投写型表示装置およびランプ交換用工具
【課題】ランプユニットに保持された状態で破損したランプを交換する場合に、ガラス片等が零れ落ちることを確実に防止した投写型表示装置と、そのためのランプ交換用工具を提供する。
【解決手段】ランプ交換用工具19を取り付け、図の矢示A方向に進むように溝181内にランプユニット固定ツメ解除用リブ22を挿入すると、溝181の底面でもあるランプユニット固定ツメ18の固定ツメ平面18aに沿って進む。ランプユニット固定ツメ解除用リブ22がランプユニット固定ツメ18の固定ツメ斜面18bに達すると、図の矢示B方向にランプユニット固定ツメ18を押し上げて、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が解除される。係止が解除されるとランプユニット4が袋25の中に落下してくるが、ランプが破損している場合は破損したランプのガラス片等も袋25の中に収容される。
【解決手段】ランプ交換用工具19を取り付け、図の矢示A方向に進むように溝181内にランプユニット固定ツメ解除用リブ22を挿入すると、溝181の底面でもあるランプユニット固定ツメ18の固定ツメ平面18aに沿って進む。ランプユニット固定ツメ解除用リブ22がランプユニット固定ツメ18の固定ツメ斜面18bに達すると、図の矢示B方向にランプユニット固定ツメ18を押し上げて、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が解除される。係止が解除されるとランプユニット4が袋25の中に落下してくるが、ランプが破損している場合は破損したランプのガラス片等も袋25の中に収容される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は投写型表示装置およびランプ交換用工具に関し、特に、光源としてランプを用いる投写型表示装置およびランプ交換用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源としてランプを用いる投写型表示装置(以下、プロジェクタと呼称)においては、従来は光源として使用されるランプは出力が小さく密閉式であるものが主流であった。しかし、現在はプロジェクタ本体の小型化および高輝度化にともない高出力で小型だが冷却効率の高い開放型のランプが主流である。そのため、ランプが割れたような場合には、ガラス片等がプロジェクタ内に飛散する。この状態で破損したランプの交換を行えば、ガラス片等がプロジェクタ内から零れ落ちることになる。そこで、プロジェクタ内から零れ落ちたガラス片等が作業者等に接触することを防止する対策が必要となっている。
【0003】
特に高輝度型のプロジェクタは、天井に金具で固定された状態(以下、天吊り状態と呼称)で使用される場合が多く、このような天吊り状態で使用されるプロジェクタはランプ交換の利便性の観点から、天吊り状態のままランプ交換が行えるように、金具等でランプの交換口が塞がれることのないプロジェクタの側面または背面からランプ交換が可能な設計となっている。
【0004】
上記プロジェクタにおいて、天吊り状態のまま破損したランプの交換作業を行う場合、破損したランプをランプ保持機構(以下、ランプユニットと呼称)と一体でプロジェクタから引き出す際、乃至抜き取ったランプユニットを移動させる際に、破損したランプのガラス片等が零れ落ちて、作業者等に接触する可能性があった。
【0005】
このような問題を防止するため、例えば、特許文献1においては、ランプ冷却のための通風口を開閉式とし、ランプ交換時にランプユニットをプロジェクタから引き出す際、自動的に通風口を閉鎖してガラス片等をランプユニット内部に留めることでガラス片等が零れ落ちることを防止する技術(以後、従来技術1と呼称)を開示している。
【0006】
また、特許文献2においては、ランプ冷却のための通風口を開閉式とし、ランプ破損時の空気圧により通風口を閉鎖してガラス片等をランプユニット内部に留めることでガラス片等が零れ落ちることを防止する技術(以後、従来技術2と呼称)を開示している。
【0007】
また、従来のプロジェクタにおいては、天吊り状態のまま破損したランプの交換作業を行う場合、ランプ交換時にガラス片等の落下物を受け取るゴムの袋をランプの交換口を覆うように吊り下げ、袋越しにランプユニットを交換する技術(以後、従来技術3と呼称)を採用しているものもある。
【0008】
【特許文献1】特開2002−107823号公報(第7、第8頁、図8〜10)
【特許文献2】特開2002−352604号公報(第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来技術1のプロジェクタでは、ランプ冷却のための通風口をランプユニット挿抜時に開閉する構造であるため、ランプが破損した際、ガラス片等がランプユニット内部に留まらず、ランプユニット外面に多数付着した状態となる。このような状態のままランプユニットを取り外すと、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離して零れ落ちる可能性がある。
【0010】
また、従来技術2のプロジェクタでは、ランプが破損した際のガラス片等は音速に近い速さで飛散するため、ランプ破損時の空気圧により通風口を閉鎖するような機械的な構造では、ガラス片等の飛散に追従できず、ガラス片等の一部または多くをランプユニット内部に留めることができず、ガラス片等がランプユニット外部に放出されて、ランプユニット外面に多数付着した状態となる。このような状態のままランプユニットを引き出せば、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離して零れ落ちる可能性がある。
【0011】
加えて従来技術1および2のいずれの構造においても、ランプ冷却のための通風口を機構部品で覆って密閉状態にする必要がある。そのため、機構的に非常に複雑な構造を取る必要があるのみならず、プロジェクタの小型化および冷却効率の向上に反する制約が加わるという課題があった。
【0012】
また、従来技術3では、ゴムの袋をランプの交換口を覆うように吊り下げることで、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離した場合でも、当該ガラス片等を袋で受け取ることができ、作業者等に接触することを防止できるが、袋が使用されない場合は効果がないという課題があった。
【0013】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、ランプユニットに保持された状態で破損したランプを交換する場合に、ガラス片等が零れ落ちることを確実に防止した投写型表示装置と、そのためのランプ交換用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の投写型表示装置は、光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、前記投写型表示装置は、前記ランプ保持機構を収容するランプ取付開口部の側面から突出するように設けられた固定ツメを有し、前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部内に収容した状態では前記固定ツメが前記ランプ保持機構に係合し、前記ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、前記ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって前記係止手段による前記ランプ保持機構の係止が解除される。
【0015】
