説明

抗腫瘍剤

【課題】アセチルフコイダンの新規用途を提供すること。
【解決手段】アセチルフコイダンまたは前記アセチルフコイダンを硫酸化することにより得られる硫酸化アセチルフコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤。硫酸化はアセチルフコイダンをDMFに分散させ、三酸化イオウ−トリメチルアミンを作用させてえられる。また、原料のアセチルフコイダンはオキナワモズクを塩酸処理後、水酸化ナトリウムで中和後、エタノール抽出し、アンバーライトIR−120で陽イオン交換、中和、透析、凍結乾燥してNa型の精製アセチルフコイダンを得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルフコイダンまたは硫酸化アセチルフコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フコイダンは、モズク、コンブ、ワカメ、ヒジキ等に多く含まれている多糖類の1種である。このフコイダンはL−フコースに加え、D−ガラクトース、D−キシロースおよびD−グルクロン酸を構成糖とし、更にエステル結合した硫酸基を持つ硫酸化多糖の総称である。
【0003】
これまでフコイダンには、抗コレステロ−ル作用、抗血液凝固作用等の効果が見出されており、健康補助食品の素材としてすでに利用開発され、市場で販売されている。
【0004】
ところで、本発明者は、オキナワモズク(Cladosiphon okamuranus TOKIDA)から分子量が500,000で、L−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸、酢酸および硫酸の構成比がそれぞれ3.0〜4.0、0.1〜0.3、0.8〜1.2、0.5〜1.0、0.8〜1.2であるアセチルフコイダンを見出し、先に特許を取得した(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、このアセチルフコイダンについての用途等については他のフコイダン程には研究されていなかったのが実情であった。
【特許文献1】特許第3371124号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明はアセチルフコイダンや、これから導かれる化合物の新規用途を見出すことをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はアセチルフコイダンの新たなる用途を探索すべく鋭意研究を行ったところ、アセチルフコイダンに優れた抗腫瘍活性があることを見出した。また、アセチルフコイダンの抗腫瘍活性は、アセチルフコイダンを硫酸化することで、より高められることを見出した。更に、これらアセチルフコイダンや硫酸化したアセチルフコイダンを、従来から使用されている他の抗腫瘍剤と併用することによってさらに抗腫瘍活性を高められることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明はアセチルフコイダンまたはアセチルフコイダンを硫酸化することにより得られる硫酸化アセチルフコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤を提供するものである。
【0009】
また、本発明は上記抗腫瘍剤を含有することを特徴とする飲食品を提供するものである。
【0010】
更に、本発明はアセチルフコイダンに三酸化イオウ−トリメチルアミンを作用させることにより得られる硫酸化アセチルフコイダンを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアセチルフコイダンまたはこのアセチルフコイダンを硫酸化することにより得られる硫酸化アセチルフコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤は、優れた抗腫瘍活性を有するものである。しかも、これら抗腫瘍剤と、従来から使用されてきた他の抗腫瘍剤と組み合わせることにより相乗的に抗腫瘍活性を高めることができる。
【0012】
従って、本発明の抗腫瘍剤は優れた抗腫瘍活性を有するので腫瘍の治療に用いることができるとともに、日常的に飲食品として摂取することにより、腫瘍の予防を行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の抗腫瘍剤は、アセチルフコイダンまたはアセチルフコイダンを硫酸化することにより得られる硫酸化アセチルフコイダン(以下、これらを「アセチルフコイダン類」という)を有効成分とするものである。
