説明

抗癌剤及び癌予防食品

【課題】炭素繊維製コイルを有効に活用して、癌を抑制し、或いは癌を予防するようにした抗癌剤及び癌予防食品を提供する。
【解決手段】抗癌剤は、カーボンマイクロコイルをカプセルに充填して構成されている。癌患者が当該抗癌剤を服用することで、癌患者の体内にある癌の増殖が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤及び癌予防食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、癌による死亡者数が急増する傾向にあるが、癌による死亡は、発癌性合成食品添加物、自動車等の排気ガス中に含有される発癌性物質、ダイオキシン、飲料水に含有される発癌性成分等様々の原因に起因している。また、人間は、加齢とともに、上述した原因を蓄積するために、高齢者の癌罹患率が増大する。
【0003】
これに対する対策としては、現在、種々の癌治療方法が提案されている。例えば、当該癌治療方法の1つとして、抗癌剤による薬物療法が挙げられる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−290956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような薬物療法による場合、抗癌剤に対しては、正常細胞に対しては悪影響を及ぼさないようにして、癌細胞を選択的に殺す、或いは当該癌細胞の増殖を妨げるように作用することが要請される。
【0006】
しかしながら、現実には、抗癌剤が、その人体に対する副作用のために、正常細胞に悪影響を与えることが多く、癌による死亡率が年々増加の一途をたどっている。このため、新たな癌治療剤の開発が切望されている。
【0007】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、炭素繊維製コイルを有効に活用して、癌を抑制し或いは癌を予防するようにした抗癌剤及び癌予防食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決に先立ち、本発明者等は、炭素材料の優れた生体親和性に着目して、低価額で簡便な方法で適用でき、生体に優しく、副作用の無い全く新しい抗癌剤について種々研究を重ねた。このような研究過程において、炭素繊維製コイル、例えば、カーボンマイクロコイルも炭素を主成分とすることから、このカーボンマイクロコイルも優れた生体親和性を発揮するであろうとの観点にたち、当該カーボンマイクロコイルの特性について種々検討を加えた結果、本発明に至ったものである。
【0009】
このような前提のもと、上記課題の解決にあたり、本発明に係る抗癌剤は、請求項1の記載によれば、炭素繊維製コイルを含有するものである。
【0010】
これによれば、炭素繊維製コイルが、優れた生体親和性を有する炭素材料からなることから、癌患者が、炭素繊維製コイルを含有する抗癌剤を服用すれば、当該炭素繊維製コイルが、癌患者の体内に存在する癌との間で、電磁的作用を容易に発揮し得る状態におかれて、当該電磁作用のもとに当該癌の増殖を良好に抑制し得る。
【0011】
その結果、癌患者は、当該抗癌剤の服用でもって、増殖を抑制された癌と共に良好に共生し得るのは勿論のこと、癌の抑制に起因して他の臓器への癌の転移をも良好に防止することができる。なお、抗癌剤における炭素繊維製コイルの含有量は、癌患者の症状に合わせて決めればよい。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の抗癌剤において、炭素繊維製コイルをカプセルに詰めてなることを特徴とする。
【0013】
これによれば、炭素繊維製コイルが粉末状の場合にそのままでは服用しにくくても、当該炭素繊維製コイルをカプセルに詰めることで、癌患者にとって、非常に服用し易くなる。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0014】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1に記載の抗癌剤において、炭素繊維製コイルに加え、炭水化物その他の糖質物質をも含有することを特徴とする。
【0015】
これによれば、炭素繊維製コイルが、炭水化物その他の糖質物質に対し、非常に分散し易い特性を有することから、当該抗癌剤を服用することで、炭素繊維製コイルは、癌患者の体内のどの位置の癌細胞に対しても、上述した電磁波作用を容易に及ぼし易くなる。その結果、請求項1に記載の作用効果がより一層向上され得る。
【0016】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載の抗癌剤において、炭素繊維製コイル及び上記糖質物質をカプセルに詰めてなることを特徴とする。
