説明

抗生物質不活化性酵素の検出のための装置および方法

微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかの判定方法を開示し、該方法においては、β-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を、有効量のi) β-ラクタム含有抗生物質、ii) AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、および iii) 非増殖抑制性の微生物易透化量で存在する上記微生物用の易透化剤の各々と混合してアッセイ培養物を調製する。このアッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ上記微生物の上記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定し、陽性試験がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(背景技術)
医師および獣医師は、多くの場合、感染性微生物に対しての抗生物質の抑制活性を推定的に判定する抗生物質の相互作用試験に基づいて、疾病患者に対して抗生物質を処方している。しかしながら、有意の問題が存在し得る。ある場合には、処方抗生物質は、病原体が感受性であると報告されている場合でさえも感染症を治療することができない。重篤な感染症においては、この失敗は、致死的である。
患者の関与、病原体関連因子、並びに、最も顕著には、医師が適切な抗生物質を選定するのに使用した抗生物質相互作用試験の不全性のような、処方抗生物質が作用し得ない幾つかの理由が存在し得る。抗生物質相互作用試験の不全性は、以下のようなものである:試験は、特定の抗生物質に対する数種の微生物の不活化潜在力を把握することができていない。
ある種の細菌酵素が特定の抗生物質を不活化し得ることは、一般的知識である。最も顕著には、β-ラクタマーゼ酵素は、ペニシリン類、セファロスポリン類、セファマイシン類、モノバクタム類、モノカルバム類、ペネム類またはカルバペネム類のような最も一般的に処方される抗生物質を包含するβ-ラクタム抗生物質を不活化する(Bauernfeind et al., (1989) "Extended broad-spectrum β-lactamase in Klebsiella pneumoniae including resistance to cephamycins" Infection 17:316-321)。有効な抗生物質療法の選定に当っては、β-ラクタマーゼ酵素の存在を検討することが重要である;何故ならば、これらの酵素は、数例挙げれば、大腸菌(E. coli)、肺炎杆菌(K. pneumoniae)、クラブシエラ・オキシトカ(K, oxytoca)、サルモネラ種(Salmonella spp.)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)およびプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)の感染性細菌分離株において報告されているからである。しかしながら、β-ラクタマーゼ酵素は、現在の抗生物質相互作用試験においては、信頼し得るほどに検出されていない。従って、そのような欠点のある試験の使用は、治療ミスを、終局的には、疾病患者における感染症の再発をもたらし得る。
【0002】
現在、2つの通常タイプの抗生物質相互作用試験、即ち、ディスク拡散法または抗生物質希釈法が存在する。ディスク拡散法においては、標準量の感染性微生物を適切な培養培地(以下、寒天と称する)の表面上に均一に拡散し、その後、特定量の選定した抗生物質を含浸させた数枚の濾紙ディスクを寒天表面上に置く(例えば、Bauer et al., (1966) Am. J. Clin. Path. 45:493-496;Bell, (1975) Pathology 7:Suppl 1-48;Stokes et al., (1972) Association of Clinical Pathologists Broadsheet, No. 55 (改訂版)を参照されたい)。インキュベーション中、微生物は、ある種の抗生物質がその増殖を抑制している領域を除いた寒天表面上で増殖する。増殖の抑制を、特定の抗生物質ディスク周辺の寒天上の明白な無増殖領域(抑制領域)として検出する。抑制領域の大きさを測定し、比較して特定の抗生物質に対する微生物の相互作用を判定する。
一方、希釈法においては、一定量の微生物接種物を、変化濃度の抗生物質を含有する培地の1連のチューブまたはウェル内に導入する[NCCLS (1997) "Methods for dilution antimicrobial interaction tests for bacteria that grow aerobically" Approved standard M7-A4, National Committee for Clinical Laboratory Standards;ペンシルベニア州ビラノバ]。インキュベーション後、培地試験物を点検し、微生物の検出し得る増殖を阻止する抗生物質の最低濃度を記録する。この濃度が抗生物質の最低抑制濃度(MIC)である。ディスク拡散法または希釈法のいずれも、細菌培養物中の抗生物質不活化酵素の存在に関する情報を何ら提供していない。
【0003】
しかしながら、細菌酵素の存在を検出する種々の方法が報告されてきている。例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、即ち、クロラムフェニコールを不活化する酵素を検出するための特定の試験が開発されている[Chauchereau et al., (1990) Anal. Biochem. 188:310-316]。これらの複雑な試験は、特定波長での光の吸光度および/または放射性ラベルの存在を測定し得る特別な機器を必要とする。そのような試験は抗生物質相互作用試験ではなく、それら方法の複雑性は、日常的臨床微生物検査室においては不適切なようである。
同様な方法は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のβ-ラクタマーゼからのペニシリン抗生物質ディスクの周りの抑制領域の特徴的蓄積周辺部の産生による細菌酵素の抗生物質活性の検出において見出される[Gill et al., (1981) J. Clin. Microbiol. 14:437-40]。また、細菌β-ラクタマーゼ産生は、細菌類をニトロセフィンのような指示薬物質によって試験することによって化学的にも検出し得る[Oberhofer et al., (1982) J. Clin. Microbiol. 15:196-199;O'Callaghan et al., (1972) Antimicrob. Agents Chemother. 1:283-288]。これらの試験は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epiderniidis)、モラクセラ カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ナイセリア(Neisseria)およびヘモフィリス(Haemophilus)種のある種のタイプのペニシリン抗生物質に対するβ-ラクタマーゼ決定性の耐性のみの指示薬である。これらの試験は、これらのペニシリン類に抵抗する他のいずれの細菌類の潜在力も予測していないし、セファロスポリン類、セファマイシン類、モノバクタム類、モノカルバム類、ペネム類またはカルバペネム類のような他の群のβ-ラクタム抗生物質のいずれに対していずれの細菌類が耐性であるかの可能性も予測していない。要するに、これらは、限られた範囲の有用な試験でしかない。β-ラクタム抗生物質の試験においては、より普遍的な試験が、全てのβ-ラクタム抗生物質に対する全てのβ-ラクタマーゼの活性を検出するのに必要である。
