンプルの破裂の際、使用の直前に混合されてよい。代替的に、混合は、貯蔵部内で、および/または塗布工程の間に、実施されてよく、例えば、それによって、塗布の間に、添加剤を接着組成物と混合する。加えて、適する抗菌剤および治療剤に関して上記で論じられたように、他の添加剤は、接着組成物の安定剤として機能を果たしてよい。
【0061】
接着組成物は、随意的に、重合可能な接着組成物から形成されるポリマーに可撓性を与えるのを助ける少なくとも1つの可塑剤を含んでよい。可塑剤は、水分をほとんどまたは全く含有しないことが好ましく、重合可能な接着組成物の安定性または重合に著しく影響を及ぼすべきではない。適する可塑剤の例には、クエン酸アセチルトリブチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチル、リン酸トリエチル、トリ(2‐エチルヘキシル)リン酸塩、トリ(p‐クレシル)リン酸塩、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート(glyceryl tributyrate)、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸、トリメリト酸トリオクチル、グルタル酸ジオクチル、ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい可塑剤には、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、またはセバシン酸ジブチルが含まれ得る。ある実施形態では、適する可塑剤には、高分子可塑剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)エステル、およびキャップを形成された(capped)PEGエステルまたはエーテル、グルタル酸ポリエステルおよびアジピン酸ポリエステル、ならびに、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,183,593号に列挙されるその他のものが含まれる。
【0062】
接着組成物はまた、随意的に、少なくとも1つの揺変剤を含んでよい。適する揺変剤は、当業者には既知であり、限定することなく、シリカゲル、例えばシリルイソシアネート(silyl isocyanate)で処理されたもの、および随意的に表面処理された二酸化チタンを含む。適する揺変剤および増粘剤の例は、例えば、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,720,513号および第6,310,166号に開示されている。
【0063】
接着組成物はまた、随意的に、増粘剤を含んでよい。適する増粘剤は、ポリ(L‐ラクチド‐コ‐カプロラクトン)(poly (L-lactide-co-caprolactone))、ポリ(2‐エチルヘキシメタクリレート)、ポリ(2‐エチルヘキシルアクリレート)、および、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,673,192号に列挙されているその他のものを含んでよい。
【0064】
接着組成物はまた、随意的に、衝突抵抗(impact resistance)を与えるために、少なくとも1つの天然または合成ゴムを含んでよい。適するゴムは、当業者には既知である。このようなゴムには、限定することなく、ジエン、スチレン、アクリロニトリル、およびそれらの混合物が含まれる。適するゴムの例は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,313,865号および第4,560,723号に開示されている。
【0065】
接着組成物はまた、随意的に、1つ以上の安定剤を含んでよく、安定剤には、1つ以上のフリーラジカル安定剤および/または1つ以上の陰イオン性安定剤、好ましくは、少なくとも1つの陰イオン性気相安定剤および少なくとも1つの陰イオン性液相安定剤の双方が含まれる。これらの安定剤は、時期尚早の重合を抑制してよい。適する安定剤には、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,183,593号に列挙されるものが含まれてよい。さらには、特定の安定剤は、上記で確認されたように、抗菌剤、例えば様々な酸性の抗菌剤として機能してもよい。
【0066】
あるモノマー接着組成物の安定性、および、したがって有効期間は、アンプルの慎重な管理によって、さらに高められ延ばされ得る。処理された(例えばフッ素処理されたポリマー)ガラスアンプルは、接着組成物に組み合わせられる安定剤の量を削減させ得る。上記に言及されてように、限定することなく特定の酸性物質(acidics)を含めた、特定の安定剤はまた、抗菌剤として機能してよい。この場合、抗菌/安定剤材料の量は、所望の抗菌効果を提供するレベルを下回るほどは削減されないか、または、さらなる抗菌/非安定剤が加えられて、所望の抗菌効果が確実に提供されるようにする。
【0067】
接着組成物はまた、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,352号に開示されているように、結果として生じるポリマーの分解の速度を制御するためにpH調節剤を含んでよい。
【0068】
