説明

抗菌性樹脂加硫ゴム物品及び未加硫組成物

本発明は、加硫ゴム物品に非常に望ましい長期間持続する抗菌特性を与えるための銀ベース化合物を含む、少なくとも主要重量の非シリコーン加硫ゴムから製造される、ある種の非シリコーン樹脂加硫ゴム物品に関する。このような物品は、固体又は発泡状(発泡体又はスポンジ)、或いは多層形状における両方の組み合わせであり、様々な異なった用途に利用され得る。本発明は、加硫を可能にし、銀イオンと不可逆的に結合せず、それによって最終ゴム物品自体の長期間持続する抗菌特性を生ずる、樹脂加硫剤のような非硫黄ベース加硫系及び加硫剤の存在を包含する。本発明はまた、最終樹脂加硫ゴム物品に非常に望ましい長期間持続する抗菌特性を与えるための銀ベース化合物を含む、少なくとも主要重量の非シリコーンゴムから製造される、ある種の非シリコーン未加硫生ゴム組成物を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫ゴム物品に非常に望ましい長期間持続する抗菌特性を与えるための銀ベース化合物を含む、少なくとも主要重量の非シリコーン加硫ゴムから製造される、ある種の非シリコーン樹脂加硫ゴム物品に関する。このような物品は、固体又は発泡状(発泡体又はスポンジ)、或いは多層形状における両方の組み合わせであり、様々な異なった用途に利用され得る。
【0002】
銀ベース化合物は、硫黄ベース化合物及び/又は系のような、標準的加硫剤及び加硫促進剤の利用によって悪影響を受けるので、このような有効な抗菌性加硫ゴム物品を提供することはかなり困難である。しかしながら、本発明は、加硫を可能にし、銀イオンと不可逆的に結合せず、それによって最終ゴム物品自体の長期間持続する抗菌特性を生ずる、樹脂加硫剤のような異なった非硫黄ベース加硫系及び加硫剤の存在を包含する。ゴム物品は、ゴム物品中で抗菌効力の制御を、同時に意外にも向上する一方で、最終ゴム物品に寸法安定性、剛性、曲げ弾性率、引張り強度、耐摩耗性、伸びなどの望ましい特性を与えるために、フィラー及び/又は可塑剤も含み得る。本発明はまた、抗菌性加硫ゴム含有物品の簡単な製造方法を提供する。更に本発明は、最終樹脂加硫ゴム物品に非常に望ましい長期間持続する抗菌特性を与えるための銀ベース化合物を含む、少なくとも主要重量の非シリコーンゴムから製造される、ある種の非シリコーン未加硫生ゴム組成物を包含する。
【背景技術】
【0003】
以下に引用した全ての米国特許は、その全体を引用してここに組み込む。
近年、潜在する日常的な暴露から細菌性汚染が生じる危険について、かなりの注意が払われてきている。これに関する注目すべき例は、ファーストフード店で十分に加熱調理されていない牛肉から発見された菌株 Eschericia coli による食中毒、十分に加熱調理されていない不潔な鶏肉製品からの Salmonella enteritidis 汚染が引き起こす病気、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、イースト(Candida albicans)、他の単細胞微生物に起因する病気や皮膚感染症の致命的な結果を含む。この分野に興味をもつ消費者が増加するにつれ、製造業者が様々な日常製品や物品の中に抗菌剤を導入し始めるようになった。例えば、あるブランドのまな板、靴底、靴の中敷、医療機器及び器具、液体石鹸などは全て抗菌性化合物を含む。このような物品について最も普及している抗菌剤は、トリクロサンである。液体又はある重合媒体中へのこのような化合物の配合は比較的簡単であるが、他の基材、特に加硫ゴム及びその表面についてはほとんど適用されていない。更に、このようなトリクロサン添加剤は、ある種の菌に対して使用が困難であるか又は効果的でないことが分かっている。例えば、トリクロサン自体は、ある重合基材及び/又は基質の中で及び外へ容易に拡散し(従って、耐久性に乏しく)、熱安定性に欠け(従って、高温でゴム及びゴム様物質から容易に浸出され)、広範な殺菌性を与えない(例えば、Pseudomonas aeruginosa に対する殺菌性を示さない)。
【0004】
抗菌性ゴム組成物は、抗菌性作用だけでなく抗真菌性、抗カビ性、防汚性及び臭気制御特性を与えるために、加硫ゴム物品及び組成物の製造にとって、間違いなく強く望まれている。ゴム物品は、車(ホース、タイヤ、バンパーなど)から家庭用品(おもちゃ、流し台、ガスケット、電気・ガス機器、床マット、ドアマット、カーペット付ゴムマット、手袋など)まで、及び菌の成長が潜在的問題となっている他分野を含む多くの異なった用途に利用されている。従って、最終加硫ゴム物品中で長期間持続する抗菌性、抗真菌性などの効果を与える、有効な耐久性と信頼性のある抗菌性未加硫ゴム組成物を提供するという、古くから存在する要求がなお残っている。残念ながら、このように強く望まれている銀ベース抗菌剤含有の抗菌性ゴム組成物及び/又は加硫ゴム物品は、今まで関連する従来技術によって提供されていない。
【0005】
最も近い技術は、銀複合物の存在により抗菌特性を示す未加硫ゴム組成物及び物品の製造について開示している日本国特許出願第 1997-342076 号を含んでいる。このような組成物は、酸素フリー雰囲気中、高温混練で作られ、水消毒システムで部品として使用されている。また、加硫ゴムは、この公報では教示されておらず、又は得られてもいない。
【0006】
抗菌性ゴムバンドは、その中に銀抗菌剤を伴う加硫形で、日本国特許出願第 1997-140034 号に教示されている。しかしながら、このようなコンパウンドは、使用がかなり制限されており、対象ゴムの最終加硫物を実現するため、加硫工程で硫黄加硫剤を含まなくてはならない。このような硫黄加硫剤は、銀ベース抗菌剤に、硫黄が銀イオンと反応して硫化銀を形成して殺菌剤として無効にするという、著しい悪影響を与える。このように、大規模な抗菌性物品のための、そして物品中での、このような特定のゴムバンド組成物の利用は、基本的に実現不可能である。
【0007】
