説明

抗体断片を結晶化するための組成物及び方法

本発明は、抗体及びその断片を結晶化する方法並びにこれによって作製された結晶を提供する。より具体的には、本発明は、単独で又はその標的リガンドとの共結晶として、抗体のヒト及び非ヒトFab断片を結晶化する方法を提供する。例えば、抗体125−2HのマウスFab断片又は抗体ABT−325のヒトFab断片を含み、IL−18に結合する結晶及びIL−18に結合されたマウスFab断片の共結晶が提供される。ABT−325及び125−2Hは、結合部位の特徴及び構造が著しく異なるので、それらが異なるエピトープにおいて同時にIL−18を結合する能力を説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fab抗体断片を結晶化するための組成物及び方法並びにこれらの使用に関する。特に、本発明は、抗インターロイキン18(IL−18)抗体Fab断片を結晶化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、100を超えるモノクローナル抗体が臨床試験の第2相又は第3相で評価されており、モノクローナル抗体(mAb)市場は最も有望な生物医薬市場の一つであると考えられている。これらの薬物は、しばしば100mgを超える単回投薬で患者に送達されなければならないので、安定性、安全性及び患者による服薬遵守を満足する適切な製剤を発見することが急務である。
【0003】
高度に濃縮された液体mAb製剤は、より低度に濃縮された製剤より高い粘度を有しており、患者にとってより使いやすい高ゲージの針を通した注射の可能性を妨げ得る。さらに、mAb分子が凝集する傾向は濃度の増加とともに指数関数的に増加し、安全性及び安定性要件の充足を妨げる。従って、高いmAb用量の送達は大容量に限定され、一般に、これは、注入を介して送達しなければならない。しかしながら、投薬のこの様式には費用がかかり、患者の服薬遵守を著しく低下させる。
【0004】
この理由のため、薬物物質として使用するためには、結晶形態のmAbが望ましい。しかしながら、結晶化条件に伴う予測不能性のために、この戦略を評価するための試みは殆ど行われてこなかった。タンパク質インシュリンは首尾よく結晶化されたが、他の多くのタンパク質は結晶ではなく無秩序な沈殿を形成する傾向がある。従って、あるタンパク質に対する結晶化条件を決定することは簡単な作業ではない。現在まで、目的のタンパク質に対して成功する結晶化条件を確実に予測することを可能にする一般的な規則は存在しない。
【0005】
特定のタンパク質に対して適切となり得る結晶化条件をμL規模でスクリーニングすることを可能にする幾つかのスクリーニング系が市販されている(例えば、Hampton1及び2、WizardI及びII)。しかしながら、このようなスクリーニング系を用いて得られた陽性結果は、産業的に適用可能なより大きなバッチ規模での結晶化の成功へ必ずしも結びつくものではない(Jen et al.(2001)Pharm.Res.18(11):1483参照)。
【0006】
Baldock他((1996)J.Crystal Growth、168(1−4):170−174)は、結晶化条件の初期スクリーニングのためのマイクロバッチと蒸気拡散の比較に関して報告した。一群の結晶化溶液を用いて、市販されている6つのタンパク質をスクリーニングした。スクリーニングは、一般的な蒸気拡散法及びマイクロバッチ結晶化法の3つの変法を用いて行われた。同定された58の結晶化条件のうち、43(74%)がマイクロバッチによって同定されたのに対して、41(71%)が蒸気拡散によって同定された。26の条件は両方の方法によって同定され、マイクロバッチが全く使用されなかったとすると、17(29%)は見過ごされていたことになる。これらのデータは、初期の結晶化スクリーニングにおいて最も一般的に使用される蒸気拡散技術が陽性結果を保証するものではないことを示している。
【0007】
従って、確定された方法又はアルゴリズムを用いて、多様なタンパク質の結晶化を首尾よく実施することはできない。確かに、この20年から30年間に、技術的な進歩が存在する。例えば、A.McPhersonは、高分子を結晶化するための戦法、戦略、試薬及び装置に関して、極めて詳しい情報を提供する。しかしながら、A.McPhersonは、成功を合理的に予測して、当業者によって、あらゆる所定の高分子を実際に結晶化できることを保証する方法を提供していない。McPhersonは、例えば、「どのような手法であれ、分子間の特異的な結合相互作用を強化及び促進するために、並びに相互作用が形成された際に相互作用を安定化させるために、系のパラメータ(溶媒及び溶質の両方)を精緻化及び最適化するための努力を惜しんではならない。問題のこの後者の側面は、結晶化されているタンパク質又は核酸の特異的な化学的及び物理的特性に一般的に依存する。」と述べている(McPherson(1999)Crystallization of Biological Macromolecules.Cold Spring Harbor,New York,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p.159)。関心のある新しいタンパク質を採用し、特異的なプロセス工程を適用することによって、所望の結晶を得るためのアルゴリズムは存在しないことが、タンパク質の結晶化の分野における当業者によって広く受け入られている。
【0008】
抗体は、分子の柔軟性のために、結晶化することが特に困難である。しかしながら、異常なIg軽鎖二量体の結晶であるBence Jonesタンパク質などの免疫グロブリン結晶の例が実際に存在する(Jones(1848)Philosophical Transactions of the Royal Society,London,138:55−62)。さらに、Ig重鎖オリゴマー(von Bonsdorf et al.(1938).Folia Haematologia59:184−208)及び正常な構造のヒト免疫グロブリン(2つの軽鎖に連結された2つの重鎖)の結晶も記載されている(Putnam(1955)Science122:275−7;Terry et al.(1968)Nature 220(164):239−41;Huber et al.(1976)Nature 264(5585):415−20;Rajan et al.(1983)Mol.Immunol.20(7):787−99;Harris et al.(1992)Nature360(6402):369−72,Nisonoff et al.(1968)Cold Spring Harbor Symposia on Quant.Biol.32:89−93;Connell et al.(1973)Canad.J.Biochem.51(8):1137−41;Mills et al.(1983)Annals of Int.Med.99(5):601−4;及びJentoft et al.(1982)Biochem.21(2):289−294)。例えば、Margolin及び共同研究者は、治療用モノクローナル抗体トラスツズマブ(Herceptin(R))を結晶化できること(Shenoy,et al.2002)及び結晶性トラスツズマブ懸濁物がマウス腫瘍モデルにおいて治療的に有効であり、従って、結晶性トラスツズマブによる生物学的活性の保持を示したことを報告した(Yang et al.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.100(12):6934−6939)。しかしながら、均質な抗体結晶調製物を形成する予測可能且つ信頼性が高い方法は記載されていない。
【0009】
WO−A−02/072636は、完全なそのままの状態の抗体リツキシマブ、インフリキシマブ及びトラスツズマブの結晶化を開示している。結晶化実験の多くは、イミダゾール、2−シクロヘキシル−エタンスルホナート(CHES)、メチルペンタンジオール、硫酸銅及び2−モルホリノ−エタンスルホナート(MES)などの、不明確な毒性を有する化学物質を用いて行われた。この出願における実施例の多くは、結晶化を開始するために種晶を使用した。
【0010】
WO−A−2004/009776は、抗ヒトTNFα抗体D2E7又は通称アダリムマブTMの結晶を開示しており、現在、HUMIRA(R)の商品名で市場に出回っている。この出願は、異なる結晶化緩衝液とD2E7F(ab)’又はFab断片の等しい微少容量(1μL)を混合することを含む、シッティングドロップ蒸気拡散技術を用いたマイクロリットル規模での結晶化実験を開示している。
【0011】
EP−A−0260610は、一連のマウス抗hTNFαモノクローナル抗体、すなわち、ECACC87050801として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される中和抗体AM−195(MAK195とも称される。)を開示した。この抗体のF(ab’)断片は、アフェリモマブTMの名前でも知られている。
【0012】
米国特許出願60/963,964号は、マウス抗TNFα抗体F(ab’)断片のバッチ量を作製するための結晶化条件を記載する(例えば、MAK−195、Abbott Laboratories)。
【0013】
米国特許出願11/977,677号は、ヒト抗TNFα抗体(例えば、Humira,Abbott Laboratories)に対する結晶化条件を記載する。
【0014】
米国特許出願60/920,608号は、ヒト抗IL−12抗体に対する結晶化条件を記載する(例えば、ABT−874、Abbott Laboratories)。
【0015】
米国特許出願09/780,035号及び10/988,360号は、多数の炎症性疾患を治療する上で有用である、インターロイキン18に結合する抗体(ABT−325、Abbott Laboratories)を記載する。しかしながら、現在のところ、抗IL−18抗体又は抗IL−18Fab断片結晶の作製を提供する入手可能な技術的教示は存在しない。従って、抗IL−18抗体又は抗IL−18Fab断片結晶を提供するための適切な結晶化条件に対する要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第02/072636号
【特許文献2】国際公開第2004/009776号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0260610号明細書
【特許文献4】米国特許出願第60/963,964号明細書
【特許文献5】米国特許出願第11/977,677号明細書
【特許文献6】米国特許出願第60/920,608号明細書
【特許文献7】米国特許出願第09/780,035号明細書
【特許文献8】米国特許出願第10/988,360号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Jen他、Pharm.Res.18(11)、2001年、pp.1483
【非特許文献2】Baldock他、J.Crystal Growth、168(1−4)、1996年、pp.170−174
【非特許文献3】McPherson(1999)Crystallization of Biological Macromolecules.Cold Spring Harbor,New York,Cold Spring Harbor Laboratory Press,p.159
【非特許文献4】Jones、Philosophical Transactions of the Royal Society,London,138、1848年、pp.55−62
【非特許文献5】von Bonsdorf他、Folia Haematologia59、1938年、pp.184−208
【非特許文献6】Putnam、Science122、1955年、pp.275−7;
【非特許文献7】Terry他、Nature 220(164)、1968年、pp.239−41
【非特許文献8】Huber他、Nature 264(5585)、1976年、pp.415−20
【非特許文献9】Rajan他、Mol.Immunol.20(7)、1983年、pp.787−99
【非特許文献10】Harris他、Nature360(6402)、1992年、pp.369−72
【非特許文献11】Nisonoff他、Cold Spring Harbor Symposia on Quant.Biol.32、1968年、pp.89−93
【非特許文献12】Connell他、Canad.J.Biochem.51(8)、1973年、pp.1137−41
【非特許文献13】Mills他、Annals of Int.Med.99(5)、1983年、pp.601−4
【非特許文献14】Jentoft他、Biochem.21(2)、1982年、pp.289−294
【非特許文献15】Shenoy他、2002
【非特許文献16】Yang他、Proc.Natl.Acad.Sci.100(12)、2003年、pp.6934−6939
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
驚くべきことに、上記問題は、結晶化法及びこれによって作製された結晶並びにそれらの使用を提供する本発明によって解決される。
【0019】