【0017】
これにより、糖質物質を含有していても炭素繊維製コイルが粉末状の場合にそのままでは服用しにくいものの、当該炭素繊維製コイル及び上記糖質物質をカプセルに詰めることで、癌患者にとって、非常に服用し易くなる。その結果、請求項3に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0018】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の抗癌剤において、炭素繊維製コイルがカーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは当該カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルの混合コイルであることを特徴とする。
【0019】
これによれば、カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルは、共に、同様の特性を発揮することから、カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは双方を含有する抗癌剤であっても、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成することができる。
【0020】
また、本発明に係る癌予防食品は、請求項6の記載によれば、炭素繊維製コイルに加え、炭水化物その他の糖質物質をも含有する。
【0021】
これによれば、炭素繊維製コイルが、炭水化物その他の糖質物質に対し、非常に分散し易い特性を有することから、癌患者が当該癌予防食品を食べれば、体内における他の臓器への転移を良好に予防することができる。また、癌にかかっていない患者は、上述と同様に当該癌予防食品を食べることで、体内における癌の発生を未然に予防することができる。なお、当該癌予防食品における炭素繊維製コイルの含有量は、当該癌予防食品を食べる人の症状を考慮して決定すればよい。
【0022】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項6に記載の癌予防食品において、炭素繊維製コイルがカーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは当該カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルの混合コイルであることを特徴とする。
【0023】
これによれば、カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルは、共に、同様の特性を発揮することから、カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは双方を含有する癌予防食品であっても、請求項6に記載の発明と同様の作用効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態における実施例1の女性患者が大腸癌の手術を受けてから1年程経過したときに当該女性患者にCT検査を行った際、癌の転移のあることを示す肝臓を撮影した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態を説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る抗癌剤の第1実施形態について説明する。当該癌治療剤は、カーボンマイクロコイルをカプセルに充填してなるもので、この抗癌剤は、大腸癌、肝臓癌、前立腺癌その他の各種の癌に対し適用可能である。なお、上記カプセルとしては、市販のゼラチンからなる日本薬局方カプセルが採用されている。
【0026】
上記カーボンマイクロコイルは、気相成長炭素繊維の1種からなるもので、このカーボンマイクロコイルは、炭化水素の触媒活性化熱分解法によって製造される。当該カーボンマイクロコイルは、気相成長炭素繊維をコイル状に巻回してなるもので、このカーボンマイクロコイルは、例えば、0.1(μm)〜90(μm)の範囲内の直径(コイル直径)及び数十(nm)〜数十(mm)の範囲内の長さ(コイル長)を有する。
【0027】
カーボンマイクロコイルの化学成分は、気相合成過程を経て得られるもので、特別な熱処理等が施されていないカーボンマイクロコイルは、98.5(wt%)〜99(wt%)の範囲内の炭素成分及び1(wt%)〜1.5(wt%)の範囲内の水素成分で構成されている。
【0028】
このように構成した当該カーボンマイクロコイルは、次のような種々の特性を有する。
