抗菌剤含有絹製医用デバイスおよびその製造方法
【課題】絹タンパク質膜、繊維およびそれらの組合せから作られる改善された医用デバイスを提供する。
【解決手段】絹製医用デバイス(60)は、ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を担持させた絹タンパク質材料(15)から製造される。上記ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)はポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。絹製医用デバイス(60)は、感染を防止するため、創傷(70)の治療に用いられる。
【解決手段】絹製医用デバイス(60)は、ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を担持させた絹タンパク質材料(15)から製造される。上記ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)はポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。絹製医用デバイス(60)は、感染を防止するため、創傷(70)の治療に用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
他出願への相互関連
【0002】
本出願は、2009年5月15日に出願した米国仮特許出願第61/178,862号の利益および優先権を主張するものである。
技術分野
【0003】
本発明の分野は医用デバイスに関する。上記医用デバイスはポリマー性カチオン性抗菌性化合物を担持した絹製材料を含む。
【背景技術】
【0004】
絹製材料は天然または人工絹製材料等の材料である。絹製材料はタンパク質およびペプチドを含み、絹製材料はたとえばカイコ、クモおよびイガイ等の絹を産生する生物から由来する。
【0005】
現代のバイオテクノロジー的方法の出現により、絹製材料を合成的に製造することができる。絹製材料の合成的製造により、多くの制御可能で異なった材料特性および機械的特性を有する絹製材料の製造が可能である(たとえばAltmanら、Biomaterials 2003、24:401〜416頁参照)。
【0006】
Kaplanらによる国際出願第PCT/US2005/020844号は「Silk based drug delivery system」と題されている。Kaplanらの文献は、治療薬の制御放出のための製剤処方の製造方法を開示している。この方法は、絹フィブロイン溶液を治療薬と接触させて治療薬を含有する絹フィブロイン製品を形成することによって進行する。絹フィブロイン製品からの治療薬の放出を制御するために、絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションが改変される。絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションは、絹フィブロイン製品内の空孔の直径を制御するために、たとえばアルコール、圧力、電場、塩またはせん断力を用いて改変し、それによって絹フィブロイン製品からの治療薬の制御放出を可能にする。
【0007】
アルコール、圧力、電場、塩またはせん断力を用いた絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションの改変は、製剤処方中の治療薬の活性を低減または破壊することがある。
【0008】
Araiらによる米国特許出願第12/025524号は「Biodegradable biopolymers, methods for their preparation and functional materials constituted by these biopolymers」と題されている。Araiらの文献は、絹フィブロイン溶液の水溶液およびセルロース、キチンまたはケラチン等の二次的物質を基材上に塗布することによる、生分解性バイオポリマーの調製を開示している。生分解性バイオポリマーは、銀、銅および/またはコバルト等の抗菌性金属イオンを含有する水溶液中に浸漬される。抗菌性金属イオンを含有する生分解性バイオポリマーは、生分解性バイオポリマーを分解する酵素の作用によって抗菌性デバイスとして用いられる。
【0009】
Araiらによるさらなる開示(Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁)は、絹がカチオン(即ち、正荷電を有する金属イオン)を吸収し、これらと結合し得ることを示している。しかしながら、Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁の開示および米国特許出願第12/025524号の開示で示されているように、絹とのカチオンの相互作用の正確な本質、特にそれらの吸収動態および放出動態は異なったカチオンの間で変動し得る。絹からのカチオンの吸収動態および放出動態は、pH、温度および添加物の存在等の要素に依存する。
【0010】
絹製医用デバイスから迅速にかつ高レベルで放出され、薬理作用の迅速な発現を提供する抗菌性化合物等の薬理活性物質を提供し、医療用途に用いることができる絹製医用デバイスを提供することへのニーズがある。絹タンパク質に結合する金属イオンについて知られた変動性および絹タンパク質からの金属イオンの放出を考えると、より大きなポリマー性カチオン性物質の絹タンパク質へのイオン結合または水素結合の強さおよび性質を予想することは当業者にとって不可能である。用いられる特定のカチオン性物質に依存して、イオン結合または水素結合は、多数の静電相互作用または起こり得る水素結合のために強いこともあり、または絹タンパク質上の負荷電を有する表面もしくは水素結合供与性基への近接しにくさのために弱いこともある。
【0011】
非タンパク質および非ペプチド材料(たとえばセルロースまたは人工ポリマー)からのカチオン性抗菌性化合物の放出動態は、当技術において知られている。ポリマー性カチオン性抗菌性化合物は数多くあり、合成的に製造することができる。ポリカチオン性抗菌性化合物の例は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。
【0012】
非タンパク質および非ペプチド材料(即ち絹製材料でない)からの速いもしくは遅い放出動態を有するPHMBの放出を可能にする技術は、当技術において知られている。FugmannおよびDietzeによる国際出願第PCT/EP2005/013340号は「Infection resistant polyurethane foams, method for producing the same and use thereof in antiseptic wound dressings」と題されている。FugmannおよびDietzeの文献は、PHMBおよび超吸収材料を含む殺微生物性ポリウレタンフォームを開示している。
【0013】
Xylos Corp.による欧州特許第1473047号は「Microbial cellulose wound dressing sheet, containing PHMB for treating chronic wounds」と題されている。Xylos Corpの特許は、微生物性セルロース創傷被覆シートからのPHMBの速い放出を可能にする創傷被覆シートを提供する製造方法を開示している。Xylos Corpの特許はPHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Xylos Corpの特許はまた、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法を開示していない。
【0014】
Harish Patelによる米国特許出願第10/278,072号は「Medical dressing containing antimicrobial agent」と題されている。Harish Patelの特許出願は、創傷被覆材からのPHMBの遅い放出を可能にする層状セルロース−ポリエステル創傷被覆材の製造を開示している。Harish Patelの特許出願は、PHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Harish Patelの特許出願は、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法も開示していない。