一態様において、本発明は、(a)Fab断片を取得する工程、(b)(i)ポリエチレングリコール(PEG)及び(ii)緩衝液を含むリザーバ溶液とFab断片を混合して結晶化混合物を作製する工程、並びに(c)結晶が形成するまで、結晶化混合物を表面上に配置する工程を含む、抗体のFab断片の結晶を調製する方法を提供する。一実施形態において、PEGは、約5から20%の結晶化混合物中濃度のPEG400、PEG4000又はPEG6000である。一実施形態において、緩衝液は、約4から約11のpHの、HEPES、CAPS、Tris、カコジラート、MES、シトラート、bis−tris、ホスファート、CHEMS、MOPS、イミダゾール、アセタート、ビシン又はシトラートである。一実施形態において、HEPES緩衝液は約pH7.5である。別の実施形態において、CAPS緩衝液は約pH10.5である。さらに別の実施形態において、Tris緩衝液は約pH8.5である。
【0020】
一実施形態において、リザーバは、シリコン処理されたスライドガラス及びシッティングドロップトレイからなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、前記方法は、約0℃から約25℃、例えば、約4℃又は約18℃で行われる。
【0022】
本発明の方法によれば、結晶化混合物は、結晶を形成させるために、約1から7日間、表面上に配置される。
【0023】
本発明の別の実施形態において、リザーバ溶液は、約2から約40%、好ましくは約5%の濃度で2,4−メチルペンタンジオールをさらに含む。
【0024】
本発明の別の実施形態において、リザーバ溶液は、約100から約500mMの濃度でスルホ−ベタイン201をさらに含む。
【0025】
本発明の別の実施形態において、リザーバ溶液は、約50から約500mM、好ましくは約200mMの濃度でMgClをさらに含む。
【0026】
本発明の方法は、Fab断片、例えば、ヒト又は非ヒトFab(マウスFabなど)、例えば、ヒト又は非ヒトIL−18に結合する抗体のFab断片を結晶化する上で有用である。一実施形態において、IL−18は、全てのシステイン残基がアラニン残基に変異されている変異体IL−18である。
【0027】
別の態様において、本発明は、例えば、ヒト又は非ヒトIL−18に結合するFab断片の単離された結晶を提供する。別の態様において、本発明は、ヒト又は非ヒトIL−18に結合されるFab断片を含む単離された共結晶を提供する。Fab断片は、125−2Hなどの抗体のマウスFab断片又はABT−325などの抗体のヒトFab断片のような、ヒト又は非ヒトである。一実施形態において、IL−18は、全てのシステイン残基がアラニンに変異されている変異体IL−18である。
【0028】
一実施形態において、ABT−325Fab断片の単離された結晶は、軽鎖配列配列番号1及び重鎖配列配列番号2を含む。一実施形態において、ABT−325Fab断片は、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるIL−18アミノ酸配列に結合する。
【0029】
別の実施形態において、ABT−325Fab断片は、Asp59−Asp76(配列番号7)及びGlu164−Leu169(配列番号8)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのIL−18ペプチド又は1つ若しくはそれ以上のアミノ酸置換を有するその類縁体(IL−18の該類縁体は、抗体ABT−325に結合する。)に結合する。別の実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体125−2HのFab断片(該125−2HFab断片は、軽鎖配列配列番号9及び重鎖配列配列番号10を含む。)を含む単離された結晶を提供する。
【0030】
別の実施形態において、125−2HFab断片は、Lys176−Arg183(配列番号5)及びArg140−Lys148(配列番号6)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのIL−18ペプチド又は1つ若しくはそれ以上のアミノ酸置換を有するその類縁体(該類縁体は、抗体125−2Hに結合する。)に結合する。別の実施形態において、本発明は、ヒトIL−18に結合された125−2H断片を含む共結晶を作製するための方法及び組成物を提供する。
【0031】
別の態様において、本発明は、本発明の単離された結晶を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
本発明の先述の及びその他の目的、特徴及び利点並びに本発明自体は、添付の図面と一緒に読まれたときに、好ましい実施形態の以下の記述からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】10倍の倍率でのABT−325結晶。
【図2】10倍の倍率での125−2H結晶。
【図3】10倍の倍率での125−2H/IL−18共結晶。
【図4A】IL−18キメラは、結合エピトープを確定するのに役立つ。(a)ヒトIL−18及び4つのヒト(N末端)/マウス(C末端)キメラ。(b)マウスIL−18及び4つのマウス(N末端)/ヒト(C末端)キメラ。ヒト配列は、白い枠として示されており、マウス配列は黒である。残基の範囲、カスパーゼ−1切断後の最初の成熟Il−18残基(青い三角)及びエピトープタグが、各キメラに対して注記されている。ND:検査せず。
【図4B】IL−18キメラは、結合エピトープを確定するのに役立つ。(a)ヒトIL−18及び4つのヒト(N末端)/マウス(C末端)キメラ。(b)マウスIL−18及び4つのマウス(N末端)/ヒト(C末端)キメラ。ヒト配列は、白い枠として示されており、マウス配列は黒である。残基の範囲、カスパーゼ−1切断後の最初の成熟Il−18残基(青い三角)及びエピトープタグが、各キメラに対して注記されている。ND:検査せず。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
「抗体結晶の形成を可能にする条件」とは、非撹拌条件下で結晶の形成をもたらす溶液のあらゆる条件を意味する。これは、抗体分子と及び所定の条件(混合物のpH及び温度など)下で結晶形成を開始するのに十分な濃度の少なくとも1つの結晶化剤とを含有する溶液が提供されることを意味する。
【0035】
「マイクロスケールの結晶化法」は、結晶化混合物の容量が0.1μLと10μLの間であるあらゆる結晶化法、特に、結晶化の間に蒸気拡散を実施させることができるあらゆる方法を意味する。例えば、蒸気拡散を基礎とする方法は、結晶化剤を含有するリザーバ緩衝液とともにマイクロリットル範囲の抗体溶液の小容量を添加する工程、前記リザーバ緩衝液の分取試料に隣接して密封された溶液中に混合物の液滴を配置する工程、蒸気拡散によって、前記液滴と前記リザーバの間で溶媒を交換させる工程(その間に、液滴中の溶媒含量が変化し、及び適切な結晶化条件に到達すれば、結晶化が観察され得る。)を含む。
【0036】
「結晶化剤」は、抗体の結晶形成を好み、増強し又は促進する薬剤である。
【0037】
「結晶化溶液」は、溶解された形態で結晶化剤を含有する。好ましくは、結晶化溶液は水系である。すなわち、その液体成分が主として水からなる。例えば、80から100重量%又は95から100重量%又は98から100重量%が水であり得る。「リザーバ溶液」という用語は、蒸気拡散技術によるマイクロスケール結晶化のために使用される「結晶化溶液」も表す。
【0038】
「結晶化混合物」は、抗体又はその断片の水溶液と結晶化溶液又はリザーバ溶液とを含有する。
【0039】
「結晶」は、第二の固体形態、すなわち、無秩序で不均質な固体として実質的に存在する非晶質状態とは異なる物質の(例えば、タンパク質の)固体状態の一形態である。結晶は、通例格子と称される規則的な三次元構造を有する。抗体の結晶は、抗体分子の規則的な三次元アレイを含む。(Giege et al.,Crystallization of Nucleic Acids and Proteins,a Practical Approach,2nd ed.,pp.1−16,Oxford University Press,New York(1999))。
【0040】
「完全な」又は「そのままの状態の」抗体とは、インビトロ及び/又はインビボで、その抗原(例えばIL−18)を認識し、結合することができる機能的な抗体である。抗体は、その抗原への抗体結合を伴う患者のその後の免疫系反応、特に、直接的細胞傷害、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)を開始させ得る。抗体分子は、互いに共有結合された2つの同一の重鎖(分子量は、それぞれ約50kDa)及びそれぞれが重鎖の1つに共有結合された2つの同一の軽鎖(分子量は、それぞれ約25kDa)から構成される構造を典型的に有する。4つの鎖は、古典的な「Y」モチーフで配置されている。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書において、HCVR又はVHと略記される。)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書において、LCVR又はVLと略記される。)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が介在された超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と称される。)へさらに細分され得る。各VH及びVLは、以下の順序、すなわち、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端へ配置された3つのCDR及び4つのFRから一般に構成される。完全な抗体分子は、2つの抗原結合部位を有する。すなわち、「二価」である。2つの抗原結合部位は、1つのIL−18抗原に対して特異的である。すなわち、抗体は、「一重特異的」である。上記構造は、異なる種の間で変動し得る。
【0041】
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球(B細胞)の単一クローンに由来し、同じ抗原性決定基を認識する抗体である。完全なモノクローナル抗体とは、2つの完全な重鎖及び2つの完全な軽鎖を含む上記古典的分子構造を有するモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、細胞培養中にモノクローナル抗体を継続的に産生するB細胞ハイブリドーマを作製するために不死の骨髄腫細胞と抗体産生B細胞を融合することによって、定型的に作製される。他の作製法、例えば、例えばファージディスプレイ、酵母ディスプレイ技術若しくはRNAディスプレイ技術を用いた、細菌、酵母、昆虫、真核又は哺乳動物細胞培養中でのモノクローナル抗体の発現、又はウシ、ヤギ、ブタ、ウサギ、ニワトリなどの遺伝的に修飾された動物若しくは完全なヒトB細胞ゲノムを含有及び発現するように修飾されたトランスジェニック中でのインビボ産生、又はタバコ及びトウモロコシなどの遺伝的に修飾された植物中での産生である。全てのこのような源から得られた抗体又は断片が、本発明に従って結晶化され得る。
【0042】
本発明に従って結晶化されるべきモノクローナル抗体には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来する抗体中の対応する配列と同一若しくは相同であり、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属するが、鎖の残りが別の種に由来する抗体中の対応する配列と同一若しくは騒動であり又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する「キメラ」抗体が含まれる。マウス/ヒトキメラの一例は、マウス抗体の可変抗原結合部分及びヒト抗体に由来する定常部分を含有する。
【0043】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化された」形態も、本発明によって包含される。これらは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。多くの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンの相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)から得られる残基がマウス、ラット、ウサギ又はヒト以外の霊長類などの非ヒト種の、所望の機能性を有するCDR又はHVLから得られる残基によって置換されているヒト免疫グロブリンである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、抗原結合親和性を改善するために、対応する非ヒト残基によって置換され得る。さらに、ヒト化抗体は、対応するヒト又は非ヒト抗体の一部の何れにも見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の効力をさらに改善するために必要とされ得る。
【0044】
「ヒト抗体」又は「完全ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された又は組換え的に産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体が含まれるものとする。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為若しくは部位特異的突然変異誘発によって、又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を、例えば、CDR、特にCDR3の中に含み得る。しかしながら、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含まないものとする。
