説明

抗菌OPニス剤、抗菌印刷物および抗菌印刷方法

【課題】外部からの水が意匠印刷層や被印刷物に染み込んで、抗菌効果が減少することを防止し、長期に渡って抗菌効果を維持することができる抗菌OPニス剤およびこれを用いた抗菌印刷物、並びに、抗菌OPニス剤を用いた抗菌印刷方法を提供する。
【解決手段】本発明の抗菌OPニス剤は、固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含有してなるOPニス100質量部に対して、酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含有してなる抗菌剤を2〜5質量部添加してなり、前記OPニス中の前記撥水剤の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して1〜5質量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の表面(意匠印刷面)に塗布して、印刷物の表面を保護するとともに、抗菌性および撥水性を付与することができる抗菌OPニス剤およびこれを用いた抗菌印刷物、並びに、抗菌OPニス剤を用いた抗菌印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の生活環境には、細菌やカビなどの無数の微生物が存在している。近年、人々の衛生意識が高まるにつれて、医療分野のみならず、様々な分野において、物品に、抗ウィルス性、抗菌性、防かび性を付与することが求められるようになってきている。中でも、人が直接手で触れる物品に、抗菌性を付与することが広く求められている。人が直接手で触れる物品としては、印刷物も挙げられるが、特に、種々の施設や公共の交通機関などに配置される案内書やパンフレットなどの資料は、不特定多数の人が手で触れることが想定されるため、抗菌性を付与したいという要望があった。
【0003】
印刷物に抗菌性を付与する方法としては、用紙の表面に印刷インクを用いて任意の意匠を印刷して、意匠印刷層を形成した後、その上で水に溶かした粉末状の抗菌剤をさらに塗布するノートの表紙などの印刷物の抗菌処理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、顔料を15〜25%、合成樹脂を25〜30%、乾性油を20〜25%、石油系溶剤を15〜20%、皮膜強化剤を1〜3%、裏移り防止剤を0.5〜2.5%、乾燥促進剤およびその他の溶剤を1〜3%含有するように組成された印刷インク1kg中に、難溶性りん酸塩に抗菌性能を有する金属系物質の銀または有機系物質のベンザルコニウムやセチルピリジニウムをインターカレートしてなる粉末状の抗菌剤を2.5%添加した印刷インクを用いて、用紙の表面に任意の意匠をオフセット印刷して、意匠印刷層を形成するノート表紙等印刷物の抗菌処理方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3030310号公報
【特許文献2】特許第3401571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている抗菌処理方法では、用紙などに意匠を印刷した後、その印刷面に抗菌剤を含むOP(オーバープリント)ニスを塗布するだけであるから、外部からの水が意匠印刷層や用紙に染み込んで、抗菌効果が減少することがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、外部からの水が意匠印刷層や被印刷物に染み込んで、抗菌効果が減少することを防止し、長期に渡って抗菌効果を維持することができる抗菌OPニス剤およびこれを用いた抗菌印刷物、並びに、抗菌OPニス剤を用いた抗菌印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の抗菌OPニス剤は、固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含有してなるOPニス100質量部に対して、酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含有してなる抗菌剤を2〜5質量部添加してなる抗菌OPニス剤であって、前記OPニス中の前記固形樹脂の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して30〜40質量%の範囲であり、前記OPニス中の前記植物油の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して18〜30質量%の範囲であり、前記OPニス中の前記高沸点石油系溶剤の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して38〜50質量%の範囲であり、前記OPニス中の前記撥水剤の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して1〜5質量%であり、前記抗菌剤中の前記酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムの含有率が、前記抗菌剤を構成する全成分の合計に対して25〜27質量%の範囲であり、前記抗菌剤中の前記イソプロピルアルコールの含有率が、前記抗菌剤を構成する全成分の合計に対して73〜75質量%の範囲であることを特徴とする。
【0008】