本明細書に記載された塗布装置に適用可能な接着組成物から形成される接着剤の凝集強度(cohesive strength)を向上させるために、二官能性のモノマー架橋剤が、モノマー組成物に加えられてよい。このような架橋剤には、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、例示的な架橋剤を開示している米国特許第3,940,362号に開示されているものが含まれる。
【0069】
本発明の接着組成物は、繊維性の補強剤および着色剤、例えば染料、顔料および顔料染料(pigment dyes)をさらに含有してよい。適する繊維性の補強剤の例には、PGA超微小繊維、コラーゲン超微小繊維、および、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,183,593号に記載されるその他のものが含まれる。
【0070】
本発明で有用な重合可能な組成物はまた、接着組成物の保存期間を長期化するための1つ以上の防腐剤をさらに含有してよい。適する防腐剤、および、防腐剤を選択して接着組成物の中に組み込むための方法は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,579,469号に開示されている。
【0071】
ある実施形態では、接着剤塗布器は、そのモノマー組成物および/またはパッケージングを含め、滅菌されてよい。しかしながら、特に、接着組成物が開いた創傷部に使用されるであろうという事実を考慮すると、滅菌は必須ではない。さらには、塗布器が滅菌されてもされなくても、塗布器の接着組成物は、以下に記載されるように、1つ以上の適する防腐剤をさらに含んでよい。
【0072】
塗布器のモノマー組成物および/またはそのパッケージングの滅菌は、当業者に既知の技術によって達成されてよく、好ましくは、限定することなく、化学的、物理的、および/または、照射による方法を含めた方法によって達成される。化学的方法の例には、限定することなく、エチレンオキシドまたは過酸化水素の蒸気への露呈が含まれる。物理的方法の例には、限定することなく、熱(乾燥した、もしくは湿った)またはレトルトキャニング(retort canning)による滅菌が含まれる。照射による方法の例には、限定することなく、γ線照射、電子ビーム照射、およびマイクロ波照射が含まれる。好ましい方法は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,805号に記載されているような、電子ビーム照射である。塗布器の異なる構成要素または構成要素の群が、構成要素または構成要素の群のパッケージングまたは組み立ての前に別個に滅菌されてよく、また/または、異なる構成要素または構成要素の群が、組み立てまたはパッケージングの後で滅菌されてもよく、こうした滅菌は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、共に譲渡された(co-assigned)米国付与前(Pregrant)特許公開第2004/0120849号に開示されている。塗布器および/または接着組成物の材料は、その有用期間中、生きている組織への低レベルの毒性を示すべきである。本発明の好ましい実施形態では、塗布器および/または接着組成物は、少なくとも10−3の無菌性保証レベル(SAL)を提供するよう滅菌される。ある実施形態では、無菌性保証レベルは、少なくとも10−4であるか、または少なくとも10−5であるか、または少なくとも10−6であってよい。
【0073】
塗布装置の構成に使用される材料は、抗菌剤を含有してよく、この抗菌剤は、塗布装置の表面に移動して、使用の間に、抗菌作用を提供するか、または細菌の転移増殖(colonization)を防ぐかもしくは排除する。このような抗菌剤には、限定することなく、トリクロサン、クロルヘキシジン、スルファジアジン銀、銀塩、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、およびピリチオン亜鉛が含まれる。抗菌剤は、塗布装置を構成する材料、例えば本体部分、貯蔵部、および/もしくはアクチュエーターに、成型工程中に加えられてよく、または、塗布装置もしくはその構成要素が成型された後に含浸されるかもしくは適用されてよく、組み立ての前もしくは後の含浸もしくは適用を含む。
【0074】
上記で確認された様々な利点に加え、塗布装置および当該塗布装置を使用する方法は、最先端技術を用いた接着剤塗布プロトコルに対して追加的な利点を提供する。例えば、モノマーシアノアクリレートなどの重合可能な接着組成物と組み合わせて塗布器を使用する利点は、接着組成物が部位との接触によって重合して、密封包帯(occlusive dressing)を形成し、治癒に貢献する湿った創傷環境を作り出すことにある。したがって、傷害を受けたこのような部位の治癒は、他の治療プロトコルよりも迅速かつ自然であることが予期される。さらには、この密封被覆は、さらなる傷害から部位を保護し、同時に細菌バリアとしても機能する。
【0075】
さらには、本発明は、保健医療の専門家および患者の双方に有利とみなされる接着剤塗布プロトコルを提供する。臨床上のシナリオでは、局所的に塗布される重合可能な接着組成物、例えばモノマーシアノアクリレートを壊れやすいアンプル内に含有する塗布器の使用は、創傷部位から離れた塗布器からの接着剤の漏出の可能性の原因となり得る。本明細書に記載された塗布器は、接着剤の密封された含有および接着剤の創傷部位での塗布に対する向上した制御をもたらす。
【0076】