【0045】
本明細書において使用される「組換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞中に形質移入された組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して遺伝子導入されている動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids.Res.20:6287−6295参照)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含むあらゆる他の手段によって、調製され、発現され、作製され、若しくは単離された抗体など、組換え手段によって調製され、発現され、作製され、又は単離された全てのヒト抗体を含むものとする。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。しかしながら、ある種の実施形態において、このような組換えヒト抗体は、インビトロでの突然変異導入(又は、ヒトIg配列に対して遺伝子導入された動物が使用される場合には、インビボでの体細胞突然変異導入)に供され、従って、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し並びにヒト生殖系列VH及びVL配列に関連するが、インビボでは、ヒト抗体生殖系列レパートリーの中に本来存在し得ない配列である。
【0046】
本明細書において使用される「中和抗体」(又は「IL−18活性を中和した抗体」)は、IL−18へのその結合がIL−18の生物学的活性の阻害をもたらす抗体を表すものとする。
【0047】
「親和性成熟された」抗体とは、親抗体と比べて、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす、1つ又はそれ以上の変化を1つ又はそれ以上の超可変領域に有する抗体である。親和性成熟された抗体は、標的抗原に対して、ナノモル濃度の又はピコモル濃度の親和性値さえ有する。親和性成熟された抗体は、本分野において公知の手法によって作成される。「Marks et al.(1992)Bio/Technology10:779−783」は、VH及びVLドメインシャフリングによる親和性成熟を記載する。CDR及び/又はフレームワーク残基の無作為突然変異導入は、「Barbas et al.(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.USA91:3809−3813;Scier et al.(1995)Gene169:147−155;Yelton et al.(1995)J.Immunol.155:1994−2004;Jackson et al.(1995)J.Immunol.154(7):3310−9;及びHawkins et al.(1992)J.Mol.Biol.226:889−896」に記載されている。
【0048】
本明細書において使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を表すものとする(例えば、IL−18を特異的に結合する単離された抗体は、IL−18以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない。)。しかしながら、IL−18を特異的に結合する単離された抗体は、他の種由来のIL−18分子などの他の抗原に対して交叉反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない場合があり得る。
【0049】
本発明に従って結晶化された特異的「親」抗体の「機能的均等物」とは、同じ抗原特異性を示すが、アミノ酸レベル又はグリコシル化レベルでの「親」抗体の分子組成に関して異なるものである。しかしながら、差は、本明細書に開示されているパラメータ範囲から結晶化条件が逸脱しないような差に過ぎないものであり得る。
【0050】
抗体結晶の「封入」とは、結晶が被覆材料の少なくとも1つの層によって個別に被覆された製剤を表す。好ましい実施形態において、このような被覆された結晶は、持続的な溶解速度を有し得る。
【0051】
抗体結晶の「包埋」とは、分散された様式で、固体、液体又は半固体担体中に結晶(封入されていてもよく、又は封入されていなくてもよい。)が取り込まれた製剤を表す。このような包埋された結晶化された抗体分子は、担体から制御された徐放様式で放出又は溶解され得る。
【0052】
「ポリアルキレンポリオール型の結晶化剤」は、以下でより詳しく定義される。
【0053】
本発明において使用される「ポリアルキレンポリオール」は、直鎖又は分岐鎖、特に直鎖のポリ−C−C−アルキレンポリオールである。ポリエーテルは、2から6個の、2から4個の、特に2又は3個の、好ましくは近接した水酸基を有し、及び好ましくは、直鎖炭素骨格を形成する2から6個の、特に、2、3又は4個の炭素原子を有する多官能性脂肪族アルコールの少なくとも1つの種類から形成される。非限定的な例は、エチレン−1,2−ジオール(グリコール)、プロピレン−1,2−ジオール、プロピレン−1,3−ジオール及びn−ブチレン−1,3−ジオール及びn−ブチレン−1,4−ジオールである。特に好ましいジオールは、グリコールである。
【0054】
「ポリアルキレンポリオール」という用語は、その誘導体も含む。非限定的な例は、アルキルエステル及びエーテル、特に、モノアルキルエーテル及びジアルキルエーテルである。「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖のC−C−アルキル残基、特に、メチル、エチル、n−又はi−プロピル、n−、i−、sec−又はtert−ブチル、n−又はi−ペンチル及びn−ヘキシルとして定義される。
【0055】
本発明において使用されるポリアルキレンポリオール、特に、ポリアルキレングリコールは、分子量の幅広い範囲によってさらに特徴付けられる。数又は重量平均分子量として表される分子量の範囲は、典型的には、約400から約10,000g/mol、例えば、約1,000から約8,000g/mol又は約2,000から約6,000g/mol、約3,000から約6,000又は約3,200から約6,000g/mol、例えば、約3,350から約6,000g/mol、約3,350から約5,000g/mol又は約3,800から約4,200g/mol、特に、約4,000g/molの範囲である。
【0056】
特に好ましいポリアルキレンポリオールは、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)並びに対応する無作為又はブロック共重合体である。適切なポリオールの具体例は、PEG400、PEG2,000、PEG3,000、PEG3,350、PEG4,000、PEG5,000及びPEG6,000である。
【0057】
結晶化混合物中のポリアルキレンポリオールの濃度、特に、PEG濃度は、約5から約30%(w/v)、例えば、約7から約15%(w/v)又は約9から約16%(w/v)又は約9から約14%(w/v)又は約9から約12%(w/v)の範囲である。好ましくは、約4,000の平均分子量を有するPEGは、一工程プロセスにおいて約9から約12%(w/v)の結晶化混合物中濃度で、又は複数工程プロセスにおいて約10から約16%(w/v)の結晶化混合物中濃度で使用される。
【0058】
本発明のポリアルキレンポリオールは、無作為に重合され得又はブロック共重合体として存在し得る、ポリオールの単一種又は少なくとも2つの異なるポリオールの混合物から構成され得る。
【0059】
インターロイキン−18(IL−18)
インターロイキン(IL)−18は、生得的及び後天的免疫の制御に関与する炎症促進性サイトカインである(Okamura et al.(1995)Nature378:88;Nakanishi et al.(2001)Annu.Rev.Immunol.19:432)。IL−18は、単独で又はIL−12と協調して作用して、インターフェロン(IFN)−γなどの炎症促進性及び細胞傷害性媒介物質の誘導を増幅する。例えば、IL−18ノックアウトマウスにおいて、IFN−γのレベル及び細胞傷害性T細胞は、IL−12の存在にも関わらず減少する。IL−18活性の阻害は、幾つかの自己免疫疾患の動物モデル(例えば、コラーゲン誘導性関節炎(Plater−Zyberk,et al.(2001)J.Clin.Invest.108;1825)及び腸炎(Siegmund et al.(2001)Am.J.Physiol.Regul.Integ.Comp.Physiol.281:R1264))において有益である。さらに、IL−18発現は、関節リウマチ(Yamamura et al.(2001)Arthritis Rheum44:275)、多発性硬化症(Losy et al.(2001)Acta Neurol.Scand.104:171;Karni et al.)(2002)J.Neuroimmunol.125:134)及びクローン病(Ludwiczek et al.(2005)Eur.Cytokine Netw.16:27)などのヒト自己免疫疾患中に現存する慢性の炎症状態によって劇的に増加される。これらの観察は、IL−18の封鎖が有用なヒト治療様式であり得ることを示唆する(Bombardieri et al.(2007)Expert Opni.Biol.Ther.7:31)。
【0060】
IL−1サイトカインファミリーから得られる機能的な多様性に関わらず、IL−18はIL−1と多くの類似性を共有する。第一に、ヒトIL−18は生物的に不活性な24−kDaの前駆体として合成される。IL−1βと同様、IL−18は、成熟した18kDaのポリペプチドを生成するカスパーゼ−1(及びおそらくは、他のプロテアーゼ)切断後に活性化され、分泌される。IL−1βとの低い配列相同性(17%)に関わらず、IL−18の三次元構造は、最近のIL−18NMR構造の決定によって示されるように、IL−1βのβ−トレフォイル折り畳みに極めて似ている(Kato et al.(2003)Nat.Struct.Biol.10:966)。IL−1及びIL−18受容体も相同的である。IL−18は、Il−18Rα鎖のみ又はヘテロ二量体のIL−18α/β受容体複合体の何れかに結合する。IL−18は、約20nMの親和性でIL−18Rαに結合するが、シグナル伝達は、高親和性(0.2nM)IL−18α/IL−18/IL−18Rβ三次複合体の形成に際してのみ起こる(Yoshimot et al.(1998)J.Immunol.161:3400;Azam et al.(2003)J.Immunol.171:6574)。表面変異分析は、IL−1β/IL−1Rα二次複合体中に観察されたものと類似のIL−18RαへのIL−18結合のための2つの部位(Vigers et al.(1997)Nature386:190)並びにIL−18Rβへの結合にとって重要な1つの部位(Kato et al.(2003)Nat.Struct.Biol.10:966)を同定した。
【0061】
最近の研究において、強力な(0.5nM)IL−18中和マウスモノクローナル抗体(mAb)125−2Hは、IL−18Rα単独へのIL−18の結合を阻害したが、IL−18との三次複合体を非機能的にしたにも関わらず、ヘテロ二量体のIL−18Rα/β受容体複合体へのIL−18の結合を阻害しなかった(Wu et al.(2003)J.Immunol.170:5571)125−2Hの珍しい特性に対する構造的な基礎は明確でない。著者は、IL−18Rα/β受容体の形成に際して、IL−18Rαの立体構造の変化が起こることにより、125−2Hとの相互作用を変化させると推定した(Wu et al.(2003)J.Immunol.170:5571)。
【0062】
方法及び組成物
一態様において、本発明は、ヒト及び非ヒト抗体Fab断片(例えば、抗IL−18Fab断片など)に対する結晶及び結晶化条件を提供する。一態様において、本発明は、生化学的研究によって確認されるように、ハイブリドーマ細胞株によって産生される、別個のIL−18エピトープを結合する完全ヒトmAbABT−325のFab断片の結晶を提供する。ABT−325は、様々な自己免疫疾患の適用症に対して臨床試験に入っている。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、ハイブリドーマ細胞株によって産生されるマウス抗IL−18抗体125−2HFab断片を含む結晶を提供する。別の実施形態において、本発明は、抗IL−18125−2HFab断片に結合されたヒトIL−18を含む結晶を提供する。
【0064】
別の態様において、本発明は、Fab断片結晶の形成を可能にする条件下で、Fab断片と少なくとも1つの結晶化剤を含むリザーバ溶液とを含む水性結晶化混合物を提供することによって、抗体Fab断片結晶を調製する方法を提供する。結晶化混合物は、Fab断片を含むリザーバ溶液に又は結晶化溶液に、溶液中の又は固体としての結晶化剤を添加することによって得られる。
【0065】