(1)当該カーボンマイクロコイルは上述のような形状寸法及び成分構成を有することから、カーボンマイクロコイルは非常に小さくかつ弾力性に富む。例えば、カーボンマイクロコイルを10倍〜15倍のコイル長に伸長しても、当該カーボンマイクロコイルは、元のコイル長に戻るという非常に高い弾力性を示す。
(2)当該カーボンマイクロコイルは、一定のコイル直径とピッチ(コイルピッチ)でもって規則的に巻回されている。このため、電磁波が外部から当該カーボンマイクロコイルに入射すると、当該電磁波は波動であること及び当該カーボンマイクロコイルはソレノイド形状を有することから、このソレノイド形状のカーボンマイクロコイルを通る磁束が変化する。このため、当該カーボンマイクロコイルには、起電力が、ファラデーの電磁誘導の法則に基づき誘導される。その結果、コイル電流が、上記誘導起電力に基づきソレノイド形状のカーボンマイクロコイルに流れて、当該カーボンマイクロコイルの軸方向に磁界を発生させる。なお、通常の住環境においては、上述の電磁波による電磁界の強度は、携帯電話から出射される電磁波と同様に微弱であるから、上述のようにカーボンマイクロコイルの軸方向に発生する磁界の強度も微弱であると推測される。
(3)カーボンマイクロコイルを正常な表皮細胞(Pam 212)に添加すると、表皮細胞が、元の表皮細胞の約160(%)に増加し、また、肌の弾力性を保つコラーゲン繊維束は、元のコラーゲン繊維束の115(%)に増加する。
【0029】
このようなカーボンマイクロコイルの正常な細胞に対する増殖効果が、当該カーボンマイクロコイルのどのような効果に起因するかは、現在のところ十分には解明されていないが、電磁波が生体細胞に大きな影響を及ぼすことは既に知られているところである。
【0030】
本発明者等は、カーボンマイクロコイルと子宮頚部の癌細胞との関係を調べるために、子宮頚部の正常細胞間に含まれる癌細胞をカーボンマイクロコイルの添加なくして7日間培養するとともに、別途、子宮頚部の正常細胞間に含まれる癌細胞にカーボンマイクロコイルを0.01(wt%)添加して7日間培養してみた。そして、子宮頚部の癌細胞にカーボンマイクロコイルを添加しない場合とした場合について当該子宮頚部の癌細胞の変化を対比してみた。
【0031】
これによれば、カーボンマイクロコイルを添加しない場合には、子宮頚部の癌細胞の数が直線的に増加し、7日後には、最初の癌細胞の数の7倍にまで増加することが分かった。これに対し、上述のようにカーボンマイクロコイルを子宮頚部の癌細胞に添加した場合において、癌細胞の数は、最初のうち、多少増加するものの3日後には殆ど増加せず、7日後には、子宮頚部の癌細胞にカーボンマイクロコイルを添加しない場合の1/5〜1/7程度にとどまることが分かった。また、カーボンマイクロコイルは正常細胞には何ら影響しないことも分かった。このことは、子宮頚部の癌細胞の増殖は、当該癌細胞に対するカーボンマイクロコイルの添加によって、正常細胞に影響を与えることなく、著しく抑制されることを意味する。
【0032】
なお、火傷によるケロイドは、表皮細胞が一方向へ異常な増殖及び発達したものであるが、当該表皮細胞にカーボンマイクロコイルを添加することで、当該表皮細胞の増殖が、上述のように子宮頚部の癌細胞にカーボンマイクロコイルを添加した場合と同様に、著しく抑制されることも分かった。
【0033】
以上によれば、カーボンマイクロコイルは、正常細胞には何ら影響を与えないが、異常細胞である癌細胞の増殖を抑制するという特徴を有する。
(4)カーボンマイクロコイルは、上述のようなコイル直径及びコイル長を有するものであることから、人が服用しても、当該カーボンマイクロコイルは人体内には全く吸収されずそのまま排泄される。従って、生体に対して異物である炭素質を有するカーボンマイクロコイルは、長期間、生体内にとどまるということはない。
【0034】
以上のように構成した本第1実施形態においては、当該抗癌剤の用法は、この抗癌剤を癌患者に服用させるだけである。
【0035】
これによれば、カーボンマイクロコイルを、従来の薬物療法のように癌細胞と直接接触させて当該癌細胞に作用させるのではなく、単に、癌患者に服用させるだけで、癌の抑制による治療や癌の転移に対する予防を行うことができる。
【0036】
即ち、従来の薬物療法によれば、薬剤が、患者の服用後体内に吸収された後、癌細胞に直接作用することで、初めて、当該薬剤の効果が現れる。これに対し、本第1実施形態にいう抗癌剤は、カーボンマイクロコイルをカプセルに充填したものであって、上記薬剤療法とは異なり、単に、癌患者に服用させるのみで、癌の抑制や転移の予防に優れた効果を発揮する。このことは、本第1実施形態にいう抗癌剤を患者に投与するという癌治療法は、従来の癌治療法とは、全く異なる新しい方法であることを意味する。
【0037】