本発明の抗菌印刷物は、被印刷物と、該被印刷物の表面に形成された意匠印刷層と、該意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部を覆う抗菌印刷層とを備えた抗菌印刷物であって、前記抗菌印刷層は、本発明の抗菌OPニス剤からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の抗菌印刷方法は、被印刷物の表面に印刷を施して、意匠印刷層を形成する工程Aと、前記意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部に印刷を施して、前記意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部を覆う抗菌印刷層を形成する工程Bとを有する抗菌印刷方法であって、前記工程Bにおいて、本発明の抗菌OPニス剤を用いて、前記抗菌印刷層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抗菌OPニス剤によれば、意匠印刷層の色彩を損なうことなく、すなわち、意匠印刷層が表示する種々の印刷情報を損なうことなく、その成分であるOPニスによって、印刷物の表面を保護することができ、撥水剤によって、印刷物の表面に撥水性を付与することができ、さらに、抗菌剤によって、印刷物の表面に抗菌性を付与することができる。ゆえに、本発明の抗菌OPニス剤によれば、抗菌印刷層の撥水効果により、外部からの水を弾くので、その水が抗菌印刷層、ひいては、被印刷物や意匠印刷層に染み込んで、抗菌印刷層の抗菌効果が減少するのを防止し、長期に渡って抗菌効果を維持することができる。また、本発明の抗菌OPニス剤は、人体に悪影響を及ぼす成分を含まないので、印刷物などの人の手が直接触れるものに適用しても安全である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の抗菌印刷物の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の抗菌印刷物の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の抗菌印刷方法の一実施形態を示す模式図であり、印刷方法として、オフセット印刷を適用した形態を示す模式図である。
【図4】実施例1−1〜実施例2−3において、抗菌OPニス剤の塗布量(g)と、抗菌印刷物の抗菌印刷層に起因する光沢度(光沢度差)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の抗菌OPニス剤およびこれを用いた抗菌印刷物、並びに、抗菌OPニス剤を用いた抗菌印刷方法の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
「抗菌OPニス剤」
本発明の抗菌OPニス剤は、固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含有してなるOPニス100質量部に対して、酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含有してなる抗菌剤を2〜5質量部添加してなるものである。
【0014】
本発明の抗菌OPニス剤では、OPニス100質量部に対する抗菌剤の添加量が2〜5質量部の範囲であり、最も好ましくは3.5質量部である。
OPニス100質量部に対する抗菌剤の添加量が2質量部未満では、本発明の抗菌OPニス剤によって形成された抗菌印刷層の抗菌効果が不十分である。一方、抗菌剤の添加量が5質量部を超えると、印刷適正が悪くなる。
【0015】
本発明の抗菌OPニス剤では、OPニス中の固形樹脂の含有率が、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含む)の合計に対して30〜40質量%の範囲である。
【0016】
また、OPニス中の植物油の含有率は、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含む)の合計に対して18〜22質量%の範囲であり、好ましくは18〜30質量%の範囲である。
【0017】
また、OPニス中の高沸点石油系溶剤の含有率は、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含む)の合計に対して38〜50質量%の範囲である。
【0018】
また、OPニス中の撥水剤の含有率は、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含む)の合計に対して1〜5質量%の範囲であり、最も好ましくは2質量%である。
OPニス中の撥水剤の含有率が、OPニスを構成する全成分の合計に対して1質量%未満では、本発明の抗菌OPニス剤によって形成された抗菌印刷層の撥水性が不十分であり、結果として、抗菌印刷層の抗菌効果が不十分となる。一方、撥水剤の含有率が5質量%を超えると、印刷機器のローラーを形成するゴムに撥水剤が染み込むことにより、そのローラーの劣化を早めることや、印刷物の印刷面が滑りやすくなるため、後加工に不備を生じることがある。
【0019】
また、本発明の抗菌OPニス剤は、皮膜強化剤や乾燥促進剤を含んでいてもよい。
本発明の抗菌OPニス剤が皮膜強化剤を含む場合、OPニス中の皮膜強化剤の含有率は、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤、皮膜強化剤および撥水剤を含む)の合計に対して8〜10質量%の範囲である。
【0020】
本発明の抗菌OPニス剤が乾燥促進剤含む場合、OPニス中の乾燥促進剤の含有率は、OPニスを構成する全成分(固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤、撥水剤および乾燥促進剤を含む)の合計に対して0.5〜1質量%の範囲である。
【0021】
また、本発明の抗菌OPニス剤では、抗菌剤中の酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムの含有率が、抗菌剤を構成する全成分(酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含む)の合計に対して25〜27質量%の範囲である。