ある種の抗菌性過酸化物触媒加硫ゴム組成物は、これまで製造されてきた;しかしながら、このような過酸化物加硫ゴムは、全てシリコーンベースであった。シリコーンゴムは典型的な硫黄ベース触媒によって加硫できないことが、よく理解され、認められている。従って、米国特許第 5,466,726 号や日本国特許出願第 1997-026273 号及び同第 1995-065149 号の抗菌性ゴム組成物は、ある抗菌性化合物を含む、標準的加硫シリコーンゴム組成物及び物品である。また、ブチルゴム並びにその誘導体であるクロロブチルゴム及びブロモブチルゴムのようなある種のゴムは、過酸化物ベース加硫系を用いて加硫する場合に解重合する傾向がある。
【0008】
更に、抗菌剤を含むゴムラテックス(未加硫)が、パイル繊維成分中に配合されている銀ベース抗菌剤を有する床マットとして開示されている(例えば米国特許第 5,736,591 号)。この床マットは、パイル繊維抗菌性化合物を硫黄化合物による攻撃から保護するために、過酸化物触媒加硫で硬化した非抗菌性ゴム裏剤を有する(日本国特許出願第 1993-3555168 号及び同第 1995-38991 号)。しかしながら、今までのところ、銀ベース抗菌性化合物の長期間持続する有効な利用によって優れた抗菌特性を示す、加硫非シリコーンゴム組成物又は物品の製造の開示及び示唆は存在していない。本発明は、このような空隙を埋める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の目的は、抗菌力又はモジュラス強度が検知し得るレベルで失われること無く、反復使用に耐えるのに十分な抗菌活性及び構造一体性を示す、抗菌性樹脂加硫ゴム含有物品を提供することである。本発明の別の目的は、樹脂加硫剤を含み、最終加硫物品の抗菌活性に悪影響を及ぼさない(従って、必然的に硫黄ベース加硫剤及び加硫促進剤を含まない)、銀ベース抗菌性化合物を含む抗菌性加硫ゴム組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、Staphylococcus aureus 及び Klebsiella pneumoniae(及び/又は他のタイプの菌)に対して室温での 24 時間暴露後に、少なくとも 1.0 の対数殺菌率を示し、少なくとも 10 日間の暴露後にある種の真菌の成長を妨げる、樹脂加硫ゴム含有物品を提供することである。更に、本発明の別の目的は、物品表面への銀イオン放出を制御することにより、物品自体の抗菌効果の制御を向上する(例えば、Staphylococcus aureus 及び Klebsiella pneumoniae に対して高い対数殺菌率を示し、Aspergillus niger のような真菌の成長を妨げる。)、構造一体性フィラー成分及び可塑剤(例えば、シリカ、金属塩、有機塩、顔料(例えば、カーボンブラック)、炭酸カルシウム、パラフィンオイル、フタレートオイル、金属酸化物など)を含む、樹脂加硫ゴム含有物品を提供することである。また、別の目的は、抗菌効果又はモジュラス強度が検知し得るレベルで失われること無く、反復使用に耐えるのに十分な抗菌活性及び構造一体性の樹脂加硫ゴム物品を最終的に提供する、抗菌性未加硫生ゴム組成物を提供することである。更に別の目的は、このような抗菌性樹脂加硫ゴム含有物品の簡単な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、本発明は、室温での24時間暴露後に、Staphylococcus aureus 及び Klebsiella pneumoniae に対して、各々少なくとも 1.0 の対数殺菌率を示す、寸法安定樹脂加硫ゴム含有物品を包含する。また、本発明は、試験方法 ISO 846 に従って、30 ℃、湿度90%超で少なくとも 10 日間試験した場合に、Aspergillus niger ATCC 6275 の少なくとも 60 %の抑制を示すような抗真菌特性を示す寸法安定ゴム含有物品を包含する。更に本発明は、フィラー(例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機塩、有機塩、シリカ及びこれらの混合物)及び可塑剤(フタレートオイル及びパラフィンオイルのようなオイル)からなる群から選ばれるような、少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤を含む、樹脂加硫ゴム含有物品を包含する。本発明はまた、大部分は非シリコーンゴムである少なくとも 1 種のゴム成分、少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物及び少なくとも 1 種の樹脂加硫化合物を含む未加硫ゴム組成物であって、前記組成物中に存在する前記樹脂加硫化合物の全てが、検知し得る量の硫黄ベース化合物を含まず、前記ゴム組成物が、任意に、少なくとも 1 種の発泡剤、少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤及び前記銀ベース抗菌性化合物以外の少なくとも 1 種の抗真菌性添加剤を含む、未加硫ゴム組成物を包含する。加えて本発明は、未加硫ゴム、少なくとも 1 種の非硫黄ベース樹脂加硫剤及び少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物のゴム組成物を供給し、前記ゴム組成物を少なくとも 150 ℃の温度かつ少なくとも 3 bar の圧力で加硫する工程を含み、前記ゴム組成物が実質的には硫黄加硫剤及び加硫促進剤を含まない、加硫ゴム含有物品の製造方法を包含する。
【0011】
用語「寸法安定」は、より小さい部分への崩壊無しに構造上取り扱われ得る、加硫ゴム物品を含むことが意図される。従って、物品は、ある程度の構造一体性を示し、ゴムであり、ある程度の曲げ弾性率を示さなければならない。
【0012】
このような特定の抗菌性樹脂加硫ゴム含有物品は、ゴム産業又は従来技術において教示又は明確には示唆されていない。上述したように、検知し得る量の硫黄ベース加硫剤及び加硫促進剤の不使用は、最終生成物中で、少なくとも Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa 及び Eschericia coli に対して長期間持続する対数殺菌率を与えるのに十分な量の銀抗菌剤の保持を可能にする。更に、主として高コストのため、非硫黄加硫剤は、加硫ゴム組成物及び物品に一般的に用いられていない。このように、抗菌性加硫ゴム物品を有効に形成するための未加硫ゴム組成物中での、非硫黄加硫剤(最も好ましくは樹脂加硫剤)と銀ベース抗菌剤の組み合わせに関する教示又は明確な示唆は存在していない。
