説明

抗ウィルス特性を有する情報媒体及び同物を作る為の方法

本発明は、多くのユーザにより取り扱われることになり且つ抗ウィルス特性を有する情報媒体、例えば紙幣など、及び同物を製造する為の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に多数のユーザにより取り扱われることが意図された情報媒体、例えば紙幣など、に関する。
【0002】
本発明は、有利には抗ウィルス特性も有するこの種の情報媒体、及び、同物を製造する為の方法を提案することをより特には目的とする。
【背景技術】
【0003】
現代社会において、情報を伝達する為の媒体の増加している非常に多くの量が、非常に多くの個体により毎日及び頻繁に取り扱われており、それらについてヘルスコントロールは要求されない。
【0004】
それが起こるに従い、これらの個体は、彼らの環境に起因して、彼らの職業的な活動に起因して、彼らの周囲に起因して、及び/又は彼らのライフスタイルの健全さに起因して、ウィルスを運ぶことがあり、多かれ少なかれ深刻な伝染性の及び流行性の病気を生じることができ、そして、この点において、彼らが接触する媒体を汚染することができる。
【0005】
この媒体が、その性質のおかげで、代わる代わる循環する場合、それは次にそれ自体が、ウィルス普及の重要な媒体になり、そして、それを取り扱うものにおける感染を潜在的に引き起こしうる。
【0006】
加えて、最近、情報媒体のウィルス汚染によるテロリスト攻撃の可能性がもはや無視されるべきものでないので、これらの情報媒体を取り扱うことに関連するリスクが特に明確なものになってきている。
【0007】
商取引の間の交換貨幣として、紙幣は世界中で最も広く取り扱われている情報媒体の一つを構成し、そして、結果として、潜在的な健康の脅威を代表する。
【0008】
それは、それ自体において、病気の伝染のための潜在的ベクターを構成し、そして、それを取り扱う者に関して、病原性媒介物の量に依存して、試料のビルレンスに依存して、及び個体の耐性に依存して悪化されうる種々の感染をもたらしうる。
【0009】
例えば、紙幣は、インフルエンザ流行を促進することに寄与しうる。すなわち、最近の研究は、インフルエンザウィルスが、慣用の紙幣上で最大で17日間生き続けることができることを実証した。
【0010】
国際公開第03/084326号パンフレットは、静菌性及び/又は殺菌性並びに静真菌性及び/又は殺真菌性の剤をそのような情報媒体に加えることを企図する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特にウィルスと戦う為に、そして、ウィルス伝達及びウィルス汚染のリスクを回避する為に有効な情報媒体についてのニーズがなおある。
【0012】
抗ウィルス活性を有し、一方でそれと同時に、ユーザに危険を何らもたらさない、特には殺ウィルス剤としての毒性のある及び/又は危険な化合物を用いない情報媒体についてのニーズもある。
【0013】
長く続く抗ウィルス活性を有する情報媒体を有することも望ましい。
【0014】
抗ウィルス活性が情報媒体に優先的に付けられたままである情報媒体を有することも望ましい。
【0015】
本発明は、抗菌特性を有し及びこれらのニーズを満たす情報媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
多数の殺ウィルス性組成物を試験した後、本出願人は、驚くべきことに、情報媒体を天然由来の殺ウィルス剤を用いて処理することにより上記で述べられた課題を解決することに成功した。
【0017】
すなわち、その局面の一つに従い、本発明は、比較的頻繁に取り扱われることが意図された情報媒体であって、それが少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤の有効量と少なくとも1つの保湿剤とを含むことを特徴とする前記情報媒体に関する。
【0018】
そのような媒体は、すなわち、抗ウィルス特性を有する情報媒体、すなわち、ウィルスに対して活性である能力を有する情報媒体として説明されうる。
【0019】
本発明に従い用いられる殺ウィルス剤は、有利には、それらを取り扱うことになる個体に対して特定の毒性もなにも示さず、そして、特定のガイドラインに付されない。
【0020】
その局面の他に従い、本発明は、上記で定義されたとおりの情報媒体を製造する為の方法であって、基本媒体を、少なくとも1つの保湿剤の存在下において、天然由来の該殺ウィルス剤又は特にはその前駆体と、該媒体のレベルでのそれらを組み込みに適した条件下で、接触させることからなる工程を少なくとも含む前記方法に関する。
【0021】
その局面のさらに他に従い、本発明は、抗ウィルス性情報媒体を製造する為の方法であって、天然由来の少なくとも1つの殺ウィルス剤が、例えばセルロース性材料及び/又はプラスチック材料から構成される基本媒体のレベルでin situで合成されることを特徴とする前記方法にも関する。
【0022】
以下から、該媒体の殺ウィルス特性が、それらに、該媒体の少なくとも1つの該殺ウィルス剤を含む組成物による処理によって与えられることが明らかである。
【0023】
この処理は、該媒体を調製する為の方法の間に、しかし連続的にも、実施されうる。
【0024】
すなわち、本発明に従う該媒体の殺ウィルス特性は、少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤を含むインクによるそれらのプリンティングの間に、又は、少なくとも1つのそのような天然由来の殺ウィルス剤を含むワニス、特にはオーバープリントワニスを堆積することにより、それに与えられうる。
【0025】
結果として、本発明は、本発明に従う情報媒体にも関し、その殺ウィルス特性は、該媒体上にプリントされるインクにより与えられ、該インクは少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤を含む。