抗菌剤中の酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムの含有率を、上記の範囲内としたので、この抗菌剤と、上記のOPニスとを均一に混合することができ、ひいては、各成分が均一に混合された抗菌OPニス剤となる。
【0022】
また、抗菌剤中のイソプロピルアルコールの含有率は、抗菌剤を構成する全成分(酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含む)の合計に対して73〜75質量%の範囲である。
抗菌剤中のイソプロピルアルコールの含有率を、上記の範囲内としたので、この抗菌剤と、上記のOPニスとを均一に混合することができ、ひいては、各成分が均一に混合された抗菌OPニス剤となる。
【0023】
固形樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、石油系樹脂などが用いられるが、印刷適正の観点から、主としてロジン変性フェノール樹脂が好ましい。
【0024】
植物油としては、空気中で完全に固まる乾性油が用いられ、例えば、亜麻仁油、大豆油、桐油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油などが用いられるが、乾燥性や皮膜の観点から、亜麻仁油、大豆油、桐油が好ましい。
【0025】
高沸点石油系溶剤としては、健康や環境の観点から、芳香族成分をほとんど含まない溶媒であるアロマフリーソルベントが好ましい。
【0026】
撥水剤としては、ロウ、油脂、松脂、膠、タール、アスファルト、鉱油、金属石けん、脂肪酸、ゴム、各種プラスチック、シリコーン、フッ素系樹脂などが各種の形態で用いられるが、印刷適正の観点から、シリコーン、フッ素系樹脂が好ましい。
【0027】
皮膜強化剤としては、ポリエチレンワックス、テフロン(登録商標)ワックスなどが用いられる。
【0028】
乾燥促進剤としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどが用いられる。
【0029】
本発明の抗菌OPニス剤は、各種の用紙を初めとする被印刷物の表面および/または被印刷物の表面に印刷法により形成された意匠印刷層の被印刷物と接している面とは反対側の面(最表面)に、印刷層により塗布して、抗菌印刷層を形成し、意匠印刷層および抗菌印刷層を有する印刷物を作製するために用いられるものである。
したがって、本発明の抗菌OPニス剤は、上記のOPニスと抗菌剤から構成され、無色透明の材料であるから、本発明の抗菌OPニスによれば、意匠印刷層の色彩を損なうことなく、すなわち、意匠印刷層が表示する種々の印刷情報を損なうことなく、その成分であるOPニスによって、印刷物の表面(用紙の表面および意匠印刷層の最表面を含む)を保護することができる。加えて、本発明の抗菌OPニス剤の成分である撥水剤によって、印刷物の表面(用紙の表面および意匠印刷層の最表面を含む)に撥水性を付与することができる。さらに、本発明の抗菌OPニス剤の成分である抗菌剤によって、印刷物の表面(用紙の表面および意匠印刷層の最表面を含む)に抗菌性を付与することができる。
ゆえに、本発明の抗菌OPニス剤によれば、抗菌印刷層の撥水効果により、外部からの水を弾くので、その水が抗菌印刷層、ひいては、被印刷物や意匠印刷層に染み込んで、抗菌印刷層の抗菌効果が減少するのを防止し、長期に渡って抗菌効果を維持することができる。また、抗菌印刷層に細菌やカビなどの微生物が付着したとしても、抗菌印刷層の抗菌効果により、それらの微生物は、増殖が抑えられる。
また、本発明の抗菌OPニス剤は、人体に悪影響を及ぼす成分を含まないので、印刷物などの人の手が直接触れるものに適用しても安全である。
【0030】
「抗菌印刷物」
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の抗菌印刷物の第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の抗菌印刷物10は、被印刷物11と、被印刷物11の一方の面11aに形成された意匠印刷層12と、意匠印刷層12の被印刷物11と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12aの全面を覆うように形成された抗菌印刷層13とから概略構成されている。
また、この抗菌印刷物10では、抗菌印刷層13が、上述の本発明の抗菌OPニス剤により形成されている。
【0031】
被印刷物11としては、その表面に本発明の抗菌OPニス剤を塗布することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、一般的に印刷に用いられる用紙が挙げられる。
その用紙としては、上質紙、中質紙、更紙などの非塗工紙、コート紙、アート紙などの塗工紙、再生紙、非木材紙などが挙げられる。
また、用紙の厚みは、一般的に印刷に用いられる用紙の厚みと同等であれば特に限定されない。
【0032】
意匠印刷層12は、種々の印刷インクを用いて形成され、任意の印刷情報(文字、記号、図形、写真、絵画、イラストなど)を表示する層である。また、意匠印刷層12は、種々の印刷法によって形成され、種々の印刷インクを用いて形成された一層または二層以上からなる印刷層である。
【0033】
意匠印刷層12を形成する印刷インクとしては、特に限定されず、活版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷方法で一般的に用いられるインクが挙げられる。
【0034】
