説明

抗原と結合したクラスIIMHCリガンドを含むワクチン組成物、その調製法および使用

本発明は、第1型の抗原タンパク質および第2型のクラスIIのMHCのリガンド・タンパク質からなる結合産物に関するものであり、前記2つのタンパク質型は生物環境中で1個または数個の安定した結合によって結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療ワクチンの分野に属する。本発明は、LAG−3またはCD4などのクラスIIMHCリガンドと抗原との結合によって、この抗原の免疫作用を高めることが可能であるワクチンに関する。本発明は非常に詳細には、それに対する免疫の誘導が望ましい障害に特異的な少なくとも1つの抗原、および少なくとも1つのクラスIIMHCリガンドを含む、特に融合タンパク質の形態の結合産物に関する。
【背景技術】
【0002】
CD223としても表されるLAG−3、またはCD4などのクラスIIMHCタンパク質の天然リガンドは、特にリンパ球および抗原提示細胞などのさまざまなリンパ球様細胞との相互作用のレベルで免疫認識に関与している。
【0003】
国際公開第99/04810号パンフレットは、癌免疫療法用のワクチンを製造するための補助として、LAG−3などのクラスIIMHCリガンドを使用することを開示している。
【0004】
本発明の文脈内で実施された試験は現在、LAG−3および抗原からなる融合タンパク質による免疫化の顕著な有効性の実証を可能にしている。実際に本出願人は、抗原と、補助剤としてのLAG−3タンパク質とを含むワクチン組成物用に従来技術で使用された用量と比較して、in vitroで非常に低用量のLAG−3抗原結合産物を用いて得た非常に顕著なCD8応答を観察した。
【0005】
このような有効性は、従来のLAG−3Ig補助効果を提示細胞(樹状細胞)に対する抗原の標的効果(ベクター化)に加えることから生じ、これによってクラスIIMHC分子へのLAG−3結合抗原の内在化が可能となる。したがって、クラスIMHCの提示の経路に対する抗原の重要な「交差提示」現象はT細胞CD8応答の誘導を可能にするが、一方、ワクチン・タンパク質などの外来性抗原に関してはCD4応答のみが予想される。
【0006】
さらに、以下で報告する実験データは、共焦点顕微鏡によるLAG−3Ig/Ag結合産物の37℃における急速な内在化(15分以内の内在化)を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、第1クラスの抗原型タンパク質および第2クラスのクラスIIMHCリガンド型タンパク質からなり、生物環境中で安定している1個または数個の結合によって両クラスのタンパク質が結合している、好ましくは実質的にタンパク質性の結合産物である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
生物環境中で安定している結合によって、ただし非制限的に、共有結合(例えば、アミド結合またはジスルフィド結合)、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性結合および任意のこれらの組合せを意味し、前記結合は生物環境中で本発明に係る結合産物の完全性を保つことを可能にする。
【0009】
好ましくは、本発明に係る結合産物の両クラスのタンパク質は、水素結合または共有結合によって結合しており、特に好ましくは共有結合によって結合している。
第1の実施形態によれば、本発明の結合産物は、両クラスのタンパク質が水素結合によって結合している事実によって特徴付けられる。
【0010】
第2の実施形態によれば、本発明の結合産物は、両クラスのタンパク質が共有結合によって結合している事実によって特徴付けられる。両クラスのタンパク質は、リンカーまたは連結分子を介して直接的あるいは間接的に、共有結合によって結合され得る。
【0011】
直接的な共有結合は、本発明に係る第1クラスのタンパク質および第2クラスのタンパク質の原子の、1個または数個の電子の共有として定義される。
リンカーまたは連結分子の例としては、ポリペプチドまたはアミノ酸、多糖または単糖、ポリヌクレオチドまたは核酸、アルキル、シクロ−アルキルまたはアリル基が挙げられる。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、両クラスのタンパク質が1個または数個のペプチド結合によって直接的あるいは間接的に結合している融合タンパク質の形である結合産物である。融合タンパク質によって、結合産物は1つおよび同じ読み取り段階で本発明に係る両クラスのタンパク質を成熟および発現させることが可能であると考えられる。融合タンパク質の場合、クラスIIMHCの抗原およびリガンドは、Nおよび/またはC末端で共有結合によって結合している。
【0013】
したがって、その4−ドメインIg(D1D4)または2−ドメインIg(D1D2)形でMHCリガンドとしてhLAG−3を使用し、抗原として使用したウイルス抗原E7またはgag−nefをhLAG−3IgのNまたはC末端のいずれかに配置した、組換えタンパク質の異なる組合せを調製した。
【0014】
第1クラスのタンパク質と第2クラスのタンパク質とが共有結合によって結合している結合産物の例として、以下の式(I)の結合産物を述べることが可能である。
[(Ag)(X)(Y)
上式で、Agは第1クラスのタンパク質の抗原を表し、nは結合産物中の抗原分子の数を表し、nは1〜5の整数であり、
Yは第2クラスのタンパク質のクラスIIMHCリガンドを表し、pは結合産物中のクラスIIMHCリガンドの数を表し、pは1〜2の整数であり、
XはAgとYとの間の結合を表し、mは結合産物中のAgとYとの間の結合の数を表し、mは1〜5の整数であり、
qは1〜5の整数である。
【0015】
両クラスのタンパク質が共有結合によって直接的あるいは間接的に結合しているとき、Xは、前述で定義された共有結合、リンカーまたは連結分子を含む群において選択される。
【0016】
したがって、本発明に係る結合産物中では、第1クラスのタンパク質は、1個の抗原または数個の異なる抗原もしくは同一の抗原を含んでもよい。好ましくは、本発明に係る結合産物は1個の抗原を含む。
【0017】
同様に、本発明に係る結合産物中において、第2クラスのタンパク質は、1個のクラスIIMHCリガンド、または数個の同一もしくは異なるクラスIIMHCリガンドを含んでもよい。好ましくは、本発明に係る結合産物は1個のクラスIIMHCリガンドを含む。
【0018】
本発明に係る結合産物が数個の抗原および/またはクラスIIMHCリガンドを含むとき、
各クラスのタンパク質は、抗原のモノマーまたはポリマーと共有結合によって結合したポリマー、例えばクラスIIMHCリガンドの2量体の形で互いに分類されることができ、
抗原および/またはクラスIIMHCリガンドが改変され、これらが反復単位のポリマーを形成することができる。
【0019】
前述のタンパク質構築体は、組換えDNA技法または化学合成などの当業者に周知である任意の方法を使用することによって、融合タンパク質の形で調製されてもよい。組換えDNA技法は、本発明に係るタンパク質構築体をコードするヌクレオチド配列を含む組換えDNAの調製に基づいている。
【0020】
化学合成により本発明の結合産物が調製される場合、抗原およびクラスIIMHCリガンドもまた、1個または数個のアミノ酸側鎖で共有結合によって結合されてもよい。アミノ酸側鎖を介した結合の場合、結合産物は高レベルの親和性で樹状細胞のクラスIIMHCとの結合性を保ち、抗原を内在化させなければならない。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に係る結合産物において、第2クラスのタンパク質は、hLAG−3、その相同体、断片および誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
LAG−3の相同体、断片および誘導体は、樹状細胞のクラスIIMHCとの高い親和性での結合、および第1クラスのタンパク質の抗原の内在化を保証することができるものである。
【0023】
相同体は、ヒト以外の種由来のタンパク質LAG−3、例えばネズミLAG−3(mLAG−3)を意味するものである。タンパク質配列がヒトLAG−3のタンパク質配列と少なくとも70%の相同性、好ましくは少なくとも80%の相同性、およびより好ましくは少なくとも90%の相同性を有することが有利である。2つのタンパク質配列間の相同性は、2本のタンパク質鎖中の同一または類似の位置に局在する同一アミノ酸の割合に相当する。相同性の割合は、BLOSUM62マトリクスを使用して、NCBIのサイト(National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.go/)で入手可能なBLASTアルゴリズムを使用して計算される。
【0024】
Lag−3断片は、樹状細胞のクラスIIMHCとの高い親和性での結合、および第1クラスのタンパク質の抗原の内在化を保証することができるLAG−3のタンパク質配列として定義され、当該タンパク質配列は、50アミノ酸と200アミノ酸の間の長さ、好ましくは60アミノ酸と175アミノ酸の間の長さ、およびより好ましくは75アミノ酸と160アミノ酸の間の長さを有する。
【0025】
hLAG−3断片の例として、少なくとも2つのIg型細胞外N末端ドメインを含む可溶性分画を特に述べることが可能である。これらのドメインは、特に国際公開公報第91/10862号パンフレットおよび国際公開公報第95/30750号パンフレット中に記載されている。本発明は特に、D1〜D2(配列番号18および配列番号19)ならびにD1〜D4(配列番号18および配列番号19、配列番号20および配列番号21)断片からなる群から選択されるLAG−3断片を結合産物中に含む。したがって、実験部分で報告される実施例では、hLAG−3は、その4−ドメイン(D1D4)または2−ドメイン(D1D2)形で使用され、2つのドメインD1〜D2は、樹状細胞のクラスIIMHCとの高い親和性での結合、次に内在化を保証するのに充分である。
【0026】
以下のLAG−3誘導体またはその断片は、1個または数個のアミノ酸の欠失、添加または置換によって修飾されているアミノ酸配列を含み、当該誘導体は、樹状細胞のクラスIIMHCとの高い親和性での結合、および第1クラスのタンパク質の抗原の内在化を保証することができる。例えば、国際公開第95/30750号パンフレットおよび国際公開第98/23741号パンフレット中に記載されたのと同様の、グルタミン酸による位置73、75および/または76での1個または数個のアルギニンの置換を述べることが可能である。それは、国際公開第98/58059号パンフレット中に記載されたのと同様のLAG−3のスプライシング変異体であってもよい。
【0027】
LAG−3の相同体、誘導体の断片が本発明の構想の範疇にあるかどうかを判定することが可能である結合試験の例として、以下のものを述べることが可能である。
クラスIIMHC分子を発現するEBVによって形質転換されたB系を使用する、間接的免疫蛍光細胞標識。陽性対照が常に使用される(9.49またはI3で表されるパン−クラスII抗体、次にGAM−FITC)。マーカーの飽和度は、GAH−FITC(第2層)で染色されたLAG−3Ig(第1層)の30μg/mLまたは10μg/mLに達する。3または1μg/mLのLAG−3Igでシグナルが常に検出される。これらの結果は、融合タンパク質LAG−3Ig/Agを用いて得られるはずである。
【0028】
