説明

投射型映像表示装置

【課題】本発明は、装置の見栄えを落とさず不動体と係留するための挿通部材を有し、低コストで製造可能な投射型映像表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】
本発明の投射型映像表示装置は、筐体と、前記筐体底面に設けられ、装置の投射角度を調整する可動脚10と、前記筐体底面に底面部材(ボトムカバー2)と一体として設けられ、前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚11とを備える。固定脚11には通し穴11cが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は盗難防止用のワイヤにより係留される投射型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
持ち運びが可能な投射型映像表示装置であるプロジェクタは、盗難対策として盗難防止用のワイヤにより係留されることが一般的に知られている。
【0003】
例えば、プロジェクタを机などの不動体に連結させて盗難を防止するためのロック機構として、ケンジントンロックと呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ケンジントンロックは、ワイヤに接続されたロック軸をプロジェクタに設けられた挿入孔に挿入した状態で施錠を行うことにより、プロジェクタの挿入孔からロック軸が抜けなくなるように構成されている。
【0004】
また、ケンジントンロックを用いずに投射型映像表示装置を机などの不動体に連結させるために、ワイヤ挿通部を備えるプロジェクタが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の投写型映像表示装置が備えるワイヤ挿通部材は筐体の内部に格納されているが、これを筐体外部に摺動して盗難防止用のワイヤを挿通することにより装置を係留することが可能で、盗難防止に大きな効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−20551号公報
【特許文献2】特開2010−134174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すようにロック軸の挿入孔がプロジェクタに設けられている場合は、挿入孔がプロジェクタの外観に現れるため、見栄えが悪くなるという問題がある。
【0007】
特許文献2では、ワイヤ挿通部材を筐体内部に格納する構成としているものの、係留時にはワイヤ挿通部材を筐体外部に摺動して使用するため、やはり係留状態が顕になり見栄えが悪くなってしまう。さらに、このようなワイヤ挿通部は専用部材で構成されるため、製造コストを増大させるという問題があった。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑み、装置の見栄えを落とさず不動体と係留するための挿通部材を有し、低コストで製造可能な投射型映像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投射型映像表示装置は、筐体と、前記筐体底面に設けられ装置の投射角度を調整する可動脚と、前記筐体底面に底面部材と一体として設けられ前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚とを備え、前記固定脚には通し穴が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の投射型映像表示装置は、筐体と、前記筐体底面に設けられ装置の投射角度を調整する可動脚と、前記筐体底面に底面部材と一体として設けられ前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚とを備え、前記固定脚には通し穴が形成されているので、固定脚に盗難防止用のワイヤを挿通して投射型映像表示装置を不動体に係留することが出来る。固定脚は筐体底面に設けられるので、係留箇所は通常使用時に装置の外観に現れず、見栄えを損ねない。また、固定脚をワイヤ挿通部として用いるのでワイヤ挿通部のために専用部材を設ける必要がなく、低コストで製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る投射型映像表示装置の五面図である。
【図2】設置面と水平に設置された実施の形態1に係る投射型映像表示装置の側面図である。
【図3】設置面から所定の投射角度を設けて設置された実施の形態1に係る投射型映像表示装置の側面図である。
【図4】実施の形態1に係る固定脚の断面図である。