一実施形態において、Fab断片は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4抗体などのIgG抗体の断片である。抗体断片は、例えば、キメラ又は非キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異的抗体、二重可変ドメイン抗体、非グリコシル化抗体、ヒト抗体、非ヒト、例えば、マウス抗体のポリクローナル抗体Fab断片又はモノクローナル抗体Fab断片であり得る。特定の実施形態において、結晶化されるべき抗体Fab断片は、抗原結合を改善するために場合によってさらに処理された非キメラヒト抗体Fab断片又はその断片である。
【0066】
別の態様において、本発明は、結晶化剤として、ポリアルキレン又はポリエチレングリコールなどの少なくとも1つのポリアルキレン又はポリエチレンポリオールを含むリザーバ溶液中に(例えば、溶解された形態の)Fab断片を含む水性結晶化混合物を提供し、及びFab断片の結晶が形成されるまで、前記水性結晶化混合物を温置することによって、抗IL−18Fab断片を結晶化するための結晶化法(前記ポリアルキレン又はポリエチレングリコールは、(a)1つの工程で又は(b)2以上の工程で提供され、1つの工程で形成された前記抗体結晶は、次の工程の前に除去されない。)を提供する。
【0067】
本発明のABT−325結晶化法の一実施形態において、水性結晶化混合物のpHは、約8.5から約12.0、特に、約9から約11.5又は約9.5から約11.0又は約10.0から約10.5の範囲にあり、例えば、約7.5である。
【0068】
本発明の125−2H結晶化法の一実施形態において、水性結晶化混合物のpHは、約5.5から約9、特に、約6から約8.5又は約6.5から約8又は約7から約7.5の範囲にあり、例えば、約7.5である。
【0069】
本発明の125−2H/IL−18複合体結晶化法の一実施形態において、水性結晶化混合物のpHは、約4.0から約11、特に、約6.5から約10.5、特に約7から約10又は約7.5から約9.5又は約8から約8.5の範囲にあり、例えば、約8.5である。
【0070】
リザーバ溶液及び結晶化溶液は何れも、緩衝化され得るが、緩衝化しなければならないわけではない。元のリザーバ溶液中の結晶化剤の濃度及び緩衝液のモル濃度は、タンパク質溶液が添加されると希釈されるので、結晶化混合物中では通常より高い。一実施形態において、水性結晶化混合物は、少なくとも1つの緩衝液を含有し得る。緩衝液は、例えば、酢酸塩及び/若しくはクエン酸塩成分又はそのアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、特に、酢酸ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含み得る。塩は、必要とされるpHまで、酸、特に、酢酸又はクエン酸を添加することによって調整される。一実施形態において、緩衝液は、例えば、HEPES、MES、ビシン、CAPS又はTrisである。
【0071】
結晶化法の一実施形態において、水性結晶化混合物中の緩衝液濃度は、約0から約0.5M又は約0.05から約0.400M、例えば、約0.075から約0.300M又は約0.200Mである。
【0072】
一実施形態において、PEGは、水性結晶化混合物中において、約400から約20,000g/molの範囲の平均分子量を有する。例えば、PEGは、総容量の約2から約50(w/v)、約5から約40%、約10から約30%、約15から約20%の範囲、又は例えば、約5若しくは15%の範囲の最終濃度で、結晶化混合物中に存在する。
【0073】
別の実施形態において、以下のさらなる結晶化条件の少なくとも1つが充足される。(1)温置は、約1時間から約30日間又は約1/2日から約20日間又は約1日から約10日間、例えば、約1日から約5日又は約2日から約3日間行われ、(2)温置は、約0℃と約+25℃、例えば、約4℃又は約18℃の間の温度で行われ、並びに、(3)結晶化混合物は、約0.5から約200mg/mL又は約1から約150mg/mL又は約2から約100mg/mL、例えば、約3.0から約50mg/mLの範囲の、特に、約5.0から約10mg/mLの範囲の濃度で、Fab断片を含む。タンパク質濃度は、例えば、適切な波長、例えば、280nmで光学密度を測定することによるなど、タンパク質測定のための標準的な手法に従って測定され得る。
【0074】
別の実施形態において、本発明の方法は、産生される結晶を乾燥する工程を含む。適切な乾燥法には、蒸発的乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、液体床乾燥、噴霧凍結乾燥、近臨界乾燥、超臨界乾燥及び窒素気体乾燥が含まれる。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明の結晶化法は、例えば、遠心、透析ろ過、限外ろ過又は他の一般的に使用される緩衝液交換技術によって、結晶化母液を異なる液体又は緩衝液(例えば、結晶化のために使用されたものとは異なり及び約300から約8,000ダルトンの範囲のモル質量を有する少なくとも1つのポリアルキレンポリオール又はその混合物を含有する液体又は緩衝液)と交換する工程をさらに含む。
【0076】
好ましい実施形態において、ABT−325Fab結晶は、氷上で融解され、25から30%ポリエチレングリコール(PEG)400、100mMCAPS、pH10.5からなるリザーバ溶液2μLと混合され、4℃でリザーバ上に懸濁された2μL(約20mg/mL)の温置によって形成された。棹状の結晶が1日以内に出現した。ABT−325Fabの結晶は、ファイバーループを用いて、その母液から直接採取した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間冷却し、液体窒素冷却装置中に保存した。
【0077】
別の好ましい実施形態において、125−2hFab結晶は、氷上で融解され、10%ポリエチレングリコール(PEG)6000、100mMHEPES、pH7.5、5%2,4−メチルペンタンジオールからなるリザーバ溶液2μLと混合され、4℃でリザーバ(シリコン処理されたガラスカバースリップ)上に懸濁された125−2HFab原液2μL(約13mg/mL)の温置によって形成された。棹状の結晶が1日以内に出現した。125−2HFabの結晶は、それぞれ、母液+20%プロピレングリコール又は25%グリセロール中に採集した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間冷却し、液体窒素冷却装置中に保存した。
【0078】
別の好ましい実施形態において、IL−18/125−2HFab共結晶は、氷上で融解され、30%PEG4000、100mMTris、pH8.5、0.2MMgClからなるリザーバ溶液1.8μL及び300mMスルホ−ベテイン201の0.3μLと混合されたIL−18/125−2HFab複合体原液1.5μL(約20mg/mL)の温置によって形成された。混合物を18℃でリザーバ(シリコン処理されたカバーガラス)上に懸濁した。棹状の結晶が1週以内に出現した。棹状の結晶が1週以内に出現した。IL−18/125−2HFab複合体の結晶は、それぞれ、母液+20%プロピレングリコール又は25%グリセロール中に採集した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間冷却し、液体窒素冷却装置中に保存した。
【0079】
別の態様において、本発明は、例えば、本明細書に記載されている方法の何れかによって作製された、抗IL−18Fab断片の結晶及び抗IL−18/IL−18複合体の共結晶を提供する。
【0080】
一実施形態において、結晶は針の形状を有する。例えば、本発明の結晶は、約2から約500μm又は約100から約300μmの最大長(l)及び約1から約100の長さ/直径(l/d)比を有する針様形態によって特徴付けられ得る。このような針様結晶の高さは、おおむね、直径の大きさである。
【0081】
別の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載されている方法に従って調製された抗体又は抗体断片の結晶、及び(b)抗体結晶を安定に維持する少なくとも1つの医薬賦形剤を含み、固体、半固体又は液体製剤として提供される医薬組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、(a)本発明の方法に従って調製された抗体の結晶及び(b)結晶を包埋又は封入する少なくとも1つの医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0082】
別の実施形態において、抗体は、約1mg/mLを超える濃度で存在する。特定の実施形態において、抗体は、約200mg/mL、例えば約200から約600mg/mL又は約300から約500mg/mLを超える濃度で存在する。別の実施形態において、医薬組成物は抗体結晶の約0.1から約9.9%(w/w)を含む固体である。
【0083】
一実施形態において、賦形剤は、少なくとも1つのポリマー性の生物分解性又は非生物分解性担体及び/又は少なくとも1つの油若しくは脂質担体(これらの組み合わせ、混和物及び共重合体を含む。)を含む。
【0084】
典型的なポリマー性担体は、ポリ(アクリル酸)、ポリ(シアノアクリラート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(デプシペプチド)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGA、ポリ(β−ヒドロキシブチラート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ヒドロキシプロピル)、メタクリルアミド、ポリ(有機)ホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸アルキルビニルエーテル共重合体、プルロニックポリオール、アルブミン、アルギナート、セルロース及びセルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロン酸、オリゴ糖、グリカミノグリカン及び硫酸化された多糖からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【0085】
脂質担体には、脂肪酸及び脂肪酸の塩、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリド、リン脂質、糖脂質、ステロール及び蝋及び関連する類似の物質が含まれる。蝋は、天然及び合成の産物にさらに分類される。天然の物質には、蜜蝋、カルナウバ又はモンタン蝋などの植物、動物又は鉱物源から得られた蝋が含まれる。塩素化されたナフタレン及びエチレン性ポリマーは、合成蝋産物の例である。
【0086】
油(又は油性液体)担体には、油性アーモンド油、トウモロコシ油、綿実油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、軽油、オクチルドデカノール、オリーブ油、落花生油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、スクアラン、液体トリグリセリド、液体蝋及び高級アルコールなどの油(又は油性液体)が含まれる。
【0087】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって取得可能な抗体又は抗体断片結晶を含み、前記抗体又は抗体断片が約10から約400mg/mL又は約50から約300mg/mL、例えば、約200mg/mLの範囲の濃度で存在する注射可能な液体組成物を提供する。
【0088】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって取得可能な抗体又は抗体断片結晶を含み、前記抗体又は抗体断片が約100mg/mL、例えば、約150から約600mg/mL又は約200から約400mg/mLを超える濃度で存在する、結晶スラリー組成物を提供する。
【0089】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって取得可能な抗体結晶又は組成物の有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物を治療する方法を提供する。結晶及びその組成物を投与するための方法は、非経口的経路によって、経口経路によって、吸入によって、注射又はこれらの組み合わせによる投与を含み得るが、これらに限定されない。
【0090】
特定の実施形態において、本発明は、対象に抗体結晶の治療的有効量を投与することを含む、対象中のIL−18関連疾患を治療する方法を提供する。
【0091】
別の態様において、本発明は、IL−18関連疾患を治療するための医薬組成物を調製するための、本発明の抗IL−18抗体結晶の使用を提供する。
【0092】
本発明は、医薬において使用するための上記IL−18抗体断片結晶も提供する。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、抗体タンパク質溶液及び結晶化溶液は約1:1の比率で組み合わされる。従って、元の結晶化溶液中の緩衝剤/結晶化剤のモル濃度は、結晶化混合物中のモル濃度のおよそ2倍である。
【0094】