クラスIIMHCタンパク質がスライドに結合し、LAG−3IgまたはLAG−Ig/Agの結合親和性が測定される、Bioacore型標識。「結合」の2つの型は同様のKd値(解離定数)を有するはずであり、いずれの場合も5×10−8未満であり、好ましくは3×10−9未満である。
【0029】
LAG−3の相同体、断片、または誘導体が本発明の構想の範疇にあるかどうかを判定することが可能である内在化試験の例として、スライド上での標識および共焦点顕微鏡を用いた分析を述べることが可能である。以下の手順に従い精製されたヒト単球(IL−4およびGM−CSFと共にin vitro培養されたもの)から、6日以内で樹状細胞が得られる。
【0030】
細胞の回収および計数、
1100rpmでの5分間の遠心分離、
(37℃での平衡状態後の)PBS1X中での100万個/mLへの細胞の希釈、
300μLの細胞懸濁液をスライドに施し、37℃において30分間、ポリリシンにより被覆されたスライドに細胞を接着させる工程、
流体の除去、および37℃において30分間、500μLのPBS1X/0.1%NaN/3%ミルクを用いた飽和、
氷上(4℃)にスライドを置き、10〜15分間冷却する工程、
流体の除去、および冷PBS1Xを用いて軽く洗浄する工程、
PBS1X/0.1%NaN/3%冷ミルクに希釈された400μLの抗体(または30μg/mLでのhLAG−3Igタンパク質)の施し、および30分間、4℃でのインキュベート、
流体の除去、および冷PBS1Xを用いて軽く洗浄する工程、
各他の標識(LAG−3Ig標識に関するGAH−FITC)に関する2つの最後の工程の反復、
(内在化を可能にするためにインキュベータ内で)15〜20分間、37℃でスライドを放置する工程、
400μLの冷PBH1×/2%冷PFAを施し、4℃で15分間細胞を固定する工程、
流体の除去、および冷PBS1×で軽く洗浄する工程、
20〜30μLのFluoromount Gを加え、カバー・スライドを注意深く置き、4℃に置く前に1〜2時間の間、室温において乾燥状態で放置する工程;
共焦点顕微鏡によるスライドの分析。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に係る結合産物において、第1クラスの抗原型タンパク質は、その治療がT細胞応答を必要とする障害に特異的な抗原からなる群から選択される。より詳細には、ウイルス抗原、細菌抗原、腫瘍抗原、寄生虫抗原、およびこれらの混合物からなる群を述べることが可能である。
【0032】
したがって、第1クラスの抗原型タンパク質は、好ましくはウイルスHPV、HBV、HCV、HIV、EBV、CMVおよびこれらの混合物からなる群、および非常に好ましくはHPVのE7抗原およびHIVのgag−nef抗原からなる群から選択されるウイルス抗原である。実際、新しいワクチン・タンパク質を開発する目的で、LAG−3は、ウイルス抗原(HPV−16由来のE7またはHIV−1由来のgag−nef)と融合された。その目的は、LAG−3の補助(免疫刺激)効果に加えて、未成熟樹状細胞に対する抗原の標的化を達成することであった。これらの細胞はクラスIIMHC分子、LAG−3リガンドを発現し、これらは細胞の内側に非常に速くリサイクルされ、これによってLAG−3と結合した抗原を引き込む。hLAG−3Igおよびウイルス抗原を含む融合分子はこのようにして構築され、哺乳動物細胞内で発現され、精製されて機能的に試験された。
【0033】
第1クラスの抗原型タンパク質は、結核、ハンセン病およびリステリアの細胞内細菌の群から選択される細菌抗原でもよい。第1クラスの抗原型タンパク質は、CEA、MelanA、PSA、MAGE−3、HER2/neu、HPV(頸部の癌)由来のE6およびE7タンパク質を含む群から選択される腫瘍抗原であることがさらに有利である可能性がある。
【0034】
本発明は、LAG−3の使用に基づく新しいワクチン戦略を提供し、これは抗体ではなく天然リガンドの使用に基づく。これは、注射されるLAG−3Igおよび抗原の用量の非常に顕著な低下を可能にするという利点を与え、したがって産業規模でのそれらを含む治療用ワクチン組成物のさらに容易な開発を可能にする。さらにこれらの組成物は、低用量の治療用ワクチンを用いてヒトにおいて誘導される高いT−細胞CD8応答を可能にする。in vivoでのCD8応答を支持し、CD8応答を非常に高度で長期のものにし得る、すなわちウイルスまたは腫瘍細胞の保有宿主を破壊する際に有効にし得る、証明済みのCD4応答の増大の有用性が強調されなければならない。
【0035】
したがって、本発明はさらに、経口、皮膚、皮下、局所、筋肉内、静脈内または動脈内投与、あるいは身体の任意の液状部分への投与を可能にする形で薬剤賦形剤と組み合わされることが有利である、前に定義された結合産物などの少なくとも1つの結合産物を含むワクチン組成物に関する。
【0036】
本発明の組成物は、0.1μg/mLと1mg/mLとの間、好ましくは0.1μg/mLと100μg/mLとの間、より好ましくは0.1μg/mLと10μg/mLとの間、および特に好ましくは0.1μg/mLと1μg/mLとの間の結合産物を含むことが有利である。これらの組成物は、ELISAによって分析される。
【0037】
本発明は、充分な量の前に定義された組成物などを第1クラスのタンパク質の抗原に応答する障害に罹患する個体に投与する工程を含む、個体の予防接種法にも言及する。
本発明はさらに、前に定義された結合産物などの結合産物の薬剤としての使用に関する。
【0038】
有利なことに、本発明は、免疫を誘導することが可能である、好ましくは特異的なT細胞CD4および/またはCD8応答を誘導することが可能である免疫原性組成物を調製するための、前に定義された結合産物などの結合産物の使用に関する。
【0039】
実際、以下の実験項中で報告するデータは、タンパク質LAG−3IgのC末端位置における2つの異なるタンパク質(E7およびgagnef)の結合によって、TCD4応答(クラスIIMHC分子による提示)とCD8(クラスIMHC分子による提示)の両方に関して、in vitroにおいて非常に高レベルの免疫を得ることを示す。このin vitroでの免疫原性は、健全なドナーのPBMCを用いて定義された。
【0040】
タンパク質の形で提示され、したがってPBMCの樹状細胞によって取り込まれ、11〜20アミノ酸のペプチドの形のクラスIIMHC分子によって提示される、E7またはgag−nef抗原への48日間の露出に応答して細胞内γ−インターフェロンを分泌する細胞を定量することによって、Elispotを使用してCD4応答を試験した。
【0041】
クラスIMHC分子によって提示される9〜10アミノ酸長のペプチドによる48日間の刺激に応答して、γ−インターフェロンを分泌する細胞を定量することによって、Elispotを使用してCD8応答を試験した。
【0042】
いずれの場合も、抗原を用いた3回のin vitro刺激後に、TCD4またはCD8応答の事前増幅を得た。
Elispotを使用した、これらの高いCD4およびCD8応答(健全なHPV−16およびHIVボランティアでの非投薬T細胞の初回抗原刺激、または健全なHPV−16およびHIVボランティアでの追加抗原刺激による)は、E7またはgag−nef抗原を単独で加えるとき、およびLAG−3IgとE7またはLAG−3Igとgag−nefの混合物を低レベルで加えるときは得られない。
【0043】
さらに有利なことに本発明は、感染疾患および/または癌を治療することを目的とする薬剤を製造するための、本発明の結合産物の使用も言及する。感染疾患の例として、ウイルス、細菌および寄生虫感染を述べることが可能である。感染疾患または癌の治療は、TCD8+細胞による細胞応答を含むことが好ましい。
【0044】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の結合産物を使用して、本発明の第2クラスのクラスIIMHCリガンド型タンパク質が、T細胞を介した抗原特異的な免疫応答を誘導することが可能である、感染疾患および/または癌を治療することを目的とする薬剤を製造する。
【0045】
本発明の他の利点および特徴は、特に添付の図面と一緒に考えて以下の実施例から明らかになると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
1)発現ベクターの構築
哺乳動物細胞による異なる組換えタンパク質の発現および分泌を可能にするベクターを構築した。
【0047】
1.1)使用したベクター
1.1.1)クローニング・ベクター
CHO−K1細胞中で組換えタンパク質を発現させるために、2種の発現ベクターを選択した。
【0048】
hLAG−3Ig/抗原融合タンパク質を発現させるために、インビトロジェン社(Invitrogen)からのpCDNA3.1(+)を選択した。これらの組換えタンパク質はN末端にhLAG−3リーダー配列を含んでおり、これによって培地におけるその分泌を可能にした。
【0049】
ウイルス抗原/hLAG−3Ig融合タンパク質を発現させるために、インビトロジェン社(Invitrogen)からのpSEC−tag2−hygroAおよびpSEC−tag2−hygroBを選択した。このベクターはプロモーターから上流にIgKリーダー配列を含んでおり、タンパク質の分泌を可能にした。
【0050】
hLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnef融合タンパク質を発現させるために、ヘノジェン社(Henogen)からのDα−LAG3−DID4ΔEK−hIgG1融合体を選択した。このベクターはhLAG−3(D1D4)Igをコードする配列を含んでおり、その中で「Ig−ヒンジ−Fc」領域から上流に位置したイントロンAは、スプライシングの曖昧さを除外するためにリンカー配列(DDDDKGSGSGをコードする、配列番号17)によって置換されていた。このベクターはdhfr遺伝子も含んでおり、プラスミド配列がそれらのゲノムに組み込まれた細胞の選択、およびメトトレキサートの存在下でのこの配列の増幅を可能にした。
【0051】
1.1.2)hLAG−3Igの供給源
開始プラスミドの確認および増幅:
hLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D2)Igを、それぞれpCDNA3−hLAG3(D1D4)−IgG1およびpCDM7−hLAG−3(D1D2)IgG1ベクターから増幅させた。
【0052】
pDNA3−hLAG−3(D1D4)−IgG1:hLAG−3Ig挿入体は、pCDM7−hLAG−3IgからのpCDNA3中のXbaIでサブ・クローニングした。
これらのプラスミドは、−80℃でグリセロール中に保存された形質転換細菌のストック溶液から再増幅させた。異なる制限酵素による消化によって、プラスミドの性質を確認することが可能であった。
【0053】
hLAG3(D1D4)−IgG1およびhLAG−3(D1D2)IgG1の配列決定:
hLAG3(D1D4)−IgG1およびhLAG−3(D1D2)IgG1の配列は、プロジェクトの開始時に依然として不完全に知られていたことから、pCDNA3.1+中でのサブ・クローニング後に、それらの配列を完全に決定した。
【0054】
このようにして、(全てのイントロンが存在する)IgG1中のイントロンの数およびhLAG−3(D1D2)とIgG1との間のスプライシング配列に関する、全ての残りの不明確性を解決した。IgG1Aイントロンの位置+4におけるTの挿入以外に、IgG1のCH3領域中での2個のアミノ酸変化を含めた3個の突然変異も検出した。