さらに詳述すれば、従来の癌治療法は、薬物療法を含め、癌細胞を徹底的に取り除いたり或いは撲滅することを主眼としており、その治療費は、一般的には、非常に高価であり、治療による副作用も大きく、殆どの癌治療において他の臓器への転移が起こる。その結果、経済的にも、肉体的にも、また精神的にも、多大の苦痛が患者に対し与えられてしまう。
【0038】
これに対し、本第1実施形態にいう抗癌剤は、その投与により、患者に現在存在する癌細胞をそれ以上大きくしないようにして、癌の増殖を停止させるという画期的な効果を発揮するものである。従って、他の臓器への転移も全く起こらない。また、カーボンマイクロコイルは、基本的に純粋な炭素質からなるため、副作用をもたらすということも全くない。
【0039】
このことは、本第1実施形態にいう抗癌剤は、その投与により、癌細胞を徹底的に撲滅させるのではなく、患者を現在存在する癌とともに共生させることを主眼とするものであることを意味する。
【0040】
これにより、本第1実施形態にいう抗癌剤を患者に服用させるという極めて簡単な方法でもって、癌の抑制による治療や癌の転移の予防を極めて安価に行うことができる。よって、国民に対し、健康と健全な福祉を的確に提供し、かつ、健康保険の医療費の高騰をも回避し得るという多大な期待を与えることができる。
【0041】
ここで、カーボンマイクロコイルの成分は、少量の水素の他は、純粋な炭素成分である。従って、当該カーボンマイクロコイルは、コイル形状となっている点を除き、医薬品として認められている医用炭素粉末と同じである。このような構成のカーボンマイクロコイルを、単に微量、服用することで、全ての癌の増殖が完全に抑制されるとともに、癌の他の臓器への転移も完全に抑制することができる。
【0042】
また、抗癌剤において、カーボンマイクロコイルはカプセルに充填されていることから、カーボンマイクロコイルが粉末状であるにもかかわらず、患者は、当該抗癌剤を容易に服用することができる。
【0043】
また、カーボンマイクロコイルは、上述したごとく、例えば、0.1(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル直径及び数十(nm)〜数十(mm)の範囲内のコイル長を有するものである。従って、患者が当該カーボンマイクロコイルを服用しても、当該カーボンマイクロコイルは患者の体内には全く吸収されずそのまま排泄される。従って、生体に対して異物である炭素質を有するカーボンマイクロコイルは、長期間、患者の体内にとどまるということはない。
【0044】
また、上述のように、本第1実施形態の抗癌剤は、癌を抑制するという効能を発揮することから、癌治療剤として用いてもよい。また、上述のように、本第1実施形態の抗癌剤は、癌の転移を予防するという効能を発揮することから、癌予防剤として用いてもよい。
【0045】
ちなみに、カーボンマイクロコイルを含有する抗癌剤の効能の例について比較例と共に説明する。
実施例1:
大腸癌の末期の女性患者(満85歳)は、大腸癌を摘出する手術をした。但し、この時点においては、当該女性患者の肝臓への転移はなかった。
【0046】
しかし、当該女性患者がおよそ1年後に検査を受けたところ、癌が当該女性患者の肝臓に転移していることが発見された(図1参照)。この女性患者の癌の転移部位は、肝臓のうち動脈と脊髄とに近い位置にあったため、当該女性患者に対しあらたな手術を施すことは困難であった。しかも、いわゆる医師の処方による癌治療薬の投与も困難であるという診断が当該女性患者に対しなされた。また、この診断において、当該女性患者は、医学的な常識からして、2ヶ月〜3ヶ月程度の余命であるとの宣告を受け、かつ、ケアハウスへの入居を勧められた。
【0047】
そこで、この女性患者に対し、100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、15(mg)〜20(mg)の範囲内の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0048】
これによれば、当該抗癌剤の服用開始から1ヶ月後及び3ヶ月後における癌の各大きさは、当該抗癌剤の服用開始前の大きさと殆ど同じであった。さらに、当該抗癌剤の投与後、6ヶ月及び1年後の癌の各大きさも、全く増大せず、癌の増殖は完全に抑制されていた。しかも、当該抗癌剤の投与後、6ヶ月後、9ヶ月後及び1年後において、当該女性患者の肝臓内の他の部位への癌の転移は認められなかったのは勿論のこと、当該女性患者の他の臓器に対する癌の転移も全く認められなかった。なお、上記カーボンマイクロコイルは、少量の水素を含む合成したままのカーボンマイクロコイルである。
実施例2:
ケアハウスに入居している直腸癌の患者(63歳)は、余命4ヶ月〜6ヶ月と宣告されていた。この直腸癌の患者(63歳)に対し、実施例1と同様に、100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、15(mg)〜20(mg)の範囲内の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0049】