【0015】
Arch UK Biocides Ltdによる国際出願第PCT/GB2004/004738号は「Fibres treated with antimicrobial agents」と題されている。Arch UK Biocides Ltdの文献は、非セルロース材料からのPHMBの放出を防止し、洗濯または濯ぎに対する耐久性を確保するためにPHMBを非セルロース繊維に永久的に固定化するための自己架橋可能な樹脂および触媒の使用を開示している。Arch UK Biocides Ltdの文献は、PHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Arch UK Biocides Ltdの文献は、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法も開示していない。
【0016】
先行技術で開示されたPHMB担持セルロースまたはPBMH担持非タンパク質および非ペプチド系材料を評価する際には、絹製材料が異なった分子構造および組成を有することに注意する必要がある。Blackburnら(たとえばLangmuir 2006、22:5636〜5644頁参照)によって述べられているように、セルロースは、PHMBが静電的および水素結合的相互作用によって結合できる1つの単純な低分子量炭水化物(グルコース)で構成されている高度に均一な分子構造を示すことが知られている。セルロースとは対照的に、絹製材料はジスルフィド連結された6組の重鎖/軽鎖フィブロインヘテロダイマーと1分子のP25とを含む非常に大きな(2.3MDa)マルチドメインタンパク複合体(基本単位)を含む(たとえばInoueら、JBC 2000、275、40517〜40528頁参照)。絹製材料のそれらの基本単位の巨大なサイズおよび複雑さを考えると、セルロースとは異なり、PHMBと絹製材料の基本単位との間の静電的または水素結合的相互作用の強さを予想することは不可能である。
【0017】
絹製医用デバイスからのポリマー性カチオン性抗菌性材料の速いまたは遅い放出を可能にする、ポリマー性カチオン性抗菌性材料を含む絹製医用デバイスの製造方法を教示する既知の先行技術はない。絹製医用デバイスからのポリマー性カチオン性抗菌性材料の速いまたは遅い放出を可能にする、ポリマー性カチオン性抗菌性材料を含む絹製医用デバイスを教示する先行技術はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際出願第PCT/US2005/020844号
【特許文献2】米国特許出願第12/025524号
【特許文献3】国際出願第PCT/EP2005/013340号
【特許文献4】欧州特許第1473047号
【特許文献5】米国出願第10/278,072号
【特許文献6】国際出願第PCT/GB2004/004738号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Altmanら、Biomaterials 2003、24:401〜416頁
【非特許文献2】Araiら、Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁
【非特許文献3】Blackburnら、Langmuir 2006、22:5636〜5644頁
【非特許文献4】Inoueら、JBC 2000、275、40517〜40528頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本開示の目的は、絹タンパク質膜、繊維およびそれらの組合せから作られる改善された医用デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示は、以下のステップを有する医用デバイスの製造方法を教示する:絹タンパク質材料を準備するステップ、絹タンパク質材料にポリマー性カチオン性抗菌性材料を含浸させるステップ、および含浸した絹タンパク質膜を乾燥するステップ。
【0022】
ポリマー性カチオン性抗菌剤は、本発明の1つの態様においてはポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。
【0023】
本開示はまた、ポリマー性カチオン性抗菌剤を含浸させた絹タンパク質材料から作られた医用デバイスを教示する。絹製医用デバイスは、適用または埋め込み部位でポリマー性カチオン性抗菌剤を放出する。絹製医用デバイスは、感染防止を可能にし、または既に感染した創傷の治療を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】用いた絹製材料のPAGE分析を示す図である。
【図2】PHMBを担持する前および後の絹製材料の乾燥および湿潤重量を示す図である。
【図3】本発明による絹製医用デバイスからのPHMBの放出を示す図である。
【図4】Suprasorb X+PHMB創傷被覆材からのPHMBの放出を示す図である。
【図5】本発明による絹製材料によるPHMBの取り込みの計算量および実測量を示す図である。
【図6】本発明による、様々なpH値における絹製医用デバイスのPHMBの取り込みを示す図である。
【図7】本発明による、様々な時間の間における絹製医用デバイスからのPHMBの放出を示す図である。
【図8】絹の布地および膜試料によるPHMBの取り込みを示す図である。
【図9】本発明によるPHMB担持絹繊維からのPHMBの放出を示す図である。
【図10】本発明によるPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法のスキームを示す図である。
【図11】本発明によるPHMB担持絹製医用デバイスの製造装置を示す図である。
【図12】本発明による絹製医用デバイスを示す図である。
【図13】異なった厚みを有する絹タンパク質膜のPHMBの取り込みを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明およびその利点を完全に理解するために、添付の図面を併用して以下の詳細な説明に言及する。
【0026】
本明細書で開示される本発明の種々の態様および実施形態は、本発明を実施し使用するための具体的な方法を単に例示するものであり、したがって添付の特許請求の範囲ならびに以下の詳細な説明および添付の図面とともに考慮する際に発明の範囲を限定しないことを認識されたい。
【0027】
本発明の1つの態様および実施形態からの特徴は、本明細書で開示される本発明の仕様または実施を考慮することによって当業者には明白になるであろうということ、ならびにこれらの特徴は本発明の他の態様および実施形態からの特徴と組み合わせることができることを理解されたい。
【0028】
図10に、本発明によるポリカチオン性抗菌性化合物、たとえばポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)が担持された絹製医用デバイス60の製造方法のスキームを示す。
【0029】
第1ステップ100において、絹タンパク質溶液10を調製する。絹タンパク質溶液10は0.3〜30%(w/w)の絹タンパク質含量を有する。絹タンパク質溶液10は、水系溶媒、たとえばこれだけに限らないが脱イオン水を用いて調製する。絹タンパク質溶液10は、たとえば米国特許第7041797号に記載されているように調製する。
【0030】
次に絹タンパク質溶液10を絹タンパク質材料15の製造のために用いる。絹タンパク質材料15は、絹タンパク質膜40の形態または絹タンパク質繊維50の形態で作ることができる。
【0031】
絹タンパク質膜40は、絹タンパク質溶液10を固体支持体20の上に移すことによって形成される。固体支持体20はガラスもしくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または絹タンパク質とともに用いるのに適した他の材料から作ることができる。
【0032】
絹タンパク質繊維50は、絹タンパク質溶液10を生体模倣紡糸装置30に移すことによって形成され、ここで絹タンパク質繊維50が紡糸によって形成される。絹タンパク質繊維50は、本出願人らによって欧州特許第1244828号および国際出願公開第2008/052755号に記載されているように形成される。
【0033】
