説明

抗菌性軟質ウレタンフォーム

【課題】MRSA、黄色ブドウ球菌、肺炎かん菌に対して、少ない添加量で耐久性があり効率の良い抗菌剤を配合して得る抗菌性を有する軟質ウレタンフォームを提供することが主な目的である。
【解決手段】抗菌性を有する無機素材として特開平2−43944の手法により微粒子表面に粒子径0,02μm以下の超微細なアルミナ、シリカを作成し、その表面に銀化合物及び亜鉛化合物を担持した、比表面積が極力大きくなった抗菌性粉体を、製造時のポリオール側、又はイソシアネート側どちらかに混合し抗菌性軟質ウレタンフォームを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌性を有する軟質ウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より軟質ウレタンフォームでは抗菌性が必要とされている(例えば特許文献1参照)。種々の分野に利用され、ソファー等の家具、マットレス等の寝具、ヌイグルミ等のおもちゃ類でも悪性の菌の発生は大問題となる。
特にマットレスは病院、老人養護施設、一般家庭、娯楽施設などで悪性の細菌の発生元となる問題が起こり、抗菌性が必要と認識されるように至った。
【0003】
従来の抗菌性能向上剤としては銀ゼオライト粉末や有機化合物が使用されているが、前者は使用量の割には効果が少なく、後者は耐久性が劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−000513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、少ない添加量で耐久性の良い抗菌剤を配合して得る抗菌性軟質ウレタンフォームを提供することが主な目的である。
【課題を解決する為の手段】
【0006】
0.02μm以下の超微細無機物を得る方法としては、特開平2−43944の手法により0.5μm〜5.0μmの粒径のシリカを用い、アルミナをシリカ表面に針状結晶として成長させてマスクし、比表面積を拡大させたものを用いる。
【0007】
アルミナを微細シリカ表面に結晶させるには微細シリカ粉末に酸性触媒中で塩化アルミニウム水溶液を処理することにより超微細無機物を得る。
【0008】
さらに、該超微細無機物に酸性銀イオン、及び酸性亜鉛イオンを混合しアルカリにて中和した後、上澄みに銀イオンの反応がなくなるまでデカンテーションを繰り返し、固形物を乾燥した後粉砕することにより銀化合物及び亜鉛化合物を担持した超微細抗菌性無機物を作成する。
【0009】
この超微細抗菌性無機物は、比表面積が極力大きくなるため、空気中や水の酸素との接触面積が広くなり、少ない銀化合物及び亜鉛化合物の担持によっても大きな抗菌性を付与された軟質ウレタンフォームを得ることができる。
【0010】
軟質ウレタンフォームの製造は通常の製造方法が適用できる。即ち,ポリオール、有機イソシアネート、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含む原料は通常のものであればいずれも使用可能であり、また発泡方法にこだわる事はない。
【0011】
具体的には、ポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールやポリマーポリオールのいずれも使用できる。一分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する分子量が1000〜6000のものが主に用いられる。
【0012】
有機イソシアネートとしては、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが用いられる。具体的には、トリレンジイソシアネート、メチレンビスフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の通常使用されるイソシアネートは使用できる。
【0013】
触媒、界面活性剤及び発泡剤は通常軟質ウレタンフォームを製造する際に用いられるが、触媒は有機アミン類、錫系触媒が、界面活性剤としてシリコーン系活性剤が、発泡剤には水、フロン系ガス,メチレンクロライドなどが使用される。
【0014】
他にも発泡に支障を起こさない添加剤はいずれも配合可能である。
【0015】
超微細抗菌性無機物はポリオール側に混合、イソシアネート側に混合のいずれでも添加可能である。
【0016】
超微粒抗菌性無機物の添加量は全重量に対して0.1%〜5.0%であり、好ましくは0.1%〜2.0%である。
【発明の効果】
【0017】
少量の銀化合物及び亜鉛化合物を含有した超微細抗菌性無機物を配合分散された軟質ウレタンフォームは、抗菌効果が充分に発揮され、またその効果は持続性がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態を示す斜視図である。図1に示すようにマットレス全体(1:全体)に抗菌性軟質ウレタンフォームを使用することができる。
【図2】この発明の一実施形態を示す斜視図である。図2に示すようにマットレスの腰部分(2:腰部分)のみに抗菌性軟質ウレタンフォームを使用することができる。
【図3】この発明の一実施形態を示す斜視図である。図3に示すようにマットレスの枕部分(3:枕部分)のみに抗菌性軟質ウレタンフォームを使用することができる。
【図4】この発明の一実施形態を示す斜視図である。図4に示すようにマットレスの上面部分(4:上面)のみに抗菌性軟質ウレタンフォームを使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に用いる超微細抗菌性無機物は、特開平2−43944の手法により0.5μm〜5.0μmの粒径のシリカを用い、アルミナをシリカ表面に針状結晶として成長させてマスクし、比表面積を拡大させたものを用い、酸性銀イオン、及び酸性亜鉛イオンを混合しアルカリにて中和したものである。
【0020】
軟質ウレタンフォームを製造する際に用いられる上記超微細抗菌性無機物はポリオール側に混合、イソシアネート側に混合してもよく、添加量は全重量の0.1%〜2.0%である。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところを明らかにする。
(実施例1)
ポリエーテルポリオールを100重量部、トリレンジイソシアネートを30重量部、ジクロロメタンを1重量部、シリコンオイルを0.05重量部、スタナスオクトエート0.01重量部、水を1.5重量部、ジメチルエタノールアミンを0.01重量部に上記超微細抗菌性無機物2重量部添加し製造した軟質ウレタンフォームを用いた。
【0022】
(実施例2)
超微細抗菌性無機物2重量部を除き、実施例1と同様の配合で製造した軟質ウレタンフォームを用いた。
【0023】
(抗菌性)
試験方法:JIS L 19022002菌液吸収法
試験菌種:黄色ブドウ球菌・Staphlococcus aureus ATCC6538P
肺炎かん菌・Klebsiella pneumoniae ATCC4352
MRSA・Methicillin resistant Staphlococcus aureus IID1677
洗濯方法:高温加速洗濯法(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)
生菌数の測定法:混釈平板培養法
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
本発明の抗菌性軟質ウレタンフォームは黄色ブドウ球菌、肺炎かん菌、MRSAにたいして抗菌性を有するとともに、実用的な洗濯耐久性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0028】
マットレスは病院、老人養護施設、一般家庭、娯楽施設など多く使用されているが、近年の室内のエアーコンデショニングによる快適性は、ばい菌にも増殖性を増している。この様なマットレスに使用される軟質ウレタンフォームに期待される抗菌性に対し、本発明の超微細抗菌性無機物を用いる抗菌性軟質ウレタンフォームは大きく貢献する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、有機イソシアネート、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含む原料を用いて軟質ウレタンフォームを製造するに際して、上記原料中に粒子径が0.2μm以下の超微細無機物に銀化合物及び亜鉛化合物を担持した粉末を配合することにより、抗菌性が付与された軟質ウレタンフォーム。
【請求項2】
請求項1に於いて、超微細無機物がシリカ微細物の表面にアルミナの針状結晶がマスクされた超微細無機物である抗菌性ウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1に於いて、抗菌性を付与された軟質ウレタンフォームがマットレスに利用される抗菌性ウレタンフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−196029(P2010−196029A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70909(P2009−70909)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(509080990)株式会社ヤマネ (1)
【Fターム(参考)】