【0055】
これらの結果に基づいて、再構築hLAG−3(D1D4)−IgG1および再構築hLAG−3(D1D2)IgG1と名付けた配列をまとめた。
1.2)hLAG−3IgとHPV−16E7の融合
非発癌性である突然変異形のE7を、前述した発現ベクター中のhLAG−3Ig(D1D4またはD1D2)のCまたはN末端でクローニングした。LAG−3を含まないE7およびIgG1も、対照として融合させた。
【0056】
1.2.1)E7の突然変異誘発
HPV−16E7を二重突然変異させて、E7の発癌活性を担う細胞タンパク質Rbとの2量体化を防いだ(リーら(Lee at al)Nature 1998 vol 391 p859;ブルグら(Burg et al)Vaccine 2001 vol 19 p3652;ボウルシュネルら(Boursnell et al)Vaccine vol.14p.1485を参照)。
【0057】
野生型のE7を含むプラスミドpEF6−E7(T/Aでクローニング)を得た。
E7にストラタジーン社(Stratagen)からのQuickchangeキットを使用して部位特定突然変異誘発を施して、アミノ酸C24をGで置換し、E26をGで置換した。所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチドの相補対を用いて、PCRによりプラスミドpEF6−E7を増幅させた。
【0058】
オリゴ1、E7突然変異5’:
CTGATCTCTACGTTATGGCAATTAAATGACAGC(配列番号1)
オリゴ2、E7突然変異3’:
GCTGTCATTTAATTGCCATAACGTAGAGATCAG(配列番号2)
PCR産物をその後、メチル化部位に対してのみ活性がある酵素Dpn1と共にインキュベートし、したがってPCR産物上の鋳型DNAを消化した。得られた産物をその後、XL1−Blue細菌に形質転換した。
【0059】
このようにして得たプラスミドを、E7mutRb−挿入体の消化および配列決定によって確認した。配列決定の結果は、所望の突然変異が実際に存在することを示す。アミノ酸組成に影響を与えない3つの他の突然変異も、図1中に示すE7の理論上の配列に関して検出した。
【0060】
1.2.2)発現ベクター中のhLAG−3Ig−E7およびE7−hLAG−3Igのクローニング
E7/Rb−(本願では以下において、簡潔化のためにE7と表す)およびhLAG−3Ig挿入体を、オリゴヌクレオチドを用いてPCRによって増幅させ、その両端に制限部位を加えることが可能であった。
【0061】
ストラタジーン社(Stratagen)からの高い信頼性がある酵素Pfu turboを、PCR手順用に使用した。
クローニング戦略は図2中に要約する。
【0062】
pCDNA3.1へのhLAG−3Ig−E7のクローニング:
以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、pEF6_E7/rb−からE7を増幅させた。
【0063】
オリゴ9(E75’−Xho1):
CCGCTCGAGATGCATGGAGATACACCTAC(配列番号3)
E7のXho1部位およびATGを含む。
【0064】
オリゴ10(E73’−停止Xba1):
GCTCTAGATTATGGTTTCTGAGACAG(配列番号4)
停止コドンおよびXbaI部位を有するE7の3’領域を含む。
【0065】
精製前に、XhoIおよびXbaIでPCR産物を消化した。
LAG−3(D1D2)IgG1およびLAG−3(D1D4)−IgG1は、以下のオリゴヌクレオチド対を使用して、それぞれpCDM7−LAG−3(D1D2)IgG1およびpCDN3−LAG−3(D1D4)−IgG1から増幅させた。
【0066】
オリゴ7(Lag35’−atgEcoRI):
GGAATTCGCCCAGACCATAGGAGAGATG(配列番号5)
EcoRI部位、hLAG−3のATG、および分泌シグナル・ペプチドを含む、
オリゴ8(IgG13’−XhoI):
CCGCTCGAGTTTACCCGGGGACAGGGAG(配列番号6)
停止コドンを含まないIgG1の3’領域を含む。
【0067】
精製前に、EcoRIおよびXhoIでPCR産物を消化した。
pCDNA3.1+へのhLAG−3(D1D4)Ig−E7の挿入を2工程で行った。最初に、hLAG−3(D1D4)Igを、EcoRIおよびXhoIで消化したpCDNA3.1+に連結させた。クローニング中間体pCDNA−hLAG−3(D1D4)Igはこのようにして得た。その後、E7を、XhoIおよびXbaIで事前に消化したpCDNA−hLAG−3(D1D4)Igに挿入した。
【0068】
hLAG−3(D1D4)Ig−E7融合産物をpCDNA3.1+にクローニングするために、2つの挿入体を最初に1つに連結させた。このようにして得たhLAG−3(D1D4)Ig−E7断片をゲル上で精製し、EcoRIおよびXbaIで事前に消化したpCDNA3.1+にその後直接挿入した。
【0069】
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Igプラスミドも、EcoRIおよびXhoIで消化したpCDNA3.1+にhLAG−3(D1D2)Igを連結させることによって調製した。
【0070】
これらの発現ベクターの挿入体を配列決定した。配列決定の結果によって、読み枠と一致した挿入体の正しい挿入を確認する。
pSECtag−hygroAへのE7−hLAG−3Igのクローニング:
以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、pEF6−E7/Rb−からE7を増幅させた。
【0071】
オリゴ3(E75’−AscI):
GGCGCGCCATGCATGGAGATACACCTAC(配列番号7)
E7のAscI部位およびATGを含む、
オリゴ15(E73’−Kpn1):
GGGGTACCTGGTTTCTGAGAACAGATG(配列番号8)
停止コドンを含まないE7の3’領域およびKpnI部位を含む。
【0072】
精製前に、AscIおよびKpnIでPCR産物を消化した。
LAG−3(D1D2)IgG1およびLAG3(D1D4)−Igを、以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、それぞれpCDM7−LAG−(D1D2)−IgG1およびpCDNA3−LAG−3(D1D4)−IgG1から増幅させた。
【0073】
オリゴ16(Lag35’(−D1KpnI):
GGGGTACCCTCCAGCCAGGGGCTGAG(配列番号9)
シグナル・ペプチドを含まないドメイン1のKpnI部位および5’領域を含む、
オリゴ17(IgGI3’−停止Xhol):
CCGCTCGAGTCATTTACCCGGGGACAG(配列番号10)
停止コドンおよびXhoI部位を有するIgG1の3’領域を含む。
【0074】
精製前に、KpnIおよびXhoIでPCR産物を消化した。
以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、(E7の3’端にpSECにクローニングするため、Lag3を含まない対照として使用するため)pCDNA−LAG−3(D1D4)−IgG1からIgGIを増幅させた。
【0075】
オリゴ18(IgG15’Kpn1):
GGGGTACCCGAGGGTGAGYACTAAGC(配列番号11)
IgG1のAイントロンのKpnI部位および5’領域を含む、
オリゴ19(IgGI3’−stopXhoI):
CCGCTCGAGTCATTTACCCGGGGACAG(配列番号12)
停止コドンおよびXhoI部位を有するIgGIの3’領域を含む。
【0076】
精製前に、KpnIおよびXhoIでPCR産物を消化した。
pSECtag−hygroAへのE7−hLAG−3Ig融合産物の挿入を2工程で行った。
【0077】
E7の消化PCR産物を、AscIおよびKpnIで事前に消化したpSECEに連結させた。pSEC−E7と表すクローニング中間体は、このようにして得た。
hLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D2)IgおよびIgGIのPCR産物を、KpnIおよびXhoIで事前に消化したpSEC−E7にその後連結させた。
【0078】
これらの発現ベクターを制限酵素によって確認した。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体へのE7のクローニング:
指定ベクターは、ヘノジェン社(Henogen)からのベクター、Dα−LAG3−DID4−ΔEK−hIgG1融合体である。このベクター中では、LAG−3(D1D4)Igのコード配列が2つのXhoI制限部位の間に挿入されている。前述のように、このベクターはLAG−3(D1D4)Igのコード配列を含み、その中でイントロンA(Igヒンジ領域由来の位置5’のイントロン)は、リンカー配列(DDDDKGSGSGをコードする、配列番号17)によって置換されていた。イントロンAを含まないLAG−3(D1D4)Igのこのコード配列をLAG−3(D1D4)Ig/と表し、さらに同じ表記がこれらの構築体によってコードされるタンパク質に関して保たれると思われる。
【0079】
E7をコードする断片は、プラスミドpcDNA3−LAG−3(D1D4)−E7に由来する。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体へのE7のクローニングを2工程で行った。
【0080】
第1工程では、LAG−3(D1D4)−Ig/断片をpCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig−E7に挿入した。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1ベクターをXhoIによって切断し、その粘着末端を酵素T4ポリメラーゼによって平滑状態にした。XhoI平滑末端/XhoI平滑末端挿入体を含まないDαベクターに対応する断片を、最終指定ベクターと同様に保った。XhoI平滑末端/XhoI平滑末端挿入体を、Igをコードする配列のCイントロンのレベルで酵素BsrGIを用いて消化し、停止コドンを含むIgをコードする配列の最後の300塩基対を除去した(LAG−3(D1D4)Ig/XhoI平滑末端/BsrGI挿入体)。
【0081】
pCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig−E7ベクターを酵素EcoRIで消化し(クローニング部位由来のpCDNA3上流のマルチ・クローニングサイト中に含まれるEcoRI部位)、その粘着末端を、T4ポリメラーゼを使用して平滑状態にした。このようにして線状にしたプラスミドを、酵素BsrGIを用いて切断し、LAG−3(D1D4)をコードする配列およびIgをコードする5’配列を除去して、Igをコードする最後の300塩基対を保持した(EcoRI平滑末端/BsrGIIg−E7pcDNA)。
【0082】
LAG−3(D1D4)Ig/XhoI平滑末端/BsrGI挿入体を、EcoRI平滑末端/BsrGIIg−E7pCDNA3に連結させた。
得られたクローンの制限分析の後、pCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig/E7を含むクローンを選択した。
【0083】