この抗菌印刷物10によれば、被印刷物11の一方の面11aに形成された意匠印刷層12の一方の面12aの全面を覆うように形成された抗菌印刷層13が、本発明の抗菌OPニス剤からなるので、意匠印刷層12の色彩を損なうことなく、意匠印刷層12の一方の面12aが保護され、加えて、意匠印刷層12の一方の面12aが撥水性および抗菌性を有している。したがって、抗菌印刷層13が、その撥水効果により、外部からの水を弾くので、その水が抗菌印刷層13、ひいては、被印刷物11や意匠印刷層12に染み込んで、抗菌印刷層13の抗菌効果が減少するのを防止し、長期に渡って抗菌効果を維持することができる。また、抗菌印刷層13に細菌やカビなどの微生物が付着したとしても、抗菌印刷層13の抗菌効果により、それらの微生物は、増殖が抑えられる。
【0035】
なお、この実施形態では、用紙などからなる被印刷物11の一方の面11aに意匠印刷層12が形成された抗菌印刷物10を例示したが、本発明の抗菌印刷物はこれに限定されない。本発明の抗菌印刷物にあっては、用紙などからなる被印刷物の他方の面に意匠印刷層が形成されていてもよい。
また、この実施形態では、意匠印刷層12の一方の面12aの全面のみを覆うように抗菌印刷層13が形成された抗菌印刷物10を例示したが、本発明の抗菌印刷物はこれに限定されない。本発明の抗菌印刷物にあっては、被印刷物の意匠印刷層が形成されていない面の少なくとも一部を覆うように抗菌印刷層が設けられていてもよい。すなわち、例えば、図1に示す抗菌印刷物10では、被印刷物11の一方の面11aにおいて、意匠印刷層12が形成されていない部分を覆うように抗菌印刷層13が設けられていてもよい。
【0036】
(2)第二の実施形態
図2は、本発明の抗菌印刷物の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図2において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の抗菌印刷物20が、上述の第一の実施形態の抗菌印刷物10と異なる点は、意匠印刷層12の一方の面12aを部分的に覆うように抗菌印刷層23が形成されている点である。
この抗菌印刷物20にあっても、抗菌印刷層23が、上述の本発明の抗菌OPニス剤により形成されている。
【0037】
この抗菌印刷物20にあっても、上述の抗菌印刷物10と同様の効果が得られる。
【0038】
「抗菌印刷方法」
図3は、本発明の抗菌印刷方法の一実施形態を示す模式図であり、印刷方法として、オフセット印刷を適用した形態を示す図である。
この実施形態の抗菌印刷方法では、オフセット印刷機30を用いる。
オフセット印刷機30は、第一のインキローラー31と、第二のインキローラー32と、第三のインキローラー33と、第四のインキローラー34と、第五のインキローラー35とを、この順に具備してなるものである。
【0039】
この実施形態の抗菌印刷方法では、被印刷物の用紙41をオフセット印刷機30の搬送装置(図示略)により搬送しながら、用紙41の一方の面41aに、第一のインキローラー31、第二のインキローラー32、第三のインキローラー33、第四のインキローラー34により、この順に印刷インクを転写して、4色印刷を施す(工程A)。
【0040】
工程Aでは、第一のインキローラー31、第二のインキローラー32、第三のインキローラー33、第四のインキローラー34において、それぞれ異なる色相の印刷インクを用いて、用紙41の一方の面41aに、所定の印刷パターンからなる意匠印刷層を形成する。
【0041】
工程Aに引き続いて、4色印刷が施された用紙41を搬送しながら、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面の全面に、第五のインキローラー35により、上述の本発明の抗菌OPニスを転写して、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面の全面を覆う抗菌印刷層を形成し(工程B)、抗菌印刷物51を得る。
【0042】
この実施形態の抗菌印刷方法によれば、工程Aにおいて、用紙41の一方の面41aに、意匠印刷層を形成した後、工程Bにおいて、本発明の抗菌OPニス剤を用いて、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面の全面を覆う抗菌印刷層を形成するので、常に、この抗菌印刷方法によって得られる抗菌印刷物51の最表面に抗菌印刷層を形成することができる。したがって、得られた抗菌印刷物51は、意匠印刷層の色彩を損なうことなく、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面が保護され、加えて、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面が撥水性および抗菌性を有している。
【0043】
なお、この実施形態では、印刷方法として、オフセット印刷を適用した形態を例示したが、本発明の抗菌印刷方法はこれに限定されない。本発明の抗菌印刷方法にあっては、活版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷方法も適用することができる。
【0044】
また、この実施形態では、工程Aにおいて、用紙41の一方の面41aに、意匠印刷層を形成した場合を例示したが、本発明の抗菌印刷方法はこれに限定されない。本発明の抗菌印刷方法にあっては、工程Aにおいて、用紙(被印刷物)の他方の面に意匠印刷層を形成してもよい。
【0045】
また、この実施形態では、工程Bにおいて、意匠印刷層の用紙41と接している面とは反対側の面の全面を覆うように抗菌印刷層を形成した場合を例示したが、本発明の抗菌印刷方法はこれに限定されない。本発明の抗菌印刷方法にあっては、工程Bにおいて、用紙(被印刷物)の意匠印刷層が形成されていない面の少なくとも一部を覆うように抗菌印刷層を形成してもよく、また、工程Bにおいて、意匠印刷層の用紙(被印刷物)と接している面とは反対側の面の一部を覆うように抗菌印刷層を形成してもよい。
