説明

投影情報制御装置

【課題】スクリーン前にいるユーザに訴求できるコンテンツ表示が可能なスクリーン投影型サイネージを実現する。
【解決手段】電圧を印加すると光透過性が変化するスクリーンシートを縦方向に2分割してガラス板に貼付して、スクリーン前の視聴者の音声を収集してその年齢に合わせて上下のスクリーンの透過度を下げて投影するサイネージ画像がその視聴者が注視しやすいようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス面に貼付されたスクリーン上に動画や画像を表示する投影情報の制御に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ、LCD、LED等の画像表示装置を用いたデジタルサイネージが一般的になってきている。
【0003】
しかし、面積当たりの単価や装置構成の簡易性から映像プロジェクタを用いて動画や静止画をスクリーンに対して投影する投影型サイネージが優位である。
【0004】
この投影型サイネージでは、ガラス面に乳白色のスクリーンを貼付して、スクリーン前を通行する通行人に対してガラスの裏面側から静止画や動画を投影して視聴させる仕組みが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011‐60026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、スクリーンの前にいる視聴者については考慮しておらず、画一的な投影情報を表示するのみで、広告効果が期待できるものではなかった。
【0007】
一方、特許文献1に示す技術のように、スクリーン前の視聴者の顔認識を行い、年齢や性別を自動判別する技術も考えられているようであるが、単に年齢や性別に適合した商品の画像を一々切り替えて表示させるものであり、表示タイミングがずれてしまい視聴を期待するユーザに訴求できない場合の多いことが本発明者によって見いだされた。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、スクリーン前にいるユーザに訴求できるコンテンツ表示が可能なスクリーン投影型サイネージを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0010】
本発明の請求項1は、視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置
された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するとともに縦方向に2以上に分割されたスクリーンシートと、前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、前記マイクの収集音を分析する分析手段と、前記分析手段に基づいてユーザ空間にいるユーザの少なくとも年齢を推定し、その年齢の平均身長の頭部位置に対応したスクリーンシートの不透過性を高めるよう前記印加電圧を制御する制御手段とからなるスクリーン投影型サイネージシステムである。
【0011】
本発明の請求項2は、視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置
された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するスクリーンシートと、前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、前記マイクの収集音に基づいて音量と周波数とを抽出し、前記音量と周波数との組み合わせによって関連付けられた複数のコンテンツIDとが登録されたコンテンツ決定テーブルと、前記コンテンツテーブルを参照して決定されたコンテンツIDを記憶手段から読み出してプロジェクタから出力させる再生制御手段とからなるスクリーン投影型サイネージシステムである。
【0012】
本発明の請求項3は、視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置
された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するスクリーンシートと、前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、前記マイクの収集音に基づいて音量を抽出し、前記音量と印加電圧とを関連付けた電圧決定テーブルと、前記電圧決定テーブルに基づいて決定された電圧を前記スクリーンシートに印加するスクリーンシート制御手段とからなるスクリーン投影型サイネージシステムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリーン前にいる視聴者に注視させることが可能な投影型サイネージシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のシステム構成の概略を示す説明図
【図2】本実施形態の制御部の内部構成を示すハードウエア構成図
【図3】本実施形態のコンテンツ決定テーブルを示す説明図