第2工程では、LAG−3(D1D4)Ig/E7構築体をDαにクローニングした。
pCDNA3中に含まれたLAG−3(D1D4)Ig/E7挿入体を酵素PmeIによって切断し(pCNDA3、平滑末端のマルチ・クローニングサイト周囲の2PmeI部位)、事前にXhoI平滑末端/XhoI平滑末端を切断することによって調製して脱リン酸化させた挿入体を含まないDαに連結させた。
【0084】
Dα中で正しいセンス方向にLAG−3(D1D4)Ig/E7挿入体を含むクローンを制限分析によって選択した。
Dα−LAG−3(D1D4)Ig/E7クローンの1つのDNAをDH5α系統に再度形質転換し、maxiprep Endofree(キアゲン社(Qiagen))によって調製し、CHO−K1細胞への一過性のトランスフェクションに使用して、プラスミドの翻訳産物を確認した。元のDα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体およびpCDNA3−LAG−3(D1D4)Igベクターを陽性対照として使用し、XhoI、次に連結によってそこから挿入体を除去したDα−ベクターを陰性対照として使用した。トランスフェクション後24時間で、特異的ELISAによって上清中のLAG−3を定量した。平行して、上清および細胞溶解物中に存在する組換えタンパク質をA−セファロース・タンパク質(ファルマシア社(Pharmacia))により沈殿させ、抗LAG3ウエスタン・ブロットにより分析して、それらの大きさを評価した。見かけの分子量は予想された分子量であった。
【0085】
Dα−LAG−3(D1D4)Ig/E7クローンのDNAは、CHO−dhfr細胞への安定したトランスフェクションに使用されるDNAである。
1.3)hLAG−3IgとHIV−1gag−nefとの間の融合
このHIV−1抗原を、C末端またはN末端のいずれかにおいてhLAG−3Ig(D1D4またはD1D2)と結合させ、前述した発現ベクターにクローニングした。この抗原とLAG−3を含まないIgG1とも、対照として融合させた(図4)。
【0086】
このワクチン組換えタンパク質を調製するために選択したHIV−1抗原は、gagp17、gagp24およびnefの一部分の最適融合産物である。
1.3.1)使用したGag−nef配列
gagp17、gagp24およびnefキメラ・タンパク質の配列を、ヨーロッパの患者(B系統)において検出される多大な可能性を有すると定義した。
【0087】
これを行うために我々は、ウエブ・サイトhttp://hiv−web.lanl.gov/content/hiv−db/CONSENSUS/M GROUP 2002−Aug.htmlで得たペプチド配列をそれぞれのタンパク質に関して比較した。
【0088】
以下の配列のアラインメントを図3中に示す。
B系統の祖先配列(進化系統樹に基づいて実施した、現在のB群のウイルスが由来する理論上の配列)。
【0089】
B系統のコンセンサス配列(現在のB群の配列の全ての間で一致した配列、それらの表示は考慮しない)。
LAI系統の配列(ヨーロッパで最初の単離体)。
【0090】
それぞれのタンパク質p24、p17およびnefに関して選択した配列は、アミノ酸がLAIおよびコンセンサス配列で異なるとき、これらの2つの配列がこのアミノ酸に関して同一であるとき以外、祖先配列に対応する。この場合、我々は、現在の群中に祖先配列以外のコンセンサスおよびLAI配列を発見する良い機会が存在すると考える(図3)。これらの3つのペプチド配列を、その後末端毎に配置させた。nefの最初の60個のアミノ酸を検出した。何故なら、それらは患者中で検出された如何なる主要なTエピトープも含まず、nefの細胞変性効果を担うわけではないからである。
【0091】
gag−nefキメラに関してこのようにして得たペプチド配列に対応するDNA配列を、エーティージーバイオシンセシス社(ATG−Biosynthetics Company)によるハムスター細胞(CHO−K1細胞)中での発現用に最適化した。gagnefの5’および3’端に制限部位を加えて、サブ・クローニングを可能にした。この遺伝子はその後エーティージーバイオシンセシス社(ATG−Biosynthetics Company)によって合成され、pCR4topoベクター中に供給された。
【0092】
1.3.2)発現ベクター中へのhLAG−3Ig−gagnefおよびgagnef−hLAG−3Igのクローニング
クローニング戦略を図4中に要約する。
【0093】
pCDNA3.1へのhLAG−3Ig−gagnefのクローニング:
pCR4topo−gagnefからXhoIとXbaIとの間のpCDNA3.1−hLAG−3(D1D4)IgおよびpCDNA3.1−hLAG−3(D1D2)IgベクターにGag−nefをサブ・クローニングした。
【0094】
pCDNA3.1−hLAG−3(D1D4)Ig−gagnefおよびpCDNA3.1−hLAG−3(D1D2)Ig−gagnef発現ベクターを、酵素による消化によって確認した。
【0095】
pSECtag−hygroBへのgagnef−hLAG−3Igのクローニング:
このクローニングを3工程で行った。
*第1工程:pCR4topo−gagnefからHind3とNot1との間のpSECtag−hygroBへのgag−nefのサブ・クローニング。pSEC−gagnefクローニング中間体をこのようにして得た。
【0096】
*第2工程:XhoIにおけるpSECtaghygroBへのhLAG−3Ig(D1D4およびD1D2)のクローニング。この工程は、多量のXhoI消化型挿入体を得るためのクローニング中間体を与える。実際、PCR産物がXhoIによって直接消化された場合、多数の未消化断片はその後平滑末端がクローニングされ、除去することは不可能であるが配列決定によって可能である偽陽性がもたらされたと思われる。
【0097】
hLAG−3(D1D4)−IgおよびhLAG−3(D1D2)−Igを、以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、それぞれpCDNA3−LAG−3(D1D4)−IgGIおよびpCDNA3−LAG−3(D1D2)−IgGIからPCRによって増幅させた。
【0098】
オリゴ5(Lag35’−D1XhoI):
CCGCTCGAGTCCAGCCAGGGGCTGAG(配列番号13)
シグナル・ペプチドを含まないドメイン1のXhoI部位および5’領域を含む。
【0099】
オリゴ17(IgGI3’−停止XhoI):
CCGCTCGAGTCATTTACCCGGGGACAG(配列番号14)
停止コドンおよびXbaI部位を有するIgGIの3’領域を含む。
【0100】
以下のオリゴヌクレオチド対を用いて、pCDNA3−LAG−3(D1D4)−IgG1からIgGIをPCRによって増幅させた。
オリゴ11(IgG15’XhoI):
CCGCTCGAGCGAGGGTGAGTACTAAGC(配列番号15)
IgGIのAイントロンのXhoI部位および5’領域を含む。
【0101】
オリゴ17(IgG13’−停止XhoI):
CCGCTCGAGTCATTTACCCGGGGACAG(配列番号16)
停止コドンおよびXbaI部位を有するIgGIの3’領域を含む。
【0102】
精製前にXhoIによってPCR産物を消化した。これらのPCR産物を、XhoIによって事前に消化されたpSECtag−hygroBにその後連結させた。
*第3工程:pSEC−gagnefへのhLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D2)Ifのクローニング。
【0103】
hLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D2)IgおよびIgGI挿入体を、XhoIを用いた消化によってpSECtag−hybroBから除去し、5’粘着末端を、PNKを用いて平滑状態にした。pSEC−gagnefベクターを、NotIを用いて消化し、粘着末端もPNKを用いて平滑状態にした。挿入体と精製ベクターとを連結させた。
【0104】
これらの発現ベクターの挿入体間のリンカー配列を配列決定して、読み枠の完全性を確認した。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体へのgagnefのクローニング:
指定ベクターは、LAG−3(D1D4)Ig、Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体を生成するためにヘノジェン社(Henogen)によって使用されているベクターである。
【0105】
gagnefコード断片は、pCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig−gagnefに由来する。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体へのgagnefのクローニングを2工程で行った。
【0106】
第1工程では、LAG−3(D1D4)Ig/断片をpCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig−gagnefに挿入した。
Dα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1ベクターをXhoIによって切断し、その粘着末端は酵素T4ポリメラーゼによって平滑状態にした。XhoI平滑末端/XhoI平滑末端挿入体を含まないDαベクターに対応する断片を、最終指定ベクターと同様に保った。XhoI平滑末端/XhoI平滑末端挿入体を、BsrGIを用いて消化して、Igのコード配列のCイントロンを切断し、停止コドンを含むIgコードする配列の最後の300塩基対を除去した(LAG−3(D1D4)Ig/XhoI平滑末端/BsrGI挿入体)。
【0107】
pCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig−gagnefベクターをEcoRIで消化し(クローニング部位から上流のpCDNA3のマルチ・クローニングサイト中に含まれるEcoRI部位)、その粘着末端を、T4ポリメラーゼを用いて平滑状態にした。このようにして線状にしたプラスミドを、BsrGIを用いて切断し、LAG−3(D1D4)をコードする配列およびIgをコードする5’配列を除去してIgをコードする配列の最後の300塩基対を保持した(pCDNAEcoRI平滑末端/BsrGIIg−gagnef)。LAG−3(D1D4)Ig/XhoI平滑末端/BsrGI断片をpcDNA3EcoRI平滑末端/BsrGIIg−gagnefに連結させた。
【0108】
得られたクローンを制限分析した後に、pCDNA3−LAG−3(D1D4)Ig/gagnefを含むクローンを選択した。
第2工程では、LAG−3(D1D4)Ig/gagnefをDαにクローニングした。
【0109】
pCDNA3中に含まれていたLAG−3(D1D4)Ig/gagnef挿入体全体を、PmeIを用いた消化によって除去し(pCNDA3、平滑末端のマルチ・クローニングサイト周囲の2つの部位)、事前に切断することによって調製され脱リン酸化されたXhoI平滑末端/XhoI平滑末端挿入体を含まないDαにクローニングした。
【0110】
Dα中で正しい方向にLAG−3(D1D4)Ig/gagnef挿入体を含むクローンを制限分析によって選択した。