【0013】
加えて、ある種のフィラー及びオイル(例えば、フィラーとしてのシリカ、カーボンブラック、ステアリン酸塩、並びにフタレートオイル及びパラフィンオイル)は、加硫ゴム物品に曲げ弾性率及び構造一体性の両方を与えるため、必須ではないが一般的には必要である。ゴム成分単独では、一般に、このような添加剤無しでは適当な寸法安定を示さない。驚くべきことに、このような添加剤の存在は、目的物品表面での銀イオン放出を制御する能力も与える。特定の科学理論に拘束されることを意図しないが、(例として)シリカのようなフィラー及びパラフィンオイルのようなオイルは、物品に水分を取り込むように働き、そうして、物品内部から表面へ銀イオンを移動させると考えられる。このような状況において、ゴム物品は、向上した銀放出性を示すので、より多量の利用可能な表面銀イオンの存在により、菌に対して高い対数殺菌率を生じ得る。
【0014】
他の疎水性フィラー、例えば顔料(例えばカーボンブラック)及び炭酸カルシウムは、目的物品の外に水を維持し、物品表面への銀イオンの移動を防ぐという逆の挙動を示すと考えられる。従って、このような銀イオン利用性の低下は、ゴム物品の抗菌効力を低下させる。実質的に、全ゴム物品の実際の抗菌効力は、ある量のこのような一般的に望ましいフィラー及びオイルの存在によって制御され得る(ある親水性帯電防止剤も、シリカと同じ挙動を示す。)。
【0015】
結果として、最終物品の寸法弾性及び/又は曲げ弾性率(並びに実際の有用性)を与えるのに望ましい必要なフィラー及び/又はオイル成分は、ゴム産業において今まで認められていなかった 2 つの目的に役立つ。ゴム物品は、特定量のこのような添加剤の添加による望ましい抗菌活性の持続性に応じて、特定の最終用途を考慮して、製造され得る。また、このような目標とする持続抗菌性加硫物品及びその利益は、今まで、ゴム産業において知られておらず、認識されていなかった。これらのゴム成分は、以下「銀イオン放出制御添加剤」と称される。
【0016】
上述のように、用語「ゴム」は、加硫されて寸法安定ゴム物品を提供する全ての標準的なゴムを示す。特定のタイプのゴムを以下に示すが、これらは、ゴム産業における様々な用途に既に使用されてきており、一般に従来技術でよく知られ、教示されている。このような本発明のゴム組成物及びゴム加硫物品は、補強に必要なフィラー(例えば炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ及びクレー)に加えて、配合及び加工中、エラストマーの分解段階を助長する(そして、最終物品に曲げ弾性特性を与える)、化学的可塑剤も有するべきである。任意に、発泡ゴム物品(例えば、発泡体又はスポンジ)形成のために、発泡剤を、本発明の組成物に添加し得る。
【0017】
従って、本発明のゴム組成物及びゴム加硫物品のゴム成分は、ニトリルゴム(例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR))、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、フルオロエラストマーゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えばクロロブチルゴム及びブロモブチルゴム)、イソプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリレートゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素化 NBR、カルボキシル化 NBR、ポリブタジエンゴムなどからなる群から選ばれる。
【0018】
他の種類のゴムを、異なる強度、柔軟性又は他の特性を与えるために、ベースとなるゴムに混合することもできる。そして、このような他成分は、限定するわけではないが、ニトリルゴム(例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR))、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、フルオロエラストマーゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えばクロロブチルゴム及びブロモブチルゴム)、イソプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリレートゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素化 NBR、カルボキシル化 NBR、ポリブタジエンゴムなどを含み得る。
【0019】
シリコーンゴムの存在は、本発明の組成物中では望ましくないが、全体的な抗菌性ゴム組成物自体に悪影響を及ぼすことなく、少量のある特定の未加硫ゴム成分を添加する可能性は残されている。従って、組成物の総重量の 25 %までは、シリコーンゴムであってもよい。しかしながら、ゴム組成物の大部分は非シリコーンゴムでなくてはならない。更に、非シリコーンゴム部は、検知し得る量の硫黄ベース加硫剤又は残留物(最終物品中に)を有してはならず、従って、主として非硫黄ベース化合物(例えば、樹脂、過酸化物及び/又は金属酸化物)による硬化によって加硫されなくてはならない。ゴム成分は、全組成物の約 10〜約 1,000 部、より好ましくは約 50〜約 500 部、最も好ましくは約 70〜約 200 部の量で存在する。従って、目的加硫ゴム物品中、約 100〜約 2,000 部の全体部数で、ゴムは全物品の部数の約 25〜約 70 %を構成する。残りは、フィラー、オイル、加硫剤、望ましい抗菌剤、任意に発泡剤などのような添加剤を含む(以下でより詳細を示す)。
【0020】