これによれば、直腸癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始後、1週間後には体力を回復した。そして、患者(63歳)の直腸癌の各大きさは、当該抗癌剤の服用開始から1ヶ月後及び3ヶ月後において、共に、当該抗癌剤の服用開始前と全く同じであり、直腸癌の増殖が著しく抑制されていた。そして、当該抗癌剤の服用開始後6ヶ月及び1年経過しても、直腸癌の増殖は完全に抑制されていた。しかも、直腸癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始から6ヶ月後及び1年後において、それぞれ、検査を受けたが、この患者の他の臓器への癌の転移は全く認められなかった。
実施例3:
ケアハウスに入居中の末期の膵臓癌の患者(73歳)は、2ヶ月〜3ヶ月の余命と宣告されていた。この膵臓癌の患者に対し、実施例1と同様に、100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、15(mg)〜20(mg)の範囲内の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0050】
これによれば、膵臓癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始後1週間経過した頃から体力を回復した。また、膵臓癌の患者の膵臓癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始から1ヶ月経過後及び3ヶ月経過後においても、当該抗癌剤の服用前と全く同じであった。さらに、膵臓癌の患者の膵臓癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始後6ヶ月経過後及び1年経過後においても、殆ど変化せず、膵臓癌の増殖は完全に抑制されていた。また、膵臓癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始後6ヶ月経過後及び1年経過後においてそれぞれ検査を受けたが、膵臓癌の患者の他の臓器に対する癌の転移は全く認められなかった。
実施例4:
余命5ヶ月〜7ヶ月と診断されてケアハウスに入居中の末期の乳癌の患者(58歳)に対し、実施例1と同様に、100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、15(mg)〜20(mg)の範囲内の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0051】
これによれば、乳癌の患者は、当該抗癌剤の服用後2週間の経過前後から体力を回復した。また、乳癌の患者の乳癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始から1ヶ月後及び3ヶ月後において、共に、当該抗癌剤の服用開始前と全く同じであった。さらに、乳癌の患者の乳癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始から6ヶ月の経過後及び1年の経過後のいずれにおいても、全く変化せず、乳癌の増殖は、完全に抑制されていた。また、乳癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始から6ヶ月の経過後及び1年の経過後において、それぞれ検査を受けた。しかし、乳癌の患者の他の臓器への癌の転移は全く認められなかった。
実施例5:
実施例1に用いた少量の水素を含む合成したままのカーボンマイクロコイルに代えて、1500(℃)で5(時間)の間アルゴンガス(Arガス)中で熱処理したカーボンマイクロコイルであって水素を含まないカーボンマイクロコイル(100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有する)を、15(mg)〜20(mg)の範囲内の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、この抗癌剤を、末期の肝臓癌の患者に対して、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0052】
これによれば、末期の肝臓癌の患者の肝臓癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始から1ヶ月後及び3ヶ月後において、共に、当該抗癌剤の服用開始前と全く同じであった。さらに、末期の肝臓癌の患者の肝臓癌の大きさは、当該抗癌剤の服用開始から6ヶ月の経過後及び1年の経過後のいずれにおいても、全く変化せず、肝臓癌の増殖は、完全に抑制されていた。また、末期の肝臓癌の患者は、当該抗癌剤の服用開始から6ヶ月の経過後、1年の経過後及び2年の経過後において、それぞれ検査を受けた。しかし、末期の肝臓癌の患者の他の臓器への癌の転移は全く認められなかった。