【0026】
それは、本発明に従う情報媒体にも関し、その殺ウィルス特性は、該媒体上に堆積されるワニス、特にはオーバープリントワニスの存在により与えられ、該ワニスは、少なくとも1つの天然由来の該殺ウィルス剤を含む。
【0027】
少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤を含む情報媒体
【0028】
情報媒体
【0029】
上記で示されたとおり、本発明の文脈においてより特に考慮される情報媒体は、比較的頻繁に取り扱われることが意図された情報媒体である。
【0030】
本発明の目的の為に、「比較的頻繁に取り扱われることが意図された情報媒体」とは、同じ個体により手で少なくとも2回又は少なくとも2の異なる個体により手で少なくとも2回取り扱われる媒体である。手での取り扱いは、手の少なくとも一部による、少なくとも1回の接触、例えば1回つかむこと、から構成されうる。
【0031】
すなわち、1回使用の媒体は、例えば、本発明に従う情報媒体であると考えられない。
【0032】
本発明に従う情報媒体は、より特には、周囲環境での使用の為に意図された媒体である。
【0033】
言い換えると、本発明に従い考慮される該媒体は、一般的に、液状媒体中の使用、より特には水性媒体中の使用にささげられない。
【0034】
本発明に従う比較的頻繁に取り扱われることが意図された情報媒体は、特に、少なくとも1つのセキュリティ要素を含むセキュリティ文書(security document)でありうる。
【0035】
該セキュリティ文書、及び、それが含む該セキュリティ要素、例えばセキュリティ・スレッド(security thread)、すかし、パターン、パッチ(a patch)、及び/又は箔(a foil)などは、本明細書以下で定義されるとおりの、1又はそれより多いセキュリティ要素を含みうる。
【0036】
該セキュリティ要素のうち、いくつかは、目により、日光下において又は人工光下において、特定の装置を使用すること無く、検出可能である。これらのセキュリティ要素は、例えば、着色された繊維又はプランシェット(planchette)、又は完全に若しくは部分的に印刷された又は金属化された糸を含む。これらのセキュリティ要素は、第一レベルのセキュリティ要素と称される。
【0037】
他の種類のセキュリティ要素は、比較的簡単な装置、例えば紫外(UV)領域又は赤外(IR)領域における放射をするランプなど、を用いることだけで検出可能である。これらのセキュリティ要素は、例えば、繊維、プランシェット、ストリップ、糸、又は粒子を含む。これらのセキュリティ要素は、裸眼で見えてよく又は見えなくてよく、例えば、365 nmの波長における光を放つWoodランプからの照明下で発光する。これらのセキュリティ要素は、第二レベルのセキュリティ要素と称される。
【0038】
さらに他の種類のセキュリティ要素は、それらの検出の為に、より洗練された検出装置を要求する。これらのセキュリティ要素は、例えば、それらが1又はそれより多い外部励起源に、任意的に同時に、付されたときに、特定のシグナルを生成することができる。該シグナルの自動的な検出は、要求されたときに、該文献が本物であることを証明することを可能にする。これらのセキュリティ要素は、例えば、活性な材料、粒子、又は繊維の形にあるトレーサーを含み、これらのトレーサーが、オプトロニックな(optronic)、電気的な、磁力的な、又は電磁気的な励起に付されたときに特定のシグナルを生成することができる。これらのセキュリティ要素は、第三レベルのセキュリティ要素と称される。
【0039】
該セキュリティ文書及びそれらが含むセキュリティ要素内に存在するセキュリティ要素は、第一のレベルの、第二のレベルの、又は第三のレベルのセキュリティ特徴を有しうる。
【0040】
本発明に従う情報媒体は、当技術分野の当業者に既知の製紙繊維、例えばセルロース繊維(特には綿繊維)及び/又はセルロース繊維以外の天然の有機繊維及び/又は合成繊維、例えばポリエステル繊維又はポリアミド繊維など、及び/又は任意的に無機繊維、例えばガラス繊維など、を含む基体を含みうる。
【0041】
一つの実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、セルロース材料、特には繊維、及び特には紙に基づく。
【0042】
他の実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、セルロース繊維以外の天然の有機繊維に基づく。
【0043】
さらに他の実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、プラスチック材料、特には合成繊維又はプラスチックシートに基づく。
【0044】
該媒体は、プラスチックフィルム、特にはポリエチレンに基づく二軸延伸されたフィルム、例えばArjobex社により販売されるPolyart(商標)材料など、であってもよい。それは、より特には、例えばコア層と少なくとも一つのスキン層を含む(該コア層はボイドを有する)少なくとも1つのポリマー材料から作られた、同時押し出しされた媒体を含むシートである。
【0045】
該媒体は、特には積層された又は接着された、多層の媒体であってもよい。該多層媒体は、特には、上記で記載されたとおりのセルロース材料又はプラスチック材料に基づく少なくとも1つの層を含む。
【0046】
さらに他の実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、無機繊維に基づく。
【0047】