【0014】
本発明の抗腫瘍剤の有効成分であるアセチルフコイダンとは、酢酸基を含むフコイダンのことであり、概ね酢酸基を3.9〜8.0質量%含有するものである。また、このアセチルフコイダンの組成の一例を挙げれば、概ねD−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸、酢酸および硫酸の構成比がそれぞれ3.0〜4.0、0.1〜0.3、0.8〜1.2、0.5〜1.0および0.8〜1.2のものである。このアセチルフコイダンはモズク等の褐藻類、好ましくはオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus TOKIDA)から得られるものである。これら褐藻類からアセチルフコイダンを得る方法は特には限定されないが、例えば、本発明者の特許3371124号に記載の方法が挙げられる。また、このアセチルフコイダンは陽イオン交換樹脂等により陽イオン交換されたものであっても良い。
【0015】
具体的に、オキナワモズクからアセチルフコイダンを得る方法を示せば次の通りである。まず、オキナワモズクの乾燥体を粉砕した後、塩酸等の酸を加えて攪拌する。次に、これを濾過し、ろ液を水酸化ナトリウム等のアルカリで中和した後、セライト545層(ナカライテスク製)等のカラムに通して、濃縮を行い、更にエタノールを添加し、沈殿させる。この沈殿物にエタノール等のアルコールで脱水を数回行い、更に減圧乾燥を行い粗アセチルフコイダンを得る。この粗アセチルフコイダンを塩化カルシウム等の塩水溶液に溶解し、ろ過後、ろ液をセライト545層等のカラムに通して一晩透析を行い、さらに凍結乾燥を行ってアセチルフコイダンを得ることができる。また、このアセチルフコイダンをアンバーライトIR−120(Rohm & Haas社製)等の陽イオン交換樹脂に通し、陽イオン交換を行った後、水酸化ナトリウム等のアルカリで中和、透析、凍結乾燥を行い、Na型のアセチルフコイダンを得ることができる。
【0016】
また、本発明の抗腫瘍剤のもう一方の有効成分である硫酸化アセチルフコイダンは、上記アセチルフコイダンを硫酸化することにより得ることができるものであり、概ね硫酸含量が13〜33質量%、好ましくは15〜33質量%含有するものである。また、この硫酸化アセチルフコイダンの組成の一例を挙げれば、概ねD−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸、酢酸および硫酸の構成比がそれぞれ3.0〜4.0、0.1〜0.3、0.8〜1.3、0.5〜1.0および0.8〜3.6である。
【0017】
この硫酸化アセチルフコイダンを得るための硫酸化の方法としては、多糖の水酸基をスルホン化可能な公知の方法であれば特に限定されないが、例えば、クロロスルホン酸−ピリジン錯体、ジシクロヘキシルカルノジイミド−硫酸、三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体、N,N’−ジメチルホルムアミド−三酸化イオウ−トリメチルアミン等を用いる方法等が挙げられる。これらの方法の中でも、アセチルフコイダンにN,N’−ジメチルホルムアミド中、三酸化イオウ−トリメチルアミンを用いた方法が好ましい。
【0018】
具体的に、アセチルフコイダンに三酸化イオウ−トリメチルアミンを作用させて硫酸化アセチルフコイダンを得る方法の例を示せば次の通りである。まず、アセチルフコイダンをN,N’−ジメチルホルムアミド等の溶媒に分散させ、これに三酸化イオウ−トリメチルアミンを加えて静置する。静置後、酢酸ナトリウム等の酢酸塩を加えてエタノールで沈殿させる。この沈殿物をエタノールで洗浄後、蒸留水に溶解し、アンバーライトIR−120(Rohm & Haas社製)等の陽イオン交換樹脂を充填したカラムを通して脱塩する。最後に水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液で中和を行い、透析後、凍結乾燥することにより硫酸化アセチルフコイダンを得ることができる。
【0019】
本発明の抗腫瘍剤は、アセチルフコイダン類をそのままあるいは公知の適当な医薬担体と組み合わせ、製剤化することにより製造される。本発明の抗腫瘍剤におけるアセチルフコイダン類の含有量は、抗腫瘍活性が発揮される量であれば特に制限されないが、例えばアセチルフコイダン類の合計で20〜80質量%、好ましくは50〜80質量%である。
【0020】