Dα−LAG−3(D1D4)Ig/gagnefクローンの1つのDNAをDH5α系統に再度形質転換し、maxiprep Endofree(キアゲン社(Qiagen))を使用して調製し、CHO−K1細胞への一過性のトランスフェクションに使用してプラスミドの翻訳産物を調べた。元のDα−LAG3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体およびpCDNA3−LAG−3(D1D4)Igベクターを陽性対照として使用し、XhoI次に再連結を使用してその挿入体を除去したDα−ベクターを陰性対照として使用した。トランスフェクション後24時間で、特異的ELISAを使用してLAG−3の上清を分析した。平行して、上清および細胞溶解物中に存在する組換えタンパク質をA−セファロース・タンパク質(ファルマシア社(Pharmacia))により沈殿させ、抗LAG3ウエスタン・ブロットを用いて分析して、それらの大きさを評価した。見かけの分子量は予想された分子量であった。
【0111】
選択したDα−LAG−3(D1D4)Ig/gagnefクローンのDNAは、CHO−dhfr細胞の安定したトランスフェクションに使用されるDNAである。
2)融合タンパク質を発現する安定したCHO細胞系の樹立
2.1)pCDNA3およびpSECベクター由来の融合タンパク質を発現する安定した系の樹立。
【0112】
pCDNA3またはpSECにおいて前に構築した発現ベクターをCHO−K1細胞にトランスフェクトして、当該の組換えタンパク質を発現する安定した生成系を得た。
2.1.1)クローンのトランスフェクション法および単離
2.1.1.1)プラスミド消化
当該のタンパク質を発現する安定したトランスフェクタントを得る機会を最大にするために、トランスフェクション前に発現ベクターを線状にした。選択した制限酵素は、位置1でpCDNAおよびpSECベクターを消化するが、挿入体hLAG−3Ig、gagnefまたはE7のいずれも消化しないBg12であった。消化は10μgのベクターおよび30Uの酵素を用いて行い、DNAをその後沈殿させ、20μLのHO UP中に採取した。
【0113】
しかしながら、比較試験は、この線状化工程は重要ではないことを示した、何故なら、得られた陽性の安定したトランスフェクタントの数は、それが線状であろうとなかろうとほとんど異ならないからである。
【0114】
2.1.1.2)トランスフェクション
8〜14の幾つかの工程を有するトランスフェクションを、いずれもCHO−K1細胞(ECCAC Ref.No.85081005)において個別に3〜4回で行った。
【0115】
簡潔に言えば、セミコンフルエントのCHO−K1細胞を、5μLのLipofectamine(ギブコ社(GIBCO))を使用して、2μgのプラスミドと共に6ウエル・プレートにトランスフェクトした。
【0116】
2.1.1.3)耐性クローンの選択
トランスフェクションの24時間後、選択用抗生物質を含む培地の存在下において、細胞をトリプシンで溶解させ、150mmの丸皿に接種した。選択用抗生物質はpCDNAベクター用に0.5mg/mLのG418、およびpSECベクター用に0.4mg/mLのヒグロマイシンBである。単離した細胞クローンが出現するまで(1〜2週間)、培地を2〜3日毎に交換した。
【0117】
抗生物質に耐性があり、したがってプラスミドが組み込まれている細胞クローンを、P200ピペットを用いて顕微鏡下において手作業で採取し、96ウエル・プレートに移した。それぞれのクローンは当該のタンパク質の発現に関してその後試験し、陽性クローンを後に増幅させた。
【0118】
2.1.1.4)クローンの指定
クローンが生成したトランスフェクションの日付およびクローンが含むプラスミドの確認を可能にするコードに従い、クローンに名称をつけた。
【0119】
最初の2つの数字はトランスフェクションの日および月に対応し、次に文字はトランスフェクトしたプラスミド、次にクローンの数に対応する。例えば、pCDNAプラスミドを有する1月7日のトランスフェクションから得たクローンは、07_01_Axと名付けられる(xはクローンの数である)。
【0120】
以下の命名に従い、それぞれのプラスミドに文字を割り当てた。
A:pCDNA
B:pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig
C:pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig
D:pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−E7
E:pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−E7
F:pSEC
G:pSEC−E7−hLAG−3(D1D4)Ig
H:pSEC−E7−hLAG−3(D1D2)Ig
I:pSEC−E7−IgG1
J:pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−gagnef
K:pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−gagnef
L:pSEC−gagnef−hLAG−3(D1D4)Ig
M:pSEC−gagnef−hLAG−3(D1D2)Ig
N:pSEC−gagnef−IgG1
2.1.2)最大hLAG−3Ig−E7組換えタンパク質生成クローンの選択
トランスフェクトした最初の一連のプラスミドは、E7を含まない陽性対照としてのpCDNA−LAG−3(D1D4)IgおよびpCDNA−LAG−3(D1D2)Igに加えて、pCDNA−LAG−3(D1D4)−Ig−E7、pCDNA−LAG−3(D1D2)Ig−E7であった。
【0121】
2.1.2.1)一過性トランスフェクション効率の分析
細胞のトランスフェクション効率を、トランスフェクション後24時間での抗LAG3抗体(17B4)を用いた細胞内標識の後に、FACSによって最初に評価した。一過性トランスフェクション効率は、プラスミドpCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig、pCDNA−hLAG−3(D1D2)IgおよびpCDNA−hLAG−3(D1D2)IgE7(陽性細胞の40%および50%の間)に関しては良かったが、pCDNA−hLAG−3(D1D4)−Ig−E7に関してはそれより低かったことが示された。
【0122】
2.1.2.2)安定してトランスフェクトしたクローンの試験
この一連のトランスフェクションを4回繰り返した(2003年1月7日、2003年1月14日、2003年1月21日および2003年3月27日)。
【0123】
非希釈または適切に2回希釈した抗LAG−3を用いて、それぞれのトランスフェクトした細胞クローンの上清をELISAによって試験した。
それぞれのトランスフェクション系の最良クローンを増幅させ、クローン当たり2つのアンプルを凍結させた。これらのクローンの上清をその後ELISAによって比較して、最大生成クローンのみを保存した。
【0124】
クローンを凍結させ、その後互いに比較した。
pCDNAに対しては:7−1−A1、14−1−A2、21−1−A2
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Igに対しては:7−1−B1、7−1−B3、7−1−B4、14−1−B8、14−1−B14、21−1−B11、27−6−B6
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Igに対しては:7−1−C1、7−1−C2、14−1−C12、14−1−C16、21−1−C8、27−5−C5
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−E7に対しては:7−1−D3、14−1−D4、14−1−D8、21−1−D1、27−5−D3
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−E7に対しては:7−1−E1、7−1−E3、7−1−E5、14−1−E9、14−1−E11、21−1−E6、27−5−E8。
【0125】
最良クローンを、それらの上清のウエスタン・ブロット分析によっても比較した。複合試験によって、増幅されて組換えタンパク質の生成細胞として働くと思われる、クローンの各トランスフェクトしたプラスミドを選択することが可能であった。
【0126】
組換えタンパク質生成系として選択したクローンは以下のものであった。
pCDNAに対しては:7−1−A1
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Igに対しては:7−1−B4
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Igに対しては:21−1−C8
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−E7に対しては:7−1−D3
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−E7に対しては:14−1−E11
予想通り、hLAG−3(D1D4)Ig−E7はhLAG−3(D1D4)Igより若干高い位置で移動する(図5)。観察された2本のバンドはhLAG−31gの単量体形および2量体形に対応し、β−メルカプトエタノールの存在下での加熱による還元は充分に有効ではなかった。
【0127】
2.1.2.3)生成細胞塊の凍結
限られた数の実施後に凍結された2つのストックのアンプルの1つを解凍させ、175cmフラスコ中でコンフルエントに達するまで再増幅させ、そこから2003年3月3日に「マスター細胞塊」として5つのアンプルを凍結させた。したがって、クローンの単離以降の実施数は、系に従い5と7の間である。
【0128】
2003年3月5日に、「作業用細胞塊」として、175cmフラスコから5つの他のアンプルをその後凍結させた。
2.1.3)最大E7−hLAG−31g組換えタンパク質生成クローンの選択
2.1.3.1)一過性トランスフェクション効率の分析
細胞のトランスフェクション効率を、トランスフェクション後24時間でのFITCと結合した抗ヒトIgG抗体を用いた細胞内標識の後に、FACSによって最初に評価した。一過性トランスフェクションの効率は、pSEC−E7−hLAG−3(D1D2)IgまたはpSEC−E7−IgG1に関してよりもpSEC−E7−hLAG−3(D1D4)Igに関して高い。DNAの調製物の質は良いが(シグマ社(SIGMA)geneluteキットをmidiprepキアゲン社(Qiagen)キットに置き換えた)、pSECプラスミドの一過性トランスフェクションの効率は、pCDNAプラスミドに関して得られる効率未満である(10%未満対50%)。
【0129】
2.1.3.2)安定してトランスフェクトしたクローンの試験
この一連のトランスフェクションを4回繰り返した(2003年4月23日、2003年5月7日、2003年6月19日および2003年6月27日)。
【0130】
pSEC−E7−hLAG−3(D1D4)IgおよびpSEC−E7−hLAG−3(D1D2)Igを用いてトランスフェクトした全細胞クローンの上清を、LAG−3を用いたELISAによって非希釈状態で試験した。E7−LAG3を発現する細胞の上清のODは、LAG3−E7を発現する細胞のODよりはるかに低かった。
【0131】