本発明の生ゴム組成物の抗菌剤は、標準的銀ベース化合物のいずれでもあり得る。トリクロサンのような有機物タイプと対照的に、このような化合物は低い熱安定性を示さず、異なった温度で対象基質又は基材中に一般的には残る。従って、このような抗菌剤は、上述したように、所望される表面放出のために、より制御し易い。このような抗菌剤は、限定するわけではないが、銀塩、酸化銀、銀元素、並びに最も好ましくは、イオン交換物、ガラス及び/又はゼオライト化合物である。この目的のためにより好ましいのは、銀ベースイオン交換化合物である。その理由は、このような化合物によって最終生成物に与えられる低レベルの変色及び向上した耐久性、最終組成物にこのような化合物が与える効力、及びこのような特定の化合物で可能になる製造の容易さにある。従って、本発明の抗菌剤は、単に代表的な微生物にすぎないが、前述した Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coli 及び Pseudomonas aeruginosa に対する望ましい対数殺菌率を与える、いずれのタイプでもあり得る。更に、このような抗菌性化合物は、本発明の非硫黄(例えば樹脂)加硫ゴム含有物品中にうまく配合するための、高い加工温度に耐えなくてはならない。また、このような抗菌剤は、好ましくは、銀含有イオン交換物、ガラス及び/又はゼオライト化合物を含む。最も好ましくは、このような化合物は、銀ベースイオン交換化合物であり、特に更なる有機殺菌性化合物を含まない(それによって、高温加工などの間、大気中への揮発性有機化合物の放出が生じない)。
【0021】
好ましい銀ベースイオン交換材料は、Milliken & Company から商品名 ALPHASAN(登録商標)で入手できる、抗菌性銀ジルコニウムホスフェートである。このような化合物は、異なった銀イオン濃度で、及び酸化亜鉛との混合物として入手できる。従って、銀イオン濃度が全成分量(例えば、銀イオン及びジルコニウムホスフェートの総量)の約 0.01〜15 %、より好ましくは約 3〜約 10 %、最も好ましくは約 10 %の異なった化合物が可能である。本発明における他の潜在的に好ましい銀含有固体無機抗菌剤は、Sinanen から商品名 ZEOMIC(登録商標)で入手できる銀置換ゼオライト、又は Ishizuka Glass から商品名 IONPURE(登録商標)で入手できる銀置換ガラスであり、好ましい種に加えて又は替えて使用され得る。他の可能な化合物は、これらに限定するわけではないが、DuPont から MICROFREE(登録商標)で入手できる銀ベース材料、同様に Johnson Mathey から JMAC(登録商標)で入手できる銀ベース材料である。
【0022】
一般的にこのような抗菌性化合物は、ゴム組成物に、ゴム組成物の総重量の約 0.1〜10 重量%、好ましくは約 0.1〜約 5 重量%、より好ましくは約 0.1〜約 2 重量%、最も好ましくは約 2 重量%の量で添加される。
【0023】
更に、銀ベース無機抗菌性材料に関して、抗菌性ゴム物品は、このような物品に要求されている望ましい高いレベルの効力及び耐久性のために、特に適していることが示されている。ある銀ベースイオン交換化合物、例えば Milliken & Company から入手できる ALPHASAN(登録商標)ブランド抗菌剤は、印象的な生物効力を示すことが分かっている(東亞合成株式会社の米国特許第 5,926,238 号、同第 5,441,717 号、同第 5,698,229 号)。一定時間後、代替抗菌性化合物(例えば、トリクロサン、Microchek、OBPA、Zn-omadine)は、まず高加工温度下で分解を受け、周囲の環境へ浸出し、最終的に殺菌活性を枯渇させる殺生物剤の消耗をもたらす。しかしながら、銀含有イオン交換物、ガラス及び/又はゼオライト化合物は、このような欠点を有していない。このような抗菌剤は、高温(> 1000 ℃)安定性を示し、環境に浸出せず、望ましい長い耐久性を与えるための実質量の微量作用の銀イオンを提供する。
【0024】
本発明の抗菌性物品は、ATCC 試験方法 6538 に従って試験した場合に Staphylococcus aureus に対して、ATCC 試験方法 4352 に従って試験した場合に Klebsiella pneumoniae に対して、24 時間後、許容できる対数殺菌率を示さなければならない。このように良好なレベルの対数殺菌率は、Staphylococcus aureus 又は Klebsiella pneumoniae で試験を行ったところ、基準値(対照の抗菌剤不含有ゴム物品によって表される)より少なくとも 0.1 増加した。別の表現では、対数殺菌率が、処理していない(例えば、固体無機抗菌剤無添加)ゴム物品の対数殺菌率より大きくなった場合(例えば、対照の抗菌剤不含有加硫非シリコーンゴム物品に対し対数殺菌率が約 0.5 増加)、許容レベルにあるとする。好ましくは、このような対数殺菌率の基準値増加は、S.aureus 及び K.pneumoniae に対して各々少なくとも 0.3 及び 0.3 であり、より好ましくは各々 0.5 及び 0.5 であり、最も好ましくは各々 1.0 及び 1.0 である。もちろん、このような対数殺菌率の上限は、基準値よりずっと大きく最大 5.0(殺菌率 99.999 %)である。もちろん、中間のいかなる率も同様に許容範囲である。
【0025】
しかしながら、関係のある未処理ゴム物品についての値よりも測定値が良い限り、負の対数殺菌率も、本発明においては許容範囲である。このような場合、ゴム物品中に存在する抗菌性材料が、少なくとも微生物の成長を妨害していることを示している。更に、このようなゴム物品は、他のタイプの菌、例えば Pseudomonas aeruginosa 及び Eschericia coli に対しても同程度の対数殺菌率を示す。
【0026】
本発明で非常に驚くべきことは、抗菌特性と同様に抗真菌性を与えるための、本発明の最終物品における能力である。このように用途が広いのは、抗菌性化合物ではまれである。しかしながら、特定の科学理論に限定されることを意図しないが、銀イオン、特に物品表面に豊富に存在する銀イオンは、優れた抗真菌特性を与えると考えられる。従って、本発明のゴム組成物のもう 1 つの態様は、このような微生物、例えば Aspergillus niger、及び場合により Aspergillus niger ATCC 6275、Paecilomyces variotii ATCC 18502、Trichoderma virens ATCC 9645 を含む真菌の混合物に対して、試験方法 ISO 846 に従った試験を行った場合に少なくとも連続 10 日間の殺菌耐久性を提供する。より広い潜在的な抗真菌性を与えるため、他の化合物、例えば 1 つの例として酸化亜鉛が、対象未加硫ゴム組成物(及びその後の物品)に配合され得る。