実施例6:
末期の肝臓癌の男性に対し、100(μm)〜300(μm)範囲内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、15(mg/カプセル)の量にて、カプセルに充填したものを抗癌剤として準備し、2.5年に亘り、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試み、その後、カプセルに充填するカーボンマイクロコイルの量を40(mg/カプセル)に増量した抗癌剤を、1年間に亘り、毎日3回ずつ、食後に、服用による投与を試みた。
【0053】
これによれば、肝臓癌の男性の症状に対する検査結果は、次の表1の通りである。なお、当該肝臓癌の男性の症状に対する検査は、いわゆる腫瘍マーカー綜合検診法(TMCA法)によったものである。
【0054】
【表1】

但し、表1において、投与期間の経過とは、肝臓癌の男性患者に対する当該抗癌剤の服用による投与開始後の期間の経過をいう。CEA(ng/ml)及びCA19-9(U/ml)は、それぞれ、TMCA法において用いられる腫瘍マーカーを示す。
【0055】
これら腫瘍マーカーは、体内における癌の発生に伴い血液や尿中に増大する健康時には無い特殊な物質(蛋白質、酸素やホルモン等)の濃度を表す。一般的には、CEA(ng/ml)は、2.5以下のとき基準値の範囲とされ、2.5より高いときには、異常値(高値)とされる。また、CA19-9(U/ml)は、37以下のとき基準値の範囲とされ、37よりも高いときには、異常値(高値)とされる。
【0056】
表1によれば、カーボンマイクロコイルの1回当たりの投与量が、15(mg/カプセル)の場合には、両腫瘍マーカーは、投与期間の経過に伴い、次第に高くなる傾向にあり、肝臓癌が、投与期間の経過に伴い、次第に大きくなる傾向にあった。但し、他の臓器の転移は認められなかった。
【0057】
しかしながら、カーボンマイクロコイルの1回当たりの投与量が、40(mg/カプセル)に増量された後は、両腫瘍マーカーのうち、CEA(ng/ml)は、30から3.0と大きく低下し、一方、CA19-9(U/ml)は、40から高くなることなくそのままの値を維持していた。なお、当然のことながら、他の臓器の転移も認められなかった。
【0058】
以上によれば、上記肝臓癌の患者に対しては、カーボンマイクロコイルの1回当たりの投与量を、40(mg/カプセル)(1日当たり、120(mg))とすることで、肝臓癌の増殖を完全に抑制することができ、かつ、他の臓器への転移も予防することができることが分かった。
比較例:
実施例1と殆ど同程度の末期の肝臓癌の男性患者(79歳)は、4ヶ月〜6ヶ月程度の余命であると宣告されていた。この男性患者は薬物療法により薬剤を投与されていたが、当該男性患者は、薬剤による著しい副作用のために、4ヶ月後に死亡した。
【0059】
以上述べた上記各実施例を上記比較例と対比してみると、カーボンマイクロコイルは、いわゆる薬物療法による薬剤とは異なり、副作用もなく、癌に対する抑制による治療や癌の予防に有効に作用することが分かる。
【0060】
また、カーボンマイクロコイルの癌抑制効果が、カーボンマイクロコイルのどのような効果やメカニズムに起因するものであるかは、現在のところ明らかではない。しかしながら、カーボンマイクロコイルは、住環境において飛び交う電磁波に基づき、電磁誘導の法則に従い起電力を交流的に誘導する。そして、このカーボンマイクロコイルは、当該誘導交流起電力に基づき微少な誘導交流電流を発生することで、その軸方向に微弱な交流磁界を発生する。
【0061】
しかして、このように発生する交流磁界が、マクスウェルの電磁現象論に従い電界を交流的に発生させることで、このような電磁界が、電磁波として、癌細胞から出射される固有の電磁波の波動を抑制し、その結果、癌の増殖が抑制されるものと推測される。また、カーボンマイクロコイルの発生する電磁界は、人体の免疫系に作用して人体の自然治癒力を高めることで、癌細胞の増殖を抑制するということも推測される。
【0062】
なお、上記第1実施形態において、当該抗癌剤のカプセルに代えて、オブラートでカーボンマイクロコイルを包んで服用したり、或いは、当該カーボンマイクロコイルを、食べ物(ご飯)のふりかけとしたりみそ汁やおかずに混ぜて食べるようにしてもよい。換言すれば、当該抗癌剤を食料に添加することで、服用の代わりとしてもよい。これによっても、上記第1実施形態における抗癌剤の投与と同様の効果を達成することができる。