本発明に係る請求項6記載のランプ交換用工具は、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けると、固定ツメに接触して固定ツメをランプ保持機構から遠ざける方向に付勢して、ランプ保持機構の係止を解除する固定ツメ解除用リブと、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けた状態で、ランプ取付開口部を覆う袋とを備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載の投写型表示装置によれば、ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって、係止手段によるランプ保持機構の係止が解除されるので、投写型表示装置を天吊り状態で使用した場合、破損したランプをランプ保持機構と一体で取り外す場合に、ランプ交換用工具に破損したランプのガラス片等を受け止める機能を持たせることで、作業者等に破損したランプのガラス片等が接触することを防止できる。
【0017】
本発明に係る請求項6記載のランプ交換用工具によれば、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けた状態で、ランプ取付開口部を覆う袋を備えるので、投写型表示装置を天吊り状態で使用した場合、破損したランプをランプ保持機構と一体で取り外す場合に、破損したランプのガラス片等が袋に収容されるので、作業者等に破損したランプのガラス片等が接触することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<実施の形態>
図1は、本発明に係る実施の形態の投射型プロジェクタ1の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、投射型プロジェクタ1は箱状の筐体の一側面にレンズを含む投射部90が露出し、投射部90の横にランプ保持機構としてのランプユニット(図示せず)が配置され、当該ランプユニットを覆うようにランプカバー2が取り付けられている。ランプユニットは、光源としてのランプを含み、ランプユニットと一体でランプの交換が可能である。ランプカバー2は、投射型プロジェクタ1の筐体上面の一部をなし、筐体の投射部90が露出する側面に対して垂直な一側面に露出するランプカバー取付ネジ3を緩め、投射部90とは反対側にスライドさせることで取り外すことができる。図2には、ランプカバー2を矢示A方向にスライドさせることでランプカバー2を取り外す途中の状態を示している。
【0019】
ランプカバー2の端面からは、ランプカバー取付リブ2aが突出し、ランプカバー取付リブ2aを厚み方向に貫通するようにランプカバー取付ネジ3が挿入されている。ランプカバー取付ネジ3は、締め付け時にはネジ頭がランプカバー取付リブ2a内に収納され、緩めた場合にはランプカバー取付リブ2a内から突出するが、ネジ部先端には脱落防止用のワッシャー3aが取り付けられているので、ランプカバー取付ネジ3がランプカバー取付リブ2aから脱落することはない。
【0020】
図3に、投射型プロジェクタ1からランプカバー2を取り外した状態を示す。
図3に示すように、ランプカバー2を取り外すとランプ取付開口部16の内部に配設されたランプユニット4が見える。なお、ランプカバー2の下に、さらにカバーが設けられるが、ここでは図示および説明を省略する。
【0021】
ランプユニット4は、最上部がランプカバープレート5となっており、ランプカバープレート5の上面には、ランプユニット取付6、7および8が設けられるとともに、可動式の取っ手11が設けられており、ランプユニット4収納時は、取っ手11をランプカバープレート5の上面と平行になるように倒し、ランプユニット4を取り外す場合には当該取っ手11をランプカバープレート5の上面に起こして使用する。
【0022】
ランプカバープレート5の平面視形状は略長方形であり、その2つの短辺部のうち投射部90側の短辺部には切り欠き10が、その反対側の短辺部には切り欠き9(図4)が設けられている。
【0023】
次に、図4を用いて、ランプユニット4の構成について説明する。
図4の(a)部には、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とを分離した状態を示し、図4の(a)部には、両者を組み合わせた状態を示している。
【0024】
図4の(a)部に示すように、ランプユニット4は、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とで構成され、ランプカバープレート5はランプユニット本体4aの上部に接合され、両者は一体となっている。
【0025】
ランプユニット取付穴6には、取っ手11とは反対側に延在する中空円筒61が取り付けられ、ランプユニット本体4aと組み合わせた場合には、ランプユニット取付ネジ12が、中空円筒61中に挿入され、その底部にあるリブ62に設けられた貫通孔を介してランプ取付開口部16(図3)内に設けられたネジ穴に螺合してランプユニット4を固定することができる。
【0026】
また、ランプカバープレート5とランプユニット本体4aとを組み合わせると、ランプカバープレート5の投射部90側の短辺部に設けたランプユニット取付穴7および8は、ランプユニット本体4aに設けられたパッド71および81と対面することになる。そして、ランプユニット取付ネジ13および14を、それぞれ、ランプユニット取付穴7および8に挿入すると、パッド71および81に設けられた貫通孔を介して、ランプ取付開口部16内に設けられたネジ穴に螺合してランプユニット4を固定することができる。
【0027】
なお、ランプユニット取付ネジ12〜14のネジ部先端には、脱落防止用のワッシャー15が取り付けられているので、ランプユニット取付ネジ12〜14を緩めても、ランプユニット取付ネジ12〜14が、ランプユニット4から脱落することはない。
【0028】
図5は、図3と同様に投射型プロジェクタ1からランプカバー2を取り外した状態を示しており、この図を用いてランプユニット4の取り外し手順について説明する。
【0029】
図5に示すように ランプカバープレート5はランプ取付開口部16を完全に塞ぐ形状および大きさで構成されているので、天吊り状態で図5の状態になった場合でも破損したランプのガラス片等が零れ落ちることが防止される。
【0030】
ランプユニット4を取り外すためにはランプカバープレート5に設けられたランプユニット取付6〜8を通してネジ回し等を挿入し、それぞれランプユニット取付ネジ12〜14を緩めるが、これだけではランプユニット4は取り外すことはできない。以下、本発明の特徴の1つでもある、ランプユニット4を固定する構成について説明する。
【0031】
図6は、ランプユニット4を取り付けた状態でのランプ取付開口部16を示す斜視図である。なお、以下の図においては、説明を容易にするためにランプユニット4最上部のランプカバープレート5を省略して示している。
【0032】
図6に示すようにランプ取付開口部16の平面視形状は略長方形であり、投射部90側の側面には、深さ方向に延在する溝181が設けられ、反対側の側面には溝171が設けられている。
【0033】
溝181の下部にはランプユニット固定ツメ18が溝181の底面から突出するように配設され、同様に溝171においてもランプユニット固定ツメ17(図示されず)が配設されランプユニット本体4aは、ランプユニット固定ツメ17および18(係止手段)により押さえられて係止されている。なお、ランプカバープレート5は省略しているが、図4を用いて説明したように、ランプカバープレート5には切り欠き10および9が設けられており、切り欠き10はランプユニット固定ツメ18がランプユニット本体4aに係合する部分に設けられ、切り欠き9はランプユニット固定ツメ17がランプユニット本体4aに係合する部分に設けられている。