ある実施形態では、塗布装置は、メッシュなどの可撓性材料と組み合わせて使用および/またはパッケージされてよい。可撓性材料は、可撓性材料の中または上に配された重合開始剤または速度調節剤を具備してよい。塗布装置は、可撓性材料の少なくとも一部にわたって塗布され浸透されるべき重合可能な接着組成物を提供することができ、重合開始剤または速度調節剤は、重合可能な接着組成物のための重合開始剤または速度調節剤である。可撓性材料は、組織表面を結合させるための組織結合物であってよく、または、他の適用において使用されてよい。
【0077】
可撓性材料は、表面に適用され、塗布装置からの重合可能なモノマー接着組成物で含浸されてよく、凝固または硬化すると、表面に粘着構造を提供する。重合可能なモノマー接着組成物の重合(凝固または硬化)は、重合可能なモノマー接着組成物のための重合開始剤もしくは速度調節剤を充填されているか、または当該重合開始剤もしくは速度調節剤で被覆などされている可撓性材料によって、助けられる。
【0078】
可撓性材料は、好ましくは、可撓性材料の内部に位置させられた1つ以上の化学材料を含む。例えば、1つ以上の化学物質は、例えば、可撓性材料に化学的に結合されるか、物理的に結合されるか、吸収されるか、または吸着されるなどして、可撓性材料に分散されてよい。したがって例えば、可撓性材料は、好ましくは、少なくとも1つの重合開始剤または速度調節剤を含み、随意的に、生体に作用する1つ以上の材料を含んでよい。所望の場合、1つ以上の化学物質は、例えば、所望の効果を有するが、使用中に可撓性材料から分離しないように、可撓性材料の上または中に不動化されるか、または、1つ以上の化学物質は、使用中に分離するような仕方で可撓性材料に取り付けられてよい。
【0079】
例えば、重合開始剤または速度調節剤は、可撓性材料に充填されてよく、よって、開始剤または速度調節剤は、続いて塗布される重合可能な接着組成物に所望の開始効果または速度調節効果を提供するようになる。重合開始剤または速度調節剤は、可撓性材料に不動化されてよく、よって、開始剤または速度調節剤は、結果として生じるポリマー材料中に分散された可撓性材料およびその残留物から分離することはなくなる。代替的に、例えば、重合開始剤または速度調節剤は、当初は可撓性材料に取り付けられてよいが、それらが、続いて塗布される重合可能な接着組成物によって移動性をもたせられるかまたは溶解されて、結果として生じるポリマー材料に分散されるような仕方でのみ、取り付けられてよい。
【0080】
所望の場合、化学物質の組み合わせが可撓性材料に提供されて、複数の効果を提供してもよい。例えば、上記に記載されたように、第1の化学種(例えば重合開始剤または速度調節剤)が可撓性材料に不動化されてよく、一方で、第2の異なる化学種(例えば生体に作用する材料)が可撓性材料に分離可能に取り付けられてよい。化学種の他の組み合わせおよび結果として生じる他の効果もまた想定される。
【0081】
可撓性材料の中または上に存在する場合、化学物質(つまり重合開始剤、速度調節剤、および/もしくは生体に作用する材料、または他の添加剤)は、任意の適する仕方で、可撓性材料の中または上に組み込まれてよい。例えば、化学物質は、化学物質を含む溶液または混合物などに、可撓性材料を接触させることによって、可撓性材料に加えられてよい。化学物質は、例えば、浸漬、スプレー噴射、ロールコーティング、グラビアコーティング、ブラッシング、または気相成長法(vapor deposition)などによって、可撓性材料に加えられてよい。代替的に、化学物質は、可撓性材料の成型などの間など、可撓性物質の製造中に、可撓性物質の中または上に組み込まれてよい。
【0082】
化学物質は、任意の適する濃度および仕方で、可撓性材料の中または上に存在してよい。例えば、化学物質は、可撓性材料に均一な仕方で適用されてよく、よって、可撓性材料にわたって実質的に均一な濃度の化学物質があるようになる。代替的に、化学物質は、可撓性材料にわたって、または可撓性材料を通して、濃度勾配が実在するように、適用されてよい。例えば、より高いまたは低い濃度の化学物質が、可撓性材料の中央またはエッジに実在するか、または、可撓性物質の片側に、反対側と比べてより高いまたは低い濃度の化学物質が適用され得る。さらには、化学物質は、可撓性基材に均一な仕方で適用されてよく、または、化学物質は、不均一の無作為なまたはパターン化された仕方(例えば線、斑点または同心円など)で、適用されてよい。
【0083】
可撓性部材の中または上に存在してよい他の化学物質には、限定することなく、複合構造の性能を高める、任意の適する、好ましくは適合性のある添加剤が含まれる。このような追加的な化学物質は、生体に作用するものでも、生体に作用しないものでもよい。したがって、適する他の化学物質には、限定することなく、着色剤(例えばインク、染料および顔料)、香水、化学的に分離しない保護被覆剤、温度感応性薬剤(temperature sensitive agents)、および薬物などが含まれる。
【0084】
可撓性材料に充填される重合開始剤または速度調節剤は、多くの利点、例えば、塗布される重合可能な接着組成物の凝固または重合時間の調製(tailoring)を提供し得る。例えば、可撓性材料に適用される開始剤のタイプおよび/または濃度は、より速いまたは遅い重合時間を提供するように選択されてよい。重合開始剤または速度調節剤の濃度は、より速い重合時間を提供するように増加されてよく、または、より遅い重合時間を提供するように減少されてよい。
【0085】