【0027】
抗菌活性及び抗真菌活性に関して、本発明の物品の効力にとって非常に重要なことは、銀と結合する有害な量の硫黄ベース加硫剤、加硫促進剤及び添加剤(例えば硫酸バリウムフィラー)が、本発明のゴム物品から除かれることである。上述したように、特定の科学理論に限定されることを意図しないが、ゴム組成物及び/又はその物品中で、硫黄は好ましい銀ベース抗菌剤と反応し、不可逆的に銀イオンと結合する(例えば硫化銀のように)と考えられる。そうすると、得られた硫化銀などは抗菌剤として効力がなく、従ってそれらの存在は、最終生成物を抗菌的に不活性にする。従って、検知し得る量の硫黄加硫剤及び加硫促進剤を含まない加硫ゴム物品を製造することが必要とされてきた。用語「検知し得る量」は、少量の存在は許容すると解されるべきである。存在する硫黄と銀のモル比が 1:1(及びそれ以上)であると、望ましい最終加硫物品中で抗菌活性の明らかな損失を引き起こすことが分かっている。しかしながら、硫黄よりも銀のモル量が多ければ、少なくとも幾らかの抗菌特性を所望物品に与える。硫黄の銀イオンに対するモル比が約 0.25:1〜約 0.000000001:1 の範囲であれば、少なくとも許容できる。しかしながら、主加硫剤は、対象ゴムに所望の抗菌活性を与えるため、非硫黄性(必ずではないが、好ましくは樹脂ベース化合物)でなくてはならない。更に、主加硫剤は、製造工程において未加硫ゴムに予め配合することもできる。
【0028】
樹脂加硫剤はゴムの加硫のために、以前から利用されてきたが、このような異なったタイプの加硫剤は、様々な理由からゴムに対しては適当な加硫触媒として広く利用されていない。第一に、樹脂加硫剤は、標準的な硫黄ベース加硫剤より高価であり、従って、硫黄ベース化合物の代替品としてのこのような樹脂などの利用は、むしろ、ほとんどシリコーンベースゴム又は少なくとも非抗菌性ゴム物品に限定されてきた。しかしながら、このような銀化合物が硫黄ベース加硫剤と反応するときの抗菌活性に関する問題のため、硫黄ベース加硫物品の代替物が、長期間持続する高い対数殺菌率効果のために、生及び加硫ゴム中でのこのような有効な抗菌性化合物の利用を可能にした。従って、非硫黄ベース化合物は、非シリコーン産業で加硫剤として容易には利用されていないが、このような加硫剤の利用は、効果的な最終抗菌性加硫ゴム物品を与えるために必要であった。
【0029】
加えて、ブチルゴム並びにその誘導体であるクロロブチルゴム及びブロモブチルゴムのようなある種の非シリコーンゴムの過酸化物ベース加硫系による加硫は、過酸化物がこれらのタイプのゴムを解重合する傾向にあるので、一般的に困難である。ブチルゴム及びその誘導体を加硫する代替法は、樹脂ベース加硫系を用いる方法である。樹脂ベース加硫系の幾つかの例は、反応性メチレン基を有するフェノールホルムアルデヒド樹脂及び付加的な活性剤を含み、並びに少量の塩素化ポリマー、例えばクロロプレンを含む系を包含する。このような樹脂ベース加硫系は、非シリコーンゴム、例えばブチルゴム(イソプレンイソブチレンゴム(IIR))中で銀ベース抗菌剤を使用することを可能にする。更に、このような樹脂ベース加硫系は、黒色及び非黒色の非シリコーンゴム用途に、より具体的には黒色及び非黒色のブチルゴム用途に使用できる。
【0030】
意外にも、上述した本発明のゴム物品は、検知し得る量の硫黄ベース加硫剤を用いずに得られることが分かった。最も重要なことには、ある添加剤の導入に伴って、ゴム組成物の構造一体性及び/又は曲げ弾性率が許容できるレベルに改善され、抗菌成分の効力が同時に制御され得る。
【0031】
従って、本発明の物品を形成するために加硫される生ゴム組成物中に存在する加硫剤は、少なくとも大部分、好ましくは少なくとも約 75 重量%が非硫黄ベース加硫剤のでなければならない。上述したように、従来の硫黄及び硫黄ベース触媒は、本発明の抗菌性組成物では、硫黄原子と殺生物性銀イオンとの化学反応により作用しない。しかしながら、非硫黄ベース触媒、限定することを意図しないが、例えば樹脂加硫系は、本発明の生ゴム組成物を効果的に加硫する。このような加硫剤は、1 種の加硫剤のみ又は複数の異なった種類の加硫剤の組み合わせで、ゴム 100 部あたり約 0.5〜約 100 部(pphr)、より好ましくは約 1〜約 50 pphr、最も好ましくは約 1〜約 10 pphr の量で存在すべきである。
【0032】
本発明の加硫ゴム物品中に存在する他の添加剤は、上記銀イオン放出制御添加剤、加硫促進剤、加硫促進活性剤、分解防止剤、軟化剤、研磨剤、着色剤、難燃剤、均質化剤、内部滑剤及び香料を含み得る。このような成分は、存在するにしても、約 0.1〜約 50 pphr のむしろ少ない量で存在すべきである。
【0033】
抗菌性及び抗真菌性効力の実質的な増加は、本発明の最終物品の洗浄によって与えられることが予想された。このような物品の表面摩耗も、銀イオン放出の増加による抗菌特性の増加を可能にする。しかしながら、あるゴム製品(マットなど)の工業的洗浄は、単純な洗浄によって、抗菌性及び抗真菌性などの効力を向上し得る。実際、このような増加は、何回もの洗浄によって着実に向上されており、例えば、加硫したばかりのゴム物品は、(標準工業ロータリー洗濯機で)1、2、3 及び少なくとも 20 回まで洗浄した加硫ゴム物品より低い総合的な抗菌活性及び抗真菌活性しか示さない。このような意外な利益は、このようなゴム物品を、床カバー材(一例としてマット、例えば、カーペット部を有するマット又はゴム単独のマット;特に、このような工業ロータリー洗濯及び乾燥中の機械損傷の機会を減らすための、抗疲労特性及び比重低下のための発泡ゴムマット)及び標準工業洗濯機で容易に洗濯し得る他の物品として利用することを可能にする。
【0034】