本発明に従い考慮される情報媒体は、パスポート、身分証、運転免許証、アクセスカード、ポイントカード(a loyalty card)、コピー機カード、食堂カード、トランプ(a playing card)、収集趣味カード(a collectable card)、支払手段、特には支払カード、紙幣、購入伝票、又はレシート、文化的イベント又はスポーツイベントへの入場の為のチケット、鑑定書(a certificate of authenticity)、又はパッケージ、本、地理的地図、ラベル、封筒、又は雑誌でありうる。
【0048】
好ましくは、本発明に従う情報媒体は、セキュリティ文書、特には紙幣である。
【0049】
天然由来の殺ウィルス剤
【0050】
本発明に従う情報媒体は、少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤を含む。
【0051】
本発明の目的の為に、語「殺ウィルス剤」は、ウィルスを殺し又は阻害する能力を有するいずれかの化合物をいう。
【0052】
本発明に従う殺ウィルス剤は、より特には、哺乳類、及びより特にはヒトに関して病原性であるウィルスを殺すこと及び/又は阻害することに、より特にはささげられる。そのようなウィルスは、ネイキッドウィルス(naked viruses)又はエンベロープウィルスでありうる。
【0053】
本発明に従い考慮されうるヒトに対して病原性であるウィルスの代表として、より特には、レトロウィルス、サイトメガロウィルス、ロタウィルス、パラミクソウィルス、ポリオウィルス、ハンタウィルス、コクサッキーウィルス、脳心筋炎ウイルス、ピコルナウィルス、ライノウィルスを含む、DNAウィルス又はRNAウィルス、特にはフラビウィルス、AIDSウィルス、インフルエンザウィルス、スモールポックスウィルス、黄熱病ウィルス、C型肝炎ウィルス、ヘルペスウィルス、Epstein-Barrウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、風疹ウィルス、又は、シミアンウィルス40、又はSV40が言及されうる。
【0054】
語「天然由来の殺ウィルス剤」は、天然に前から存在する又は天然に存在する天然化合物から合成されうるいずれかの殺ウィルス剤を意味することが意図される。
【0055】
本発明の文脈において用いられうる天然由来の殺ウィルス剤は、すなわち、それらを含む天然媒体からの抽出及び精製により又は天然化合物からの合成により得られうる。
【0056】
そのような殺ウィルス剤の例として、グリセロール及びラウリン酸からの合成により得られうるモノラウリンが特に言及されうる。
【0057】
この第二の変形の場合、該グリセロール及び該ラウリン酸は、本発明の目的の為に、殺ウィルス剤前駆体を構成し、なぜなら、それらは、本発明に従う方法の終わりで、抗ウィルス特性を有する媒体を生成することを可能にするからである。
【0058】
より特には、語「前駆体」は、本発明に従い、本発明に従う方法の工程の間に、転化により又はそれに関連しそしてそれ故に前駆体とも説明される他の化合物との反応により、所望の殺ウィルス剤を生成することができる化合物をいう。
【0059】
一つの実施態様に従い、天然由来の殺ウィルス剤は、特には、モノラウリン、ラクトフェリン、及び、抗ウィルス活性を有する精油、例えば月桂樹精油など、から選ばれうる。
【0060】
本発明の目的の為に、語「モノラウリン」は、天然に前から存在するモノラウリン及びグリセロールとラウリン酸とからの合成により得られるものの両方を意味することが意図される。
【0061】
天然由来の殺ウィルス剤のこれら3種は、実際に、本発明の文脈において考慮される情報媒体の調製の為に特に有利な特性を有すると同定された。
【0062】
本発明に従う情報媒体は、少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤の有効量、すなわちそれを組み込む情報媒体に抗ウィルス特性を与えるのに十分な量の該殺ウィルス剤を含む。
【0063】
一つの実施態様において、それは、特には、殺ウィルス剤を組み込む該情報媒体に、実施例において記載された測定プロトコルに従い、1log超の抗ウィルス活性を与えるのに十分な量の天然由来の殺ウィルス剤でありうる。
【0064】
明らかな理由により、本発明に従い用いられるべき天然由来の殺ウィルス剤の量は、特には、該殺ウィルス剤の性質及び/又は該情報媒体の性質に依存し、そしてそれ故に、広い範囲で変わりうる。
【0065】
当技術分野の当業者は、彼らの一般的な知識に基づき、適切な量を容易に決定することができる。天然由来の殺ウィルス剤の量の調節は、当技術分野の当業者の能力の一部である。
【0066】
例として、本発明に従う情報媒体は、その全重量に対して、乾燥重量に基づき0.1〜2%、例えば0.5〜1.5乾燥重量%、の天然由来の殺ウィルス剤を含みうる。
【0067】
一つの実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、任意的に抗ウィルス活性を有する、他の追加の活性な化合物も含みうる。
【0068】
特には、殺生物剤、例えば静菌性及び/又は殺菌性及び/又は静真菌性及び/又は殺真菌性のタイプの殺生物剤など、も含みうる。
【0069】
他の実施態様に従い、本発明に従い要求される天然由来の殺ウィルス剤は、それ自体、その抗ウィルス活性に加えて、少なくとも1つの他の生物学的活性を有しうる。
【0070】
すなわち、本発明に従い要求される天然由来の殺ウィルス剤は、例えば、静菌活性、殺菌活性、静真菌活性、又は殺真菌活性、より特には静菌活性又は殺菌活性も有しうる。
【0071】
保湿剤
【0072】
本発明の目的の為に、保湿剤は、水和効果又は吸湿効果を与えることができる化合物である。
【0073】
全ての予想に反して、本発明者らは、そのような化合物の存在が、天然由来の該付随する殺ウィルス剤の抗ウィルス活性を刺激すること、そしてそれ故に、これら2つの化合物を組み込む本発明に従う情報媒体により示される抗ウィルス活性を増加することを可能にすることに気付いた。
【0074】