重合開始剤または速度調節剤は、可撓性材料に直接充填されるので、塗布の前に、塗布器内で、重合可能な接着組成物を重合開始剤または速度調節剤と混合する必要はない。したがって、重合可能な接着組成物を含有している塗布装置は、塗布先端部での重合可能な接着組成物の重合によって塞がれて使用不可能となることを、避けるかまたは排除し得る。これによって、より長い作業時間が可能となり、重合可能なモノマー組成物は、より正確かつ慎重に、より長い時間をかけて塗布され得る。
【0086】
可撓性材料は、塗布の間に、重合可能な接着組成物の流出を遮るか、または、その流出に対するバリアとして作用してよく、したがって、適用部位からの接着組成物の流動がより少なくなり得る。加えて、1つ以上の化学物質が可撓性部材の中または上に存在する場合、このような化学物質は、より特定的かつ正確に適用され得る。例えば、化学物質は、可撓性部材に、特定の場所でのみ、または、所望の場合は、勾配のあるパターンで、適用されてよく、重合可能な接着組成物のみにより提供される場合よりもより強度の複合構造を提供し得る。
【0087】
可撓性のまたは柔軟な材料は、任意の適する可撓性のまたは柔軟な材料で形成されてよい。好ましくは、可撓性のまたは柔軟な材料は、可撓性で、多孔性かつ非毒性の材料である。適する可撓性材料は、参照によってその全てが本明細書に組み込まれる、共に譲渡された米国付与前特許出願第2006/0009099号に記載されるようなものである。
【0088】
可撓性材料は、好ましくは、可撓性または柔軟であり、可撓性基材が所望の表面(例えば、皮膚、器官および組織など)の形態(topology)に一致するのを可能にする仕方で、可撓性物質が所望の表面に設置されるのを可能にする。同様に、可撓性材料は、好ましくは多孔性であり、続いて塗布される重合可能な接着材料が、可撓性材料を通過するかまたは可撓性材料に浸透し、かつ、可撓性材料の下の層として重合するのを可能にし、同時に、可撓性材料を所望の基材に付着させる。本明細書において、「多孔性の」とは、可撓性材料の大部分が孔を有しており、続いて塗布される重合可能な接着材料が、大部分の材料に浸み込むか、または吸収されること、または、可撓性材料の大部分が(ネットまたはスクリーンのように)空隙を有しており、続いて塗布される重合可能な接着材料が、大部分の材料に浸み込むかもしくは吸収されて、または、浸み込むかもしくは吸収されることなく、大部分の材料を直接的に通過すること、を意味する。例えば、織物材料の場合、「多孔性の」は、概して、塗布される接着組成物が、繊維の間のすきまに浸透して通過するが、必ずしも繊維自身の中を通って通過するわけではないこと、を意味するように使用される。
【0089】
このような多孔性(または、疎水性もしくは親水性など他の特質)はまた、使用前に重合開始剤または速度調節剤が可撓性材料に充填されて、続いて塗布される重合可能な接着材料の重合を開始させるのを可能にする。このような多孔性はまた、好ましくは、空気および水が、可撓性材料を通って(孔自体を通って、または、大部分の材料の空隙を通って)通過するのを可能にする。多孔性の程度(および/または開口のサイズ)によって、可撓性材料のこのような多孔性、または、空気および水の、可撓性材料に浸透する能力は、最終的な組成材料が形成された後に存続するように、または、そこからなくなるように、調製され得る。可撓性材料はまた、生物学的組織などにおける、創傷カバーリングとして使用されることが意図されるので、好ましくは、非毒性である。したがって、可撓性材料は、所望の基材(例えば組織、皮膚および器官など)に生物学的に適合性があるべきであり、好ましくは、政府認可されるか、または、所望の目的に対して安全であると一般的にみなされる材料である。
【0090】
ある実施形態では、可撓性材料は、織物またはメッシュ/網状の材料である。適する織物材料は、合成材料または天然材料のいずれで形成されてもよい。このような織物材料は、織られたまたは織られていない、布または材料のいずれで形成されてもよい。可撓性材料は、例えば、任意の適するポリマーフィルム、プラスチックフォーム(開口セルフォーム(open celled foam)を含む)、織布、編まれた布、不織布、またはそれらの混合物などであってよい。したがって、詳細には、適する可撓性材料は、例えば、ナイロン、ポリオレフィンフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマーおよびエチレンブチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンフォーム、ポリスチレン、可塑化されたポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、上記のコポリマー混合物、および、綿などから準備されてよい。適する具体的な例には、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、可塑化されたポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、綿、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、biovascular 材料、コラーゲン、Gore-Tex(登録商標)、DACRON(登録商標)などが含まれる。
【0091】