【0004】
もう1つの方法において、ディスク拡散試験を事前インキュベーション手法によって改変して、黄色ブドウ球菌由来のβ-ラクタム抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼの能力を判定している[Lacey et al., (1977) J. Clin. Pathol. 30:35-39]。この手法は、上記各試験の解釈基準を較正した抑制領域よりも小さい抑制領域を生じる。事前インキュベーションは、それによって、抗生物質相互作用または耐性を判定するのに必要な解釈表を無効なものにしている。このことは、有効な解釈基準を欠くこの手法においては基本治療にとって非倫理的であるので、重大な欠陥である。
もう1つの試験は、β-ラクタマーゼ類を検出するのに使用され、これも2つの他のタイプの抗生物質不活化酵素、即ち、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼおよびエリスロマイシンエステラーゼを検出することが求められているクローバーリーフ試験である[Andremont et al., (1982) "Proceedings Reunion Interdisciplinaire de Chimiotherapie Antiinfectieuse" Societe Francaise de Microbiologie, Paris:50;Kjellander et al., (1964) Acta Path. Microbiol. Scand. 61:494.]。この試験は、抗生物質相互作用試験ではなく、日常的な検査室試験においては不利益である追加の手順として設定しなければならない。さらにまた、この手法によって得られた結果の妥当性については疑念が存在する[Jorgensen (1985) Chemotherapy 31:95-101;Reig et al., (1984) E. J. Clin. Microbiol. 3:561-562]。
さらにもう1つの方法は、特定タイプの細菌β-ラクタマーゼ、即ち、ブッシュ(Bush)群1の誘発性AmpC β-ラクタマーゼ[Bush et al., (1995) AAC 39:1211- 1233]を検出するセフォキシチン誘発試験を含む[Sanders et al., (1979) Antimicrob. Agents Chemother. 15:792-797]。この試験は、全てのタイプのβ-ラクタマーゼ類を検出するのではなく、上記クローバーリーフ試験と同様に、抗生物質相互作用試験を補完するのに使用される特定化され且つ複雑な手法である。
【0005】
さらにもう1つの方法は、アモキシシリン/クラブラン酸塩またはチカルシリン-クラブラン酸塩ディスクを、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セフタジジム、セフェピムまたはアズトレオナムを寒天プレート上に含有するディスクから約20〜30mmの距離で戦略的に配置することを含む二重ディスク増強試験である。従って、腸内細菌科の株が広域スペクトルβ-ラクタマーゼとして知られる特定タイプのβ-ラクタマーゼを産生するかどうかを判定することが可能である[Brun-Buisson et al., (1987) Lancet ii:302-306]。該試験は、試験においてβ-ラクタマーゼインヒビターのクラブラン酸が広域スペクトルβ-ラクタマーゼを抑制し、セファロスポリンまたはアズトレオナム抗生物質を不活化することを阻止する能力に基づいている。これは、特定の手法であり、一般的な抗生物質相互作用試験ではなく、ある種のタイプのβ-ラクタマーゼのみを検出している。従って、該試験は、不都合であり、範囲的に限られている。
各種ディスクおよび希釈試験は、上記二重ディスク試験の原理に由来している[Brown et al., (2000) J. Antimicrob. Chemother. 46:327-328;Cormican et al., (1996) JCM 34: 1880-1884;Ho et al., (1998) J. Antimicrob. Chemother. 42:49-54;Moland et al., (1998) J. Clin. Microbiol. 36:2575-2579;Sanders et al., (1996) J. Clin. Microbiol. 34:2997- 3001;Schooneveldt et al., (1998) Pathology 30:164-168;Thomson et al., (1999) Antimicrob. Agents Chemother. 43:1393-1400]。即ち、これらの試験は、β-ラクタマーゼインヒビターが広域スペクトルβ-ラクタマーゼを抑制する能力を使用してこのタイプのβ-ラクタマーゼを検出している。
【0006】
もう1つの方法、即ち、直接3次元試験[Thomson et al., (1984) J. Antimicrob. Chemother. 13:45-54;Thomson et al., (1992) AAC 36:1877-1882;米国特許第5,466,583号]においては、標準量の病原微生物を、ディスク拡散試験を実施する通常の方法で、寒天プレートの表面上に均一に拡散させている。しかしながら、抗生物質ディスクを寒天表面上に置く前に、3次元接種を行なっている。この接種は、滅菌外科用メスを使用して、寒天内に約3mmのスリットを、抗生物質ディスクを置く面に切込むことによって行なっている。その後、試験微生物の濃密液体接種物をスリット内に分配し、抗生物質ディスクをスリットから3mmの寒天上に置き、試験物をインキュベートしている。
インキュベーション後、抑制領域を標準手法により測定し、微生物の試験抗生物質に対する相互作用をディスク拡散試験の解釈基準に従って判定している。しかしながら、この方法以外に、抗生物質の酵素的不活化は、3次元接種物と抑制領域縁部の交差を点検することによっても検出し得る。抗生物質不活化は、通常円形の抑制領域に変形または不連続性をもたらす。(これらの変形または不連続性は、以下、“3次元効果”と称する)。
従って、3次元試験は、検査室が臨床医に微生物の抗生物質に対する相互作用または耐性のみならず微生物が抗生物質を不活化する能力も報告することを可能にする。仮定の例として、通常の抗生物質相互作用試験が、微生物が2種の抗生物質、セファクロールとセフォキシチンに対し感受性であったことを指示し得るのに対し、3次元試験は、微生物がセファクロールを不活化し得るがセフォキシチンは不活化し得ない酵素を産生したことを示すさらなる情報を提供し得る。即ち、通常の試験は両抗生物質が等しく有効であるように指示するが、3次元試験によって提供されたさらなる情報からは、セフォキシチンのみが患者において不活化され得ず、従って、セファクロールよりも有効な治療を構成するようである。この例においては、3次元試験によって提供された情報は、臨床医がより良好な治療選択をなすことを支援し得る。
【0007】
3次元試験の直接方式以外に、間接方式も、抑制領域が小さいかまたは無い場合の微生物の試験において、研究として或いは診断方法として使用する。間接試験は、寒天表面上に大腸菌ATCC 25922のような十分に感受性のアッセイ株を接種することによって行なう。この後、3次元スリットを寒天中に切込み、試験微生物の懸濁液を接種する。間接試験は、抗生物質感受性の同時判定を妨げるものの、試験を直接方式の試験で実施した場合に3次元結果を得るには抑制領域が小さ過ぎる微生物の抗生物質不活化酵素の検証を可能にする。