更に、上述したように、対象ゴム物品表面での摩擦は、ゴムの非常に僅かな層を物品表面から除去し得、それによって、所望通りに抗菌性及び/又は抗真菌性能を発揮する「新しい」銀含有クリスタリットが表面に現れることを可能にする。基本的に、本発明の生ゴム組成物から製造される本発明の物品は、ゴム物品全体への抗菌性粒子の一様な分散を示す。従って、ゴム物品でのこのような殺生物剤の一様な分散は、殺生物性金属イオンを含む新しいクリスタリットの貯蔵庫となる。ゴムの層は、摩滅され、摩耗されるので、未利用銀イオンを含む抗菌性粒子が利用できるようになる。
【0035】
抗菌剤を含む本発明の好ましい樹脂加硫ゴム物品は、ゴム物品の寿命を通じて抗菌効力という優れた抗菌特性を示すゴム物品に加工され得る。本発明に含まれるこのようなゴム物品の例は、限定するわけではないが、硬質ゴムマット、静電気散逸ゴムマット、抗疲労ゴムマット、表面繊維を含むゴムマット、ゴム結合マット、ゴムシール、ゴムガスケット、ゴム医療製品、ゴム手袋、ゴム医療機器、ゴムコンベヤーベルト、食品加工において使用されるゴムベルト及びゴムホイール、ゴム衣料、ゴム靴、ゴムブーツ、ゴムチューブ並びにゴム製自動車燃料ホースを含む。このような本発明の組成物は、抗菌剤がどのような表面層にも配合され得、望ましい抗菌効力を提供できる、多層ゴム物品にも配合され得る。
【0036】
特に興味深いのは、ゴム層の少なくとも 1 つが望ましい抗菌活性を示し、本発明の非シリコーンゴム物品から製造される多層ゴム物品の構造である。このような層状物品は、共加硫及び接着などによって一緒に接着され得る。更に、他のタイプの材料層は、1 つの非限定特性としてのより優れた構造安定性を所望の多層物品に与えるためにゴム層間に置かれ得る。
【実施例】
【0037】
これらのゴム組成物及び物品の非限定の好ましい態様を、より詳細に以下で説明する。
好ましい態様の記述
本発明の生ゴム組成物
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
本発明の生ゴム組成物は、10 %銀イオン濃度を示し、他成分(重量%)として AgxNayHzZr2(PO4)3[式中、x+y+z = 1]を含む銀イオン交換ジルコニウムホスフェート塩、ALPHASAN(登録商標)RC2000(Milliken & Company から入手可能)を使用して製造した。
【0045】
各組成物中の成分の配合は、オープンミル、密閉式ミキサー又は各成分のポリマー基質内部で強い混合が起こる押出機により行い得る。混合操作の間、成分の高剪断配合による温度上昇の制御は、その工程の間、事前加硫(焼け)が起こらないことを確実にするために重要である。一般的に、密閉式ミキサーによる一段階(パス)混合において 120 ℃の最高温度に到達する。配合物は、混合後更に、製品への製造のために適切な体裁を与えるように特定の形に加工され得る。これは、特定の形状の半製品への、カレンダー、押出し、造粒/ペレット化、ストリップ形、二次加工及び予備成形を含む。
【0046】
配合物の加硫は、成形(圧縮、トランスファー、射出)、連続押出し(LCM、UHF(可能なら))、オートクレーブ及び熱風、並びに被覆の形で行い得る。加硫(硬化)温度は、150 ℃〜250 ℃の範囲であり得る。この特定の状況において、ゴム物品は、荒マット構造にカレンダーされ、その後、高温加圧下で加硫される。
【0047】
加硫ゴム物品の試験
以下の表は、本発明の試料及び比較試料の銀溶出、抗菌活性及び抗真菌活性を示す。
実験表 1 は、本発明のゴム物品からの銀イオン抽出(又は銀溶出)の結果を説明する。ゴム物品を、塩抽出水溶液(リン酸ナトリウム)に 24 時間浸し、その後、抽出物を誘導結合プラズマ法によって分析して、物品表面から除去された利用可能な銀を測定した。
【0048】
【表8】

【0049】
このように、本発明の物品は、制御された銀イオン放出を示した。従って、上記の銀溶出の結果は、加硫ゴム物品に非常に望ましい長期間持続する抗菌特性を与えると考えられる。
【0050】
抗菌効力を、Staphylococcus aureus に対する ATCC 試験方法 6538 及び Klebsiella pneumoniae に対する ATCC 試験方法 4352 を用いて評価した。採用した抗真菌性試験は、ATCC 6275 に従った Aspergillus niger についての ISO 846 であった。内部対照は、ポリプロピレンプラックを用いて製造した。
【0051】
【表9】

【0052】
従って、本発明の組成物は、抗菌性化合物未添加の同じ組成物と比較して改善された抗菌活性を示す、本発明の加硫ゴム物品を提供した。特に、ポリクロロプレン、EPDM 及びブロモブチルの物品は、K. pneumoniae に対して最大対数殺菌率低減を実現した。
【0053】
真菌に対する効力は、ATCC 6275 に従って Aspergillus niger についての ISO 法 846 を用いて評価した。試料を、Mineral Salts Agar(MSA)上に置き、合成栄養培地中で、10E5 真菌胞子/ml を 10 滴(各 10 μl、合計 100 μl)接種し、30 ℃、相対湿度 90 %超で 35 日間培養した。効力を、試料の目視観察によって、下記の尺度に従って測定した。
【0054】
【表10】

【0055】
実験表 3 の結果は、A、B 及び C に適合する液滴の数を示す。例えば(3,5,2)のような結果は、(9,1,0)の様な結果より優れた抗真菌特性を表す。
【0056】
【表11】

【0057】
これらの結果は、本発明の組成物が、暴露期間にわたって真菌の成長を抑制するのに実に有効であることを示した。試料は、10 日後に 60 %の成長抑制、21 日後に 43 %の成長抑制、そして 35 日後に 22 %の成長抑制を示した。
