抗α2インテグリン抗体を使用する処置
癌を処置するための方法の説明。より詳細には、アルファ2ベータ1インテグリンに対する抗体を投与することによって、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)からなる群より選択される癌を処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、癌の処置に関する。より詳細には、本発明は、α2β1インテグリンに対する抗体を投与することによって癌を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インテグリンα2β1(最晩期抗原2;VLA−2)は、血小板、血管内皮細胞、上皮細胞、活性化単球/マクロファージ、線維芽細胞、白血球、リンパ球、活性化好中球およびマスト細胞をはじめとした種々の細胞型上で発現する(Hemler,Annu Rev Immunol 8:365:365−400(1999);Wu and Santoro,Dev.Dyn.206:169−171(1994);Edelsonら、Blood.103(6):2214−20(2004);Dickesonら、Cell Adhesion and Communication.5:273−281(1998))。α2β1に対する最も代表的なリガンドとしては、コラーゲンおよびラミニンが挙げられ、この両方ともが、細胞外マトリックスに見られる。代表的には、α2インテグリンのIドメインは、二価カチオン依存的様式でコラーゲンに結合する一方、その同じドメインは、二価カチオン依存的機構と二価カチオン非依存的機構の両方でラミニンに結合する(Dickesonら、Cell Adhesion and Communication.5:273−281(1998))。α2β1インテグリンの特異性は、細胞型によって異なり、特定の細胞型についてコラーゲンレセプターおよび/またはラミニンレセプターとして働き、例えば、α2β1インテグリンは、血小板の場合はコラーゲンレセプターとして、そして内皮細胞の場合はラミニンレセプターとして知られている(Dickesonら、J Biol.Chem.272:7661−7668(1997))。エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン(endorepellin)および複数のコレクチンならびにC1q補体タンパク質もまた、α2β1インテグリンに対するリガンドである(Edelsonら、Blood 107(1):143−50(2006))。α2β1インテグリンは、サイトカイン発現の増加および増殖をもたらす、コラーゲン誘発血小板凝集、コラーゲン上の細胞遊走、コラーゲン線維の細胞依存的再編成ならびにコラーゲン依存的細胞応答(Gendron,J.Biol.Chem.278:48633−48643(2003);Andreasenら、J.Immunol.171:2804−2811(2003);Raoら、J.Immunol.165(9):4935−40(2000))、T細胞、マスト細胞および好中球の機能の局面(Chanら、J.Immunol.147:398−404(1991);Dustin and de Fougerolles,Curr Opin Immunol 13:286−290(2001),Edelsonら、Blood.103(6):2214−20(2004),Werrら、Blood 95:1804−1809(2000)、遅延型過敏(delayed type hyersensitivity)接触過敏症およびコラーゲン誘導関節炎の局面(de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000);Kriegelsteinら、J.Clin.Invest.110(12):1773−82(2002))、乳腺管形態形成(Keelyら、J.Cell Sci.108:595−607(1995);Zutterら、Am.J.Pathol.155(3):927−940(1995))、上皮の創傷治癒(Pilcherら、J.Biol.Chem.272:181457−54(1997))、ならびにVEGF誘導血管新生に関連するプロセス(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002))をはじめとしたいくつかの生物学的および病理学的プロセスに関わっている。
【0003】
インテグリン/リガンド相互作用は、炎症組織への白血球の血管外遊出を促進し得(Jacksonら、J.Med.Chem.40:3359−3368(1997);Gadekら、Science 295(5557):1086−9(2002),Sircarら、Bioorg.Med.Chem.10:2051−2066(2002))、炎症部位における炎症促進性細胞の遊走、動員および活性化をはじめとした、炎症性刺激に応答して循環から組織に初めて白血球が血管外遊出した後の下流の事象に関与し得る(Eble J.A.,Curr.Phar.Des.11(7):867−880(2005))。α2β1インテグリンを阻止するいくつかの抗体が、遅延過敏症応答に対して影響を示し、ならびに関節リウマチのマウスモデルおよび炎症性腸疾患のモデルにおいて有効性を示すと報告され(Kriegelsteinら、J.Clin.Invest.110(12):1773−82(2002);de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000)、また、インビトロにおいて内皮細胞の増殖および遊走を弱めると報告された(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002)ことから、α2β1インテグリンを阻止することにより、様々な癌に認められるような異常な血管新生または正常より多い血管新生が予防/阻害され得ると示唆される。
【0004】
α2β1インテグリンは、血小板上で発現する唯一のコラーゲン結合インテグリンであり、コラーゲンへの血小板の接着および止血にいくらか関与するとみられている(Grunerら、Blood 102:4021−4027(2003);Nieswandt and Watson,Blood 102(2):449−461(2003);Santoroら、Thromb.Haemost.74:813−821(1995);Siljanderら、Blood 15:1333−1341(2004);非特許文献1)。さらに、血小板α2β1は、血小板凝集物のサイズの制御に関与し得る(Siljanderら、Blood 103(4):1333−1341(2004))。
【0005】
α2β1インテグリンは、内皮細胞上に発現するラミニン結合インテグリンとしても示されている(Languinoら、J Cell Bio.109:2455−2462(1989))。内皮細胞は、インテグリン媒介性のメカニズムによってラミニンに付着すると考えられているが、しかしながら、α2のIドメインが、内皮細胞との相互作用の媒介に関わるリガンド特異的配列として機能し得ると示唆されている(Bahouら、Blood.84(11):3734−3741(1994))。
【0006】
血小板上のα2β1インテグリンを含むα2β1インテグリンに結合する治療用抗体は、出血性合併症をもたらし得ると予想される。例えば、GPIb(非特許文献1)またはGP IIb/IIIa(非特許文献2、Nieswandt and Watson,Blood 102(2):449−461(2003),Merliniら、Circulation 109:2203−2206(2004))などの他の血小板レセプターを標的化する抗体は、血小板減少症に関連するが、この背景にあるメカニズムは、十分に理解されていない。血小板レセプターに抗体が結合することによって、その3次元構造が変化し、通常は露出していないエピトープが露出し、そして血小板が排除され得るという仮説が立てられている(Merliniら、Circulation 109:2203−2206(2004)。実際に、経口投与のGP IIa/IIIbアンタゴニストに関連する出血性合併症が、このクラスの化合物の「影の側面」として報告されている(Bhatt and Topol,Nat.Rev.Drug Discov.2(1):15−28(2003))。
【0007】
抗ヒトα2β1インテグリン阻止抗体BHA2.1が、Hanganらによって初めて報告された(非特許文献3)。他の抗α2β1インテグリン抗体(例えば、商業的に入手可能な抗体AK7(Mazurovら、Thromb.Haemost.66(4):494−9(1991)、P1E6(Waynerら、J.Cell Biol.107(5):1881−91(1988))、10G11(Giltayら、Blood 73(5):1235−41(1989)およびA2−11E10(Bergelsonら、Cell Adhes.Commun.2(5):455−64(1994))も知られており、インビトロにおいて使用されている。Hanganら(非特許文献3)は、BHA2.1抗体をインビボにおいて使用して、肝臓におけるヒト腫瘍細胞の血管外遊出に対するα2β1インテグリンの機能を阻止する効果およびこれらの腫瘍細胞が抗体処置下において転移巣を発生する能力を研究した。ラットおよびマウスのα2β1インテグリンに特異的なHa1/29抗体(Mendrick and Kelly,Lab Invest.69(6):690−702(1993))は、LCMVウイルス活性化後のT細胞上のα2β1インテグリンのアップレギュレーションを研究するため(Andreasenら、J.Immunol.171:2804−2811(2003))、SRBC誘発遅延型過敏応答およびFITC誘導接触型過敏症応答ならびにコラーゲン誘導関節炎を研究するため(de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000))、VEGFによって制御される血管新生におけるα2β1インテグリンの役割を研究するため(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002);Sengerら、PNAS 94(25):13612−7(1997))、および血小板活性化因子(PAF)に応答したPMN移動におけるα2β1インテグリンの役割を研究するために(Werrら、Blood 95:1804−1809(2000))インビボにおいて使用された。
【0008】
上に記載したようなマウスモノクローナル抗体をヒト治療薬として非免疫不全患者において使用することは、投与されるマウス抗体に対する強い免疫応答(特に反復投与において)を理由に制限される。この応答は、循環中のマウス抗体の有効な半減期を短縮し得るだけでなく、深刻な注射部位反応および/またはアナフィラキシー反応をもたらし得る(Shawlerら、J.Immunol.135(2):1530(1985))。さらに、定常領域(Fc)に関連するげっ歯類のエフェクター機能は、ヒトに投与されたとき、ヒト対応物よりもかなり効果が弱く、潜在的に望ましい補体活性化および抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性が失われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Vanhoorelbekeら、Curr.Drug Targets Cardiovasc.Haematol.Disord.(2003)3(2):125−40
【非特許文献2】Schellら、Ann.Hematol.(2002)81:76−79
【非特許文献3】Hanganら、Cancer Res.(1996)56:3142−3149
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、癌を処置するためにヒト化抗アルファ2(α2)インテグリン抗体を使用する方法に関する。特に、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫(squamous carcinoma)を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌(cervical cancer)、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL(high grade small non−cleaved cell NHL);巨大病変(bulky disease)NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するために有効なアプローチを提供する。本発明は、α2β1インテグリンに特異的に結合する抗アルファ2(α2)インテグリン抗体が、抗VEGF抗体に匹敵する程度に腫瘍成長を阻害するという予想外の結果に基づく。VEGF因子は、インテグリン(例えば、血管上のα1β1、α2β1、α4β1、α5β1およびαvβ3ならびにリンパ管上のα4β1、α9β1、α2β1およびα1β1)の発現を活性化するかまたはアップレギュレートする(Avraamidesら、Nat Rev Cancer.2008 Aug;8(8):604−17)。ゆえに、α2β1の拮抗作用だけが、VEGF抗体による処置と同様の結果をもたらすことは、驚くべきことである。
【0011】
したがって、1つの局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与する工程を包含する。
【0012】
別の局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体、および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含する。治療的に使用するための組成物は、滅菌され得、凍結乾燥され得る。
【0013】
別の局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体、および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含し、その投与レジメンは、2週間ごとに1回である。
【0014】
なおもさらなる局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための方法において使用するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、または前記ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を提供する。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、ヒト患者における扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するためのキットを提供し、そのキットは、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体を含むヒト化抗α2インテグリン抗体組成物、および前記処置のために前記ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用するための指示書を含むパッケージを備える。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、容器、ならびに扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための前記ヒト化抗α2インテグリン抗体の使用を示しているラベルを備える製品を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態において、上記抗α2インテグリン抗体は、1つ以上のヒト定常領域(例えば、CLおよび/またはCH)、ならびに配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および/もしくは配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域またはそれらのアミノ酸配列バリアントを含む。その抗体の様々な形態が、本明細書中で企図される。例えば、その抗α2インテグリン抗体は、完全長抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域を含む)または抗体フラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2またはFab’またはFvまたはscFvフラグメント)であり得る。さらに、その抗体は、検出可能な標識で標識され得、固相上に固定化され得、そして/または異種化合物(例えば、細胞傷害性薬剤)と結合体化され得る。
【0018】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含む。
【0019】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位は、Thrであり、そして/または31位は、Asnである。
【0020】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位は、Lysであるか、(b)73位は、Asnであるか、(c)78位は、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである。
【0021】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域はさらに、アミノ酸配列WGQGTLVTVSS(配列番号13)を含むFW4領域を含む。
【0024】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域は、HCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)およびHCDR3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、配列番号187を含む重鎖を含む。
【0026】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含む。
【0027】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)は、グルタミン(Q)によって置き換えられている。
【0028】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位は、Pheであるか、(b)45位は、Lysであるか、(c)48位は、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである。
【0029】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域はさらに、アミノ酸配列FGQGTKVEIK(配列番号38)を含むFW4領域を含む。
【0032】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、LCDR1(配列番号4)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0033】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、LCDR1(配列番号112)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0034】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、配列番号188を含む軽鎖を含む。
【0035】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSWNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0036】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0037】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0038】
(a)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含むか、(b)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含むか、または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0039】
(a)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位は、Thrであり、そして/または31位は、Asnであるか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)は、グルタミン(Q)によって置き換えられているか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0040】
(i)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位は、Lysであるか、(b)73位は、Asnであるか、(c)78位は、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;(ii)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位は、Pheであるか、(b)45位は、Lysであるか、(c)48位は、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;または(iii)(i)と(ii)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0041】
(a)重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0042】
(a)重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0043】
ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0044】
ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号174または配列番号176を含む重鎖および配列番号178を含む軽鎖を含む、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0045】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、ヒトα2インテグリンのIドメインを認識する。
【0046】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、α2β1インテグリンに結合する。
【0047】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、α2インテグリンのエピトープに結合し、そのエピトープは:
(a)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の192位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の40位に対応するLys残基;
(b)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の225位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の73位に対応するAsn残基;
(c)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の241位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の89位に対応するGln残基;
(d)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の245位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の93位に対応するTyr残基;
(e)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の317位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の165位に対応するArg残基;
(f)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の318位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の166位に対応するAsn残基;または
(g)(a)〜(f)の任意の組み合わせ
を含む。
【0048】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、完全長抗体である。
【0049】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、抗原結合フラグメントである。
【0050】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、α2β1インテグリンリガンドへのα2またはα2β1インテグリンの結合を阻害する。
【0051】
ある実施形態において、上述のα2β1インテグリンリガンドは、コラーゲン、ラミニン、エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン、コレクチンおよびC1q補体タンパク質から選択される。
【0052】
実施形態において、上述の方法は、(a)血小板活性化、(b)血小板凝集、(c)循環血小板数の減少、(d)出血性合併症、または(e)(a)〜(d)の任意の組み合わせを伴わない。
【0053】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、ヒトα2β1インテグリンまたはそのIドメインへの、配列番号19のUL領域および配列番号21のVH領域を含む抗体の結合を競合的に(competively)阻害する。
【0054】
好ましい抗体は、ヒトα2β1インテグリンのIドメインに結合する。特に、好ましい抗体は、細胞外マトリックス(ECM)、特に、コラーゲンおよびラミニンの少なくとも一方または両方への、細胞のα2依存性接着を阻止することができる。本明細書中でTMC−2206と呼ばれる抗体に基づく抗体を含むヒト化抗体が提供される。ヒトα2β1インテグリンに高度に特異的である抗α2インテグリン抗体が提供され、その抗体の投与は、出血性合併症または細胞の活性化に起因する合併症などの望まれない作用を伴わない。これらの抗体の結合特異性(例えば、エピトープ特異性)は、予想外の非出血性プロファイルに関連する。
【0055】
本発明において使用されるヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、HCDR1(GFSLTNYGIH;配列番号1)および/またはHCDR2(VIWARGFTNYNSALMS;配列番号2)および/またはHCDR3(ANDGVYYAMDY;配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し得る。このヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、LCDR1(SANSSVNYIH;配列番号4またはSAQSSVNYIH;配列番号112)および/またはLCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および/またはLCDR3(QQWTTNPLT;配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有し得る。ある特定の実施形態において、ヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、HCDR1(GFSLTNYGIH;配列番号1)および/またはHCDR2(VIWARGFTNYNSALMS;配列番号2)および/またはHCDR3(ANDGVYYAMDY;配列番号3)を含む重鎖、ならびにLCDR1(SANSSVNYIH;配列番号4またはSAQSSVNYIH;配列番号112)および/またはLCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および/またはLCDR3(QQWTTNPLT;配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。他の実施形態において、上記抗体は、そのようなCDRの1つ以上のアミノ酸配列バリアントを含み、そのバリアントは、CDR残基内のもしくはCDR残基に近接する1つ以上のアミノ酸挿入、および/またはCDR残基内のもしくはCDR残基に近接する欠失、および/またはCDR残基の置換(置換は、そのようなバリアントを生成するために好ましいタイプのアミノ酸変更を含む)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1:免疫不全雌BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスにおけるAsPC−1ヒト膵癌異種移植片の成長に対するGBR500の作用。
【図2】図2:nu/nu無胸腺マウスにおけるHT29ヒト結腸癌腫異種移植片に対するGBR500の作用。
【図3】図3:ヒト細胞株におけるCD49bおよびGAPDHの発現のウエスタンブロット解析。
【図4】図4:染色されたHT1080細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図5】図5:染色されたBxPC−3細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図6】図6:染色されたMIA PaCa2細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図7】図7:染色されたHT−29細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図8】図8:染色されたSW480細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図9】図9:nu/nu無胸腺マウスにおけるA549非小細胞肺癌異種移植片に対するGBR500の作用。
【図10】図10Aおよび10B:雄および雌サルに対するGBR500 100mg用量群の濃度曲線。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト化抗体を含む、ヒトアルファ2(α2)インテグリンと特異的に反応性である抗体を用いて、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供する。そのヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域(FW)、および非ヒト抗体由来、代表的には、ヒトα2インテグリンと特異的に反応性であるマウス抗体由来の相補性決定領域(CDR)を有し得る。好ましい実施形態において、CDR領域の1つ以上は、BHA2.1ハイブリドーマ(Hanganら、Cancer Res.,56(13):3142−9(1996))によって分泌されたマウス抗体に由来するか、または基づく。この抗体は、ヒトおよびラットα2β1インテグリンに結合するが、マウスの対応物には結合しない。BHA2.1ハイブリドーマによってそのように産生された抗体は、本明細書中でTMC−2206と呼ばれ、Chemicon(現在はMilliporeの一部、カタログ番号MAB1998)から商業的に入手可能である。本明細書中に開示される抗体と類似の結合特性を有する抗体および類似の機能性を有する抗体(または他のアンタゴニスト)を用いて、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法がさらに提供される。好ましい抗α2インテグリン抗体としては、(a)α2インテグリンのIドメインに結合する抗体、(b)α2インテグリンの機能(例えば、コラーゲンまたはラミニンへの結合)を阻害する抗体、(c)血小板活性化を誘導せずに休止(resting)血小板上のα2インテグリンに結合する抗体、および(d)TMC−2206の結合エピトープを認識する抗体(例えば、α2インテグリンへの結合についてTMC−2206と競合する抗体)が挙げられる。そのような抗体は、リガンド結合部位に対して競合せずに、標的α2インテグリン分子の不活性な立体配座または閉じた立体配座に優先的に結合し得る。α2β1インテグリンの閉じた立体配座に優先的に結合するおよび/またはリガンド結合部位に対して競合せずにα2β1インテグリンに結合する(例えば、リガンド模倣物でない)本明細書中に記載されるような抗α2インテグリン抗体の長所としては、処置される被験体において、潜在的な血小板活性化、血小板凝集、循環血小板数の減少および/または出血性合併症を予防することが挙げられる。
【0058】
「出血性合併症」は、本明細書中で使用されるとき、抗α2インテグリン抗体の治療的な使用を制限する、血小板血栓応答(platelet thrombotic responses)、血小板減少症、凝固までの長い時間、長い出血時間および血液損失を含む、血中濃度および生理学に対する任意の有害作用のことを指す。
【0059】
α2β1インテグリンは、アルファインテグリンのファミリー由来のα2インテグリンサブユニット(例えば、ヒトα2のDNA配列については配列番号7およびタンパク質配列については配列番号8を参照のこと)、およびベータインテグリンのファミリー由来のβ1インテグリンサブユニット(例えば、ヒトβ1のDNA配列については配列番号9およびタンパク質配列については配列番号10を参照のこと)から構成される分子であり、哺乳動物を含む任意の被験体由来のものであり得るが、好ましくは、ヒト由来である。α2β1インテグリンは、任意の天然の起源から精製され得るか、または合成的に生成され得る(例えば、組換えDNA技術を使用することによって)。α2インテグリンおよびβ1インテグリンに対する核酸コード配列は、それぞれ、Takada and Hemler J.Cell Biol.109(1):397−407(1989;GenBank寄託X17033;その後、エントリーNM002203に更新)およびArgraves,W.S,J.Cell.Biol.Sep 105(3):1183−90(1987;Genbank寄託X07979.1および選択的スプライスされたバリアントである関連配列)に記載されている。
【0060】
α2β1インテグリン分子の「I」ドメインとは、α2サブユニット内のα2β1インテグリン分子の領域のことを指し、例えば、Kamataら、J Biol.Chem.269:9659−9663(1994);Emsleyら、J.Biol.Chem.272:28512(1997)およびCell 101:47(2000)に記載されている。α2インテグリンのヒトIドメインのアミノ酸配列は、配列番号11として記載されている(例えば、配列番号107もまた参照のこと)。α2インテグリンのIドメインは、リガンド結合を支持する所与の二価カチオンについての必要条件および特異性を有する、MIDASタイプのリガンド結合部位(金属イオン依存性接着部位)を含む。ラットにおけるα2インテグリンのIドメインに対するアミノ酸配列は、配列番号93(例えば、配列番号113もまた参照のこと)として示されており、マウスにおけるアミノ酸配列は、配列番号94(例えば、配列番号114もまた参照のこと)として示されている。カニクイザルおよびアカゲザルのIドメイン配列は、全血由来の白血球画分からクローン化され、それぞれ、カニクイザルに対しては配列番号103(DNA)、配列番号171(アミノ酸)およびアカゲザルに対しては配列番号104(DNA)、配列番号172(アミノ酸)に提供されている。
【0061】
TMC−2206(BHA2.1)エピトープとは、TMC−2206抗体が結合するヒトα2インテグリンのIドメインの領域のことを指す。このエピトープは、結合性に寄与するアミノ酸残基K40、N73、Q89、Y93、R165およびN166、ならびに必要に応じて、WO2007/056858に記載されているようなα2インテグリンIドメインの他のアミノ酸残基を含む127アミノ酸の領域に及ぶ。
【0062】
用語「癌」とは、代表的には、制御されていない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態のことを指すか、または記載する。良性および悪性の癌、転移性の(metatstatic)癌ならびにアデノーマまたは腺癌は、この定義に含まれる。「腫瘍」とは、悪性であるか良性であるかを問わずすべての新生物の細胞成長および増殖、ならびにすべての前癌性および癌性の細胞および組織のことを指す。「良性の腫瘍」または「良性の癌」とは、発生部位に局在したままであり、かつ浸潤する能力、侵入する能力、または遠位の部位に転移する能力を有しない、腫瘍のことを指す。「悪性腫瘍」とは、その周囲の他の組織に侵入し、損傷する腫瘍のことを指す。癌の処置とは、本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の治療的な使用と、予防的または防止的な使用の両方のことを指す。処置の必要な者としては、すでに癌と診断された者ならびにその障害の発生が予防されるべきかまたは遅延されるべき者が挙げられる。
【0063】
癌は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択され得る。好ましくは本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体を用いて処置される癌は、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫(carcinoid carcinoma)、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される。本発明の処置によって改められる(amendible)癌性状態には、転移性癌が含まれる。したがって、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、なおもさらに好ましい。非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、特に好ましい。非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、より特に好ましい。膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、なおもより特に好ましい。膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される癌が、最も特に好ましい。膵癌、乳癌または転移性乳癌が、最も好ましく、膵癌が特に好ましい。本明細書中で言及されるような「乳癌」には、乳腺腺癌が含まれる。本発明の方法は、血管新生が起きた腫瘍の処置に特に適している。
【0064】
被験体(処置の目的のものを含む)とは、ヒト、家庭内の動物および家畜、ならびに動物園の動物、競技用動物またはペット動物(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)を含む哺乳動物として分類される任意の動物のことを指す。好ましくは、被験体は、ヒトである。
【0065】
抗体または免疫グロブリンという用語は、最も広い意味において使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、および抗体フラグメントを包含する。抗体フラグメントは、完全長抗体の一部、一般に、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、鎖状抗体、一本鎖抗体分子、単一ドメイン抗体(例えば、ラクダ科由来のもの)、サメNAR単一ドメイン抗体、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体フラグメントは、CDRまたは抗原結合ドメイン(VH領域(VH、VH−VH)、アンチカリン(anticalins)、PepBodiesTM、抗体−T細胞エピトープ融合物(Troybodies)またはペプチボディ(Peptibodies)を含むがこれらに限定されない)を含む結合部分のことも指し得る。「抗体フラグメント」と「抗原結合フラグメント」とは、同じ意味を有し、本明細書中で等しく使用される。
【0066】
モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体のことを指し、例えば、その集団を構成する個別の抗体は、微量存在し得る天然に存在するあり得る変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して産生されたものである。さらに、代表的には抗原上の様々な決定基(例えば、エピトープ)に対して産生された様々な抗体を含む従来の(例えば、ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の少なくとも単一の決定基に対して産生される。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な集団の抗体から得られているという抗体の特徴を指し、その抗体が任意の特定の方法によって産生される必要があると解釈されるべきでない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256:495(1975)によった初めて報告されたハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、例えば、Clacksonら、Nature 352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載されているような手法を用いて、ファージ抗体ライブラリーからも単離され得る。モノクローナル抗体は、米国特許第6,025,155号および同第6,077,677号、ならびに米国特許出願公開番号2002/0160970および同2003/0083293に記載されている手法を用いても単離され得る(例えば、Lindenbaumら、Nucleic Acids Research 32(21):0177(2004)もまた参照のこと)。
【0067】
モノクローナル抗体は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同であり、残りの鎖が、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同である、キメラ抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントを含み得る(例えば、米国特許第4,816,567号;およびマウス−ヒトキメラ抗体については、Morrisonら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 81:6851−6855(1984)を参照のこと)。
【0068】
超可変領域とは、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基のことを指す。超可変領域は、相補性決定領域由来またはCDR由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、および/または超可変ループ由来の残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。フレームワーク残基またはFR残基は、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。本明細書中に記載される抗体について、CDR領域およびフレームワーク領域は、重鎖のCDR1が、Oxford MolecularのAbMの定義によって残基26〜35に及ぶと定義されることを除いて、Kabatナンバリングシステムに基づいて同定される。Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(http://people.cryst.cck.ac.uk/〜ubc07s/)(Martinら、Proc.Natl Acad.Sci.USA,86,9268−9272(1989);Martinら、Methods Enzymol.,203,121−153(1991);Pedersenら、Immunomethods,1,126(1992);およびReesら、Sternberg M.J.E.(ed.),Protein Structure Prediction.Oxford University Press,Oxford,141−172.(1996))は、Kabat CDRナンバリングシステムとChothia超可変領域ナンバリングシステムとを組み合わせて、CDRを定義している。
【0069】
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体であり得る。ヒト化抗体は、ほとんどの部分について、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体またはアクセプター抗体)であり、その中で、レシピエントの超可変領域残基は、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類)由来の超可変領域残基によって置き換えられている。さらに、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基の個別の残基または群は、対応する非ヒト残基によって置き換えられてもよい。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。これらの改変が行われることにより、抗体の性能がさらに洗練される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、代表的には2つの可変領域またはドメインの実質的にすべてを含み、ここで、超可変ループのすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部も含む(例えば、Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029(1989)およびFoote and Winter,J.Mol.Biol.224:487(1992)を参照のこと)。
【0070】
一本鎖FvまたはscFv抗体フラグメントは、抗体のVH領域およびVL領域またはVHドメインおよびVLドメインを含み得、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、Fvポリペプチドはさらに、scFvが抗原結合のために所望の構造を形成することができるポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間に含む(概説として、例えば、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)中のPluckthunを参照のこと)。
【0071】
ダイアボディとは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメントのことを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖の上のそれらの2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、それらのドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対形成をせざるを得ず、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)により十分に記載されている。
【0072】
鎖状抗体とは、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)に記載されているような抗体などの抗体のことを指す。簡潔には、これらの抗体は、抗原結合領域の対を形成するタンデム型のFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む。鎖状抗体は、二重特異的または単一特異的であり得る。
【0073】
単離された抗体とは、同定された抗体、ならびにその天然の環境の成分から分離されたおよび/または回収された抗体のことを指す。その天然の環境の夾雑物成分は、その抗体に対する診断的または治療的な使用を干渉し得る材料であり、それらとしては、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が挙げられ得る。好ましい実施形態において、その抗体は、(1)Lowry法によって測定されるとき、95重量%超、最も好ましくは、99重量%超の抗体にまで、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度にまで、または(3)クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いて、還元条件下または非還元条件下のSDS−PAGEによって均一なまで、精製される。単離された抗体は、その抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないことを理由に、組換え細胞内の原位置における抗体を含む。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0074】
エピトープタグ化抗体とは、本発明の抗体がエピトープタグに融合されている抗体のことを指す。そのエピトープタグポリペプチドは、抗体を生成し得るエピトープを提供するのに十分な残基を有するが、抗α2β1インテグリン抗体の活性を干渉しないように十分短い残基を有する。エピトープタグは、好ましくは、それに対する抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しない、十分に独特のものである。適当なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6アミノ酸残基、通常、約8〜50アミノ酸残基(好ましくは、約9〜30残基)を有する。例としては、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Fieldら、Mol.Cell.Biol.8:2159−2165(1988));c−mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evanら、Mol.Cell.Biol.5(12):3610−3616(1985));ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547−553(1990))が挙げられる。ある特定の実施形態において、エピトープタグは、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のインビボ血清半減期の延長に関与するそのIgG分子のFc領域のエピトープであるサルベージレセプター(salvage receptor)結合エピトープである。
【0075】