3次元試験においては幾つかの問題点が存在する。これらの問題としては下記がある:
a) 3次元試験における寒天中へのスリットの作成手順は、不便であり、正確に実施することは技術的に困難である;
b) スリットの作成は、病原菌によって汚染された外科用メスの刃が感染危険要因であるので、検査室スタッフにとって潜在的に危険である;そして、
c) スリットを過充填することなく且つ試験を無効にする可能性なしに、液体3次元接種物をスリット中に正確に伝達することも技術的に困難である。
【0008】
(発明の開示)
以下に開示するように、本発明は、適切な抗生物質を選択するのに医師が使用する現在の抗生物質相互作用試験の問題に対する1つの解決法を提供する。本発明は、特定の抗生物質に対する幾つかの微生物の不活化能力を評価する有効な方法を提供する。
本発明は、微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかを判定する方法を意図する。この方法によれば、a) セフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を、有効量のi) セフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質、ii) AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、例えば、クラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタム、および iii) 非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する上記微生物用の易透化剤の各々と混合してアッセイ培養物を調製する。このアッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ上記微生物の上記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し(インキュベートし)、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定し、陽性試験(微生物増殖の抑制がないこと)がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する。このアッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ上記微生物の上記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し(インキュベートし)、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在または不存在を判定し、陽性試験(微生物増殖の抑制がないこと)がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示し、陰性試験(微生物増殖の抑制)がAmpC β-ラクタマーゼの不存在を指示する。
【0009】
好ましい実施態様においては、β-ラクタマーゼインヒビターは、クラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタムであり、クラブラン酸塩がとりわけ好ましい。また、β-ラクタマーゼインヒビターは、標準相互作用試験ディスク当り約5〜約250μg、より通常は約5〜50μgの量で、或いは異なるアッセイ方式を使用する場合は比例する量で存在するのが好ましい。
さらに好ましくは、易透化剤は担体中に溶解または分散させる。好ましい実施態様においては、担体中に溶解させた易透化剤は、水性緩衝溶液である。好ましい緩衝溶液は、Tris/EDTA (TE)である。担体は、固形担体であり得る。好ましい固形担体は、上記の標準相互作用試験ディスクであるようなペーパーディスクである。また、担体は、液体担体であり得る。そのような実施態様においては、担体中に溶解させた易透化剤は、水性緩衝溶液である。固形ペーパーディスクと水性液体担体が存在する場合、固形ペーパーディスクは担体とみなし、液相はアッセイした微生物用の培養培地の1部とみなす。
もう1つの実施態様においては、培養物は、固形増殖培地上で調製する。また、培養物は、液体増殖培地中で調製する。
さらなる実施態様においては、担体が固形担体であり、培養物を固形増殖培地上で調製し、抗生物質を固形支持体上で使用し、混合は培養物を固形担体および固形支持体上で使用する抗生物質と接触させることによる。
容易に理解し得るように、本発明は、他の抗生物質感受性試験方法を上回る幾つかの有益性および利点を提供する。即ち、1つの利点においては、本発明は、AmpC β-ラクタマーゼ試験を他のβ-ラクタマーゼ類の存在下に実施するのを可能にする。この試験は、寒天内のスリットに細菌接種物の挿入を必要とする幾つかの他の方法の技術的に困難な局面よりはむしろ、寒天表面上で実施し得る。
さらにまた、本発明は、微生物からの抗生物質不活化因子の放出を、微生物の増殖を有意に抑制することなく容易にする易透化剤使用の利点を意図する。本発明は、おそらくAmpC β-ラクタマーゼを産生し且つ生体内で特定の抗生物質に対して耐性である微生物を検出し得るより堅実な生体外情報を提供する。
添付図面は、本開示の1部を構成する。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、微生物培養物中に存在し得るAmpC β-ラクタマーゼを産生する微生物を同定する方法を提供する。この方法は、微生物を易透化剤の存在下にインキュベートすることによる微生物の細胞壁および/または細胞膜(1以上)の透過性の増大に基づく微生物の抗生物質相互作用の判定に関連して典型的に実施する。易透化剤は、好ましくは、微生物を死滅させることも微生物の増殖能力を有意に抑制することもないが、にもかかわらず微生物を透過性にする量で存在する。理論によって拘束することは望まないけれども、適切濃度の易透化剤の存在は、微生物からの抗生物質不活化因子(例えば、AmpC β-ラクタマーゼ酵素)の促進された遊離または放出を可能にするものと信じている。そのような抗生物質不活化因子の遊離または放出は、微生物の抗菌剤およびAmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターの存在下での増殖を可能にする。
さらに詳細には、本発明は、a) セフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を、有効量のi) セフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質、ii) AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、例えば、クラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタム、および iii) 非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する上記微生物用の易透化剤の各々と混合してアッセイ培養物を調製する工程を意図する。このアッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ上記微生物の上記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し(インキュベートし)、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定し、陽性試験(微生物増殖の抑制がないこと)がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示し、陰性試験(微生物増殖の抑制)がAmpC β-ラクタマーゼの不存在を指示する。