【図5】実施の形態1の変形例に係る投射型映像表示装置の五面図である。
【図6】実施の形態2に係る投射型映像表示装置の五面図である。
【図7】実施の形態2の変形例に係る投射型映像表示装置の五面図である。
【図8】実施の形態3に係る投射型映像表示装置の背面図及び固定脚の断面図である。
【図9】実施の形態3の変形例に係る投射型映像表示装置の背面図及び固定脚の断面図である。
【図10】実施の形態4に係る投射型映像表示装置の背面図及び固定脚の断面図である。
【図11】実施の形態4の変形例に係る投射型映像表示装置の背面図及び固定脚の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1の投射型映像表示装置であるプロジェクタ1の構成を示す五面図である。図1(a)はプロジェクタ1の上面図、図1(b)はプロジェクタ1の背面図、図1(c)はプロジェクタ1の前面図、図1(d)はプロジェクタ1の側面図、図1(e)はプロジェクタ1の底面図である。
【0013】
ボトムカバー2、フロントカバー3、リアカバー4、トップカバー5が組み合わさってプロジェクタ1の筐体を構成している。ボトムカバー2が筐体の底面部材、フロントカバー3が筐体の前面部材、リアカバー4が筐体の背面部材、トップカバー5が筐体の上面部材及び側面部材となる。
【0014】
フロントカバー3からは投射レンズ8が突出している。また、装置内部に搭載したランプ(図示せず)を交換する際に取り外し可能なランプカバー6が、取付ネジ6aでリアカバー4の一部に重ねて取り付けられる。
【0015】
図1(e)に示すように、ボトムカバー2には吸排気用の複数のスリットが設けられており、当該スリットに重ねてボトムカバー2には塵埃を除去するフィルター7aとフィルターカバー7が取り付けられている。
【0016】
さらに、ボトムカバー2にはプロジェクタ1の設置時の脚として、可動脚10と固定脚11が設けられている。可動脚10はボトムカバー2の前方の左右2箇所に設けられ、図1(d)のY方向高さを調整することが可能で、これによりプロジェクタ1の投射角度を調整することが出来る。固定脚11はボトムカバー2の後方中央に1箇所設けられ、投射角度調整時の支点となる。
【0017】
可動脚10は設置面12と接触する滑り止め部10aとネジ部10bとを備えている。可動脚10は、フロントカバー3に取り付けられたロック解除釦9と干渉した状態でロックされており、ユーザーがプロジェクタ1の前方を持ち上げながらロック解除釦9を図1(d)のX方向に指圧すると、干渉状態が解消して図1(d)のY方向へ自然落下する。ロック解除釦9の指圧を解除すると可動脚10は再びロックされる。このように可動脚10の長さを調整することによって、プロジェクタ1の投射角度を調整することが出来る。
【0018】
さらに、可動脚10のネジ部10bを図1(b)のZ1方向又はZ2方向に回転させることによって、可動脚10のY方向高さを微調整することが出来る。これにより、投射角度の微調整が可能である。よって、所定の投射角度付近までロック解除釦9を用いて投射角度調整を行った後、ネジ部10bの回転によって投射画像の左右の傾きを調整したり、上下位置の微調整を行う事が出来る。
【0019】
固定脚11はボトムカバー2と一体として設けられ、盗難防止用ワイヤ13を通す穴11cを有している。また、固定脚11はボトムカバー2から垂直に突出するリブ11aと、設置面12と接触する曲折部11bとを備えたU字形状である。このように、装置底面に設けられた固定脚11を盗難防止用ワイヤ13の挿通部材として用いることにより、係留状態が装置の外観に現れにくく、見栄えの悪化を避けることが出来る。なお、プロジェクタ1を係留する盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度は、リブ11aの切断強度により決定される。
【0020】
可動脚10は最も短くした状態で固定脚11と高さが揃い、プロジェクタ1が水平に設置されるようになっている。この状態での設置面12からボトムカバー2までの距離hは、フィルター7aの吸塵能力と、可動脚10と固定脚11の構造上の制限とに基づいて定められ、液晶型プロジェクタの場合15〜20mm必要である。また、DLP(Digital Light Processing)型プロジェクタの場合も、可動脚10と固定脚11の構造上15〜20mm必要である。
【0021】
図2は、設置面12と水平に設置したプロジェクタ1から投射スクリーン14に画像を投射している状態を示す。可動脚10の滑り止め部10aと固定脚11の曲折部11bが設置面12と接触して、プロジェクタ1は設置面12と水平に保たれている。図には二点鎖線で画像の投射範囲を示しており、投射スクリーン14上に投射画像面15が形成される。なお、固定脚11の穴11cに盗難防止用ワイヤ13が通され、プロジェクタ1は不動体と係留されている。