【0063】
また、上記第1実施形態において、当該抗癌剤の服用量としては、患者の症状を考慮して、1日あたり、5(mg)〜50(mg)の範囲内で適宜増減すればよい。
【0064】
また、当該抗癌剤の服用の仕方としては、上記各実施例に述べた例に限ることなく、当該抗癌剤を、1日1回朝食後、1日3回各食後、或いは食間に服用することで、必要な服用量を確保するようにしてもよい。
【0065】
また、上記第1実施形態では、抗癌剤が、カーボンマイクロコイルをカプセルに充填して構成されているが、これに代えて、適量のカーボンマイクロコイルのみで構成した抗癌剤であってもよい。
【0066】
ここで、カーボンマイクロコイルは、純粋な炭素質からなるため、カーボンマイクロコイルは、室温において他の成分とは殆ど反応しない。このため、カーボンマイクロコイルと薬剤や物質との飲み合わせ障害が起きることはない。例えば、糖質物質、ビタミン類、ジュース類等の他、どのような添加物をカーボンマイクロコイルに添加しても構わない。
【0067】
また、上記第1実施形態では、抗癌剤が、カーボンマイクロコイルのみをカプセルに充填して構成されているが、これに代えて、当該抗癌剤は、カーボンマイクロコイルに加え、炭水化物等の糖質物質をカプセルに充填して構成した抗癌剤であってもよい。
【0068】
また、本発明者等の研究によって、カーボンマイクロコイルが、セルロース等の炭水化物その他の糖質物質に対し、非常に分散し易い特性を有することが発見された。このため、抗癌剤を、上述のごとく、カーボンマイクロコイル及び炭水化物等の糖質物質をカプセルに充填して構成すれば、当該抗癌剤を服用することで、カーボンマイクロコイルは、糖質物質に付随して体内を移動し易くなる。従って、カーボンマイクロコイルは、体内のどの位置の癌細胞に対しても、上述した電磁波作用を容易に及ぼし易くなる。その結果、上記第1実施形態にて述べた抗癌剤の作用効果がより一層向上され得る。
【0069】
ここで、カーボンマイクロコイル及び炭水化物等の糖質物質をカプセルではなくオブラートにより包んで服用するようにしても、カーボンマイクロコイル及び炭水化物等の糖質物質をカプセルに充填した抗癌剤と同様の効果を達成することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明すると、この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた抗癌剤に代えて、癌予防食品が本発明として提案されている。
【0070】
当該癌予防食品は、カーボンマイクロコイルと、炭水化物その他の糖質物質を含有して構成されている。
【0071】
このように構成した本第2実施形態によれば、カーボンマイクロコイルが、上述したごとく、炭水化物その他の糖質物質に対し、非常に分散し易い特性を有することから、癌患者が当該癌予防食品を上記第1実施形態にて述べた抗癌剤の服用と同様の方法で食べれば、体内における他の臓器への転移を良好に予防することができる。また、癌にかかっていない患者は、上述と同様に当該癌予防食品を食べることで、体内における癌の発生を未然に予防することができる。なお、当該癌予防食品におけるカーボンマイクロコイルの含有量は、上記第1実施形態にて述べた1日1回当たりの量を考慮して決定すればよい。
【0072】
また、本第2実施形態において、上述した糖質物質としては、例えば、アガロースのような多糖類、ラクトースのような二糖類、及びガラクトースのような単糖類が挙げられる。このような糖質物質をカーボンマイクロコイルと共に含有する癌予防食品としては、糖質物質が色々な食品素材への分散性を向上させることから、カプセル型のサプリメント、ヨーグルトへの添加食品、寒天ゼリーへの添加食品というような食品形態を採用してもよい。
【0073】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイルは、あらゆる種類とあらゆる大きさのカーボンマイクロコイルであってもよいが、基本的には、カーボンマイクロコイルの形状が、3次元の螺旋構造(ソレノイド状コイル構造)であれば、以下に述べるようなどのようなカーボンマイクロコイルであってもよい。
【0074】
まず、カーボンマイクロコイルの寸法において、カーボンマイクロコイルを構成する炭素繊維の直径は、数十nm〜数μmの範囲内にあり、カーボンマイクロコイルのコイル直径は、数十nm〜数百μmの範囲内にあり、また、カーボンマイクロコイルのコイル長は、数十nm〜数十mmの範囲内にあればよい。但し、カーボンマイクロコイルとしては、数百nm〜数十μmの範囲内のコイル直径を有し、かつ、数十μm〜数mmのコイル長を有する寸法のカーボンマイクロコイルが好ましい。
【0075】
また、カーボンマイクロコイルの種類としては、次のようなカーボンマイクロコイルが挙げられる。