【0046】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
「参考例」
A4サイズの用紙の一方の面に、オフセット印刷により4色印刷を施して、意匠印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層とからなる印刷物αを作製した。
次に、この印刷物αの質量を測定した結果、6.26gであった。
次に、用紙の意匠印刷層が形成された面(意匠印刷面)の光沢度を測定した。光沢度の測定には光沢度計(商品名:光沢計グロスチェッカーIG−320、HORIBA社製)を用いて、意匠印刷面の4箇所について、3回ずつ光沢度を測定した。
【0048】
「実施例1−1」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物β1を作製した。
抗菌OPニス剤としては、撥水剤としてシリコーンオイルを用い、OPニス中の撥水剤の含有率が、OPニスを構成する全成分の合計に対して2.0質量%であり、OPニス100質量部に対して、抗菌剤を3.5質量部添加したものを用いた。
次に、この抗菌印刷物β1の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β1の質量差を算出した結果、0.27gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物β1における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物β1の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β1の光沢度差を算出した結果、3.92であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物β1の抗菌印刷層に起因するものである。
また、日本工業規格JIS Z 2801に準拠して、抗菌印刷物β1の抗菌性を評価した。抗菌性の評価は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌力、および、大腸菌に対する抗菌力について行った。抗菌性の評価では、ブランク試験片(抗菌OPニス剤が塗布されていないもの)に対する抗菌活性値が2.0以上のものを抗菌効果あり(○)と評価した。
これらの結果を表1に示す。
【0049】
「実施例1−2」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物β2を作製した。
抗菌OPニス剤としては、実施例1−1と同様のものを用いた。
次に、この抗菌印刷物β2の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β2の質量差を算出した結果、0.35gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物β2における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物β2の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β2の光沢度差を算出した結果、9.93であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物β2の抗菌印刷層に起因するものである。
また、実施例1−1と同様にして、抗菌印刷物β2の抗菌性を評価した。
これらの結果を表1に示す。
【0050】
「実施例1−3」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物β3を作製した。
抗菌OPニス剤としては、実施例1−1と同様のものを用いた。
次に、この抗菌印刷物β3の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β3の質量差を算出した結果、0.49gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物β3における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物β3の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物β3の光沢度差を算出した結果、11.29であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物β3の抗菌印刷層に起因するものである。
また、実施例1−1と同様にして、抗菌印刷物β3の抗菌性を評価した。
これらの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
「実施例2−1」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物γ1を作製した。
抗菌OPニス剤としては、撥水剤としてシリコーンオイルを用い、OPニス中の撥水剤の含有率が、OPニスを構成する全成分の合計に対して2.0質量%であり、OPニス100質量部に対して、抗菌剤を1.5質量部添加したものを用いた。