【0011】
セフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質の例としては、周知であるように、セフォテタン、ニトロセフィン、セファクロール等がある。さらに、セファマイシン-、カルバペネム-、カルバセフェム-、モノバクタム-、ペニシリン-およびセファロスポリンC-タイプのβ-ラクタム含有抗生物質は、2002 USP Dictionary of USAN and International Drug Names、米国薬局方、メリーランド州ロックビル (2002年)において見出し得る。単一の抗生物質を使用しても或いは抗生物質の混合物を使用してもよい。アッセイすべき微生物の増殖を抑制するのに有効な個々のβ-ラクタム含有抗生物質の量は、本明細書において別途説明しているMIC判定法を使用して、さらにまた、米国イリノイ州ハノバーパークのFisher Scientific社から標章BD BBL Sensi-DiscTM感受性試験ディスクとして商業的に入手可能なアッセイディスクまたはRemel社(カンザス州レネキサ)から入手し得るOxoidR感受性試験ディスク(Basingstoke社製造、英国ハンプシャー)から容易に決定し得る。
AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビター化合物の例としては、クラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタムがある。クラブラン酸塩が好ましい。これらの化合物は、KPC-1、KPC-2およびCTX-Mβ-ラクタマーゼ酵素を抑制するが、AmpC β-ラクタマーゼは抑制しない。標準の感受性試験ディスクに添加すべきそのようなβ-ラクタマーゼインヒビターの量は、約5〜約250μg、好ましくは約5〜約50μg、より好ましくは約10〜約30μgである。インヒビターの有用な量は、他の系においては、上記系において使用する量に基づいて決定し得る。
【0012】
易透化剤は、抗生物質不活化因子の遊離または放出を容易にすることにより、さもなければ試験抗生物質に対して擬似感受性であるように表れるであろう抗生物質耐性微生物(治療中に抗生物質耐性を発現する能力を有する微生物)を検出するのに使用する。驚くべきことに、易透化剤の存在下での微生物増殖は必要でないものの、これらの微生物は、微生物に対して通常致死性であり、または微生物の増殖を抑制する易透化剤の存在下において多くの場合増殖し得る。
即ち、本発明は、易透化剤を非増殖抑制性の微生物易透化有効量で使用することを含む。本明細書において別途さらに詳細に説明しているように、易透化剤の非増殖抑制量を決定することは、微生物増殖を有意に抑制するその能力について易透化剤を力価測定することを含む一般的実験事項である。同様に、易透化剤の微生物易透化有効量を決定することは、試験微生物の既知の抗生物質耐性株からの抗生物質不活化因子の遊離によるように、微生物を易透過するその能力について易透化剤を力価測定することを含む一般的実験事項である。
易透化剤は、本明細書において説明するような有効量で、AmpC β-ラクタマーゼの産生を判定すべき微生物の培養物と混合する。培養物は、微生物(臨床サンプルからのような)の接種物を適切な増殖培地中に導入することによるような、当該技術において周知の方法に従って調製する。増殖培地は、ルリア(Luria)またはミューラー・ヒントン(Meuller-Hinton)培地のような液体増殖培地、或いはミューラー・ヒントン寒天プレートのような必要な栄養素を加えた寒天プレートのような固形増殖培地であり得る。
抗生物質相互作用アッセイは、本明細書において別途説明するが、本発明における使用に適応し得るようなアッセイに関連して限定することを意味しない。培養物は、易透化剤とも混合する。
【0013】
必要に応じて、1種以上のAmpC β-ラクタマーゼインヒビター、抗生物質または易透化剤を含まない対照を同様な条件下に調製し得る。混合を、本明細書において別途説明するように、液体増殖培地および液体担体中の易透化剤と一緒に行なう場合、アッセイすべき抗生物質の連続希釈物を液体増殖培地中で調製し得る。並行サンプルを液体担体中の易透化剤を含ませてまたは含ませないで混合する。特定の抗生物質希釈度では易透化剤の不存在下で抗菌活性を示すが、その希釈度では易透化剤の存在下には有効でない抗生物質は、その微生物がその抗生物質を不活化する因子を遊離させることを根拠として、アッセイした微生物に対してほぼ有効でないとみなす。
その後、このようにして調製した培養物を、適切な培養条件下に且つ興味ある抗生物質(1種以上)に対する微生物の相互作用を判定するのに十分な時間インキュベートする。例えば、寒天プレートを環境的に制御されたインキュベーター内で35℃にて12〜18時間インキュベートし得る。液体培地中の培養物は、実験台上で、振盪水浴中で35℃にて12〜18時間インキュベートし得る。適切な培養条件および十分な時間は、当業者にとって周知である。
説明しているように、液体または固形担体中で使用して、これら担体中に分散または溶解させ得る。例えば、緩衝溶液のような液体易透化剤の場合、緩衝溶液は、それ自体液体担体中に存在する。また、清浄剤も、本発明の方法における使用においては水性培地または増殖培地中に分散させ得る。
本発明において有用な易透化剤の例としては、微生物の細胞壁および/または細胞膜(1以上)の透過性を増大させる薬剤があり、該易透化剤は、アッセイ微生物の増殖または生殖を有意に抑制しない量または濃度で存在する。当業者にとっては周知であるように、微生物の全てが細胞壁と細胞膜の双方を有するものではない;さらにまた、細胞壁と細胞膜の双方を有する微生物は、構造的に同一である壁と膜を有しない。例えば、細菌類は、それらの細胞壁/細胞膜構造に基づき、グラム陽性またはグラム陰性として広く類別されている。本発明において有用な易透化剤は、好ましくは、細胞表面構造(細胞壁、細胞膜またはその双方)を抗生物質不活化因子が細胞から遊離するように易透化する。しかしながら、易透化剤は、微生物を死滅させないか或いは微生物の増殖を有意に抑制しないことも好ましい。
【0014】
特定の易透化剤の例としては、下記がある:
塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(Mg2Cl)、塩化カリウム(KCl)等のような無機塩類;
ベンズアルコニウムクロライド(BAC)、セチルピリジウムクロライド、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等のような第四級アンモニウム化合物;
Tris/EDTA (TE)緩衝液、NaCl/Tris/EDTA (STE)緩衝液、グルコース/Tris/EDTA (GTE)緩衝液等のような緩衝溶液;
グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、ラクトース等を含む糖溶液のような低張または高張剤;
致死投与量以下で使用するピペラシリン、アズトレオナム、アムジノシリン、セフタジジム、ポリミキシンB、ポリミキシンBナノペプチドまたはゲンタマイシン等のような抗生物質;
Blind BriteTM、MaxaquinTM、HyVee Glass CleanerTM、Life TreeTM、RaveTM、DawnTM等のような商業的に入手可能な清浄剤または界面活性剤含有薬剤;