細胞傷害性薬剤とは、細胞の機能を阻害するかもしくは妨げる、および/または細胞の破壊を引き起こす、物質のことを指す。これは、放射性同位体(例えば、131I、125I、90Yおよび186Re)、化学療法剤およびトキシン(例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性なトキシンまたはそのフラグメント)を含み得る。非細胞傷害性薬剤とは、細胞の機能を阻害しないかもしくは妨げない、および/または細胞の破壊を引き起こさない、物質のことを指す。非細胞傷害性薬剤は、細胞傷害性になるように活性化され得る薬剤を含み得る。非細胞傷害性薬剤としては、ビーズ、リポソーム、マトリックスまたは粒子が挙げられ得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、米国特許公報2003/0028071および同2003/0032995を参照のこと)。そのような薬剤は、本明細書中に記載されるような抗α2β1インテグリン抗体と結合体化され得るか、結合され得るか、連結され得るか、または会合され得る。
【0076】
化学療法剤とは、癌の処置において有用な化合物のことを指す。化学療法剤の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン(Cytoxin)、タキソール、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン(Vincreistine)、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン(Carminomycin)、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(Esperamicins)(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファランおよび他の関連するナイトロジェンマスタードが挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
プロドラッグとは、腫瘍細胞に対して親薬物よりも細胞傷害性でない薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体の形態のことを指し、酵素的に活性化されるかまたはより活性な親の形態に変換されることができる(例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)およびStellaら、“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardtら(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照のこと。プロドラッグとしては、より活性な細胞傷害性の遊離薬物に変換され得る、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸改変プロドラッグ、グリコシル化されたプロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、必要に応じて置換されるフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは必要に応じて置換されるフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない(include、but are mot limited to)。プロドラッグ型に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例は、上に記載された化学療法剤であり得る。
【0078】
標識とは、抗体に直接または間接的に結合体化されるまたは結合される検出可能な化合物または組成物のことを指す。標識は、それ自体によって検出可能であり得るか(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学変化を触媒し得る。
【0079】
固相とは、本発明の抗体が接着し得る非水性マトリックスのことを指す。本明細書中で包含される固相の例としては、ガラス(例えば、コントロールドポアガラス(controlled pore glass))、多糖類(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコールおよびシリコーンから部分的または全体的に形成されるものが挙げられる。ある特定の実施形態において、固相は、文脈に応じて、アッセイプレートのウェルを含み得る;他では、固相は、精製カラム(例えば、アフィニティークロマトグラフィカラム)である。この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されているものなどの、別々の粒子の不連続な固相も含む。
【0080】
用語「2週間ごとに1回の用量(dosis)レジメン」、「2週間ごとに1回の投薬」および「2週間ごとに1回の投与」は、本明細書中で使用されるとき、治療的な目的(例えば、癌の処置)を達成するために物質(例えば、抗α2インテグリン抗体)を被験体に投与する時間経過のことを指す。2週間ごとに1回の投薬レジメンは、毎週の投薬レジメンを含むと意図されない。好ましくは、その物質は、9〜19日ごと、より好ましくは、11〜17日ごと、なおもより好ましくは、13〜15日ごと、最も好ましくは、14日ごとに投与される。
【0081】
リポソームとは、哺乳動物への薬物(例えば、本発明の抗体、および必要に応じて、化学療法剤)の送達のために有用な、様々なタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性物質から構成される小さいベシクルのことを指す。リポソームの構成要素は、通常、生物学的膜の脂質配置と類似の二重層を形成するように配置されている。
【0082】
単離された核酸分子とは、同定され、抗体核酸の天然の起源において通常関連する少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離された核酸分子のことを指す。単離された核酸分子は、天然に見られる形態または境遇以外のものである。ゆえに、単離された核酸分子は、天然の細胞に存在するときの核酸分子と区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、その核酸分子が、天然の細胞の染色体位置と異なる染色体位置に存在する場合、その抗体を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。
【0083】
ウイルスベクターとは、ウイルスの感染または形質導入を介して核酸(例えば、DNAまたはRNA)を細胞に移動させるためのビヒクルのことを指す。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルスおよびバキュロウイルスが挙げられる。
【0084】
非ウイルスベクターとは、非ウイルス的な方法(例えば、エレクトロポレーション、注入およびカチオン試薬媒介性のトランスフェクション)によって細胞に送達される核酸ビヒクル(例えば、CAN、プラスミドまたは染色体)のことを指す。
【0085】
発現調節配列とは、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列のことを指す。原核生物に適した調節配列としては、例えば、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用すると知られている。
【0086】
核酸は、それが、別の核酸配列と機能的な関係性に置かれるとき、作動可能に連結される。例えば、プレ配列または分泌リーダーに対するDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、そのポリペプチドに対するDNAに作動可能に連結されるか;プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響する場合、そのコード配列に作動可能に連結されるか;またはリボソーム結合部位は、それが、翻訳を促進するように位置している場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は、連続的であり、分泌リーダーの場合、連続的であり、かつ、読み枠(reading phase)内である。しかしながら、エンハンサーは、連続的でなくてもよい。連結は、好都合な制限酵素認識部位におけるライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣例に従って使用される。
【0087】
細胞と細胞株と細胞培養物とは、交換可能に使用されることが多く、そのように指摘されるもののすべてが、子孫を含む。形質転換体および形質転換された細胞(例えば、核酸、ベクター、ウイルスなどのトランスフェクション、形質転換または形質導入によって得られるもの)には、対象の初代細胞(primary subject cell)および継代数を問わずそれから得られる培養物が含まれる。また、すべての子孫が、故意または偶然の変異に起因して、正確に同じDNA含有量ではないかもしれないことが理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされるとき、同じ機能または生物学的活性を有する変異体の子孫が、含められる。異なる名称が意図される場合、それは、文脈から明らかになる。
【0088】
本明細書中に記載されるようなヒト化抗体は、ヒトアクセプター抗体分子に由来する可変領域フレームワーク、ドナーマウス抗体由来の超可変配列またはCDR配列、および存在する場合、ヒト配列に由来する定常領域を有する抗体を含む。
【0089】
マウスモノクローナル抗体クローンBHA2.1(Hanganら、Cancer Res.56:3142−3149(1996))の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の両方に由来するCDRを含む、本発明において使用されるヒト化抗体が、構築された。抗体を構築するための好ましい出発物質は、ヒトα2インテグリンに対する機能阻止抗体であり、結合および活性が、標的化されたα2インテグリン内のインタクトなIドメインの存在に依存する、BHA2.1ハイブリドーマによって分泌される抗体などの抗α2インテグリン抗体(例えば、TMC−2206)である。α2インテグリン分子の不活性な立体配座に結合し、そして/またはリガンド模倣物として作用しない抗体を含むTMC−2206(またはBHA2.1)のエピトープ特異性を有するヒト化抗体が、好ましい。TMC−2206(またはBHA2.1)のエピトープ特異性を有するヒト化抗体が好ましいが、それらは、インビボにおける治療用量を含む投与濃度で、白血球上と血小板上の両方に存在するα2β1インテグリンと相互作用し、血小板活性化を引き起こさず、コラーゲン上での活性化血小板の凝集を損ない、出血に対する最小の作用を有するかもしくは出血に対する作用を有さず、そして/または出血性合併症を伴わない。
【0090】
潜在的なアクセプター分子可変領域とマウス抗体の軽鎖可変領域との間の相同性の考慮すべき点に基づいて軽鎖可変領域に対するヒトアクセプター分子が選択された、抗体が構築され得る。生殖系列の候補のヒトアクセプター分子は、潜在的な抗原性を低下させるために好ましい。生殖系列データベースは、重鎖FW3領域の末端を通じて読まれ、部分的にCDR3配列に読まれる抗体配列で構成されている。FW4領域を選択する場合、選択された生殖系列分子が由来している成熟抗体配列のデータベースを検索することが好ましく、また、組換え抗体分子において使用するために適度に相同のFW4領域を選択することが好ましい。ヒトアクセプター分子は、好ましくは、マウスドナー分子と同じ軽鎖クラスおよびマウスドナー分子の可変領域と同じ基準の構造クラスから選択される。軽鎖可変領域についてヒトアクセプター分子を選択するために二次的に考慮することは、マウスドナー分子とヒトアクセプター分子とのCDRの長さの相同性を含む。ヒトアクセプター抗体分子は、好ましくは、V−BASEデータベースに対する相同性検索によって選択され、Kabatデータベースおよび公的なNCBIデータベースなどの他のデータベースも同様に使用してよい。TMC−2206と同じまたは類似のエピトープ特異性および/または機能特性を有するヒト化抗α2インテグリン抗体について、好ましい軽鎖ヒトアクセプター分子は、FW1〜3領域に対する生殖系列抗体配列A14を含む配列番号37、および成熟カッパー1軽鎖の通常のFW−4(例えば、軽鎖配列AAB24132(NCBIエントリーgi/259596/gb/AAB24132)であるFW4に対する配列FGQGTKVEIK(配列番号38)である。
【0091】
潜在的なアクセプター分子可変領域とマウス抗体の重鎖可変領域との間の相同性の考慮すべき点に基づいて重鎖可変領域に対するヒトアクセプター分子が選択された、抗体が構築され得る。生殖系列の候補ヒトアクセプター分子は、潜在的な抗原性を低下させるために好ましい。生殖系列データベースは、重鎖FW3領域の末端を通じて読まれ、部分的にCDR3配列に読まれる抗体配列で構成されている。FW4領域を選択する場合、選択された生殖系列分子が由来している成熟抗体配列のデータベースを検索することが好ましく、また、組換え抗体分子において使用するために適度に相同のFW4領域を選択することが好ましい。ヒトアクセプター分子は、好ましくは、マウスドナー分子と同じ重鎖クラスおよびマウスドナー分子の可変領域と同じ基準の構造クラスから選択される。重鎖可変領域についてヒトアクセプター分子を選択するために二次的に考慮することは、マウスドナー分子とヒトアクセプター分子とのCDRの長さの相同性を含む。ヒトアクセプター抗体分子は、好ましくは、V−BASEデータベースに対する相同性検索によって選択されるが、Kabatデータベースおよび公的なNCBIデータベースなどの他のデータベースも同様に使用してよい。TMC−2206と同じまたは類似のエピトープ特異性および/または機能特性を有する抗α2インテグリン抗体の場合、好ましい重鎖アクセプター分子は、FW1〜3領域(配列番号12)に対する生殖系列抗体配列4−59を有する配列番号39、およびFW4領域についての4−59生殖系列配列に由来する成熟抗体である抗体CAA48104.1(NCBIエントリー,gi/33583/emb/CAA48104.1)(配列番号13)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)である。
【0092】
非ヒトα2インテグリン抗体をヒト化するための方法は、当業者に公知であり、例えば、WO2007/056858に記載されている。抗α2インテグリン抗体をヒト化するために、免疫化からの調製によることまたは商業的に入手可能な抗体を購入することなどによって、非ヒト抗体出発物質を得る。本発明において使用される抗体を作製するための例示的な手法は、WO2007/056858に記載されている。
【0093】
抗体を作製するために使用されるα2β1インテグリン抗原は、例えば、可溶型のα2β1インテグリン、またはα2β1インテグリンの他のフラグメント(例えば、ヒトα2インテグリンIドメイン(配列番号11)を含むα2β1インテグリンフラグメント;例えば、配列番号107もまた参照のこと)であり得る。抗体を作製するために有用な、α2インテグリン配列(例えば、配列番号8におけるようなヒトα2インテグリン)に基づくα2インテグリンの他の形態が、当業者に明らかである。
【0094】
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連性のある抗原の、アジュバントありまたはなしでの複数の皮下(sc)、静脈内(iv)または腹腔内(ip)注射によって、動物において産生される。二官能性の薬剤または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合体化)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介するとき)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2またはR1N=C=NR(RおよびR1は、異なるアルキル基である)を用いて、免疫される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプシンインヒビター)に、関連性のある抗原を結合体化することが有用であり得る。
【0095】
抗原または免疫原性の結合体(例えば、ウサギの場合100μgまたはマウスの場合5μg)を3体積のフロイント完全アジュバントと混合し、その溶液を複数の部位の皮内に注射することによって、その抗原、免疫原性の結合体または誘導体に対して動物が免疫され得る。1ヶ月後、フロイント完全アジュバント中のその抗原または結合体(例えば、免疫するために使用した最初の量の1/5〜1/10)を、複数の部位における皮下注射によってその動物に追加免疫する。7〜14日後、その動物から採血し、抗体価について血清をアッセイする。力価がプラトーに達するまで、動物に追加免疫する。好ましくは、結合体の免疫の場合、同じ抗原であるが、異なるタンパク質に結合体化され、そして/または異なる架橋試薬を介して結合体化された結合体を用いて動物に追加免疫する。結合体は、タンパク質融合物として組換え細胞培養物においても作製され得る。また、ミョウバンなどの凝集剤も、免疫応答を高めるために適切に使用される。
【0096】
モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495(1975)によって初めて報告されたハイブリドーマ法を用いて作製されてもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第6,204,023号)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、米国特許第6,025,155号および同第6,077,677号ならびに米国特許出願公開番号2002/0160970および同2003/0083293に記載されている手法を用いても作製され得る(例えば、Lindenbaumら、Nucleic Acids Research 32(21):0177(2004)もまた参照のこと)。
【0097】
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物(例えば、ラット、ハムスターまたはサル)を免疫する(例えば、本明細書の上に記載したように)ことにより、免疫するために使用された抗原に特異的に結合する抗体を産生するかまたは産生することができるリンパ球が誘発される。あるいは、インビトロにおいてリンパ球を免疫してもよい。次いで、ポリエチレングリコールなどの適当な融合剤を用いて、リンパ球をミエローマ細胞と融合することにより、ハイブリドーマ細胞を形成する(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986)を参照のこと)。
【0098】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親ミエローマ細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含む適当な培養液中に播種し、生育する。例えば、親ミエローマ細胞が、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、そのハイブリドーマに対する培養液は、代表的には、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる物質である、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む(HAT培地)。
【0099】
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持する細胞であり、HAT培地などの培地に感受性である。これらのうち、好ましいミエローマ細胞株は、マウスのミエローマ系統(例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.USAから入手可能なMOP−21およびM.C.−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞)である。ヒトミエローマ細胞株およびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体を作製するために報告されている(例えば、Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0100】
ハイブリドーマ細胞を生育している培養液を、その抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA))によって測定される。
【0101】
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、Anal.Biochem.,107:220(1980)のScatchard解析によって測定され得る。
【0102】
所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、そのクローンは、限界希釈法によってサブクローン化され得、標準的な方法によって生育され得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。この目的に適した培養液としては、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。さらに、そのハイブリドーマ細胞は、腹水腫瘍として動物においてインビボで生育されてもよい。
【0103】
そのサブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製法(例えば、プロテインAクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析および/またはアフィニティークロマトグラフィを含む)によって培養液、腹水または血清から適切に分離される。
【0104】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、そのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として働く。そのDNAは、いったん単離されると、発現ベクターの中に入れられ得、次いで、それを、免疫グロブリンタンパク質を別途産生しない細胞を含む宿主細胞(例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはミエローマ細胞)にトランスフェクトすることにより、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体が合成される。抗体の組換え作製は、以下でさらに詳細に記載される。
【0105】
ある特定の実施形態において、特にヒト化抗体の結合親和性または他の生物学的特性を改善する場合、ヒト化抗体のアミノ酸配列バリアントを作製することが望ましい場合がある。
【0106】
ヒト化抗α2β1インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントは、適切なヌクレオチドの変更をヒト化抗α2β1インテグリン抗体DNAに導入することまたはペプチド合成によって調製される。そのようなバリアントとしては、例えば、抗α2インテグリン抗体TMC−2206について示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号19および21に示されるような可変領域配列に由来するかまたはその可変領域配列に基づくアミノ酸配列)内の残基からの欠失および/またはその残基への挿入および/またはその残基の置換が挙げられる。最終的な構築物が所望の特性を有するという条件で、その最終的な構築物に達するようにアミノ酸の欠失、挿入および置換の任意の組み合わせが行われる。このアミノ酸の変更は、ヒト化抗α2インテグリン抗体の翻訳後プロセスも変更し得る(例えば、グリコシル化部位の数または位置の変更)。
【0107】
ヒトまたはヒト様(例えば、「ヒト化」)の抗体を作製するために使用される方法がいくつか存在する。抗体をヒト化するアプローチは、長年にわたって変化してきた。1つのアプローチは、ヒト定常領域に融合されたマウス可変領域、いわゆる、マウス−ヒトFcキメラを作製することだった(例えば、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984);米国特許第5,807,715号を参照のこと)。別のアプローチは、CDRが超可変の性質(Kabatら、J.Biol.Chem.252:6609−6616(1977)),Kabat,Adv.Protein Chem.32:1−75(1978))および基準の構造(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(4):901−17(1987);Lazakaniら、J.Mol.Biol.272:929(1997)に基づいて容易に同定され得るという事実、および例えば、Jonesら、Nature 321(6069):522−5(1986)によって示されているように単にヒトフレームワーク(アクセプターフレームワークと呼ばれる)に非ヒトCDR領域(ドナーCDRと呼ばれる)を移植することによってCDRがヒト化され得るという事実を利用した;(例えば、米国特許第5,225,539号;米国特許第6,548,640号を参照のこと)。6つのCDRループは、群れを成して提供され、結晶学的解析に基づくと、CDRに近接するかまたは重鎖と軽鎖との界面におけるいわゆる「Vernier」ゾーン内の重要なフレームワーク残基は、容易に同定され得る(例えば、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(4):901−17(1987);Chothiaら、J.Mol.Biol.186(3):651−63(1985);Chothiaら、Nature 342(6252):877−83(1989)を参照のこと)。これらの残基は、マウス残基に復帰変異することにより、その6つのCDRの正しい相対的な向きを回復し得る(例えば、Verhoyenら、Science 239(4847):1534−6(1988);Reichmanら、Nature 332(6162):323−7(1988);Tempestら、Biotechnology(NY)9(3):266−71(1991)を参照のこと)。可変領域は、マウスとヒトとの間に比較的高い相同性を有するファミリーに分類され得るので(例えば、Pascual and Capra Adv.Immunol.49:1−74(1991)に概説されている)、これらの初期の研究は、ヒトアクセプター分子として使用するための、目的のマウス抗体と最も高い相同性を有するヒト生殖系列配列を選択することによって、移植された抗体では親和性が失われる可能性が最小になり得ることも示唆した(例えば、米国特許第5,225,539号;Verhoyenら、Science 239(4847):1534−6(1988)を参照のこと)。
【0108】
所与のタイプのCDRの基準の構造の正しい提示に影響するフレームワーク間のファミリー相同性および構造的関係性が報告されている(例えば、Al−Lazakaniら、J.Mol.Biol.273(4):927−48(1997)およびこの中の参考文献を参照のこと)。好ましくは、最も適合するヒトまたは生殖系列の配列が、選択される。抗体生殖系列配列の利用可能なデータベースを用いることにより、所与のマウスの重鎖および軽鎖のファミリーサブタイプが判定され得、そのヒトサブファミリー内のヒトアクセプターフレームワークとして有用な最も適合する配列が同定され得る。好ましくは、ドナーフレームワークとアクセプターフレームワークとの線状のアミノ酸相同性と、CDRの基準の構造との両方が、考慮される。
【0109】
ヒト化抗α2インテグリン抗体において置換され得る例示的な重鎖残基としては、以下のフレームワーク残基番号:H37、H48、H67、H71、H73、H78およびH91(Kabatナンバリングシステム)の任意の1つ以上が挙げられる。好ましくは、これらのフレームワーク残基のうちの少なくとも4つが、置換される。本明細書中で例示されるようなヒト化抗α2インテグリン抗体における重鎖に対して特に好ましい置換のセットは、H37、H71、H73およびH78である。同様に、軽鎖における残基もまた、置換され得る。置換に対する例示的な軽鎖残基としては、以下の残基番号:L1、L2、L4、L6、L46、L47、L49およびL71の任意の1つ以上が挙げられる。好ましくは、これらのフレームワーク残基のうちの少なくとも3つが、置換される。本明細書中で例示されるようなヒト化抗α2インテグリン抗体における軽鎖に対して特に好ましい置換のセットは、L2、L46およびL49である。
【0110】
突然変異誘発にとって好ましい位置である、ヒト化抗α2インテグリン抗体のある特定の残基または領域を同定するために有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる(例えば、Cunningham and Wells Science,244:1081−1085(1989)を参照のこと)。ここで、ある残基または標的残基の群が、特定され(例えば、荷電残基(例えば、arg、asp、his、lysおよびglu))、中性のアミノ酸または負に帯電したアミノ酸(好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられることにより、それらのアミノ酸とα2β1インテグリン抗原との相互作用が影響される。次いで、置換部位にさらなるまたは他のバリアントを導入することによって、置換に対する機能感受性を示すアミノ酸の位置が洗練される。したがって、アミノ酸配列バリエーションを導入するための部位は予め決定しているが、変異の性質自体は、予め決定している必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を解析するために、アラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発が、標的コドンまたは標的領域において行われ、発現されるヒト化抗α2インテグリン抗体バリアントが、所望の活性についてスクリーニングされる。
【0111】
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100またはそれ以上の残基を含むポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内の挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端のメチオニル残基を有するヒト化抗α2インテグリン抗体またはエピトープタグに融合された抗体が挙げられる。ヒト化抗α2インテグリン抗体分子の他の挿入バリアントは、ヒト化抗α2インテグリン抗体のN末端またはC末端への、抗体の血清半減期を延長する酵素またはポリペプチドの融合を含む(下記を参照のこと)。
【0112】
別のタイプのバリアントは、アミノ酸置換バリアントである。これらのバリアントは、ヒト化抗α2インテグリン抗体分子内に、除去されてその位置に異なる残基が挿入された、少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換の突然変異誘発に対して最も興味深い部位は、超可変ループを含むが、フレームワークの変更も企図される。抗原結合に関わる超可変領域残基またはフレームワーク残基は、一般に、比較的保存的な様式で置換される。そのような保存的置換は、下記の「好ましい置換」という見出しの下に示されている。そのような置換が、生物学的活性を変化させる場合、「例示的な置換」と称されるかまたはアミノ酸クラスに関して下記でさらに記載されるような、より実質的な変更が導入され、その生成物がスクリーニングされる。
【0113】
【数1】
本抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)例えば、シートまたはらせん状の立体配座のような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の大きさを維持することに対してその改変の影響が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる:(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2)中性の親水性:cys、ser、thr;(3)酸性:asp、glu;(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro;および(6)芳香族:trp、tyr、phe。
【0114】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。また、ヒト化抗α2インテグリン抗体の適切な立体配座(confirmation)の維持に関わらない任意のシステイン残基は、通常、セリンと置換されることにより、その分子の酸化的な安定性を改善し得、異所の架橋を妨げ得る。逆に、システイン結合が、その抗体に付加されることにより、その安定性が改善され得る(特に、その抗体が、Fvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合)。
【0115】
本抗体の別のタイプのアミノ酸バリアントは、本抗体のもとのグリコシル化パターンを変更するものである。変更とは、本抗体に見られる1つ以上の炭水化物部分を欠失すること、および/または本抗体に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。
【0116】
抗体のグリコシル化は、代表的には、N結合型またはO結合型である。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着のことを指す。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)が、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在することにより、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。O結合型グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの、糖であるN−アセチルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトースまたはキシロースのうちの1つの付着のことを指すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用してもよい。
【0117】
本抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、アミノ酸配列が、上に記載したトリペプチド配列の1つ以上を含むかまたは欠くように、そのアミノ酸配列を変更することによって便利良く達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。この変更は、もとの抗体の配列への、1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、それらによる置換、またはそれらの欠失によっても行われ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。ヒト化抗α2インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントをコードする核酸分子は、当該分野で公知の種々の方法によって調製される。これらの方法としては、天然の起源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列バリアントの場合)、またはヒト化抗α2インテグリン抗体の以前に調製されたバリアントまたは非バリアントバージョンの、オリゴヌクレオチド媒介性の(または部位特異的な)突然変異誘発、PCR突然変異誘発もしくはカセット突然変異誘発による調製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
通常、ヒト化抗α2インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントは、重鎖または軽鎖(例えば、それぞれ配列番号21または配列番号19におけるような可変領域配列)のもとのヒト化抗体アミノ酸配列と、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%を含む)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この配列に関する同一性または相同性は、本明細書中では、配列をアラインメントし、必要であれば、最大パーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部としていかなる保存的置換(上に記載したような)も考慮せずに、ヒト化抗α2インテグリン残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。本抗体の配列に対するN末端、C末端または内部の伸長、欠失または挿入は、配列同一性または相同性に影響すると解釈されないものとする。したがって、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置における類似度を比較するために通常使用される標準的な方法によって測定され得る。BLASTまたはFASTAなどのコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチドが、それぞれのアミノ酸の最適なマッチングについてアラインメントされる(一方または両方の配列の完全長にわたって、または一方または両方の配列の所定の部分にわたって)。これらのプログラムは、デフォルトのオープニングペナルティ(opening penalty)およびデフォルトのギャップペナルティ(gap penalty)を提供し、PAM250(標準的なスコア行列;Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure,vol 5,supp.3(1978)を参照のこと)などのスコア行列が、このコンピュータプログラムとともに使用され得る。例えば、同一性パーセントは:完全一致の総数に100を掛けて、一致した範囲内のより長い配列の長さと、2つの配列をアラインメントするためにより長い配列に導入されたギャップの数との合計で割ることとして計算され得る。
【0119】
ヒト化抗α2インテグリン抗体において望ましいと本明細書中で特定される特徴を有する抗体は、本明細書中に記載されるような方法によってスクリーニングされる。例えば、好ましい特徴および機能性について候補抗α2インテグリン抗体をスクリーニングするための方法が提供され、その方法は、目的の抗体によって結合されるα2β1インテグリン上のエピトープに結合する抗体(例えば、α2β1インテグリンへのTMC−2206抗体の結合と競合するか、その結合を阻害するか、またはその結合を阻止する抗体)についてスクリーニングすることを包含する。クロスブロッキングアッセイが、行われ得、それは、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されている。さらにまたはあるいは、例えば、Champeら、J.Biol.Chem.270:1388−1394(1995)に記載されているようなエピトープマッピングが、その抗体が目的のエピトープに結合するか否かを判定するために行われ得る。
【0120】
同様に、固定化されたα2β1インテグリンを使用して、競合アッセイにおいてKi値を測定することによって相対的な結合能が測定され得る。例えば、蛍光標識されたEu−TMC−2206が、例えば、上に記載されたアッセイ系と同様のアッセイ系を用いて、様々な濃度の標識されていない候補抗体の存在下において使用される。特定のインキュベーション時間の後、結合したEu−TMC−2206の量が測定される。Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.CA)を用いて、阻害曲線を「1部位競合」モデルに当てはめることにより、IC50値が得られ、ChengおよびPrusoffの式(Biochem,Pharmacol.22(23):3099−108(1973))を用いてKiが計算される。
【0121】
例えば、WO2007/056858の実施例2(候補抗体が、TMC−2206およびTMC−2206に由来するマウス−ヒトキメラ抗体と比較して、α2β1インテグリン媒介性の細胞接着を阻止する能力について試験されている)に記載されているような条件下で有益な結合特性を有するヒト化抗α2インテグリン抗体を調製し、同定し、そして/または選択することが望ましい。例えば、ヒトα2インテグリンおよび内因性ハムスターβ1を発現しているCHO細胞(Symingtonら、J.Cell Biol.120(2):523−35(1993))を調製し、CFSE(Molecule Probes,OR)で標識する。標識された細胞を調製し、細胞濃度を調整し;細胞を、使用するまで暗黒下に維持する。コラーゲンコートされたプレート(ラット尾コラーゲンI型;BD Biosciences)を調製し、段階希釈された抗体溶液の各々をそのコラーゲンプレートに加える。次いで、標識された細胞をそのウェルに加え、そのプレートをインキュベートする。洗浄後、細胞を溶解し、蛍光強度(励起,485nm;発光,535nm)を読み出す。各抗体の抑制活性を計算する。
【0122】
さらに、固定化されたα2β1インテグリンリガンドに対する候補抗体の結合定数が、WO2007/056858の実施例2に記載されているように計算され得る。96ウェルマイクロタイタープレート内のウェルが、血小板α2β1インテグリンでコートされ(GTI Inc.,WIによってヒト血小板α2β1でカスタムコートされ)、次いで、ブロッキングされる。例えば、α2インテグリン抗原に対するTMC−2206の親和性を測定するために、蛍光標識されたTMC−2206またはアイソタイプコントロールIgG抗体が使用される。Eu−TMC−2206またはEu−アイソタイプコントロールIgGを含む蛍光標識された抗体が、ブロッキングされたα2β1インテグリンマイクロタイタープレートに適用される。密閉されたプレートをインキュベートすることにより、抗体抗原相互作用が平衡に達した後、各ウェルから、遊離(未結合)標識の測定用の増強溶液が入った新しいウェルにサンプルを移す。その増強溶液は、結合した標識を測定するために空にされたウェルにも加えられる。抗α2インテグリン抗体のKd値をScatchard解析によって計算する。TMC−2206誘導体(TMC−2206に由来するかまたはそれに基づくヒト化抗体を含む)の相対的な親和性は、競合アッセイにおいてKi値を測定することによって測定され得る。例えば、競合アッセイのために、様々な濃度の、TMC−2206に由来するかまたはそれに基づく未標識抗α2インテグリン抗体(TMC−2206またはキメラ(ヒト化を含む)抗体を含む)またはアイソタイプコントロールIgG抗体の存在下において、Eu標識されたTMC−2206が、α2β1でコートされたウェルに加えられる。平衡に達するインキュベート時間の後、ウェルを洗浄し、結合した標識抗体のレベルを、各ウェル内の保持されているEu標識として測定する。Ki値は、上に記載されたような直接的な結合実験によってEu−TMC−2206抗体について得られたKd値を用いてEC50値から得ることができる。
【0123】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗α2インテグリン抗体は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントを生成するための様々な手法が開発されている。伝統的には、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して得られた(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら、Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかしながら、これらのフラグメントは、細菌などの組換え宿主細胞によって直接生成され得る(例えば、Betterら、Science 240(4855):1041−1043(1988);米国特許第6,204,023号を参照のこと。例えば、Fab’−SHフラグメントは、大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合されることにより、F(ab’)2フラグメントを形成することができる(Carterら、Bio/Technology 10:163−167(1992))。別のアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。抗体フラグメントを生成するための他の手法が、当業者に明らかである。
【0124】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する多重特異性(例えば、二重特異性)ヒト化抗α2インテグリン抗体を生成することが望ましい場合がある。例示的な二重特異性抗体(例えば、2つの異なる結合アームを有する抗体)は、α2β1インテグリンタンパク質の異なる2つのエピトープに結合し得る。あるいは、抗α2インテグリンアームは、表面にα2β1インテグリンが結合した細胞に、細胞の防御メカニズムの焦点を当てるために、T細胞レセプター分子(例えば、CD2またはCD3)などの白血球上の引き金分子またはIgGに対するFcレセプター(FcγR)(例えば、FcγR1(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16))に結合するアームと組み合わされ得る。二重特異性抗体は、表面にα2β1インテグリンが結合している細胞に細胞傷害性薬剤を局在化させるために使用され得る。これらの抗体は、α2β1インテグリン結合アーム、および細胞傷害性薬剤(例えば、ゲロニン(gelonin)、サポリン、抗インターフェロンアルファ、ビンカアルカロイド、リシンA鎖または放射性同位体ハプテン)に結合するアームを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。
【0125】
二重特異性抗体を作製するための別のアプローチによれば、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするように抗体分子対の間の界面が操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きなアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって、大きい側鎖と同一サイズまたはそれより小さいサイズの代償的な空洞が、第2の抗体の界面上に作られる。これにより、ホモ二量体などの不必要な他の最終生成物に対してヘテロ二量体の収量を増加させるためのメカニズムがもたらされる(例えば、WO96/27011を参照のこと)。
【0126】
二重特異性抗体には、相互に連結された抗体またはヘテロ結合体抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合体における抗体の一方が、アビジンに結合され得、他方が、ビオチンに結合され得る。ヘテロ結合体抗体は、任意の都合のよい架橋法を用いて作製され得る。適当な架橋剤は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第4,676,980号にいくつかの架橋法とともに開示されている。
【0127】
抗体フラグメントから二重特異性抗体を作製するための手法もまた、その文献に記載されている。二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製され得る。例えば、Brennanら(Science 229:81(1985))には、インタクトな抗体がタンパク分解性に切断されることによりF(ab’)2フラグメントが生成される手順が記載されている。近接の(vincal)ジチオールを安定化させ、分子間のジスルフィド形成を妨げるために、これらのフラグメントは、ジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下において還元される。次いで、生成されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次いで、Fab’−TNB誘導体の1つが、メルカプトエチルアミンによる還元によってFab’−チオールに再度変換され、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されることにより、二重特異性抗体が形成される。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的な固定化のための薬剤として使用され得る。
【0128】
大腸菌から回収されたFab’−SHフラグメントが、化学的に結合されることにより、二重特異性抗体が形成され得る。例えば、Shalabyら(J.Exp.Med.175:217−225(1992))には、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の作製が記載されている。各Fab’フラグメントが、大腸菌から別々に分泌される場合、それらがインビトロにおいて定方向の化学結合に供されることにより、二重特異性抗体が形成された。このように形成された二重特異性抗体は、HER2レセプターを過剰発現している細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、ならびにヒト乳腺腫瘍の標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を引き起こすことができた。
【0129】
組換え細胞培養物から直接、二重特異性抗体フラグメントを作製し、単離するための様々な手法もまた報告されている。例えば、ロイシンジッパーを用いて二重特異性抗体が作製されている(例えば、Kostgelnyら、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992)を参照のこと)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドが、遺伝子融合によって、異なる2つの抗体のFab’部分に連結された。この抗体のホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されることによりモノマーが形成され、次いで、再度酸化されることにより、抗体のヘテロ二量体が形成された。この方法は、抗体のヘテロ二量体を生成するためにも利用され得る。ダイアボディ技術(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照のこと)は、二重特異性抗体フラグメントを作製するための代替メカニズムを提供した。このフラグメントは、同じ鎖の上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変領域(VL)に接続された重鎖可変領域(VH)を含む。したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLおよびVHドメインと対形成せざるを得ず、それによって2つの抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFvまたはscFv)二量体を使用することによる二重特異性抗体フラグメントを作製するための別のストラテジーもまた報告されている(例えば、Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと)。あるいは、二重特異性抗体は、例えば、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)に記載されているように生成された鎖状抗体であり得る。