【0034】
ランプユニット固定ツメ18を例に採って説明すると、その形状は、ランプ取付開口部16の底部側の辺が水平面を有し、他の一辺がランプ取付開口部16の底部に向かう方向に広がった固定ツメ斜面18bを有した3角形状をなしている。
【0035】
ランプユニット4を取り付ける場合、ランプユニット本体4aが下側となるように矢示Aの方向に挿入すると、ランプユニット本体4aに設けられたランプユニット本体平面4bがランプユニット取付開口部16に設けられた溝181の底面でもある固定ツメ平面18aに沿って進む。
【0036】
なお、溝181の底面でもある固定ツメ平面18aは、溝のコーナー部にランプ取付開口部の深さ方向に沿った切れ込みを有し、平面に対して力を受けると、その力の方向に揺動する構成となっている。このため、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が容易にできるとともに、後に説明するランプ交換用工具19(図9)による係止の解除が容易となる。
【0037】
ランプユニット本体平面4bが固定ツメ斜面18bに達すると矢示B方向にランプユニット固定ツメ18を押し上げつつ進み、固定ツメ斜面18bを越えると、図に示すようにランプユニット固定ツメ18の底面下にランプユニット本体4aの一部が接触し、ランプユニット固定ツメ18により押さえられて動きが規制され、ランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となる。
【0038】
ランプユニット固定ツメ17も同様の構成を有し、ランプユニット本体4aはランプユニット固定ツメ17によっても押さえられて、ランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となる。
【0039】
図7は、ランプユニット固定ツメ17を示す図であり、ランプ取付開口部16の側面に形成された溝171の底面でもある固定ツメ平面17aと、ランプ取付開口部16の底に向かう方向に広がった固定ツメ斜面17bを有している。
【0040】
図8は、ランプユニット固定ツメ18を示す図であり、ランプ取付開口部16の側面に形成された溝181の底面でもある固定ツメ平面18aと、ランプ取付開口部16の底に向かう方向に広がった固定ツメ斜面18bを有している。
【0041】
次に、図9〜図13を用いて、ランプユニット4の取り外し方法について説明する。以下の図においては、説明を容易にするためにランプユニット4最上部のランプカバープレート5を省略して示している。
【0042】
図9は、本発明に係るランプ交換用工具19を示す斜視図である。
図9に示すようにランプ交換用工具19は、円環状の第1フレーム191と、第1フレームの内周に収まるとともにランプ取付開口部16の平面視形状に略合致する矩形環状の第2フレーム192と、第1フレームに取り付けられ、破損したランプのガラス片等が零れ落ちることを防止するための袋25と、第2フレーム192の対向する2辺に取り付けられたランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22と、第1フレームと第2フレームとの間にランプユニット固定ツメ解除用リブ21に向かい合うように取り付けられ、端部がランプカバー取付リブ2a(図1)と同形状に作られたランプ交換用工具取付リブ20とを有し、ランプ交換用工具取付リブ20の端部には、ランプ交換用工具取付ネジ23が、脱落防止のための脱落防止用ワッシャー24とともに取り付けられている。
【0043】
図10は、ランプ交換用工具19を用いて、ランプユニット4の固定を解除する仕組みについて説明する図である。このとき、図5を用いて説明したようにランプユニット4を取り外すために、ランプカバープレート5に設けられたランプユニット取付穴6〜8を通して、それぞれランプユニット取付ネジ12〜14を緩めた状態であるが、ランプユニット本体4aはランプユニット固定ツメ17および18により係止されて、動きが規制された状態である。
【0044】
図10に示すように、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22がランプ取付開口部16の側を向くようにランプ取付開口部16上に配置し、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22を、それぞれ溝171および181に挿入する。このとき、ランプ交換用工具取付リブ20の端部が、ランプカバー取付リブ収納部2bに収納されるようにする。
【0045】
投射型プロジェクタ1にランプ交換用工具19を取り付けた場合のランプユニット固定ツメ17および18によるランプユニット4の係止解除について、ランプユニット固定ツメ解除用リブ22の動きを例に採って説明する。
【0046】
図10に示すようにランプユニット本体4aは、ランプユニット固定ツメ18により押さえられているためランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となっている。
【0047】
ランプ交換用工具19を取り付け、図の矢示A方向に進むように溝181内にランプユニット固定ツメ解除用リブ22を挿入すると、溝181の底面でもあるランプユニット固定ツメ18の固定ツメ平面18aに沿って進む。
【0048】
そして、ランプユニット固定ツメ解除用リブ22がランプユニット固定ツメ18の固定ツメ斜面18bに達すると、図の矢示B方向(ランプユニット固定ツメ18をランプユニット本体4aから遠ざける方向)にランプユニット固定ツメ18を付勢し、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が解除される。同様に、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21によって、ランプユニット固定ツメ17によるランプユニット本体4aの係止も解除され、ランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せる状態となる。
【0049】
図11は、投射型プロジェクタ1にランプ交換用工具19を装着した状態を示す斜視図である。
【0050】
図11に示すように、投射型プロジェクタ1は、天吊り状態で設置されている場合はランプ交換用工具19の落下が考えられるため、ランプ交換用工具19はランプ交換用工具取付リブ20に取り付けられたランプ交換用工具取付ネジ23により、投射型プロジェクタ1側面のランプカバー取付リブ収納部2b(図10)にネジ止めする。
【0051】
図12は、机上の投射型プロジェクタ1に対してランプ交換用工具19を用いてランプユニット4の取り外しをする状態を示す図である。
【0052】
図10を用いて説明したランプユニット本体4aの係止解除を行った後、図12に示すように、ランプ交換用工具19を投射型プロジェクタ1に取り付けているランプ交換用工具取付ネジ23を緩め、袋25越しにランプカバープレート5の上面に設けられた取っ手11を持ち、ランプユニット4をランプ交換用工具19と共に持ち上げてランプユニット4をランプ取付開口部16より取り外す。
【0053】
図13は、天吊り状態での投射型プロジェクタ1に対してランプ交換用工具19を用いてランプユニット4の取り外しをする状態を示す図である。
【0054】
この場合、図10を用いて説明したランプユニット本体4aの係止解除を行うと、ランプユニット4が袋25の中に落下してくる。このとき、ランプが破損している場合は破損したランプのガラス片等も袋25の中に収容され、ガラス片等が飛散するのを防止することができる。
【0055】