本発明の抗腫瘍剤は、白血病、リンパ腫、胃癌、肝臓癌、肺癌、乳ガン等の腫瘍に対して有効であり、これらの腫瘍に応じた投与方法、例えば、経口投与、局所投与等の投与方法を選択することができる。また、これら抗腫瘍剤の剤形も特に制限されず、上記投与方法に応じて、錠剤、粒剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤等の経口剤や、注射剤、点滴用剤等の非経口剤等とすることができる。更に、投与量や投与回数は通常の抗腫瘍剤に準じて定めればよい。
【0021】
更に、本発明の抗腫瘍剤においては、更にその他の抗腫瘍剤を併用することで、より抗腫瘍活性を高めることができる。このような併用可能な他の抗腫瘍剤としては、一般名が、シタラビン、メルファラン、シクロホスファミド、メクロレタミン、カルムスチン、メトトレキサート、メルカプトプリン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、イダルビシン、マイトマイシン、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタクセル、ドセタクセル、シグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、フルオロウラシル、アセグラトン、アクラルビシン、ファドロゾール、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルモフール、カルボコン、カルボプラチン、シタラビンオクホシファート、ダカルバジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、エピルビシン、エピチオスタノール、エトポシド、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシカルバミド、メドロキシプロゲステロン、イリノテカン、イフォスファミド、クレスチン、リュープロレリン、メルファラン、メピチオスタン、メスタノロン、ミトキサントロン、ミトタン、ネオカルチノスタチン、ネダプラチン、ニムスチン、ナイトロジェン・マスタード、オキシメトロン、ピシバニール、ペントスタチン、ペプレオマイシン、ピラルビシン、プロカルバジン、ラニムスチン、ゾブゾキサン、タモキシフェン、チオテパ、テガフール、トレチノイン、トレミフェン、ベスタチン、テガフール・ウラシル、ビンデシン、ジノスタチン、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のものが挙げられる。このうち、アドリアマイシン、マイトマイシン、エトポシド、ビンデシン、シクロホスファミド、シタラビン等と組み合わせた場合に、特に優れた効果を得ることができる。
【0022】
なお、本発明の抗腫瘍剤は、通常の飲食品に含有せしめ、日常的に摂取することができる。この飲食品の製造方法は本発明の抗腫瘍剤を飲食品の原料素材等に有効量添加する以外は、通常の飲食品の製造方法に準じればよい。
【0023】
これら飲食品の例としては茶飲料、栄養補助飲料等の飲料、カプセル状、錠剤状、粉末状等の栄養補助食品等の食品が挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
参 考 例 1
アセチルフコイダンの製造(1):
新鮮な養殖オキナワモズク(沖縄県知念漁業共同組合産)の乾燥体100gをミキサーで5分間粉砕した。この粉砕物に全量が500mlとなるように0.05Mの塩酸を加え、室温で3時間撹拌した。次にこれを吸引ろ過し、ろ液を0.05Mの水酸化ナトリウムで中和した後、セライト545層に通して、濃縮を行い、さらに2倍量のエタノールを添加し、沈殿させた。沈殿物にエタノール脱水を数回行い、更に減圧乾燥を行い粗アセチルフコイダンを得た。この粗アセチルフコイダンを0.1Mの塩化カルシウム水溶液に溶解し、吸引ろ過後、ろ液をセライト545層に通して一晩透析を行い、さらに凍結乾燥を行って精製アセチルフコイダンを得た。
【0026】
この精製アセチルフコイダンを陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120)に通し、陽イオン交換を行った後、0.05Mの水酸化ナトリウムで中和、透析、凍結乾燥を行い、Na型の精製アセチルフコイダン(以下、単に「アセチルフコイダン」という)を1.4g得た。
【0027】
上記で得られたアセチルフコイダンの組成はD−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸、酢酸の構成比がそれぞれ4.0、0.2、1.1および0.8であった。また、バリウム沈殿法によりアセチルフコイダンの硫酸含量を測定したところ13.5質量%であった。