これらの保湿剤の代表として、最も特には、本発明の文脈において、ポリオールタイプの化合物、例えばグリセリン、グリセロールとも呼ばれる、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリルトリアセテート、又はソルビトールなど、が考慮されうる。
【0075】
一つの好ましい実施態様変形に従い、考慮される該保湿剤は、グリセロールである。
【0076】
他の実施態様変形に従い、考慮される該保湿剤は、以下の化合物から選ばれる:
−ピドロ酸(PCA)、およびその誘導体(アルギニンPCA、銅PCA、エチルヘキシルPCA、ラウリルPCA、マグネシウムPCA、ナトリウムPCA、亜鉛PCAなど)、
−カルシウムグルコネート
−フルクトース、グルコース、イソマルト、ラクトース、マルチトール、マンニトール、ポリデキストロース、ソルビトール、スクロール又はキシリトール、
−グリチルリジン酸及びその誘導体
−ヒスチジン、
−ヒアルロン酸及びその塩、例えばヒアルロン酸ナトリウムなど、
−シルク加水分解物、ケラチン加水分解物、又は大豆加水分解物、
−フィタントリオール、
−シルク、又は
−ウレア。
【0077】
本発明に従う情報媒体は、その全重量に対して、乾燥重量に基づき0.5〜4%、例えば1〜3乾燥重量%の保湿剤、特にはグリセロールを含みうる。
【0078】
一つの好ましい実施態様に従い、該保湿剤は、本発明に従う情報媒体中に、少なくとも1に等しい、保湿剤の質量対殺ウィルス剤の質量の比で存在する。
【0079】
一つの特定の実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、本発明に従う少なくとも1つの殺ウィルス剤、少なくとも1つの保湿剤、特にはグリセロール、及び、少なくとも1つの静菌性及び/又は殺菌性殺生物剤又は少なくとも1つの静真菌性及び/又は殺真菌性殺生物剤を含みうる。
【0080】
他の特定の実施態様に従い、本発明に従う情報媒体は、本発明に従う少なくとも1つの殺ウィルス剤、少なくとも1つの保湿剤、特にはグリセロール、及び、少なくとも1つの静菌性及び/又は殺菌性殺生物剤及び少なくとも1つの静真菌性及び/又は殺真菌性殺生物剤を含みうる。
【0081】
製造方法
【0082】
本発明の他の主題は、上記で定義されたとおりの情報媒体を製造する為の方法に関する。
【0083】
第一の実施態様に従い、それは、基本媒体を、少なくとも1つの保湿剤の存在下において、そのような天然由来の殺ウィルス剤と、それらの該媒体のレベルでの組み込みにとって適した条件下で、接触させることからなる工程を少なくとも含む製造方法である。
【0084】
該媒体のレベルでの該天然由来殺ウィルス剤の組み込みにとってさらにより適した条件下にある為に、特定のエマルジョン又は溶液、例えばアンモニアの溶液又は好ましくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールに基づく溶液(これは臭いが発せられることを引き起こさないことの利点を有する)など、が用いられうる。
【0085】
一つの実施態様変形に従い、該保湿剤は、そのようなエマルジョン中に存在しうる。
【0086】
該天然由来殺ウィルス剤は、上記で定義されたとおりであってよく、特にはモノラウリン、ラクトフェリン、及び抗ウィルス活性を有する精油、例えば月桂樹精油など、から選ばれうる。
【0087】
該保湿剤は、上記で定義されたとおりであってもよく、特にはグリセロールでありうる。
【0088】
該殺ウィルス剤を該基本媒体と接触させること及び該殺ウィルス剤の該基本媒体中への組み込みは、種々の様式で実施されうる:
−該基本媒体を該殺ウィルス剤の溶液に浸すことにより、
−該基本媒体に該殺ウィルス剤の溶液をスプレーすることにより、
−該基本媒体を該殺ウィルス剤を含むインクを用いて印刷することにより、
−該基本媒体を該殺ウィルス剤及び水性表面処理剤を含む調製物により表面処理することにより(該水性表面処理剤は好ましくはグリセロールを可塑剤として組み込んでいる)、
−該基本媒体を該殺ウィルス剤を含む層形成(layering)溶液により層形成することにより、
−該基本媒体上に、該殺ウィルス剤を含むオーバープリントワニスを堆積させることにより、及び
−該殺ウィルス剤を含むミクロカプセル又はシクロデキストリンを該基本媒体上にコーティングすることによる。
【0089】
該保湿剤は、有利には、該殺ウィルス剤を含む該組成物又は該溶液中に存在する。
【0090】
特には、該接触させること及びモノラウリンの組み込みは、モノラウリンエマルジョンを用いることにより促進されうる。
【0091】
その局面の他に従い、本発明は、例えばセルロース性及び/又はプラスチック性材料から成形された基本媒体のレベルでのin situで少なくとも1つの天然由来殺ウィルス剤が合成される、情報媒体を製造する為の方法に関する。
【0092】
一つの実施態様変形に従い、この方法は、保湿剤、特には上記で定義されたとおりの保湿剤の使用も含みうる。
【0093】
この合成は、特には、該殺ウィルス剤を該基本媒体と接触させる為の上記で提案されたタイプのものの少なくとも1つの工程の間に実施されうる。この状況において、該接触させることは、該媒体と該殺ウィルス剤の(複数の)前駆体との間で行われる。
【0094】
該天然由来殺ウィルス剤は、上記で定義されたとおりであってよく、特にはモノラウリン、ラクトフェリン、及び、抗ウィルス活性を有する精油、例えば月桂樹精油など、から選ばれてもよい。
【0095】
この実施態様変形は、特には、該天然由来殺ウィルス剤が、例えば合成により容易に入手可能である場合、好ましくは有利であるコストで容易に入手可能である場合に、特に適している。
【0096】
すなわち、例えば、それは、触媒の存在下におけるラウリン酸とグリセロールとの反応によりin situで合成されるモノラウリンを含みうる。
【0097】