別段の記載がなければ、本発明の結晶化法は、Fab断片などのあらゆる抗体断片に対して適用することができる。抗体は、ポリクローナル抗体であり得、又は好ましくはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、それぞれグリコシル化された形態又はグリコシル化されていない形態の、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、非ヒト抗体、例えば、マウス抗体であり得る。抗体は、例えば、二重特異的抗体(dsAb)又は二重可変ドメイン抗体(DVDAb)であり得る。
【0095】
別段の記載がなければ、本発明の結晶化法は、本分野において周知の技術的装置、化学物質及び方法を使用する。しかしながら、上で説明されているように、本発明は、特異的な結晶化条件の選択、特に、場合によって、特異的なpH条件及び/又は対応する因子(緩衝液、抗体、結晶化剤)の濃度範囲とさらに組み合わされた特異的な結晶化剤の選択が、Fab断片の再現可能に安定な結晶(結晶は、より優れた高度に有利な医薬組成物の活性成分を形成するために、さらに処理することができる。)を調製することを初めて可能にするという驚くべき発見に基づいている。
【0096】
結晶化法を実施するための出発材料は、結晶化されるべき抗体の濃縮された溶液を通常含む。タンパク質濃度は、例えば、約1mg/mLから約200mg/mLの範囲であり得る。溶液は、溶解された抗体を安定化する添加物を含有し得る。一実施形態において、前もって添加物を除去することが賢明である。これは、本明細書に記載されている緩衝液交換工程を実施することによって達成することができる。
【0097】
好ましくは、本発明の結晶化法を実施するための出発材料は、約5.0から約12.0の範囲に調整されたpHを有する水溶液中に抗体を含有する。pHは、約1から約500mM、特に約100mMの最終濃度で存在する適切な緩衝液によって調整され得る。溶液は、例えば、溶液をさらに安定化させるために、例えば、塩、糖、糖アルコール及び界面活性剤などの溶液の総重量を基礎として約0.01から約15又は約0.1から約5又は約0.1から約2重量%の割合で、添加物を含有し得る。好ましくは、賦形剤は、医薬調製物中に一般的に適用される生理的に許容される化合物から選択すべきである。非限定的な例として、NaClなどの塩、ポリソルベート80(Tween80)及びポリソルベート20(Tween20)などの界面活性剤、ショ糖及びトレハロースなどの糖、エチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール及びショ糖などの凍結保護剤、マニトール及びソルビトールなどの糖アルコール並びに上に記載されているようなリン酸水素ナトリウム及びカリウム緩衝液などのリン酸塩を基礎とする緩衝系、アセタート緩衝液、ホスファート緩衝液、シトラート緩衝液、HEPES緩衝液、CAPS緩衝液、TRIS緩衝液、MES緩衝液、ビシン緩衝液、マレアート緩衝液又はスクシナート緩衝液及びヒスチジン緩衝液などの緩衝剤並びに、例えば、ヒスチジン、アルギニン及びグリシンなどのアミノ酸を挙げることができる。
【0098】
緩衝液交換は、定型的な方法、例えば、透析、透析ろ過又は限外ろ過によって実施され得る。
【0099】
必要であれば、溶液は、標準化された結晶化条件にされる。特に、温度は、約4℃と約37℃の範囲であるように調整される。所望であれば又は有利であれば、温度は一定に保つ必要はなく、例えば、温度は変化させることができ、所望の形状の結晶を与える温度特性を結晶化プロセスの間に適用し得る。
【0100】
必要に応じて抗体溶液と同じように予め条件付けられた、適切な濃度で結晶化剤を含有する結晶化溶液を、結晶化混合物を形成させるために、次いで、抗体溶液に添加する。
【0101】
さらなる実施形態によれば、本発明の結晶化法は、結晶化を開始させ又は強化するための種晶として、工程a)で得られた結晶化混合物に、予め存在する抗体結晶、例えば、抗IL−18抗体結合断片結晶の適切な量が補充され得るようにも実施され得る。
【0102】
結晶化溶液の添加は、2つの液体の混合を促進するために、場合によって穏やかな撹拌下で、連続的に又は不連続的に実施され得る。好ましくは、添加は、撹拌下でタンパク質溶液が提供され及び結晶化溶液(又はその固体形態の因子)が制御された様式で添加される条件下で行われる。
【0103】
抗体結晶の形成は、上記ポリアルキレンポリオール、特に、ポリアルキレングリコール、好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)又は上記少なくとも2つの異なるポリアルキレンポリオールの混合物を結晶化剤として適用することによって開始される。結晶化混合物は、約5から約30%(w/v)の範囲で、結晶化混合物中にポリアルキレンポリオールの最終濃度を与えるのに十分な濃度で前記薬剤を含有する。上で既に記載されているようにポリアルキレンポリオールの濃度勾配も適用され得る。
【0104】
好ましくは、結晶化溶液は、結晶化混合物のpHを約4から約6の範囲に調整させるのに適した濃度で、酸性緩衝液(すなわち、抗体溶液ものとは異なる。)をさらに含有する。
【0105】
結晶化溶液への結晶化剤の添加を終えた後、混合物は、抗体結晶の最大収率を得るために、約1時間から約1年間さらに温置され得る。適宜、混合物は、例えば、本分野において公知の様式で、撹拌され、穏やかにかき回され、回転され又は移動され得る。結晶サイズをさらに調節することが望まれる場合には、(既に上で説明されているような)調節された条件下で、撹拌を基礎とするサイズ調節された結晶化法を、本発明のバッチ結晶化法の中に実装し得る。
【0106】
得られた結晶は、公知の方法、例えば、ろ過又は遠心例えば、約4℃の室温での、約200から約20,000rpm、好ましくは、約500から約2,000rpmでの遠心によって分離され得る。残りの母液は、廃棄され得、又は例えば、さらなる結晶化剤を添加することによってさらに処理され得る。
【0107】
必要であれば、単離された結晶は、洗浄され、続いて、乾燥され得、又は保存に適した及びその中に懸濁される抗体の最終的な使用に適した異なる溶媒系で母液を置換することができる。
【0108】
本発明に従って形成された抗体結晶の形状は、既に上述されたように、変動し得る。治療的投与の場合、結晶のサイズは、投与の経路に応じて変動し、例えば、皮下投与の場合、結晶のサイズは静脈内投与の場合より大きいサイズであり得る。結晶の形状は、タンパク質結晶並びに低分子量の有機及び無機分子の結晶の両方に対して、既に記載されているように、結晶化混合物に特異的なさらなる添加物を添加することによって変化され得る。
【0109】
必要であれば、結晶が実際に抗体の結晶であることが確認され得る。抗体の結晶は、複屈折性に関して、顕微鏡的に分析することができる。一般に、結晶は、立方体の内部対称性の結晶でなければ、偏光の偏光面を回転させる。さらに別の方法において、結晶は単離され、洗浄され、再可溶化され、SDS-PAGEによって分析され、場合によって、検出抗体で染色され得る。場合によって、再可溶化された抗体は、標準的なアッセイを用いて、その抗原への結合に関して検査することもできる。
【0110】
本発明に従って得られた結晶は、互いに架橋することもできる。このような架橋は、結晶の安定性を増強させ得る。結晶を架橋するための方法は、例えば、米国特許第5,849,296号に記載されている。結晶は、グルタルアルデヒドなどの二官能性試薬を用いて架橋することができる。一旦架橋されたら、例えば、診断又は治療的用途において使用するために、結晶は凍結乾燥し、保存することができる。
【0111】
幾つかの事例では、結晶を乾燥することが望ましい場合があり得る。結晶は、窒素気体のような不活性気体、真空オーブン乾燥、凍結乾燥、蒸発、トレイ乾燥、液体床乾燥、スプレー乾燥、真空乾燥又はローラー乾燥を用いて乾燥され得る。適切な方法は、本分野において周知である。
【0112】
本発明に従って形成された結晶は、元の結晶化混合物中に維持することが可能であり、又は本発明の結晶を含む組成物若しくは製剤を形成するために、洗浄し、不活性担体又は成分などの他の物質と組み合わせることができる。このような組成物又は製剤は、例えば、治療及び診断用途において使用することができる。
【0113】
好ましい実施形態において、適切な担体又は成分は、製剤の結晶が賦形剤によって包埋又は封入されるように、本発明の結晶と組み合わされる。適切な担体は、以下の非限定的な群から選択され得る。ポリ(アクリル酸)、ポリ(シアノアクリラート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(デプシペプチド)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGA、ポリ(β−ヒドロキシブチラート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ヒドロキシプロピル)、メタクリルアミド、ポリ(有機)ホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸アルキルビニルエーテル共重合体、プルロニックポリオール、アルブミン、アルギナート、セルロース及びセルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロン酸、オリゴ糖、グリカミノグリカン、硫酸化された多糖、これらの混和物及び共重合体、SAIB、脂肪酸及び脂肪酸の塩、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリド、リン脂質、糖脂質、ステロール及び蝋並びに関連する類似の物質。蝋は、天然又は合成産物としてさらに分類される。天然の物質には、蜜蝋、カルナウバ又はモンタン蝋などの植物、動物又は鉱物源から得られる蝋が含まれる。塩素化されたナフタレン及びエチレン性ポリマーは、合成蝋製品の例である。
【0114】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの担体及び/又は賦形剤と組み合わされた抗体結晶を含む組成物及び製剤を提供する。製剤は、固体、半固体又は液体であり得る。
【0115】
本発明の製剤は、必要な純度を有する抗体を生理的に許容される添加物(例えば、担体、賦形剤及び/又は安定化剤など)(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edn.,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、保存及び/又は使用に適した形態で、懸濁液の形態で調製され、又は別の様式で凍結乾燥若しくは乾燥される。場合によって、異なる抗体、生物分子又は化学的に若しくは酵素的に合成された低分子量分子などのさらなる活性成分も取り込まれ得る。
【0116】
許容される添加物は、使用される投薬量及び濃度において、服用者に対して無毒である。その非限定的な例には、以下のものが含まれる。
【0117】
−酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希リン酸、硫酸及び酒石酸などの酸性化剤;
−ブタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、イソブタン、プロパン及びトリクロロモノフルオロメタンなどのエアロゾル噴射剤;
−二酸化炭素及び窒素などの空気代替物;
−メチルイソブチルケトン及びショ糖オクタアセタートなどのアルコール変性剤;
−アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びトロラミンなどのアルキル化剤;
−ジメチコン及びシメチコンなどの消泡剤;
−塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾアルコニウム溶液、塩化ベンゼトニウム(benzelthonium chloride)、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、セチルピリジニウムクロリド、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール及びチモールなどの抗微生物性防腐剤;
−アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、次リン酸、モノチオグリセオール、没食子酸プロピル、ホルムアルデスルホキシル酸ヒドナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール及びトコフェロール賦形剤などの抗酸化剤;
−酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム溶液、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム及びヒスチジンなどの緩衝剤;
−エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸及び塩並びにエデト酸などのキレート剤;
−ナトリウムカルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、薬用釉(glaze)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸共重合体、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、フタル酸酢酸ポリビニル、セラック、ショ糖、二酸化チタン、カルナウバ蝋、微結晶性蝋、ゼイン、ポリアミノ酸、PLGAなどの他のポリマー及びSAIBなどのコーティング剤;