【0130】
2より高い結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体が、調製され得る(例えば、Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)を参照のこと)。
【0131】
ヒト化抗α2インテグリン抗体の他の改変が企図される。例えば、癌を処置する際の抗体の有効性を増強するためまたは低下させるために、例えば、エフェクター機能に関して抗体を改変することが望ましい場合がある。Fc領域にシステイン残基が導入されることにより、その領域において鎖間のジスルフィド結合の形成が可能になり得る。このように生成されたホモ二量体抗体は、改善された内部移行能ならびに/または高い補体媒介性細胞殺滅(CMC)および/もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る(例えば、Caronら、J.Exp.Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこと)。抗腫瘍活性が高いホモ二量体抗体はまた、ヘテロ二官能性架橋剤(例えば、Wolffら、Cancer Research 53:2560−2565(1993)に記載されているものを参照のこと)を用いて調製され得る。あるいは、二重のFc領域を有し、それにより高いCMC能および/またはADCC能を有し得る抗体が、操作され得る(例えば、Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)を参照のこと)。
【0132】
ある部分、例えば、分子、組成物、複合体または薬剤、例えば、細胞傷害性薬剤(例えば、化学療法剤、トキシン(例えば、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素的に活性なトキシンまたはそのフラグメント)または放射性同位体(例えば、放射性結合体))に結合体化された、抗α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官にその薬剤を標的化するためのヒト化抗α2インテグリン抗体を含む免疫結合体。そのような免疫複合体は、その部分または薬剤を、α2またはα2β1インテグリンの存在を特徴とする特定の作用部位に標的化する方法において使用され得る。
【0133】
そのような免疫結合体の生成において有用な化学療法剤は、上に記載された。使用され得る酵素的に活性なトキシンおよびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性(nonbinding active)フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ−サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)またはトリコテシン(tricothecenes)が挙げられる。種々の放射性核種が、放射性結合体化された抗アルファ2インテグリン抗体を生成するために利用可能である。例としては、212Bi、131In、90Yまたは186Reが挙げられる。
【0134】
本抗体と細胞傷害性薬剤との結合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド(gluteraldehyde))、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トリレン(tolyene)2,6−ジイソシアナート)またはビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン))を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science 238:1098(1987)に記載されているように調製され得る。炭素−14で標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、本抗体に対する放射性核種の結合体化のための例示的なキレート剤である(例えば、WO94/11026を参照のこと)。
【0135】
別の実施形態において、本抗体は、α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官を予め標的化する際に利用するために、レセプター(例えば、ストレプトアビジン)に結合体化され得、ここで、その抗体レセプター結合体は、患者に投与された後、清澄化剤(clearing agent)を用いて循環から未結合の結合体が除去され、次いで、ある薬剤、例えば、細胞傷害性薬剤(例えば、放射性核種)に結合体化されたリガンド(例えば、アビジン)が投与される。
【0136】
本明細書中に開示される抗α2インテグリン抗体は、免疫リポソームとしても製剤化され得る。その抗体を含むリポソームは、当該分野で公知の方法(例えば、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030(1980);ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されている方法)によって調製される。循環時間が延長されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0137】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって作製され得る。リポソームは、規定のポアサイズのフィルターを通って押し出されることにより、所望の直径を有するリポソームが得られる。抗α2インテグリン抗体のFab’フラグメントは、ジスルフィド交換反応を介して、Martinら、J.Biol.Chem.257:286−288(1982)に記載されているようなリポソームに結合体化され得る。必要に応じて、化学療法剤(例えば、ドキソルビシン)がリポソーム内に含められる(例えば、Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19):1484(1989)を参照のこと)。
【0138】
ヒト化抗α2インテグリン抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、例えば、WO81/01145を参照のこと)を活性薬物(例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと)に変換するプロドラッグ活性化酵素にその抗体を結合体化することによって、抗体特異的酵素プロドラッグ療法(Antibody Directed Enzyme Prodrug Therapy)(ADEPT)においても使用され得る。ADEPTにとって有用な免疫複合体の酵素の構成要素には、プロドラッグをより活性な形態に変換するための方法において、そのプロドラッグに対して作用することができる任意の酵素が含まれる。有用な酵素としては、ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアリールスルファターゼ;無毒性の5−フルオロシトシンを抗癌薬である5−フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なプロテアーゼ(例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびL));D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するために有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物に変換するために有用な炭水化物切断酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ);β−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なβ−ラクタマーゼ;およびフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基を有するアミン窒素において誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なそれぞれペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、アブザイムとしても知られる、酵素活性を有する抗体が、本発明のプロドラッグを活性な遊離薬物に変換するために使用され得る(例えば、Massey,Nature 328:457−458(1987)を参照のこと)。α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官にアブザイムを送達するためのものを含む抗体−アブザイム結合体は、本明細書中に記載されるように調製され得る。
【0139】
上で述べられたヘテロ二官能性架橋試薬の使用を含む当該分野で周知の手法によって抗α2インテグリン抗体に酵素が共有結合され得る。あるいは、酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された抗α2インテグリン抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質が、当該分野で周知の組換えDNA法を用いて構築され得る(例えば、Neubergerら、Nature 312:604−608(1984)を参照のこと)。
【0140】
本発明のある特定の実施形態において、例えば、組織または腫瘍への浸透を高めるために、インタクトな抗体ではなく抗体フラグメントを使用することが望ましい場合がある。また、血清半減期を延長するために、抗体フラグメントを改変することも望ましい場合がある。これは、例えば、抗体フラグメント内の適切な領域を変異すること、またはエピトープをペプチドタグに組み込み、次いでそれを例えばDNA合成もしくはペプチド合成によって抗体フラグメントの末端または中央に融合することによって、サルベージレセプター結合エピトープを抗体フラグメントに組み込むことによって達成され得る(例えば、WO96/32478を参照のこと)。
【0141】
ヒト化抗α2インテグリン抗体の共有結合性の改変は、例えば、化学合成またはその抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって行われ得る。他のタイプの抗体の共有結合性の改変は、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端の残基と反応することができる有機誘導体化剤と抗体の標的化されたアミノ酸残基を反応させることによって、その分子に導入される。最も一般的には、例えばシステイニル残基を、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのα−ハロアセテート(および対応するアミン)と反応させることにより、カルボキシメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体が得られる。システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によっても誘導体化される。例えば、ヒスチジル残基は、ピロ炭酸ジエチルがヒスチジル側鎖に比較的特異的であるので、pH5.5〜7.0におけるこの薬剤との反応によって誘導体化される。パラ−ブロモフェナシルブロミドもまた有用である;その反応は、好ましくは、pH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。例えば、リシニル残基およびアミノ末端残基を、コハク酸無水物または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤を用いた誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転させる作用を有する。α−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適当な試薬としては、イミドエステル、例えば、ピコリンイミド酸メチル、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンおよびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が挙げられる。例えば、アルギニル残基は、1つまたはいくつかの従来の試薬、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒドリンとの反応によって改変される。グアニジン官能基のpKaが高いので、アルギニン残基の誘導体化には、その反応がアルカリ性条件において行われることが必要である。さらに、これらの試薬は、リジンの基ならびにアルギニンイプシロン−アミノ基と反応し得る。例えば、チロシル残基は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基に分光標識を導入する際に特定の目的でとりわけ改変される。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンを使用することにより、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体が形成される。チロシル残基は、125Iまたは131Iを用いてヨウ素化されることにより、ラジオイムノアッセイにおいて使用するための標識されたタンパク質が調製される。カルボキシル側基、例えば、アスパルチルまたはグルタミルは、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド類(R−N=C=N−R’)(RおよびR’は、異なるアルキル基である)との反応によって選択的に改変される。さらに、アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基に脱アミド化されることが多い。これらの残基は、中性または塩基性条件下において脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化された形態は、本発明の範囲内に入る。他の改変としては、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル残基またはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0142】
別のタイプの共有結合性の改変は、グリコシドを本抗体に化学的または酵素的に結合することを含む。これらの手順は、NまたはO結合型グリコシル化に対するグリコシル化能を有する宿主細胞における抗体の生成を必要としない点において有利である。用いられる結合様式に応じて、糖が、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基(例えば、システインの遊離スルフヒドリル基)、(d)遊離ヒドロキシル基(例えば、セリン、トレオニンまたはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基)、(e)芳香族の残基(例えば、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンの芳香族の残基)、または(f)グルタミンのアミド基に付着され得る(例えば、WO87/05330;Aplin and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)を参照のこと)。
【0143】
本抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、例えば、化学的または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化には、本抗体が、トリフルオロメタンスルホン酸化合物または等価な化合物に曝露される必要がある。この処理によって、抗体はインタクトなままで、連結糖(linking sugar)(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたはすべての糖が切断される(例えば、Hakimuddinら、Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987);Edgeら、Anal.Biochem.,118:131(1981)を参照のこと)。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼを使用することによって達成され得る(例えば、Thotakuraら、Meth.Enzymol.138:350(1987)を参照のこと)。
【0144】
本抗体の別のタイプの共有結合性の改変は、本抗体を種々の非タンパク質性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン)のうちの1つに連結することを含む(例えば、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号または同第4,179,337号を参照のこと)。
【0145】
本抗体を組換え的に生成するために、本抗体をコードする核酸が、単離され、さらなるクローニング(そのDNAの増幅)または発現のために、複製可能なベクターに挿入される。本抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、本抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定される。多くのベクターが利用可能である。そのベクターの構成要素としては、一般に、以下のもの:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
好ましくは、シグナル配列または成熟タンパク質もしくは成熟ポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を有する他のポリペプチドである異種ポリペプチドを有する融合ポリペプチドとしての抗体を含む抗α2インテグリン抗体が、組換え的に生成され得る。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識され、処理される(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。真核生物のシグナル配列(例えば、免疫グロブリンシグナル配列)を認識せず、処理しない原核生物の宿主細胞の場合、そのシグナル配列は、例えば、ペクチン酸リアーゼ(pectate lysase)(例えば、pelB)、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーをはじめとした原核生物のシグナル配列に置換される。酵母分泌の場合、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(SaccharomycesおよびKluyveromyces α−因子リーダーを含む)または酸ホスファターゼリーダーを含む酵母シグナル配列、C.albicansグルコアミラーゼリーダー、またはWO90/13646に記載されているシグナルが、利用され得る。哺乳動物細胞における発現では、哺乳動物のシグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが、利用可能であり、利用され得る。そのような前駆体領域(例えば、シグナル配列)に対するDNAは、抗α2インテグリン抗体をコードするDNAに読み枠でライゲーションされる。
【0147】
発現ベクターとクローニングベクターの両方が、1つ以上の選択された宿主細胞における複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、クローニングベクターでは、この配列は、そのベクターが宿主の染色体DNAとは無関係に複製することを可能にする配列であり、複製開始点または自律複製配列を含む。種々の細菌、酵母およびウイルスに対するそのような配列が周知である。例えば、ほとんどのグラム陰性菌に対しては、プラスミドpBR322由来の複製起点が適当であり、酵母に対しては、2μプラスミド起点が適当であり、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに対しては、様々なウイルスの起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が有用である。一般に、哺乳動物発現ベクターに対しては、複製起点の構成要素は必要でない(例えば、SV40起点は、初期プロモーターを含むだけであるので、代表的に使用され得る)。
【0148】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含み得る。代表的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他のトキシン、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに対する抵抗性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠損を補完するタンパク質、または(c)複合培地から利用可能でない決定的な栄養分を供給するタンパク質(例えば、Bacilliに対するD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコードする。
【0149】
選択スキームの1つの例は、宿主細胞の成長を停止する薬物を利用する。異種遺伝子による形質転換が成功した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生成し、ゆえにその選択レジメンを生き残る。そのような優性選択の例は、薬物であるメトトレキサート、ネオマイシン、ヒスチジノール、ピューロマイシン、ミコフェノール酸およびハイグロマイシンを使用する。
【0150】
哺乳動物細胞に対して適当な選択可能マーカーの別の例は、抗α2インテグリン抗体の核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするものであり、例えば、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−Iおよび−II、好ましくは、霊長類のメタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。
【0151】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、まず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培養液中ですべての形質転換体を培養することによって同定される。野生型DHFRを使用するとき、適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0152】
あるいは、抗α2インテグリン抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択マーカーをコードするDNA配列で形質転換されたまたは同時形質転換された宿主細胞(特に、内在性のDHFRを含む野生型宿主)が、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、カナマイシン、ネオマイシンまたはG418)を含む選択可能マーカーに対する選択薬剤を含む培地中での細胞の成長によって選択され得る(例えば、米国特許第4,965,199号を参照のこと)。
【0153】
酵母において使用するための1つの適当な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で生育する能力を欠く酵母の変異体株、例えば、ATCC No.44076またはPEP4−1に対して選択マーカーを提供する(例えば、Jones,Genetics,85:12(1977)を参照のこと)。次いで、酵母宿主細胞ゲノム内のtrp1が破壊されていることにより、トリプトファンの非存在下における成長によって形質転換を検出するために有効な環境がもたらされる。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
【0154】
さらに、1.6μ環状プラスミドpKD1から得られるベクターは、Kluyveromyces酵母の形質転換のために使用され得る。あるいは、組換え子ウシキモシンの大規模生成用の発現系が、Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)によってK.lactisについて報告された。Kluyveromycesの工業用株が成熟組換えヒト血清アルブミンを分泌するための安定な多コピー発現ベクターもまた、開示されている(例えば、Fleerら、Bio/Technology,9:968−975(1991)を参照のこと)。
【0155】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識されるプロモーターを含み、抗α2インテグリン抗体核酸に作動可能に連結される。原核生物の宿主とともに使用することに適したプロモーターとしては、アラビノースプロモーター(例えば、araB)、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが挙げられる。しかしながら、他の公知の細菌のプロモーターも適している。細菌系において使用するためのプロモーターもまた、抗α2インテグリン抗体をコードするDNAに作動可能に連結されたShine−Dalgamo(S.D.)配列を含む。
【0156】
真核生物に対するプロモーター配列は、公知である。ほとんどの真核生物の遺伝子が、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始位置から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT(配列番号115)領域(Nは任意のヌクレオチドであり得る)である。コード配列の3’末端へのポリAテイルの付加に対するシグナルであり得るAATAAA(配列番号116)配列は、ほとんどの真核生物の遺伝子の3’末端に位置する。そのような配列は、真核生物の発現ベクターに適宜挿入される。
【0157】
酵母宿主とともに使用するために適したプロモーター配列の例としては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼおよびグルコキナーゼ)に対するプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。成長条件によって調節される転写に関する追加の利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素に対するプロモーター領域である。酵母発現における使用に適したベクターおよびプロモーターは、さらにEP73,657に記載されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモーターとともに好都合に使用される。
【0158】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗α2インテグリン抗体の転写は、例えば、ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスまたはサルウイルス40(SV40))のゲノムから得られるプロモーター、異種哺乳動物のプロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって調節されるが、但し、そのようなプロモーターは、その宿主細胞系と適合している。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限フラグメントとして都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして都合よく得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを用いて哺乳動物宿主においてDNAを発現するための系は、米国特許第4,419,446号に開示されており、この系の改変は、米国特許第4,601,978号に記載されている(単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの支配下におけるマウス細胞内でのヒトβ−インターフェロンcDNAの発現については、Reyesら、Nature 297:598−601(1982)もまた参照のこと)。あるいは、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列が、プロモーターとして使用され得る。
【0159】
高等真核生物による抗α2インテグリン抗体をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加することが多い。現在、哺乳動物の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が、知られている。しかしながら、しばしば、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例としては、複製起点の後の側(bp100〜270)におけるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後の側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる(例えば、真核生物プロモーターを活性化するためのエレメントの増強については、Yaniv,Nature 297:17−18(1982)もまた参照のこと)。エンハンサーは、そのベクターの、抗α2インテグリン抗体をコードする配列に対して5’ 位または3’位にスプライスされ得るが、好ましくは、プロモーターに対して5’部位に位置する。当該分野で周知の他の遺伝子制御系(例えば、テトラサイクリン誘導系およびGeneSwitchTMなどの誘導系)が、抗α2インテグリンをコードするDNAの転写を調節するために使用され得る。
【0160】
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列も含む。そのような配列は、通常、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’、および時折3’の非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、抗α2インテグリン抗体をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化されたフラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である(例えば、WO94/11026およびその中で開示されている発現ベクターを参照のこと)。
【0161】
本明細書中のベクター内のDNAのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は、上に記載されたような原核生物、酵母または高等真核生物の細胞である。この目的に適した原核生物としては、グラム陰性またはグラム陽性生物を含む真正細菌、例えば、Enterobacteriaceae、例えば、Escherichia(例えば、大腸菌)、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella(例えば、Salmonella typhimurium)、Serratia(例えば、Serratia marcescans)およびShigellaならびにBacilli(例えば、B.subtilisおよびB.licheniformis)、Pseudomonas(例えば、P.aeruginosa)およびStreptomycesが挙げられる。適当な大腸菌クローニング宿主としては、大腸菌294(ATCC31,446)、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)および大腸菌W3110(ATCC27,325)が挙げられる。
【0162】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核細胞微生物が、抗アルファ2インテグリン抗体をコードするベクターに適したクローニング宿主または発現宿主である。Saccharomyces cerevisiae、すなわち、普通のパン酵母が、下等真核生物宿主微生物の中で最もよく使用される。しかしながら、いくつかの他の属、種および株(例えば、Schizosaccharomyces pombe;Kluyveromyces宿主(K.lactis、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC 36,906)、K.thermotoleransまたはK.marxianusを含む);yarrowia(EP402,226);Pichia pastoris(EP183,070);Candida;Trichoderma reesia(EP244,234);Neurospora crassa;Schwanniomyces occidentalisなどのSchwanniomyces;およびNeurospora、Penicillium、TolypocladiumまたはAspergillus宿主(例えば、A.nidulansまたはA.niger)を含む糸状菌)が、一般に利用可能であり、有用である。
【0163】
グリコシル化された抗α2インテグリン抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。数多くのバキュロウイルス株および変異株、ならびに宿主(例えば、Spodoptera frugiperda(毛虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)およびBombyx mori)由来の対応する許容的な昆虫宿主細胞が、同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、Autographa californica NPVのL−1バリアントおよびBombyx mori NPVのBm−5株が、公的に入手可能であり、そのようなウイルスは、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために使用され得る。
【0164】
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物もまた、宿主として利用され得る。
【0165】
しかしながら、脊椎動物細胞に最も関心が寄せられており、種々の哺乳動物細胞を含む脊椎動物細胞の増殖は、通例の手順になっている。有用な哺乳動物宿主細胞の例としては:SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(例えば、COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胎児腎臓株293または懸濁培養において生育するためにサブクローン化された293細胞(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.36:59(1977)を参照のこと);ベビーハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFRを欠くCHO細胞を含む)(例えば、DHFR Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)を参照のこと);マウスセルトリ細胞((例えば、TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌腫細胞(例えば、HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL75);ヒト肝臓細胞(例えば、Hep G2、HB8065);マウス乳腺腫瘍(例えば、MMT060562、ATCC CCL51);TRI細胞(例えば、Matherら、Annals N.Y Acad.Sci.383:44−68(1982)を参照のこと);MRC5細胞;FS4細胞;またはヒトヘパトーム株(例えば、Hep G2)が挙げられる。
【0166】
宿主細胞は、抗α2インテグリン抗体を生成するために、上に記載した発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換され、そしてプロモーターを誘導するため、形質転換体を選択するため、および/または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切であるように改変された従来の栄養培地中で培養される。
【0167】
抗α2インテグリン抗体を生成するために使用される宿主細胞は、種々の培地中で培養され得る。商業的に入手可能な培地(例えば、Ham’s F10(Sigma)、最少必須培地((MEM),(Sigma))、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM),Sigma))が、宿主細胞を培養するために適している。さらに、Hamら、Meth.Enz.58:44(1979),Barnesら、Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;もしくは同第5,122,469号;WO90103430;WO87/00195;または米国再発行特許第30,985号に記載されている任意の培地が、宿主細胞に対する培養液として使用され得る。これらの任意の培地には、ホルモンおよび/または他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬物)、微量元素(マイクロモル濃度の範囲内の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)およびグルコースまたは等価なエネルギー源が必要に応じて補充され得る。他の任意の必要な補充物もまた、当業者に公知であり得る適切な濃度で含められ得る。発現について選択される宿主細胞とともに以前使用された培養条件を含む、温度、pHなどのような培養条件は、当業者によって選択される。
【0168】
抗α2インテグリン抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析および/またはアフィニティークロマトグラフィを用いて、微生物または哺乳動物の細胞を含む細胞から精製され得る。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、その抗体に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種類およびアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2またはγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用され得る(例えば、Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62:1−13(1983)を参照のこと)。プロテインGは、マウスアイソタイプおよびヒトγ3に対して有用である(例えば、Gussら、EMBO J.5:1516−1517(1986)を参照のこと)。親和性リガンドが付着されるマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。コントロールドポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースを用いたときに達成され得るものよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。抗体が、CH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が、精製に有用である。タンパク質の精製としては、以下の手法(例えば、イオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカにおけるクロマトグラフィ、ヘパリンSEPHAROSETMにおけるクロマトグラフィ、陰イオンもしくは陽イオン交換樹脂におけるクロマトグラフィ(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫安塩析および/または疎水性相互作用クロマトグラフィ)のうちの1つ以上が挙げられ得る。例えば、任意の精製工程の後、目的の抗体および夾雑物を含む混合物を、好ましくは低塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で行われ、約2.5〜4.5のpHの溶出緩衝液を用いる低pH疎水性相互作用クロマトグラフィに供することが、有用であり得る。
【0169】
治療的に投与するための製剤を含む抗α2インテグリン抗体の製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を任意選択で生理的に許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、凍結乾燥された製剤または水溶液の形態で、貯蔵用として調製される。許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、それらとしては、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸);アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン);単糖類、二糖類または他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む);EDTAなどのキレート剤;糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール);ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性物質(例えば、TWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG))が挙げられる。治療的に使用するために、本発明の抗α2インテグリン抗体は、例えば、0,03%Tween−80TMを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中において製剤化され得る。この抗体製剤は、処置される特定の適応症に対する2つ以上の活性な化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有する化合物も含み得る。対象の障害を予防するためまたは処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤に加えて、抗α2インテグリン抗体を使用することが望ましい場合がある。さらに、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましい場合がある。そのような分子は、意図される目的のために有効な量で組み合わされて適切に存在する。
【0170】
それらの活性成分はまた、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子またはナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおける、例えば、コアセルベーション法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルに封入され得る。そのような手法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0171】
インビボ投与のために使用される製剤は、好ましくは、滅菌される。これは、例えば、滅菌された濾過膜での濾過によって容易に達成される。
【0172】
徐放調製物が、調製され得る。徐放調製物の適当な例としては、本抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、成形された物品の形、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルである。徐放マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(例えば、Lupron DepotTM(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドから構成される注射可能なミクロスフェア))およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日を超えて分子を放出することができるが、ある特定のヒドロゲルは、それよりも短い期間しかタンパク質を放出しない。被包された抗体が、長時間にわたって体内に留まるとき、それらは、37℃の水分への曝露の結果として変性し得るかまたは凝集し得、その結果、生物学的活性が失われ、免疫原性が変化する可能性がある。関わるメカニズムに応じて、安定化のための合理的なストラテジーが、考案され得る。例えば、凝集メカニズムが、チオ−ジスルフィド相互交換による分子間のS−S結合の形成であると見出される場合、スルフヒドリル残基を改変すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、水分含有量を調節すること、適切な添加剤を使用すること、および特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって、安定化が達成され得る。
【0173】
抗α2インテグリン抗体は、非経口、皮下、腹腔内、肺内または鼻腔内を含む任意の適当な手段によって投与される。局所的な免疫抑制処置に対して望まれる場合、本抗体の病巣内投与(移植前に灌流すること、または別途移植片を本抗体と接触させることを含む)が行われる。非経口投与としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が挙げられる。さらに、抗α2インテグリン抗体は、例えば、本抗体の用量を減少させながらの、パルス注入によって適切に投与される。好ましくは、投薬は、注射、最も好ましくは、静脈内注射または皮下注射によって行われる。これは、投与が短時間であるか長時間であるかに部分的に依存し得る。より好ましくは、抗α2インテグリン抗体または本明細書中に記載されるような組成物は、静脈内注入、静脈内ボーラス、皮下投与、皮下点滴または皮下ボーラスによる本発明の方法において投与されるが、静脈内注入または静脈内ボーラスが、最も好ましい。用語「静脈内注入」とは、およそ5分を超える時間、好ましくは、およそ30〜90分間にわたって動物またはヒト患者の静脈に薬物を導入することを指すが、本発明によれば、静脈内注入は、10時間以下にわたって投与される。用語「静脈内ボーラス」または「静脈内プッシュ(intravenous push)」とは、薬物をおよそ15分以下、好ましくは、5分以下で身体に投与するような、動物またはヒトの静脈への薬物投与のことを指す。用語「皮下投与」とは、薬物容器から、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中に、比較的緩徐な持続的送達によって薬物を導入することを指す。そのポケットは、下にある組織から離して皮膚をつまむかまたは引き上げることによって作ってもよい。用語「皮下点滴」とは、薬物容器から、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中に、比較的緩徐な持続的送達によって、30分以下または90分以下を含むがこれらに限定されない時間にわたって薬物を導入することを指す。用語「皮下ボーラス」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下への薬物投与のことを指し、ここで、ボーラス薬物送達は、好ましくは、およそ15分未満であり、より好ましくは、5分未満、最も好ましくは、60秒未満である。投与は、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中におけるものであり、ここで、そのポケットは、例えば、下にある組織から離して皮膚をつまむかまたは引き上げることによって作られる。必要に応じて、注入は、動物またはヒト患者の皮膚の下に埋め込まれる薬物送達ポンプの皮下への埋め込みによって行われ得、ここで、そのポンプは、所定の時間(例えば、30分、90分または処置レジメンの長さに及ぶ時間)にわたって所定量の薬物を送達する。間欠投薬または定期的な投薬は、ある特定の時間にわたって継続される投薬であり、好ましくは、1日より長い時間を隔てた一定間隔で行われる。
【0174】
本明細書中で同意語として使用される「治療有効量」または「有効量」とは、症状を回復させるかもしくは予防するか、または処置される被験体の生存時間を延ばすのに有効な、本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の量のことを指す。治療有効量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に鑑みて、十分に当業者の能力の範囲内である。本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の「治療有効量」という用語は、具体的には、腫瘍の成長を遅延させるかまたは阻害するために必要な量のことを指す。
【0175】
癌を予防するかまたは処置する場合、抗体の適切な投薬量は、上で定義されたような処置される疾患のタイプ、その疾患の重症度および経過、抗α2インテグリン抗体が予防的な目的で投与されるか治療的な目的で投与されるか、以前の治療、患者の病歴およびその抗体への応答、ならびに主治医の判断に左右される。本抗体は、一度に、または一連の処置にわたって、患者に適切に投与される。
【0176】
したがって、抗α2インテグリン抗体は、本発明の方法において、被験体、好ましくは、ヒトに、約0.1.〜約100mg/kgの範囲の治療有効量で投与され得る。好ましくは、約1〜約20mg/kgの範囲の治療有効量、より好ましくは、約3〜約10mg/kgの範囲の治療有効量が、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。治療有効量のヒト化抗体またはその結合フラグメントは、1回以上の治療的に有効な投薬において被験体に投与され得る。
【0177】
疾患のタイプおよび重症度に応じて、約0.1mg/kg〜約100mg/kgの抗体が、例えば、1回以上の別個の投与によるか持続注入によるかに関わらず、被験体への投与に対する最初の投薬量候補である。例えば、ヒトへの代表的な毎日の投薬は、上で述べた因子に応じて、0.1mg/k〜20mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得る。数日またはそれ以上にわたる反復投与の場合、状態に応じて、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで継続される。しかしながら、他の投与レジメンも有用であり得る。この治療の進行は、当業者によって容易にモニターされる。実施例6に記載されるような毒物動態学研究によれば、本発明の抗α2インテグリン抗体は、199〜316時間という半減期T1/2が見積もられた。したがって、2週間ごとに1回の投薬レジメンが、好ましいとみられる。
【0178】