【0076】
・as-grown型のカーボンマイクロコイル(合成して得られたままのカーボンマイクロコイルで特別な処理が施されていないもの)
・高温熱処理を施してグラファイト化されたカーボンマイクロコイル
・高温拡散処理法或いは化学気相成長法(CVD法)により、種々の金属やセラミックスを表面にコーティングしたカーボンマイクロコイル
・汎用のPAN系或いはピッチ系の炭素繊維から作られた3次元形状の螺旋構造からなる炭素繊維製コイル
但し、カーボンマイクロコイルの種類としては、as-grown型のカーボンマイクロコイルが好ましい。
【0077】
また、カーボンマイクロコイルの形状としては、以下の形状が挙げられる。
【0078】
・デオキシリボ核酸(DNA)と同様の二重へリックス構造を有する二重巻きカーボンマイクロコイル
・タンパク質と同様のα−へリックス(シングルへリックス)構造を有する一重巻きカーボンマイクロコイル
・炭素繊維が捻れた形状のツイスト型カーボンマイクロコイル
但し、カーボンマイクロコイルの形状としては、二重巻きカーボンマイクロコイルの形状が好ましい。
z(2)また、本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイルに代えて、カーボンナノコイルを用いて抗癌剤を構成してもよく、また、カーボンマイクロコイルにカーボンナノコイルを混ぜた混合コイルを用いて抗癌剤を構成してもよい。なお、カーボンマイクロコイルのコイル直径がμmの単位のオーダーであるのに対し、カーボンナノコイルは、nmの単位のオーダーのコイル直径を有する点を除き、カーボンマイクロコイルと実質的に同じである。
(3)抗癌剤或いは癌予防食品におけるカーボンマイクロコイルの含有量は、上記各実施形態にて述べた量に限ることなく、癌患者の症状に合わせて、決定すればよい。
(4)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べたカーボンマイクロコイルに限ることなく、当該カーボンマイクロコイルに代えて、一般的には、炭素繊維製コイルであればよい。なお、この炭素繊維製コイルは、カーボンマイクロコイルと同様に、炭水化物その他の糖質物質に対し、非常に分散し易い特性を有することに変わりはない。
(5)本発明に係る抗癌剤は、上記各実施形態にて述べた癌に限ることなく、肺癌その他の各種の癌に対し、適用して実施してもよい。
(6)本発明の実施にあたり、上述したごとく、カーボンマイクロコイル、或いはこのカーボンマイクロコイル及び糖質物質を、カプセルに充填するのではなく、カーボンマイクロコイル、或いはこのカーボンマイクロコイル及び糖質物質を、カプセルに少なくとも詰めて、抗癌剤を構成するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維製コイルを含有する抗癌剤。
【請求項2】
前記炭素繊維製コイルをカプセルに詰めてなることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項3】
前記炭素繊維製コイルに加え、炭水化物その他の糖質物質をも含有することを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項4】
前記炭素繊維製コイル及び前記糖質物質をカプセルに詰めてなることを特徴とする請求項3に記載の抗癌剤。
【請求項5】
前記炭素繊維製コイルがカーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは当該カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルの混合コイルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の抗癌剤。
【請求項6】
炭素繊維製コイルに加え、炭水化物その他の糖質物質をも含有する癌予防食品。
【請求項7】
前記炭素繊維製コイルがカーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルのいずれか或いは当該カーボンマイクロコイル及びカーボンナノコイルの混合コイルであることを特徴とする請求項6に記載の癌予防食品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−241709(P2010−241709A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90151(P2009−90151)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(596056335)
【出願人】(509095455)
【Fターム(参考)】