【0022】
図3は、プロジェクタ1から所定の仰角で投射スクリーン14に画像を投射している状態を示す。可動脚10を図3のY方向に伸張した状態で、可動脚10の滑り止め部10aと固定脚11の曲折部11bが設置面12と接触することにより、プロジェクタ1は所定の投射角度に保たれる。なお、可動脚10の底には滑り止め部10aが設けられているので、このような設置状況でもプロジェクタ1は容易には動かない。図には二点鎖線で画像の投射範囲を示しており、投射画像面15は水平設置時(図2)よりも投射スクリーン14の上方に形成される。なお、固定脚11の穴11cに盗難防止用ワイヤ13が通され、プロジェクタ1は不動体と係留されている。
【0023】
図4は、固定脚11の断面図である。図4(a)は、プロジェクタ1の上面図において、固定脚11の周辺部分のみをプロジェクタ1の上面(又は底面)に平行な面における断面図で描いたものである。図4(b)は、プロジェクタ1の背面図において、固定脚11の周辺部分のみを図4(a)のA−A断面図で描いたものである。図4(c)は、図4(a)のB−B断面図である。
【0024】
図4(c)から明らかなように、固定脚11はボトムカバー2の一部をU字形状に曲げて形成されている。そのため、ボトムカバー2には固定脚11の穴11cと連続する開口2aが形成される。そこで、ボトムカバー2の内側に内部構造部材16を重ねて設けることにより、開口2aを通してプロジェクタ1の内部に塵埃などの異物が侵入することを防止している。
【0025】
このように、固定脚11はボトムカバー2と一体として形成されるので、盗難防止ワイヤ13を挿通するために専用部材を用いる必要がなく、製造コストを抑えることができる。
【0026】
<変形例>
図1〜3では、可動脚10をボトムカバー2の前面左右に2箇所設けたプロジェクタ1について説明したが、可動脚10を1箇所のみ有する場合でも、同様の効果を奏する。
【0027】
また、図5に示すように、固定脚11をボトムカバー2の後方左右に2箇所設けても良い。2つの固定脚11を有するプロジェクタ100の上面図を図5(a)に、背面図を図5(b)に、前面図を図5(c)に、側面図を図5(d)に、底面図を図5(e)に示している。固定脚11を2箇所に配置し、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度を左右する固定脚11のリブ11aの切断強度を2倍に増大させる効果がある。
【0028】
なお、図5では可動脚10、固定脚11をそれぞれ2つ有するプロジェクタ100を示したが、1つの可動脚10と2つの固定脚11を有するプロジェクタであっても良い。
【0029】
<効果>
本実施の形態の投射型映像表示装置は、筐体と、前記筐体底面に設けられ、装置の投射角度を調整する可動脚10と、前記筐体底面に底面部材(ボトムカバー2)と一体として設けられ、前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚11とを備え、固定脚11には穴11cが形成されるので、穴11cに盗難防止ワイヤ13を通して投射型映像表示装置を係留することにより、係留状態を隠して見栄えを悪化させずに盗難防止が図られる。また、盗難防止ワイヤ13の挿通手段に専用部材を使わないので、製造コストの低減にも貢献する。
【0030】
また、固定脚11は、筐体底面から曲折部11bを先端にして突出したU字形状である。このような形状の固定脚11を用いて投射型映像表示装置の係留を行うことにより、見栄えを悪化させずに盗難防止を図ることが出来る。また、盗難防止ワイヤ13の挿通手段に専用部材を使わないので、製造コストの低減にも貢献する。
【0031】
また、固定脚11を筐体底面の2箇所に設ける場合、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、固定脚11のリブ11aの切断強度が2倍に増大するので、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
【0032】
また、穴11cにより底面部材(ボトムカバー2)に開口2aが形成されるが、ボトムカバー2の内側に重ねて設けられ、開口2aを塞ぐ内部構造部材12をさらに備えるので、開口2aを通してプロジェクタ1の内部に塵埃などの異物が侵入することを防止する。
【0033】
(実施の形態2)
<構成>
図6は、実施の形態2の投射型映像表示装置であるプロジェクタ101の構成を示す五面図である。図6(a)はプロジェクタ101の上面図、図6(b)はプロジェクタ101の背面図、図6(c)はプロジェクタ101の前面図、図6(d)はプロジェクタ101の側面図、図6(e)はプロジェクタ101の底面図である。これらの図において、図1に示される構成要素と同じものには同一の参照符号を付している。