ステップ110において絹タンパク質溶液10は固体支持体20の上で乾燥され、絹タンパク質材料15を形成し、これが絹タンパク質膜40を形成する。絹タンパク質溶液10を乾燥する時間は絹タンパク質溶液10のタンパク質含量および絹タンパク質溶液10からの溶媒の蒸発速度に依存する。室温および常圧で乾燥するためには、絹タンパク質溶液10の絹タンパク質含量が1〜10%である場合には、絹タンパク質溶液10の乾燥時間は8時間〜48時間の間で変動し得る。蒸発速度はたとえば真空技術の使用によって変動し得る。
【0034】
別法としては、絹タンパク質溶液10を紡糸装置30によって紡糸し、絹タンパク質繊維50を形成させる。
【0035】
次のステップ120において、形成された絹タンパク質材料15は、それが絹タンパク質膜40であろうと、または絹タンパク質繊維50であろうと、それぞれ固体支持体20または紡糸装置30から取り出される。
【0036】
ステップ130において、形成された絹タンパク質材料15にポリマー性カチオン性抗菌剤55が担持され、絹製医用デバイス60が製造される。絹タンパク質材料15には含浸技術によってポリマー性カチオン性抗菌剤55が担持される。ポリマー性カチオン性抗菌剤55の1つの例はポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。ポリマー性カチオン性抗菌剤55を絹タンパク質材料15に含浸するための正確な条件は、ポリマー性カチオン性抗菌剤55の溶液の濃度、温度および用いる絹タンパク質材料15の厚みに依存する。
【0037】
厚み60μmの絹タンパク質膜40を5%のPHMB溶液に室温で終夜インキュベーションすることが、たとえばSuprasorb X+PHMB(Lohmann Rauscher)等の市販のPHMB担持セルロース被覆材と同様の量および放出動態を有するPHMBの放出を可能にする絹製医用デバイス60を製造するのに充分であることが見出された。
【0038】
次のステップ140において、ポリマー性カチオン性抗菌剤55を担持した絹タンパク質膜40または絹タンパク質繊維50は適当な容器に移され、絹製医用デバイス60としての更なる使用まで保存される。絹製医用デバイス60は、皮膚80の上の創傷70上で用いることができる。
【0039】
製造された絹製医用デバイス60は、保存容器中でγ線照射の使用により滅菌することができる。
【実施例】
【0040】
本発明を実施するための特定の実施形態の以下の例は説明の目的のみに提供されるものであり、いかなる様式においても本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例1】
【0041】
絹タンパク質溶液10を、本出願人によってWO2007/098951に記載された方法に従って調製した。絹タンパク質溶液10中に存在する絹タンパク質の純度は、PAGEによって分析した(図1参照)。PAGE分析によって、絹膜15の製造のために用いた絹タンパク質の純度は95%より大きいことが確かめられた。
【実施例2】
【0042】
絹タンパク質膜40(50×50×0.06mm)を、出願人によって国際出願公開第2007/098951号に記載された方法に従って調製した。それぞれの絹タンパク質膜40に、それぞれ直径5mmの穴を16個ずつ穿孔した。絹タンパク質膜40を蒸留水中で終夜洗浄した。絹タンパク質膜40のそれぞれ個別の重量を記録した(乾燥重量1)。次にそれぞれの絹タンパク質膜40を個別に5%PHMB水溶液20mlに振盪器上で16時間、60rpmで浸漬した。陰性対照として、絹タンパク質膜40を脱イオンH2O20ml中で16時間、60rpmでインキュベートした。次に絹タンパク質膜40のそれぞれをPHMB溶液から取り出して秤量した(湿潤重量1)。PHMBを担持した絹タンパク質膜40を室温で終夜、乾燥させた。得られたそれぞれの乾燥絹製医用デバイス60の重量を記録した(乾燥重量2)。絹タンパク質膜40によって吸収されたPHMBの量(mg)を、乾燥重量2と乾燥重量1との差として計算した(図2−膜あたりのPHMB吸収を参照)。絹タンパク質膜40のそれぞれ1枚によって取り込まれたPHMB担持溶液の量を、湿潤重量1と乾燥重量1との差として計算した(図2−PHMB溶液の取り込みを参照)。
【0043】
製造した絹製医用デバイス60からのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出プロファイルを、水中および塩の存在下に検討した。市販のPHMB担持創傷被覆材(Suprasorb X+PHMB、Lohmann & Rauscher、5×5cm)を分析における対照として用いた。感染創傷に治療上有意義な創傷被覆材の目標とするPHMB放出プロファイルを定義するため、Suprasorb試料のPHMB放出量および放出動態を内部標準として用いた。
【0044】
絹製医用デバイス60およびSuprasorb試料を2つの群に分け、dH2O20ml(1群)または0.9%NaCl20ml(2群)のいずれかの中で個別に、ペトリ皿中60rpm、37℃でインキュベートした。次に0、10、30分、1、2、4、24および48時間間隔で試料を取ることによって、それぞれの試料からのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を測定した。ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PHMB)の濃度を、236nmにおける分光分析によって決定し、新たに作成した較正曲線を用いて計算した。dH2O(1群)および0.9%NaCl(2群)中に時間とともに放出された全ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)を、図3(絹製医用デバイス60)および図4(Suprasorb)に示す。図3および図4の結果より、絹製医用デバイス60は4時間後にdH2O中で15.3mg放出、0.9%NaCl中で10.8mg放出し、Suprasorb試料に関する4時間後、dH2O中のわずか6.5mg、0.9%NaCl中の7.1mgと比較して、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)のより速い放出開始を示すことが分かった。48時間後には、絹製医用デバイス60はdH2O中でPHMB20.1mg、NaCl中で11.9mgを放出したのに比較して、SuprasorbではdH2O中7.6mg、NaCl中8.6mgであった。これらの結果より、市販のPHMB創傷被覆材の放出プロファイルと匹敵するPHMB放出プロファイルを有する絹タンパク質膜40を製造できることが確かめられる。陰性対照試料(PHMBを含まない膜)はPHMBの放出を全く示さなかった(データは示していない)。
【0045】
溶媒の蒸発の間には、絹タンパク質膜40へのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)のいかなる特定の吸収もなく、絹タンパク質膜40にポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の物理的捕捉が起こると仮定すれば、重量増加は、それぞれの膜によって取り込まれるポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)担持溶液中のポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の量と等価になるはずである(図2−PHMB溶液の取り込みを参照)。したがって、PHMB担持後の予想される重量増加(図5−PHMBの計算量を参照)は、それぞれ6.22mgPHMB(1群)および6.64mgPHMB(2群)であったはずである。しかし、記録された実際の重量増加は、それぞれ23.3mgPHMB(1群)および23.9mgPHMB(2群)であり、物理的捕捉では説明できない17.08mgおよび17.27mgのPHMBが残る(図5参照)。したがって、絹製材料にPHMBを担持した後の20%近い乾燥重量の増加(19.55%(1群)および18.12%(2群))をもたらす、絹タンパク質膜40へのPHMBの観察された強い吸収は、静電的相互作用等の他の因子に由らなければ説明できないであろう。全PHMBの90%がdH2Oに放出されたのと比較すると、0.9%NaCl中でのPHMBの放出は著しく遅く、48時間後に全PHMBの50%だけが放出された(図3も参照)。したがって、イオンの遮蔽効果がポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)と絹タンパク質膜40との間の静電的相互作用に影響していることはあり得るであろう。