本発明を詳細に説明してきたが、当業者が、本発明の範囲から逸脱することなく、それに変化及び修正を加え得ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、ここに記した請求項によってのみ確定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物を含む寸法安定樹脂加硫ゴム物品であって、前記ゴム物品が、Staphylococcus aureus に対する ATCC 試験方法 6538 及び Klebsiella pneumoniae に対する ATCC 試験方法 4352 に従って、室温での 24 時間暴露後に、各々少なくとも 1.0 の対数殺菌率を示し、前記物品が、任意に少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤及び前記銀ベース抗菌性化合物以外の少なくとも 1 種の抗真菌性添加剤を含む寸法安定樹脂加硫ゴム物品。
【請求項2】
前記物品が、室温での 24 時間暴露後に、Staphylococcus aureus 及び Klebsiella pneumoniae に対して、各々少なくとも 2.0 の対数殺菌率を示す、請求項1に記載のゴム物品。
【請求項3】
前記ゴム物品が、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、フルオロエラストマーゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、イソプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリレートゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素化 NBR、カルボキシル化 NBR、ポリブタジエンゴム及びこれらの混合物からなる群から選ばれるゴムを主に含んでなる、請求項1に記載のゴム物品。
【請求項4】
前記銀ベース抗菌性化合物が、銀元素、酸化銀、銀塩、銀イオン交換化合物、銀ゼオライト、銀ガラス及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載のゴム物品。
【請求項5】
前記銀ベース抗菌性化合物が、銀元素、酸化銀、銀塩、銀イオン交換化合物、銀ゼオライト、銀ガラス及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項2に記載のゴム物品。
【請求項6】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が存在する、請求項1に記載のゴム物品。
【請求項7】
前記銀ベース抗菌性化合物以外の前記抗真菌性添加剤が存在する、請求項1に記載のゴム物品。
【請求項8】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、フィラー、オイル、顔料、塩、帯電防止剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項6に記載のゴム物品。
【請求項9】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、シリカ、ステアリン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選ばれる親水性フィラーである、請求項8に記載のゴム物品。
【請求項10】
パラフィンオイル、フタレートオイル及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも 1 種の親水性オイルを更に含む、請求項8に記載のゴム物品。
【請求項11】
前記ゴム物品がブチルゴムを含んでなる請求項3に記載のゴム物品。
【請求項12】
前記ゴム物品がハロゲン化ブチルゴムを含んでなる請求項3に記載のゴム物品。
【請求項13】
少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物を含む寸法安定樹脂加硫ゴム含有物品であって、前記物品が、Aspergillus niger ATCC 6275 の試験方法 ISO 846 に従った、30 ℃、湿度 90 %超、少なくとも 10 日間の試験で、少なくとも 60 %の抑制を示すような抗真菌特性を示し、前記物品が、任意に少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤及び前記銀ベース抗菌性化合物以外の少なくとも 1 種の抗真菌性添加剤を含む、寸法安定樹脂加硫ゴム含有物品。
【請求項14】
前記銀ベース抗菌性化合物が、銀元素、酸化銀、銀塩、銀イオン交換化合物、銀ゼオライト、銀ガラス及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項13に記載のゴム物品。
【請求項15】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が存在する、請求項13に記載のゴム物品。
【請求項16】
前記銀ベース抗菌性化合物以外の前記抗真菌性添加剤が存在する、請求項13に記載のゴム物品。
【請求項17】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、フィラー、オイル、顔料、塩、帯電防止剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項13に記載のゴム物品。
【請求項18】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、シリカ、ステアリン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選ばれる親水性フィラーである、請求項17に記載のゴム物品。
【請求項19】
パラフィンオイル、フタレートオイル及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも 1 種の親水性オイルを更に含む、請求項17に記載のゴム物品。
【請求項20】
前記物品がマット構造である請求項1に記載のゴム物品。
【請求項21】
前記物品がマット構造である請求項13に記載のゴム物品。
【請求項22】