【0028】
実 施 例 1
硫酸化アセチルフコイダンの製造:
参考例1で製造したアセチルフコイダン200mgをN,N’−ジメチルホルムアミド20mlに分散させ、三酸化イオウ667mgを含有するトリメチルアミン複合体を加えて50℃で24時間静置した。静置後、酢酸ナトリウム3mlを加えて冷エタノール(4℃)で沈殿させた。この沈殿物をエタノールで洗浄後、蒸留水に溶解し、陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120)を充填したカラムを通して脱塩した。次に、0.05Mの水酸化ナトリウム溶液で中和を行い、4℃で48時間透析後、凍結乾燥により硫酸化アセチルフコイダン118mgを得た。
【0029】
上記で得られた硫酸化アセチルフコイダンの組成は、D−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸および酢酸の構成比がそれぞれ4.0、0.2、1.1および0.8であった。また、この硫酸化アセチルフコイダンの硫酸含量をバリウム沈殿法により測定したところ、32.5質量%であった。更に、硫酸化アセチルフコイダンのH−NMRスペクトルを測定した(図1)。この結果、硫酸化アセチルフコイダンのH−NMRスペクトルの5.42、5.35および5.08ppmの化学シフトは、それぞれ2,4−ジ−O−スルフォ−L−フコピラノース(2,4-di-O-sulfo-L-fucopyranose)、2−モノ−O−スルフォ−L−フコピラノース(2-mono-O-sulfo-L-fucopyranose)および4−モノ−O−スルフォ−L−フコピラノース(4-mono-O-sulfo-L-fucopyranos)のアノメリックプロトンの化学シフトの文献記載(Ribeiro A.-H., et al., Carbohyd. Res., 255, 225-240, (1994).およびMulloy B., et al., J. Biol. Chem., 269, 22113-22123 (1994).)の値とよく一致していた。また、4.58および4.53ppmの化学シフトは2,4−ジ−O−スルフォ−L−フコピラノースおよび4−モノ−O−スルフォ−L−フコピラノースのH−2の化学シフトの前記文献記載の値とよく一致していた。さらに、4.89および4.80ppmの化学シフトは2,4−ジ−O−スルフォ−L−フコピラノースおよび4−モノ−O−スルフォ−L−フコピラノースのH−4の化学シフトの前記文献記載の値とよく一致していた。これらの結果からアセチルフコイダンはL−フコピラノース(L-fucopyranos)のO−2およびO−4に硫酸基が結合しているものと推測された。
【0030】
実 施 例 2
アセチルフコイダンおよび硫酸化アセチルフコイダンの抗腫瘍活性:
(1)U937細胞増殖抑制効果測定
参考例1で製造したアセチルフコイダン(硫酸含量:13.5%)と、実施例1で製造した硫酸化アセチルフコイダン(硫酸含量:32.5%)をそれぞれ5,000μg/mLとなるように液体培地(RPMI1,600+2%牛胎児血清)に溶解し、0.22μMのメンブランフィルタ−で濾過して滅菌したものを供試液とし、これを必要に応じた終濃度になるように希釈して使用した。対照液はアセチルフコイダンを含まないものを使用した。U937(ヒトリンパ腫瘍細胞)は37℃の5%CO気下で培養し、これを細胞懸濁液とした。96穴マイクロプレ−トに細胞密度1.0×10/mLになるように細胞懸濁液(90μL)を分注し、37℃、5%CO気下で1晩培養して培養液とした。その後、培養液にアセチルフコイダンまたは過硫酸アセチルフコイダンを20μM/mLになるように添加(0.5mL)した。これを48時間または72時間、37℃、5%CO気下で培養を行った後、細胞数測定キット(同仁科学研究所)を用いてU937細胞数を測定した。
【0031】
細胞数を測定し、対照の細胞液を100とした時の相対的な細胞数(%)を表1に示した。アセチルフコイダンを用いた場合には100μg/mLで細胞数が70%に減少していたが、硫酸化アセチルフコイダンを用いた場合には20μg/mLで細胞数が18%に減少していた。なお、この結果において細胞の数が100未満のものは細胞の増殖が抑制された事を示している。
【0032】
【表1】

【0033】
(2)アポト−シス誘導効果測定