【実施例3】
【0046】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は16時間、室温で、4つの別々の群でpHを5.2、6.0、7.0および8.0に調整した5%PHMB20ml中で実施した。次にPHMBの取り込みを膜乾燥重量の百分率として測定した。結果を図6に示す。PHMBの担持は、pH8でポリマー性カチオン性抗菌剤55(PHMB)とインキュベートした絹タンパク質膜40において最大であった。
【実施例4】
【0047】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は10分、2および16時間、37℃で、5%PHMB20ml中で実施した。陰性対照として、絹タンパク質膜40をdH2Oのみでインキュベートした。次に、実施例2に記載されたように24時間までのPHMBの放出を測定した。図7に示す放出プロファイル(陰性対照は示していない)により、PHMB溶液中の絹タンパク質膜40のインキュベーション時間がPHMBの放出量を決定することが示される。
【実施例5】
【0048】
単層の絹織物布地試料を長方形の試料に切って秤量した。実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。絹布地試料および絹タンパク質膜40の平均乾燥重量は同程度で、それぞれ118mg(布地)および114mg(膜)であった(図8参照)。しかし両方の試料は表面積に関して異なり、絹織物布地試料については推定186cm2、絹タンパク質膜40については44cm2であった。乾燥重量1gあたりのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の取り込みは両方の試料について同程度で、絹織物布地試料によって0.13mgのPHMB、絹タンパク質膜40によって0.19mgが取り込まれた。これらのデータから、絹タンパク質膜40に比較して4倍を超える布地試料の表面積の増加は、絹織物布地に担持されたポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の量の増加にはつながらないことが示唆される。試料重量に関して考慮すると、PHMBの取り込みは絹織物布地と絹タンパク質膜40とでほぼ同程度である。したがって、絹タンパク質材料へのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の担持は、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の担持に利用可能な絹タンパク質材料の量によって支配されるようであり、表面積の影響はそれほど重要でないようである。
【実施例6】
【0049】
絹タンパク質繊維50を、出願人によってEP1244828およびWO2008/052755に記載されたように生体を模倣して紡糸した。絹タンパク質繊維50の3試料(長さ15cm)を12時間、室温で、3%ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)溶液中でインキュベートし、乾燥した。実施例2に記載されたように、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出プロファイル(図9参照)を測定した。インキュベートした絹タンパク質繊維50はポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を示し、絹タンパク質繊維50の対照物(即ちインキュベートしていないもの)はポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を示さなかった。
【実施例7】
【0050】
絹製医用デバイス60は創傷70の治療に用いることができる。図12に、創傷を負った対象者の皮膚80の上に存在する創傷70の上に置かれた絹製医用デバイス60を示す。絹製医用デバイス60が創傷70の上に置かれると、絹製医用デバイス60からポリマー性カチオン性抗菌剤55が放出されて創傷70は治療される。
【実施例8】
【0051】
実施例2に記載されたように厚み20、50および100μmの絹タンパク質膜40を調製した。担持は24時間、室温で、5%PHMB20ml中で実施した。次にそれぞれの膜の乾燥重量を測定することにより、PHMBの取り込みを測定した。結果を図13に示す。PHMBの取り込みは、膜の厚みおよびフィブロインの量にそれぞれ比例している。
【実施例9】
【0052】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は24時間、室温で、5%PHMB20ml中で実施した。抗菌活性は対数期のE.coli XL1細胞を接種した寒天上の放射拡散分析によって示した。PHMBを担持したおよび担持しない絹タンパク質膜を寒天の上に置き、37℃で16時間培養した。PHMB膜の周囲の寒天は透明なゾーン(ハロー)を示し、抗菌活性が確認された。対照膜の周囲の寒天は抗菌活性を示さなかった。
【0053】
本発明をこのように詳細に記述したが、上記の本発明の詳細な説明はその本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。当業者であれば上記の考察を踏まえて他の変形、修正および代替を認識するであろう。
【0054】
特許証によって保護されることを希望するものは以下の特許請求の範囲に記述されたものである。
【符号の説明】
【0055】
10 絹タンパク質溶液
15 絹タンパク質材料
20 固体支持体
30 生体模倣紡糸装置
40 絹タンパク質膜
50 絹タンパク質繊維
55 ポリマー性カチオン性抗菌剤
60 絹製医用デバイス
70 創傷
80 皮膚
【技術分野】
【0001】
他出願への相互関連
【0002】
本出願は、2009年5月15日に出願した米国仮特許出願第61/178,862号の利益および優先権を主張するものである。
技術分野
【0003】
本発明の分野は医用デバイスに関する。上記医用デバイスはポリマー性カチオン性抗菌性化合物を担持した絹製材料を含む。
【背景技術】
【0004】
絹製材料は天然または人工絹製材料等の材料である。絹製材料はタンパク質およびペプチドを含み、絹製材料はたとえばカイコ、クモおよびイガイ等の絹を産生する生物から由来する。
【0005】
現代のバイオテクノロジー的方法の出現により、絹製材料を合成的に製造することができる。絹製材料の合成的製造により、多くの制御可能で異なった材料特性および機械的特性を有する絹製材料の製造が可能である(たとえばAltmanら、Biomaterials 2003、24:401〜416頁参照)。
【0006】
Kaplanらによる国際出願第PCT/US2005/020844号は「Silk based drug delivery system」と題されている。Kaplanらの文献は、治療薬の制御放出のための製剤処方の製造方法を開示している。この方法は、絹フィブロイン溶液を治療薬と接触させて治療薬を含有する絹フィブロイン製品を形成することによって進行する。絹フィブロイン製品からの治療薬の放出を制御するために、絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションが改変される。絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションは、絹フィブロイン製品内の空孔の直径を制御するために、たとえばアルコール、圧力、電場、塩またはせん断力を用いて改変し、それによって絹フィブロイン製品からの治療薬の制御放出を可能にする。
【0007】
アルコール、圧力、電場、塩またはせん断力を用いた絹フィブロイン製品の結晶性コンホメーションの改変は、製剤処方中の治療薬の活性を低減または破壊することがある。
【0008】