−酸化第二鉄などの着色剤;
−エチレンジアミン四酢酸及び塩(EDTA)、エデト酸、ゲンチジン酸エタノールアミド及び硫酸オキシキノリン硫酸などの錯化剤;
−塩化カルシウム、硫酸カルシウム及び二酸化ケイ素などの乾燥剤;
−アラビアゴム、コレステロール、ジエタノールアミン(付加物)、モノステアリン酸グリセリル、ラノリンアルコール、レシチン、モノ及びジグリセリド、モノエタノールアミン(付加物)、オレイン酸(付加物)、オレイルアルコール(安定化剤)、ポロキサマー、ステアリン酸ポリオキシエチレン50、ポリオキシル35ヒマシ油(caster oil)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル2−セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアラート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコールモノステアラート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸、トロラミン及び乳化蝋などの乳化剤及び/又は可溶化剤;
−粉末化されたセルロース及び精製されたケイ質土などのろ過補助物;
−アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸一ナトリウム、橙花油、ペパーミント、ペパーミント油、ハッカ精、バラ油、より強力なバラ香水、チモール、トルーバルサムチンキ剤、バニラ、バニラチンキ剤及びバニリンなどの香料及び香水;
−ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素及びタルクなどの潤滑促進剤及び/又は凝固阻止剤;
−グリセリン、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール及びソルビトールなどの保湿剤;
−ラノリン、無水ラノリン、親水性軟膏、白色軟膏、黄色軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ペトロラタム、親水性ペトロラタム、白色ペトロラタムバラ香水軟膏及びスクアランなどの軟膏基剤;
−ヒマシ油、ラノリン、鉱物油、ペトロラタム、ギ酸ベンジルベニル(benzyl
benyl formate)、クロロブタノール、フタル酸ジエチル、ソルビトール、二アセチル化されたモノグリセリド、フタル酸ジエチル、グリセリン、グリセロール、モノ及びジアセチル化されたモノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル及びエタノールなどの可塑剤;
−低分子量(約10未満の残基)などのポリペプチド;
−血清アルブミン、ゼラチン及び免疫グロブリンなどのタンパク質;
−酢酸セルロース膜などのポリマー性膜;
−アセトン、アルコール、希釈されたアルコール、アミレン水和物、安息香酸ベンジル、ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロホルム、トウモロコシ油、綿実油、酢酸エチル、グリセリン、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、塩化メチレン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、落花生油、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、無菌注射用水、無菌潅注用水、精製された水、液体トリグリセリド、液体蝋及び高級アルコールなどの溶媒;
−粉末化されたセルロース、活性炭、精製されたケイ質土、二酸化炭素吸着剤、水酸化バリウム石灰及びソーダ石灰などの吸着剤;
−硬化ヒマシ油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル蝋、ハードファット(hard fat)パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化蝋、白色蝋及び黄色蝋などの硬化剤;
−カカオバター、ハードファット及びポリエチレングリコールなどの坐剤基剤;
−アラビアゴム、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製されたベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラギーナン、微結晶及びカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレングリコールアルギナート、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム及びトラガカント、キサンタンゴムなどの懸濁剤及び/又は増粘剤;
−アスパルテーム、デキストラート、デキストロース、賦形剤デキストロース、フルクトース、マニトール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、溶液ソルビトール、ショ糖、圧縮可能な糖、粉砂糖及びシロップなどの甘味剤;
−アラビアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、予めゼラチン化されたデンプン及びシロップなどの錠剤結合剤;
−炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末化されたセルロース、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース賦形剤、フルクトース、カオリン、ラクトース、マニトール、ソルビトール、デンプン、予めゼラチン化されたデンプン、ショ糖、圧縮可能な糖および粉砂糖などの錠剤及び/又はカプセル希釈剤;
−アルギン酸、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(corspovidone)、ポラクリリンカリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、デンプン及び予めゼラチン化されたデンプンなどの錠剤崩壊剤;
−ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、軽量鉱物油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、精製されたステアリン酸、タルク、硬化植物油及びステアリン酸亜鉛などの錠剤及び/又はカプセル潤滑剤;
−デキストロース、グリセリン、マニトール、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの等張化剤;
−着香された及び/又は甘味付けされた芳香族エリキシル、化合物ベンズアルデヒドエリキシル、イソアルコール性エリキシル、ペパーミント水、ソルビトール溶液、シロップ及びトル・バルサムシロップなどのビヒクル;
−油性アーモンド油、トウモロコシ油、綿実油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、軽油、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オリーブ油、落花生油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、スクアラン、固体担体糖球体;無菌静菌性注射用水、静菌性塩化ナトリウム注射、液体トリグリセリド、液体蝋及び高級アルコールなどのビヒクル;
−シクロメチコン、ジメチコン及びシメチコンなどの撥水剤;並びに
−ベンズアルコニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、セチルピリジニウムクロリド、ドキュセートナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40、硬化ヒマシ油、ポリオキシル50ステアラート、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20、セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアラート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン及びチロキサポールなどの湿潤及び/又は可溶化剤。
【0118】
結晶は、安定性及び/又は徐放を与えるために、ポリマー性担体と組み合わされ得る。このようなポリマーには、生体適合性及び生物分解性ポリマーが含まれる。ポリマー性担体は、単一のポリマー種であり得、又はポリマー種の混合物から構成され得る。ポリマー性担体の非限定的な例は、既に上に提供されている。
【0119】
好ましい成分又は賦形剤の例には、以下のものが含まれる。
【0120】
−グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アスパラギン、グルタミン、プロリン及びヒスチジンなどのアミノ酸の塩;
−グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びリボースなどの単糖;
−ラクトース、トレハロース、マルトース及びショ糖などの二糖;
マルトデキストリン、デキストラン、デンプン及びグリコーゲンなどの多糖;
−マニトール、キシリトール、ラクチトール及びソルビトールなどのアルジトール;
−グルクロン酸及びガラクツロン酸;
−メチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−(3−シクロデキストリン)などのシクロデキストリン;
−塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ナトリウム及びカリウムのリン酸塩、ホウ酸炭酸アンモニウム及びリン酸アンモニウムなどの無機塩;
−酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩及び乳酸塩などの有機塩;
−アラビアゴム、ジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、モノエタノールアミン、オレイン酸、オレイルアルコール、ポロキサマー、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン及び他のソルビタン誘導体、ポリオキシル誘導体、蝋、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン誘導体などの乳化剤又は可溶化剤;並びに
−寒天、アルギン酸及びその塩、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、セルロース及びその誘導体プロピレンカーボナート、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチロキサポールなどの増粘剤。
【0121】
本明細書に記載されている製剤は、結晶性抗体の有効量も含む。特に、本発明の製剤は、本発明の抗体結晶の「治療的有効量」又は「予防的有効量」を含み得る。「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な用量及び期間にわたって有効な量を表す。抗体結晶の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別及び個体の体重及び個体中に所望の応答を惹起する抗体の能力などの因子に従って変動し得る。治療的有効量は、治療的に有益な効果が抗体のあらゆる有毒又は有害な効果を上回る量でもある。「予防的有効量」は、所望の予防的結果を達成するのに必要な用量及び期間にわたって有効な量を表す。典型的には、予防的投薬は疾病の前に又は疾病の初期段階で対象中において使用されるので、予防的有効量は治療的有効量より少ない。
【0122】
適切な投薬量は、標準的な方法を用いて容易に決定することができる。抗体は、1回で又は一連の治療の間、患者に適切に投与される。上記因子に応じて、例えば、1回若しくはそれ以上の分離した投与により又は継続的注入により、抗体の約1μg/kgから約50mg/kg、例えば、約0.1から約20mg/kgが患者に投与するための初期候補投薬量である。典型的な一日又は一週投薬量は、約1μg/kgから約20mg/kg又はそれ以上の範囲であり得、症状に応じて、疾病の症候の望ましい抑制が起こるまで治療は反復される。しかしながら、他の投薬計画が有用であり得る。幾つかの事例において、製剤は、再可溶化されたときに、少なくとも約1g/L又はそれ以上の抗体の濃度を含む。他の実施形態において、抗体濃度は、再可溶化されたときに、少なくとも約1g/Lから約100g/Lである。
【0123】
抗体の結晶又はこのような結晶を含む製剤は、単独で又は医薬調製物の一部として投与され得る。本発明の結晶は、例えば、経口、非経口、肺、鼻、耳、肛門、皮膚、眼、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、粘膜、舌下、皮下、経皮、局所若しくは頭蓋内経路によって、又は口腔内に投与され得る。投与技術の具体例には、肺吸入、病変内適用、針注射、乾燥粉末吸入、皮膚電気穿孔、エアロゾル送達及び無針注射技術(無針皮下投与など)を含む。