モノラウリンは実際には、さらに、市販入手可能であるが、比較的高い価格で市販入手可能にある。この実施態様変形に従うin situでのその合成は、それ故に、減じられたコストでそれを情報媒体中において用いることを可能にする。
【0098】
特に、該接触させること及びラウリン酸の組み込みは、ラウリン酸溶液、特には例えばアンモニアの溶液又は好ましくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールに基づく溶液(これは臭いが発せられることを引き起こさないという利点を有する)など、を用いることにより促進されうる。
【0099】
この第二の実施態様に従い、該製造方法は、少なくとも
a)該基本媒体の表面で、触媒の存在下において、少なくともラウリン酸とグリセロールとを含む組成物を堆積させること、そして
b)次に、モノラウリンの合成に適した温度でのこの媒体の処理をすること、
を含みうる。
【0100】
一つの実施態様変形に従い、該触媒は、工程a)において用いられる該基本媒体中に存在する。
【0101】
この変形は、該情報媒体が1枚の紙の形にある場合に特に適している。
【0102】
実際に、該触媒は、シート形成工程の間に基本繊維懸濁物中にバルクで投入されてよく、一方で該ラウリン酸及び該グリセロールは、処理溶液中に存在してよくそしてすなわち該媒体の表面で導入されうる。
【0103】
他の実施態様変形に従い、この触媒は該ラウリン酸と該グリセロールとを含む組成物中に存在しうる。
【0104】
さらに、この第二の実施態様に従い、該基本媒体は、セルロース性材料、特には紙に基づく媒体であってよく、そして工程a)及びb)は、該基本媒体の該層形成、コーティング又は表面処理にとって要求される工程と同時に実施されうる。
【0105】
特には、工程b)は、層形成された、コーティングされた、又は表面処理された紙を乾燥する工程と同時に実施されうる。
【0106】
この乾燥工程は、特には、80℃以上(80℃より高い又は80℃と等しい)、例えば90℃以上、好ましくは100℃以上の温度で実施されうる。
【0107】
この実施態様は特に有利である。というのも、それは、情報媒体、特には紙タイプの情報媒体を製造する為の慣用の方法により、すなわち慣用の製造工程と同時に、該殺ウィルス剤を組み込むことを可能とするからである。
【0108】
それ故に、それは、有利には、該媒体を製造する為に要求される工程以外のいずれの追加工程も要求しない。
【0109】
一つの実施態様変形に従い、この方法は、消泡剤の存在下で実施されうる。
【0110】
より特には、それは、名称Aerotech 3514(Kemira Chimie SA)下で販売される化合物であり、それは鉱油及び非イオン性界面活性剤の混合物から形成される。
【0111】
そのような化合物は、ラウリン酸とグリセロールとの混合物の合計重量に対して、0.01%〜0.30%、好ましくは0.04%〜0.20%、より優先的には0.04%〜0.12%の濃度で導入されうる。
【0112】
上記で示された通り、ラウリン酸とグリセロールとからのモノラウリンの合成は、触媒の存在下で実施される。
【0113】
この反応を触媒するのにより特に適した触媒の例として、特には、ゼオライト、例えばFMC Foret社により販売されるzeolite A、又はリパーゼが言及されうる。
【0114】
該触媒がリパーゼである場合、特には、刊行物"Enzymatic synthesis of monolaurin"(Applied biochemistry and Biotechnology, 2004, vol. 113-116, p.433-445)においてPereira C.C.B.、Da Silva M.A.P.及びLangone M.A.P.により記載された反応条件が特に参照されうる。
【0115】
本発明の文脈においてより特に適しているリパーゼとして、例えば、Novozymes社によるLiposyme RM IM(商標)、Lipozyme TL IM(商標)、及びResinase A2C(商標)下で販売されるリパーゼが言及されうる。
【0116】
本発明に従う情報媒体は、その全重量に対して、0.5〜3乾燥重量%、例えば0.5〜2乾燥重量%の触媒を含みうる。
【0117】
該触媒、例えばゼオライトは、ラウリン酸とグリセロールとの該混合物の合計重量に対して、少なくとも2重量%、例えば少なくとも5重量%の割合で導入されうる。
【0118】
第一の実施態様変形に従い、該ラウリン酸及び該グリセロールは、等モル混合物として導入されうる。
【0119】
第二の実施態様変形に従い、該グリセロールは、該ラウリン酸に対して過剰に導入されうる。
【0120】
この第二の変形に従い、残余の過剰グリセロールは、それ故に、該反応の終わりで該媒体中に存在したままである。
【0121】
上記で言及されたとおり、この残余のグリセロールは、保湿剤の役割を果たし及び抗ウィルス特性を増加しうる。
【0122】
in situでのモノラウリンの調製方法の例が、本明細書以下の実施例3において示される。
【0123】
以下の非限定的な実施例が、本発明がどのように実施されうるか及びその利点をより明らかに理解することを可能にするであろう。
【0124】
実施例
【0125】
比較例1
【0126】
1枚の紙が、製造されるべき透かしを許すパターンを含むワイヤークロスを有するシリンダーモールド(cylinder mold)と呼ばれる製紙機械で、以下の様式で、成形され、紙幣を製造する為の紙として適したものになりうる。
−綿繊維パルプが、水中に懸濁され、そして、この懸濁物が、60°ショッパー・リグラー(Schoepper-Riegler)へと精製される、
−湿潤強力剤が添加される、該綿繊維に対して表される、約2.5乾燥重量%のポリ(アミノアミドエピクロロヒドリン)樹脂、
−虹色のプランシェット(planchette)も、この懸濁物中に導入される、