【0034】
プロジェクタ101において、ボトムカバー2の後方中央には、投射角度調整時の支点となる固定脚110が設けられている。固定脚110は、ボトムカバー2から垂直に突出するリブ110aと、設置面12と接触する曲折部110bとを有する2組のU字形状が交差してなる十字型のドーム形状としてボトムカバー2と一体に形成される。また、固定脚110は盗難防止用ワイヤ13を通す穴110cを有する。ここで、プロジェクタ1を係留する盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度は、固定脚110のリブ11aの切断強度により決定される。固定脚110以外の構成は図1に示す実施の形態1のプロジェクタ1と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
固定脚110を十字型のドーム形状で形成することによって、U字形状の固定脚11に比べてリブ110aの切断強度が増すので、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
【0036】
<変形例>
図6では、可動脚10をボトムカバー2の前面左右に2箇所設けたプロジェクタ101を示しているが、可動脚10を1箇所のみ有する場合でも、同様の効果を奏する。
【0037】
また、図7に示すように、固定脚110をボトムカバー2の後方左右に2箇所設けても良い。2つの固定脚110を有するプロジェクタ102の上面図を図7(a)に、背面図を図7(b)に、前面図を図7(c)に、側面図を図7(d)に、底面図を図7(e)に示している。固定脚110を2箇所に配置し、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度を左右する固定脚110のリブ110aの切断強度を2倍に増大させる効果がある。
【0038】
なお、図7では可動脚10、固定脚110をそれぞれ2つ有するプロジェクタ102を示したが、1つの可動脚10と2つの固定脚110を有するプロジェクタであっても良い。
【0039】
<効果>
実施の形態2のプロジェクタ101,102において、固定脚110は、筐体底面(ボトムカバー2)から曲折部110bを先端にして突出した十字型のドーム形状であるので、U字形状の固定脚11に比べてリブ110aの切断強度が増し、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
(実施の形態3)
<構成>
図8(a)は、実施の形態3のプロジェクタ103の底面図、図8(b)〜図8(d)は、プロジェクタ103における固定脚111の断面図である。図8(b)は、図8(a)のC−C断面図である。図8(c)は、プロジェクタ103の上面図において、固定脚111の周辺部分のみをプロジェクタ103の上面(又は底面)に平行な面における断面図で描いたものである。図8(d)は、プロジェクタ103の背面図において、固定脚111の周辺部分のみを図8(c)のD−D断面図で描いたものである。これらの図において、図1に示される構成要素と同じものには同一の参照符号を付している。
【0040】
図8(b)から明らかなように、固定脚111は内部構造部材16の一部をU字形状に曲げて形成され、ボトムカバー2の逃し穴2bを通ってボトムカバー2から突出している。固定脚111は、ボトムカバー2から垂直に突出するリブ111aと、設置面12と接触する曲折部111bとを有する。プロジェクタ103の構成は、固定脚111が内部構造部材16と一体として形成されていること以外は、図1,3に示す実施の形態1のプロジェクタ1と同様であるため、固定脚111以外の構成は説明を省略する。
【0041】
内部構造部材16と一体として形成した固定脚111の穴111cに盗難防止用ワイヤ13を通すことにより、専用部材を設けることなくプロジェクタ103を不動体に係留することができる。また、装置底面に設けられる固定脚111を盗難防止用ワイヤ13の挿通部材として用いることにより、ワイヤの係留状態が隠されるので、見栄えの悪化を避けることができる。
【0042】
<変形例>
図8では、可動脚10をボトムカバー2の前面左右に2箇所設けたプロジェクタ103を示しているが、可動脚10を1箇所のみ有する場合でも、同様の効果を奏する。
【0043】