【図4】本実施形態の電圧決定テーブルを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、 本発明を図に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態の一つである、画面分割型の投影型サイネージシステムを示す概略説明図である。
【0017】
この実施形態では、図示を省略したがビルのショールームや地下街のガラス壁の一面に縦方向に2分割されたスクリーンシート(SC1、SC2)が貼付されている。
【0018】
このようにスクリーンシートを2分割することによって、ガラス面の比較的大きな面積に対しても皺や空気層が入りにくい状態で貼付できるという特徴がある。さらに、スクリーンシート(SC1、SC2)毎に電圧を印加することができるようになっている。
【0019】
スクリーンシート(SC1、SC2)は、光透過性のシートが、電圧の印加によって乳白色となりスクリーンとして機能するシートであるが、これとは逆に無印加のときには乳白色で電圧の印加によって光を投下する特性であってもよい。要するに、制御部(CON)による電圧の印加によって光透過性が変化する特性を有していればよい。より具体的には、このスクリーンシート(SC1、SC2)としては、オックスプランニング株式会社のTANYO(登録商標)を用いることができる。
【0020】
前記スクリーンシート(SC1、SC2)の近傍にはマイク(MIC)が設置されており、当該マイク(MIC)から収集された音声は、制御部(CON)に入力されるようになっている。
【0021】
一方、制御部には前記スクリーンシート(SC1、SC2)に対してコンテンツ動画、静止画を投影するプロジェクタが接続されている。
【0022】
図2は、制御部のハードウエア構成を示している。同図に示すように制御部は汎用のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
【0023】
制御部は、中央処理装置(CPU)およびメインメモリ(MM)を中心にバス(BUS)を介して大規模記憶装置(HD)、ディスプレイ装置(DISP)、キーボード(KBD)が接続されている。さらにインターフェース(I/O)およびスイッチボックス(SWBOX)を介してスクリーン(SC1,SC2)に供給される電力が制御できるようになっている。
【0024】
前記大規模記憶装置(HD)にはオペレーティングシステム(OS)とともに、制御プログラム(APL)がインストールされている。また、各種テーブル(TBL)およびコンテンツデータ(C−DATA)が登録されている。
【0025】
前記アプリケーションプログラム(APL)がメインメモリ(MM)を介して中央処理装置(CPU)に読み込まれることによって、本実施形態で説明する機能が実現される。
【0026】
本実施形態において、スクリーン(SC1,SC2)の前にいる視聴者(ユーザ)がなんらかの会話をしていたり、スクリーンに対して話しかけると、マイク(MIC)によって当該音声が集音される。このマイク(MIC)で集音された音声情報は、制御部(CON)に読み込まれてアプリケーションプログラム(APL)によってその平均周波数が検出されて、当該周波数から前記視聴者(ユーザ)の性別および年齢が推定される。中央処理装置(CPU)は前記で得られた性別および年齢から当該視聴者(ユーザ)の身長(具体的には頭部の位置)が算出される。
【0027】
そして、中央処理装置(CPU)は、前記視聴者(ユーザ)の頭部の位置がいずれのスクリーン(SC1、SC2)の近傍にあるかをアプリケーションプログラム(APL)に基づいて判定する。ここで、たとえば当該視聴者(ユーザ)の平均身長に基づく頭部の位置が、下側に配置されたスクリーン(SC2)に近い場合には、中央制御装置(CPU)は、下側のスクリーン(SC2)のみに電圧を印加して光の透過を遮断して、乳白色のスクリーンモードとする。一方、上側のスクリーン(SC1)には電圧供給を行うことなく、そのまま光が透過される状態となる。
【0028】
これによって、子供が注視しやすいスクリーン(SC2)のみに静止画・動画コンテンツが投影されることになる。
【0029】
(実施形態2)
この実施形態2のハードウエア構成はほとんど実施形態1で説明したものと同様であるが、スクリーン(SC1,SC2)は分割構成でなくてもよい。
【0030】
この実施形態の特徴は、大規模記憶装置(HD)に登録されているテーブルが、図3に示す構成を有している点にある。
【0031】
同図に示すテーブルはコンテンツ決定テーブルであり、マイク(MIC)から集音された音声データを分析して、その音量と周波数との組み合わせによって異なるコンテンツを読み出してプロジェクタから投影するものである。
【0032】
本実施形態では、たとえば、音量が30dbで、周波数帯域が200Hzであれば「ID−S1」のコンテンツデータが大規模記憶装置(HD)から読み出されてプロジェクタ(PRO)から投影される。また、85dbで600Hzであれば、「ID−F4」コンテンツデータが投影される。
【0033】
本実施形態2では、15個のコンテンツデータが登録されており、それぞれの音量範囲と周波数帯域との組み合わせにより適宜決定されるようになる。
【0034】