次に、この抗菌印刷物γ1の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ1の質量差を算出した結果、0.29gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物γ1における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物γ1の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ1の光沢度差を算出した結果、0.28であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物γ1の抗菌印刷層に起因するものである。
また、実施例1−1と同様にして、抗菌印刷物γ1の抗菌性を評価した。
これらの結果を表2に示す。
【0053】
「実施例2−2」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物γ2を作製した。
抗菌OPニス剤としては、実施例2−1と同様のものを用いた。
次に、この抗菌印刷物γ2の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ2の質量差を算出した結果、0.36gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物γ2における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物γ2の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ2の光沢度差を算出した結果、10.00であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物γ2の抗菌印刷層に起因するものである。
また、実施例1−1と同様にして、抗菌印刷物γ2の抗菌性を評価した。
これらの結果を表2に示す。
【0054】
「実施例2−3」
印刷物αの意匠印刷面の全面に、オフセット印刷により、インク壷の開き量を調節して本発明の抗菌OPニス剤を塗布し、抗菌印刷層を形成し、用紙と意匠印刷層と抗菌印刷層とからなる抗菌印刷物γ3を作製した。
抗菌OPニス剤としては、実施例2−1と同様のものを用いた。
次に、この抗菌印刷物γ3の質量を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ3の質量差を算出した結果、0.44gであった。この算出結果は、A4サイズの抗菌印刷物γ3における、単位面積(A4サイズの用紙の一方の面の面積を単位面積とする)当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)である。
また、参考例と同様にして、抗菌印刷物γ3の抗菌印刷層が形成された面の光沢度を測定した後、印刷物αと抗菌印刷物γ3の光沢度差を算出した結果、11.84であった。この算出結果(光沢度差)は、抗菌印刷物γ3の抗菌印刷層に起因するものである。
また、実施例1−1と同様にして、抗菌印刷物γ3の抗菌性を評価した。
これらの結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
表1および表2に示した実施例1−1〜実施例2−3の結果から、これらの抗菌印刷物は全て抗菌効果を有することが確認された。
また、表1および表2に示した実施例1−1〜実施例2−3の結果から、単位面積当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)と、抗菌印刷物の抗菌印刷層に起因する光沢度(光沢度差)との関係を示すグラフ(図4)を作成した。
図4は、単位面積当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)と、抗菌印刷物の抗菌印刷層に起因する光沢度(光沢度差)との関係を示すグラフであり、縦軸は単位面積当たりの抗菌OPニス剤の塗布量(g)、横軸は抗菌印刷物の抗菌印刷層に起因する光沢度(光沢度差)を示す。なお、図4に示すグラフにおいて、(○)は実施例1に関するものであり、(△)は実施例2に関するものである。
【0057】
図4のグラフから、単位面積当たりの抗菌OPニス剤の塗布量と、抗菌印刷物の抗菌印刷層に起因する光沢度(光沢度差)とは比例関係にあることが分かった。ゆえに、このグラフを満たす抗菌印刷物は、抗菌効果を有するものと判断することができる。
したがって、上記の抗菌OPニス剤の塗布量(g)と光沢度の関係、および、日本工業規格JIS Z 2801に準拠した抗菌印刷物の抗菌性について一度調査すれば、次回から、抗菌OPニス剤の塗布量(g)と光沢度のみを測定すれば、抗菌効果の有無を判定できることが示唆された。すなわち、実施例1−1〜実施例2−3によれば、従来のように、抗菌効果の確認に数日以上を必要としないので、コストを削減することができる。
【0058】
「実施例3」
大きさが約50mm×50mm、厚みが約0.1mmの正方形状のポリエチレンフィルムの一方の面の全面に、オフセット印刷により、本発明の抗菌OPニス剤を塗布して、抗菌印刷層を形成し、その抗菌印刷層を覆うように、大きさが約40mm×40mm、厚みが約0.09mmの正方形状のポリエチレンフィルムを配置し、試験片aを作製した。
抗菌OPニス剤としては、撥水剤としてシリコーンオイルを用い、OPニス中の撥水剤の含有率が、OPニスを構成する全成分の合計に対して2.0質量%であり、OPニス100質量部に対して、抗菌剤を3.5質量部添加したものを用いた。
この試験片aについて、日本工業規格JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」5.2プラスチック製品などの試験方法に準拠して、大腸菌または黄色ぶどう球菌に対する抗菌力試験を行った。
ただし、試験片aを高圧蒸気滅菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。
また、それぞれの菌に対する抗菌力試験に供する試験片aの数を3個とした。