また、図9に示すように、固定脚111をボトムカバー2の後方左右に2箇所設けたプロジェクタ104としても良い。図9(a)は、プロジェクタ104の底面図、図9(b)〜図9(d)は、プロジェクタ104における固定脚111の断面図である。図9(b)は、図9(a)のE−E断面図である。図9(c)は、プロジェクタ104の上面図において、固定脚111の周辺部分のみをプロジェクタ104の上面(又は底面)に平行な面における断面図で描いたものである。図9(d)は、プロジェクタ104の背面図において、固定脚111の周辺部分のみを図9(c)のF−F断面図で描いたものである。これらの図において、図8に示される構成要素と同じものには同一の参照符号を付している。固定脚111を2箇所に配置し、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度を左右する固定脚111のリブ111aの切断強度を2倍に増大させる効果がある。
【0044】
なお、図9では可動脚10、固定脚111をそれぞれ2つ有するプロジェクタ104を示したが、1つの可動脚10と2つの固定脚111を有するプロジェクタであっても良い。
【0045】
<効果>
実施の形態3の投射型映像表示装置は、筐体と、前記筐体底面に設けられ、装置の投射角度を調整する可動脚10と、前記筐体底面において底面部材(ボトムカバー2)の内側に重ねて設けられる内部構造部材12と一体に形成され、ボトムカバー2を貫通して突出し、前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚111とを備え、固定脚111には穴111cが形成される。穴111cに盗難防止用ワイヤ13を通すことにより、投射型映像表示装置を不動体に係留して盗難防止を図ることが出来る。固定脚111は筐体底面に設けられるので、係留状態を隠して見栄えの悪化を避ける。また、固定脚111は内部構造部材12と一体に形成されるので、盗難防止ワイヤ13の挿通手段に専用部材を必要とせず、製造コストの低減に貢献する。
【0046】
また、固定脚111は曲折部111bを先端にして突出したU字形状である。このような形状の固定脚111を用いて投射型映像表示装置の係留を行うことにより、見栄えを悪化させずに盗難防止を図ることが出来る。また、盗難防止ワイヤ13の挿通手段に専用部材を必要とせず、製造コストの低減にも貢献する。
【0047】
また、固定脚111を筐体底面の2箇所に設ける場合、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、固定脚111のリブ111aの切断強度が2倍に増大するので、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
(実施の形態4)
<構成>
図10(a)は、実施の形態4のプロジェクタ105の底面図、図10(b)〜図10(d)は、プロジェクタ105における固定脚112の断面図である。図10(b)は、図10(a)のG−G断面図である。図10(c)は、プロジェクタ105の上面図において、固定脚112の周辺部分のみをプロジェクタ105の上面(又は底面)に平行な面における断面図で描いたものである。図10(d)は、プロジェクタ105の背面図において、固定脚112の周辺部分のみを図10(c)のH−H断面図で描いたものである。これらの図において、図6に示される実施の形態2のプロジェクタ101の構成要素と同じものには同一の参照符号を付している。
【0048】
図10(b)から明らかなように、固定脚112は内部構造部材16の一部をU字形状に曲げることにより十字型のドーム形状として形成される。ボトムカバー2には固定脚112に対応して4箇所の逃し穴2cが形成され、固定脚112は逃し穴2cを通ってボトムカバー2から突出している。固定脚112は、ボトムカバー2から垂直に突出するリブ112aと、設置面12と接触する曲折部112bとを有する。固定脚112が内部構造部材16と一体として形成されていること以外は、図6に示す実施の形態2のプロジェクタ101と同様であるため、固定脚112以外の構成については説明を省略する。
【0049】
内部構造部材16と一体として形成した固定脚112の穴112cに盗難防止用ワイヤ13を通すことにより、専用部材を設けることなくプロジェクタ105を不動体に係留することができる。また、装置底面に設けられる固定脚112を盗難防止用ワイヤ13の挿通部材として用いることにより、ワイヤの係留状態が隠されるので、見栄えの悪化を避けることができる。また、固定脚112は十字型のドーム形状であるので、U字形状の固定脚と比べて切断強度が増加し、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
【0050】
<変形例>
図10では、可動脚10をボトムカバー2の前面左右に2箇所設けたプロジェクタ105を示しているが、可動脚10を1箇所のみ有する場合でも、同様の効果を奏する。