ランプユニット4およびガラス片等を収容した後はランプ交換用工具取付ネジ23を緩め、ランプ交換用工具19をランプ取付開口部16より取り外す。
【0056】
以上説明したように、本発明に係る投射型プロジェクタにおいては、ランプユニット4の動きを規制する規制手段として、ランプユニット取付ネジ12〜14によるネジ止めの他に、ランプユニット取付開口部16に設けたランプユニット固定ツメ17および18を備えている。
【0057】
このため、ランプユニット取付ネジ12〜14を緩めただけでは、ランプユニット4を取り外すことはできず、係止解除のためのランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22を有したランプ交換用工具19が必要となる。
【0058】
そして、ランプ交換用工具19には、ランプが破損した場合に生じたガラス片等がランプユニット4交換時に零れ落ちた場合でも、それを受け止める袋25を具備しているので、投射型プロジェクタ1を天吊り状態で使用する場合でも、ガラス片等が作業者等に接触することを防止できる。また、ランプユニット4の交換にはランプ交換用工具19が必要となるので、ガラス片等の飛散防止のための袋等を付け忘れると言った事態を防止することができる。
【0059】
また、ランプユニット4はランプユニット本体4aとランプカバープレート5とで構成されておりランプカバープレート5はランプ取付開口部16を完全に塞ぐ大きさで構成されているので、投射型プロジェクタ1が天吊り状態でランプカバー2を取り外した場合でも、破損したランプのガラス片等が零れ落ちることを防止できる。
【0060】
なお、ランプ交換用工具19は、ランプユニット4の係止解除手段としての機能と、ガラス片等の飛散防止手段としての機能を併せ持つが、袋25はランプユニット4を受け止めるための受止手段としての機能も有する。
【0061】
また、ランプユニット4の交換にはランプ交換用工具19が必要となるため、現在、市場で問題となっている擬似ランプ交換オプション部品に対しても使用を防止する効果がある。
【0062】
<変形例1>
以上説明した本発明に係る実施の形態においては、ランプユニット4の動きを規制する規制手段として、ランプユニット取付開口部16に設けたランプユニット固定ツメ17および18を設け、ランプユニット4の係止解除手段としてランプ交換用工具19を用いる例を示したが、これらを設けず、ランプカバープレート5によりガラス片等を受け止め、飛散を防止する構成としても良い。
【0063】
この場合、構造が簡略化されるので、投射型表示装置のコストの低減を図ることができる。
【0064】
<変形例2>
以上説明した本発明に係る実施の形態においては、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とを別部品として構成する例を示したが、両者一体となったランプユニットを構成しても良い。この場合、部品点数を削減して、投射型表示装置のコストの低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の活用例として、天井に設置の投射型表示装置のみでなく天井に設置の照明装置の光源の交換にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る実施の形態のプロジェクタの外観を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプカバーの取り外し要領を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプカバーを取り外した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット取付ネジの緩め方を示す図である。
【図6】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニットを係止する構造を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット固定ツメを示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット固定ツメを示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具によりランプユニットの係止を解除する構造を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具の装着状態を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を机上でのランプ交換に使用する状態を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を天吊り状態でのランプ交換に使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 投射型プロジェクタ、2 ランプカバー、4 ランプユニット、5 ランプカバープレート、16 ランプユニット取付開口部、17,18 ランプユニット固定ツメ、19 ランプ交換用工具、21,22 ランプユニット固定ツメ解除用リブ、25 袋。
【技術分野】
【0001】
本発明は投写型表示装置およびランプ交換用工具に関し、特に、光源としてランプを用いる投写型表示装置およびランプ交換用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源としてランプを用いる投写型表示装置(以下、プロジェクタと呼称)においては、従来は光源として使用されるランプは出力が小さく密閉式であるものが主流であった。しかし、現在はプロジェクタ本体の小型化および高輝度化にともない高出力で小型だが冷却効率の高い開放型のランプが主流である。そのため、ランプが割れたような場合には、ガラス片等がプロジェクタ内に飛散する。この状態で破損したランプの交換を行えば、ガラス片等がプロジェクタ内から零れ落ちることになる。そこで、プロジェクタ内から零れ落ちたガラス片等が作業者等に接触することを防止する対策が必要となっている。
【0003】
特に高輝度型のプロジェクタは、天井に金具で固定された状態(以下、天吊り状態と呼称)で使用される場合が多く、このような天吊り状態で使用されるプロジェクタはランプ交換の利便性の観点から、天吊り状態のままランプ交換が行えるように、金具等でランプの交換口が塞がれることのないプロジェクタの側面または背面からランプ交換が可能な設計となっている。
【0004】
上記プロジェクタにおいて、天吊り状態のまま破損したランプの交換作業を行う場合、破損したランプをランプ保持機構(以下、ランプユニットと呼称)と一体でプロジェクタから引き出す際、乃至抜き取ったランプユニットを移動させる際に、破損したランプのガラス片等が零れ落ちて、作業者等に接触する可能性があった。
【0005】
このような問題を防止するため、例えば、特許文献1においては、ランプ冷却のための通風口を開閉式とし、ランプ交換時にランプユニットをプロジェクタから引き出す際、自動的に通風口を閉鎖してガラス片等をランプユニット内部に留めることでガラス片等が零れ落ちることを防止する技術(以後、従来技術1と呼称)を開示している。
【0006】
また、特許文献2においては、ランプ冷却のための通風口を開閉式とし、ランプ破損時の空気圧により通風口を閉鎖してガラス片等をランプユニット内部に留めることでガラス片等が零れ落ちることを防止する技術(以後、従来技術2と呼称)を開示している。
【0007】
また、従来のプロジェクタにおいては、天吊り状態のまま破損したランプの交換作業を行う場合、ランプ交換時にガラス片等の落下物を受け取るゴムの袋をランプの交換口を覆うように吊り下げ、袋越しにランプユニットを交換する技術(以後、従来技術3と呼称)を採用しているものもある。