可撓性材料は、合成、半合成、または天然の有機材料で形成されてよい。したがって、例えば、可撓性材料は、合成または天然のポリマー材料で形成されてよいが、金属(例えば銀もしくは鋼鉄など)またはガラスまたはセラミックなどの材料からは形成されない。可撓性材料は、生物分解可能であっても生物分解可能でなくてもいずれでもよい。可撓性材料は、好ましくは、引裂きに対して耐性がある。可撓性材料の厚さは、約0.00254mm(約0.1ミル)〜約2.032mm(約80ミル)であってよい。別の実施形態では、可撓性材料の厚さは、約0.0127mm(約0.5ミル)〜約0.508mm(約20ミル)、好ましくは約0.01778mm(約0.7ミル)〜約0.254mm(約10ミル)、または約0.0254mm(約1ミル)〜約0.127mm(約5ミル)である。
【0092】
可撓性材料のサイズは、具体的な意図される使用に対して調製されてよく、または、可撓性材料のサイズは、シートもしくはロールの形態で提供されてよく、または、可撓性材料の任意の適する形状もしくは寸法が、提供されてよい。可撓性材料は、投与器内に提供されてよい。可撓性材料は、いかなる特定の寸法にも限定されず、可撓性材料の寸法(長さ、幅、厚さなど)は、所望のとおりに変えられ調製されてよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、可撓性材料は、少なくとも1つの面に圧力感応接着剤(pressure sensitive adhesive)を含んで、例として、所望の表面への可撓性材料の最初の設置を助けてよい。可撓性材料が可撓性材料の一部に適用された圧力感応接着剤を含む、実施形態では、圧力感応接着剤は、可撓性材料の全表面、または、可撓性材料の表面の一部(周辺縁部など)のみに適用されてよい。露呈される圧力感応接着剤は、所望の場合、適する解放用の層またはライナーで覆われて、使用時まで、可撓性材料の接着性を保ってよい。圧力感応接着剤は、存在する場合、参照によってその全開示内容が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0182443号に示される様々な仕方で適用されてよい。
【0094】
ある実施形態では、組織を結合させる方法が提供される。方法は、基材の上に可撓性材料を設置することを具備し、可撓性材料は、可撓性材料の中または上に配された重合開始剤または速度調節剤を具備する。本明細書に記載される塗布装置は、可撓性材料の少なくとも一部の上に重合可能な接着組成物を塗布して可撓性材料の少なくとも一部を実質的に覆う。重合可能な接着組成物は、可撓性材料の中または下に浸透して、重合して基材に結合する複合構造を形成することが可能である。基材は組織であってよい。組織は、硬組織(骨など)または軟組織(肌、器官および粘膜など)であってよい。組織は、内部または外部のいずれの組織であってもよい。
【0095】
他の実施形態では、キットが提供される。キットは、本明細書に記載される少なくとも1つの塗布装置と、随意的に、少なくとも1つの塗布装置の空洞に少なくとも部分的に設置されるよう配備された、接着または密封材料の1つ以上の容器と、を具備し、本体部分に対するアクチュエーターの運動が、破断用部材を偏向させて、空洞に少なくとも部分的に設置される容器のうちの1つを破裂させる。ある実施形態では、キットは、取り外し可能な、および/または交換可能な、複数の塗布先端部をさらに具備する。ある実施形態では、キットは、接着または密封材料のための重合開始剤または速度調節剤を充填されてよい可撓性の材料/メッシュをさらに具備する。異なる構成要素または構成要素の群は、キットの内部に構成要素または構成要素の群をパッケージングする前に、別個の容器内で滅菌されてよく、その後、共に譲渡された米国付与前特許公開第2004/0120849号に開示されるようにキットを滅菌する。
【0096】
本発明の実施形態に関する他の様々な特徴および利点が、以下の例示的な実施形態および図面の説明から明らかとなるだろう。
【0097】
図1を参照すると、塗布装置10は、閉じた近位端部110を有する本体部分100を含む。アクチュエーター300は、環状カラー301を含み、環状カラー301は、本体部分100を貯蔵部600に機械的に固定する。貯蔵部600は、接着剤の投与のための遠位塗布先端部620を含む。
【0098】
図2を参照すると、塗布装置10は、壊れやすい容器200を含み、容器200は、本体100に包含され、本体部分100の破断用部材135の近位側にある。半剛体セクション800は、破断用部材と密封可能に接触して破断用部材に覆いかぶさる。フィルター400および保持用部材500は、壊れやすい容器200を貯蔵部600から隔てる。貯蔵部600は、流出制限部700を含み、流体制限部700は、塗布先端部620の遠位端部で貯蔵部600に摩擦で固定される。
【0099】
ここで図3を参照すると、本体部分100の破断用部材135は、閉じた近位端部110と開いた遠位端部120との間の周囲間隙115内に位置付けられて、空洞の中への偏向をもたらす。破断用部材135の第1係合部材125は、本体部分から外側に突き出ている。半剛体セクション800は、周囲間隙115を密封し、セクション835によって破断用部材135に密封可能に接触する。半剛体セクション800は、半剛体セクションを通して第1係合部材125を露呈させるための孔825を含む。本体部分100の切込140は、半剛体セクション800の突起部840を受け入れ、噛み合って、漏出抵抗密封を提供する。
【0100】
図3、図4および図5を参照すると、切込165を備えた前方先細カラー160は、貯蔵部フランジ605を凹部170の中に受け入れることをもたらし、貯蔵部フランジ605は、前方リップ180まで延びて前方リップ180に隣接してよい。貯蔵部600は、環状カラー401と凹部170と前方先細カラー160との間で本体部分100に機械的に固定される。アクチュエーター400の環状溝430は、本体部分100の環状リブ130を受容してアクチュエーターを本体部分に固定する。