LAG3を含まない融合産物を発現するpSEC−E7−IgG1を用いてトランスフェクトした細胞クローンを、ELISAによって分析することは明らかに可能ではない。これらをいずれも、FITCと結合したヒト抗IgG抗体を用いた細胞内標識の後にFACSによって試験した。
【0132】
それぞれのトランスフェクション系の最良クローンを増幅させ、クローン当たり2つのアンプルを凍結させた。以下の凍結させたクローンを互いに比較した。
pSECに対しては:23−04−F4、07−05−F1
pSEC−E7−hLAG−3(D1D4)Igに対しては:23−04−G3、07−05−G27、07−05−G32、19−06−G8、19−06−G40
pSEC−E7−hLAG−3(D1D2)Igに対しては:23−04−H10、07−05−H11
pSEC−E7−IgG1に対しては:23−04−I12、07−05−I13、19−06−I4、19−06I19。
【0133】
これらのクローンの上清を、その後ELISAによって、あるいは細胞内標識によって互いに比較して、最大生成系のみを保存した。組換えタンパク質生成系として選択したクローンは以下のものであった。
pSECに対しては:07−05−F1、
pSEC−E7−hLAG−3(D1D4)Igに対しては:19−06−G8
pSEC−E7−hLAG−3(D1D2)Igに関しては:クローンを増幅させなかった。何故なら、その上清のODは、E7−D1D4クローンと比較して低かったからである。それにもかかわらず、07−05−H11の2つのアンプルを液体窒素中に保った、
pSEC−E7−IgG1に対しては:07−05−I13。
【0134】
2.1.3.3)生成細胞塊の凍結
2003年5月17日に、175cmフラスコ由来の19−06−G8および07−05−I13系の5つのアンプルを、「マスター細胞塊」としてコンフルエントで凍結させた。クローンの単離以降の実施数は、この場合考慮する系に従い5と8の間であった。
【0135】
2003年7月21日に「作業用細胞塊」として175cmフラスコから、5つの他のアンプルをその後凍結させた。
2.1.4)最大hLAG−3Ig−gagnef組換えタンパク質生成クローンの選択
2.1.4.1)一過性トランスフェクション効率の分析
トランスフェクション効率を、一過的にトランスフェクトした細胞におけるFITCと結合した抗ヒトIgG抗体を用いた細胞内標識の後にFACSによって評価した。一過性トランスフェクション効率は約10%である。
【0136】
2.1.4.2)安定してトランスフェクトしたクローンの試験
この一連のトランスフェクションを3回繰り返した(2003年5月7日、2003年6月19日および2003年6月27日)。
【0137】
それぞれのトランスフェクトした細胞クローンの上清を、抗LAG−3を用いてELISAによって非希釈状態で試験した。
それぞれのトランスフェクション系の最良クローンを増幅させ、クローン当たり2つのアンプルを凍結させた。以下の凍結クローンをその後互いに比較した。
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−gagnefに対しては:07−05−J2、07−05−J23、07−05−J53、07−05−J71、19−06−J18、19−06−J32、19−06−J48
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−gagnefに対しては:07−05−K19、07−05−K71、19−06−K33、19−06−K43、19−06−K44、17−06−K7
これらのクローンを、それらの上清のELISAによって、あるいは細胞内標識によってその後互いに比較して、最大生成系のみを保存した。組換えタンパク質生成系として選択したクローンは以下のものであった。
pCDNA−hLAG−3(D1D4)Ig−gagnefに対しては:07−05−J53
pCDNA−hLAG−3(D1D2)Ig−gagnefに対しては:07−05−K19および27−06−K7。
【0138】
2.1.4.3)生成細胞塊の凍結
2003年5月17日に、「マスター細胞塊」としての185cmフラスコ由来の27−06−K7の3つのアンプル以外に、175cmフラスコ由来の07−05−J53および07−05−K19系の5つのアンプルを凍結させた。クローンの単離以降の実施数は、考慮する系に従い4と8の間であった。
【0139】
2003年7月21日に「作業用細胞塊」として、5つまたは3つの他のアンプルを同様に凍結させた。
2.2)Dαベクター由来の融合タンパク質を発現する安定した系の樹立。
【0140】
構築したDα−LAG−3(D1D4)Ig/E7およびDα−LAG−3(D1D4)Ig/gagnef発現ベクターを、CHO−dhfr細胞にトランスフェクトして、当該の組換えタンパク質を発現する安定した生成系を得た。
【0141】
2.2.1)クローンのトランスフェクション法および単離
2.2.1.1)トランスフェクション
Dαベクターにおける構築体のトランスフェクション用に使用したCHO−dhfr細胞(DSMZ ACC126)を、リボヌクレオシドおよびデオキシリボヌクレオシドの存在下でインキュベートした(培地MEMα RN/RdN+、ギブコ社(GIBCO)22571−020)。CHO−dhfr細胞を前日に25cmフラスコに接種し、2.5μLのlipofectamine2000(インビトロジェン社(Invitrogen))を使用して1μgのDα−LAG−3(D1D4)Ig/E7またはDα−LAG−3(D1D4)Ig/gagnefプラスミドを用いて、2004年7月25日にトランスフェクトした。元のDα−LAG−3−D1D4−ΔEK−hIgG1融合体およびpEGFP(クローンテク社(Clontech)ベクターのトランスフェクション体を、それぞれ陽性および陰性対照として使用した。トランスフェクションの6時間後、トランスフェクション培地をMEMαRN/RdN+培地と交換した。
【0142】
2.2.1.2)耐性細胞の選択
トランスフェクションの2日後、細胞をトリプシンで溶解させ、MEMαRN/RdN−選択培地(ギブコ社(GIBCO)22561−021)中に5000細胞/ウエルで、4枚の96ウエル・プレートにそれぞれのトランスフェクション用に接種した。約1週間後、それぞれ細胞のプールを表すそれぞれのウエルの上清を、抗LAG−3を用いてELISAにより分析した。最も生産的なプールを凍結用に増幅させ、メトトレキサートの存在下において培養物中に保ち、プラスミド由来配列(およびしたがって当該のタンパク質をコードする遺伝子)の増幅を可能にした。
【0143】
プールおよびクローンを選択し増大させるための全工程を、非エンドトキシンウシ胎児血清(ギブコ社(GIBCO)16000−044)を含む培地において行い、透析して血清由来のヌクレオシドの汚染を回避した。
【0144】
2.2.2)最大hLAG−3Ig/E7組換えタンパク質生成クローンの選択
2.2.2.1)最も生産的なhLAG−3Ig/E7トランスフェクタントのプールの選択
抗LAG−3を用いてELISAにより試験した400個のプールの中で、6個が他のものよりも一層強力な生産者であり、これらを選択した(プール番号3、4、9、11、20、21)。これらのプールそれぞれの2つのアンプルを凍結させた。
【0145】
2.2.2.2)メトトレキサートによる遺伝子増幅
これらのプールを150.000細胞/ウエルで6ウエル・プレートに接種し、50nMのメトトレキサートと共に培養した。プール9および11の上清中のhLAG−3Ig/E7の量は、メトトレキサートの存在下において増大した。メトトレキサートの用量は、したがって150および250nMに増大した。
【0146】
プール9は250nMのメトトレキサートに耐性があり、生成されたhLAG−3Ig/E7の量は多量であった。したがって、限界希釈実験を、2004年9月11日にこれらの条件下において行った。このプール由来の2つのクローンを選択し(番号9−23および9−26)、2004年10月8日に凍結させた。
【0147】
プール11は250nMのメトトレキサートに耐性があり、生成されたhLAG−3Ig/E7の量は多量であった。したがって、限界希釈実験を、2004年9月3日にこれらの条件下において行った。このプール由来の5つのクローンを選択し(番号11−1、11−2、11−5、11−6、11−10)、2004年10月6日に凍結させた。
【0148】
2mMの酪酸(組換えタンパク質の生成を増大させることが知られている分化促進物質)を補った(低レベルの外来性タンパク質を含む)化学的に定義された培地中でのこれらのクローンの適応を、生成されたhLAG−3Ig/E7タンパク質の観点で評価した。無血清培地中でのその生成レベル、生成されたタンパク質の質(抗LAG−3抗体を用いたウエスタン・ブロットおよび染色)、およびその増殖能力に基づいて、クローンhLAG−3Ig/E7番号11−5を選択した。このクローンの20個のアンプルを2004年11月5日に凍結させた。
【0149】
2.2.3)最大hLAG−3Ig/gagnef組換えタンパク質生成クローンの選択
2.2.3.1)hLAG−3Ig/gagnefトランスフェクタントの最も生産的なプールの選択
抗LAG−3を用いてELISAにより試験した400個のプールの中で24個を選択し(1〜24で番号処理したプール)、凍結させた。
【0150】
2.2.3.2)メトトレキサートによる遺伝子増幅
これらのプールを150.000細胞/ウエルで6ウエル・プレートに接種し、50nMのメトトレキサートと共に培養した。50nMのメトトレキサートに耐性があった11個のプールを、150および250nMのメトトレキサートと共に培養した。
【0151】
プール1は250nMのメトトレキサートに耐性があり、生成されたhLAG−3Ig/gagnefの量は多量であった。したがって、限界希釈試験を、2004年9月6日にこれらの条件下において行った。このプール由来の5つのクローンを選択し(番号1−14、1−21、1−49、1−56、1−100)、2004年10月6日に凍結させた。
【0152】
プール6は250nMのメトトレキサートに耐性があり、生成されたhLAG−3Ig/gagnefの量は多量であった。したがって、限界希釈試験を、2004年9月11日にこれらの条件下において行った。5つのクローンを選択し(番号6−15、6−55、6−57、6−58、6−65)、2004年10月5日に凍結させた。
【0153】
2mMの酪酸を補った化学的に定義された培地中でのこれらのクローンの適応を、生成されたhLAG−3Ig/gagnefタンパク質の観点で評価した。無血清培地中での生産性、生成されたタンパク質の質(抗LAG−3抗体を用いたウエスタン・ブロットおよび染色)、および増殖能力に従い、クローンhLAG−3Ig/gagnef番号1−21を選択した。このクローンの20個のアンプルを2004年11月29日に凍結させた。
【0154】
3)融合タンパク質の生成および精製
hLAG−3Ig−E7、hLAG−3Ig/E7およびhLAG−3Ig/gagnefタンパク質、ならびに対照としてhLAG−3Igを生成させ、これらを精製した。
【0155】
3.1)融合タンパク質の生成
3.1.1)hLAG−3Ig−E7およびhLAG−3Ig生成系からの多量の上清の生成
hLAG−3(D1D4)Ig(CHO7−1−BA)、hLAG−3(D1D4)Ig−E7(CHO7−1−D3)、hLAG−3(D1D2)Ig(CHO21−1−C8)およびhLAG−3(D1D2)Ig−E7(CHO14−1−E11)タンパク質を生成する細胞系を大規模に培養して、数ミリグラムのタンパク質を含む体積の上清を得た(タンパク質当たり1.3リットルと1.6リットルの間の上清)。