アポト−シスの誘導効果を以下の方法で調べた。まず、60mmディッシュに細胞密度1.0×10細胞/mLになるように上記(1)で調製したU937細胞懸濁液(4.5mL)を分注し、37℃、5%CO気下で24時間前培養を行い培養液とした。その後、アセチルフコイダンまたは硫酸化アセチルフコイダンを20μg/mLになるように培養液(0.5mL)に添加した。48時間培養後、アポト−シス細胞の膜構造変化を指標としたアポト−シス細胞測定キット(APO Percentage Apotosis assay:Biocolor Ltd.)を用いてアポト−シス細胞数を測定した。測定結果を表2に示した。
【0034】
【表2】

【0035】
表2より、硫酸化アセチルフコイダンの添加濃度に比例してアポト−シス細胞が増加している。これは、硫酸化アセチルフコイダンがU937細胞のアポト−シスを誘導することを示した。
【0036】
実 施 例 3
硫酸化アセチルフコイダンと他の抗腫瘍剤との併用効果測定:
96穴マイクロプレ−トに細胞密度1.0×10細胞/mLになるように実施例2(1)で調製したU937細胞懸濁液(90μL)を分注し、37℃、5%CO気下で1晩前培養を行い培養液とした。その後、この培養液に硫酸化アセチルフコイダンを1μg/mLのみ、抗腫瘍剤であるシトシンアラビノシド(一般名:シタラビン)を0.01μM/mLのみ、そして同量の硫酸化アセチルフコイダン1μg/mLとシトシンアラビノシド0.01μM/mLとを添加した。これらの溶液を72時間37℃、5%CO気下で培養した。培養後、細胞数測定キットを用いてU937細胞数を測定した。測定結果を表3に示した。
【0037】
【表3】

【0038】
硫酸化アセチルフコイダンとシトシンアラビノシドとを添加した培養液のU937細胞の数は、単独で用いたものより、U937細胞の数が少なく、且つ低い濃度でU937細胞の増殖を抑制する効果があることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の抗腫瘍剤は優れた抗腫瘍活性を有するものである。しかも、これら抗腫瘍剤と、従来から使用されてきた他の抗腫瘍剤と組み合わせることにより相乗的に抗腫瘍活性を高めることができる。
【0040】
従って、上記抗腫瘍剤単独であるいは他の抗腫瘍剤と組み合わせて各種飲食品に配合することにより優れた健康食品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、アセチルフコイダンおよび硫酸化アセチルフコイダンのH−NMRスペクトルである(A:アセチルフコイダン、B:硫酸化アセチルフコイダン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチルフコイダンまたはアセチルフコイダンを硫酸化することにより得られる硫酸化アセチルフコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤。
【請求項2】
アセチルフコイダンの硫酸化が、N,N’−ジメチルホルムアミドおよび三酸化イオウ−トリメチルアミンを用いて行われるものである請求項第1項記載の抗腫瘍剤。
【請求項3】
更に、他の抗腫瘍剤を含有するものである請求項第1項または第2項記載の抗腫瘍剤。
【請求項4】
アセチルフコイダンが、オキナワモズク(Cladosiphon okamuranus TOKIDA)由来のものである請求項第1項ないし第3項の何れかの項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
請求項第1項ないし第4項の何れかの項に記載の抗腫瘍剤を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項6】
アセチルフコイダンに三酸化イオウ−トリメチルアミンを作用させることにより得られる硫酸化アセチルフコイダン。
【請求項7】
L−フコース、D−キシロース、D−グルクロン酸および酢酸の構成比が、それぞれ3.0〜4.0、0.1〜0.3、0.8〜1.2および0.5〜1.0であり、硫酸含量が13〜33質量%である請求項6記載の硫酸化アセチルフコイダン。


【図1】
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【公開番号】特開2007−51081(P2007−51081A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236456(P2005−236456)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年2月23日 琉球大学主催の「2004年度 生物資源科学専攻修士論文発表会」において文書をもって発表
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】