これにより、マイク(MIC)から集音された音声の周波数帯域から年齢層の低い子供であると判定した場合でも、音量が大きい場合にはスクリーンの近くにいるものと判断して、より細かい文字情報を含むコンテンツデータを投影し、同じ周波数帯域であっても音量が小さい場合にはスクリーンから離れていると判断して、遠くからでも認識できるように文字情報を付加しない映像だけのコンテンツデータを投影させることができる。
【0035】
(実施形態3)
この実施形態3もハードウエア構成は前記実施形態1とほぼ同様であるが、大規模記憶装置(HD)に図4に示すような電圧決定テーブルを有している点が異なる。
【0036】
同図に示すように、マイク(MIC)で集音された音声の音量と、その音量に対応させた電圧によってスクリーンの透過度・非透過度を制御する点が特徴である。
【0037】
たとえば、集音された音量から当該視聴者(ユーザ)がスクリーンの近くにいるものと判断した場合は、ガラス板の内側のショールームも見せるようにするために、透過度を比較的高めた状態でコンテンツデータを投影する。一方、音量が小さい場合には当該視聴者(ユーザ)がスクリーンから離れているものと判断した場合には、ショールームの中よりもむしろコンテンツデータを注視させるために透過度を下げて(非透過にして)スクリーン機能を高めてコンテンツデータを投影させるように制御する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、静止画または動画を投影する投影型デジタルサイネージに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
SC1、SC2 スクリーン
MIC マイク
PRO プロジェクタ
CON 制御部
CPU 中央制御装置
MM メインメモリ
BUS バス
DISP ディスプレイ装置
KBD キーボード
HD 大規模記憶装置
OS オペレーティングシステム
APL アプリケーションプログラム
TBL 各種テーブル
C−DATA コンテンツデータ
I/O インターフェース
SWBOX スイッチボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、
ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するとともに縦方向に2以上に分割されたスクリーンシートと、
前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、
前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、
前記マイクの収集音を分析する分析手段と、
前記分析手段に基づいてユーザ空間にいるユーザの少なくとも年齢を推定し、その年齢の平均身長の頭部位置に対応したスクリーンシートの不透過性を高めるよう前記印加電圧を制御する制御手段と
からなるスクリーン投影型サイネージシステム。
【請求項2】
視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、
ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するスクリーンシートと、
前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、
前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、
前記マイクの収集音に基づいて音量と周波数とを抽出し、
前記音量と周波数との組み合わせによって関連付けられた複数のコンテンツIDとが登録されたコンテンツ決定テーブルと、
前記コンテンツテーブルを参照して決定されたコンテンツIDを記憶手段から読み出してプロジェクタから出力させる再生制御手段と
からなるスクリーン投影型サイネージシステム。
【請求項3】
視聴ユーザが通過・停止するユーザ空間と、プロジェクタが配置された投影空間とを隔成するために立設されたガラス板と、
ガラス板の一面に貼付され、それぞれに印加された電圧によって光透過性が変化するスクリーンシートと、
前記スクリーンシートに対して所定の動画または静止画を投影するために前記スクリーンシートに対して所定の距離に配置されたプロジェクタと、
前記スクリーンシートが貼付されたガラス板の近傍に配置され、ユーザ空間の音声を収集するマイクと、
前記マイクの収集音に基づいて音量を抽出し、
前記音量と印加電圧とを関連付けた電圧決定テーブルと、
前記電圧決定テーブルに基づいて決定された電圧を前記スクリーンシートに印加するスクリーンシート制御手段とからなるスクリーン投影型サイネージシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226282(P2012−226282A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96503(P2011−96503)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(504246122)株式会社オックスプランニング (3)
【Fターム(参考)】