−シートの成形の間に、「ウィンドウスレッド(window thread)」と呼ばれる極小プリントされたセキュリティースレッドが、このスレッドが紙の表面で或るウィンドウにおいて見えるように、既知の従来技術に従い導入される。このスレッドを導入する為に用いられうる一つの方法が、例えば、欧州特許出願公開第0 059 056号明細書において記載されている。そして、
−該シートが約100℃で乾燥される。
【0127】
実施例2
【0128】
媒体が、例1におけるとおりに得られ、そして、
31.2乾燥重量部ノグリセロール、
18.8乾燥重量部のラクトフェリン、
31.2乾燥重量部のPVAバインダー、及び
18.8乾燥重量部のゼオライト(zeoliteA)
を含む、水性媒体中に作られた調製物により被覆される。
【0129】
全層形成溶液に対するラクトフェリンの濃度は、4.7重量%で設定される。
【0130】
いったん被覆されると、該紙は、約0.98 g/m2のラクトフェリンの、乾燥重量に基づく含有量を有する。
【0131】
実施例3
【0132】
例1におけるとおりに媒体が得られ、そして、
31.2乾燥重量部のグリセロール、
18.8乾燥重量部のラウリン酸、
31.2乾燥重量部のPVAバインダー、及び
18.8乾燥重量部のゼオライト(zeolite A)
を含む水性媒体中に作られた調製物により被覆される。
【0133】
全層形成溶液に対するグリセロール及びラウリン酸の濃度がそれぞれ、6.24 重量%及び 3.76重量%に設定される。
【0134】
いったん被覆されると、該紙は、約1.03 g/m2のモノラウリンの、乾燥重量に基づく含有量を有する。
【0135】
実施例4
【0136】
媒体が、例1における通りに得られ、そして、
31.2乾燥重量部のグリセロール、
18.8乾燥重量部のモノラウリン、
31.2 乾燥重量部のPVAバインダー、及び
18.8乾燥重量部のゼオライト(zeolite A)
を含む水性媒体中に作られた調製物により被覆される。
【0137】
全層形成溶液に対するモノラウリンの濃度は、3.76重量%に設定される。
【0138】
いったん被覆されると、該紙は、約1.13 g/m2のモノラウリンの乾燥重量含有量を有する。
【0139】
実施例5
【0140】
媒体が、例1におけるとおりに得られ、そして、
56.4 乾燥重量部のポリウレタン、
5.6 乾燥重量部のコロイド状シリカ、
33.8 乾燥重量部のグリセロール、
3.8 乾燥重量部のノーブル月桂樹(noble laurel)精油、及び
0.4 乾燥重量部の乳化剤(脂肪アルコールエトキシレート)を含む、
ポリウレタンの分散物中に作られた調製物により被覆される。
【0141】
合計の層形成溶液に対する月桂樹精油の濃度は、1.6重量%に設定される。
【0142】
該層形成溶液のpHは、8.4に設定される。
【0143】
いったん被覆されると、該紙は、約0.19 g/m2のノーブル月桂樹精油の、乾燥重量含有量を有する。
【0144】
実施例6
【0145】
媒体が、例1におけるとおりに得られ、そして、
40 kgのPVAバインダー、該PVAは、硬化され、そして、水が、950lの最終体積のために添加される;
25 kgのグリセロール;
20 kgのラウリン酸;
2 kgのゼオライト(zeolite A);及び
10 lのAMP90、
を含む水性媒体中に作られた調製物により含浸される。
【0146】
試験及び結果
【0147】
1.抗ファージ活性
【0148】
抗ファージ活性試験(これは出願人自身による試験である)は、修正されたJIS標準L 1902、又は修正されたISO標準20743に基づき、MS2ファージに対するものであり、これは非常に耐性であると考えられており、そして18〜24時間の活動時間にわたって適用される。
【0149】
原理は以下のとおりである:MS2ファージが、試験媒体上に堆積され、そして次に活性MS2ファージの数が、最初にt=0時間で評価され、そして2回目にt=24時間で評価される。
【0150】
所定の時間での試験媒体上の活性MS2ファージの数を評価する為に、これらの媒体が、MS2ファージの為の宿主となる特性を有する特定のバクテリアの存在下に置かれる:次に、培養後の溶解プラーク(又はpfp)の数の測定が、所望の量のMS2ファージへ戻すことを可能にする。
【0151】
すなわち、そこから、以下のとおりに定義される抗ファージ活性(Aと示される)を推定することが可能である
A = [平均log(C24)−平均log(C0)]−[平均log(E24)−平均log(E0)]、
該式において、E24は、24時間での溶解プラークの数に対応し、及び、E0は、試験された媒体との接触に付された直後の溶解プラークの数に対応する。
【0152】
実験条件は以下のとおりである:
用いられた希釈剤は、ペプトン/ソルト(Difco 参照番号1897-17を有する)であり、及び、用いられたバクテリアの株は、Escherichia coli K12であり、これはMS2ファージの宿主株である。
対照媒体は、処理されていない100%綿テキスタイルである。
1×10pfp/mlでのファージの懸濁物 200μlが堆積される。
【0153】
結果が本明細書内以下に報告される。
【0154】

【0155】
以下の抗ファージ活性が、それらから推定される:
A実施例2 =- 0.77 - (-2.17) = 1.40 log
A実施例3 =- 0.77 - (-2.05) = 1.28 log
A実施例4 =- 0.77 - (- 1.97) = 1.20 log
【0156】

【0157】
以下の抗ファージ活性が、同様に、それから推定される。
A実施例5 =-0.45-(-1.56)=1.11 log
【0158】
これらの試験が、結果として、本発明に従い得られた媒体が、実際に、有意な抗ウィルス活性を示すことを実証する。
【0159】

【0160】