【0124】
IL−18関連疾患は、以下の病名リストから選択され得る。
【0125】
【表1】







【0126】
IL-18関連疾患は、以下の病名リストからも選択され得る。リウマチ性脊椎炎、肺疾患、腸疾患、心臓疾患、炎症性骨疾患、骨再吸収疾患、ウイルス性肝炎、劇症肝炎、血液凝固障害、やけど、再灌流傷害、ケロイド形成、瘢痕組織形成、発熱、歯周病、肥満及び放射線毒性;脊椎関節症、代謝性疾患、貧血、疼痛、肝疾患、皮膚疾患、爪疾患、突発性肺繊維症(IPF)、貧血、疼痛、クローン病関連疾患、慢性尋常性乾癬、年齢関連悪液質、脳浮腫、炎症性脳傷害、薬物反応、脊髄中及び/又は脊髄周囲の浮腫、家族性周期熱、フェルティー症候群、連鎖球菌後の糸球体腎炎又はIgA腎症、人工装具の緩み、多発性骨髄腫、癌、多臓器疾患、精巣炎(orchitism)、急性、慢性を含む骨溶解、及び膵膿瘍、歯周病、進行性腎不全、偽通風、壊疽性膿皮症、再発性多発性軟骨炎、卒中、胸腹部大動脈瘤(TAAA)、黄熱病ワクチン接種に関連する症候、耳に関連する炎症性疾患(慢性耳炎又は小児耳炎及び脈絡膜血管新生又は狼瘡。
【0127】
ABT−325抗体
ABT−325は、ヒトIL−18に対して特異的な組換えヒト免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である。ABT−325はヒトIL−18を結合し、これにより、その受容体へのIL−18の結合を阻害するが、IL−18とIL−18結合タンパク質(IL−18BP)(天然に存在するIL−18阻害剤)間の相互作用を妨害しない。ABT−325は、ヒトIgG2重鎖定常領域とともに免疫グロブリン可変領域の完全ヒト相補体を発現するトランスジェニックマウス中に産生された。重鎖及び軽鎖可変領域は、トランスジェニックハイブリドーマから単離され、組換えDNA技術を用いて、ヒトIgG1及びκ定常領域上に移植されて、IgG1κイソタイプの完全ヒト抗体を得た。起こり得るFcγ受容体(FcγR)と補体結合を抑制するために、重鎖ヒンジ/CH2領域中の2つの残基を変異させた。ABT−325は、哺乳動物細胞発現系内で産生され、特異的なウイルス不活化及び除去工程を含むプロセスによって精製される。Th1型炎症の間、インターフェロンγ(IFNγ)が産生され、IL−18は、IFNγの誘導物質として最初に同定された。ABT−325は、エス・オーレウス凍結乾燥された細胞(SAC)で刺激されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)/SCIDマウスキメラモデルにおいて、ヒトIL−18をインビボで効果的に中和し、IFNγなどのサイトカインの産生を上方制御するIL−18の能力を遮断する。
【0128】
ABT−325は、215アミノ酸の2つの同じ軽鎖と対合された450アミノ酸の2つの同一のIgG重鎖からなる。ABT−325のヒンジ領域は、補体並びに免疫グロブリンγFc受容体I及びIIaへのその結合を排除するために変異させた。重鎖は11のシステイン残基を含有し、軽鎖は5つのシステイン残基を含有する。各重鎖は、以下の4つの鎖内ジスルフィド架橋を含有する。Cys22−Cys−96、Cys−148−Cys−204、Cys265−Cys−325及びCys371−Cys429。各抗体分子において、2つの重鎖は対合され、Cys230−Cys230及びCys233−Cys233の間の鎖間ジスルフィド架橋によって共有結合されている。軽鎖は、Cys23−Cys88位のシステイン間での第一の架橋、Cys135−Cys195位でのシステイン間の第二の架橋という2つの鎖内ジスルフィド架橋を含有する。各重鎖は、CysVH244−CysVH215でのジスルフィド結合を通じて1つの鎖と連結されている。抗体タンパク質は、各重鎖のアミノ酸アスパラギン301においてグリコシル化されている。
【0129】
ABT−325分子の軽鎖のアミノ酸配列
【0130】
【化1】

【0131】
ABT−325分子の重鎖のアミノ酸配列
【0132】
【化2】

【0133】
125−2H抗体
125−2Hは、ヒトIL−18に対して特異的な中和マウス免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である(Taniguchi et al.(1997)J.Immunol.Methods206:107)。125−2Hは、ヒトIL−18を結合し、これにより、その受容体へのIL−18の結合を阻害するが、ヘテロ二量体IL−18Rα/β受容体複合体を阻害しない。125−2Hは、KG−1細胞によるIL−18産生によって誘導されたIFN−γ産生を強く阻害する(Taniguchi et al.,1997)。125−2Hは、Maine Biotechnology Services Inc.から市販されている。125−2Hは、215アミノ酸の2つの同一の軽鎖と対合された437アミノ酸の2つの同一のIgG1重鎖からなる。重鎖は11のシステイン残基を含有し、軽鎖は5つのシステイン残基を含有する。
【0134】
125−2H分子の軽鎖のアミノ酸配列
【0135】
【化3】

【0136】
125−2H分子の重鎖のアミノ酸配列
【0137】
【化4】

【0138】
本発明の実施は、以下の実施例からさらに完全に理解されるが、以下の実施例は例示のために提供されているに過ぎず、いかなる意味においても、本発明を限定するものと解釈すべきでない。記載の総論部分の指針に従って及び当業者の一般的知識に基づいて、当業者は、過度の実験操作なしに、本発明に対してさらなる実施形態を与えることを可能にする。
【0139】
(実施例)
【実施例1】
【0140】
タンパク質発現及び精製
ヒトIL−18。10、74、104、112及び163位の5つのシステイン残基がアラニンに変異された組換えヒトプロIL−18(「プロ−IL−18−5C−>A」、以下、単にプロ−IL−18という。UniProtEntryQ14116に従うと、成熟IL−18は残基37−193を含む。)を、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断ペプチドが後続するアミノ末端の(His)アフィニティー精製タグとともにイー・コリBL21細胞中で発現させた。この変異体IL-18の発現及び精製は、おそらくは、表面に露出した残基Cys-74及びCys-104の重合酸化の阻害のために、野生型タンパク質と比べて大幅に簡略化された。別段の記載がなければ、以下の操作は4℃で行った。(−80℃で凍結保存された)1リットル培養物から得た細胞を融解し、緩衝液A(1×PBS(150mMNaCl、10mMNaPO4、pH7.2[NaOHを用いて、pHが7.2に調節されたNaHPO溶液]、1「プロテアーゼタブ」(無EDTA完全プロテアーゼ阻害剤;Boehringer Mannheim、Part No.1−873−580)及び10%グリセロール)25mL中に再懸濁し、氷上で音波処理し(6回30秒間隔で繰り返し、40%負荷サイクル、中出力)、遠心した(GSAローター、17,000rpm、25分)。HO(25mL)、100mMNiCl(50mL)、H2O(25mL)及び緩衝液B(1×PBS、10%グリセロール、10mL)で順次洗浄することによって、5mLのNi−NTAアフィニティーカラム(Qiagen)を準備した。カラムに細胞可溶化液上清を適用した後(2mL/分の流速)、非特異的に結合されたタンパク質が溶出されるまで(280nmでの吸光度によってモニター)、緩衝液B+25mMイミダゾールでカラムを洗浄した。プロIL−18を緩衝液B+100mMイミダゾールで溶出した。0.3mg/mLを上回るタンパク質濃度を含有する画分(Coomassieタンパク質アッセイ;BioRad)をプールした。50mMTris、pH7.5を用いて、プールされた試料を1:2希釈した。カスパーゼ−1(カスパーゼ1の1mL/プロIL−18の36mg;分光学的酵素アッセイにおいて、このICE調製物10μLは、100μMAc−YVAD−pNAを用いた10分アッセイにおいて、405nmで、5.0mOD/分のシグナルを与えた。(15))を、プロIL−18に添加し、混合物を30℃で40分間温置した。緩衝液C(50mMTris、pH8.0、10%グリセロール、1mMEDTA、1mMDTT、1mMPMSF)に対して、試料を4℃で一晩透析した。沈殿したタンパク質を除去するために、混合物を遠心し、ろ過し(0.2μm)、MonoQ10/10陰イオン交換カラム(GE Healthcare Life Sciences;緩衝液C(40mL);2mL/分で予め洗浄)上に搭載した。OD280がベースラインに戻るまで、緩衝液Cの5から7カラム容積(約50mL)でカラムを洗浄した。緩衝液B(50カラム容積[約400mL総容積]中の0から0.5MNaClの線形勾配によって、成熟IL−18を溶出した。主要なピークは、約120mMNaClで溶出した。IL−18を含有する試料を約20mg/mL(Ultrafree−Biomax10kDaMWCO、Millipore)まで濃縮し、−80℃で凍結した。SDS−PAGE及び質量分析法を用いて、試料の純度及び同一性を評価した。
【0141】
125−2HFab断片。マウスIgG125−2Hは、Maine Biotechnology Services(Portland,ME)で、腹水法によって、ハイブリドーマ細胞株から調製した(Taniguchi et al.,1997)。緩衝液D(20mMNaHPO、10mMEDTA、20mMシステイン)の3容量で、パパインゲルスラリー(Pierce)を活性化した。1×PBS(Ultrafree−15 Biomax10kDa)中に、mAbを2.1から20mg/mLまで濃縮し、50%パパインゲルスラリーと混合し、穏やかに振盪しながら、37℃で24時間温置した。システインを除去するために、緩衝液E(50mMTris、pH7.0)に対して、4℃で一晩透析した後、2mL/分で、Protein A Sepharose4 Fast Flowアフィニティーカラム(GE Healthecare Life Sciences;25mL;緩衝液E(100mL)での洗浄によって調製)に試料を適用した。125−2HFab画分(OD280によってモニター)をフロースルー中に集めた。0.3mg/mL超で125−2HFabを含有する画分をプールし、緩衝液F(50mMTris、pH8.25)に対して一晩透析し、次いで、MonoQ10/10カラム(緩衝液Fで予め平衡化)に2mL/分で適用した。緩衝液Fの3カラム容量でカラムを洗浄した後、緩衝液F/緩衝液F+500mMNaClの0から50%勾配で溶出した。異なるpI値を有する125−2HFabの4つの異なる種に相当する4つのピークが溶出した。主要な第一のピークを集め、約20mg/mLまで濃縮し(Ultrafree−15Biomax10kDa)、−80℃で凍結した。
【0142】
ABT−325Fab断片。SR−286培地中のチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞中に、ABT−325を発現させた。0.5μmのフィルターを通して細胞溶解後の上清をろ過し、プロテインAアフィニティーカラム(1×PBSで予め平衡化)上に搭載した。洗浄後、緩衝液G(150mMNaCl、0.1MNaOAc、pH3.5)でIgGを溶出した。プールされたIgGを20mg/mLまで濃縮した。パパイン消化及びプロテインA精製は、125−2Hに対して記載したとおりに行った。0.3mg/mLを超えるABT−325Fabを含有する画分をプールし、約20mg/mLまで濃縮し、−80℃で凍結した。
【0143】
IL−18/125−2HFab断片複合体。1:3の質量比で、IL−18及び125−2HFab断片を混合し、4℃で1時間温置した。緩衝液H(50mMTris、pH8.0、10%グリセロール、2.5mMEDTA)に対して一晩透析した後、MonoQ10/10カラム(緩衝液Hで予め平衡化)に2mL/分で、試料を適用した。緩衝液Hの3カラム容量でカラムを洗浄し、緩衝液H/緩衝液H+500mMNaClの0から40%勾配でIL−18/125−2HFab複合体を溶出した。複合体を約10mg/mLまで濃縮し、−80℃で凍結した。
【実施例2】
【0144】
125−2HFabの結晶化
凍結された125−2HFab原液(約13mg/mL)を氷上で融解した。10%ポリエチレングリコール(PEG)60000、100mMHEPES、pH7.5、5%2,4−メチルペンタンジオールからなるリザーバ溶液2μLとFab(2μL)を混合し、4℃にて、リザーバ(シリコン処理されたガラスカバー)上に懸濁した。棹様結晶が1日以内に現れた。125−2HFabの結晶を、母液+25%グリセロール中に採集した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間凍結し、液体窒素冷凍装置中で保存した。
【実施例3】
【0145】
ABT−325Fabの結晶化
凍結されたABT−325Fab原液(約20mg/mL)を氷上で融解した。25から30%ポリエチレングリコール(PEG)400、100mMCAPS、pH10.5からなるリザーバ溶液2μLとFab(2μL)を混合し、4℃にて、リザーバ上に懸濁した。棹様結晶が1日以内に現れた。ABT−325Fabの結晶は、ファイバーループを用いて、その母液から直接採集した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間凍結し、液体窒素冷凍装置中で保存した。