【0051】
また、図11に示すように、固定脚112をボトムカバー2の後方左右に2箇所設けたプロジェクタ106としても良い。図11(a)は、プロジェクタ106の底面図、図11(b)〜図11(d)は、プロジェクタ106における固定脚112の断面図である。図11(b)は、図11(a)のI−I断面図である。図11(c)は、プロジェクタ106の上面図において、固定脚112の周辺部分のみをプロジェクタ106の上面(又は底面)に平行な面における断面図で描いたものである。図11(d)は、プロジェクタ106の背面図において、固定脚112の周辺部分のみを図11(c)のJ−J断面図で描いたものである。これらの図において、図10に示されるプロジェクタ105の構成要素と同じものには同一の参照符号を付している。固定脚112を2箇所に配置し、その夫々に盗難防止ワイヤ13を通すことにより、固定脚112のリブ112aの切断強度を2倍に増大するので、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
【0052】
なお、図11では可動脚10、固定脚112をそれぞれ2つ有するプロジェクタ106を示したが、1つの可動脚10と2つの固定脚112を有するプロジェクタであっても良い。
【0053】
<効果>
実施の形態4の投射型映像表示装置(プロジェクタ105,106)において、固定脚112は、筐体底面(ボトムカバー2)から曲折部112bを先端にして突出した十字型のドーム形状であるので、U字形状の固定脚111に比べてリブ112aの切断強度が増し、盗難防止用ワイヤ13の取り付け強度が向上する。
【符号の説明】
【0054】
1,100,101,102,103,104,105,106 プロジェクタ、2 ボトムカバー、2a 開口、2b 逃し穴、3 フロントカバー、4 リアカバー、5 トップカバー、6 ランプカバー、6a ランプカバー取付ネジ、7 フィルターカバー、7a フィルター、8 投射レンズ、9 ロック解除釦、10 可動脚、10a 滑り止め部、10b ネジ部、11,110,111,112 固定脚、11a,110a,111a,112a リブ、11b,110b,111b,112b 曲折部、11c,110c,111c,112c 穴、12 設置面、13 盗難防止用ワイヤ、14 投射スクリーン、15 投射画像面、16 内部構造部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体底面に設けられ、装置の投射角度を調整する可動脚と、
前記筐体底面に底面部材と一体として設けられ、前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚とを備え、
前記固定脚には通し穴が形成された、
投射型映像表示装置。
【請求項2】
前記固定脚は、前記筐体底面から曲折部を先端にして突出したU字形状である、
請求項1に記載の投射型映像表示装置。
【請求項3】
前記固定脚は、前記筐体底面から曲折部を先端にして突出した十字型のドーム形状である、
請求項1に記載の投射型映像表示装置。
【請求項4】
前記固定脚は、前記筐体底面の2箇所に設けられる、
請求項1〜3のいずれかに記載の投射型映像表示装置。
【請求項5】
前記通し穴により前記底面部材に開口が形成され、
前記底面部材の内側に重ねて設けられ、前記開口を塞ぐ内部構造部材をさらに備える、
請求項1〜4のいずれかに記載の投射型映像表示装置。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体底面に設けられ、装置の投射角度を調整する可動脚と、
前記筐体底面において底面部材の内側に重ねて設けられる内部構造部材と一体に形成され、前記底面部材を貫通して突出し、前記投射角度を調整する際の支点となる固定脚とを備え、
前記固定脚には通し穴が形成された、
投射型映像表示装置。
【請求項7】
前記固定脚は、曲折部を先端にして突出したU字形状である、
請求項6に記載の投射型映像表示装置。
【請求項8】
前記固定脚は、前記筐体底面から曲折部を先端にして突出した十字型のドーム形状である、
請求項6に記載の投射型映像表示装置。
【請求項9】
前記固定脚は、前記筐体底面の2箇所に設けられる、
請求項6〜8のいずれかに記載の投射型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41209(P2013−41209A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179659(P2011−179659)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】