【0008】
【特許文献1】特開2002−107823号公報(第7、第8頁、図8〜10)
【特許文献2】特開2002−352604号公報(第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来技術1のプロジェクタでは、ランプ冷却のための通風口をランプユニット挿抜時に開閉する構造であるため、ランプが破損した際、ガラス片等がランプユニット内部に留まらず、ランプユニット外面に多数付着した状態となる。このような状態のままランプユニットを取り外すと、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離して零れ落ちる可能性がある。
【0010】
また、従来技術2のプロジェクタでは、ランプが破損した際のガラス片等は音速に近い速さで飛散するため、ランプ破損時の空気圧により通風口を閉鎖するような機械的な構造では、ガラス片等の飛散に追従できず、ガラス片等の一部または多くをランプユニット内部に留めることができず、ガラス片等がランプユニット外部に放出されて、ランプユニット外面に多数付着した状態となる。このような状態のままランプユニットを引き出せば、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離して零れ落ちる可能性がある。
【0011】
加えて従来技術1および2のいずれの構造においても、ランプ冷却のための通風口を機構部品で覆って密閉状態にする必要がある。そのため、機構的に非常に複雑な構造を取る必要があるのみならず、プロジェクタの小型化および冷却効率の向上に反する制約が加わるという課題があった。
【0012】
また、従来技術3では、ゴムの袋をランプの交換口を覆うように吊り下げることで、ランプユニット外面に付着したガラス片等が剥離した場合でも、当該ガラス片等を袋で受け取ることができ、作業者等に接触することを防止できるが、袋が使用されない場合は効果がないという課題があった。
【0013】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、ランプユニットに保持された状態で破損したランプを交換する場合に、ガラス片等が零れ落ちることを確実に防止した投写型表示装置と、そのためのランプ交換用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の投写型表示装置は、光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、前記投写型表示装置は、前記ランプ保持機構を収容するランプ取付開口部の側面から突出するように設けられた固定ツメを有し、前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部内に収容した状態では前記固定ツメが前記ランプ保持機構に係合し、前記ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、前記ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって前記係止手段による前記ランプ保持機構の係止が解除される。
【0015】
本発明に係る請求項6記載のランプ交換用工具は、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けると、固定ツメに接触して固定ツメをランプ保持機構から遠ざける方向に付勢して、ランプ保持機構の係止を解除する固定ツメ解除用リブと、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けた状態で、ランプ取付開口部を覆う袋とを備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載の投写型表示装置によれば、ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって、係止手段によるランプ保持機構の係止が解除されるので、投写型表示装置を天吊り状態で使用した場合、破損したランプをランプ保持機構と一体で取り外す場合に、ランプ交換用工具に破損したランプのガラス片等を受け止める機能を持たせることで、作業者等に破損したランプのガラス片等が接触することを防止できる。
【0017】
本発明に係る請求項6記載のランプ交換用工具によれば、ランプ交換用工具をランプ取付開口部に取り付けた状態で、ランプ取付開口部を覆う袋を備えるので、投写型表示装置を天吊り状態で使用した場合、破損したランプをランプ保持機構と一体で取り外す場合に、破損したランプのガラス片等が袋に収容されるので、作業者等に破損したランプのガラス片等が接触することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<実施の形態>
図1は、本発明に係る実施の形態の投射型プロジェクタ1の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、投射型プロジェクタ1は箱状の筐体の一側面にレンズを含む投射部90が露出し、投射部90の横にランプ保持機構としてのランプユニット(図示せず)が配置され、当該ランプユニットを覆うようにランプカバー2が取り付けられている。ランプユニットは、光源としてのランプを含み、ランプユニットと一体でランプの交換が可能である。ランプカバー2は、投射型プロジェクタ1の筐体上面の一部をなし、筐体の投射部90が露出する側面に対して垂直な一側面に露出するランプカバー取付ネジ3を緩め、投射部90とは反対側にスライドさせることで取り外すことができる。図2には、ランプカバー2を矢示A方向にスライドさせることでランプカバー2を取り外す途中の状態を示している。
【0019】
ランプカバー2の端面からは、ランプカバー取付リブ2aが突出し、ランプカバー取付リブ2aを厚み方向に貫通するようにランプカバー取付ネジ3が挿入されている。ランプカバー取付ネジ3は、締め付け時にはネジ頭がランプカバー取付リブ2a内に収納され、緩めた場合にはランプカバー取付リブ2a内から突出するが、ネジ部先端には脱落防止用のワッシャー3aが取り付けられているので、ランプカバー取付ネジ3がランプカバー取付リブ2aから脱落することはない。
【0020】
図3に、投射型プロジェクタ1からランプカバー2を取り外した状態を示す。
図3に示すように、ランプカバー2を取り外すとランプ取付開口部16の内部に配設されたランプユニット4が見える。なお、ランプカバー2の下に、さらにカバーが設けられるが、ここでは図示および説明を省略する。
【0021】
ランプユニット4は、最上部がランプカバープレート5となっており、ランプカバープレート5の上面には、ランプユニット取付6、7および8が設けられるとともに、可動式の取っ手11が設けられており、ランプユニット4収納時は、取っ手11をランプカバープレート5の上面と平行になるように倒し、ランプユニット4を取り外す場合には当該取っ手11をランプカバープレート5の上面に起こして使用する。
【0022】
ランプカバープレート5の平面視形状は略長方形であり、その2つの短辺部のうち投射部90側の短辺部には切り欠き10が、その反対側の短辺部には切り欠き9(図4)が設けられている。
【0023】
次に、図4を用いて、ランプユニット4の構成について説明する。
図4の(a)部には、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とを分離した状態を示し、図4の(a)部には、両者を組み合わせた状態を示している。
【0024】