Araiらによる米国特許出願第12/025524号は「Biodegradable biopolymers, methods for their preparation and functional materials constituted by these biopolymers」と題されている。Araiらの文献は、絹フィブロイン溶液の水溶液およびセルロース、キチンまたはケラチン等の二次的物質を基材上に塗布することによる、生分解性バイオポリマーの調製を開示している。生分解性バイオポリマーは、銀、銅および/またはコバルト等の抗菌性金属イオンを含有する水溶液中に浸漬される。抗菌性金属イオンを含有する生分解性バイオポリマーは、生分解性バイオポリマーを分解する酵素の作用によって抗菌性デバイスとして用いられる。
【0009】
Araiらによるさらなる開示(Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁)は、絹がカチオン(即ち、正荷電を有する金属イオン)を吸収し、これらと結合し得ることを示している。しかしながら、Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁の開示および米国特許出願第12/025524号の開示で示されているように、絹とのカチオンの相互作用の正確な本質、特にそれらの吸収動態および放出動態は異なったカチオンの間で変動し得る。絹からのカチオンの吸収動態および放出動態は、pH、温度および添加物の存在等の要素に依存する。
【0010】
絹製医用デバイスから迅速にかつ高レベルで放出され、薬理作用の迅速な発現を提供する抗菌性化合物等の薬理活性物質を提供し、医療用途に用いることができる絹製医用デバイスを提供することへのニーズがある。絹タンパク質に結合する金属イオンについて知られた変動性および絹タンパク質からの金属イオンの放出を考えると、より大きなポリマー性カチオン性物質の絹タンパク質へのイオン結合または水素結合の強さおよび性質を予想することは当業者にとって不可能である。用いられる特定のカチオン性物質に依存して、イオン結合または水素結合は、多数の静電相互作用または起こり得る水素結合のために強いこともあり、または絹タンパク質上の負荷電を有する表面もしくは水素結合供与性基への近接しにくさのために弱いこともある。
【0011】
非タンパク質および非ペプチド材料(たとえばセルロースまたは人工ポリマー)からのカチオン性抗菌性化合物の放出動態は、当技術において知られている。ポリマー性カチオン性抗菌性化合物は数多くあり、合成的に製造することができる。ポリカチオン性抗菌性化合物の例は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。
【0012】
非タンパク質および非ペプチド材料(即ち絹製材料でない)からの速いもしくは遅い放出動態を有するPHMBの放出を可能にする技術は、当技術において知られている。FugmannおよびDietzeによる国際出願第PCT/EP2005/013340号は「Infection resistant polyurethane foams, method for producing the same and use thereof in antiseptic wound dressings」と題されている。FugmannおよびDietzeの文献は、PHMBおよび超吸収材料を含む殺微生物性ポリウレタンフォームを開示している。
【0013】
Xylos Corp.による欧州特許第1473047号は「Microbial cellulose wound dressing sheet, containing PHMB for treating chronic wounds」と題されている。Xylos Corpの特許は、微生物性セルロース創傷被覆シートからのPHMBの速い放出を可能にする創傷被覆シートを提供する製造方法を開示している。Xylos Corpの特許はPHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Xylos Corpの特許はまた、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法を開示していない。
【0014】
Harish Patelによる米国特許出願第10/278,072号は「Medical dressing containing antimicrobial agent」と題されている。Harish Patelの特許出願は、創傷被覆材からのPHMBの遅い放出を可能にする層状セルロース−ポリエステル創傷被覆材の製造を開示している。Harish Patelの特許出願は、PHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Harish Patelの特許出願は、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法も開示していない。
【0015】
Arch UK Biocides Ltdによる国際出願第PCT/GB2004/004738号は「Fibres treated with antimicrobial agents」と題されている。Arch UK Biocides Ltdの文献は、非セルロース材料からのPHMBの放出を防止し、洗濯または濯ぎに対する耐久性を確保するためにPHMBを非セルロース繊維に永久的に固定化するための自己架橋可能な樹脂および触媒の使用を開示している。Arch UK Biocides Ltdの文献は、PHMB担持絹製医用デバイスを開示していない。Arch UK Biocides Ltdの文献は、治療的に関連あるレベルで既知の放出プロファイルをもってPHMBを放出するPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法も開示していない。
【0016】
先行技術で開示されたPHMB担持セルロースまたはPBMH担持非タンパク質および非ペプチド系材料を評価する際には、絹製材料が異なった分子構造および組成を有することに注意する必要がある。Blackburnら(たとえばLangmuir 2006、22:5636〜5644頁参照)によって述べられているように、セルロースは、PHMBが静電的および水素結合的相互作用によって結合できる1つの単純な低分子量炭水化物(グルコース)で構成されている高度に均一な分子構造を示すことが知られている。セルロースとは対照的に、絹製材料はジスルフィド連結された6組の重鎖/軽鎖フィブロインヘテロダイマーと1分子のP25とを含む非常に大きな(2.3MDa)マルチドメインタンパク複合体(基本単位)を含む(たとえばInoueら、JBC 2000、275、40517〜40528頁参照)。絹製材料のそれらの基本単位の巨大なサイズおよび複雑さを考えると、セルロースとは異なり、PHMBと絹製材料の基本単位との間の静電的または水素結合的相互作用の強さを予想することは不可能である。
【0017】
絹製医用デバイスからのポリマー性カチオン性抗菌性材料の速いまたは遅い放出を可能にする、ポリマー性カチオン性抗菌性材料を含む絹製医用デバイスの製造方法を教示する既知の先行技術はない。絹製医用デバイスからのポリマー性カチオン性抗菌性材料の速いまたは遅い放出を可能にする、ポリマー性カチオン性抗菌性材料を含む絹製医用デバイスを教示する先行技術はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際出願第PCT/US2005/020844号
【特許文献2】米国特許出願第12/025524号
【特許文献3】国際出願第PCT/EP2005/013340号
【特許文献4】欧州特許第1473047号
【特許文献5】米国出願第10/278,072号
【特許文献6】国際出願第PCT/GB2004/004738号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Altmanら、Biomaterials 2003、24:401〜416頁
【非特許文献2】Araiら、Journal of Applied Polymer Science 2001、80:297〜303頁
【非特許文献3】Blackburnら、Langmuir 2006、22:5636〜5644頁
【非特許文献4】Inoueら、JBC 2000、275、40517〜40528頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本開示の目的は、絹タンパク質膜、繊維およびそれらの組合せから作られる改善された医用デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示は、以下のステップを有する医用デバイスの製造方法を教示する:絹タンパク質材料を準備するステップ、絹タンパク質材料にポリマー性カチオン性抗菌性材料を含浸させるステップ、および含浸した絹タンパク質膜を乾燥するステップ。