IsocleanTM濃縮物、Sight SaversTM レンズクリーナー、 WashTM (グリーンハンドウォシュ)、Micro Lab Cleaning SolutionTM、Jet CleanTM 試験管クリーナー、LimoneneTM 等のような他の商業的に入手可能な物質;
TritonR X-100、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、アセトンと混合したSDS (5%)、SarcosylTM、アセトンと混合したSarcosylTM、TweenR (ポリソルベート) 80、アセトンと混合したTweenR 80、TweenR 85、BrijR 56、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ダンシル-ポリミキシン等のような他の界面活性剤および/または清浄剤。
【0015】
他の易透化剤の例としては、CHAPS (3-[(3-コラミドプロピル)-ジメチル-アンモニオ]-1-プロパンスルホネート電気泳動剤、≦10 mM (Sigma社、カタログ番号C-9426)、乳酸、およびヘキサメタリン酸ナトリウム(ポリリン酸ナトリウム) (キレート化剤)がある。
セクロピン類(カチオン系ペプチド類)、メリチン(カチオン系ペプチド)、バクテネシン、マゲイニン類(カエル宿主防衛ペプチド類)、タキプレシン類(カチオン系ペプチド類)、ポリフェムシン類(カチオン系ペプチド)のような天然ペプチド剤、並びに合成ペプチド類等も、好ましい易透化剤として使用し得る。
好ましい易透化剤は、Sigma- Aldrich社 (カタログ番号 T-9285)から商業的に入手し得るTris/EDTA (TE)緩衝液である。供給されるとき、TE緩衝液は、100×濃度にあり、1.0モルのTris-HCl (pH 約8.0)と0.1モルのEDTAからなる。TE緩衝液は、好ましくは、100ミリモル、200ミリモル、0.5モル、1モル、2モルまたは10モルの濃度でディスク上に乗せる。TE緩衝液は、さらに好ましくは、100×、50×、25×および10×の濃度でディスク上に乗せる。特定の易透化剤の最適濃度を決定する方法は、本明細書において別途説明する。
本明細書において別途説明するように、易透化剤は、好ましくは、微生物内からのAmpC β-ラクタマーゼ酵素の放出を、微生物の増殖を有意に抑制しないようにしながら可能にまたは容易にする。易透化剤の微生物からAmpC β-ラクタマーゼ酵素を遊離または放出させる能力は、例えば、放出されたAmpC β-ラクタマーゼ酵素の量を定量することによって判定し得る。そのような定量は、例えば、ニトロセフィンまたはセファクロールを基質として使用する分光学的加水分解アッセイによって測定し得る。また、微生物からAmpC β-ラクタマーゼ酵素を遊離または放出させる易透化剤の能力は、例えば、本明細書において別途説明している3次元試験のような抗生物質感受性試験によって判定し得る。微生物からAmpC β-ラクタマーゼ酵素を遊離または放出させる易透化剤の能力を判定する例は、後記の実施例に記載している。
【0016】
また、好ましい易透化剤は、微生物の増殖を有意に抑制しない。好ましい易透化剤のこの性質は、例えば、変化濃度の特定の易透化剤を各種の微生物のローン培養物に適用してローン培養物の増殖の抑制が生じているかどうかを判定することによって判定し得る。また、変化濃度の易透化剤の存在下での種々の微生物の増殖速度も、当該技術における周知の方法を使用して測定し得る。易透化剤の微生物の増殖を可能にする能力を判定する例は、本明細書において別途記載している実施例において説明している。
本発明のある局面においては、易透化剤は、固形支持体上で使用する。例えば、緩衝溶液は、濾紙片のような固形支持体上に含浸させ得る。その後、濾紙を乾燥させ、易透化剤を固形担体上に分散させる。
1つの実施態様においては、上記含浸ディスクを抗生物質感受性アッセイにおいて使用して、抗生物質感受性を判定する微生物を、該微生物を死滅させず或いは該微生物の増殖を有意に抑制しないで易透化する。これらの含浸ディスクの製造において使用すべき易透化剤の適切な量(濃度)を決定して、微生物を死滅させずまたは微生物の増殖を有意に抑制させることなく、微生物から抗生物質不活化因子(1種以上)を遊離させ得る。
【0017】
本発明は、AmpC β-ラクタマーゼの産生をディスク拡散法により或いは他の周知の方法により評価する検査室試験によって提供される情報量を増大させるように設計する。本発明は、微生物の特定のβ-ラクタマーゼ酵素を産生する能力を定期的に検出する手段を提供する。その情報は、感染症の治療において適切な抗感染症治療を選択するのに、微生物についての疫学的情報を提供するのに、抗生物質の研究において、さらには、遺伝学および酵素学のような他の分野の生物学研究において有用である。
好ましい実施態様においては、本発明は、細菌類または他の微生物からのAmpC β-ラクタマーゼ酵素の産生および放出を容易にするセフォキシチンのようなβ-ラクタム含有抗生物質、AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビターおよび易透化剤を含浸させた濾紙ディスクを提供することを含む。この含浸濾紙ディスクは、本明細書においては、試薬ディスクとも称する。典型的には、試薬ディスク中の易透化剤は、細菌のような微生物の外膜または外膜と細胞質膜の双方を破壊して微生物内からAmpC β-ラクタマーゼ酵素を放出させる。本発明の好ましい方法においては、前述したBD BBL Sensi-DiscTM相互作用試験ディスクのような、易透化剤を含浸させたディスクを提供する。
適切な増殖培地含有寒天プレートに、試験微生物ローン(例えば、AmpC β-ラクタマーゼの存在を判定すべき臨床サンプルまたは細菌株)を接種する。AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター(例えば、クラブラン酸塩、タゾバクタムまたはスルバクタム)および易透化剤(例えば、TE)も含有する抗生物質含浸試薬ディスク(例えば、セフォキシチンを含有する)を微生物ローン上に置く。試験微生物を与えられた試薬ディスク上にさらに接種し、この試薬ディスクを、上記寒天上に、興味ある抗生物質ディスクと近接させるが接触させないで置く。また、好ましくは、易透化剤とβ-ラクタマーゼインヒビターは、抗生物質ディスクとは異なるディスク中に存在させる。その後、寒天プレートを、当該技術において周知の方法に従ってインキュベート(維持)する。
インキュベーション後、結果を以下のように解釈する。抗生物質のAmpC β-ラクタマーゼ酵素性不活化は、試薬ディスク近辺の抑制領域の縁部を点検することのよって検出し得る。抗生物質不活化は、通常円形の抑制領域の変形をもたらす。この変形の存在は、試験微生物が、セファロスポリン類、セファマイシン類、モノバクタム類、カルバセフェム類およびペニシリン類を不活化させるAmpC β-ラクタマーゼを産生することを指示する。臨床的展望によれば、変形領域を示す抗生物質の使用は、試験微生物による感染症の治療においては禁忌であろう。
【0018】
本発明の好ましい実施態様は上述したとおりであるが、本発明をその実施態様に限定するものではないことを理解すべきである。濾紙ディスク以外の固形担体、例えば、濾紙ストリップ、ニトロセルロース片または他の担体をビヒクルとして使用して微生物と試薬との接触を行なうこともできる。また、E試験[Brown et al., J. Antimicrob. Chemother. 27:185-190 (1991)]または希釈法のようなディスク拡散試験以外の方法も、本発明の精神および範囲を逸脱することのなく、抗生物質不活化酵素の検出のために修正し得る。