【0101】
さらに図4および図5を参照すると、アクチュエーターの第1および第2位置が表されている。図4に示されるように、第1位置では、環状カラー401の第2係合部材425(不図示)は、破断用部材135の第1係合部材125に係合していない。図5に示されるように、第2位置では、環状カラー410の、厚みの増した壁セクションとして示される第2係合部材425は、破断用部材135の第1係合部材125に係合し、空洞50内の壊れやすい容器200の中への破断用部材の偏向を引き起こす。空洞の中への偏向によって、壊れやすい容器200は破裂させられてその内容物を解放する。本体部分指標マーカー(Body portion indexing marker)150は、第1係合部材と第2係合部材とを係合させることなく組み立てるための、アクチュエーター400の指標をもたらす。組み立ての間、環状溝430は、環状リブ130の上にスナップ式にはまり、次に、組み立て後、図5に組み立てられた状態が示されるように、環状リブ130の周囲で緩む。図7に示されるように、アクチュエーター400の断面図は、組み立ての間、指標付けしている本体部分指標マーカー(indexing body portion indexing marker)150を位置付け、かつ受容するための、指標経路要素(indexing track element)475を表している。
【0102】
ここで図6を参照すると、アクチュエーターの実施形態の第2位置が表されている。第2位置では、環状カラー401Aの、カム要素として示される第2係合部材425Aは、破断用部材135の第1係合部材125に係合し、空洞50内の壊れやすい容器200の中への破断用部材の偏向を引き起こす。図6に示されるように、空洞の中への偏向によって、壊れやすい容器200は破裂させられてその内容物を解放する
【0103】
ここで図8を参照すると、例示的な保持用部材500は、孔525およびより大きな孔550を含む。孔525は単独でまたはフィルター400との組み合わせで、空洞の内部の壊れやすい容器200の保持を提供し、より大きな孔550は、空洞の、同時に発生する通気をもたらす。
【0104】
ここで図9〜図12を参照すると、投与器10Aは、本体部分100Aを含み、本体部分100Aは、図11に示されるように、前方本体セグメント194および後方本体セグメント192を含む(環状ハウジングは不図示)。破断用部材135を含む前方本体セグメント194は、協働整列手段103および101を用いて、後方本体セグメント192により受容される。保持用部材500は、前方本体セグメント194の内部に位置付けられて壊れやすい容器200を本体部分100Aの中に固定する。貯蔵部600は、貯蔵部の遠位端部において摩擦により固定された流出制限部700を含む。例示として、投与器10Aは、協働整列手段103および101を用いて、前方本体セグメント194を後方本体セグメント192の中に受容すること、貯蔵部600の開いた近位端部を、前方本体セグメント194の凹部170の上に設置すること、および、アクチュエーター900を前方本体セグメント194の上にスライドさせること、によって組み立てられてよい。本体部分100Aの前方本体セグメント194および後方本体セグメント192は、後方本体セグメント192の固定用孔199のうちの1つに、他の孔から溶剤または接着剤が出てくるまで、例えば注入器を使用して溶剤または接着剤を設置することによって固定されてよい。
【0105】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は、所与の特定の例示に限定されるものではなく、他の実施形態および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によってなされてよい。したがって、本発明は、例示的な実施形態について記載されてきたが、本発明は、これら実施形態の詳細な構成に限定されるものではないことが理解されなければならない。当業者であれば認識するだろうが、これら実施形態の様々な改変および/または変更が、本発明の範囲内でなされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】塗布装置の実施形態の上方斜視図を図示している。
【図2】図1に示される実施形態の分解組立図である。
【図3】図1に示される実施形態の本体部分の分解組立図である。
【図4】本体部分および環状ハウジングの実施形態の断面図であり、図2の実施形態の対応する係合部材の非係合状態を表している。
【図5】本体部分および環状ハウジングの実施形態の断面図であり、図2の実施形態の対応する係合部材の係合状態を表している。
【図6】本体部分および環状ハウジングの断面図であり、図2の実施形態の対応する係合部材の係合状態を表している。
【図7】アクチュエーターの実施形態の断面図である。
【図8】図2に示される実施形態の保持用部材の上面図である。
【図9】塗布装置の実施形態の上方斜視図である。
【図10】図9に示される実施形態の分解組立図である。
【図11】図9に示される実施形態の本体部分の分解組立図である。
【図12】図9に示される実施形態の本体セグメントの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能な接着材料を投与するための塗布装置において、
閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分であって、前記空洞は、重合可能な接着材料を有する壊れやすい容器を受け入れるようサイズ決めされる、本体部分と、