意外なことに、本発明において使用される抗アルファ2(α2)インテグリン抗体は、抗VEGF抗体に匹敵する程度に腫瘍の成長を阻害する。具体的には、マウス異種移植片研究において50mg/kgの用量の抗アルファ2(α2)インテグリン抗体を22日間にわたって週2回投与したとき、腫瘍のサイズは、27日目には、アイソタイプコントロールのおよそ60%だった。したがって、本発明は、治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与することによって、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、ここで(whereas)、そのヒト化抗α2インテグリン抗体で処置された腫瘍のサイズは、コントロール抗体で処置された腫瘍のサイズの90%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下、最も好ましくは、60%以下、特に、50%以下、より特に、40%以下、最も特に、30%以下であり、ここで(wheras)、その腫瘍のサイズは、通常、腫瘍の体積または腫瘍の重量として測定される。
【0179】
抗α2インテグリン抗体組成物は、優れた医療行為と調和する様式で、製剤化され、投薬され、投与される。この文脈において考慮される因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、薬理学的研究および毒性研究の結果、ならびに医療従事者に公知の他の因子が挙げられる。投与される抗体の治療有効量は、そのような因子を考慮することによって決定され、α2β1インテグリン関連障害を予防するか、回復させるか、または処置するために必要な最小量である。そのような量は、好ましくは、宿主にとって毒性である量、または宿主を著しく感染症に感受性にさせる量より少ない。抗α2インテグリン抗体は、対象の障害を予防するためまたは処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤ととともに補助療法として製剤化されるか、同時投与される(co−administer)かまたは使用される必要はないが、必要に応じて、そのように製剤化されるか、同時投与されるかまたは使用されてもよい。例えば、本抗体は、放射線治療およびまたは1つもしくはいくつかの癌医薬とともに投与され得る。これらの癌医薬は、別の抗体、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗血管新生薬、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、細胞傷害性放射線治療、コルチコステロイド、制吐作用の癌ワクチン、鎮痛薬、抗血管剤(anti−vascular agent)または成長抑制剤(growth−inhibitory agent)を含み得る。より具体的な薬剤としては、例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、EFGレセプターアンタゴニスト、例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、VEGFアンタゴニスト、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、mTor(セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ)のインヒビター、例えば、ラパマイシンおよびCCI−779ならびに抗HER1、HER2、ErbBおよび/またはEGFRアンタゴニスト、例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、パーツズマブ(pertuzumab)(OMNI−TARGTM)またはラパチニブ(lapatinib)、ならびに化学療法剤を含む他の細胞傷害性薬剤が挙げられる。あるいはまたはさらに、α2β1インテグリンアンタゴニストが、α2β1インテグリン関連障害に罹患している哺乳動物に投与され得る。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗α2インテグリン抗体の量、障害または処置のタイプ、および上で述べた他の因子に左右される。これらは、一般に、本明細書の上で使用されたものと同じ投薬量および本明細書の上で使用されたような投与経路で、または今までに使用された投薬量の約1〜99%で使用される。
【0180】
上に記載されたような癌の処置に有用な抗α2インテグリン抗体を含む材料を備えた製品が、提供される。この製品は、容器およびラベルを備える。適当な容器としては、例えば、ビン、バイアル、注射器および試験管が挙げられる。その容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成され得る。その容器は、状態を処置するために有効な組成物を保持しており、滅菌された接続口を有し得る(例えば、その容器は、皮下注射針で貫通可能な栓を有する静脈内投与用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の活性な薬剤は、抗アルファ2インテグリン抗体である。その容器上のラベルまたはその容器に関連づけられたラベルは、その組成物が、上に記載されたような癌を処置するために使用されることを示している。その製品は、薬学的に許容され得る緩衝液(例えば、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液またはデキストロース溶液)を含む第2の容器をさらに備え得る。その製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器および使用するための指示を含む添付文書をはじめとした、商業上の観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに備え得る。
【0181】
以下の実施例は、限定の目的ではなく例示の目的で提供される。本明細書中のすべての引用の開示が、明確に本明細書中で参考として援用される。
【実施例】
【0182】
実施例1
ヒト癌腫細胞株上で発現されているヒトα2インテグリンとヒトコラーゲンとの相互作用を阻害する際の抗α2インテグリン抗体の効力のインビトロ評価
様々な抗α2インテグリン抗体がヒト癌腫細胞株上で発現されているヒトVLA−2(α2β1)インテグリンとヒトコラーゲンI型との相互作用を阻害する効力を評価するための、ヒト細胞株とヒトコラーゲンとのインビトロ結合アッセイが、確立されている。このアッセイでは、天然にVLA−2を発現する、蛍光標識されたヒト膵癌細胞株を、ヒトコラーゲンI型で予めコートされた96ウェルプレートに分配した。VLA−2を発現しない蛍光標識されたヒト膵癌細胞株をネガティブコントロールとして使用した。次いで、蛍光標識された細胞を、様々な濃度の抗α2インテグリン(GBR500またはTMC2206)またはアイソタイプマッチコントロール抗体(GBR600)の存在下において、コラーゲンコートされた96ウェルプレート内で1時間インキュベートした。プレートを静かに洗浄し、プレートの各ウェル内の残った蛍光を測定した。個別のウェルにおいて測定された蛍光シグナルの強さは、コラーゲンに接着した細胞の数に比例する。
【0183】
材料および方法
【0184】
【表1】
本明細書中でGBR500と呼ばれるヒト化抗ヒトα2インテグリンは、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む。
【0185】
【表2】
フローサイトメトリー
Versene(Gibco,cat#15040)とともにインキュベートした後、AsPC−1細胞、HPAF−II細胞およびMIA PaCa−2細胞を回収し、1×106細胞/mLの濃度でPBS−2.5%FBSに再懸濁した。100μlの細胞懸濁液を、10μg/mLのGBR500−FITCまたはコントロールとしてhIgG4−FITCとともに20分間、氷上でインキュベートした。細胞をPBS−2.5%FBSで2回洗浄し、フローサイトメトリーで解析した。トリプシン処理されたSK−BR−3細胞株を、膵臓細胞株について記載した方法と同じ方法で処理した。VLA−2分子の発現レベルを平均蛍光強度(MFI)として表した。
【0186】
コラーゲン結合アッセイ
96ウェルELISAプレート(黒色クリニプレート(black cliniplate),Thermo Firsher scientific,cat no9502867)を、酢酸0.02N中またはPBS中の50μg/mLの100μlのヒトコラーゲンI型(SIGMA,cat noC7774)でコーティングした。コラーゲンを、酢酸に希釈して37℃で1時間インキュベートするか、またはPBSに希釈して4℃で一晩インキュベートした。プレートを、0.1%BSAまたは1%BSA(Sigma,cat noA3059)が補充された150μlのPBSでブロッキングした。細胞をまず、無血清DMEM培地(PAA,cat noE15−005)中のCFSE(Invitrogen cat noC34554)で標識した。3μlの15mM CFSE溶液を、1×106細胞/ml〜0.6×106細胞/mlの濃度の5mlの細胞に加えた。細胞をCFSEとともに37℃で10分間インキュベートし、その細胞を900rpmで3分間遠心分離することによって、過剰なCFSEを除去した。CFSE標識された細胞を、0.6×106〜1×106細胞/mlの濃度で、0.1%BSAが補充されたDMEMに再懸濁した。DMEM−0.1%BSA中の50μlの抗体希釈物を、コラーゲンコートされたプレートに分配し、直ちに50μlのCFSE標識細胞をそのプレートに分配した。GBR500に対するアイソタイプコントロール抗体としてGBR600抗体を使用した。プレートを室温で1時間インキュベートし、コラーゲンに結合しなかった細胞を、上清を捨てることによって除去した。プレートを、手動で、またはBioTek洗浄機を用いて、PBS緩衝液で4回洗浄した。そのプレート内のウェルをPBSで満たし、498nmで励起し、525nmで発光する蛍光を、Synerg HT2蛍光光度計を用いて測定した。PRISMソフトウェアを用いて、データを解析した。抗VLA−2抗体の活性を、ベースラインと最大反応との中間の反応を誘発する抗体の濃度と定義されるEC50として表した。
【0187】
結果:
【0188】
【表3】
コラーゲン結合アッセイ
3つの膵癌細胞株および乳癌細胞株を用いるコラーゲン結合アッセイを、2回行った。
表4は、行われた2回の実験において得られたEC−50値をまとめており、以下に示す。
【0189】
【表4】
GBR500抗体およびTMC−2206抗体は、ヒトコラーゲンへのVLA−2陽性の膵癌細胞および乳癌細胞の結合を阻害した。VLA−2を発現しないMIA PaCa−2細胞株は、コラーゲンに結合しない。この結果は、VLA−2発現がコラーゲンI型への細胞接着に必須であることを証明している。
【0190】
結論
1)癌腫癌細胞株であるAsPC−1、HPAF−IIおよびSKBR3細胞上のα2インテグリン発現は、蛍光標識されたGBR500抗体を用いて検出され得る。この膵癌細胞株は、乳癌細胞株よりも高レベルのα2インテグリンを発現する。
2)VLA−2陽性細胞株であるAsPC−1、HPAF−IIおよびSK−BR−3細胞株は、コラーゲンに接着した一方、VLA−2陰性細胞株であるMiaPaCAは、接着しない。
3)試験された様々な細胞株に対するコラーゲン結合の阻害に対する抗体EC−50値を表5に示す:
【0191】
【表5】
HPAF−II細胞株を用いて得られたEC50値は、AsPC−1細胞株について測定されたEC50値と比べて約4倍(GBR500の場合3.9倍およびTMC−2206の場合3.6倍)高かった。両方の膵臓細胞株が、同様のVLA−2レベルを発現していたので(FACS染色データを参照のこと)、この差は、VLA−2の発現レベルに帰することができない。さらに、低レベルのVLA−2を発現しているSK−BR−3細胞株は、AsPC−1(高VLA−2発現)に匹敵するEC50値を示した。しかしながら、コラーゲンコートの条件が、膵臓細胞株と乳癌細胞株との間で異なっていた(37℃で1時間酢酸に希釈されたコラーゲン 対 4℃で一晩PBSに希釈されたコラーゲン)ので、これらの細胞株の間でのEC50値の比較は、慎重に解釈されるべきである。
4)本研究は、I型コラーゲンへのα2β1インテグリン媒介性の接着を有望な治療標的として同定する。さらに、抗VLA−2抗体であるGBR500およびTMC2206は、VLA−2を発現している細胞株のコラーゲンへの結合を阻害する優れた能力を示した。ゆえに、GBR500抗体は、膵癌および乳癌の処置における有望な治療薬候補である。
【0192】
実施例2
BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスにおけるヒト膵臓癌腫腫瘍異種移植片AsPC−1に対するGBR500の効果
少なくとも6〜8週齢の雌BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスを異種移植片研究において使用した。Australian Research Council(ARC)から入手した動物を、研究の−2日目に処置群に割り当て、表6に記載されるレジメンに従って処置を開始した。1日目に、ヒトAsPC−1膵臓癌腫腫瘍細胞(ATCC(登録商標)番号:CRL−1682)を、インビトロで生育されたサブコンフルエントの培養物から回収し、生細胞の数を測定した。細胞を5×107細胞/mlの濃度で1×PBSに再懸濁し、0.1mlの体積におけるおよそ5×106細胞を動物の背面の右側腹部に皮下注射した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べ、−2日目から開始して22日間にわたって1週間に2回投薬した(−2、2、6、9、13、16、20日目における合計7回の注射)。抗体を10ml/kgの体積で投与した。20日目に、処置を停止し、27日目まで動物をモニターした。
【0193】
【表6】
この研究の期間中にわたって、腫瘍の測定を、デジタルカリパスを用いて1週間に2回行った。腫瘍の寸法を記録し(長さおよび幅)、式W2×L×0.536(Wは、最も広い幅の腫瘍の寸法であり、Lは、最も長い長さである)を用いて、腫瘍の体積を計算した。この研究の結果を、図1に示す。腫瘍の体積とは、14匹の動物の群あたりの平均値のことを指す。50mg/kgのGBR500の用量において、腫瘍のサイズは、27日目においてアイソタイプコントロールのおよそ60%だった。
【0194】
実施例3
nu/nu無胸腺マウスにおけるHT29ヒト結腸癌腫異種移植片に対するGBR500の効果
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0195】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、5つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表7に記載されるレジメンに従って、処置を開始した。
【0196】
【表7】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0197】
腫瘍:
以前にHT29細胞(ATCC HTB−38TM)を接種されていたマウス由来のHT29腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、120mm3だった。
【0198】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0199】
【数2】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0200】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0201】
結果および結論:
単一薬剤として1週間に2回投与されたHa1/29(5mg/kg)およびGBR500(50mg/kg)は、28日目において、腫瘍の重量をそれぞれ12%および16%阻害した。GBR500と併用されたHa1/29は、腫瘍重量の19%の減少を示した(表8)。
【0202】
【表8】
抗体で処置された群の最大の抗腫瘍活性は、16日目に観察され、腫瘍重量の阻害は、33、18、33%だった(それぞれHa1/29、GBR500および併用群)。40mg/kgで投与されたAvastin(登録商標)は、28日目において50%の腫瘍成長阻害を示した。図2では、異なる処置群において観察された平均腫瘍成長の比較が示されている。処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【0203】
実施例4
ヒト細胞株におけるCD49b(インテグリンサブユニットα2)の発現レベルの検出
細胞株および培養条件
細胞溶解産物のパネルをCD49bの発現についてスクリーニングした。このパネルは、癌化していない4つのヒト細胞株(BJ、I407、初代線維芽細胞、WRL−68)および様々な組織/器官(結腸直腸、皮膚、乳房、前立腺、膵臓、肺、子宮頸部、腎臓、卵巣、CNS、骨、肝臓、甲状腺および血液を含む)由来の96個のヒト癌細胞株からの溶解産物からなるものだった。使用した細胞株を表9Aおよび9Bに示す。
【0204】
【表9A】
【0205】
【表9B】
ウエスタンブロット用の溶解産物の調製
10%ウシ胎児血清の存在下の適切な成長培地中に維持された細胞株のサブコンフルエントの培養物から溶解産物を調製する(詳細については表8を参照のこと)。接着性細胞株を150mmプレートに播種した(細胞をおよそ60〜70%集密度で回収した);懸濁液細胞株をT−175フラスコ内で生育した(細胞をおよそ200,000細胞/mlで回収した)。
【0206】
接着性細胞株に対するプロトコル:
1)冷PBS(Ca2+およびMg2+を含まない)でプレートを洗浄する。PBSを除去する。
2)過剰なPBSを片側に寄せて除去する。
3)1mlの冷溶解緩衝液を加え、プレートを氷上に置く。細胞をこすり落とす。
4)溶解産物を回収し、さらなる200μlの溶解緩衝液でプレートを洗浄し、溶解産物に加え、低温室で15分間撹拌する。
6)微量遠心管において15分間遠心する(15000rpm、4℃)。
7)上清を回収し、一定量に分割して液体窒素中で凍結する。
8)BSA基準曲線を用いて、各溶解産物のアリコート中のタンパク質濃度を測定する。
9)完全溶解緩衝液、4×LDSサンプル緩衝液、20×還元剤(1M DTT)でサンプルを1mg/mlにして、10分間煮沸する。
【0207】
懸濁細胞株に対するプロトコル:
1)細胞懸濁液を15分間遠心し(2000rpm、4℃)、培地を除去する。
2)冷PBS(Ca2+およびMg2+を含まない)で洗浄し、15分間遠心し(2000rpm、4℃)、PBSを除去する。
3)1mlの冷溶解緩衝液を加え、細胞溶解産物を氷中でピペッティングする。
4 細胞/溶解産物を低温室で15分間撹拌し続ける。
6)15分間遠心する(15000rpm、4℃)。
7)上清を回収し、一定量に分割して液体窒素中で凍結する。
8)同じBSA基準曲線を用いて、すべての溶解産物中のタンパク質濃度を並行して測定する。
9)完全溶解緩衝液、4×LDSサンプル緩衝液、20×還元剤(1M DTT)でサンプルを1mg/mlにして、10分間煮沸する。
【0208】
完全溶解緩衝液の組成:
50mM Hepes pH7.5
150mM NaCl
1% Tritonx−100
1% デオキシコレート
0.1% SDS
10mM EDTA
必要に応じて、使用の直前にDTT(最終1mM)およびプロテアーゼ/ホスファターゼインヒビターカクテル(Sigma P−2850,P−5726,P−8340)を加える。DTT還元剤(Biorad,cat.#161−0610):50mM最終濃度。
【0209】
LDSサンプル緩衝液の組成(Invitrogen,cat.#029822201):
106mM Tris HCl pH8.5
150mM Tris塩基 1%TritonX−100
2% LDS
10% グリセロール
0.51mM EDTA
0.22mM Serva Blue G250
0.175mM フェノールレッド
ウエスタンブロット
4〜12%Bis−TrisMidiゲル(Invitrogen)を製造者の指示書に従って使用して、タンパク質抽出物(10μgタンパク質/サンプル)をSDS−PAGEによって分離した。転写後に膜をPonceau Redで染色した。5%脱脂粉乳を含むブロッキング緩衝液中に1:1000および1:2000で希釈したそれぞれ抗CD49b抗体および抗GAPDH抗体を使用した。5%脱脂粉乳を含むブロッキング緩衝液中のHRP結合体化2次抗体を1:5000で使用した。
【0210】
本研究で使用した抗体
・マウスモノクローナルIgG2a抗CD49b(インテグリンα2鎖)抗体(Becton Dickinson,cat.#611016);
・ウサギポリクローナルIgG抗GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)抗体(Santa Cruz Biotechnology,cat.#sc−25778);
・HRP結合体化抗マウスおよび抗ウサギ抗体(Pierce);
・ビオチン−GBR500(lot AT−220208A)組換えヒト化モノクローナル抗体;
・ビオチン−IgG4(lot AT−090108A)組換えヒト化モノクローナル抗体(Glenmark Pharmaceuticals S.A.);
・FluorolinkTMCyTM2ヤギ抗マウスIgG(GE Healthcare,cat.#PA42002);
・ストレプトアビジン−FITC(BD Pharmingen,ca.#554060)。
【0211】
免疫蛍光法のためのサンプルの調製
細胞をLab−Tekチャンバースライド(Nunc)内で48時間培養し(70,000細胞/チャンバー)、その後、ホルムアルデヒド3.7%(v/v)で20分間固定した。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで、PBS中に1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)および0.3%(v/v)Triton X−100(Sigma−Aldrich)を含むブロッキング溶液で30分間飽和させた。推奨される希釈で1次抗体をブロッキング溶液中に加えた。37℃で1時間インキュベートした後、溶液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。
【0212】
推奨される希釈で、2次抗体、またはストレプトアビジン−FITCを1mg/ml DRAQ5TM(Alexis,cat.#BOS−889−001−R200)とともにブロッキング溶液中に加えた。スライドを37℃で1時間インキュベートし、次いで、溶液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。PBSを除去し、Mowiol溶液(Mowiol 4.88,Calbiochem cat.#475904)を用いてスライドにカバーガラスを載せた。
【0213】
レーザー走査型共焦点顕微鏡
Radiance 2000レーザー走査システム(Bio−Rad,40×対物レンズ,油浸)に連結されたAxioplan顕微鏡(Zeiss)を用いて、免疫蛍光法の像を得た。Kalmanフィルターを用いて像を取得した(10反復);レーザー出力は、異なるサンプルにおいて同じ蛍光チャネルに対して等しかった。
【0214】
結果および結論
ヒト細胞株におけるCD49b発現のウエスタンブロット解析
膜のPonceau Red染色から、膜への細胞タンパク質の均一な転写が確かめられた。
【0215】
CD49bおよびGAPDHの発現に対するウエスタンブロット解析を図3に示す。全体的に見て、CD49bは、接着性細胞株において遍在的に発現しているが、懸濁細胞株ではそうではない(白血病−ブロック15およびSCLC−ブロック20)。いくつかの接着性細胞株が、検出不可能なCD49bレベルを有すること(例えば、MIA PaCa−2およびU031)、逆に、懸濁液中で生育された細胞株が高いCD49bレベルを発現すること(CEM/VM1およびRS4−11)といういくつかの例外がある。すべての細胞株が、一貫したGAPDH発現を示し、これをローディング/WBコントロールとして使用した。
【0216】
最高レベルのCD49bが、以下の細胞株に見られた:
−HT−1080(線維肉腫);
−BxPC−3(膵臓腺癌);
−CAL−12T(非小細胞肺癌);
−NCI−H1299(非小細胞肺癌);
−TK10(腎臓腺癌);
−SNB19およびU251(神経膠芽腫);
−A431(類表皮癌腫)。
結腸直腸癌腫に関して、22個の試験された株の大部分が、CD49bの同種の中程度に高い相対的な発現を示した。試験された22個の株のうち3つだけが、比較的低い発現レベルだったが、なおも容易にウエスタンブロットによって検出可能だった。
【0217】
選択された細胞株における、GBR500抗体を用いた共焦点顕微鏡によるCD49bの検出
共焦点顕微鏡を使用することにより、Becton−Dickinsonの抗CD49bを用いて得られたウエスタンブロットデータが細胞表面発現と相関したか否かを、GBR500を用いて試験した。研究されたサンプルでは、GBR500を用いることにより、ウエスタンブロットによって判断された抗原を高発現する細胞株が、特異的な免疫反応性を原形質膜で示したことも見出された。原形質膜にCD49bを発現するがゆえにインビボ研究に適し得るヒト腫瘍細胞株としては、HT−29結腸直腸癌腫株およびBX−PC3膵臓癌腫株が挙げられるが、多くのさらなる候補が本研究において同定された。
【0218】
5つの選択された細胞株(HT−1080、BxPC−3、MIAPaCa2、HT−29およびSW480)を、ビオチン−GBR500およびビオチン−hIgG4(無関係なアイソタイプ)で免疫染色し、レーザー走査型共焦点顕微鏡によって解析した。BD抗CD49b抗体を用いたウエスタンブロッティングによって得られた結果に基づいて、これらの腫瘍細胞株を選択した:
BxPC−3:高レベルのCD49bを有する膵臓癌腫
MIAPaCa2:検出不可能なCD49bを有する膵臓癌腫
HT−29:中程度に高レベルのCD49bを有する結腸直腸癌腫
SW480:比較的低いが検出可能なレベルのCD49bを有する結腸直腸癌腫
高レベルのCD49bを発現すると知られている線維肉腫細胞株HT1080をポジティブコントロールとして使用した:共焦点顕微鏡によって、原形質膜のラメリポディア様の領域に集中する強い膜の染色が確かめられる(図4)。
【0219】
図5(BxPC−3)および図6(MIA PaCa2)に報告される像に示されるように、BD抗体を用いて得られたウエスタンブロットデータとGBR500を用いて得られた免疫細胞化学の結果との間に相関が存在するとみられる:BxPC−3は、強い陽性であり、MIAPaCa2は、GBR500で染色されない。特に、共焦点顕微鏡から、BxPC−3については、細胞と細胞との接触領域内の細胞膜の強いビオチン−GRB500免疫染色が明らかになったが、ビオチン−hIgG4免疫染色は明らかにならなかった。これは、HT−1080細胞と異なる染色パターンであり、GBR500染色は、おそらく原形質膜のラメリポディア様領域に限局される。
【0220】
結腸腺癌細胞株HT−29は、BX−PC−3細胞において観察された分布と同様の分布で強いビオチン−GRB500免疫染色を示した(図7)。
【0221】
ウエスタン(Wesetrn)ブロットによって判断されたときにCD49b発現が低い別の株であるSW480細胞では、ビオチン−GBR500染色は、ビオチン−IgG4染色とほぼ識別不能(indistinguishible)だったことから(図8)、ウエスタンブロットによって検出された低いCD49b発現レベルが確かめられた。
【0222】
結論として、CD49b発現は、結腸癌腫細胞株の大部分、ならびに他のいくつかの固形腫瘍タイプにおいて検出され、ここで、それは、通常検出されるものである。CD49b発現は、小細胞肺癌腫および白血病/リンパ腫では比較的珍しい。ウエスタンブロットによって判断されるとき最も多く発現している細胞株は、HT−1080(線維肉腫)、BxPC−3(膵臓腺癌)、CAL−12T(非小細胞肺癌)、NCI−H1299(非小細胞肺癌)、TK10(腎臓腺癌)、SNB19およびU251(神経膠芽腫)である。
【0223】
実施例5
nu/nu無胸腺マウスにおけるA549非小細胞肺癌異種移植片に対するGBR500の効果
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0224】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、4つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表10に記載されるレジメンに従って、腫瘍を移植した6日後に処置を開始し、27日目まで続けた。
【0225】
【表10】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0226】
腫瘍:
A549上皮(epitelial)肺癌腫細胞株(ATCC(登録商標)番号:CCL−185)を非小肺細胞癌に対する代表例として使用した。A549異種移植片由来の腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、120mm3だった。
【0227】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0228】
【数3】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0229】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0230】
結果および結論:
表11から分かるように、抗体処置群の最大の抗腫瘍活性は、17日目に観察され、腫瘍重量阻害は、18%および11%だった(それぞれHa1/29+GBR500併用群)。40mg/kgで投与されたAvastin(登録商標)は、28日目に20%の腫瘍成長阻害を示した。図9では、様々な処置群において観察された平均腫瘍成長の比較が示されている。処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【0231】
【表11】
実施例6
カニクイザルにおけるGBR500毒物動態学(toxicokinetcs)
毒物動態学のエンドポイントを用いた6週間の毒性研究の一部として、およそ60分間にわたる緩徐な静脈内注入によってGBR500をカニクイザルに投薬した。その動物に、6週間にわたって1週間に1回投薬した(1、8、15、22、29および36日目)。投薬群の割り当ておよび用量レベルを下記の表12にまとめる:
【0232】
【表12】
1日目(投薬前、点滴の15分後、4、8、24、48および120時間後、8日目(投薬前、点滴の15分後)、15日目(投薬前、点滴の15分後)、22日目(投薬前、点滴の15分後)、29日目(投薬前、点滴の15分後)、36日目(投薬前、点滴の15分後、4、8、24、48および120時間後)および50、57、64、71、78、84、91および98日目に、動物から1mlの血液サンプルを採取した。GBR500の濃度を、確証されたELISAアッセイを用いて測定した。
【0233】
各動物の毒物動態学(TK)プロファイルを、確証されたコンピュータソフトウェア(WinNonlin,バージョン3.2,Pharsight Corp.,Mountain View,California,USA)を用いたGBR500血清濃度のノンコンパートメント(non−compartmental)解析によって特徴づけた。血管投与経路および血清マトリックスに基づいてモデルを選択した。パラメータを推定する目的のために、1日目の時間0における濃度を0と仮定した。投薬前の時点において得られた血清濃度値を、36日目の時間0における濃度を推定するために使用した。
【0234】
群4の回復動物について、半減期T1/2が、199〜316時間と推定され、分布容積Vzが、10.1〜23.6mL/kg、クリアランスCLが、0.03〜0.60mL/時/kgと推定された。VzおよびCLの推定値から、GBR500が、血漿を超えて分布されず、血漿から非常にゆっくりとクリアランスされることが示唆された。図10Aおよび10Bは、雄および雌サルに対する100mg用量群の濃度曲線を示している。
【0235】
実施例7
ヒト線維肉腫細胞株上で発現されているヒトα2インテグリンとヒトコラーゲンとの相互作用を阻害する際の抗α2インテグリン抗体の力価のインビトロ評価
材料および方法
フローサイトメトリーおよびコラーゲン結合阻害アッセイを、実施例1に記載したように行った。線維肉腫細胞株HT−1080を本実験に使用した(表13)。SK−BR−3について記載したように、HT−1080をトリプシン処理することによりフローサイトメトリー用の細胞を調製した。
【0236】
【表13】
結果
【0237】
【表14】
HT−1080によるVLA−2発現は、高かった。
【0238】
コラーゲン結合アッセイ
【0239】
【表15】
GBR500およびTMC−2206は、ヒトコラーゲンIへのHT−1080細胞の結合を阻害した。
【0240】
結論
線維肉腫細胞株HT−1080上のα2インテグリン発現を、蛍光標識されたGBR500抗体を用いて検出した。VLA−2発現レベルは、高い。VLA−2陽性細胞株HT−1080は、ヒトコラーゲンI型に接着した。この結合は、VLA−2抗体であるGBR500およびTMC−2206によって阻害された。
【0241】
実施例8
nu/nu無胸腺マウスにおけるHT−1080線維肉腫異種移植片に対するGBR500の作用
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0242】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、4つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表16に記載されるレジメンに従って、処置を開始した。
【0243】
【表16】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0244】
腫瘍:
HT−1080線維肉腫細胞株(ATCC(登録商標)番号:CCL−121)を使用した。HT−1080異種移植片由来の腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、約300mm3だった。
【0245】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0246】
【数4】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0247】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0248】
結果および結論:
抗体を2回投与した後の11日目において、Avastinによって、腫瘍の重量がコントロールに対して31.6%減少した。Ha1/29 5mg/GBR500 5mgの併用によって、腫瘍重量が3.5%減少し、Ha1/29 5mg/GBR500 50mgの併用によって、腫瘍重量が27.7%減少した(表17)。
【0249】
【表17】
処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、癌の処置に関する。より詳細には、本発明は、α2β1インテグリンに対する抗体を投与することによって癌を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インテグリンα2β1(最晩期抗原2;VLA−2)は、血小板、血管内皮細胞、上皮細胞、活性化単球/マクロファージ、線維芽細胞、白血球、リンパ球、活性化好中球およびマスト細胞をはじめとした種々の細胞型上で発現する(Hemler,Annu Rev Immunol 8:365:365−400(1999);Wu and Santoro,Dev.Dyn.206:169−171(1994);Edelsonら、Blood.103(6):2214−20(2004);Dickesonら、Cell Adhesion and Communication.5:273−281(1998))。α2β1に対する最も代表的なリガンドとしては、コラーゲンおよびラミニンが挙げられ、この両方ともが、細胞外マトリックスに見られる。代表的には、α2インテグリンのIドメインは、二価カチオン依存的様式でコラーゲンに結合する一方、その同じドメインは、二価カチオン依存的機構と二価カチオン非依存的機構の両方でラミニンに結合する(Dickesonら、Cell Adhesion and Communication.5:273−281(1998))。α2β1インテグリンの特異性は、細胞型によって異なり、特定の細胞型についてコラーゲンレセプターおよび/またはラミニンレセプターとして働き、例えば、α2β1インテグリンは、血小板の場合はコラーゲンレセプターとして、そして内皮細胞の場合はラミニンレセプターとして知られている(Dickesonら、J Biol.Chem.272:7661−7668(1997))。エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン(endorepellin)および複数のコレクチンならびにC1q補体タンパク質もまた、α2β1インテグリンに対するリガンドである(Edelsonら、Blood 107(1):143−50(2006))。α2β1インテグリンは、サイトカイン発現の増加および増殖をもたらす、コラーゲン誘発血小板凝集、コラーゲン上の細胞遊走、コラーゲン線維の細胞依存的再編成ならびにコラーゲン依存的細胞応答(Gendron,J.Biol.Chem.278:48633−48643(2003);Andreasenら、J.Immunol.171:2804−2811(2003);Raoら、J.Immunol.165(9):4935−40(2000))、T細胞、マスト細胞および好中球の機能の局面(Chanら、J.Immunol.147:398−404(1991);Dustin and de Fougerolles,Curr Opin Immunol 13:286−290(2001),Edelsonら、Blood.103(6):2214−20(2004),Werrら、Blood 95:1804−1809(2000)、遅延型過敏(delayed type hyersensitivity)接触過敏症およびコラーゲン誘導関節炎の局面(de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000);Kriegelsteinら、J.Clin.Invest.110(12):1773−82(2002))、乳腺管形態形成(Keelyら、J.Cell Sci.108:595−607(1995);Zutterら、Am.J.Pathol.155(3):927−940(1995))、上皮の創傷治癒(Pilcherら、J.Biol.Chem.272:181457−54(1997))、ならびにVEGF誘導血管新生に関連するプロセス(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002))をはじめとしたいくつかの生物学的および病理学的プロセスに関わっている。
【0003】
インテグリン/リガンド相互作用は、炎症組織への白血球の血管外遊出を促進し得(Jacksonら、J.Med.Chem.40:3359−3368(1997);Gadekら、Science 295(5557):1086−9(2002),Sircarら、Bioorg.Med.Chem.10:2051−2066(2002))、炎症部位における炎症促進性細胞の遊走、動員および活性化をはじめとした、炎症性刺激に応答して循環から組織に初めて白血球が血管外遊出した後の下流の事象に関与し得る(Eble J.A.,Curr.Phar.Des.11(7):867−880(2005))。α2β1インテグリンを阻止するいくつかの抗体が、遅延過敏症応答に対して影響を示し、ならびに関節リウマチのマウスモデルおよび炎症性腸疾患のモデルにおいて有効性を示すと報告され(Kriegelsteinら、J.Clin.Invest.110(12):1773−82(2002);de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000)、また、インビトロにおいて内皮細胞の増殖および遊走を弱めると報告された(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002)ことから、α2β1インテグリンを阻止することにより、様々な癌に認められるような異常な血管新生または正常より多い血管新生が予防/阻害され得ると示唆される。
【0004】
α2β1インテグリンは、血小板上で発現する唯一のコラーゲン結合インテグリンであり、コラーゲンへの血小板の接着および止血にいくらか関与するとみられている(Grunerら、Blood 102:4021−4027(2003);Nieswandt and Watson,Blood 102(2):449−461(2003);Santoroら、Thromb.Haemost.74:813−821(1995);Siljanderら、Blood 15:1333−1341(2004);非特許文献1)。さらに、血小板α2β1は、血小板凝集物のサイズの制御に関与し得る(Siljanderら、Blood 103(4):1333−1341(2004))。
【0005】
α2β1インテグリンは、内皮細胞上に発現するラミニン結合インテグリンとしても示されている(Languinoら、J Cell Bio.109:2455−2462(1989))。内皮細胞は、インテグリン媒介性のメカニズムによってラミニンに付着すると考えられているが、しかしながら、α2のIドメインが、内皮細胞との相互作用の媒介に関わるリガンド特異的配列として機能し得ると示唆されている(Bahouら、Blood.84(11):3734−3741(1994))。
【0006】
血小板上のα2β1インテグリンを含むα2β1インテグリンに結合する治療用抗体は、出血性合併症をもたらし得ると予想される。例えば、GPIb(非特許文献1)またはGP IIb/IIIa(非特許文献2、Nieswandt and Watson,Blood 102(2):449−461(2003),Merliniら、Circulation 109:2203−2206(2004))などの他の血小板レセプターを標的化する抗体は、血小板減少症に関連するが、この背景にあるメカニズムは、十分に理解されていない。血小板レセプターに抗体が結合することによって、その3次元構造が変化し、通常は露出していないエピトープが露出し、そして血小板が排除され得るという仮説が立てられている(Merliniら、Circulation 109:2203−2206(2004)。実際に、経口投与のGP IIa/IIIbアンタゴニストに関連する出血性合併症が、このクラスの化合物の「影の側面」として報告されている(Bhatt and Topol,Nat.Rev.Drug Discov.2(1):15−28(2003))。
【0007】
抗ヒトα2β1インテグリン阻止抗体BHA2.1が、Hanganらによって初めて報告された(非特許文献3)。他の抗α2β1インテグリン抗体(例えば、商業的に入手可能な抗体AK7(Mazurovら、Thromb.Haemost.66(4):494−9(1991)、P1E6(Waynerら、J.Cell Biol.107(5):1881−91(1988))、10G11(Giltayら、Blood 73(5):1235−41(1989)およびA2−11E10(Bergelsonら、Cell Adhes.Commun.2(5):455−64(1994))も知られており、インビトロにおいて使用されている。Hanganら(非特許文献3)は、BHA2.1抗体をインビボにおいて使用して、肝臓におけるヒト腫瘍細胞の血管外遊出に対するα2β1インテグリンの機能を阻止する効果およびこれらの腫瘍細胞が抗体処置下において転移巣を発生する能力を研究した。ラットおよびマウスのα2β1インテグリンに特異的なHa1/29抗体(Mendrick and Kelly,Lab Invest.69(6):690−702(1993))は、LCMVウイルス活性化後のT細胞上のα2β1インテグリンのアップレギュレーションを研究するため(Andreasenら、J.Immunol.171:2804−2811(2003))、SRBC誘発遅延型過敏応答およびFITC誘導接触型過敏症応答ならびにコラーゲン誘導関節炎を研究するため(de Fougerollesら、J.Clin.Invest.105:721−720(2000))、VEGFによって制御される血管新生におけるα2β1インテグリンの役割を研究するため(Sengerら、Am.J.Pathol.160(1):195−204(2002);Sengerら、PNAS 94(25):13612−7(1997))、および血小板活性化因子(PAF)に応答したPMN移動におけるα2β1インテグリンの役割を研究するために(Werrら、Blood 95:1804−1809(2000))インビボにおいて使用された。
【0008】
上に記載したようなマウスモノクローナル抗体をヒト治療薬として非免疫不全患者において使用することは、投与されるマウス抗体に対する強い免疫応答(特に反復投与において)を理由に制限される。この応答は、循環中のマウス抗体の有効な半減期を短縮し得るだけでなく、深刻な注射部位反応および/またはアナフィラキシー反応をもたらし得る(Shawlerら、J.Immunol.135(2):1530(1985))。さらに、定常領域(Fc)に関連するげっ歯類のエフェクター機能は、ヒトに投与されたとき、ヒト対応物よりもかなり効果が弱く、潜在的に望ましい補体活性化および抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性が失われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Vanhoorelbekeら、Curr.Drug Targets Cardiovasc.Haematol.Disord.(2003)3(2):125−40
【非特許文献2】Schellら、Ann.Hematol.(2002)81:76−79
【非特許文献3】Hanganら、Cancer Res.(1996)56:3142−3149
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、癌を処置するためにヒト化抗アルファ2(α2)インテグリン抗体を使用する方法に関する。特に、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫(squamous carcinoma)を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌(cervical cancer)、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL(high grade small non−cleaved cell NHL);巨大病変(bulky disease)NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するために有効なアプローチを提供する。本発明は、α2β1インテグリンに特異的に結合する抗アルファ2(α2)インテグリン抗体が、抗VEGF抗体に匹敵する程度に腫瘍成長を阻害するという予想外の結果に基づく。VEGF因子は、インテグリン(例えば、血管上のα1β1、α2β1、α4β1、α5β1およびαvβ3ならびにリンパ管上のα4β1、α9β1、α2β1およびα1β1)の発現を活性化するかまたはアップレギュレートする(Avraamidesら、Nat Rev Cancer.2008 Aug;8(8):604−17)。ゆえに、α2β1の拮抗作用だけが、VEGF抗体による処置と同様の結果をもたらすことは、驚くべきことである。
【0011】
したがって、1つの局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与する工程を包含する。
【0012】
別の局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体、および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含する。治療的に使用するための組成物は、滅菌され得、凍結乾燥され得る。
【0013】
別の局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、その方法は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体、および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含し、その投与レジメンは、2週間ごとに1回である。
【0014】
なおもさらなる局面において、本発明は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための方法において使用するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、または前記ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を提供する。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、ヒト患者における扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するためのキットを提供し、そのキットは、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体を含むヒト化抗α2インテグリン抗体組成物、および前記処置のために前記ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用するための指示書を含むパッケージを備える。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、容器、ならびに扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための前記ヒト化抗α2インテグリン抗体の使用を示しているラベルを備える製品を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態において、上記抗α2インテグリン抗体は、1つ以上のヒト定常領域(例えば、CLおよび/またはCH)、ならびに配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および/もしくは配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域またはそれらのアミノ酸配列バリアントを含む。その抗体の様々な形態が、本明細書中で企図される。例えば、その抗α2インテグリン抗体は、完全長抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域を含む)または抗体フラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2またはFab’またはFvまたはscFvフラグメント)であり得る。さらに、その抗体は、検出可能な標識で標識され得、固相上に固定化され得、そして/または異種化合物(例えば、細胞傷害性薬剤)と結合体化され得る。
【0018】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含む。
【0019】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位は、Thrであり、そして/または31位は、Asnである。