上記で提示された値から、試験片1は、全く殺ファージ的であることが認められうる、そして試験片2の抗ファージ活性が、以下の通りに計算されうる:
A実施例6=-0.71-(-2.58)=1.87 log
【0161】
これらの試験は、結果として、本発明に従い得られた媒体が実際に、有意な抗ウィルス活性を示すことを実証する。
【0162】
2.殺バクテリア/静バクテリア活性
【0163】
抗バクテリア試験もまた、実施例6に従い得られた情報媒体に対して、2つのバクテリア株、すなわちStaphylococcus aureus CIP 4.83及びKlebsiella pneumoniae 368 CIPを用いて行われた。
【0164】
該殺バクテリア/静バクテリア活性試験(これは出願人自身による試験である)は、ISO標準20743に基づき、そして18〜24時間の活動時間にわたって適用される。
【0165】
原理は以下のとおりである:該バクテリアが、該試験媒体上にトランスファー(transfer)により植菌され、そして次に、バクテリアのコロニーの数が1回目にt=0時間で、そして2回目にt=24時間で測定される。
【0166】
所定の時間で該試験媒体上に残るバクテリアコロニーの数を評価する為に、それらがプラーク計数方法を用いて数えられる。
【0167】
それらから、以下の通りに定義された、試験の増殖値(Gと示される)を推定することができる:
F(log10)=平均logTt24-平均logT0
該式において、Tt24は、24時間でのバクテリアコロニーの数に対応し、そして、T0は、該試験された媒体とそれらとの接触直後のバクテリアコロニーの数に対応する。
【0168】
対照の比較株の増殖の値(Fと示される)も決定され、そして、以下の通りに定義される:
F(log10)=平均logCt24-平均logC0
該式において、Ct24は、24時間でのバクテリアコロニーの数に対応し、C0は、それらが対照媒体との接触された直後のバクテリアコロニーの数に対応する。
【0169】
このように、それらから、以下のとおりに定義されたバクテリア活性の値(Aと示される)を推定することができる。
A(log10)=F-G
【0170】
実験条件は以下の通りである:
用いられた希釈剤は、ペプトン/ソルト(Difco参照番号218971を有する)であり、そして、用いられたバクテリア株は、Staphylococcus aureus CIP 4.83, 又はKlebsiella pneumoniae 368 CIPである。
Staphylococcus aureusについての接種材料の濃度は、3.8×105 CFU/mlである。Klebsiella pneumoniaeについての接種材料の濃度は、1.23×106 CFU/mlである。
対照媒体は、処理されていない100%綿テキスタイルである。
【0171】
結果が本明細書以下に報告される。
【0172】

【0173】
以下の抗バクテリア活性が、それらから推定される。
A(log10)= 4.95
【0174】
これらの試験は、結果として、本発明に従い得られた媒体が、有意な抗ウィルス活性に加えて、有意な殺バクテリア活性も有しうることを実証する。
【0175】

【0176】
2つの試験片が殺バクテリア活性を有することが認められる。
【0177】
これらの試験は、結果として、本発明に従い得られた媒体が、有意な抗ウィルス活性に加えて、有意な殺バクテリア活性も有しうることを実証する。
【0178】
上記の本実施例は、明らかに、網羅的でなく、そして、他の基本媒体及び他の殺ウィルス剤が、特許の保護の範囲から外れることなく、想定されうる。
【0179】
特に、該基本媒体は、仏国特許出願公開第2 814 476号明細書の対象である高耐久性セキュリティペーパー、印刷用紙/筆記用紙、トレーシングペーパー、又はプラスチックチケットでありうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的頻繁に取り扱われることが意図された情報媒体であって、
当該情報媒体が、少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤の有効量と少なくとも1つの保湿剤とを含むことを特徴とする、前記情報媒体。
【請求項2】
該殺ウィルス剤が、哺乳類に関して、より特にはヒトに関して病原性であるウィルスに関して活性であることを特徴とする、請求項1に記載の情報媒体。
【請求項3】
該天然由来の殺ウィルス剤が、モノラウリン、ラクトフェリン、及び抗ウィルス活性を有する精油、例えば月桂樹精油、から選ばれるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報媒体。
【請求項4】
前記情報媒体の全重量に対して、0.1〜2乾燥重量%、例えば、0.5〜1.5乾燥重量%の該天然由来のウィルス剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項5】
該保湿剤がポリオール、より特にはグリセロールであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項6】
保湿剤の質量対殺ウィルス剤の質量の比が少なくとも1に等しいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項7】
該情報媒体が、少なくとも1つの静バクテリア性及び/又は殺バクテリア性殺生物剤又は少なくとも1つの静真菌性及び/又は殺真菌性殺生物剤も含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項8】
該情報媒体が、少なくとも1つの静バクテリア性及び/又は殺バクテリア性殺生物剤及び少なくとも1つの静真菌性及び/又は殺真菌性殺生物剤も含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項9】