図4の(a)部に示すように、ランプユニット4は、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とで構成され、ランプカバープレート5はランプユニット本体4aの上部に接合され、両者は一体となっている。
【0025】
ランプユニット取付穴6には、取っ手11とは反対側に延在する中空円筒61が取り付けられ、ランプユニット本体4aと組み合わせた場合には、ランプユニット取付ネジ12が、中空円筒61中に挿入され、その底部にあるリブ62に設けられた貫通孔を介してランプ取付開口部16(図3)内に設けられたネジ穴に螺合してランプユニット4を固定することができる。
【0026】
また、ランプカバープレート5とランプユニット本体4aとを組み合わせると、ランプカバープレート5の投射部90側の短辺部に設けたランプユニット取付穴7および8は、ランプユニット本体4aに設けられたパッド71および81と対面することになる。そして、ランプユニット取付ネジ13および14を、それぞれ、ランプユニット取付穴7および8に挿入すると、パッド71および81に設けられた貫通孔を介して、ランプ取付開口部16内に設けられたネジ穴に螺合してランプユニット4を固定することができる。
【0027】
なお、ランプユニット取付ネジ12〜14のネジ部先端には、脱落防止用のワッシャー15が取り付けられているので、ランプユニット取付ネジ12〜14を緩めても、ランプユニット取付ネジ12〜14が、ランプユニット4から脱落することはない。
【0028】
図5は、図3と同様に投射型プロジェクタ1からランプカバー2を取り外した状態を示しており、この図を用いてランプユニット4の取り外し手順について説明する。
【0029】
図5に示すように ランプカバープレート5はランプ取付開口部16を完全に塞ぐ形状および大きさで構成されているので、天吊り状態で図5の状態になった場合でも破損したランプのガラス片等が零れ落ちることが防止される。
【0030】
ランプユニット4を取り外すためにはランプカバープレート5に設けられたランプユニット取付6〜8を通してネジ回し等を挿入し、それぞれランプユニット取付ネジ12〜14を緩めるが、これだけではランプユニット4は取り外すことはできない。以下、本発明の特徴の1つでもある、ランプユニット4を固定する構成について説明する。
【0031】
図6は、ランプユニット4を取り付けた状態でのランプ取付開口部16を示す斜視図である。なお、以下の図においては、説明を容易にするためにランプユニット4最上部のランプカバープレート5を省略して示している。
【0032】
図6に示すようにランプ取付開口部16の平面視形状は略長方形であり、投射部90側の側面には、深さ方向に延在する溝181が設けられ、反対側の側面には溝171が設けられている。
【0033】
溝181の下部にはランプユニット固定ツメ18が溝181の底面から突出するように配設され、同様に溝171においてもランプユニット固定ツメ17(図示されず)が配設されランプユニット本体4aは、ランプユニット固定ツメ17および18(係止手段)により押さえられて係止されている。なお、ランプカバープレート5は省略しているが、図4を用いて説明したように、ランプカバープレート5には切り欠き10および9が設けられており、切り欠き10はランプユニット固定ツメ18がランプユニット本体4aに係合する部分に設けられ、切り欠き9はランプユニット固定ツメ17がランプユニット本体4aに係合する部分に設けられている。
【0034】
ランプユニット固定ツメ18を例に採って説明すると、その形状は、ランプ取付開口部16の底部側の辺が水平面を有し、他の一辺がランプ取付開口部16の底部に向かう方向に広がった固定ツメ斜面18bを有した3角形状をなしている。
【0035】
ランプユニット4を取り付ける場合、ランプユニット本体4aが下側となるように矢示Aの方向に挿入すると、ランプユニット本体4aに設けられたランプユニット本体平面4bがランプユニット取付開口部16に設けられた溝181の底面でもある固定ツメ平面18aに沿って進む。
【0036】
なお、溝181の底面でもある固定ツメ平面18aは、溝のコーナー部にランプ取付開口部の深さ方向に沿った切れ込みを有し、平面に対して力を受けると、その力の方向に揺動する構成となっている。このため、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が容易にできるとともに、後に説明するランプ交換用工具19(図9)による係止の解除が容易となる。
【0037】
ランプユニット本体平面4bが固定ツメ斜面18bに達すると矢示B方向にランプユニット固定ツメ18を押し上げつつ進み、固定ツメ斜面18bを越えると、図に示すようにランプユニット固定ツメ18の底面下にランプユニット本体4aの一部が接触し、ランプユニット固定ツメ18により押さえられて動きが規制され、ランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となる。
【0038】
ランプユニット固定ツメ17も同様の構成を有し、ランプユニット本体4aはランプユニット固定ツメ17によっても押さえられて、ランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となる。
【0039】
図7は、ランプユニット固定ツメ17を示す図であり、ランプ取付開口部16の側面に形成された溝171の底面でもある固定ツメ平面17aと、ランプ取付開口部16の底に向かう方向に広がった固定ツメ斜面17bを有している。
【0040】
図8は、ランプユニット固定ツメ18を示す図であり、ランプ取付開口部16の側面に形成された溝181の底面でもある固定ツメ平面18aと、ランプ取付開口部16の底に向かう方向に広がった固定ツメ斜面18bを有している。
【0041】
次に、図9〜図13を用いて、ランプユニット4の取り外し方法について説明する。以下の図においては、説明を容易にするためにランプユニット4最上部のランプカバープレート5を省略して示している。
【0042】
図9は、本発明に係るランプ交換用工具19を示す斜視図である。
図9に示すようにランプ交換用工具19は、円環状の第1フレーム191と、第1フレームの内周に収まるとともにランプ取付開口部16の平面視形状に略合致する矩形環状の第2フレーム192と、第1フレームに取り付けられ、破損したランプのガラス片等が零れ落ちることを防止するための袋25と、第2フレーム192の対向する2辺に取り付けられたランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22と、第1フレームと第2フレームとの間にランプユニット固定ツメ解除用リブ21に向かい合うように取り付けられ、端部がランプカバー取付リブ2a(図1)と同形状に作られたランプ交換用工具取付リブ20とを有し、ランプ交換用工具取付リブ20の端部には、ランプ交換用工具取付ネジ23が、脱落防止のための脱落防止用ワッシャー24とともに取り付けられている。
【0043】
図10は、ランプ交換用工具19を用いて、ランプユニット4の固定を解除する仕組みについて説明する図である。このとき、図5を用いて説明したようにランプユニット4を取り外すために、ランプカバープレート5に設けられたランプユニット取付穴6〜8を通して、それぞれランプユニット取付ネジ12〜14を緩めた状態であるが、ランプユニット本体4aはランプユニット固定ツメ17および18により係止されて、動きが規制された状態である。
【0044】