【0020】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位は、Lysであるか、(b)73位は、Asnであるか、(c)78位は、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである。
【0021】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
さらなる実施形態において、上述の重鎖可変領域は、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域はさらに、アミノ酸配列WGQGTLVTVSS(配列番号13)を含むFW4領域を含む。
【0024】
ある実施形態において、上述の重鎖可変領域は、HCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)およびHCDR3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、配列番号187を含む重鎖を含む。
【0026】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含む。
【0027】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)は、グルタミン(Q)によって置き換えられている。
【0028】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位は、Pheであるか、(b)45位は、Lysであるか、(c)48位は、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである。
【0029】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域はさらに、アミノ酸配列FGQGTKVEIK(配列番号38)を含むFW4領域を含む。
【0032】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、LCDR1(配列番号4)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0033】
ある実施形態において、上述の軽鎖可変領域は、LCDR1(配列番号112)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0034】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、配列番号188を含む軽鎖を含む。
【0035】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSWNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0036】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0037】
さらなる実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0038】
(a)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含むか、(b)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含むか、または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0039】
(a)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位は、Thrであり、そして/または31位は、Asnであるか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)は、グルタミン(Q)によって置き換えられているか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0040】
(i)重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位は、Lysであるか、(b)73位は、Asnであるか、(c)78位は、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;(ii)軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位は、Pheであるか、(b)45位は、Lysであるか、(c)48位は、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;または(iii)(i)と(ii)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0041】
(a)重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0042】
(a)重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0043】
ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0044】
ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号174または配列番号176を含む重鎖および配列番号178を含む軽鎖を含む、ヒト化抗α2インテグリン抗体を含む上述の方法もまた提供される。
【0045】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、ヒトα2インテグリンのIドメインを認識する。
【0046】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、α2β1インテグリンに結合する。
【0047】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、α2インテグリンのエピトープに結合し、そのエピトープは:
(a)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の192位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の40位に対応するLys残基;
(b)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の225位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の73位に対応するAsn残基;
(c)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の241位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の89位に対応するGln残基;
(d)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の245位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の93位に対応するTyr残基;
(e)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の317位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の165位に対応するArg残基;
(f)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の318位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の166位に対応するAsn残基;または
(g)(a)〜(f)の任意の組み合わせ
を含む。
【0048】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、完全長抗体である。
【0049】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、抗原結合フラグメントである。
【0050】
ある実施形態において、上述のヒト化抗α2インテグリン抗体は、α2β1インテグリンリガンドへのα2またはα2β1インテグリンの結合を阻害する。
【0051】
ある実施形態において、上述のα2β1インテグリンリガンドは、コラーゲン、ラミニン、エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン、コレクチンおよびC1q補体タンパク質から選択される。
【0052】
実施形態において、上述の方法は、(a)血小板活性化、(b)血小板凝集、(c)循環血小板数の減少、(d)出血性合併症、または(e)(a)〜(d)の任意の組み合わせを伴わない。
【0053】
ある実施形態において、上述の抗α2インテグリン抗体は、ヒトα2β1インテグリンまたはそのIドメインへの、配列番号19のUL領域および配列番号21のVH領域を含む抗体の結合を競合的に(competively)阻害する。
【0054】
好ましい抗体は、ヒトα2β1インテグリンのIドメインに結合する。特に、好ましい抗体は、細胞外マトリックス(ECM)、特に、コラーゲンおよびラミニンの少なくとも一方または両方への、細胞のα2依存性接着を阻止することができる。本明細書中でTMC−2206と呼ばれる抗体に基づく抗体を含むヒト化抗体が提供される。ヒトα2β1インテグリンに高度に特異的である抗α2インテグリン抗体が提供され、その抗体の投与は、出血性合併症または細胞の活性化に起因する合併症などの望まれない作用を伴わない。これらの抗体の結合特異性(例えば、エピトープ特異性)は、予想外の非出血性プロファイルに関連する。
【0055】
本発明において使用されるヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、HCDR1(GFSLTNYGIH;配列番号1)および/またはHCDR2(VIWARGFTNYNSALMS;配列番号2)および/またはHCDR3(ANDGVYYAMDY;配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し得る。このヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、LCDR1(SANSSVNYIH;配列番号4またはSAQSSVNYIH;配列番号112)および/またはLCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および/またはLCDR3(QQWTTNPLT;配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有し得る。ある特定の実施形態において、ヒト化抗α2β1インテグリン抗体は、HCDR1(GFSLTNYGIH;配列番号1)および/またはHCDR2(VIWARGFTNYNSALMS;配列番号2)および/またはHCDR3(ANDGVYYAMDY;配列番号3)を含む重鎖、ならびにLCDR1(SANSSVNYIH;配列番号4またはSAQSSVNYIH;配列番号112)および/またはLCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および/またはLCDR3(QQWTTNPLT;配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。他の実施形態において、上記抗体は、そのようなCDRの1つ以上のアミノ酸配列バリアントを含み、そのバリアントは、CDR残基内のもしくはCDR残基に近接する1つ以上のアミノ酸挿入、および/またはCDR残基内のもしくはCDR残基に近接する欠失、および/またはCDR残基の置換(置換は、そのようなバリアントを生成するために好ましいタイプのアミノ酸変更を含む)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1:免疫不全雌BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスにおけるAsPC−1ヒト膵癌異種移植片の成長に対するGBR500の作用。
【図2】図2:nu/nu無胸腺マウスにおけるHT29ヒト結腸癌腫異種移植片に対するGBR500の作用。
【図3】図3:ヒト細胞株におけるCD49bおよびGAPDHの発現のウエスタンブロット解析。
【図4】図4:染色されたHT1080細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図5】図5:染色されたBxPC−3細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図6】図6:染色されたMIA PaCa2細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図7】図7:染色されたHT−29細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図8】図8:染色されたSW480細胞株の共焦点顕微鏡像。
【図9】図9:nu/nu無胸腺マウスにおけるA549非小細胞肺癌異種移植片に対するGBR500の作用。
【図10】図10Aおよび10B:雄および雌サルに対するGBR500 100mg用量群の濃度曲線。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト化抗体を含む、ヒトアルファ2(α2)インテグリンと特異的に反応性である抗体を用いて、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供する。そのヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域(FW)、および非ヒト抗体由来、代表的には、ヒトα2インテグリンと特異的に反応性であるマウス抗体由来の相補性決定領域(CDR)を有し得る。好ましい実施形態において、CDR領域の1つ以上は、BHA2.1ハイブリドーマ(Hanganら、Cancer Res.,56(13):3142−9(1996))によって分泌されたマウス抗体に由来するか、または基づく。この抗体は、ヒトおよびラットα2β1インテグリンに結合するが、マウスの対応物には結合しない。BHA2.1ハイブリドーマによってそのように産生された抗体は、本明細書中でTMC−2206と呼ばれ、Chemicon(現在はMilliporeの一部、カタログ番号MAB1998)から商業的に入手可能である。本明細書中に開示される抗体と類似の結合特性を有する抗体および類似の機能性を有する抗体(または他のアンタゴニスト)を用いて、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法がさらに提供される。好ましい抗α2インテグリン抗体としては、(a)α2インテグリンのIドメインに結合する抗体、(b)α2インテグリンの機能(例えば、コラーゲンまたはラミニンへの結合)を阻害する抗体、(c)血小板活性化を誘導せずに休止(resting)血小板上のα2インテグリンに結合する抗体、および(d)TMC−2206の結合エピトープを認識する抗体(例えば、α2インテグリンへの結合についてTMC−2206と競合する抗体)が挙げられる。そのような抗体は、リガンド結合部位に対して競合せずに、標的α2インテグリン分子の不活性な立体配座または閉じた立体配座に優先的に結合し得る。α2β1インテグリンの閉じた立体配座に優先的に結合するおよび/またはリガンド結合部位に対して競合せずにα2β1インテグリンに結合する(例えば、リガンド模倣物でない)本明細書中に記載されるような抗α2インテグリン抗体の長所としては、処置される被験体において、潜在的な血小板活性化、血小板凝集、循環血小板数の減少および/または出血性合併症を予防することが挙げられる。
【0058】
「出血性合併症」は、本明細書中で使用されるとき、抗α2インテグリン抗体の治療的な使用を制限する、血小板血栓応答(platelet thrombotic responses)、血小板減少症、凝固までの長い時間、長い出血時間および血液損失を含む、血中濃度および生理学に対する任意の有害作用のことを指す。
【0059】
α2β1インテグリンは、アルファインテグリンのファミリー由来のα2インテグリンサブユニット(例えば、ヒトα2のDNA配列については配列番号7およびタンパク質配列については配列番号8を参照のこと)、およびベータインテグリンのファミリー由来のβ1インテグリンサブユニット(例えば、ヒトβ1のDNA配列については配列番号9およびタンパク質配列については配列番号10を参照のこと)から構成される分子であり、哺乳動物を含む任意の被験体由来のものであり得るが、好ましくは、ヒト由来である。α2β1インテグリンは、任意の天然の起源から精製され得るか、または合成的に生成され得る(例えば、組換えDNA技術を使用することによって)。α2インテグリンおよびβ1インテグリンに対する核酸コード配列は、それぞれ、Takada and Hemler J.Cell Biol.109(1):397−407(1989;GenBank寄託X17033;その後、エントリーNM002203に更新)およびArgraves,W.S,J.Cell.Biol.Sep 105(3):1183−90(1987;Genbank寄託X07979.1および選択的スプライスされたバリアントである関連配列)に記載されている。
【0060】
α2β1インテグリン分子の「I」ドメインとは、α2サブユニット内のα2β1インテグリン分子の領域のことを指し、例えば、Kamataら、J Biol.Chem.269:9659−9663(1994);Emsleyら、J.Biol.Chem.272:28512(1997)およびCell 101:47(2000)に記載されている。α2インテグリンのヒトIドメインのアミノ酸配列は、配列番号11として記載されている(例えば、配列番号107もまた参照のこと)。α2インテグリンのIドメインは、リガンド結合を支持する所与の二価カチオンについての必要条件および特異性を有する、MIDASタイプのリガンド結合部位(金属イオン依存性接着部位)を含む。ラットにおけるα2インテグリンのIドメインに対するアミノ酸配列は、配列番号93(例えば、配列番号113もまた参照のこと)として示されており、マウスにおけるアミノ酸配列は、配列番号94(例えば、配列番号114もまた参照のこと)として示されている。カニクイザルおよびアカゲザルのIドメイン配列は、全血由来の白血球画分からクローン化され、それぞれ、カニクイザルに対しては配列番号103(DNA)、配列番号171(アミノ酸)およびアカゲザルに対しては配列番号104(DNA)、配列番号172(アミノ酸)に提供されている。
【0061】
TMC−2206(BHA2.1)エピトープとは、TMC−2206抗体が結合するヒトα2インテグリンのIドメインの領域のことを指す。このエピトープは、結合性に寄与するアミノ酸残基K40、N73、Q89、Y93、R165およびN166、ならびに必要に応じて、WO2007/056858に記載されているようなα2インテグリンIドメインの他のアミノ酸残基を含む127アミノ酸の領域に及ぶ。
【0062】
用語「癌」とは、代表的には、制御されていない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態のことを指すか、または記載する。良性および悪性の癌、転移性の(metatstatic)癌ならびにアデノーマまたは腺癌は、この定義に含まれる。「腫瘍」とは、悪性であるか良性であるかを問わずすべての新生物の細胞成長および増殖、ならびにすべての前癌性および癌性の細胞および組織のことを指す。「良性の腫瘍」または「良性の癌」とは、発生部位に局在したままであり、かつ浸潤する能力、侵入する能力、または遠位の部位に転移する能力を有しない、腫瘍のことを指す。「悪性腫瘍」とは、その周囲の他の組織に侵入し、損傷する腫瘍のことを指す。癌の処置とは、本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の治療的な使用と、予防的または防止的な使用の両方のことを指す。処置の必要な者としては、すでに癌と診断された者ならびにその障害の発生が予防されるべきかまたは遅延されるべき者が挙げられる。
【0063】
癌は、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択され得る。好ましくは本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体を用いて処置される癌は、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫(carcinoid carcinoma)、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される。本発明の処置によって改められる(amendible)癌性状態には、転移性癌が含まれる。したがって、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、なおもさらに好ましい。非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、特に好ましい。非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、より特に好ましい。膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される癌が、なおもより特に好ましい。膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される癌が、最も特に好ましい。膵癌、乳癌または転移性乳癌が、最も好ましく、膵癌が特に好ましい。本明細書中で言及されるような「乳癌」には、乳腺腺癌が含まれる。本発明の方法は、血管新生が起きた腫瘍の処置に特に適している。
【0064】
被験体(処置の目的のものを含む)とは、ヒト、家庭内の動物および家畜、ならびに動物園の動物、競技用動物またはペット動物(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)を含む哺乳動物として分類される任意の動物のことを指す。好ましくは、被験体は、ヒトである。
【0065】
抗体または免疫グロブリンという用語は、最も広い意味において使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、および抗体フラグメントを包含する。抗体フラグメントは、完全長抗体の一部、一般に、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、鎖状抗体、一本鎖抗体分子、単一ドメイン抗体(例えば、ラクダ科由来のもの)、サメNAR単一ドメイン抗体、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体フラグメントは、CDRまたは抗原結合ドメイン(VH領域(VH、VH−VH)、アンチカリン(anticalins)、PepBodiesTM、抗体−T細胞エピトープ融合物(Troybodies)またはペプチボディ(Peptibodies)を含むがこれらに限定されない)を含む結合部分のことも指し得る。「抗体フラグメント」と「抗原結合フラグメント」とは、同じ意味を有し、本明細書中で等しく使用される。
【0066】
モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体のことを指し、例えば、その集団を構成する個別の抗体は、微量存在し得る天然に存在するあり得る変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して産生されたものである。さらに、代表的には抗原上の様々な決定基(例えば、エピトープ)に対して産生された様々な抗体を含む従来の(例えば、ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の少なくとも単一の決定基に対して産生される。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な集団の抗体から得られているという抗体の特徴を指し、その抗体が任意の特定の方法によって産生される必要があると解釈されるべきでない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256:495(1975)によった初めて報告されたハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、例えば、Clacksonら、Nature 352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載されているような手法を用いて、ファージ抗体ライブラリーからも単離され得る。モノクローナル抗体は、米国特許第6,025,155号および同第6,077,677号、ならびに米国特許出願公開番号2002/0160970および同2003/0083293に記載されている手法を用いても単離され得る(例えば、Lindenbaumら、Nucleic Acids Research 32(21):0177(2004)もまた参照のこと)。
【0067】
モノクローナル抗体は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同であり、残りの鎖が、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同である、キメラ抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントを含み得る(例えば、米国特許第4,816,567号;およびマウス−ヒトキメラ抗体については、Morrisonら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 81:6851−6855(1984)を参照のこと)。
【0068】
超可変領域とは、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基のことを指す。超可変領域は、相補性決定領域由来またはCDR由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、および/または超可変ループ由来の残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。フレームワーク残基またはFR残基は、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。本明細書中に記載される抗体について、CDR領域およびフレームワーク領域は、重鎖のCDR1が、Oxford MolecularのAbMの定義によって残基26〜35に及ぶと定義されることを除いて、Kabatナンバリングシステムに基づいて同定される。Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(http://people.cryst.cck.ac.uk/〜ubc07s/)(Martinら、Proc.Natl Acad.Sci.USA,86,9268−9272(1989);Martinら、Methods Enzymol.,203,121−153(1991);Pedersenら、Immunomethods,1,126(1992);およびReesら、Sternberg M.J.E.(ed.),Protein Structure Prediction.Oxford University Press,Oxford,141−172.(1996))は、Kabat CDRナンバリングシステムとChothia超可変領域ナンバリングシステムとを組み合わせて、CDRを定義している。
【0069】
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体であり得る。ヒト化抗体は、ほとんどの部分について、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体またはアクセプター抗体)であり、その中で、レシピエントの超可変領域残基は、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類)由来の超可変領域残基によって置き換えられている。さらに、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基の個別の残基または群は、対応する非ヒト残基によって置き換えられてもよい。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。これらの改変が行われることにより、抗体の性能がさらに洗練される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、代表的には2つの可変領域またはドメインの実質的にすべてを含み、ここで、超可変ループのすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部も含む(例えば、Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029(1989)およびFoote and Winter,J.Mol.Biol.224:487(1992)を参照のこと)。
【0070】
一本鎖FvまたはscFv抗体フラグメントは、抗体のVH領域およびVL領域またはVHドメインおよびVLドメインを含み得、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、Fvポリペプチドはさらに、scFvが抗原結合のために所望の構造を形成することができるポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間に含む(概説として、例えば、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)中のPluckthunを参照のこと)。
【0071】
ダイアボディとは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメントのことを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖の上のそれらの2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、それらのドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対形成をせざるを得ず、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)により十分に記載されている。
【0072】
鎖状抗体とは、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)に記載されているような抗体などの抗体のことを指す。簡潔には、これらの抗体は、抗原結合領域の対を形成するタンデム型のFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む。鎖状抗体は、二重特異的または単一特異的であり得る。
【0073】
単離された抗体とは、同定された抗体、ならびにその天然の環境の成分から分離されたおよび/または回収された抗体のことを指す。その天然の環境の夾雑物成分は、その抗体に対する診断的または治療的な使用を干渉し得る材料であり、それらとしては、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が挙げられ得る。好ましい実施形態において、その抗体は、(1)Lowry法によって測定されるとき、95重量%超、最も好ましくは、99重量%超の抗体にまで、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度にまで、または(3)クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いて、還元条件下または非還元条件下のSDS−PAGEによって均一なまで、精製される。単離された抗体は、その抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないことを理由に、組換え細胞内の原位置における抗体を含む。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0074】
エピトープタグ化抗体とは、本発明の抗体がエピトープタグに融合されている抗体のことを指す。そのエピトープタグポリペプチドは、抗体を生成し得るエピトープを提供するのに十分な残基を有するが、抗α2β1インテグリン抗体の活性を干渉しないように十分短い残基を有する。エピトープタグは、好ましくは、それに対する抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しない、十分に独特のものである。適当なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6アミノ酸残基、通常、約8〜50アミノ酸残基(好ましくは、約9〜30残基)を有する。例としては、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Fieldら、Mol.Cell.Biol.8:2159−2165(1988));c−mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evanら、Mol.Cell.Biol.5(12):3610−3616(1985));ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547−553(1990))が挙げられる。ある特定の実施形態において、エピトープタグは、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のインビボ血清半減期の延長に関与するそのIgG分子のFc領域のエピトープであるサルベージレセプター(salvage receptor)結合エピトープである。
【0075】
細胞傷害性薬剤とは、細胞の機能を阻害するかもしくは妨げる、および/または細胞の破壊を引き起こす、物質のことを指す。これは、放射性同位体(例えば、131I、125I、90Yおよび186Re)、化学療法剤およびトキシン(例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性なトキシンまたはそのフラグメント)を含み得る。非細胞傷害性薬剤とは、細胞の機能を阻害しないかもしくは妨げない、および/または細胞の破壊を引き起こさない、物質のことを指す。非細胞傷害性薬剤は、細胞傷害性になるように活性化され得る薬剤を含み得る。非細胞傷害性薬剤としては、ビーズ、リポソーム、マトリックスまたは粒子が挙げられ得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、米国特許公報2003/0028071および同2003/0032995を参照のこと)。そのような薬剤は、本明細書中に記載されるような抗α2β1インテグリン抗体と結合体化され得るか、結合され得るか、連結され得るか、または会合され得る。
【0076】
化学療法剤とは、癌の処置において有用な化合物のことを指す。化学療法剤の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン(Cytoxin)、タキソール、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン(Vincreistine)、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン(Carminomycin)、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(Esperamicins)(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファランおよび他の関連するナイトロジェンマスタードが挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
プロドラッグとは、腫瘍細胞に対して親薬物よりも細胞傷害性でない薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体の形態のことを指し、酵素的に活性化されるかまたはより活性な親の形態に変換されることができる(例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)およびStellaら、“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardtら(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照のこと。プロドラッグとしては、より活性な細胞傷害性の遊離薬物に変換され得る、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸改変プロドラッグ、グリコシル化されたプロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、必要に応じて置換されるフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは必要に応じて置換されるフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない(include、but are mot limited to)。プロドラッグ型に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例は、上に記載された化学療法剤であり得る。
【0078】
標識とは、抗体に直接または間接的に結合体化されるまたは結合される検出可能な化合物または組成物のことを指す。標識は、それ自体によって検出可能であり得るか(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学変化を触媒し得る。
【0079】
固相とは、本発明の抗体が接着し得る非水性マトリックスのことを指す。本明細書中で包含される固相の例としては、ガラス(例えば、コントロールドポアガラス(controlled pore glass))、多糖類(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコールおよびシリコーンから部分的または全体的に形成されるものが挙げられる。ある特定の実施形態において、固相は、文脈に応じて、アッセイプレートのウェルを含み得る;他では、固相は、精製カラム(例えば、アフィニティークロマトグラフィカラム)である。この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されているものなどの、別々の粒子の不連続な固相も含む。
【0080】
用語「2週間ごとに1回の用量(dosis)レジメン」、「2週間ごとに1回の投薬」および「2週間ごとに1回の投与」は、本明細書中で使用されるとき、治療的な目的(例えば、癌の処置)を達成するために物質(例えば、抗α2インテグリン抗体)を被験体に投与する時間経過のことを指す。2週間ごとに1回の投薬レジメンは、毎週の投薬レジメンを含むと意図されない。好ましくは、その物質は、9〜19日ごと、より好ましくは、11〜17日ごと、なおもより好ましくは、13〜15日ごと、最も好ましくは、14日ごとに投与される。
【0081】
リポソームとは、哺乳動物への薬物(例えば、本発明の抗体、および必要に応じて、化学療法剤)の送達のために有用な、様々なタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性物質から構成される小さいベシクルのことを指す。リポソームの構成要素は、通常、生物学的膜の脂質配置と類似の二重層を形成するように配置されている。
【0082】
単離された核酸分子とは、同定され、抗体核酸の天然の起源において通常関連する少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離された核酸分子のことを指す。単離された核酸分子は、天然に見られる形態または境遇以外のものである。ゆえに、単離された核酸分子は、天然の細胞に存在するときの核酸分子と区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、その核酸分子が、天然の細胞の染色体位置と異なる染色体位置に存在する場合、その抗体を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。
【0083】
ウイルスベクターとは、ウイルスの感染または形質導入を介して核酸(例えば、DNAまたはRNA)を細胞に移動させるためのビヒクルのことを指す。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルスおよびバキュロウイルスが挙げられる。
【0084】
非ウイルスベクターとは、非ウイルス的な方法(例えば、エレクトロポレーション、注入およびカチオン試薬媒介性のトランスフェクション)によって細胞に送達される核酸ビヒクル(例えば、CAN、プラスミドまたは染色体)のことを指す。
【0085】
発現調節配列とは、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列のことを指す。原核生物に適した調節配列としては、例えば、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用すると知られている。
【0086】
核酸は、それが、別の核酸配列と機能的な関係性に置かれるとき、作動可能に連結される。例えば、プレ配列または分泌リーダーに対するDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、そのポリペプチドに対するDNAに作動可能に連結されるか;プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響する場合、そのコード配列に作動可能に連結されるか;またはリボソーム結合部位は、それが、翻訳を促進するように位置している場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は、連続的であり、分泌リーダーの場合、連続的であり、かつ、読み枠(reading phase)内である。しかしながら、エンハンサーは、連続的でなくてもよい。連結は、好都合な制限酵素認識部位におけるライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣例に従って使用される。
【0087】
細胞と細胞株と細胞培養物とは、交換可能に使用されることが多く、そのように指摘されるもののすべてが、子孫を含む。形質転換体および形質転換された細胞(例えば、核酸、ベクター、ウイルスなどのトランスフェクション、形質転換または形質導入によって得られるもの)には、対象の初代細胞(primary subject cell)および継代数を問わずそれから得られる培養物が含まれる。また、すべての子孫が、故意または偶然の変異に起因して、正確に同じDNA含有量ではないかもしれないことが理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされるとき、同じ機能または生物学的活性を有する変異体の子孫が、含められる。異なる名称が意図される場合、それは、文脈から明らかになる。
【0088】
本明細書中に記載されるようなヒト化抗体は、ヒトアクセプター抗体分子に由来する可変領域フレームワーク、ドナーマウス抗体由来の超可変配列またはCDR配列、および存在する場合、ヒト配列に由来する定常領域を有する抗体を含む。
【0089】
マウスモノクローナル抗体クローンBHA2.1(Hanganら、Cancer Res.56:3142−3149(1996))の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の両方に由来するCDRを含む、本発明において使用されるヒト化抗体が、構築された。抗体を構築するための好ましい出発物質は、ヒトα2インテグリンに対する機能阻止抗体であり、結合および活性が、標的化されたα2インテグリン内のインタクトなIドメインの存在に依存する、BHA2.1ハイブリドーマによって分泌される抗体などの抗α2インテグリン抗体(例えば、TMC−2206)である。α2インテグリン分子の不活性な立体配座に結合し、そして/またはリガンド模倣物として作用しない抗体を含むTMC−2206(またはBHA2.1)のエピトープ特異性を有するヒト化抗体が、好ましい。TMC−2206(またはBHA2.1)のエピトープ特異性を有するヒト化抗体が好ましいが、それらは、インビボにおける治療用量を含む投与濃度で、白血球上と血小板上の両方に存在するα2β1インテグリンと相互作用し、血小板活性化を引き起こさず、コラーゲン上での活性化血小板の凝集を損ない、出血に対する最小の作用を有するかもしくは出血に対する作用を有さず、そして/または出血性合併症を伴わない。
【0090】
潜在的なアクセプター分子可変領域とマウス抗体の軽鎖可変領域との間の相同性の考慮すべき点に基づいて軽鎖可変領域に対するヒトアクセプター分子が選択された、抗体が構築され得る。生殖系列の候補のヒトアクセプター分子は、潜在的な抗原性を低下させるために好ましい。生殖系列データベースは、重鎖FW3領域の末端を通じて読まれ、部分的にCDR3配列に読まれる抗体配列で構成されている。FW4領域を選択する場合、選択された生殖系列分子が由来している成熟抗体配列のデータベースを検索することが好ましく、また、組換え抗体分子において使用するために適度に相同のFW4領域を選択することが好ましい。ヒトアクセプター分子は、好ましくは、マウスドナー分子と同じ軽鎖クラスおよびマウスドナー分子の可変領域と同じ基準の構造クラスから選択される。軽鎖可変領域についてヒトアクセプター分子を選択するために二次的に考慮することは、マウスドナー分子とヒトアクセプター分子とのCDRの長さの相同性を含む。ヒトアクセプター抗体分子は、好ましくは、V−BASEデータベースに対する相同性検索によって選択され、Kabatデータベースおよび公的なNCBIデータベースなどの他のデータベースも同様に使用してよい。TMC−2206と同じまたは類似のエピトープ特異性および/または機能特性を有するヒト化抗α2インテグリン抗体について、好ましい軽鎖ヒトアクセプター分子は、FW1〜3領域に対する生殖系列抗体配列A14を含む配列番号37、および成熟カッパー1軽鎖の通常のFW−4(例えば、軽鎖配列AAB24132(NCBIエントリーgi/259596/gb/AAB24132)であるFW4に対する配列FGQGTKVEIK(配列番号38)である。
【0091】
潜在的なアクセプター分子可変領域とマウス抗体の重鎖可変領域との間の相同性の考慮すべき点に基づいて重鎖可変領域に対するヒトアクセプター分子が選択された、抗体が構築され得る。生殖系列の候補ヒトアクセプター分子は、潜在的な抗原性を低下させるために好ましい。生殖系列データベースは、重鎖FW3領域の末端を通じて読まれ、部分的にCDR3配列に読まれる抗体配列で構成されている。FW4領域を選択する場合、選択された生殖系列分子が由来している成熟抗体配列のデータベースを検索することが好ましく、また、組換え抗体分子において使用するために適度に相同のFW4領域を選択することが好ましい。ヒトアクセプター分子は、好ましくは、マウスドナー分子と同じ重鎖クラスおよびマウスドナー分子の可変領域と同じ基準の構造クラスから選択される。重鎖可変領域についてヒトアクセプター分子を選択するために二次的に考慮することは、マウスドナー分子とヒトアクセプター分子とのCDRの長さの相同性を含む。ヒトアクセプター抗体分子は、好ましくは、V−BASEデータベースに対する相同性検索によって選択されるが、Kabatデータベースおよび公的なNCBIデータベースなどの他のデータベースも同様に使用してよい。TMC−2206と同じまたは類似のエピトープ特異性および/または機能特性を有する抗α2インテグリン抗体の場合、好ましい重鎖アクセプター分子は、FW1〜3領域(配列番号12)に対する生殖系列抗体配列4−59を有する配列番号39、およびFW4領域についての4−59生殖系列配列に由来する成熟抗体である抗体CAA48104.1(NCBIエントリー,gi/33583/emb/CAA48104.1)(配列番号13)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)である。
【0092】
非ヒトα2インテグリン抗体をヒト化するための方法は、当業者に公知であり、例えば、WO2007/056858に記載されている。抗α2インテグリン抗体をヒト化するために、免疫化からの調製によることまたは商業的に入手可能な抗体を購入することなどによって、非ヒト抗体出発物質を得る。本発明において使用される抗体を作製するための例示的な手法は、WO2007/056858に記載されている。
【0093】
抗体を作製するために使用されるα2β1インテグリン抗原は、例えば、可溶型のα2β1インテグリン、またはα2β1インテグリンの他のフラグメント(例えば、ヒトα2インテグリンIドメイン(配列番号11)を含むα2β1インテグリンフラグメント;例えば、配列番号107もまた参照のこと)であり得る。抗体を作製するために有用な、α2インテグリン配列(例えば、配列番号8におけるようなヒトα2インテグリン)に基づくα2インテグリンの他の形態が、当業者に明らかである。
【0094】
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連性のある抗原の、アジュバントありまたはなしでの複数の皮下(sc)、静脈内(iv)または腹腔内(ip)注射によって、動物において産生される。二官能性の薬剤または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合体化)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介するとき)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2またはR1N=C=NR(RおよびR1は、異なるアルキル基である)を用いて、免疫される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプシンインヒビター)に、関連性のある抗原を結合体化することが有用であり得る。
【0095】
抗原または免疫原性の結合体(例えば、ウサギの場合100μgまたはマウスの場合5μg)を3体積のフロイント完全アジュバントと混合し、その溶液を複数の部位の皮内に注射することによって、その抗原、免疫原性の結合体または誘導体に対して動物が免疫され得る。1ヶ月後、フロイント完全アジュバント中のその抗原または結合体(例えば、免疫するために使用した最初の量の1/5〜1/10)を、複数の部位における皮下注射によってその動物に追加免疫する。7〜14日後、その動物から採血し、抗体価について血清をアッセイする。力価がプラトーに達するまで、動物に追加免疫する。好ましくは、結合体の免疫の場合、同じ抗原であるが、異なるタンパク質に結合体化され、そして/または異なる架橋試薬を介して結合体化された結合体を用いて動物に追加免疫する。結合体は、タンパク質融合物として組換え細胞培養物においても作製され得る。また、ミョウバンなどの凝集剤も、免疫応答を高めるために適切に使用される。
【0096】
モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495(1975)によって初めて報告されたハイブリドーマ法を用いて作製されてもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第6,204,023号)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、米国特許第6,025,155号および同第6,077,677号ならびに米国特許出願公開番号2002/0160970および同2003/0083293に記載されている手法を用いても作製され得る(例えば、Lindenbaumら、Nucleic Acids Research 32(21):0177(2004)もまた参照のこと)。
【0097】
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物(例えば、ラット、ハムスターまたはサル)を免疫する(例えば、本明細書の上に記載したように)ことにより、免疫するために使用された抗原に特異的に結合する抗体を産生するかまたは産生することができるリンパ球が誘発される。あるいは、インビトロにおいてリンパ球を免疫してもよい。次いで、ポリエチレングリコールなどの適当な融合剤を用いて、リンパ球をミエローマ細胞と融合することにより、ハイブリドーマ細胞を形成する(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986)を参照のこと)。
【0098】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親ミエローマ細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含む適当な培養液中に播種し、生育する。例えば、親ミエローマ細胞が、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、そのハイブリドーマに対する培養液は、代表的には、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる物質である、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む(HAT培地)。
【0099】
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持する細胞であり、HAT培地などの培地に感受性である。これらのうち、好ましいミエローマ細胞株は、マウスのミエローマ系統(例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.USAから入手可能なMOP−21およびM.C.−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞)である。ヒトミエローマ細胞株およびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体を作製するために報告されている(例えば、Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0100】
ハイブリドーマ細胞を生育している培養液を、その抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA))によって測定される。
【0101】
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、Anal.Biochem.,107:220(1980)のScatchard解析によって測定され得る。
【0102】
所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、そのクローンは、限界希釈法によってサブクローン化され得、標準的な方法によって生育され得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。この目的に適した培養液としては、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。さらに、そのハイブリドーマ細胞は、腹水腫瘍として動物においてインビボで生育されてもよい。
【0103】
そのサブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製法(例えば、プロテインAクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析および/またはアフィニティークロマトグラフィを含む)によって培養液、腹水または血清から適切に分離される。
【0104】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、そのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として働く。そのDNAは、いったん単離されると、発現ベクターの中に入れられ得、次いで、それを、免疫グロブリンタンパク質を別途産生しない細胞を含む宿主細胞(例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはミエローマ細胞)にトランスフェクトすることにより、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体が合成される。抗体の組換え作製は、以下でさらに詳細に記載される。
【0105】
ある特定の実施形態において、特にヒト化抗体の結合親和性または他の生物学的特性を改善する場合、ヒト化抗体のアミノ酸配列バリアントを作製することが望ましい場合がある。
【0106】
ヒト化抗α2β1インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントは、適切なヌクレオチドの変更をヒト化抗α2β1インテグリン抗体DNAに導入することまたはペプチド合成によって調製される。そのようなバリアントとしては、例えば、抗α2インテグリン抗体TMC−2206について示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号19および21に示されるような可変領域配列に由来するかまたはその可変領域配列に基づくアミノ酸配列)内の残基からの欠失および/またはその残基への挿入および/またはその残基の置換が挙げられる。最終的な構築物が所望の特性を有するという条件で、その最終的な構築物に達するようにアミノ酸の欠失、挿入および置換の任意の組み合わせが行われる。このアミノ酸の変更は、ヒト化抗α2インテグリン抗体の翻訳後プロセスも変更し得る(例えば、グリコシル化部位の数または位置の変更)。
【0107】
ヒトまたはヒト様(例えば、「ヒト化」)の抗体を作製するために使用される方法がいくつか存在する。抗体をヒト化するアプローチは、長年にわたって変化してきた。1つのアプローチは、ヒト定常領域に融合されたマウス可変領域、いわゆる、マウス−ヒトFcキメラを作製することだった(例えば、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984);米国特許第5,807,715号を参照のこと)。別のアプローチは、CDRが超可変の性質(Kabatら、J.Biol.Chem.252:6609−6616(1977)),Kabat,Adv.Protein Chem.32:1−75(1978))および基準の構造(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(4):901−17(1987);Lazakaniら、J.Mol.Biol.272:929(1997)に基づいて容易に同定され得るという事実、および例えば、Jonesら、Nature 321(6069):522−5(1986)によって示されているように単にヒトフレームワーク(アクセプターフレームワークと呼ばれる)に非ヒトCDR領域(ドナーCDRと呼ばれる)を移植することによってCDRがヒト化され得るという事実を利用した;(例えば、米国特許第5,225,539号;米国特許第6,548,640号を参照のこと)。6つのCDRループは、群れを成して提供され、結晶学的解析に基づくと、CDRに近接するかまたは重鎖と軽鎖との界面におけるいわゆる「Vernier」ゾーン内の重要なフレームワーク残基は、容易に同定され得る(例えば、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(4):901−17(1987);Chothiaら、J.Mol.Biol.186(3):651−63(1985);Chothiaら、Nature 342(6252):877−83(1989)を参照のこと)。これらの残基は、マウス残基に復帰変異することにより、その6つのCDRの正しい相対的な向きを回復し得る(例えば、Verhoyenら、Science 239(4847):1534−6(1988);Reichmanら、Nature 332(6162):323−7(1988);Tempestら、Biotechnology(NY)9(3):266−71(1991)を参照のこと)。可変領域は、マウスとヒトとの間に比較的高い相同性を有するファミリーに分類され得るので(例えば、Pascual and Capra Adv.Immunol.49:1−74(1991)に概説されている)、これらの初期の研究は、ヒトアクセプター分子として使用するための、目的のマウス抗体と最も高い相同性を有するヒト生殖系列配列を選択することによって、移植された抗体では親和性が失われる可能性が最小になり得ることも示唆した(例えば、米国特許第5,225,539号;Verhoyenら、Science 239(4847):1534−6(1988)を参照のこと)。
【0108】
所与のタイプのCDRの基準の構造の正しい提示に影響するフレームワーク間のファミリー相同性および構造的関係性が報告されている(例えば、Al−Lazakaniら、J.Mol.Biol.273(4):927−48(1997)およびこの中の参考文献を参照のこと)。好ましくは、最も適合するヒトまたは生殖系列の配列が、選択される。抗体生殖系列配列の利用可能なデータベースを用いることにより、所与のマウスの重鎖および軽鎖のファミリーサブタイプが判定され得、そのヒトサブファミリー内のヒトアクセプターフレームワークとして有用な最も適合する配列が同定され得る。好ましくは、ドナーフレームワークとアクセプターフレームワークとの線状のアミノ酸相同性と、CDRの基準の構造との両方が、考慮される。
【0109】
ヒト化抗α2インテグリン抗体において置換され得る例示的な重鎖残基としては、以下のフレームワーク残基番号:H37、H48、H67、H71、H73、H78およびH91(Kabatナンバリングシステム)の任意の1つ以上が挙げられる。好ましくは、これらのフレームワーク残基のうちの少なくとも4つが、置換される。本明細書中で例示されるようなヒト化抗α2インテグリン抗体における重鎖に対して特に好ましい置換のセットは、H37、H71、H73およびH78である。同様に、軽鎖における残基もまた、置換され得る。置換に対する例示的な軽鎖残基としては、以下の残基番号:L1、L2、L4、L6、L46、L47、L49およびL71の任意の1つ以上が挙げられる。好ましくは、これらのフレームワーク残基のうちの少なくとも3つが、置換される。本明細書中で例示されるようなヒト化抗α2インテグリン抗体における軽鎖に対して特に好ましい置換のセットは、L2、L46およびL49である。
【0110】
突然変異誘発にとって好ましい位置である、ヒト化抗α2インテグリン抗体のある特定の残基または領域を同定するために有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる(例えば、Cunningham and Wells Science,244:1081−1085(1989)を参照のこと)。ここで、ある残基または標的残基の群が、特定され(例えば、荷電残基(例えば、arg、asp、his、lysおよびglu))、中性のアミノ酸または負に帯電したアミノ酸(好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられることにより、それらのアミノ酸とα2β1インテグリン抗原との相互作用が影響される。次いで、置換部位にさらなるまたは他のバリアントを導入することによって、置換に対する機能感受性を示すアミノ酸の位置が洗練される。したがって、アミノ酸配列バリエーションを導入するための部位は予め決定しているが、変異の性質自体は、予め決定している必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を解析するために、アラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発が、標的コドンまたは標的領域において行われ、発現されるヒト化抗α2インテグリン抗体バリアントが、所望の活性についてスクリーニングされる。
【0111】
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100またはそれ以上の残基を含むポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内の挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端のメチオニル残基を有するヒト化抗α2インテグリン抗体またはエピトープタグに融合された抗体が挙げられる。ヒト化抗α2インテグリン抗体分子の他の挿入バリアントは、ヒト化抗α2インテグリン抗体のN末端またはC末端への、抗体の血清半減期を延長する酵素またはポリペプチドの融合を含む(下記を参照のこと)。
【0112】
別のタイプのバリアントは、アミノ酸置換バリアントである。これらのバリアントは、ヒト化抗α2インテグリン抗体分子内に、除去されてその位置に異なる残基が挿入された、少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換の突然変異誘発に対して最も興味深い部位は、超可変ループを含むが、フレームワークの変更も企図される。抗原結合に関わる超可変領域残基またはフレームワーク残基は、一般に、比較的保存的な様式で置換される。そのような保存的置換は、下記の「好ましい置換」という見出しの下に示されている。そのような置換が、生物学的活性を変化させる場合、「例示的な置換」と称されるかまたはアミノ酸クラスに関して下記でさらに記載されるような、より実質的な変更が導入され、その生成物がスクリーニングされる。
【0113】
【数1】
本抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)例えば、シートまたはらせん状の立体配座のような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の大きさを維持することに対してその改変の影響が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる:(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2)中性の親水性:cys、ser、thr;(3)酸性:asp、glu;(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro;および(6)芳香族:trp、tyr、phe。
【0114】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。また、ヒト化抗α2インテグリン抗体の適切な立体配座(confirmation)の維持に関わらない任意のシステイン残基は、通常、セリンと置換されることにより、その分子の酸化的な安定性を改善し得、異所の架橋を妨げ得る。逆に、システイン結合が、その抗体に付加されることにより、その安定性が改善され得る(特に、その抗体が、Fvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合)。
【0115】
本抗体の別のタイプのアミノ酸バリアントは、本抗体のもとのグリコシル化パターンを変更するものである。変更とは、本抗体に見られる1つ以上の炭水化物部分を欠失すること、および/または本抗体に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。
【0116】
抗体のグリコシル化は、代表的には、N結合型またはO結合型である。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着のことを指す。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)が、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在することにより、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。O結合型グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの、糖であるN−アセチルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトースまたはキシロースのうちの1つの付着のことを指すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用してもよい。
【0117】
本抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、アミノ酸配列が、上に記載したトリペプチド配列の1つ以上を含むかまたは欠くように、そのアミノ酸配列を変更することによって便利良く達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。この変更は、もとの抗体の配列への、1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、それらによる置換、またはそれらの欠失によっても行われ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。ヒト化抗α2インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントをコードする核酸分子は、当該分野で公知の種々の方法によって調製される。これらの方法としては、天然の起源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列バリアントの場合)、またはヒト化抗α2インテグリン抗体の以前に調製されたバリアントまたは非バリアントバージョンの、オリゴヌクレオチド媒介性の(または部位特異的な)突然変異誘発、PCR突然変異誘発もしくはカセット突然変異誘発による調製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
通常、ヒト化抗α2インテグリン抗体のアミノ酸配列バリアントは、重鎖または軽鎖(例えば、それぞれ配列番号21または配列番号19におけるような可変領域配列)のもとのヒト化抗体アミノ酸配列と、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%を含む)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この配列に関する同一性または相同性は、本明細書中では、配列をアラインメントし、必要であれば、最大パーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部としていかなる保存的置換(上に記載したような)も考慮せずに、ヒト化抗α2インテグリン残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。本抗体の配列に対するN末端、C末端または内部の伸長、欠失または挿入は、配列同一性または相同性に影響すると解釈されないものとする。したがって、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置における類似度を比較するために通常使用される標準的な方法によって測定され得る。BLASTまたはFASTAなどのコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチドが、それぞれのアミノ酸の最適なマッチングについてアラインメントされる(一方または両方の配列の完全長にわたって、または一方または両方の配列の所定の部分にわたって)。これらのプログラムは、デフォルトのオープニングペナルティ(opening penalty)およびデフォルトのギャップペナルティ(gap penalty)を提供し、PAM250(標準的なスコア行列;Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure,vol 5,supp.3(1978)を参照のこと)などのスコア行列が、このコンピュータプログラムとともに使用され得る。例えば、同一性パーセントは:完全一致の総数に100を掛けて、一致した範囲内のより長い配列の長さと、2つの配列をアラインメントするためにより長い配列に導入されたギャップの数との合計で割ることとして計算され得る。
【0119】
ヒト化抗α2インテグリン抗体において望ましいと本明細書中で特定される特徴を有する抗体は、本明細書中に記載されるような方法によってスクリーニングされる。例えば、好ましい特徴および機能性について候補抗α2インテグリン抗体をスクリーニングするための方法が提供され、その方法は、目的の抗体によって結合されるα2β1インテグリン上のエピトープに結合する抗体(例えば、α2β1インテグリンへのTMC−2206抗体の結合と競合するか、その結合を阻害するか、またはその結合を阻止する抗体)についてスクリーニングすることを包含する。クロスブロッキングアッセイが、行われ得、それは、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されている。さらにまたはあるいは、例えば、Champeら、J.Biol.Chem.270:1388−1394(1995)に記載されているようなエピトープマッピングが、その抗体が目的のエピトープに結合するか否かを判定するために行われ得る。
【0120】
同様に、固定化されたα2β1インテグリンを使用して、競合アッセイにおいてKi値を測定することによって相対的な結合能が測定され得る。例えば、蛍光標識されたEu−TMC−2206が、例えば、上に記載されたアッセイ系と同様のアッセイ系を用いて、様々な濃度の標識されていない候補抗体の存在下において使用される。特定のインキュベーション時間の後、結合したEu−TMC−2206の量が測定される。Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.CA)を用いて、阻害曲線を「1部位競合」モデルに当てはめることにより、IC50値が得られ、ChengおよびPrusoffの式(Biochem,Pharmacol.22(23):3099−108(1973))を用いてKiが計算される。
【0121】
例えば、WO2007/056858の実施例2(候補抗体が、TMC−2206およびTMC−2206に由来するマウス−ヒトキメラ抗体と比較して、α2β1インテグリン媒介性の細胞接着を阻止する能力について試験されている)に記載されているような条件下で有益な結合特性を有するヒト化抗α2インテグリン抗体を調製し、同定し、そして/または選択することが望ましい。例えば、ヒトα2インテグリンおよび内因性ハムスターβ1を発現しているCHO細胞(Symingtonら、J.Cell Biol.120(2):523−35(1993))を調製し、CFSE(Molecule Probes,OR)で標識する。標識された細胞を調製し、細胞濃度を調整し;細胞を、使用するまで暗黒下に維持する。コラーゲンコートされたプレート(ラット尾コラーゲンI型;BD Biosciences)を調製し、段階希釈された抗体溶液の各々をそのコラーゲンプレートに加える。次いで、標識された細胞をそのウェルに加え、そのプレートをインキュベートする。洗浄後、細胞を溶解し、蛍光強度(励起,485nm;発光,535nm)を読み出す。各抗体の抑制活性を計算する。
【0122】
さらに、固定化されたα2β1インテグリンリガンドに対する候補抗体の結合定数が、WO2007/056858の実施例2に記載されているように計算され得る。96ウェルマイクロタイタープレート内のウェルが、血小板α2β1インテグリンでコートされ(GTI Inc.,WIによってヒト血小板α2β1でカスタムコートされ)、次いで、ブロッキングされる。例えば、α2インテグリン抗原に対するTMC−2206の親和性を測定するために、蛍光標識されたTMC−2206またはアイソタイプコントロールIgG抗体が使用される。Eu−TMC−2206またはEu−アイソタイプコントロールIgGを含む蛍光標識された抗体が、ブロッキングされたα2β1インテグリンマイクロタイタープレートに適用される。密閉されたプレートをインキュベートすることにより、抗体抗原相互作用が平衡に達した後、各ウェルから、遊離(未結合)標識の測定用の増強溶液が入った新しいウェルにサンプルを移す。その増強溶液は、結合した標識を測定するために空にされたウェルにも加えられる。抗α2インテグリン抗体のKd値をScatchard解析によって計算する。TMC−2206誘導体(TMC−2206に由来するかまたはそれに基づくヒト化抗体を含む)の相対的な親和性は、競合アッセイにおいてKi値を測定することによって測定され得る。例えば、競合アッセイのために、様々な濃度の、TMC−2206に由来するかまたはそれに基づく未標識抗α2インテグリン抗体(TMC−2206またはキメラ(ヒト化を含む)抗体を含む)またはアイソタイプコントロールIgG抗体の存在下において、Eu標識されたTMC−2206が、α2β1でコートされたウェルに加えられる。平衡に達するインキュベート時間の後、ウェルを洗浄し、結合した標識抗体のレベルを、各ウェル内の保持されているEu標識として測定する。Ki値は、上に記載されたような直接的な結合実験によってEu−TMC−2206抗体について得られたKd値を用いてEC50値から得ることができる。
【0123】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗α2インテグリン抗体は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントを生成するための様々な手法が開発されている。伝統的には、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して得られた(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら、Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかしながら、これらのフラグメントは、細菌などの組換え宿主細胞によって直接生成され得る(例えば、Betterら、Science 240(4855):1041−1043(1988);米国特許第6,204,023号を参照のこと。例えば、Fab’−SHフラグメントは、大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合されることにより、F(ab’)2フラグメントを形成することができる(Carterら、Bio/Technology 10:163−167(1992))。別のアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。抗体フラグメントを生成するための他の手法が、当業者に明らかである。
【0124】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する多重特異性(例えば、二重特異性)ヒト化抗α2インテグリン抗体を生成することが望ましい場合がある。例示的な二重特異性抗体(例えば、2つの異なる結合アームを有する抗体)は、α2β1インテグリンタンパク質の異なる2つのエピトープに結合し得る。あるいは、抗α2インテグリンアームは、表面にα2β1インテグリンが結合した細胞に、細胞の防御メカニズムの焦点を当てるために、T細胞レセプター分子(例えば、CD2またはCD3)などの白血球上の引き金分子またはIgGに対するFcレセプター(FcγR)(例えば、FcγR1(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16))に結合するアームと組み合わされ得る。二重特異性抗体は、表面にα2β1インテグリンが結合している細胞に細胞傷害性薬剤を局在化させるために使用され得る。これらの抗体は、α2β1インテグリン結合アーム、および細胞傷害性薬剤(例えば、ゲロニン(gelonin)、サポリン、抗インターフェロンアルファ、ビンカアルカロイド、リシンA鎖または放射性同位体ハプテン)に結合するアームを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。
【0125】
二重特異性抗体を作製するための別のアプローチによれば、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするように抗体分子対の間の界面が操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きなアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって、大きい側鎖と同一サイズまたはそれより小さいサイズの代償的な空洞が、第2の抗体の界面上に作られる。これにより、ホモ二量体などの不必要な他の最終生成物に対してヘテロ二量体の収量を増加させるためのメカニズムがもたらされる(例えば、WO96/27011を参照のこと)。
【0126】
二重特異性抗体には、相互に連結された抗体またはヘテロ結合体抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合体における抗体の一方が、アビジンに結合され得、他方が、ビオチンに結合され得る。ヘテロ結合体抗体は、任意の都合のよい架橋法を用いて作製され得る。適当な架橋剤は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第4,676,980号にいくつかの架橋法とともに開示されている。
【0127】
抗体フラグメントから二重特異性抗体を作製するための手法もまた、その文献に記載されている。二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製され得る。例えば、Brennanら(Science 229:81(1985))には、インタクトな抗体がタンパク分解性に切断されることによりF(ab’)2フラグメントが生成される手順が記載されている。近接の(vincal)ジチオールを安定化させ、分子間のジスルフィド形成を妨げるために、これらのフラグメントは、ジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下において還元される。次いで、生成されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次いで、Fab’−TNB誘導体の1つが、メルカプトエチルアミンによる還元によってFab’−チオールに再度変換され、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されることにより、二重特異性抗体が形成される。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的な固定化のための薬剤として使用され得る。
【0128】
大腸菌から回収されたFab’−SHフラグメントが、化学的に結合されることにより、二重特異性抗体が形成され得る。例えば、Shalabyら(J.Exp.Med.175:217−225(1992))には、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の作製が記載されている。各Fab’フラグメントが、大腸菌から別々に分泌される場合、それらがインビトロにおいて定方向の化学結合に供されることにより、二重特異性抗体が形成された。このように形成された二重特異性抗体は、HER2レセプターを過剰発現している細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、ならびにヒト乳腺腫瘍の標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を引き起こすことができた。
【0129】
組換え細胞培養物から直接、二重特異性抗体フラグメントを作製し、単離するための様々な手法もまた報告されている。例えば、ロイシンジッパーを用いて二重特異性抗体が作製されている(例えば、Kostgelnyら、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992)を参照のこと)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドが、遺伝子融合によって、異なる2つの抗体のFab’部分に連結された。この抗体のホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されることによりモノマーが形成され、次いで、再度酸化されることにより、抗体のヘテロ二量体が形成された。この方法は、抗体のヘテロ二量体を生成するためにも利用され得る。ダイアボディ技術(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照のこと)は、二重特異性抗体フラグメントを作製するための代替メカニズムを提供した。このフラグメントは、同じ鎖の上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変領域(VL)に接続された重鎖可変領域(VH)を含む。したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLおよびVHドメインと対形成せざるを得ず、それによって2つの抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFvまたはscFv)二量体を使用することによる二重特異性抗体フラグメントを作製するための別のストラテジーもまた報告されている(例えば、Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと)。あるいは、二重特異性抗体は、例えば、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)に記載されているように生成された鎖状抗体であり得る。
【0130】
2より高い結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体が、調製され得る(例えば、Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)を参照のこと)。
【0131】
ヒト化抗α2インテグリン抗体の他の改変が企図される。例えば、癌を処置する際の抗体の有効性を増強するためまたは低下させるために、例えば、エフェクター機能に関して抗体を改変することが望ましい場合がある。Fc領域にシステイン残基が導入されることにより、その領域において鎖間のジスルフィド結合の形成が可能になり得る。このように生成されたホモ二量体抗体は、改善された内部移行能ならびに/または高い補体媒介性細胞殺滅(CMC)および/もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る(例えば、Caronら、J.Exp.Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこと)。抗腫瘍活性が高いホモ二量体抗体はまた、ヘテロ二官能性架橋剤(例えば、Wolffら、Cancer Research 53:2560−2565(1993)に記載されているものを参照のこと)を用いて調製され得る。あるいは、二重のFc領域を有し、それにより高いCMC能および/またはADCC能を有し得る抗体が、操作され得る(例えば、Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)を参照のこと)。
【0132】
ある部分、例えば、分子、組成物、複合体または薬剤、例えば、細胞傷害性薬剤(例えば、化学療法剤、トキシン(例えば、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素的に活性なトキシンまたはそのフラグメント)または放射性同位体(例えば、放射性結合体))に結合体化された、抗α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官にその薬剤を標的化するためのヒト化抗α2インテグリン抗体を含む免疫結合体。そのような免疫複合体は、その部分または薬剤を、α2またはα2β1インテグリンの存在を特徴とする特定の作用部位に標的化する方法において使用され得る。
【0133】
そのような免疫結合体の生成において有用な化学療法剤は、上に記載された。使用され得る酵素的に活性なトキシンおよびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性(nonbinding active)フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ−サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)またはトリコテシン(tricothecenes)が挙げられる。種々の放射性核種が、放射性結合体化された抗アルファ2インテグリン抗体を生成するために利用可能である。例としては、212Bi、131In、90Yまたは186Reが挙げられる。
【0134】
本抗体と細胞傷害性薬剤との結合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド(gluteraldehyde))、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トリレン(tolyene)2,6−ジイソシアナート)またはビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン))を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science 238:1098(1987)に記載されているように調製され得る。炭素−14で標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、本抗体に対する放射性核種の結合体化のための例示的なキレート剤である(例えば、WO94/11026を参照のこと)。
【0135】
別の実施形態において、本抗体は、α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官を予め標的化する際に利用するために、レセプター(例えば、ストレプトアビジン)に結合体化され得、ここで、その抗体レセプター結合体は、患者に投与された後、清澄化剤(clearing agent)を用いて循環から未結合の結合体が除去され、次いで、ある薬剤、例えば、細胞傷害性薬剤(例えば、放射性核種)に結合体化されたリガンド(例えば、アビジン)が投与される。
【0136】
本明細書中に開示される抗α2インテグリン抗体は、免疫リポソームとしても製剤化され得る。その抗体を含むリポソームは、当該分野で公知の方法(例えば、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030(1980);ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されている方法)によって調製される。循環時間が延長されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0137】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって作製され得る。リポソームは、規定のポアサイズのフィルターを通って押し出されることにより、所望の直径を有するリポソームが得られる。抗α2インテグリン抗体のFab’フラグメントは、ジスルフィド交換反応を介して、Martinら、J.Biol.Chem.257:286−288(1982)に記載されているようなリポソームに結合体化され得る。必要に応じて、化学療法剤(例えば、ドキソルビシン)がリポソーム内に含められる(例えば、Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19):1484(1989)を参照のこと)。
【0138】
ヒト化抗α2インテグリン抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、例えば、WO81/01145を参照のこと)を活性薬物(例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと)に変換するプロドラッグ活性化酵素にその抗体を結合体化することによって、抗体特異的酵素プロドラッグ療法(Antibody Directed Enzyme Prodrug Therapy)(ADEPT)においても使用され得る。ADEPTにとって有用な免疫複合体の酵素の構成要素には、プロドラッグをより活性な形態に変換するための方法において、そのプロドラッグに対して作用することができる任意の酵素が含まれる。有用な酵素としては、ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアリールスルファターゼ;無毒性の5−フルオロシトシンを抗癌薬である5−フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なプロテアーゼ(例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびL));D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するために有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物に変換するために有用な炭水化物切断酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ);β−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なβ−ラクタマーゼ;およびフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基を有するアミン窒素において誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なそれぞれペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、アブザイムとしても知られる、酵素活性を有する抗体が、本発明のプロドラッグを活性な遊離薬物に変換するために使用され得る(例えば、Massey,Nature 328:457−458(1987)を参照のこと)。α2インテグリンを発現している細胞、組織または器官にアブザイムを送達するためのものを含む抗体−アブザイム結合体は、本明細書中に記載されるように調製され得る。
【0139】
上で述べられたヘテロ二官能性架橋試薬の使用を含む当該分野で周知の手法によって抗α2インテグリン抗体に酵素が共有結合され得る。あるいは、酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された抗α2インテグリン抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質が、当該分野で周知の組換えDNA法を用いて構築され得る(例えば、Neubergerら、Nature 312:604−608(1984)を参照のこと)。
【0140】
本発明のある特定の実施形態において、例えば、組織または腫瘍への浸透を高めるために、インタクトな抗体ではなく抗体フラグメントを使用することが望ましい場合がある。また、血清半減期を延長するために、抗体フラグメントを改変することも望ましい場合がある。これは、例えば、抗体フラグメント内の適切な領域を変異すること、またはエピトープをペプチドタグに組み込み、次いでそれを例えばDNA合成もしくはペプチド合成によって抗体フラグメントの末端または中央に融合することによって、サルベージレセプター結合エピトープを抗体フラグメントに組み込むことによって達成され得る(例えば、WO96/32478を参照のこと)。
【0141】
ヒト化抗α2インテグリン抗体の共有結合性の改変は、例えば、化学合成またはその抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって行われ得る。他のタイプの抗体の共有結合性の改変は、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端の残基と反応することができる有機誘導体化剤と抗体の標的化されたアミノ酸残基を反応させることによって、その分子に導入される。最も一般的には、例えばシステイニル残基を、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのα−ハロアセテート(および対応するアミン)と反応させることにより、カルボキシメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体が得られる。システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によっても誘導体化される。例えば、ヒスチジル残基は、ピロ炭酸ジエチルがヒスチジル側鎖に比較的特異的であるので、pH5.5〜7.0におけるこの薬剤との反応によって誘導体化される。パラ−ブロモフェナシルブロミドもまた有用である;その反応は、好ましくは、pH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。例えば、リシニル残基およびアミノ末端残基を、コハク酸無水物または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤を用いた誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転させる作用を有する。α−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適当な試薬としては、イミドエステル、例えば、ピコリンイミド酸メチル、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンおよびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が挙げられる。例えば、アルギニル残基は、1つまたはいくつかの従来の試薬、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒドリンとの反応によって改変される。グアニジン官能基のpKaが高いので、アルギニン残基の誘導体化には、その反応がアルカリ性条件において行われることが必要である。さらに、これらの試薬は、リジンの基ならびにアルギニンイプシロン−アミノ基と反応し得る。例えば、チロシル残基は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基に分光標識を導入する際に特定の目的でとりわけ改変される。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンを使用することにより、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体が形成される。チロシル残基は、125Iまたは131Iを用いてヨウ素化されることにより、ラジオイムノアッセイにおいて使用するための標識されたタンパク質が調製される。カルボキシル側基、例えば、アスパルチルまたはグルタミルは、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド類(R−N=C=N−R’)(RおよびR’は、異なるアルキル基である)との反応によって選択的に改変される。さらに、アスパルチル残基およびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基に脱アミド化されることが多い。これらの残基は、中性または塩基性条件下において脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化された形態は、本発明の範囲内に入る。他の改変としては、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル残基またはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0142】
別のタイプの共有結合性の改変は、グリコシドを本抗体に化学的または酵素的に結合することを含む。これらの手順は、NまたはO結合型グリコシル化に対するグリコシル化能を有する宿主細胞における抗体の生成を必要としない点において有利である。用いられる結合様式に応じて、糖が、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基(例えば、システインの遊離スルフヒドリル基)、(d)遊離ヒドロキシル基(例えば、セリン、トレオニンまたはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基)、(e)芳香族の残基(例えば、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンの芳香族の残基)、または(f)グルタミンのアミド基に付着され得る(例えば、WO87/05330;Aplin and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)を参照のこと)。
【0143】
本抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、例えば、化学的または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化には、本抗体が、トリフルオロメタンスルホン酸化合物または等価な化合物に曝露される必要がある。この処理によって、抗体はインタクトなままで、連結糖(linking sugar)(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたはすべての糖が切断される(例えば、Hakimuddinら、Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987);Edgeら、Anal.Biochem.,118:131(1981)を参照のこと)。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼを使用することによって達成され得る(例えば、Thotakuraら、Meth.Enzymol.138:350(1987)を参照のこと)。
【0144】
本抗体の別のタイプの共有結合性の改変は、本抗体を種々の非タンパク質性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン)のうちの1つに連結することを含む(例えば、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号または同第4,179,337号を参照のこと)。
【0145】