【0022】
ポリマー性カチオン性抗菌剤は、本発明の1つの態様においてはポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。
【0023】
本開示はまた、ポリマー性カチオン性抗菌剤を含浸させた絹タンパク質材料から作られた医用デバイスを教示する。絹製医用デバイスは、適用または埋め込み部位でポリマー性カチオン性抗菌剤を放出する。絹製医用デバイスは、感染防止を可能にし、または既に感染した創傷の治療を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】用いた絹製材料のPAGE分析を示す図である。
【図2】PHMBを担持する前および後の絹製材料の乾燥および湿潤重量を示す図である。
【図3】本発明による絹製医用デバイスからのPHMBの放出を示す図である。
【図4】Suprasorb X+PHMB創傷被覆材からのPHMBの放出を示す図である。
【図5】本発明による絹製材料によるPHMBの取り込みの計算量および実測量を示す図である。
【図6】本発明による、様々なpH値における絹製医用デバイスのPHMBの取り込みを示す図である。
【図7】本発明による、様々な時間の間における絹製医用デバイスからのPHMBの放出を示す図である。
【図8】絹の布地および膜試料によるPHMBの取り込みを示す図である。
【図9】本発明によるPHMB担持絹繊維からのPHMBの放出を示す図である。
【図10】本発明によるPHMB担持絹製医用デバイスの製造方法のスキームを示す図である。
【図11】本発明によるPHMB担持絹製医用デバイスの製造装置を示す図である。
【図12】本発明による絹製医用デバイスを示す図である。
【図13】異なった厚みを有する絹タンパク質膜のPHMBの取り込みを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明およびその利点を完全に理解するために、添付の図面を併用して以下の詳細な説明に言及する。
【0026】
本明細書で開示される本発明の種々の態様および実施形態は、本発明を実施し使用するための具体的な方法を単に例示するものであり、したがって添付の特許請求の範囲ならびに以下の詳細な説明および添付の図面とともに考慮する際に発明の範囲を限定しないことを認識されたい。
【0027】
本発明の1つの態様および実施形態からの特徴は、本明細書で開示される本発明の仕様または実施を考慮することによって当業者には明白になるであろうということ、ならびにこれらの特徴は本発明の他の態様および実施形態からの特徴と組み合わせることができることを理解されたい。
【0028】
図10に、本発明によるポリカチオン性抗菌性化合物、たとえばポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)が担持された絹製医用デバイス60の製造方法のスキームを示す。
【0029】
第1ステップ100において、絹タンパク質溶液10を調製する。絹タンパク質溶液10は0.3〜30%(w/w)の絹タンパク質含量を有する。絹タンパク質溶液10は、水系溶媒、たとえばこれだけに限らないが脱イオン水を用いて調製する。絹タンパク質溶液10は、たとえば米国特許第7041797号に記載されているように調製する。
【0030】
次に絹タンパク質溶液10を絹タンパク質材料15の製造のために用いる。絹タンパク質材料15は、絹タンパク質膜40の形態または絹タンパク質繊維50の形態で作ることができる。
【0031】
絹タンパク質膜40は、絹タンパク質溶液10を固体支持体20の上に移すことによって形成される。固体支持体20はガラスもしくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または絹タンパク質とともに用いるのに適した他の材料から作ることができる。
【0032】
絹タンパク質繊維50は、絹タンパク質溶液10を生体模倣紡糸装置30に移すことによって形成され、ここで絹タンパク質繊維50が紡糸によって形成される。絹タンパク質繊維50は、本出願人らによって欧州特許第1244828号および国際出願公開第2008/052755号に記載されているように形成される。
【0033】
ステップ110において絹タンパク質溶液10は固体支持体20の上で乾燥され、絹タンパク質材料15を形成し、これが絹タンパク質膜40を形成する。絹タンパク質溶液10を乾燥する時間は絹タンパク質溶液10のタンパク質含量および絹タンパク質溶液10からの溶媒の蒸発速度に依存する。室温および常圧で乾燥するためには、絹タンパク質溶液10の絹タンパク質含量が1〜10%である場合には、絹タンパク質溶液10の乾燥時間は8時間〜48時間の間で変動し得る。蒸発速度はたとえば真空技術の使用によって変動し得る。
【0034】
別法としては、絹タンパク質溶液10を紡糸装置30によって紡糸し、絹タンパク質繊維50を形成させる。
【0035】
次のステップ120において、形成された絹タンパク質材料15は、それが絹タンパク質膜40であろうと、または絹タンパク質繊維50であろうと、それぞれ固体支持体20または紡糸装置30から取り出される。
【0036】
ステップ130において、形成された絹タンパク質材料15にポリマー性カチオン性抗菌剤55が担持され、絹製医用デバイス60が製造される。絹タンパク質材料15には含浸技術によってポリマー性カチオン性抗菌剤55が担持される。ポリマー性カチオン性抗菌剤55の1つの例はポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である。ポリマー性カチオン性抗菌剤55を絹タンパク質材料15に含浸するための正確な条件は、ポリマー性カチオン性抗菌剤55の溶液の濃度、温度および用いる絹タンパク質材料15の厚みに依存する。
【0037】
厚み60μmの絹タンパク質膜40を5%のPHMB溶液に室温で終夜インキュベーションすることが、たとえばSuprasorb X+PHMB(Lohmann Rauscher)等の市販のPHMB担持セルロース被覆材と同様の量および放出動態を有するPHMBの放出を可能にする絹製医用デバイス60を製造するのに充分であることが見出された。
【0038】
次のステップ140において、ポリマー性カチオン性抗菌剤55を担持した絹タンパク質膜40または絹タンパク質繊維50は適当な容器に移され、絹製医用デバイス60としての更なる使用まで保存される。絹製医用デバイス60は、皮膚80の上の創傷70上で用いることができる。
【0039】
製造された絹製医用デバイス60は、保存容器中でγ線照射の使用により滅菌することができる。
【実施例】
【0040】
本発明を実施するための特定の実施形態の以下の例は説明の目的のみに提供されるものであり、いかなる様式においても本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例1】
【0041】
絹タンパク質溶液10を、本出願人によってWO2007/098951に記載された方法に従って調製した。絹タンパク質溶液10中に存在する絹タンパク質の純度は、PAGEによって分析した(図1参照)。PAGE分析によって、絹膜15の製造のために用いた絹タンパク質の純度は95%より大きいことが確かめられた。
【実施例2】
【0042】
絹タンパク質膜40(50×50×0.06mm)を、出願人によって国際出願公開第2007/098951号に記載された方法に従って調製した。それぞれの絹タンパク質膜40に、それぞれ直径5mmの穴を16個ずつ穿孔した。絹タンパク質膜40を蒸留水中で終夜洗浄した。絹タンパク質膜40のそれぞれ個別の重量を記録した(乾燥重量1)。次にそれぞれの絹タンパク質膜40を個別に5%PHMB水溶液20mlに振盪器上で16時間、60rpmで浸漬した。陰性対照として、絹タンパク質膜40を脱イオンH2O20ml中で16時間、60rpmでインキュベートした。次に絹タンパク質膜40のそれぞれをPHMB溶液から取り出して秤量した(湿潤重量1)。PHMBを担持した絹タンパク質膜40を室温で終夜、乾燥させた。得られたそれぞれの乾燥絹製医用デバイス60の重量を記録した(乾燥重量2)。絹タンパク質膜40によって吸収されたPHMBの量(mg)を、乾燥重量2と乾燥重量1との差として計算した(図2−膜あたりのPHMB吸収を参照)。絹タンパク質膜40のそれぞれ1枚によって取り込まれたPHMB担持溶液の量を、湿潤重量1と乾燥重量1との差として計算した(図2−PHMB溶液の取り込みを参照)。