【0156】
全ての培養を、フラスコ当たり80mLの培地を含む175cmフラスコ中でインキュベートした接着細胞を用いて行った。使用した培地は、いかなる選択用抗生物質も含まない10%FCS(バッチS135)を加えたHamF12(インビトロジェン社(Invitrogen))であった。
【0157】
これらの細胞を10分の1に希釈し4日間培養したか、あるいは3分の1に希釈し2日間培養した。したがって、上清の採取を、培地が過剰に黄色くなり細胞が脱着する前に行った。
【0158】
生成バッチ中の組換えタンパク質の濃度は以下の通りであった。
hLAG−3(D1D4)Ig(CHO 7−1−BA):1.4mg/L
hLAG−3(D1D4)Ig−E7(CHO 7−1−D3):0.33mg/L
hLAG−3(D1D2)Ig(CHO 21−1−C8):4μg/L
hLAG−3(D1D2)Ig−E7(CHO 14−1−E11):5μg/L
したがって、hLAG−3のただ2つのIgドメインを含む組換えタンパク質の生成は、hLAG−3の4つのIgドメインを含む組換えタンパク質の生成より一層有効であった。
【0159】
3.1.2)hLAG−3Ig/E7番号11−5およびhLAG−3Ig/gagnef番号1−21クローンからの多量の上清の生成
hLAG−3Ig/E7番号11−5およびhLAG−3Ig/gagnef番号1−21クローンのバイオマスの増大を、血清の存在下において接着細胞を用いて得た。コンフルエントで、細胞をPBSで洗浄し、30℃において250nMのメトトレキサートおよび2mMの酪酸を補ったProCHO4−CDM培地(Cambrex BE12−029Q)中で培養した。培地は24または36時間毎に回収した。数個の生成物をこのようにして得て、上清中の生成された量は一般に、この実験系ではhLAG−3Ig−E7に関しては2mg/Lを超え、hLAG−3Ig−gagnef融合タンパク質に関しては1mgであった。
【0160】
3.2)hLAG−3Ig−E7およびhLAG−3Ig、hLAG−3Ig/E7およびhLAG−3Ig/gagnefの精製
hLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D4)Ig−E7、hLAG−3(D1D2)Ig、hLAG−3(D1D2)Ig−E7、hLAG−3Ig/E7およびhLAG−3Ig/gagnef組換えタンパク質を、生成した上清のバッチからプロテインAのカラムで精製した。
【0161】
3.2.1)使用した精製プロトコル
培養物の上清由来の組換えタンパク質の精製を、PBSを用いて平衡状態にしたプロテインAのカラム(ファルマシア社(Pharmacia)ref−17−5079−01)で行った。
【0162】
培養物の上清を0.22μmフィルターで濾過した。ファルマシア社(Pharmacia)からのFPLC系を使用して、PBSを用いて事前に平衡状態にしたプロテインAのカラムに、それを充填した。hLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D4)Ig−E7、hLAG−3(D1D2)Ig、hLAG−3(D1D2)Ig−E7の精製中に、プロテインAと結合しなかったタンパク質を10mlのPBSで洗浄し、次いで組換えタンパク質を、0.1Mグリセリン・バッファー(4と2.7の間のpH)の勾配を使用して溶出させた。1mlの分画を回収した。
【0163】
勾配がpH2.7のバッファーの約20%に達したとき、UV検出器は溶出ピークの存在を示した。溶出概略は、4つの組換えタンパク質に関して同じであった。
精製タンパク質を含む分画を集め、脱塩カラム(ファルマシア社(Pharmacia)からのHi−trap脱塩5ml)においてPBSバッファー中で後に脱塩した。このようにして得たタンパク質を(機能性試験においてそれらを使用する前に)濃縮器で濃縮し(Vivascience ref.V50201断片10kDa)、SpinXカラム(ref.Costar8160)での濾過によって滅菌した。生成物を等分し、−80℃で凍結させた。
【0164】
hLAG−3Ig/E7およびhLAG−3Ig/gagnef組換えタンパク質を、PBSおよび0.1Mグリセリン・バッファー、pH4中で洗浄した後、タンパク質を0.1Mグリセリン・バッファー、pH2.7中に直接溶出させ、PBSに対して透析し、0.2μmで濾過し、等分して−80℃で保存した。
【0165】
3.2.2)精製工程の収率
それぞれの精製、脱塩およびCentricon濃縮工程の生成物を、抗hLAG−3Igを用いてELISAによって分析した。
【0166】
表1は、ELISAによって得た濃度、およびhLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D4)Ig−E7、hLAG−3(D1D2)IgおよびhLAG−3(D1D2)Ig−E7組換えタンパク質のそれぞれの精製工程の収率を要約する。
【0167】
【表1】

【0168】
プロテインAカラムでのhLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D4)Ig−E7の精製中に得られた収率は約77%であり、それは比較的満足のいくものである。
【0169】
脱塩カラムでのバッファーの交換中の、1.5倍での生成物の希釈は通常のことである。
表2は、精製hLAG−3Ig/E7およびhLAG−3Ig/gagnefタンパク質においてLAL(Cambrex)によって推測したエンドトキシンの量に加えて、BCAタンパク質アッセイ(Perbio)によって得られた量を要約する。
【0170】
【表2】

【0171】
無血清培地を使用することによって、本発明を使用するためにin vitroおよび動物中で樹上細胞に課される制限未満に、エンドトキシンのレベルを充分低下させることが可能であった。
【0172】
3.2.3)SDS−PAGEによる精製産物の分析
4つのhLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D4)Ig−E7、hLAG−3(D1D2)IgおよびhLAG−3(D1D2)Ig−E7組換えタンパク質の精製産物の性質および純度を、SDS−PAGEによって分析した。10%アクリルアミドを含むゲルをクーマシー・ブルーで染色したか、あるいは抗hLAG3および抗E7を用いるウエスタン・ブロットによる分析用にニトロセルロースに移した(図5における例)。
【0173】
プロテインAカラムで精製したhLAG−3(D1D4)Igタンパク質を、精製hLAG−3(D1D4)Igタンパク質と同じ形式で移動した(図5)。他方で、より小さなサイズの2つのタンパク質も、我々の精製産物中に多量に存在した。この2つのタンパク質は、細胞培養に使用した血清中に存在したウシ免疫グロブリンに相当する。
【0174】
E7と結合したhLAG−3(D1D4)Igは、予想したよりわずかに遅く移動した。E7断片の存在を確認するために、抗E7抗体を用いるウエスタン・ブロット分析を行った。hLAG−3(D1D4)Ig−E7融合体を示した。
【0175】
hLAG−3(D1D4)Ig/E7、hLAG−3(D1D4)Ig/gagnefのそれぞれのバッチの精製産物の性質および純度を、クーマシー・ブルーを用いた染色および抗LAG−3ウエスタン・ブロットによって分析した(図8における例)。
【0176】
予想したように、精製hLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefタンパク質は、hLAG−3(D1D4)Igより明らかに大きな分子量を有していた。E7断片より大きなgagnef断片、hLAG−3(D1D4)Ig/gagnef融合タンパク質は、最も遅い移動度を有していた(図8)。無血清培地を使用することによって汚染タンパク質を除去することが可能であった。
【0177】
4)融合タンパク質の機能性試験
この方法で精製したhLAG−3(D1D4)Ig、hLAG−3(D1D4)Ig−E7、hLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D4)Ig−E7タンパク質を、クラスIIMHCと結合するそれらの能力、樹状細胞によって内在化される樹状細胞の成熟を誘導するそれらの能力、および特異的なCD4および/またはCD8T細胞応答を誘導するそれらの能力に関して試験した。
【0178】
4.1)クラスIIMHCとの結合
クラスIIMHCと結合する組換えタンパク質の能力を、LAZ−509細胞(EBVによって形質転換されたヒトB細胞、クラスIIMHCを強く発現する)とタンパク質との結合を測定することによって評価した。FITCと結合したヒト抗Ig抗体によって、結合が明らかになった。クラスIIMHCおよび組換えタンパク質の結合と正比例した、LAZ−509細胞のFITC標識の強度をFACSによって定量した(図6および9)。
【0179】
hLAG−3(D1D4)Ig−E7融合タンパク質は、同じ条件下で生成および精製されたhLAG−3(D1D4)Igと同様の方法でクラスIIMHCと結合する(図6)。
【0180】
同様に、hLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefタンパク質の結合能力は、hLAG−3Igの結合能力と同等である(図9)。
【0181】
4.2)hLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefによるヒト樹状細胞の成熟化
末梢血単核球(PBMC)から分化した未成熟樹状細胞を、(陰性刺激対照として)ヒトIgG1細胞、あるいはhLAG−3(D1D4)Ig/E7、hLAG−3(D1D4)Ig/gagnefまたはhLAG−3Ig(10μg/mL)タンパク質と共に2日間インキュベートした。樹状細胞の成熟化を誘導することが知られている可溶性CD40リガンド(sCD40L、3μg/mL)を、陽性刺激対照として使用した。樹状細胞の活性化を、CD40、CD80、CD83、およびCD86活性化マーカーの膜での発現によってその後評価した(図10中の例)。LAG−3/E7またはLAG−3/gagnef融合タンパク質を、陽性対照、LAG−3IgおよびsCD40Lと同様に樹状細胞の成熟化を誘導した。
【0182】
4.3)ヒト樹状細胞におけるhLAG−3Ig−E7の内在化
樹状細胞におけるhLAG−3(D1D4)Ig−E7融合タンパク質の内在化を試験した。
【0183】
PBMCから精製した未成熟ヒト樹状細胞を、30μg/mLの組換えタンパク質と共に4℃においてインキュベートした。細胞はその後37℃に15分間置いた。これらの条件下では、hLAG3−Igは樹状細胞に内在化し、それらの成熟化を誘導することが知られている。
【0184】
共焦点顕微鏡による分析は、hLAG−3(D1D4)Ig−E7タンパク質が未成熟ヒト樹状細胞に効率よく内在化されることを示した(図10)。37℃に15分間スライドを置いた後、これらの細胞は、樹状細胞において特異的に標識されたLAG−3Ig−E7タンパク質を内在化させ、これは4℃では見られない(陰性内在化対照)。
【0185】
4.4)E7およびgag−nef抗原に対するCD4およびCD8T細胞応答
健全なドナーから新たに回収したPBMC細胞を、標準的なFicoll−Paque(アマシャムファルマシアバイオテク社(Amersham Pharmacia Biotech)AB)を使用して精製した。