該情報媒体が、セルロース性材料、特には紙に基づくものであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項10】
該情報媒体が、プラスチック材料、特には合成繊維又はプラスチックシートに基づくものであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載された方法。
【請求項11】
該媒体が、少なくとも1つのポリマー材料から作られた、同時押し出しされた、ラミネートされた、又は接着された多層媒体を含むシートである、請求項10に記載された情報媒体。
【請求項12】
その殺ウィルス特性が、該媒体上に印刷されたインクにより与えられ、該インクが少なくとも該天然由来の殺ウィルス剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項13】
その殺ウィルス特性が、該媒体上に堆積されたワニス、特にはオーバープリントワニスにより与えられ、該ワニスが少なくとも該天然由来の殺ウィルス剤を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項14】
少なくとも1つのセキュリティ要素を含むセキュリティドキュメントであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項15】
パスポート、身分証、運転免許証、アクセスカード、ポイントカード、コピー機カード、食堂カード、トランプ、収集趣味カード、支払手段、特には支払カード、紙幣、購入伝票又はレシート、文化的イベント又はスポーツイベントへの入場の為のチケット、鑑定書、又はパッケージ、本、地理的地図、ラベル、封筒、又は雑誌であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の情報媒体。
【請求項16】
紙幣であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載された情報媒体。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載された情報媒体を製造する為の方法であって、基本媒体を、少なくとも1つの保湿剤の存在下において、該天然由来の殺ウィルス剤又はその前駆体と、該媒体のレベルでのその組み込みに適した条件下で、接触させることからなる工程を少なくとも含む前記方法。
【請求項18】
該接触させることが、該基本媒体を該殺ウィルス剤と水性表面処理剤とを含む調製物により表面処理することにより実施されることを特徴とする、請求項17に記載された方法。
【請求項19】
該接触させることが、該基本媒体に該殺ウィルス剤を含むオーバープリントワニスを堆積させることにより実施されることを特徴とする、請求項17に記載された方法。
【請求項20】
該天然由来の殺ウィルス剤が、モノラウリン、ラクトフェリン、及び抗ウィルス活性を有する精油、例えば月桂樹精油など、から選ばれるものであることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載された方法。
【請求項21】
少なくとも1つの天然由来の殺ウィルス剤が、例えばセルロース性及び/又はプラスチック性の材料から成形された基本媒体のレベルでin situで合成されることを特徴とする、情報媒体を製造する為の方法。
【請求項22】
該殺ウィルス剤が、触媒の存在下においてラウリン酸とグリセロールとを反応させることによりin situで合成されたモノラウリンであることを特徴とする、請求項21に記載された方法。
【請求項23】
a)該基本媒体の表面に、触媒の存在下において、少なくともラウリン酸とグリセロールとを含む組成物を堆積させること、そして
b)次に、この媒体を、モノラウリンの合成に適した温度で処理すること、
を少なくとも含む、請求項22に記載された方法。
【請求項24】
該触媒が、工程a)において用いられる該基本媒体中に存在する、請求項23に記載された方法。
【請求項25】
該触媒が、該ラウリン酸と該グリセロールとを含む該組成物中に存在する、請求項23に記載された方法。
【請求項26】
該基本媒体が、セルロース性材料、特には紙に基づく媒体であること、及び、工程a)及びb)が、該基本媒体の層形成、コーティング、又は表面処理に必要とされる工程と同時に行われることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか1項に記載された方法。
【請求項27】
工程b)が、該層形成された、コーティングされた、又は表面処理された紙を乾燥する工程と同時に行われることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか1項に記載された方法。
【請求項28】
該触媒が、ゼオライトタイプの触媒である、請求項22〜27のいずれか1項に記載された方法。
【請求項29】
該触媒がリパーゼである、請求項22〜27のいずれか1項に記載された方法。
【請求項30】
該触媒が、ラウリン酸とグリセロールとの該混合物の全重量に対して、少なくとも2重量%、例えば少なくとも5重量%の割合で導入されることを特徴とする、請求項22〜29のいずれか1項に記載された方法。

【公表番号】特表2012−526101(P2012−526101A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509147(P2012−509147)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052028
【国際公開番号】WO2010/128487
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511267723)アルジョウィギンス セキュリティ (1)
【Fターム(参考)】