【0043】
製造した絹製医用デバイス60からのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出プロファイルを、水中および塩の存在下に検討した。市販のPHMB担持創傷被覆材(Suprasorb X+PHMB、Lohmann & Rauscher、5×5cm)を分析における対照として用いた。感染創傷に治療上有意義な創傷被覆材の目標とするPHMB放出プロファイルを定義するため、Suprasorb試料のPHMB放出量および放出動態を内部標準として用いた。
【0044】
絹製医用デバイス60およびSuprasorb試料を2つの群に分け、dH2O20ml(1群)または0.9%NaCl20ml(2群)のいずれかの中で個別に、ペトリ皿中60rpm、37℃でインキュベートした。次に0、10、30分、1、2、4、24および48時間間隔で試料を取ることによって、それぞれの試料からのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を測定した。ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PHMB)の濃度を、236nmにおける分光分析によって決定し、新たに作成した較正曲線を用いて計算した。dH2O(1群)および0.9%NaCl(2群)中に時間とともに放出された全ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)を、図3(絹製医用デバイス60)および図4(Suprasorb)に示す。図3および図4の結果より、絹製医用デバイス60は4時間後にdH2O中で15.3mg放出、0.9%NaCl中で10.8mg放出し、Suprasorb試料に関する4時間後、dH2O中のわずか6.5mg、0.9%NaCl中の7.1mgと比較して、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)のより速い放出開始を示すことが分かった。48時間後には、絹製医用デバイス60はdH2O中でPHMB20.1mg、NaCl中で11.9mgを放出したのに比較して、SuprasorbではdH2O中7.6mg、NaCl中8.6mgであった。これらの結果より、市販のPHMB創傷被覆材の放出プロファイルと匹敵するPHMB放出プロファイルを有する絹タンパク質膜40を製造できることが確かめられる。陰性対照試料(PHMBを含まない膜)はPHMBの放出を全く示さなかった(データは示していない)。
【0045】
溶媒の蒸発の間には、絹タンパク質膜40へのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)のいかなる特定の吸収もなく、絹タンパク質膜40にポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の物理的捕捉が起こると仮定すれば、重量増加は、それぞれの膜によって取り込まれるポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)担持溶液中のポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の量と等価になるはずである(図2−PHMB溶液の取り込みを参照)。したがって、PHMB担持後の予想される重量増加(図5−PHMBの計算量を参照)は、それぞれ6.22mgPHMB(1群)および6.64mgPHMB(2群)であったはずである。しかし、記録された実際の重量増加は、それぞれ23.3mgPHMB(1群)および23.9mgPHMB(2群)であり、物理的捕捉では説明できない17.08mgおよび17.27mgのPHMBが残る(図5参照)。したがって、絹製材料にPHMBを担持した後の20%近い乾燥重量の増加(19.55%(1群)および18.12%(2群))をもたらす、絹タンパク質膜40へのPHMBの観察された強い吸収は、静電的相互作用等の他の因子に由らなければ説明できないであろう。全PHMBの90%がdH2Oに放出されたのと比較すると、0.9%NaCl中でのPHMBの放出は著しく遅く、48時間後に全PHMBの50%だけが放出された(図3も参照)。したがって、イオンの遮蔽効果がポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)と絹タンパク質膜40との間の静電的相互作用に影響していることはあり得るであろう。
【実施例3】
【0046】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は16時間、室温で、4つの別々の群でpHを5.2、6.0、7.0および8.0に調整した5%PHMB20ml中で実施した。次にPHMBの取り込みを膜乾燥重量の百分率として測定した。結果を図6に示す。PHMBの担持は、pH8でポリマー性カチオン性抗菌剤55(PHMB)とインキュベートした絹タンパク質膜40において最大であった。
【実施例4】
【0047】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は10分、2および16時間、37℃で、5%PHMB20ml中で実施した。陰性対照として、絹タンパク質膜40をdH2Oのみでインキュベートした。次に、実施例2に記載されたように24時間までのPHMBの放出を測定した。図7に示す放出プロファイル(陰性対照は示していない)により、PHMB溶液中の絹タンパク質膜40のインキュベーション時間がPHMBの放出量を決定することが示される。
【実施例5】
【0048】
単層の絹織物布地試料を長方形の試料に切って秤量した。実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。絹布地試料および絹タンパク質膜40の平均乾燥重量は同程度で、それぞれ118mg(布地)および114mg(膜)であった(図8参照)。しかし両方の試料は表面積に関して異なり、絹織物布地試料については推定186cm2、絹タンパク質膜40については44cm2であった。乾燥重量1gあたりのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の取り込みは両方の試料について同程度で、絹織物布地試料によって0.13mgのPHMB、絹タンパク質膜40によって0.19mgが取り込まれた。これらのデータから、絹タンパク質膜40に比較して4倍を超える布地試料の表面積の増加は、絹織物布地に担持されたポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の量の増加にはつながらないことが示唆される。試料重量に関して考慮すると、PHMBの取り込みは絹織物布地と絹タンパク質膜40とでほぼ同程度である。したがって、絹タンパク質材料へのポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の担持は、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の担持に利用可能な絹タンパク質材料の量によって支配されるようであり、表面積の影響はそれほど重要でないようである。
【実施例6】
【0049】
絹タンパク質繊維50を、出願人によってEP1244828およびWO2008/052755に記載されたように生体を模倣して紡糸した。絹タンパク質繊維50の3試料(長さ15cm)を12時間、室温で、3%ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)溶液中でインキュベートし、乾燥した。実施例2に記載されたように、ポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出プロファイル(図9参照)を測定した。インキュベートした絹タンパク質繊維50はポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を示し、絹タンパク質繊維50の対照物(即ちインキュベートしていないもの)はポリマー性カチオン性抗菌剤55(PMBH)の放出を示さなかった。
【実施例7】
【0050】