前記本体部分と一体化している少なくとも1つの破断用部材であって、各破断用部材は周囲間隙を有し、前記少なくとも1つの破断用部材は前記空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する、破断用部材と、
前記本体部分に対して運動可能であり、前記少なくとも1つの第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有する、環状ハウジングであって、前記第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である、環状ハウジングと、
前記本体部分の前記開いた遠位端部に固定された貯蔵部であって、前記貯蔵部は塗布手段をさらに具備する、貯蔵部と、
前記本体部分と前記貯蔵部との間の保持用部材と、
を具備し、
前記環状ハウジングは、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、前記本体部分に対して運動可能であり、前記破断可能な部材の少なくとも一部を前記空洞の中へと偏向させる、塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
重合可能な1つ以上のシアノアクリレートモノマーを具備する重合可能な接着材料の壊れやすい容器であって、前記閉じた近位端部と前記保持用部材との間の前記空洞の内部に配された、壊れやすい容器、
をさらに具備する、塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記本体部分は、2つのセグメントを具備し、前記少なくとも1つの破断用部材は、前記セグメントのうちの1つと一体化している、塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記少なくとも1つの破断用部材のそれぞれに密封可能に接触し、対応する各周囲間隙を密封可能に覆っている、少なくとも1つの半剛体セクション、
をさらに具備する、塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記塗布手段は、取替え可能、および/または、交換可能である、塗布装置。
【請求項6】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記貯蔵部は、前記塗布手段と協働する流出制限部をさらに具備する、塗布装置。
【請求項7】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記環状ハウジングは、前記本体部分に対して、非軸方向に運動可能である、塗布装置。
【請求項8】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記環状ハウジングは、前記本体部分に対して、円周で回転可能である、塗布装置。
【請求項9】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記保持用部材の中もしくは上に、前記貯蔵部の中もしくは上に、または、前記塗布手段の中もしくは上に、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および安定剤のうちの少なくとも1つ、
をさらに具備する、塗布装置。
【請求項10】
重合可能な接着材料を投与するための塗布装置において、
閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分と、
複数の破断用部材であって、それぞれは前記本体部分と一体化しており、各破断用部材は周囲間隙を有し、前記複数の破断用部材は前記空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する、破断用部材と、
前記複数の破断用部材のそれぞれに密封可能に接触し、対応する各周囲間隙を密封可能に覆っている、少なくとも1つの半剛体セクションと、
前記本体部分に対して円周で回転可能であり、前記複数の第1係合部材のうちの少なくとも1つに対して相補的な第2係合部材を有する、環状ハウジングであって、前記第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である、環状ハウジングと、
前記本体部分の前記開いた遠位端部に固定された貯蔵部であって、前記貯蔵部は、塗布手段を具備する遠位開口部を有する、貯蔵部と、
前記本体部分と前記貯蔵部との間の保持用部材と、
前記貯蔵部の前記遠位開口部の近位側の流出制限部と、
前記閉じた近位端部と前記保持用部材との間の前記空洞の内部に配された、重合可能なモノマー接着材料の壊れやすい容器と、
を具備し、
前記環状ハウジングは、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、前記本体部分に対して円周で回転可能であり、前記破断可能な部材の少なくとも一部を前記空洞の中へと偏向させる、塗布装置。
【請求項11】
請求項10に記載の塗布装置において、
前記重合可能なモノマー接着材料は、重合可能な1つ以上のシアノアクリレートモノマーを具備する、塗布装置。
【請求項12】
請求項10に記載の塗布装置において、
前記環状ハウジングは、前記本体部分に対して、非軸方向に運動可能である、塗布装置。
【請求項13】
請求項10に記載の塗布装置において、