【0186】
500U/mLのGM−CSF(R&D Systems Inc.MN)および500U/mLのIL−4(R&D Systems Inc.MN)と共にPBMCを7日間培養することによって、樹状細胞を調製した。
【0187】
2μg/mLの抗CD40抗体および100ng/mLのPoly IC(シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)の存在下において2日間、樹状細胞をその後成熟化させた。
【0188】
精製したCD4およびCD8T細胞を、hLAG−3(D1D4)Ig/E7、hLAG−3(D1D4)Ig/gagnef、E7、gagnefまたはhLAG−3Ig(10μg/mL)タンパク質を用いて2時間、樹状細胞と共に毎週刺激し、培地(CM:RPMI1640、10%ヒトAB血清、10nMのL−グルタミンおよびゲンタマイシンを含む)中に10/1のT細胞/樹状細胞の比で、35Gyで照射した。1.10U/mLのIL−6および5U/mLのIL−12(R&D Systems Inc.MN)を培養の第1週中に加えた。20U/mLのIL−2(R&D Systems Inc.MN)および10ng/mLのIL−7(R&D Systems Inc.MN)を次の2週間中に加えた。
【0189】
Elispotアッセイを使用して、E7またはgag−nef抗原に応答してγ−インターフェロンを分泌するエフェクター細胞を定量した。
セルロース・エステル膜を有する96ウエル・プレート(MultiScreen MAHA S4510;Millipore)を、抗γ−インターフェロン抗体(MAB285)で一晩コーティングした。ウエルを洗浄し、10%のヒトAB血清を培地に加え、細胞を4つの異なる濃度で加えた。タンパク質をそれぞれのウエルに加え、プレートは一晩インキュベートした。翌日、培地を捨て、二次ビオチン化抗体(BAF285−ビオチン)を加えることによってウエルを洗浄した。プレートを2時間インキュベートし、洗浄し、ストレプトアビジン−酵素複合体(ストレプトアビジン−AP;Boehringer Mannheim GmbH)をそれぞれのウエルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、酵素のBCIP−NBT基質(S3771:プロメガ社フランス(Promega France)をそれぞれのウエルの、アルカリホスファターゼ・バッファー、pH9.5(100mMのトリス−HCl、100mMのNaCl、5mMのMgCl)中に加え、プレートを10〜20分間室温でインキュベートした。濃い青紫色の斑点が出現するやいなや、水で洗浄することによって反応を終了させた。斑点を、自動式画像分析装置ELISPOTリーダー(AID Strasbourg、ドイツ)を使用して計数した。
【0190】
抗原に応答してγ−インターフェロンを分泌するCD4またはCD8Tエフェクター細胞の出現率は、抗CD8または抗CD4抗体を用いた免疫標識によって、リンパ球群中の斑点を形成する細胞の数およびCD8またはCD4T細胞の出現率に基づいて計算することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】E7wtの理論上の配列と、部位特定突然変異誘発(2点突然変異)後の塩基配列決定後に得たE7Rbの理論上の配列間の、核酸配列(A)およびペプチド配列(B)のアラインメントを示す図。
【図2】発現ベクターpCDNA3、および組換えタンパク質hLAG−3Ig−E7、E7−hLAG−3Igおよび対照としてE7RbIgを発現するpSECに関するクローニング戦略を要約する図。使用されたオリゴヌクレオチドは矢印によって表される。
【図3】gagタンパク質(パネルA)およびnef(パネルB)に関する祖先群B、共通群BおよびLAI配列間の配列のアラインメントを示す図。gag−nefタンパク質を最適化するために、p17、p24およびnef用に選択されたアミノ酸には下線が引かれる。
【図4】発現ベクターpCDNA3、および組換えタンパク質hLAG−3Ig−gagnef、gagnef−hLAG−3Igおよび対照としてgagnef−Igを発現するpSECのクローニング戦略を要約する図。使用されたオリゴヌクレオチドは矢印によって表される。
【図5】精製されたhLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D4)Ig−E7タンパク質のSDS−PAGEゲルを示す図;精製されたhLAG−3Igタンパク質も(0.71mg/mLで)参照として沈殿された。分子量マーカーは3つのゲルに関して同じである(バイオラッド社(Biorad)の広範囲マーカー)。Aは、クーマシー・ブルー染色の図。Bは、17B4モノクローナル抗体を用いたウエスタン・ブロットによる抗hLAG−3の図。
【図6】hLAG−3(D1D4)IgおよびhLAG−3(D1D4)Ig−E7と、EBV形質転換B細胞のクラスIIMHCとの結合を示す図(陽性細胞の割合によって重み付けした平均蛍光値として表す:縦座標軸)。
【図7】(細胞内の数箇所の)免疫蛍光によって検出された、37℃での未成熟ヒト樹状細胞におけるhLAG−3(D1D4)Ig−E7の内在化を示す図。
【図8】精製されたhLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefタンパク質のSDS−PAGEゲルを示す図;タンパク質hLAG−3Ig(バッチPDC12.096)も参照として沈殿された(バイオラッド社(Biorad)のKaleidoscope分子量マーカー)。Aは、クーマシー・ブルー染色の図。Bは、17B4モノクローナル抗体を用いた抗hLAG−3ウエスタン・ブロットの図。
【図9】EBV形質転換B細胞のクラスIIMHCにおけるhLAG−3Ig(バッチ、ヘノジェン社(Henogen)S017/LPC/041008)、hLAG−3(D1D4)Ig/E7およびhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefの結合を示す図。(濃度に対する平均蛍光強度として表す)。
【図10】ヒトIgG1、sCD40L、hLAG−3Ig(バッチ、ヘノジェン社(Henogen)S017/LPC/041008)、hLAG−3(D1D4)Ig/E7またはhLAG−3(D1D4)Ig/gagnefと共に2日間インキュベートされた樹状細胞の表面での、CD40、CD80、CD83およびCD86活性化マーカーの発現を示す図。膜における発現は蛍光強度に正比例する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クラスの抗原型タンパク質および第2クラスのクラスIIMHCリガンド型タンパク質を備え、両クラスのタンパク質が生物環境中で1個または数個の安定した結合によって結合していることを特徴とする結合産物。
【請求項2】
両クラスのタンパク質が、連結された共有結合であることを特徴とする請求項1に記載の結合産物。
【請求項3】
両クラスのタンパク質がリンカーまたは連結分子を介して共有結合により間接的に連結していることを特徴とする請求項2に記載の結合産物。
【請求項4】
両クラスのタンパク質が融合タンパク質を形成していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の結合産物。
【請求項5】
前記第2クラスのタンパク質が、hLAG−3、その相同体、断片および誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の結合産物。
【請求項6】
前記LAG−3断片が可溶性断片であることを特徴とする請求項5に記載の結合産物。
【請求項7】
前記LAG−3断片が、D1−D2およびD1−D4断片からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の結合産物。
【請求項8】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、その治療がTリンパ球応答を必要とする疾患に特異的な抗原を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の結合産物。
【請求項9】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、ウイルス抗原、細菌抗原、腫瘍抗原、寄生虫抗原、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の結合産物。
【請求項10】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、HPV、HBV、HCV、HIV、EBV、CMVウイルスおよびこれらの混合物からなる群から選択されるウイルス抗原であることを特徴とする請求項9に記載の結合産物。
【請求項11】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、HPVの抗原E7およびHIVのgag−nef抗原からなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の結合産物。
【請求項12】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、結核、ハンセン病およびリステリアの細胞内細菌の群から選択される細菌抗原であることを特徴とする請求項9に記載の結合産物。
【請求項13】
前記第1クラスの抗原型タンパク質が、CEA、MelanA、PSA、MAGE−3、HER2/neu、HPVのE6およびE7タンパク質からなる群から選択される腫瘍抗原であることを特徴とする請求項9に記載の結合産物。
【請求項14】
薬剤として許容可能な賦形剤と任意で組み合わされた、請求項1から請求項13のいずれかに記載の少なくとも1つの結合産物を備えることを特徴とするワクチン組成物。
【請求項15】
感染疾患および/または癌を治療することを目的とする薬剤を調製するための、請求項1から請求項13のいずれかに記載の結合産物の使用方法。
【請求項16】
感染疾患および/または癌の治療がCD8+T細胞を介した免疫応答を含む請求項15に記載の使用方法。
【請求項17】
前記第2クラスのMHCIIリガンド型のタンパク質が、T細胞を介した抗原特異的な免疫応答を誘導することが可能である請求項15または請求項16に記載の使用方法。
【請求項18】
癌の免疫療法および感染疾患の免疫療法を目的とする薬剤を製造するための請求項1から請求項13のいずれかに記載の結合産物の使用方法。
【請求項19】
特異的なCD4および/またはCD8T細胞応答を誘導することが可能である免疫原性組成物を調製するための請求項1から請求項13のいずれかに記載の結合産物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−501635(P2008−501635A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507816(P2007−507816)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000894
【国際公開番号】WO2005/103079
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506344675)
【氏名又は名称原語表記】IMMUTEP
【Fターム(参考)】