絹製医用デバイス60は創傷70の治療に用いることができる。図12に、創傷を負った対象者の皮膚80の上に存在する創傷70の上に置かれた絹製医用デバイス60を示す。絹製医用デバイス60が創傷70の上に置かれると、絹製医用デバイス60からポリマー性カチオン性抗菌剤55が放出されて創傷70は治療される。
【実施例8】
【0051】
実施例2に記載されたように厚み20、50および100μmの絹タンパク質膜40を調製した。担持は24時間、室温で、5%PHMB20ml中で実施した。次にそれぞれの膜の乾燥重量を測定することにより、PHMBの取り込みを測定した。結果を図13に示す。PHMBの取り込みは、膜の厚みおよびフィブロインの量にそれぞれ比例している。
【実施例9】
【0052】
実施例2に記載されたように絹タンパク質膜40を調製した。担持は24時間、室温で、5%PHMB20ml中で実施した。抗菌活性は対数期のE.coli XL1細胞を接種した寒天上の放射拡散分析によって示した。PHMBを担持したおよび担持しない絹タンパク質膜を寒天の上に置き、37℃で16時間培養した。PHMB膜の周囲の寒天は透明なゾーン(ハロー)を示し、抗菌活性が確認された。対照膜の周囲の寒天は抗菌活性を示さなかった。
【0053】
本発明をこのように詳細に記述したが、上記の本発明の詳細な説明はその本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。当業者であれば上記の考察を踏まえて他の変形、修正および代替を認識するであろう。
【0054】
特許証によって保護されることを希望するものは以下の特許請求の範囲に記述されたものである。
【符号の説明】
【0055】
10 絹タンパク質溶液
15 絹タンパク質材料
20 固体支持体
30 生体模倣紡糸装置
40 絹タンパク質膜
50 絹タンパク質繊維
55 ポリマー性カチオン性抗菌剤
60 絹製医用デバイス
70 創傷
80 皮膚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絹タンパク質材料(15、40、50)を準備するステップと、
絹タンパク質材料(40、50)にポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸させるステップとを含む、
医用デバイス(60)を製造する方法。
【請求項2】
絹タンパク質材料(40、50)にポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸させるステップが、絹タンパク質材料(40、50)をポリマー性カチオン性抗菌剤(55)の溶液に浸漬するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
絹タンパク質材料(15、40、50)が、絹タンパク質膜(40)または絹タンパク質繊維(50)のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)がポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸した絹タンパク質材料(15、40、50)を含む医用デバイス(60)。
【請求項6】
絹タンパク質材料(15、40、50)が、絹タンパク質膜(40)または絹タンパク質繊維(50)のうちの少なくとも1つから選択される、請求項5に記載の絹製医用デバイス(60)。
【請求項7】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)がポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である、請求項5または6に記載の絹製医用デバイス(60)。
【請求項8】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)が絹製医用デバイス(60)に、絹製医用デバイス(60)の乾燥重量の0.1%〜30%の間で含浸された、請求項5から7のいずれか一項に記載の絹製医用デバイス。
【請求項9】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)が含浸された絹タンパク質材料(15、40、50)を含む絹製医用デバイス(60)と、
前記絹製医用デバイス(60)を含有する容器と、
絹製医用デバイス(60)を創傷(70)に適用するための指示書とを含む、
キット。
【請求項10】
γ線照射を用いて滅菌されている、請求項9に記載のキット。
【請求項1】
絹タンパク質材料(15、40、50)を準備するステップと、
絹タンパク質材料(40、50)にポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸させるステップとを含む、
医用デバイス(60)を製造する方法。
【請求項2】
絹タンパク質材料(40、50)にポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸させるステップが、絹タンパク質材料(40、50)をポリマー性カチオン性抗菌剤(55)の溶液に浸漬するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
絹タンパク質材料(15、40、50)が、絹タンパク質膜(40)または絹タンパク質繊維(50)のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)がポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)を含浸した絹タンパク質材料(15、40、50)を含む医用デバイス(60)。
【請求項6】
絹タンパク質材料(15、40、50)が、絹タンパク質膜(40)または絹タンパク質繊維(50)のうちの少なくとも1つから選択される、請求項5に記載の絹製医用デバイス(60)。
【請求項7】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)がポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)である、請求項5または6に記載の絹製医用デバイス(60)。
【請求項8】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)が絹製医用デバイス(60)に、絹製医用デバイス(60)の乾燥重量の0.1%〜30%の間で含浸された、請求項5から7のいずれか一項に記載の絹製医用デバイス。
【請求項9】
ポリマー性カチオン性抗菌剤(55)が含浸された絹タンパク質材料(15、40、50)を含む絹製医用デバイス(60)と、
前記絹製医用デバイス(60)を含有する容器と、
絹製医用デバイス(60)を創傷(70)に適用するための指示書とを含む、
キット。
【請求項10】
γ線照射を用いて滅菌されている、請求項9に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−264244(P2010−264244A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−111487(P2010−111487)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(510132897)スピンテック エンジニアリング ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】Spintec Engineering GmbH
【住所又は居所原語表記】Kurbrunnenstr.22,52066 Aachen,Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111487(P2010−111487)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(510132897)スピンテック エンジニアリング ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】Spintec Engineering GmbH
【住所又は居所原語表記】Kurbrunnenstr.22,52066 Aachen,Germany
【Fターム(参考)】
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