図10に示すように、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22がランプ取付開口部16の側を向くようにランプ取付開口部16上に配置し、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22を、それぞれ溝171および181に挿入する。このとき、ランプ交換用工具取付リブ20の端部が、ランプカバー取付リブ収納部2bに収納されるようにする。
【0045】
投射型プロジェクタ1にランプ交換用工具19を取り付けた場合のランプユニット固定ツメ17および18によるランプユニット4の係止解除について、ランプユニット固定ツメ解除用リブ22の動きを例に採って説明する。
【0046】
図10に示すようにランプユニット本体4aは、ランプユニット固定ツメ18により押さえられているためランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せない状態となっている。
【0047】
ランプ交換用工具19を取り付け、図の矢示A方向に進むように溝181内にランプユニット固定ツメ解除用リブ22を挿入すると、溝181の底面でもあるランプユニット固定ツメ18の固定ツメ平面18aに沿って進む。
【0048】
そして、ランプユニット固定ツメ解除用リブ22がランプユニット固定ツメ18の固定ツメ斜面18bに達すると、図の矢示B方向(ランプユニット固定ツメ18をランプユニット本体4aから遠ざける方向)にランプユニット固定ツメ18を付勢し、ランプユニット固定ツメ18によるランプユニット本体4aの係止が解除される。同様に、ランプユニット固定ツメ解除用リブ21によって、ランプユニット固定ツメ17によるランプユニット本体4aの係止も解除され、ランプユニット本体4aはランプユニット取付開口部16より引き出せる状態となる。
【0049】
図11は、投射型プロジェクタ1にランプ交換用工具19を装着した状態を示す斜視図である。
【0050】
図11に示すように、投射型プロジェクタ1は、天吊り状態で設置されている場合はランプ交換用工具19の落下が考えられるため、ランプ交換用工具19はランプ交換用工具取付リブ20に取り付けられたランプ交換用工具取付ネジ23により、投射型プロジェクタ1側面のランプカバー取付リブ収納部2b(図10)にネジ止めする。
【0051】
図12は、机上の投射型プロジェクタ1に対してランプ交換用工具19を用いてランプユニット4の取り外しをする状態を示す図である。
【0052】
図10を用いて説明したランプユニット本体4aの係止解除を行った後、図12に示すように、ランプ交換用工具19を投射型プロジェクタ1に取り付けているランプ交換用工具取付ネジ23を緩め、袋25越しにランプカバープレート5の上面に設けられた取っ手11を持ち、ランプユニット4をランプ交換用工具19と共に持ち上げてランプユニット4をランプ取付開口部16より取り外す。
【0053】
図13は、天吊り状態での投射型プロジェクタ1に対してランプ交換用工具19を用いてランプユニット4の取り外しをする状態を示す図である。
【0054】
この場合、図10を用いて説明したランプユニット本体4aの係止解除を行うと、ランプユニット4が袋25の中に落下してくる。このとき、ランプが破損している場合は破損したランプのガラス片等も袋25の中に収容され、ガラス片等が飛散するのを防止することができる。
【0055】
ランプユニット4およびガラス片等を収容した後はランプ交換用工具取付ネジ23を緩め、ランプ交換用工具19をランプ取付開口部16より取り外す。
【0056】
以上説明したように、本発明に係る投射型プロジェクタにおいては、ランプユニット4の動きを規制する規制手段として、ランプユニット取付ネジ12〜14によるネジ止めの他に、ランプユニット取付開口部16に設けたランプユニット固定ツメ17および18を備えている。
【0057】
このため、ランプユニット取付ネジ12〜14を緩めただけでは、ランプユニット4を取り外すことはできず、係止解除のためのランプユニット固定ツメ解除用リブ21および22を有したランプ交換用工具19が必要となる。
【0058】
そして、ランプ交換用工具19には、ランプが破損した場合に生じたガラス片等がランプユニット4交換時に零れ落ちた場合でも、それを受け止める袋25を具備しているので、投射型プロジェクタ1を天吊り状態で使用する場合でも、ガラス片等が作業者等に接触することを防止できる。また、ランプユニット4の交換にはランプ交換用工具19が必要となるので、ガラス片等の飛散防止のための袋等を付け忘れると言った事態を防止することができる。
【0059】
また、ランプユニット4はランプユニット本体4aとランプカバープレート5とで構成されておりランプカバープレート5はランプ取付開口部16を完全に塞ぐ大きさで構成されているので、投射型プロジェクタ1が天吊り状態でランプカバー2を取り外した場合でも、破損したランプのガラス片等が零れ落ちることを防止できる。
【0060】
なお、ランプ交換用工具19は、ランプユニット4の係止解除手段としての機能と、ガラス片等の飛散防止手段としての機能を併せ持つが、袋25はランプユニット4を受け止めるための受止手段としての機能も有する。
【0061】
また、ランプユニット4の交換にはランプ交換用工具19が必要となるため、現在、市場で問題となっている擬似ランプ交換オプション部品に対しても使用を防止する効果がある。
【0062】
<変形例1>
以上説明した本発明に係る実施の形態においては、ランプユニット4の動きを規制する規制手段として、ランプユニット取付開口部16に設けたランプユニット固定ツメ17および18を設け、ランプユニット4の係止解除手段としてランプ交換用工具19を用いる例を示したが、これらを設けず、ランプカバープレート5によりガラス片等を受け止め、飛散を防止する構成としても良い。
【0063】
この場合、構造が簡略化されるので、投射型表示装置のコストの低減を図ることができる。
【0064】
<変形例2>
以上説明した本発明に係る実施の形態においては、ランプユニット本体4aとランプカバープレート5とを別部品として構成する例を示したが、両者一体となったランプユニットを構成しても良い。この場合、部品点数を削減して、投射型表示装置のコストの低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の活用例として、天井に設置の投射型表示装置のみでなく天井に設置の照明装置の光源の交換にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る実施の形態のプロジェクタの外観を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプカバーの取り外し要領を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプカバーを取り外した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット取付ネジの緩め方を示す図である。
【図6】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニットを係止する構造を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット固定ツメを示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態のプロジェクタのランプユニット固定ツメを示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具によりランプユニットの係止を解除する構造を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具の装着状態を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を机上でのランプ交換に使用する状態を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態のランプ交換用工具を天吊り状態でのランプ交換に使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 投射型プロジェクタ、2 ランプカバー、4 ランプユニット、5 ランプカバープレート、16 ランプユニット取付開口部、17,18 ランプユニット固定ツメ、19 ランプ交換用工具、21,22 ランプユニット固定ツメ解除用リブ、25 袋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、