前記塗布手段は、取り替え可能、および/または、交換可能である、塗布装置。
【請求項14】
請求項10に記載の塗布装置において、
前記壊れやすい容器と前記保持用部材との間に配されるか、または、前記保持用部材と一体化した、フィルター、
をさらに具備する、塗布装置。
【請求項15】
請求項10に記載の塗布装置において、
前記保持用部材の中もしくは上に、前記貯蔵部の中もしくは上に、前記流出制限部の中もしくは上に、または、前記塗布手段の中もしくは上に、重合可能なモノマーのための薬品、重合開始剤、重合速度調節剤、および安定剤のうちの少なくとも1つ、
をさらに具備する、塗布装置。
【請求項16】
接着材料を塗布/投与する方法において、
接着材料を投与および/または塗布するための塗布装置を提供することであって、前記塗布装置は、
閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分、
前記本体部分と一体化している少なくとも1つの破断用部材であって、各破断用部材は周囲間隙を有し、前記少なくとも1つの破断用部材は前記空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する、破断用部材、
前記本体部分に対して運動可能であり、前記少なくとも1つの第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有する、環状ハウジングであって、前記第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である、環状ハウジング、
前記本体部分の前記開いた遠位端部に固定された貯蔵部であって、前記貯蔵部は、塗布手段を具備する遠位開口部をさらに有する、貯蔵部、
前記本体部分と前記貯蔵部との間の保持用部材、ならびに、
前記閉じた近位端部と前記保持用部材との間の前記空洞の内部に配された、接着材料の壊れやすい容器、を具備する、
塗布装置を提供することと、
前記環状ハウジングを、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、前記本体部分に対して動かして、前記破断用部材の少なくとも一部を前記空洞の中へと偏向させて前記壊れやすい容器を破断させることと、
前記貯蔵部を絞って、前記貯蔵部の内部に正の圧力を提供することと、
前記貯蔵部から基材に接着材料を投与することと、
を具備し、
絞られた前記貯蔵部を解放することは、前記接着材料を前記空洞から前記貯蔵部の中に追い込むように、前記貯蔵部の内部に負の圧力を作り出す、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記基材は、生きている組織、可撓性材料またはメッシュである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記可撓性材料またはメッシュは、前記接着材料のための薬品、重合開始剤、または重合速度調節剤のうちの少なくとも1つを具備する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記塗布装置、前記接着材料の壊れやすい容器、および/または、前記接着材料は、滅菌される、方法。
【請求項20】
滅菌されたキットにおいて、
重合可能な接着材料を投与するための塗布装置であって、前記塗布装置は、
閉じた近位端部および空洞を提供する開いた遠位端部を具備する本体部分であって、前記空洞は、重合可能な接着材料を有する壊れやすい容器を受け入れるようサイズ決めされる、本体部分、
前記本体部分と一体化している少なくとも1つの破断用部材であって、各破断用部材は周囲間隙を有し、前記少なくとも1つの破断用部材は前記空洞の中へと少なくとも部分的に偏向可能であり、各破断用部材は第1係合部材を有する、破断用部材、
前記本体部分に対して運動可能であり、前記少なくとも1つの第1係合部材に対して相補的な第2係合部材を有する、環状ハウジングであって、前記第1および第2係合部材は、協働して相互に係合可能である、環状ハウジング、
前記本体部分の前記開いた遠位端部に固定された貯蔵部であって、前記貯蔵部は塗布先端部をさらに具備する、貯蔵部、ならびに、
前記本体部分と前記貯蔵部との間の保持用部材、
を具備し、
前記環状ハウジングは、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合していない第1位置から、前記第1および第2係合部材が協働して相互に係合している第2位置へと、前記本体部分に対して運動可能であり、前記破断可能な部材の少なくとも一部を前記空洞の中へと偏向させる、
塗布装置と、
重合可能な接着材料を有する1つ以上の壊れやすい容器と、
可撓性メッシュと、
を具備する、滅菌されたキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−511494(P2010−511494A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539419(P2009−539419)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/085236
【国際公開番号】WO2008/067220
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(500512427)クロージャー メディカル コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】