本抗体を組換え的に生成するために、本抗体をコードする核酸が、単離され、さらなるクローニング(そのDNAの増幅)または発現のために、複製可能なベクターに挿入される。本抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、本抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定される。多くのベクターが利用可能である。そのベクターの構成要素としては、一般に、以下のもの:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
好ましくは、シグナル配列または成熟タンパク質もしくは成熟ポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を有する他のポリペプチドである異種ポリペプチドを有する融合ポリペプチドとしての抗体を含む抗α2インテグリン抗体が、組換え的に生成され得る。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識され、処理される(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。真核生物のシグナル配列(例えば、免疫グロブリンシグナル配列)を認識せず、処理しない原核生物の宿主細胞の場合、そのシグナル配列は、例えば、ペクチン酸リアーゼ(pectate lysase)(例えば、pelB)、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーをはじめとした原核生物のシグナル配列に置換される。酵母分泌の場合、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(SaccharomycesおよびKluyveromyces α−因子リーダーを含む)または酸ホスファターゼリーダーを含む酵母シグナル配列、C.albicansグルコアミラーゼリーダー、またはWO90/13646に記載されているシグナルが、利用され得る。哺乳動物細胞における発現では、哺乳動物のシグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが、利用可能であり、利用され得る。そのような前駆体領域(例えば、シグナル配列)に対するDNAは、抗α2インテグリン抗体をコードするDNAに読み枠でライゲーションされる。
【0147】
発現ベクターとクローニングベクターの両方が、1つ以上の選択された宿主細胞における複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、クローニングベクターでは、この配列は、そのベクターが宿主の染色体DNAとは無関係に複製することを可能にする配列であり、複製開始点または自律複製配列を含む。種々の細菌、酵母およびウイルスに対するそのような配列が周知である。例えば、ほとんどのグラム陰性菌に対しては、プラスミドpBR322由来の複製起点が適当であり、酵母に対しては、2μプラスミド起点が適当であり、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに対しては、様々なウイルスの起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が有用である。一般に、哺乳動物発現ベクターに対しては、複製起点の構成要素は必要でない(例えば、SV40起点は、初期プロモーターを含むだけであるので、代表的に使用され得る)。
【0148】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含み得る。代表的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他のトキシン、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに対する抵抗性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠損を補完するタンパク質、または(c)複合培地から利用可能でない決定的な栄養分を供給するタンパク質(例えば、Bacilliに対するD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコードする。
【0149】
選択スキームの1つの例は、宿主細胞の成長を停止する薬物を利用する。異種遺伝子による形質転換が成功した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生成し、ゆえにその選択レジメンを生き残る。そのような優性選択の例は、薬物であるメトトレキサート、ネオマイシン、ヒスチジノール、ピューロマイシン、ミコフェノール酸およびハイグロマイシンを使用する。
【0150】
哺乳動物細胞に対して適当な選択可能マーカーの別の例は、抗α2インテグリン抗体の核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするものであり、例えば、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−Iおよび−II、好ましくは、霊長類のメタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。
【0151】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、まず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培養液中ですべての形質転換体を培養することによって同定される。野生型DHFRを使用するとき、適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0152】
あるいは、抗α2インテグリン抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択マーカーをコードするDNA配列で形質転換されたまたは同時形質転換された宿主細胞(特に、内在性のDHFRを含む野生型宿主)が、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、カナマイシン、ネオマイシンまたはG418)を含む選択可能マーカーに対する選択薬剤を含む培地中での細胞の成長によって選択され得る(例えば、米国特許第4,965,199号を参照のこと)。
【0153】
酵母において使用するための1つの適当な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で生育する能力を欠く酵母の変異体株、例えば、ATCC No.44076またはPEP4−1に対して選択マーカーを提供する(例えば、Jones,Genetics,85:12(1977)を参照のこと)。次いで、酵母宿主細胞ゲノム内のtrp1が破壊されていることにより、トリプトファンの非存在下における成長によって形質転換を検出するために有効な環境がもたらされる。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
【0154】
さらに、1.6μ環状プラスミドpKD1から得られるベクターは、Kluyveromyces酵母の形質転換のために使用され得る。あるいは、組換え子ウシキモシンの大規模生成用の発現系が、Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)によってK.lactisについて報告された。Kluyveromycesの工業用株が成熟組換えヒト血清アルブミンを分泌するための安定な多コピー発現ベクターもまた、開示されている(例えば、Fleerら、Bio/Technology,9:968−975(1991)を参照のこと)。
【0155】
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識されるプロモーターを含み、抗α2インテグリン抗体核酸に作動可能に連結される。原核生物の宿主とともに使用することに適したプロモーターとしては、アラビノースプロモーター(例えば、araB)、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが挙げられる。しかしながら、他の公知の細菌のプロモーターも適している。細菌系において使用するためのプロモーターもまた、抗α2インテグリン抗体をコードするDNAに作動可能に連結されたShine−Dalgamo(S.D.)配列を含む。
【0156】
真核生物に対するプロモーター配列は、公知である。ほとんどの真核生物の遺伝子が、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始位置から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT(配列番号115)領域(Nは任意のヌクレオチドであり得る)である。コード配列の3’末端へのポリAテイルの付加に対するシグナルであり得るAATAAA(配列番号116)配列は、ほとんどの真核生物の遺伝子の3’末端に位置する。そのような配列は、真核生物の発現ベクターに適宜挿入される。
【0157】
酵母宿主とともに使用するために適したプロモーター配列の例としては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼおよびグルコキナーゼ)に対するプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。成長条件によって調節される転写に関する追加の利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素に対するプロモーター領域である。酵母発現における使用に適したベクターおよびプロモーターは、さらにEP73,657に記載されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモーターとともに好都合に使用される。
【0158】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗α2インテグリン抗体の転写は、例えば、ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスまたはサルウイルス40(SV40))のゲノムから得られるプロモーター、異種哺乳動物のプロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって調節されるが、但し、そのようなプロモーターは、その宿主細胞系と適合している。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限フラグメントとして都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして都合よく得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを用いて哺乳動物宿主においてDNAを発現するための系は、米国特許第4,419,446号に開示されており、この系の改変は、米国特許第4,601,978号に記載されている(単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの支配下におけるマウス細胞内でのヒトβ−インターフェロンcDNAの発現については、Reyesら、Nature 297:598−601(1982)もまた参照のこと)。あるいは、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列が、プロモーターとして使用され得る。
【0159】
高等真核生物による抗α2インテグリン抗体をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加することが多い。現在、哺乳動物の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が、知られている。しかしながら、しばしば、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例としては、複製起点の後の側(bp100〜270)におけるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後の側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる(例えば、真核生物プロモーターを活性化するためのエレメントの増強については、Yaniv,Nature 297:17−18(1982)もまた参照のこと)。エンハンサーは、そのベクターの、抗α2インテグリン抗体をコードする配列に対して5’ 位または3’位にスプライスされ得るが、好ましくは、プロモーターに対して5’部位に位置する。当該分野で周知の他の遺伝子制御系(例えば、テトラサイクリン誘導系およびGeneSwitchTMなどの誘導系)が、抗α2インテグリンをコードするDNAの転写を調節するために使用され得る。
【0160】
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列も含む。そのような配列は、通常、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’、および時折3’の非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、抗α2インテグリン抗体をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化されたフラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である(例えば、WO94/11026およびその中で開示されている発現ベクターを参照のこと)。
【0161】
本明細書中のベクター内のDNAのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は、上に記載されたような原核生物、酵母または高等真核生物の細胞である。この目的に適した原核生物としては、グラム陰性またはグラム陽性生物を含む真正細菌、例えば、Enterobacteriaceae、例えば、Escherichia(例えば、大腸菌)、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella(例えば、Salmonella typhimurium)、Serratia(例えば、Serratia marcescans)およびShigellaならびにBacilli(例えば、B.subtilisおよびB.licheniformis)、Pseudomonas(例えば、P.aeruginosa)およびStreptomycesが挙げられる。適当な大腸菌クローニング宿主としては、大腸菌294(ATCC31,446)、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)および大腸菌W3110(ATCC27,325)が挙げられる。
【0162】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核細胞微生物が、抗アルファ2インテグリン抗体をコードするベクターに適したクローニング宿主または発現宿主である。Saccharomyces cerevisiae、すなわち、普通のパン酵母が、下等真核生物宿主微生物の中で最もよく使用される。しかしながら、いくつかの他の属、種および株(例えば、Schizosaccharomyces pombe;Kluyveromyces宿主(K.lactis、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC 36,906)、K.thermotoleransまたはK.marxianusを含む);yarrowia(EP402,226);Pichia pastoris(EP183,070);Candida;Trichoderma reesia(EP244,234);Neurospora crassa;Schwanniomyces occidentalisなどのSchwanniomyces;およびNeurospora、Penicillium、TolypocladiumまたはAspergillus宿主(例えば、A.nidulansまたはA.niger)を含む糸状菌)が、一般に利用可能であり、有用である。
【0163】
グリコシル化された抗α2インテグリン抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。数多くのバキュロウイルス株および変異株、ならびに宿主(例えば、Spodoptera frugiperda(毛虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)およびBombyx mori)由来の対応する許容的な昆虫宿主細胞が、同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、Autographa californica NPVのL−1バリアントおよびBombyx mori NPVのBm−5株が、公的に入手可能であり、そのようなウイルスは、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために使用され得る。
【0164】
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物もまた、宿主として利用され得る。
【0165】
しかしながら、脊椎動物細胞に最も関心が寄せられており、種々の哺乳動物細胞を含む脊椎動物細胞の増殖は、通例の手順になっている。有用な哺乳動物宿主細胞の例としては:SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(例えば、COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胎児腎臓株293または懸濁培養において生育するためにサブクローン化された293細胞(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.36:59(1977)を参照のこと);ベビーハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFRを欠くCHO細胞を含む)(例えば、DHFR Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)を参照のこと);マウスセルトリ細胞((例えば、TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌腫細胞(例えば、HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL75);ヒト肝臓細胞(例えば、Hep G2、HB8065);マウス乳腺腫瘍(例えば、MMT060562、ATCC CCL51);TRI細胞(例えば、Matherら、Annals N.Y Acad.Sci.383:44−68(1982)を参照のこと);MRC5細胞;FS4細胞;またはヒトヘパトーム株(例えば、Hep G2)が挙げられる。
【0166】
宿主細胞は、抗α2インテグリン抗体を生成するために、上に記載した発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換され、そしてプロモーターを誘導するため、形質転換体を選択するため、および/または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切であるように改変された従来の栄養培地中で培養される。
【0167】
抗α2インテグリン抗体を生成するために使用される宿主細胞は、種々の培地中で培養され得る。商業的に入手可能な培地(例えば、Ham’s F10(Sigma)、最少必須培地((MEM),(Sigma))、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM),Sigma))が、宿主細胞を培養するために適している。さらに、Hamら、Meth.Enz.58:44(1979),Barnesら、Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;もしくは同第5,122,469号;WO90103430;WO87/00195;または米国再発行特許第30,985号に記載されている任意の培地が、宿主細胞に対する培養液として使用され得る。これらの任意の培地には、ホルモンおよび/または他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬物)、微量元素(マイクロモル濃度の範囲内の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)およびグルコースまたは等価なエネルギー源が必要に応じて補充され得る。他の任意の必要な補充物もまた、当業者に公知であり得る適切な濃度で含められ得る。発現について選択される宿主細胞とともに以前使用された培養条件を含む、温度、pHなどのような培養条件は、当業者によって選択される。
【0168】
抗α2インテグリン抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析および/またはアフィニティークロマトグラフィを用いて、微生物または哺乳動物の細胞を含む細胞から精製され得る。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、その抗体に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種類およびアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2またはγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用され得る(例えば、Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62:1−13(1983)を参照のこと)。プロテインGは、マウスアイソタイプおよびヒトγ3に対して有用である(例えば、Gussら、EMBO J.5:1516−1517(1986)を参照のこと)。親和性リガンドが付着されるマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。コントロールドポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースを用いたときに達成され得るものよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。抗体が、CH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が、精製に有用である。タンパク質の精製としては、以下の手法(例えば、イオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカにおけるクロマトグラフィ、ヘパリンSEPHAROSETMにおけるクロマトグラフィ、陰イオンもしくは陽イオン交換樹脂におけるクロマトグラフィ(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫安塩析および/または疎水性相互作用クロマトグラフィ)のうちの1つ以上が挙げられ得る。例えば、任意の精製工程の後、目的の抗体および夾雑物を含む混合物を、好ましくは低塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で行われ、約2.5〜4.5のpHの溶出緩衝液を用いる低pH疎水性相互作用クロマトグラフィに供することが、有用であり得る。
【0169】
治療的に投与するための製剤を含む抗α2インテグリン抗体の製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を任意選択で生理的に許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、凍結乾燥された製剤または水溶液の形態で、貯蔵用として調製される。許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、それらとしては、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸);アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン);単糖類、二糖類または他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む);EDTAなどのキレート剤;糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール);ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性物質(例えば、TWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG))が挙げられる。治療的に使用するために、本発明の抗α2インテグリン抗体は、例えば、0,03%Tween−80TMを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中において製剤化され得る。この抗体製剤は、処置される特定の適応症に対する2つ以上の活性な化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有する化合物も含み得る。対象の障害を予防するためまたは処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤に加えて、抗α2インテグリン抗体を使用することが望ましい場合がある。さらに、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましい場合がある。そのような分子は、意図される目的のために有効な量で組み合わされて適切に存在する。
【0170】
それらの活性成分はまた、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子またはナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおける、例えば、コアセルベーション法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルに封入され得る。そのような手法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0171】
インビボ投与のために使用される製剤は、好ましくは、滅菌される。これは、例えば、滅菌された濾過膜での濾過によって容易に達成される。
【0172】
徐放調製物が、調製され得る。徐放調製物の適当な例としては、本抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、成形された物品の形、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルである。徐放マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(例えば、Lupron DepotTM(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドから構成される注射可能なミクロスフェア))およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日を超えて分子を放出することができるが、ある特定のヒドロゲルは、それよりも短い期間しかタンパク質を放出しない。被包された抗体が、長時間にわたって体内に留まるとき、それらは、37℃の水分への曝露の結果として変性し得るかまたは凝集し得、その結果、生物学的活性が失われ、免疫原性が変化する可能性がある。関わるメカニズムに応じて、安定化のための合理的なストラテジーが、考案され得る。例えば、凝集メカニズムが、チオ−ジスルフィド相互交換による分子間のS−S結合の形成であると見出される場合、スルフヒドリル残基を改変すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、水分含有量を調節すること、適切な添加剤を使用すること、および特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって、安定化が達成され得る。
【0173】
抗α2インテグリン抗体は、非経口、皮下、腹腔内、肺内または鼻腔内を含む任意の適当な手段によって投与される。局所的な免疫抑制処置に対して望まれる場合、本抗体の病巣内投与(移植前に灌流すること、または別途移植片を本抗体と接触させることを含む)が行われる。非経口投与としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が挙げられる。さらに、抗α2インテグリン抗体は、例えば、本抗体の用量を減少させながらの、パルス注入によって適切に投与される。好ましくは、投薬は、注射、最も好ましくは、静脈内注射または皮下注射によって行われる。これは、投与が短時間であるか長時間であるかに部分的に依存し得る。より好ましくは、抗α2インテグリン抗体または本明細書中に記載されるような組成物は、静脈内注入、静脈内ボーラス、皮下投与、皮下点滴または皮下ボーラスによる本発明の方法において投与されるが、静脈内注入または静脈内ボーラスが、最も好ましい。用語「静脈内注入」とは、およそ5分を超える時間、好ましくは、およそ30〜90分間にわたって動物またはヒト患者の静脈に薬物を導入することを指すが、本発明によれば、静脈内注入は、10時間以下にわたって投与される。用語「静脈内ボーラス」または「静脈内プッシュ(intravenous push)」とは、薬物をおよそ15分以下、好ましくは、5分以下で身体に投与するような、動物またはヒトの静脈への薬物投与のことを指す。用語「皮下投与」とは、薬物容器から、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中に、比較的緩徐な持続的送達によって薬物を導入することを指す。そのポケットは、下にある組織から離して皮膚をつまむかまたは引き上げることによって作ってもよい。用語「皮下点滴」とは、薬物容器から、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中に、比較的緩徐な持続的送達によって、30分以下または90分以下を含むがこれらに限定されない時間にわたって薬物を導入することを指す。用語「皮下ボーラス」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下への薬物投与のことを指し、ここで、ボーラス薬物送達は、好ましくは、およそ15分未満であり、より好ましくは、5分未満、最も好ましくは、60秒未満である。投与は、好ましくは、皮膚とその下にある組織との間のポケットの中におけるものであり、ここで、そのポケットは、例えば、下にある組織から離して皮膚をつまむかまたは引き上げることによって作られる。必要に応じて、注入は、動物またはヒト患者の皮膚の下に埋め込まれる薬物送達ポンプの皮下への埋め込みによって行われ得、ここで、そのポンプは、所定の時間(例えば、30分、90分または処置レジメンの長さに及ぶ時間)にわたって所定量の薬物を送達する。間欠投薬または定期的な投薬は、ある特定の時間にわたって継続される投薬であり、好ましくは、1日より長い時間を隔てた一定間隔で行われる。
【0174】
本明細書中で同意語として使用される「治療有効量」または「有効量」とは、症状を回復させるかもしくは予防するか、または処置される被験体の生存時間を延ばすのに有効な、本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の量のことを指す。治療有効量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に鑑みて、十分に当業者の能力の範囲内である。本明細書中に記載される抗α2インテグリン抗体の「治療有効量」という用語は、具体的には、腫瘍の成長を遅延させるかまたは阻害するために必要な量のことを指す。
【0175】
癌を予防するかまたは処置する場合、抗体の適切な投薬量は、上で定義されたような処置される疾患のタイプ、その疾患の重症度および経過、抗α2インテグリン抗体が予防的な目的で投与されるか治療的な目的で投与されるか、以前の治療、患者の病歴およびその抗体への応答、ならびに主治医の判断に左右される。本抗体は、一度に、または一連の処置にわたって、患者に適切に投与される。
【0176】
したがって、抗α2インテグリン抗体は、本発明の方法において、被験体、好ましくは、ヒトに、約0.1.〜約100mg/kgの範囲の治療有効量で投与され得る。好ましくは、約1〜約20mg/kgの範囲の治療有効量、より好ましくは、約3〜約10mg/kgの範囲の治療有効量が、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。治療有効量のヒト化抗体またはその結合フラグメントは、1回以上の治療的に有効な投薬において被験体に投与され得る。
【0177】
疾患のタイプおよび重症度に応じて、約0.1mg/kg〜約100mg/kgの抗体が、例えば、1回以上の別個の投与によるか持続注入によるかに関わらず、被験体への投与に対する最初の投薬量候補である。例えば、ヒトへの代表的な毎日の投薬は、上で述べた因子に応じて、0.1mg/k〜20mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得る。数日またはそれ以上にわたる反復投与の場合、状態に応じて、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで継続される。しかしながら、他の投与レジメンも有用であり得る。この治療の進行は、当業者によって容易にモニターされる。実施例6に記載されるような毒物動態学研究によれば、本発明の抗α2インテグリン抗体は、199〜316時間という半減期T1/2が見積もられた。したがって、2週間ごとに1回の投薬レジメンが、好ましいとみられる。
【0178】
意外なことに、本発明において使用される抗アルファ2(α2)インテグリン抗体は、抗VEGF抗体に匹敵する程度に腫瘍の成長を阻害する。具体的には、マウス異種移植片研究において50mg/kgの用量の抗アルファ2(α2)インテグリン抗体を22日間にわたって週2回投与したとき、腫瘍のサイズは、27日目には、アイソタイプコントロールのおよそ60%だった。したがって、本発明は、治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与することによって、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化器癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法を提供し、ここで(whereas)、そのヒト化抗α2インテグリン抗体で処置された腫瘍のサイズは、コントロール抗体で処置された腫瘍のサイズの90%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下、最も好ましくは、60%以下、特に、50%以下、より特に、40%以下、最も特に、30%以下であり、ここで(wheras)、その腫瘍のサイズは、通常、腫瘍の体積または腫瘍の重量として測定される。
【0179】
抗α2インテグリン抗体組成物は、優れた医療行為と調和する様式で、製剤化され、投薬され、投与される。この文脈において考慮される因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、薬理学的研究および毒性研究の結果、ならびに医療従事者に公知の他の因子が挙げられる。投与される抗体の治療有効量は、そのような因子を考慮することによって決定され、α2β1インテグリン関連障害を予防するか、回復させるか、または処置するために必要な最小量である。そのような量は、好ましくは、宿主にとって毒性である量、または宿主を著しく感染症に感受性にさせる量より少ない。抗α2インテグリン抗体は、対象の障害を予防するためまたは処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤ととともに補助療法として製剤化されるか、同時投与される(co−administer)かまたは使用される必要はないが、必要に応じて、そのように製剤化されるか、同時投与されるかまたは使用されてもよい。例えば、本抗体は、放射線治療およびまたは1つもしくはいくつかの癌医薬とともに投与され得る。これらの癌医薬は、別の抗体、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗血管新生薬、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、細胞傷害性放射線治療、コルチコステロイド、制吐作用の癌ワクチン、鎮痛薬、抗血管剤(anti−vascular agent)または成長抑制剤(growth−inhibitory agent)を含み得る。より具体的な薬剤としては、例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、EFGレセプターアンタゴニスト、例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、VEGFアンタゴニスト、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、mTor(セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ)のインヒビター、例えば、ラパマイシンおよびCCI−779ならびに抗HER1、HER2、ErbBおよび/またはEGFRアンタゴニスト、例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、パーツズマブ(pertuzumab)(OMNI−TARGTM)またはラパチニブ(lapatinib)、ならびに化学療法剤を含む他の細胞傷害性薬剤が挙げられる。あるいはまたはさらに、α2β1インテグリンアンタゴニストが、α2β1インテグリン関連障害に罹患している哺乳動物に投与され得る。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗α2インテグリン抗体の量、障害または処置のタイプ、および上で述べた他の因子に左右される。これらは、一般に、本明細書の上で使用されたものと同じ投薬量および本明細書の上で使用されたような投与経路で、または今までに使用された投薬量の約1〜99%で使用される。
【0180】
上に記載されたような癌の処置に有用な抗α2インテグリン抗体を含む材料を備えた製品が、提供される。この製品は、容器およびラベルを備える。適当な容器としては、例えば、ビン、バイアル、注射器および試験管が挙げられる。その容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成され得る。その容器は、状態を処置するために有効な組成物を保持しており、滅菌された接続口を有し得る(例えば、その容器は、皮下注射針で貫通可能な栓を有する静脈内投与用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の活性な薬剤は、抗アルファ2インテグリン抗体である。その容器上のラベルまたはその容器に関連づけられたラベルは、その組成物が、上に記載されたような癌を処置するために使用されることを示している。その製品は、薬学的に許容され得る緩衝液(例えば、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液またはデキストロース溶液)を含む第2の容器をさらに備え得る。その製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器および使用するための指示を含む添付文書をはじめとした、商業上の観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに備え得る。
【0181】
以下の実施例は、限定の目的ではなく例示の目的で提供される。本明細書中のすべての引用の開示が、明確に本明細書中で参考として援用される。
【実施例】
【0182】
実施例1
ヒト癌腫細胞株上で発現されているヒトα2インテグリンとヒトコラーゲンとの相互作用を阻害する際の抗α2インテグリン抗体の効力のインビトロ評価
様々な抗α2インテグリン抗体がヒト癌腫細胞株上で発現されているヒトVLA−2(α2β1)インテグリンとヒトコラーゲンI型との相互作用を阻害する効力を評価するための、ヒト細胞株とヒトコラーゲンとのインビトロ結合アッセイが、確立されている。このアッセイでは、天然にVLA−2を発現する、蛍光標識されたヒト膵癌細胞株を、ヒトコラーゲンI型で予めコートされた96ウェルプレートに分配した。VLA−2を発現しない蛍光標識されたヒト膵癌細胞株をネガティブコントロールとして使用した。次いで、蛍光標識された細胞を、様々な濃度の抗α2インテグリン(GBR500またはTMC2206)またはアイソタイプマッチコントロール抗体(GBR600)の存在下において、コラーゲンコートされた96ウェルプレート内で1時間インキュベートした。プレートを静かに洗浄し、プレートの各ウェル内の残った蛍光を測定した。個別のウェルにおいて測定された蛍光シグナルの強さは、コラーゲンに接着した細胞の数に比例する。
【0183】
材料および方法
【0184】
【表1】
本明細書中でGBR500と呼ばれるヒト化抗ヒトα2インテグリンは、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む。
【0185】
【表2】
フローサイトメトリー
Versene(Gibco,cat#15040)とともにインキュベートした後、AsPC−1細胞、HPAF−II細胞およびMIA PaCa−2細胞を回収し、1×106細胞/mLの濃度でPBS−2.5%FBSに再懸濁した。100μlの細胞懸濁液を、10μg/mLのGBR500−FITCまたはコントロールとしてhIgG4−FITCとともに20分間、氷上でインキュベートした。細胞をPBS−2.5%FBSで2回洗浄し、フローサイトメトリーで解析した。トリプシン処理されたSK−BR−3細胞株を、膵臓細胞株について記載した方法と同じ方法で処理した。VLA−2分子の発現レベルを平均蛍光強度(MFI)として表した。
【0186】
コラーゲン結合アッセイ
96ウェルELISAプレート(黒色クリニプレート(black cliniplate),Thermo Firsher scientific,cat no9502867)を、酢酸0.02N中またはPBS中の50μg/mLの100μlのヒトコラーゲンI型(SIGMA,cat noC7774)でコーティングした。コラーゲンを、酢酸に希釈して37℃で1時間インキュベートするか、またはPBSに希釈して4℃で一晩インキュベートした。プレートを、0.1%BSAまたは1%BSA(Sigma,cat noA3059)が補充された150μlのPBSでブロッキングした。細胞をまず、無血清DMEM培地(PAA,cat noE15−005)中のCFSE(Invitrogen cat noC34554)で標識した。3μlの15mM CFSE溶液を、1×106細胞/ml〜0.6×106細胞/mlの濃度の5mlの細胞に加えた。細胞をCFSEとともに37℃で10分間インキュベートし、その細胞を900rpmで3分間遠心分離することによって、過剰なCFSEを除去した。CFSE標識された細胞を、0.6×106〜1×106細胞/mlの濃度で、0.1%BSAが補充されたDMEMに再懸濁した。DMEM−0.1%BSA中の50μlの抗体希釈物を、コラーゲンコートされたプレートに分配し、直ちに50μlのCFSE標識細胞をそのプレートに分配した。GBR500に対するアイソタイプコントロール抗体としてGBR600抗体を使用した。プレートを室温で1時間インキュベートし、コラーゲンに結合しなかった細胞を、上清を捨てることによって除去した。プレートを、手動で、またはBioTek洗浄機を用いて、PBS緩衝液で4回洗浄した。そのプレート内のウェルをPBSで満たし、498nmで励起し、525nmで発光する蛍光を、Synerg HT2蛍光光度計を用いて測定した。PRISMソフトウェアを用いて、データを解析した。抗VLA−2抗体の活性を、ベースラインと最大反応との中間の反応を誘発する抗体の濃度と定義されるEC50として表した。
【0187】
結果:
【0188】
【表3】
コラーゲン結合アッセイ
3つの膵癌細胞株および乳癌細胞株を用いるコラーゲン結合アッセイを、2回行った。
表4は、行われた2回の実験において得られたEC−50値をまとめており、以下に示す。
【0189】
【表4】
GBR500抗体およびTMC−2206抗体は、ヒトコラーゲンへのVLA−2陽性の膵癌細胞および乳癌細胞の結合を阻害した。VLA−2を発現しないMIA PaCa−2細胞株は、コラーゲンに結合しない。この結果は、VLA−2発現がコラーゲンI型への細胞接着に必須であることを証明している。
【0190】
結論
1)癌腫癌細胞株であるAsPC−1、HPAF−IIおよびSKBR3細胞上のα2インテグリン発現は、蛍光標識されたGBR500抗体を用いて検出され得る。この膵癌細胞株は、乳癌細胞株よりも高レベルのα2インテグリンを発現する。
2)VLA−2陽性細胞株であるAsPC−1、HPAF−IIおよびSK−BR−3細胞株は、コラーゲンに接着した一方、VLA−2陰性細胞株であるMiaPaCAは、接着しない。
3)試験された様々な細胞株に対するコラーゲン結合の阻害に対する抗体EC−50値を表5に示す:
【0191】
【表5】
HPAF−II細胞株を用いて得られたEC50値は、AsPC−1細胞株について測定されたEC50値と比べて約4倍(GBR500の場合3.9倍およびTMC−2206の場合3.6倍)高かった。両方の膵臓細胞株が、同様のVLA−2レベルを発現していたので(FACS染色データを参照のこと)、この差は、VLA−2の発現レベルに帰することができない。さらに、低レベルのVLA−2を発現しているSK−BR−3細胞株は、AsPC−1(高VLA−2発現)に匹敵するEC50値を示した。しかしながら、コラーゲンコートの条件が、膵臓細胞株と乳癌細胞株との間で異なっていた(37℃で1時間酢酸に希釈されたコラーゲン 対 4℃で一晩PBSに希釈されたコラーゲン)ので、これらの細胞株の間でのEC50値の比較は、慎重に解釈されるべきである。
4)本研究は、I型コラーゲンへのα2β1インテグリン媒介性の接着を有望な治療標的として同定する。さらに、抗VLA−2抗体であるGBR500およびTMC2206は、VLA−2を発現している細胞株のコラーゲンへの結合を阻害する優れた能力を示した。ゆえに、GBR500抗体は、膵癌および乳癌の処置における有望な治療薬候補である。
【0192】
実施例2
BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスにおけるヒト膵臓癌腫腫瘍異種移植片AsPC−1に対するGBR500の効果
少なくとも6〜8週齢の雌BALB/cヌード(nu/nu)無胸腺マウスを異種移植片研究において使用した。Australian Research Council(ARC)から入手した動物を、研究の−2日目に処置群に割り当て、表6に記載されるレジメンに従って処置を開始した。1日目に、ヒトAsPC−1膵臓癌腫腫瘍細胞(ATCC(登録商標)番号:CRL−1682)を、インビトロで生育されたサブコンフルエントの培養物から回収し、生細胞の数を測定した。細胞を5×107細胞/mlの濃度で1×PBSに再懸濁し、0.1mlの体積におけるおよそ5×106細胞を動物の背面の右側腹部に皮下注射した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べ、−2日目から開始して22日間にわたって1週間に2回投薬した(−2、2、6、9、13、16、20日目における合計7回の注射)。抗体を10ml/kgの体積で投与した。20日目に、処置を停止し、27日目まで動物をモニターした。
【0193】
【表6】
この研究の期間中にわたって、腫瘍の測定を、デジタルカリパスを用いて1週間に2回行った。腫瘍の寸法を記録し(長さおよび幅)、式W2×L×0.536(Wは、最も広い幅の腫瘍の寸法であり、Lは、最も長い長さである)を用いて、腫瘍の体積を計算した。この研究の結果を、図1に示す。腫瘍の体積とは、14匹の動物の群あたりの平均値のことを指す。50mg/kgのGBR500の用量において、腫瘍のサイズは、27日目においてアイソタイプコントロールのおよそ60%だった。
【0194】
実施例3
nu/nu無胸腺マウスにおけるHT29ヒト結腸癌腫異種移植片に対するGBR500の効果
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0195】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、5つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表7に記載されるレジメンに従って、処置を開始した。
【0196】
【表7】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0197】
腫瘍:
以前にHT29細胞(ATCC HTB−38TM)を接種されていたマウス由来のHT29腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、120mm3だった。
【0198】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0199】
【数2】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0200】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0201】
結果および結論:
単一薬剤として1週間に2回投与されたHa1/29(5mg/kg)およびGBR500(50mg/kg)は、28日目において、腫瘍の重量をそれぞれ12%および16%阻害した。GBR500と併用されたHa1/29は、腫瘍重量の19%の減少を示した(表8)。
【0202】
【表8】
抗体で処置された群の最大の抗腫瘍活性は、16日目に観察され、腫瘍重量の阻害は、33、18、33%だった(それぞれHa1/29、GBR500および併用群)。40mg/kgで投与されたAvastin(登録商標)は、28日目において50%の腫瘍成長阻害を示した。図2では、異なる処置群において観察された平均腫瘍成長の比較が示されている。処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【0203】
実施例4
ヒト細胞株におけるCD49b(インテグリンサブユニットα2)の発現レベルの検出
細胞株および培養条件
細胞溶解産物のパネルをCD49bの発現についてスクリーニングした。このパネルは、癌化していない4つのヒト細胞株(BJ、I407、初代線維芽細胞、WRL−68)および様々な組織/器官(結腸直腸、皮膚、乳房、前立腺、膵臓、肺、子宮頸部、腎臓、卵巣、CNS、骨、肝臓、甲状腺および血液を含む)由来の96個のヒト癌細胞株からの溶解産物からなるものだった。使用した細胞株を表9Aおよび9Bに示す。
【0204】
【表9A】
【0205】
【表9B】
ウエスタンブロット用の溶解産物の調製
10%ウシ胎児血清の存在下の適切な成長培地中に維持された細胞株のサブコンフルエントの培養物から溶解産物を調製する(詳細については表8を参照のこと)。接着性細胞株を150mmプレートに播種した(細胞をおよそ60〜70%集密度で回収した);懸濁液細胞株をT−175フラスコ内で生育した(細胞をおよそ200,000細胞/mlで回収した)。