【実施例4】
【0146】
IL−18/125−2HFab複合体の結晶化
凍結されたIL−18/125−2HFab複合体原液(約10mg/mL)を氷上で融解した。複合体(1.5μL)をリザーバ溶液(30%PEG4000、100mMTris、pH8.5、0.2MMgCl)1.8μL及び300mMスルホ−ベタイン201の0.3μLと混合した。18℃にて、リザーバ(シリコン処理されたガラスカバー)上に混合物を懸濁した。棹様結晶が1週以内に現れた。IL−18/125−2HFab複合体の結晶は、母液+20%プロピレングリコール中に採取した。次いで、液体窒素中に沈めることによって、結晶を瞬間凍結し、液体窒素冷凍装置中で保存した。
【実施例5】
【0147】
エピトープマッピング
C末端V5及びHisタグを有する、プロIL−18形態で、インビトロ転写及び翻訳によって、ヒト/マウス及びマウス/ヒトIL−18キメラタンパク質を作製した。カスパーゼ−1切断は、成熟したタグ付加されたIL−18キメラを生成した。サンドイッチELISAフォーマットでの結合アッセイは、検査抗体を用いてIL−18キメラを捕捉した後、抗タグ抗体を用いて検出することによって実施した。完全な実験の詳細は、「Wu,et al.(2003)J.Immunol.170:5571」に提供されている。
【0148】
マウスIL−18は、ABT−325に結合せず、C末端のヒトIL−18残基92−193、120−193又は146−193が対応するマウス配列によって置換されているキメラにも結合しない(図4a)。しかし、125−2Hの場合とは異なり、ヒト(37−176)/マウス(174−192)IL−18キメラは、ヒトIL−18とほぼ等しくABT−325に結合した。従って、この部分の復活のみが結合を復活させたので、残基146から176の間のABT−325エピトープに対して重要な寄与が存在する。残基177から193からは、有意な結合の寄与は生じず、又はそこでの結合は、ヒトとマウスIL−18間で保存された残基によるものに過ぎない。
【0149】
4つの逆転されたIL−18キメラ(N末端マウス、C末端ヒト、図4b)も検査され、これは、ヒトIL−18残基92から193、120から193、146から193又は177から193を含む(Wu et al.(2003)J.Immunol.170:5571)。ABT−325は、これらのキメラの何れにも結合することができず、さらなる重要なエピトープがヒトIL−18の残基37から91内に横たわることを示唆する。
【0150】
125−2Hエピトープと重複し又は内部にある領域を除き、IL−18残基146から176は、結晶学的に決定された125−2Hエピトープから約90°回転されている、突出した高度に帯電した表面ループGlu164−Leu169を含有する。さらに、残基59から76のみがこのループに隣接し、表面露出され、先端のN末端(37−91)セグメント内に存在する。従って、キメラ結合データは、ABT−325が残基59から76及び164から169からなる立体構造エピトープに結合することを示唆する。二成分から構成されるこのエピトープのABT−325による係合は、ABT-325並びに125−2H及びIL-18BPの両者のヒトIL-18への同時結合と合致する。
【0151】
野生型及び変異体Il-18は、同等な抗体結合の特徴及び生物学的活性を示した。変異体IL-18は、約0.2nMのKで125−2H及びABT−325の両方を結合する。ABT−325及び125−2Hは何れも、組換え(ヒト骨髄単球細胞株KG−1バイオアッセイ;IL−18Rα/β誘導性IFN−γ産生)及び天然(全血アッセイ;LPS+IL−12誘導性IFN−γ産生)ヒトIL−18を、約0.2と約3nMのIC50値で中和する。ABT−325は125−2Hエピトープと異なるIL−18のさらに疎水性の領域に結合するように見受けられ、両抗体のIL−18への同時結合を示すBiacore実験と合致する。
【0152】
【表2】


【0153】
参照による組み込み
本願を通じて引用され得る全ての引用された参考文献(文献参考文献、特許、特許出願及びウェブサイトを含む。)の内容は、参照により、その全体が、あらゆる目的のために、明示的に本明細書に組み込まれる。本発明の実施は、別段の記載がなければ、本分野において周知である小規模及び大規模なタンパク質の結晶化及び精製の慣用技術を使用する。
【0154】
均等物
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化され得る。従って、先述の実施形態は、本明細書に記載されている本発明を限定するものではなく、あらゆる点において例示的なものと考えなければならない。従って、本発明の範囲は、前記記載によって示されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、従って、特許請求の範囲の均等な意味及び範囲に属する全ての変化は本発明に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Fab断片を取得する工程、
(b)ポリエチレングリコール及び緩衝液を含むリザーバ溶液とFab断片を混合して結晶化混合物を作製する工程、並びに
(c)結晶が形成するまで、結晶化混合物を表面上に配置する工程
を含む、抗体のFab断片の結晶を調製する方法。
【請求項2】
ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール400及びポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコールMME5000及びポリエチレングリコール20,000)からなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
ポリエチレングリコールが約5から約40%の濃度である、請求項1の方法。
【請求項4】
緩衝液がHEPES、CAPS、Tris、カコジラート、MES、シトラート、ビス−トリス、ホスファート、CHES、MOPS、イミダゾール、アセタート、ビシン及びシトラートからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項5】
緩衝液が約pH6.5から約pH11.0である、請求項1の方法。
【請求項6】
HEPES緩衝液が約pH7.5である、請求項4の方法。
【請求項7】
CAPS緩衝液は約pH10.5である、請求項4の方法。
【請求項8】
Tris緩衝液は約pH8.5である、請求項4の方法。
【請求項9】
リザーバがシリコン処理されたガラススライド及びシッティングドロップウェルからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項10】
方法が約0℃から約25℃で実施される、請求項1の方法。
【請求項11】
方法が約4℃で実施される、請求項1の方法。
【請求項12】
方法が約18℃で実施される、請求項1の方法。
【請求項13】
結晶を形成するために、約1から約7日間、結晶化混合物が表面上に配置される、請求項1の方法。
【請求項14】
リザーバ溶液が2,4−メチルペンタンジオールをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項15】
2,4−メチルペンタンジオールが約2から約10%の濃度である、請求項13の方法。
【請求項16】
Fab断片がIL−18に結合されている、請求項1の方法。
【請求項17】
約50から約500mMの濃度でMgClをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項18】
約100から約500mMの濃度で、スルホ−ベタイン201をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項19】
Fab断片がヒトFab断片である、請求項1の方法。
【請求項20】
Fab断片が非ヒトFab断片である、請求項1の方法。
【請求項21】
Fab断片がマウスFab断片である、請求項1の方法。
【請求項22】
Fab断片が非ヒトIL−18を結合する、請求項1の方法。
【請求項23】
Fab断片がヒトIL−18を結合する、請求項1の方法。
【請求項24】
IL−18が、全てのシステイン残基がアラニンに変異されている変異体IL−18である、請求項1の方法。
【請求項25】
Fab断片が軽鎖配列配列番号1及び重鎖配列配列番号2を含む、請求項1の方法。
【請求項26】
Fab断片が配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質を結合する、請求項1の方法。
【請求項27】
Fab断片が軽鎖配列配列番号3及び重鎖配列配列番号4を含む、請求項1の方法。
【請求項28】
Fab断片が配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質を結合する、請求項1の方法。
【請求項29】
IL−18に結合するFab断片を含む単離された結晶。
【請求項30】
Fab断片がヒトFab断片である、請求項29の単離された結晶。
【請求項31】
Fab断片が非ヒトFab断片である、請求項29の単離された結晶。
【請求項32】
Fab断片がマウスFab断片である、請求項29の単離された結晶。
【請求項33】
IL−18がヒトIL−18である、請求項29の単離された結晶。
【請求項34】
IL−18が非ヒトIL−18である、請求項29の単離された結晶。
【請求項35】
Fab断片が軽鎖配列配列番号1及び重鎖配列配列番号2を含む、請求項29の単離された結晶。
【請求項36】
Fab断片が配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質を結合する、請求項29の単離された結晶。
【請求項37】
Fab断片が軽鎖配列配列番号3及び重鎖配列配列番号4を含む、請求項29の単離された結晶。
【請求項38】
Fab断片が配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質を結合する、請求項29の単離された結晶。
【請求項39】
IL−18に結合されているFab断片を含む単離された共結晶。
【請求項40】
Fab断片がヒトFab断片である、請求項39の単離された共結晶。
【請求項41】
Fab断片が非ヒトFab断片である、請求項39の単離された共結晶。
【請求項42】
Fab断片がマウスFab断片である、請求項41の単離された共結晶。
【請求項43】
IL−18がヒトIL−18である、請求項39の単離された共結晶。
【請求項44】
IL−18が非ヒトIL−18である、請求項39の単離された共結晶。
【請求項45】
Fab断片がモノクローナル抗体125−2HのFab断片である、請求項39の単離された共結晶。
【請求項46】
Fab断片が軽鎖配列配列番号3及び重鎖配列配列番号4を含む、請求項39の単離された共結晶。
【請求項47】
Fab断片が配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質を結合する、請求項39の単離された結晶。
【請求項48】
モノクローナル抗体ABT−325のFab断片を含む単離された結晶。
【請求項49】
ABT−325Fab断片が軽鎖配列配列番号1及び重鎖配列配列番号2を含む、請求項48の単離された結晶。
【請求項50】
Fab断片が、Asp59からAsp76(配列番号7)及びGlu164からLeu169(配列番号8)又は1つ若しくはそれ以上のアミノ酸置換を有するこれらの類縁体(該類縁体は抗体ABT−325に結合する。)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのIL−18ペプチドに結合する、請求項29又は48の単離された結晶。
【請求項51】
モノクローナル抗体125−2HのFab断片を含む単離された結晶。
【請求項52】
125−2HFab断片が軽鎖配列配列番号3及び重鎖配列配列番号4を含む、請求項52の単離された結晶。
【請求項53】
Fab断片が、Lys176からArg183(配列番号5)及びArg140からLys148(配列番号6)又は1つ若しくはそれ以上のアミノ酸置換を有するこれらの類縁体(該類縁体は抗体125−2Hに結合する。)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのIL−18ペプチドに結合する、請求項52の単離された結晶。
【請求項54】
請求項29又は48の単離された結晶を含む医薬組成物。
【請求項55】
治療が達成されるように、請求項56の結晶を対象に投与することによって、疾病又は疾患に対して対象を治療する方法。
【請求項56】
疾病が表1に列記されている疾病からなる群から選択される、請求項58の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2011−511777(P2011−511777A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545018(P2010−545018)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/000568
【国際公開番号】WO2009/099545
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】