大部分は非シリコーンゴムである少なくとも 1 種のゴム成分、少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物及び少なくとも 1 種の樹脂加硫化合物を含む未加硫ゴム組成物であって、前記組成物中に存在する前記樹脂加硫化合物の全てが、検知し得る量の硫黄ベース化合物を含まず、前記ゴム組成物が、任意に、少なくとも 1 種の発泡剤、少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤及び前記銀ベース抗菌性化合物以外の少なくとも 1 種の抗真菌性添加剤を含む未加硫ゴム組成物。
【請求項23】
前記ゴム成分が、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、フルオロエラストマーゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、イソプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリレートゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素化 NBR、カルボキシル化 NBR、ポリブタジエンゴム及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項22に記載のゴム組成物。
【請求項24】
前記銀ベース抗菌性化合物が、銀元素、酸化銀、銀塩、銀イオン交換化合物、銀ゼオライト、銀ガラス及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項22に記載のゴム組成物。
【請求項25】
前記少なくとも 1 種の発泡剤が存在する請求項22に記載のゴム組成物。
【請求項26】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が存在する請求項22に記載のゴム組成物。
【請求項27】
前記銀ベース抗菌性化合物以外の前記抗真菌性添加剤が存在する請求項22に記載のゴム組成物。
【請求項28】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、フィラー、オイル、顔料、塩、帯電防止剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項26に記載のゴム組成物。
【請求項29】
前記少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤が、シリカ、ステアリン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選ばれる親水性フィラーである、請求項28に記載のゴム組成物。
【請求項30】
パラフィンオイル、フタレートオイル及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも 1 種のオイルを更に含む、請求項28に記載のゴム組成物。
【請求項31】
前記ゴム成分がポリクロロプレンゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項32】
前記ゴム成分が天然ゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項33】
前記ゴム成分がエチレンプロピレンジエンモノマーゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項34】
前記ゴム成分がニトリルゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項35】
前記ゴム成分がスチレンブタジエンゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項36】
前記ゴム成分がブチルゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項37】
前記ゴム成分がブロモブチルゴムである請求項23に記載のゴム組成物。
【請求項38】
請求項22に記載の未加硫ゴム組成物を一緒に配合し、前記ゴム組成物を予め選択した形状に成形し、前記ゴム組成物を加圧下、高温に暴露して加硫する工程を含む、長期間持続する再生可能な抗菌特性を示すゴム物品の製造方法。
【請求項39】
請求項23に記載の未加硫ゴム組成物を一緒に配合し、前記ゴム組成物を予め選択した形状に成形し、前記ゴム組成物を加圧下、高温に暴露して加硫する工程を含む、長期間持続する再生可能な抗菌特性を示すゴム物品の製造方法。
【請求項40】
請求項25に記載の未加硫ゴム組成物を一緒に配合し、前記ゴム組成物を予め選択した形状に成形し、前記ゴム組成物を加圧下、高温に暴露して加硫する工程を含む、長期間持続する再生可能な抗菌特性を示すゴム物品の製造方法。
【請求項41】
請求項26に記載の未加硫ゴム組成物を一緒に配合し、前記ゴム組成物を予め選択した形状に成形し、前記ゴム組成物を加圧下、高温に暴露して加硫する工程を含む、長期間持続する再生可能な抗菌特性を示すゴム物品の製造方法。
【請求項42】
請求項27に記載の未加硫ゴム組成物を一緒に配合し、前記ゴム組成物を予め選択した形状に成形し、前記ゴム組成物を加圧下、高温に暴露して加硫する工程を含む、長期間持続する再生可能な抗菌特性を示すゴム物品の製造方法。
【請求項43】
少なくとも 1 種のゴム成分、少なくとも 1 種の樹脂加硫剤及び少なくとも 1 種の銀ベース抗菌性化合物を含み、任意に、少なくとも 1 種の発泡剤、少なくとも 1 種の銀イオン放出制御添加剤及び前記銀ベース抗菌性化合物以外の少なくとも 1 種の抗真菌性添加剤を含むゴム組成物。

【公表番号】特表2006−524735(P2006−524735A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507496(P2006−507496)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/008894
【国際公開番号】WO2004/096901
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(500524682)ミリケン・アンド・カンパニー (23)
【Fターム(参考)】