さらなる実施態様においては、本発明は、抑制領域が小さいかまたはない場合に或いは研究または診断方法として微生物を試験する間接方式を含む。間接試験方式は、寒天表面に大腸菌ATCC 25922のような十分に抗生物質感受性のアッセイ株を接種することによって実施する。この後、調製した試薬ディスクに試験微生物(例えば、臨床分離物)の懸濁液を接種し、試験を、アッセイ株、例えば、大腸菌ATCC 25922が病原微生物の代りに寒天表面上で増殖すること以外は、上述したようにして実施する。本発明のこの間接方式は、試験を直接試験方式で実施したときに抑制領域が結果を得るには小さ過ぎる場合の微生物のAmpC β-ラクタマーゼ酵素の試験を可能にする。
もう1つの実施態様においては、本発明は、易透化剤含浸ディスクと、抗生物質不活化因子を遊離する微生物を検出する抗生物質感受性試験を実施するための使用説明書とを含むキットを含む。好ましい実施態様においては、上記易透化剤は、Tris/EDTA緩衝液(TE)である。
【0019】
(実施例)
実施例1
抗生物質不活化因子放出の判定
この実施例においては、大腸菌MISC 208 (広域スペクトルβ-ラクタマーゼSHV-2を産生する)を試験微生物として使用し、ニトロセフィンは、分光学的加水分解アッセイにおける基質であった。上記大腸菌株を100マイクロリットルのミューラー・ヒントン培地中に直接採取し、100マイクロリットルの易透化剤と混合した。
該加水分解アッセイにおいては、活性単位は、下記のようにして算出する:
単位 = 光学密度(OD)の変化/分×10/消衰係数
加水分解アッセイは、本質的に、O'Callaghan et al., A.A.C. 1:283-288 (1972)に記載されているようにして実施した。要するに、100μMのニトロセフィン溶液を基質として使用した。ニトロセフィンを37℃に予め温めた。加水分解アッセイは、37℃で389.5の波長にて-0.024の消衰係数によって実施した。適切なキュベットを0.9mlの予め温めたニトロセフィン基質で満たし、100μlの易透化細菌懸濁液を添加した。キュベット内容物を転回により直ちに混合し、キュベットを分光計内に置いた。吸光度を、キュベットブロックを温める循環水浴により維持した37℃の温度によって、5分までの間に5秒間隔でアッセイした。アッセイ終了時に、活性を上記の式に従って算出した。結果を下記の表に示す。


*TE = Tris/EDTA
【0020】
実施例2
抗生物質不活化因子放出の判定
実施例1の試験を、大腸菌MISC 208および基質としてのセファクロールを使用して加水分解アッセイにおいて繰返した。


【0021】
実施例3
抗生物質不活化因子放出の判定
実施例1の試験を、大腸菌V1104を使用して繰返し、各種の易透化剤を評価した。ニトロセフィンが加水分解基質であった。



抗生物質不活化因子放出の判定において使用し得る他の微生物の例としては、下記の表の微生物がある。


【0022】
実施例4
有意の増殖抑制の無いことの判定
各種の試験株を100マイクロリットルのミューラー・ヒントン培地中に直接採取し、100マイクロリットルの興味ある各易透化剤と混合した。その後、これら混合物の各々の20マイクロリットルをブランクの濾紙ディスクに適用し、各ディスクを各種試験微生物の新鮮接種寒天ローン培養物に移し、各プレートを37℃で約16時間インキュベートした。このインキュベーション後、培養物を、ディスクの周りの抑制領域の存在または不存在について点検した。抑制領域は、使用した濃度での試験においては易透化剤の不適当性を暗示していた。
この方法の変法においては、試薬を、前以って試薬を微生物と混合することなく、直接ディスクに適用し、評価は上記のとおりである。
試薬ディスクの製造
等部の生理食塩水とTris EDTA (Sigma Chemicals社)との溶液を調製した。
1.上記易透化剤溶液の20マイクロリットルアリコートを濾紙ディスク上に置き、乾燥させた。
試験の実施および解釈
1.上記易透化剤を含浸させた濾紙ディスクを、20マイクロリットルの滅菌生理食塩水により再水和させた。
2.綿棒または綿輪を使用して試験生物体を再水和させたディスク上に擦り付けた。
3.ミューラー・ヒントン寒天プレートに、0.5McFarlandの大腸菌ATCC 25922を接種した。
4.セフォキシチンディスクを寒天プレートの表面上に置いた。試験生物体を接種した再水和ディスクを、約0.5〜1.0mmの距離でセフォキシチンディスクの次に置いた。
5.寒天プレートを37℃で約16時間即ち1夜インキュベートした。
6.セフォキシチン領域の変形は陽性結果と解釈した(即ち、抗生物質不活化因子の存在を検出した);これに対し、セフォキシチン領域の変形の無いことは、陰性結果と解釈した。図1および2を参照されたい。
【0023】
実施例5
抗生物質耐性微生物の検出
この試験は、pAmpC酵素を含む疑いのあるクレブシエラ属分離株の試験におけるその使用を報告する。
方法
ミリリットル当り16マイクログラムよりも高いセフォキシチン最低抑制濃度(MIC)を有するクレブシエラ属の30種の分離株を、本発明の方法を使用して試験した。陰性結果の全てを本明細書において別途説明している3次元試験により確認し、陽性結果を等電点電気泳動法(IEF)およびインヒビター試験により確認した。濾紙ディスクを、等容量の生理食塩水で希釈した100×TEで含浸させた。このディスクを20マイクロリットルの塩水で再水和させ、試験分離株の数個のコロニーをディスク上に接種した。その後、接種ディスクを、大腸菌ATCC 25922のローンを接種したミューラー・ヒントン寒天プレート上のセフォキシチンディスクの側に置いた(ほぼ接触させて)。1夜のインキュベーション(約16時間)後、陽性試験は、試験ディスク近くのセフォキシチン抑制領域の平坦化またはへこみとして現れた。陰性試験は、変形していない領域を有していた。
結果
アッセイした30種の分離株のうち、10種は陽性であり、20種は陰性であった(3次元試験でも陰性)。陽性分離株のIEFおよびインヒビター試験は、10種の分離株のうちの9種が、7.2、7.7または9.0よりも高いpIのいずれかでもってクロキサシリンによって抑制されたβ-ラクタマーゼを産生していたことを示し、知見はAmpC産生と一致していた。これらの酵素は、クレブシエラ属が染色体AmpCを欠如しているので、プラスミド介在性であると解釈した。他の陽性分離株は、上昇したイミペネムMICを有しており、セフォキシチンも加水分解するカルバペネム加水分解性酵素を産生していた。
【0024】
材料および方法
分離株
30種の最新のクレブシエラ属分離株を、米国の病院内の患者から収集した。
相互作用
抗菌相互作用を、試験用Microscan脱水パネルを使用するNCCLS微量希釈法によって測定した。
3次元試験
セフォキシチンの酵素的不活化を、3次元法によって試験した。ミューラー・ヒントン寒天プレートの表面に大腸菌ATCC 25922の標準化接種物のローンを接種した。その後、スリットを、滅菌外科用メスの刃でプレート中に切込んだ。スリット中に、試験生物体の重質接種物を含有する懸濁液(ミリリットル当り≧109 CFU)をマイクロピペットチップから毛管作用によって分配した。その後、セフォキシチンディスクをスリットから3ミリメートルの寒天上に置いた。35℃で1夜のインキュベーション(約16時間)後、プレートを抑制領域縁部の特徴的変形によって示されるようなセフォキシチン不活化の証拠について検査した。この特徴の不存在は、セフォキシチンの有意の不活化が無いことを示していた(図3)。
AmpCディスクキット:
また、セフォキシチンの酵素的不活化を、本明細書で別途説明しているように本発明の易透化剤、TEを含浸させた濾紙ディスクを使用したディスク試験によって試験した。ディスクを20マイクロリットルの滅菌塩水で再水和させ、次いで、試験生物体の数個のコロニーを接種した。ミューラー・ヒントン寒天プレートの表面に大腸菌ATCC 25922の標準化接種物のローンを接種した。その後、接種ディスクを接種プレート上のセフォキシチンディスクの側に置いた(ほぼ接触させて)。35℃で1夜のインキュベーション(約16時間)後、陽性試験は、試験ディスク近くのセフォキシチン抑制領域の平坦化またはへこみとして現れた。陰性試験は、変形していない領域を有していた(図4)。
【0025】
等電点電気泳動法
粗超音波分解物を、平台型装置(Multiphor LKB)上のアムホリンポリアクリルアミドゲル(pH範囲 3.5〜9.5)上で分析的等電点電気泳動法(IEF)に供した。IEFゲルのインヒビターオーバーレイは、100μMのクラブラン酸(クラブラン酸塩)およびクロキサシリンによって行なった。
結果
16μg/ml以上のセフォキシチンMICを有する30種のクレブシエラ属分離株をAmpCディスク試験によって試験した。これらのうち、20種は陰性であり、10種は陽性であった。陰性分離株は、3次元試験により陰性であると確認した。
IEFおよびインヒビター試験は、10種の陽性分離株のうちの9種が、7.2、7.7または9.0よりも高いpIのいずれかでもってクロキサシリンによって抑制されたβ-ラクタマーゼを産生していたことを示した。これらの知見は、AmpC産生と一致していた。これらの酵素は、クレブシエラ属が染色体AmpCを欠如しているので、プラスミド介在性であると解釈した。他の陽性分離株は、上昇したイミペネムMIC(64μg/ml)を有しており、セフォキシチンも加水分解し得るカルバペネム加水分解性酵素を産生していた。
【0026】
実施例6
予備データ
易透化剤ディスクおよびセフォキシチン抗生物質ディスク*に添加したβ-ラクタマーゼインヒビターの使用を示す予備データ









【0027】

*株:細菌株に対する検査室コード。酵素:β-ラクタマーゼタイプ。上部の5種の酵素は、AmpCディスク試験によって陽性結果を得た酵素であるが、AmpC β-ラクタマーゼではない。Misc 94は、β-ラクタマーゼ陰性株である。ACT-1産生体は、真のAmpC産生体である。結果:P、陽性;N、陰性;WP、弱陽性;NT、試験せず;Zone、クラブラン酸塩濃度がそのように高く、アッセイ株の抑制を生じていて、試験を解釈できなかった。第2ディスクは、易透化剤+クラブラン酸塩またはタゾバクタムまたは食塩水のいずれかを含有していた。食塩水は、対照であった。
【0028】
本明細書において引用した特許および論文の各々は、参考として合体させる。冠詞“a”または“an”の使用は、1以上を包含するものとする。
上記の説明および実施例は、例示を意図し、限定として捉えるべきではない。本発明の精神および範囲内でのさらなる他の変形は可能であり、それ自体、当業者に対し容易に提示し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】セフォキシチンディスクを取巻く変形領域の拡大図を示す。
【図2】本発明の方法の間接方式を5種類の試験微生物および陰性対照生物体の試験において示す本発明の1つの実施態様を示す。このアッセイにおいては、十分に感受性の株大腸菌ATCC 25922をローン(lawn)培養物として使用して試験および対照微生物によって産生された不活化因子についてアッセイした。3枚の商業的に製造されたセフォキシチンディスク(FOX 30と標示)に試薬試験ディスクを取付けた。試験または対照生物体を、これら試薬ディスクをセフォキシチンディスクに近接して配置する前に、試薬ディスクの各々に適用した。抑制領域縁部の強いへこみが、各ディスク中の易透化剤と接触した後の試験微生物から放出された不活化因子によるセフォキシチンの不活化を指示している。陰性対照は、変形を有していない(時計の12時の方位を有する上部群の3枚のディスクの底のディスク)。弱い陽性試験は、時計の9時に最も近いディスクにおいて生じていた(抑制領域縁部の平坦化または鈍化として示されている)。この結果は、セフォキシチン不活化β-ラクタマーゼの低レベル産生体であることを事前に判定していた肺炎杆菌株によって得られた。(この株は、この特定の抗生物質不活化因子についての試験の感受性検出閾値に関連する品質管理株としての強力な候補である)。
【図3】クラブシエラ属の株によるセフォキシチンの酵素的不活化を実証する3次元試験を示す。
【図4】1枚のセフォキシチンディスクのみを示す以外は、図2において上記したような本発明の実施態様を示す。“陽性”とマークした図4の部分は、本発明の易透化剤の変形抑制領域特性を示す。“陰性”とマークした図4の部分は、易透化剤を含まない対照試薬ディスクを抗生物質ディスクに近接して配置した場合に変形のないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むことを特徴とする、微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかの判定方法:
a) β-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を、有効量の下記の各々と混合してアッセイ培養物を調製する工程:
i) β-ラクタム含有抗生物質、
ii) AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、および、
iii) 非増殖抑制性の微生物易透化量で存在する前記微生物用の易透化剤;並びに、
b) 前記アッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ前記微生物の前記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定する工程 (陽性試験がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する)。
【請求項2】
前記β-ラクタム含有抗生物質を、セファマイシン-、カルバペネム-、カルバセフェム-、モノバクタム-、ペニシリン-およびセファロスポリン-タイプの抗生物質、またはこれらの混合物からなる群から選択する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記β-ラクタマーゼインヒビターが、約5〜約250μgの量で存在する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記易透化剤を担体中に溶解または分散させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
下記の工程を含むことを特徴とする、微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかの判定方法:
a) β-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を下記と混合してアッセイ培養物を調製する工程:
i) 抗菌有効量のペニシリン-またはセファロスポリン-タイプの抗生物質、
ii) 有効量の、約5〜約50μgの量で存在するAmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、および、
iii) 非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する、担体中に溶解または分散させた前記微生物用の易透化剤;並びに、