試験の結果を表3に示す。
【0059】
なお、表3に示す「抗菌活性値(R)」は、R=Log(B/A)−Log(C/A)=Log(B/C)で定義される数値である。
この式において、Aは無加工(抗菌OPニス剤などを塗布していない)試験片における接種直後の生菌数の平均値、Bは無加工(抗菌OPニス剤などを塗布していない)試験片における24時間後の生菌数の平均値、Cは抗菌OPニス剤を塗布した試験片aにおける24時間後の生菌数の平均値を表す。
抗菌活性値(R)が2.0以上であれば、抗菌効果ありと判定する。
【0060】
【表3】

【0061】
「比較例」
大きさが約50mm×50mm、厚みが約0.1mmの正方形状のポリエチレンフィルムの一方の面の全面に、オフセット印刷により、従来のOPニスに抗菌剤を添加したOPニス剤を塗布して、抗菌印刷層を形成し、その抗菌印刷層を覆うように、大きさが約40mm×40mm、厚みが約0.09mmの正方形状のポリエチレンフィルムを配置し、試験片bを作製した。
OPニス剤としては、撥水剤を含まずに、OPニス100質量部に対して、抗菌剤を3.5質量部添加したものを用いた。
抗菌剤としては、本発明の抗菌OPニス剤に含まれているものと同様のものを用いた。
この試験片bについて、日本工業規格JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」5.2プラスチック製品などの試験方法に準拠して、大腸菌または黄色ぶどう球菌に対する抗菌力試験を行った。
ただし、試験片bを高圧蒸気滅菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。
また、それぞれの菌に対する抗菌力試験に供する試験片bの数を3個とした。
試験の結果を表4に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
表3の結果から、試験片aは、大腸菌および黄色ぶどう球菌に対する抗菌効果があることが分かった。
また、表4の結果から、試験片bは、大腸菌に対する抗菌効果があるものの、黄色ぶどう球菌に対する抗菌効果がないことが分かった。
また、試験片bの大腸菌に対する抗菌活性値(R)は2.9〜3.6であるのに対して、試験片aの大腸菌に対する抗菌活性値(R)が7よりも大きく、試験片aの黄色ぶどう球菌に対する抗菌活性値(R)が4.3よりも大きいことから、試験片aは試験片bよりも抗菌力が強いことが分かった。
【符号の説明】
【0064】
10・・・抗菌印刷物、11・・・被印刷物、12・・・意匠印刷層、13,23・・・抗菌印刷層、30・・・オフセット印刷機、31・・・第一のインキローラー、32・・・第二のインキローラー、33・・・第三のインキローラー、34・・・第四のインキローラー、35・・・第五のインキローラー、41・・・用紙、51・・・抗菌印刷物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤および撥水剤を含有してなるOPニス100質量部に対して、酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムおよびイソプロピルアルコールを含有してなる抗菌剤を2〜5質量部添加してなる抗菌OPニス剤であって、
前記OPニス中の前記固形樹脂の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して30〜40質量%の範囲であり、
前記OPニス中の前記植物油の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して18〜30質量%の範囲であり、
前記OPニス中の前記高沸点石油系溶剤の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して38〜50質量%の範囲であり、
前記OPニス中の前記撥水剤の含有率が、前記OPニスを構成する全成分の合計に対して1〜5質量%であり、
前記抗菌剤中の前記酸化銀−リン酸亜鉛カルシウムの含有率が、前記抗菌剤を構成する全成分の合計に対して25〜27質量%の範囲であり、
前記抗菌剤中の前記イソプロピルアルコールの含有率が、前記抗菌剤を構成する全成分の合計に対して73〜75質量%の範囲であることを特徴とする抗菌OPニス剤。
【請求項2】
被印刷物と、該被印刷物の表面に形成された意匠印刷層と、該意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部を覆う抗菌印刷層とを備えた抗菌印刷物であって、
前記抗菌印刷層は、請求項1に記載の抗菌OPニス剤からなることを特徴とする抗菌印刷物。
【請求項3】
被印刷物の表面に印刷を施して、意匠印刷層を形成する工程Aと、前記意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部に印刷を施して、前記意匠印刷層の前記被印刷物と接している面とは反対側の面の少なくとも一部および/または前記被印刷物の前記意匠印刷層と接していない面の少なくとも一部を覆う抗菌印刷層を形成する工程Bとを有する抗菌印刷方法であって、
前記工程Bにおいて、請求項1に記載の抗菌OPニス剤を用いて、前記抗菌印刷層を形成することを特徴とする抗菌印刷方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−184986(P2010−184986A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29162(P2009−29162)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(504459102)株式会社エイエヌオフセット (1)
【Fターム(参考)】