前記投写型表示装置は、
前記ランプ保持機構を収容するランプ取付開口部の側面から突出するように設けられた固定ツメを有し、前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部内に収容した状態では前記固定ツメが前記ランプ保持機構に係合し、前記ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、
前記ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって前記係止手段による前記ランプ保持機構の係止が解除される、投写型表示装置。
【請求項2】
前記固定ツメは、
前記ランプ取付開口部の前記側面から突出する3角形の形状を有し、前記ランプ取付開口部の底部側の辺が水平面を有し、他の一辺が前記ランプ取付開口部の底部に向かう方向に広がった斜面を有し、
前記固定ツメが突出する前記側面は、その面に力を受けるとその力の方向に揺動するように、前記ランプ取付開口部の深さ方向に沿った切れ込みを有する、請求項1記載の投写型表示装置。
【請求項3】
前記ランプ保持機構は、その最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状を有し、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記最上部が前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、請求項1記載の投写型表示装置。
【請求項4】
前記ランプ保持機構は、
前記最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状のカバープレートで構成され、
前記カバープレートの下部にランプ保持機構本体が接合され、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記カバープレートが前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、請求項3記載の投写型表示装置。
【請求項5】
光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、
前記ランプ保持機構は、その最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状を有し、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記最上部が前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、投写型表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の投写型表示装置に使用される前記ランプ交換用工具であって、
前記ランプ交換用工具は、
前記ランプ交換用工具を前記ランプ取付開口部に取り付けると、前記固定ツメに接触して前記固定ツメを前記ランプ保持機構から遠ざける方向に付勢して、前記ランプ保持機構の係止を解除する固定ツメ解除用リブと、
前記ランプ交換用工具を前記ランプ取付開口部に取り付けた状態で、前記ランプ取付開口部を覆う袋とを備える、ランプ交換用工具。
【請求項1】
光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、
前記投写型表示装置は、
前記ランプ保持機構を収容するランプ取付開口部の側面から突出するように設けられた固定ツメを有し、前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部内に収容した状態では前記固定ツメが前記ランプ保持機構に係合し、前記ランプ保持機構を係止する係止手段を備え、
前記ランプ取付開口にランプ交換用工具を取り付けることによって前記係止手段による前記ランプ保持機構の係止が解除される、投写型表示装置。
【請求項2】
前記固定ツメは、
前記ランプ取付開口部の前記側面から突出する3角形の形状を有し、前記ランプ取付開口部の底部側の辺が水平面を有し、他の一辺が前記ランプ取付開口部の底部に向かう方向に広がった斜面を有し、
前記固定ツメが突出する前記側面は、その面に力を受けるとその力の方向に揺動するように、前記ランプ取付開口部の深さ方向に沿った切れ込みを有する、請求項1記載の投写型表示装置。
【請求項3】
前記ランプ保持機構は、その最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状を有し、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記最上部が前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、請求項1記載の投写型表示装置。
【請求項4】
前記ランプ保持機構は、
前記最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状のカバープレートで構成され、
前記カバープレートの下部にランプ保持機構本体が接合され、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記カバープレートが前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、請求項3記載の投写型表示装置。
【請求項5】
光源としてのランプと、前記ランプを保持するランプ保持機構とを備え、前記ランプ保持機構と一体で前記ランプの交換が可能な投写型表示装置であって、
前記ランプ保持機構は、その最上部が、前記ランプ取付開口部の平面視形状と合致する形状を有し、
前記ランプ保持機構を前記ランプ取付開口部に収容した状態では、前記最上部が前記ランプ取付開口部を完全に塞ぐ、投写型表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の投写型表示装置に使用される前記ランプ交換用工具であって、
前記ランプ交換用工具は、
前記ランプ交換用工具を前記ランプ取付開口部に取り付けると、前記固定ツメに接触して前記固定ツメを前記ランプ保持機構から遠ざける方向に付勢して、前記ランプ保持機構の係止を解除する固定ツメ解除用リブと、
前記ランプ交換用工具を前記ランプ取付開口部に取り付けた状態で、前記ランプ取付開口部を覆う袋とを備える、ランプ交換用工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−80228(P2009−80228A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248530(P2007−248530)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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