b) 前記アッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ前記微生物の前記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定する工程 (陽性試験がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する)。
【請求項6】
前記担体が固形担体である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記固形担体がペーパーディスクである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記担体が液体である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記易透化剤が緩衝溶液である、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝溶液がTris/EDTAである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記培養物を固形増殖培地上で調製する、請求項5記載の方法。
【請求項12】
前記培養物を液体増殖培地中で調製する、請求項5記載の方法。
【請求項13】
前記担体が固形担体であり、前記培養物を固形増殖培地上で調製し、前記β-ラクタム含有抗生物質を固形支持体上で使用し、前記混合が前記培養物を前記固形担体および固形支持体上で使用した前記抗生物質と接触させることによる、請求項5記載の方法。
【請求項14】
前記β-ラクタマーゼインヒビターが、クラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタムである、請求項5記載の方法。
【請求項15】
前記β-ラクタマーゼインヒビターが、約10〜約30μgの量で存在する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
下記の工程を含むことを特徴とする、微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかの判定方法:
a) β-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を下記と混合してアッセイ培養物を調製する工程:
i) 抗菌有効量のペニシリン-またはセファロスポリン-タイプの抗生物質、
ii) 有効量の、約10〜約30μgの量で存在するクラブラン酸塩、スルバクタムまたはタゾバクタム、および、
iii) 非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する、担体中に溶解または分散させた緩衝溶液からなる前記微生物用の易透化剤、
(前記担体は固形担体であり、前記培養物を固形増殖培地上で調製し、前記β-ラクタム含有抗生物質を固形支持体上で使用し、前記混合は前記培養物を前記固形担体および固形支持体上で使用した前記抗生物質と接触させることによる);並びに、
b) 前記アッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ前記微生物の前記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定する工程 (陽性試験がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する)。
【請求項17】
前記固形担体がペーパーディスクである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ペーパーディスクが前記固形支持体も構成する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記緩衝溶液がTris/EDTAである、請求項16記載の方法。
【請求項20】
下記の工程を含むことを特徴とする、微生物がAmpC β-ラクタマーゼを産生するかどうかの判定方法:
a) β-ラクタム含有抗生物質を不活化するβ-ラクタマーゼを産生する疑いのある微生物の培養物を、有効量の下記の各々と混合する工程:
i) β-ラクタム含有抗生物質、
ii) AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、
iii) 非増殖抑制性の微生物易透化量で存在してアッセイ培養物を生成させる前記微生物用の易透化剤、および、
iv) 前記β-ラクタム含有抗生物質に対して既知の感受性を有する微生物株;並びに、
b) 前記アッセイ培養物を、適切な培養条件下に且つ前記微生物株の前記微生物、前記AmpC β-ラクタマーゼ耐性インヒビターおよび抗菌化合物との相互作用を判定するのに十分な時間維持し、それによってAmpC β-ラクタマーゼの存在を判定する工程 (陽性試験がAmpC β-ラクタマーゼの存在を指示する)。
【請求項21】
下記の工程を含み、それによってアッセイ培養物中の有意の増殖がβ-ラクタム含有抗生物質に対する微生物の耐性を指示することを特徴とする、微生物のβ-ラクタム含有抗生物質に対する抗生物質感受性の判定方法:
a) 感受性を判定すべき前記微生物を、感受性を判定すべき前記抗生物質、AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、および非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する前記微生物用の易透化剤と混合してアッセイ培養物を調製する工程;
b) 前記アッセイ培養物を適切な条件下に維持して前記微生物の感受性を判定する工程;および、
c) 前記アッセイ培養物中の増殖を評価する工程。
【請求項22】
下記の工程を含み、それによってアッセイ培養物中の有意の増殖がβ-ラクタム含有抗生物質に対する微生物の耐性を指示することを特徴とする、微生物のβ-ラクタム含有抗生物質に対する抗生物質感受性の判定方法:
a) 感受性を判定すべき前記微生物を、感受性を判定すべき前記抗生物質、AmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビター、非増殖抑制性の微生物易透化有効量で存在する前記微生物用の易透化剤、および前記β-ラクタム含有抗生物質に対して既知の感受性を有する微生物株と混合してアッセイ培養物を調製する工程;
b) 前記アッセイ培養物を適切な条件下に維持して前記微生物の感受性を判定する工程;および、
c) 前記アッセイ培養物中の増殖を評価する工程。
【請求項23】
易透化剤含浸ディスクおよび請求項1、5、16または20のいずれか1項記載の方法の実施についての使用説明書を含む、AmpC β-ラクタマーゼが微生物によって産生されるかどうかの判定用キット。
【請求項24】
易透化剤およびAmpC β-ラクタマーゼが耐性であるβ-ラクタマーゼインヒビターを含浸させたディスク、および請求項1、5、16または20のいずれか1項記載の方法の実施についての使用説明書を含む、AmpC β-ラクタマーゼが微生物によって産生されるかどうかの判定用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−513016(P2008−513016A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532445(P2007−532445)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/032857
【国際公開番号】WO2006/031936
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(504347348)クレイトン ユニヴァーシティー (1)
【Fターム(参考)】