【0206】
接着性細胞株に対するプロトコル:
1)冷PBS(Ca2+およびMg2+を含まない)でプレートを洗浄する。PBSを除去する。
2)過剰なPBSを片側に寄せて除去する。
3)1mlの冷溶解緩衝液を加え、プレートを氷上に置く。細胞をこすり落とす。
4)溶解産物を回収し、さらなる200μlの溶解緩衝液でプレートを洗浄し、溶解産物に加え、低温室で15分間撹拌する。
6)微量遠心管において15分間遠心する(15000rpm、4℃)。
7)上清を回収し、一定量に分割して液体窒素中で凍結する。
8)BSA基準曲線を用いて、各溶解産物のアリコート中のタンパク質濃度を測定する。
9)完全溶解緩衝液、4×LDSサンプル緩衝液、20×還元剤(1M DTT)でサンプルを1mg/mlにして、10分間煮沸する。
【0207】
懸濁細胞株に対するプロトコル:
1)細胞懸濁液を15分間遠心し(2000rpm、4℃)、培地を除去する。
2)冷PBS(Ca2+およびMg2+を含まない)で洗浄し、15分間遠心し(2000rpm、4℃)、PBSを除去する。
3)1mlの冷溶解緩衝液を加え、細胞溶解産物を氷中でピペッティングする。
4 細胞/溶解産物を低温室で15分間撹拌し続ける。
6)15分間遠心する(15000rpm、4℃)。
7)上清を回収し、一定量に分割して液体窒素中で凍結する。
8)同じBSA基準曲線を用いて、すべての溶解産物中のタンパク質濃度を並行して測定する。
9)完全溶解緩衝液、4×LDSサンプル緩衝液、20×還元剤(1M DTT)でサンプルを1mg/mlにして、10分間煮沸する。
【0208】
完全溶解緩衝液の組成:
50mM Hepes pH7.5
150mM NaCl
1% Tritonx−100
1% デオキシコレート
0.1% SDS
10mM EDTA
必要に応じて、使用の直前にDTT(最終1mM)およびプロテアーゼ/ホスファターゼインヒビターカクテル(Sigma P−2850,P−5726,P−8340)を加える。DTT還元剤(Biorad,cat.#161−0610):50mM最終濃度。
【0209】
LDSサンプル緩衝液の組成(Invitrogen,cat.#029822201):
106mM Tris HCl pH8.5
150mM Tris塩基 1%TritonX−100
2% LDS
10% グリセロール
0.51mM EDTA
0.22mM Serva Blue G250
0.175mM フェノールレッド
ウエスタンブロット
4〜12%Bis−TrisMidiゲル(Invitrogen)を製造者の指示書に従って使用して、タンパク質抽出物(10μgタンパク質/サンプル)をSDS−PAGEによって分離した。転写後に膜をPonceau Redで染色した。5%脱脂粉乳を含むブロッキング緩衝液中に1:1000および1:2000で希釈したそれぞれ抗CD49b抗体および抗GAPDH抗体を使用した。5%脱脂粉乳を含むブロッキング緩衝液中のHRP結合体化2次抗体を1:5000で使用した。
【0210】
本研究で使用した抗体
・マウスモノクローナルIgG2a抗CD49b(インテグリンα2鎖)抗体(Becton Dickinson,cat.#611016);
・ウサギポリクローナルIgG抗GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)抗体(Santa Cruz Biotechnology,cat.#sc−25778);
・HRP結合体化抗マウスおよび抗ウサギ抗体(Pierce);
・ビオチン−GBR500(lot AT−220208A)組換えヒト化モノクローナル抗体;
・ビオチン−IgG4(lot AT−090108A)組換えヒト化モノクローナル抗体(Glenmark Pharmaceuticals S.A.);
・FluorolinkTMCyTM2ヤギ抗マウスIgG(GE Healthcare,cat.#PA42002);
・ストレプトアビジン−FITC(BD Pharmingen,ca.#554060)。
【0211】
免疫蛍光法のためのサンプルの調製
細胞をLab−Tekチャンバースライド(Nunc)内で48時間培養し(70,000細胞/チャンバー)、その後、ホルムアルデヒド3.7%(v/v)で20分間固定した。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで、PBS中に1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)および0.3%(v/v)Triton X−100(Sigma−Aldrich)を含むブロッキング溶液で30分間飽和させた。推奨される希釈で1次抗体をブロッキング溶液中に加えた。37℃で1時間インキュベートした後、溶液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。
【0212】
推奨される希釈で、2次抗体、またはストレプトアビジン−FITCを1mg/ml DRAQ5TM(Alexis,cat.#BOS−889−001−R200)とともにブロッキング溶液中に加えた。スライドを37℃で1時間インキュベートし、次いで、溶液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。PBSを除去し、Mowiol溶液(Mowiol 4.88,Calbiochem cat.#475904)を用いてスライドにカバーガラスを載せた。
【0213】
レーザー走査型共焦点顕微鏡
Radiance 2000レーザー走査システム(Bio−Rad,40×対物レンズ,油浸)に連結されたAxioplan顕微鏡(Zeiss)を用いて、免疫蛍光法の像を得た。Kalmanフィルターを用いて像を取得した(10反復);レーザー出力は、異なるサンプルにおいて同じ蛍光チャネルに対して等しかった。
【0214】
結果および結論
ヒト細胞株におけるCD49b発現のウエスタンブロット解析
膜のPonceau Red染色から、膜への細胞タンパク質の均一な転写が確かめられた。
【0215】
CD49bおよびGAPDHの発現に対するウエスタンブロット解析を図3に示す。全体的に見て、CD49bは、接着性細胞株において遍在的に発現しているが、懸濁細胞株ではそうではない(白血病−ブロック15およびSCLC−ブロック20)。いくつかの接着性細胞株が、検出不可能なCD49bレベルを有すること(例えば、MIA PaCa−2およびU031)、逆に、懸濁液中で生育された細胞株が高いCD49bレベルを発現すること(CEM/VM1およびRS4−11)といういくつかの例外がある。すべての細胞株が、一貫したGAPDH発現を示し、これをローディング/WBコントロールとして使用した。
【0216】
最高レベルのCD49bが、以下の細胞株に見られた:
−HT−1080(線維肉腫);
−BxPC−3(膵臓腺癌);
−CAL−12T(非小細胞肺癌);
−NCI−H1299(非小細胞肺癌);
−TK10(腎臓腺癌);
−SNB19およびU251(神経膠芽腫);
−A431(類表皮癌腫)。
結腸直腸癌腫に関して、22個の試験された株の大部分が、CD49bの同種の中程度に高い相対的な発現を示した。試験された22個の株のうち3つだけが、比較的低い発現レベルだったが、なおも容易にウエスタンブロットによって検出可能だった。
【0217】
選択された細胞株における、GBR500抗体を用いた共焦点顕微鏡によるCD49bの検出
共焦点顕微鏡を使用することにより、Becton−Dickinsonの抗CD49bを用いて得られたウエスタンブロットデータが細胞表面発現と相関したか否かを、GBR500を用いて試験した。研究されたサンプルでは、GBR500を用いることにより、ウエスタンブロットによって判断された抗原を高発現する細胞株が、特異的な免疫反応性を原形質膜で示したことも見出された。原形質膜にCD49bを発現するがゆえにインビボ研究に適し得るヒト腫瘍細胞株としては、HT−29結腸直腸癌腫株およびBX−PC3膵臓癌腫株が挙げられるが、多くのさらなる候補が本研究において同定された。
【0218】
5つの選択された細胞株(HT−1080、BxPC−3、MIAPaCa2、HT−29およびSW480)を、ビオチン−GBR500およびビオチン−hIgG4(無関係なアイソタイプ)で免疫染色し、レーザー走査型共焦点顕微鏡によって解析した。BD抗CD49b抗体を用いたウエスタンブロッティングによって得られた結果に基づいて、これらの腫瘍細胞株を選択した:
BxPC−3:高レベルのCD49bを有する膵臓癌腫
MIAPaCa2:検出不可能なCD49bを有する膵臓癌腫
HT−29:中程度に高レベルのCD49bを有する結腸直腸癌腫
SW480:比較的低いが検出可能なレベルのCD49bを有する結腸直腸癌腫
高レベルのCD49bを発現すると知られている線維肉腫細胞株HT1080をポジティブコントロールとして使用した:共焦点顕微鏡によって、原形質膜のラメリポディア様の領域に集中する強い膜の染色が確かめられる(図4)。
【0219】
図5(BxPC−3)および図6(MIA PaCa2)に報告される像に示されるように、BD抗体を用いて得られたウエスタンブロットデータとGBR500を用いて得られた免疫細胞化学の結果との間に相関が存在するとみられる:BxPC−3は、強い陽性であり、MIAPaCa2は、GBR500で染色されない。特に、共焦点顕微鏡から、BxPC−3については、細胞と細胞との接触領域内の細胞膜の強いビオチン−GRB500免疫染色が明らかになったが、ビオチン−hIgG4免疫染色は明らかにならなかった。これは、HT−1080細胞と異なる染色パターンであり、GBR500染色は、おそらく原形質膜のラメリポディア様領域に限局される。
【0220】
結腸腺癌細胞株HT−29は、BX−PC−3細胞において観察された分布と同様の分布で強いビオチン−GRB500免疫染色を示した(図7)。
【0221】
ウエスタン(Wesetrn)ブロットによって判断されたときにCD49b発現が低い別の株であるSW480細胞では、ビオチン−GBR500染色は、ビオチン−IgG4染色とほぼ識別不能(indistinguishible)だったことから(図8)、ウエスタンブロットによって検出された低いCD49b発現レベルが確かめられた。
【0222】
結論として、CD49b発現は、結腸癌腫細胞株の大部分、ならびに他のいくつかの固形腫瘍タイプにおいて検出され、ここで、それは、通常検出されるものである。CD49b発現は、小細胞肺癌腫および白血病/リンパ腫では比較的珍しい。ウエスタンブロットによって判断されるとき最も多く発現している細胞株は、HT−1080(線維肉腫)、BxPC−3(膵臓腺癌)、CAL−12T(非小細胞肺癌)、NCI−H1299(非小細胞肺癌)、TK10(腎臓腺癌)、SNB19およびU251(神経膠芽腫)である。
【0223】
実施例5
nu/nu無胸腺マウスにおけるA549非小細胞肺癌異種移植片に対するGBR500の効果
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0224】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、4つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表10に記載されるレジメンに従って、腫瘍を移植した6日後に処置を開始し、27日目まで続けた。
【0225】
【表10】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0226】
腫瘍:
A549上皮(epitelial)肺癌腫細胞株(ATCC(登録商標)番号:CCL−185)を非小肺細胞癌に対する代表例として使用した。A549異種移植片由来の腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、120mm3だった。
【0227】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0228】
【数3】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0229】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0230】
結果および結論:
表11から分かるように、抗体処置群の最大の抗腫瘍活性は、17日目に観察され、腫瘍重量阻害は、18%および11%だった(それぞれHa1/29+GBR500併用群)。40mg/kgで投与されたAvastin(登録商標)は、28日目に20%の腫瘍成長阻害を示した。図9では、様々な処置群において観察された平均腫瘍成長の比較が示されている。処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【0231】
【表11】
実施例6
カニクイザルにおけるGBR500毒物動態学(toxicokinetcs)
毒物動態学のエンドポイントを用いた6週間の毒性研究の一部として、およそ60分間にわたる緩徐な静脈内注入によってGBR500をカニクイザルに投薬した。その動物に、6週間にわたって1週間に1回投薬した(1、8、15、22、29および36日目)。投薬群の割り当ておよび用量レベルを下記の表12にまとめる:
【0232】
【表12】
1日目(投薬前、点滴の15分後、4、8、24、48および120時間後、8日目(投薬前、点滴の15分後)、15日目(投薬前、点滴の15分後)、22日目(投薬前、点滴の15分後)、29日目(投薬前、点滴の15分後)、36日目(投薬前、点滴の15分後、4、8、24、48および120時間後)および50、57、64、71、78、84、91および98日目に、動物から1mlの血液サンプルを採取した。GBR500の濃度を、確証されたELISAアッセイを用いて測定した。
【0233】
各動物の毒物動態学(TK)プロファイルを、確証されたコンピュータソフトウェア(WinNonlin,バージョン3.2,Pharsight Corp.,Mountain View,California,USA)を用いたGBR500血清濃度のノンコンパートメント(non−compartmental)解析によって特徴づけた。血管投与経路および血清マトリックスに基づいてモデルを選択した。パラメータを推定する目的のために、1日目の時間0における濃度を0と仮定した。投薬前の時点において得られた血清濃度値を、36日目の時間0における濃度を推定するために使用した。
【0234】
群4の回復動物について、半減期T1/2が、199〜316時間と推定され、分布容積Vzが、10.1〜23.6mL/kg、クリアランスCLが、0.03〜0.60mL/時/kgと推定された。VzおよびCLの推定値から、GBR500が、血漿を超えて分布されず、血漿から非常にゆっくりとクリアランスされることが示唆された。図10Aおよび10Bは、雄および雌サルに対する100mg用量群の濃度曲線を示している。
【0235】
実施例7
ヒト線維肉腫細胞株上で発現されているヒトα2インテグリンとヒトコラーゲンとの相互作用を阻害する際の抗α2インテグリン抗体の力価のインビトロ評価
材料および方法
フローサイトメトリーおよびコラーゲン結合阻害アッセイを、実施例1に記載したように行った。線維肉腫細胞株HT−1080を本実験に使用した(表13)。SK−BR−3について記載したように、HT−1080をトリプシン処理することによりフローサイトメトリー用の細胞を調製した。
【0236】
【表13】
結果
【0237】
【表14】
HT−1080によるVLA−2発現は、高かった。
【0238】
コラーゲン結合アッセイ
【0239】
【表15】
GBR500およびTMC−2206は、ヒトコラーゲンIへのHT−1080細胞の結合を阻害した。
【0240】
結論
線維肉腫細胞株HT−1080上のα2インテグリン発現を、蛍光標識されたGBR500抗体を用いて検出した。VLA−2発現レベルは、高い。VLA−2陽性細胞株HT−1080は、ヒトコラーゲンI型に接着した。この結合は、VLA−2抗体であるGBR500およびTMC−2206によって阻害された。
【0241】
実施例8
nu/nu無胸腺マウスにおけるHT−1080線維肉腫異種移植片に対するGBR500の作用
Harlan,ItalyからのNu/Nu雄マウスを使用した。その動物を、水蒸気オートクレーブされた(滅菌)寝わらを用いたケージ内に維持し、食餌および水を随意に与えた。動物を、データシート上に見られる一意に番号付けされた耳タグによって特定した。腫瘍を移植した日の体重は:24〜31gだった。
【0242】
群の数−処置スケジュール:
群の数は、4つだった。1群あたりの動物の数は、10匹だった。表16に記載されるレジメンに従って、処置を開始した。
【0243】
【表16】
物質:
試験化合物は、使用するまで4℃の温度で保存し、光から保護した。試験化合物を、リン酸緩衝食塩水中の0,03%Tween−80TMに溶解し、正しい濃度に達するために使用する直前に希釈した(PBS中にIgG4アイソタイプ、Ha1/29およびGBR500;食塩水溶液中にAvastin(登録商標))。10ml/kgの体積で腹腔内に(IP)処置を行った。
【0244】
腫瘍:
HT−1080線維肉腫細胞株(ATCC(登録商標)番号:CCL−121)を使用した。HT−1080異種移植片由来の腫瘍フラグメントを、無胸腺ヌードマウスの左側腹部の皮下に移植した。腫瘍の外観について動物を定期的に調べた。測定可能な腫瘍が、マウスの大部分に確立されたら、1群あたり10匹のマウス(1ケージあたり5匹のマウス)を目標として動物を処置群に割り当てた。処置を開始したとき、平均腫瘍体積は、約300mm3だった。
【0245】
異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性および毒性の評価:
1週間に少なくとも2回、腫瘍の成長および正味の体重を評価した。腫瘍の成長は、カリパスによって評価した。腫瘍の寸法を、カリパスによって実験中に定期的に測定し、腫瘍の質量を、以下のとおり計算した:
【0246】
【数4】
腫瘍組織については、密度d=1mg/mm3と仮定する。
【0247】
体重の減少に基づいて毒性を評価した。腫瘍がマウスを妨害する体積に達したときに、マウスを屠殺した。
【0248】
結果および結論:
抗体を2回投与した後の11日目において、Avastinによって、腫瘍の重量がコントロールに対して31.6%減少した。Ha1/29 5mg/GBR500 5mgの併用によって、腫瘍重量が3.5%減少し、Ha1/29 5mg/GBR500 50mgの併用によって、腫瘍重量が27.7%減少した(表17)。
【0249】
【表17】
処置は、十分に耐容性を示し、実験中死亡したマウスは、処置群中には見られなかった。処置中および処置後に窮迫の徴候は観察されず、著しい体重減少も観察されなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法であって、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位が、Thrであり、そして/または31位が、Asnである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位が、Lysであるか、(b)73位が、Asnであるか、(c)78位が、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列WGQGTLVTVSS(配列番号13)を含むFW4領域をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記重鎖可変領域が、HCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)およびHCDR3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)が、グルタミン(Q)によって置き換えられている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位が、Pheであるか、(b)45位が、Lysであるか、(c)48位が、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列FGQGTKVEIK(配列番号38)を含むFW4領域をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記軽鎖可変領域が、LCDR1(配列番号4)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記軽鎖可変領域が、LCDR1(配列番号112)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号188を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含むか、(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含むか、または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位が、Thrであり、そして/または31位が、Asnであるか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)が、グルタミン(Q)によって置き換えられているか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
(i)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位が、Lysであるか、(b)73位が、Asnであるか、(c)78位が、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;(ii)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位が、Pheであるか、(b)45位が、Lysであるか、(c)48位が、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;あるいは(iii)(i)と(ii)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号174または配列番号176を含む重鎖および配列番号178を含む軽鎖を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、ヒトα2インテグリンのIドメインを認識する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2β1インテグリンに結合する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2β1インテグリンリガンドへのα2またはα2β1インテグリンの結合を阻害する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記α2β1インテグリンリガンドが、コラーゲン、ラミニン、エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン、コレクチンおよびC1q補体タンパク質から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2インテグリンのエピトープに結合し、該エピトープが:
(a)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の192位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の40位に対応するLys残基;
(b)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の225位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の73位に対応するAsn残基;
(c)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の241位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の89位に対応するGln残基;
(d)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の245位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の93位に対応するTyr残基;
(e)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の317位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の165位に対応するArg残基;
(f)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の318位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の166位に対応するAsn残基;または
(g)(a)から(f)の任意の組み合わせ
を含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、完全長抗体である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、抗原結合フラグメントである、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法であって、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗体または前記組成物が、静脈内注入または静脈内ボーラスによって投与される、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記治療有効量が、約0.1から約100mg/kgに及ぶ、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗体または前記組成物が、2週間ごとに1回投与される、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、(a)血小板活性化、(b)血小板凝集、(c)循環血小板数の減少、(d)出血性合併症、または(e)(a)から(d)の任意の組み合わせを伴わない、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗体または前記組成物が、1つ以上の癌医薬と同時投与される、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
同時投与される前記1つ以上の癌医薬が、別の抗体、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗血管新生薬、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、細胞傷害性放射線治療、コルチコステロイド、制吐作用の癌ワクチン、鎮痛薬、抗血管剤または成長抑制剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための方法において使用するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、あるいは該ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物。
【請求項50】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項51】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項52】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項53】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項54】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項55】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項56】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための医薬を調製するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、あるいは該ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物の使用。
【請求項57】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項58】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項59】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項60】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項61】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項62】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項63】
ヒト患者における、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するためのキットであって、該キットは、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体を含むヒト化抗α2インテグリン抗体組成物と、該処置のために該ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用するための指示書とを含むパッケージを備える、キット。
【請求項64】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項66】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項67】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項68】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項69】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項63に記載のキット。
【請求項70】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項63に記載のキット。
【請求項71】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項63に記載のキット。
【請求項72】
ヒト化抗α2インテグリン抗体、容器およびラベルを含む製品であって、該ヒト化抗α2インテグリン抗体は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、該ラベルは、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するために該ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用することを示している、製品。
【請求項73】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項74】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項75】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項76】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項77】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項78】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項72に記載の製品。
【請求項79】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項72に記載の製品。
【請求項80】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項72に記載の製品。
【請求項1】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法であって、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位が、Thrであり、そして/または31位が、Asnである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位が、Lysであるか、(b)73位が、Asnであるか、(c)78位が、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列WGQGTLVTVSS(配列番号13)を含むFW4領域をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記重鎖可変領域が、HCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)およびHCDR3(配列番号3)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)が、グルタミン(Q)によって置き換えられている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位が、Pheであるか、(b)45位が、Lysであるか、(c)48位が、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記軽鎖可変領域が、アミノ酸配列FGQGTKVEIK(配列番号38)を含むFW4領域をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記軽鎖可変領域が、LCDR1(配列番号4)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記軽鎖可変領域が、LCDR1(配列番号112)、LCDR2(配列番号5)およびLCDR3(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号188を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含むか、(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含むか、または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の30位が、Thrであり、そして/または31位が、Asnであるか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中のアミノ酸26位のアスパラギン(N)が、グルタミン(Q)によって置き換えられているか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
(i)前記重鎖可変領域が、配列番号185のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)71位が、Lysであるか、(b)73位が、Asnであるか、(c)78位が、Valであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;(ii)前記軽鎖可変領域が、配列番号186のアミノ酸配列を含み、その配列中の(a)2位が、Pheであるか、(b)45位が、Lysであるか、(c)48位が、Tyrであるか、または(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせであるか;あるいは(iii)(i)と(ii)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号70〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号41、配列番号80〜92および配列番号108から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号70〜75、配列番号77〜79および配列番号109〜111から選択されるアミノ酸配列を含むか;(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号90〜92から選択されるアミノ酸配列を含むか;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号187を含む重鎖および配列番号188を含む軽鎖を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、配列番号174または配列番号176を含む重鎖および配列番号178を含む軽鎖を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、ヒトα2インテグリンのIドメインを認識する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2β1インテグリンに結合する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2β1インテグリンリガンドへのα2またはα2β1インテグリンの結合を阻害する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記α2β1インテグリンリガンドが、コラーゲン、ラミニン、エコーウイルス−1、デコリン、E−カドヘリン、マトリックスメタロプロテアーゼI(MMP−I)、エンドレペリン、コレクチンおよびC1q補体タンパク質から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、α2インテグリンのエピトープに結合し、該エピトープが:
(a)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の192位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の40位に対応するLys残基;
(b)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の225位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の73位に対応するAsn残基;
(c)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の241位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の89位に対応するGln残基;
(d)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の245位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の93位に対応するTyr残基;
(e)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の317位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の165位に対応するArg残基;
(f)配列番号8に示されているα2インテグリンのアミノ酸配列の318位または配列番号11に示されているα2インテグリンIドメインのアミノ酸配列の166位に対応するAsn残基;または
(g)(a)から(f)の任意の組み合わせ
を含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、完全長抗体である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が、抗原結合フラグメントである、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置する方法であって、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む治療有効量のヒト化抗α2インテグリン抗体ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗体または前記組成物が、静脈内注入または静脈内ボーラスによって投与される、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記治療有効量が、約0.1から約100mg/kgに及ぶ、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗体または前記組成物が、2週間ごとに1回投与される、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、(a)血小板活性化、(b)血小板凝集、(c)循環血小板数の減少、(d)出血性合併症、または(e)(a)から(d)の任意の組み合わせを伴わない、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗体または前記組成物が、1つ以上の癌医薬と同時投与される、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
同時投与される前記1つ以上の癌医薬が、別の抗体、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗血管新生薬、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、細胞傷害性放射線治療、コルチコステロイド、制吐作用の癌ワクチン、鎮痛薬、抗血管剤または成長抑制剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための方法において使用するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、あるいは該ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物。
【請求項50】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項51】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項52】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項53】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項54】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項55】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項49に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物。
【請求項56】
扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するための医薬を調製するための、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体、あるいは該ヒト化抗α2インテグリン抗体および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物の使用。
【請求項57】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項58】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項59】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫、類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項60】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項61】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項62】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項56に記載のヒト化抗α2インテグリン抗体または組成物の使用。
【請求項63】
ヒト患者における、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するためのキットであって、該キットは、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗α2インテグリン抗体を含むヒト化抗α2インテグリン抗体組成物と、該処置のために該ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用するための指示書とを含むパッケージを備える、キット。
【請求項64】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項66】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項67】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項68】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項63に記載のキット。
【請求項69】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項63に記載のキット。
【請求項70】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項63に記載のキット。
【請求項71】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項63に記載のキット。
【請求項72】
ヒト化抗α2インテグリン抗体、容器およびラベルを含む製品であって、該ヒト化抗α2インテグリン抗体は、(a)HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)、(b)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)もしくは(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに/または(a)SANSSVNYIH(配列番号4)もしくはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、該ラベルは、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫からなる群より選択される癌を処置するために該ヒト化抗α2インテグリン抗体を使用することを示している、製品。
【請求項73】
前記癌が、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌腫および様々なタイプの頭頸部癌、ならびに低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍に関連するような浮腫、メイグス症候群、メラノーマ、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項74】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、多発性骨髄腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項75】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、中皮腫、線維肉腫、骨肉腫および類表皮癌腫、転移性結腸直腸癌、転移性前立腺癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項76】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、線維肉腫、転移性結腸直腸癌および転移性乳癌からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項77】
前記癌が、膵癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌および線維肉腫からなる群より選択される、請求項72に記載の製品。
【請求項78】
前記癌が、膵癌、乳癌または転移性乳癌である、請求項72に記載の製品。
【請求項79】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)(a)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)または(b)配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)(a)SANSSVNYIH(配列番号4)またはSAQSSVNYIH(配列番号112)から選択されるLCDR1、(b)LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)および(c)LCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項72に記載の製品。
【請求項80】
前記ヒト化抗α2インテグリン抗体が:
(i)HCDR1(GFSLTNYGIH、配列番号1)、HCDR2(VIWARGFTNYNSALMS、配列番号2)およびHCDR3(ANDGVYYAMDY、配列番号3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)LCDR1(SAQSSVNYIH、配列番号112)、LCDR2(DTSKLAS;配列番号5)およびLCDR3(QQWTTNPLT、配列番号6)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項72に記載の製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−507499(P2012−507499A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533849(P2011−533849)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007351
【国際公開番号】WO2010/052556
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(510168852)グレンマーク ファーマシューティカルズ, エセ.アー. (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007351
【国際公開番号】WO2010/052556
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(510168852)グレンマーク ファーマシューティカルズ, エセ.アー. (13)
【Fターム(参考)】
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