説明

抗CD80抗体を発現する細胞

【課題】ヒトB7.1抗原に特異的なモノクローナル抗体の少なくとも可変重鎖および軽鎖ドメインを発現するトランスフェクタント、たとえばCHO細胞を提供する。
【解決手段】ヒトCD80抗原に特異的に結合し、該CD80抗原のCD28への結合は阻害するが、該CD80抗原のCTLA−4への結合は阻害しない、下記より選ばれるモノクローナル抗体を発現する細胞の提供:(a)特定のアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体7C10の軽鎖可変領域および該抗体の重鎖可変領域を有する抗体;(b)特定のアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および該抗体の重鎖可変領域を有する抗体;および(c)ヒトCD80抗原への結合に対して(a)または(b)の抗体と競合し、(a)または(b)の抗体によっても結合されるヒトCD80抗原のエピトープに結合する抗体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトB7.1抗原(CD80)に特異的なモノクローナル抗体の同定および使用に関する。さらに詳しくは、本発明は、ヒトB7.1抗原のCD28受容体への結合は阻害し得るがB7.1のCTLA−4受容体への結合は阻害し得ないモノクローナル抗体またはその霊長類化(primatized)形態の同定および使用に関する。それゆえ、本発明は、CTLA−4受容体結合を排除するB7.1抗原上の特定の部位を認識するモノクローナル抗体およびその霊長類化形態の同定および使用に関する。
【0002】
本発明はさらに、ヒトB7.1抗原上の特定の部位を認識し、IL−2産生を阻害し得るモノクローナル抗体またはその霊長類化形態に関する。
【0003】
本発明はまた、ヒトB7.1に特異的なモノクローナル抗体または霊長類化抗体を含む医薬組成物並びにB7:CD28経路を調節することによる、たとえば自己免疫疾患の治療や臓器移植拒絶の防止のための免疫抑制剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
免疫学、血液学および腫瘍学の間での臨床的相互領域が長らく認識されている。血液学者または腫瘍学者によって処置される多くの状態は、その病理生理学に自己免疫または免疫不全要因のいずれかを有し、それが血液学者による免疫抑制剤療法の広範な採用となり、一方、腫瘍学者は腫瘍に対する内生の免疫を高めるための免疫アジュバントを探し求めていた。今日ではこれらの介入措置は、一般に非特異的なモードの免疫抑制および免疫刺激からなる。これら介入措置の効能が限られていることに加え、その非特異性による毒性もまた、その全的成功を制限していた。それゆえ、別の戦略が探し求められている。
【0005】
迅速にその数を増している細胞表面分子の機能的役割の解明は、免疫学と臨床血液学および腫瘍学との統合に多大な貢献をしている。200近い細胞表面抗原が免疫系および造血系の細胞で同定されている[非特許文献1]。これら抗原は、細胞認識、接着、増殖の誘発および維持、サイトカイン分泌、エフェクター機能、および細胞死さえも含む種々のプロセスに関与する、系統に限定された分子および広く分布する分子の両方を提示する。これら分子の機能的貢献の認識は、免疫応答を操作する新規な試みを呼び起こした。以前には細胞接着および抗原特異的な認識に関与する分子が治療用免疫学的介入の標的とされたが、最近ではコスティミュラトリー(co-stimulatory)分子と呼ばれる細胞表面分子のサブグループに関心が集まっている[非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6]。コスティミュラトリー分子は、抗原特異的なT細胞応答およびエフェクター機能の生成および増幅を開始はしないが、むしろ可能にする[非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7]。
【0006】
最近、B7:CD28と称する一つの特異的なコスティミュラトリー経路が、B細胞およびT細胞活性化におけるその有意の役割のために、異なる研究グループにより研究された[非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10]。このリガンド:受容体経路は4年前に発見されたので、B7:CD28相互作用が免疫応答性とアレルギーとを決定するうえでの重大な接点の一つを代表することを示唆する膨大な証拠が得られてきている[非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献11;非特許文献12]。
【0007】
とりわけ、ヒトB7抗原、すなわちヒトB7.1およびB7.2は、T細胞活性化においてコスティミュラトリーな役割を果たすことが報告されている[たとえば、非特許文献13を参照]。
【0008】
1.T細胞活性化におけるB7.1およびB7.2のコスティミュラトリーな役割
首尾よい免疫応答の精巧さは、T細胞と抗原提示細胞との間の一連の特異的な相互作用に依存する。このプロセスにおける最初の必須のステップはMHCクラスII分子との関連での抗原のT細胞受容体への結合に依存するが[非特許文献14]、この相互作用だけでは所定の抗原に対する継続した応答に必要なすべての事象を引き起こすのに充分ではない[非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献9]。
【0009】
ある種の他のコスティミュラトリー分子の関与が必要である[非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21]が、抗原提示細胞上で発現されたB7.1(CD80)およびB7.2(CD86)とともに、持続された免疫応答に必要なコスティミュラトリー分子の主要なペアである[非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25]。インビトロでは、これらコスティミュラトリーシグナルの不在が未発達のT細胞活性化経路および特定の抗原に対する応答の欠如すなわちアネルギーを導くことを示すことができる[たとえば、非特許文献26、非特許文献27、非特許文献28]。インビボの寛容の達成は、免疫抑制のメカニズムおよび臓器移植拒絶や自己免疫疾患の治療のための実行可能な療法を構成する。このことは、CTLA−4−Ig投与後の実験モデルでは達成されている[非特許文献29]。
【0010】
B7.1分子およびB7.2分子はCD28かまたはCTLA−4のいずれかに結合することができるが、B7.1はCD28には200NmのKdで結合し、CTLA−4には20倍高い親和性で結合する[非特許文献30;非特許文献31;非特許文献32]。B7.1は活性化されたB細胞およびインターフェロン誘発された単球上では発現されるが、静止状態のB細胞では発現されない[非特許文献33]。一方、B7.2は、静止状態の単球、樹状細胞およびB細胞上で非常に低レベルではあるが構成的に発現され、その発現は活性化されたT細胞、NK細胞およびBリンパ球では促進される[非特許文献34]。B7.1およびB7.2は同じ細胞型上で発現されうるが、B細胞上での発現は異なる動力学で起こる[非特許文献35;非特許文献36]。RNAレベルでさらに分析したところ、B7.2 mRNAが構成的に発現されるのに対して、B7.1 MRNAは活性化の4時間後に検出され、初期低レベルのB7.1タンパク質は刺激から24時間後までは検出できなかった[非特許文献36]。それゆえ、CTLA−4/CD28対応(counter)受容体は、B細胞活性化後の種々の時間に発現される。
【0011】
さらに最近では、第二のT細胞関連副受容体CTLA−4が明らかにランナウエイ(runaway)免疫系を無効にし妨害する負のモデュレーターとして機能することが示唆されている[非特許文献37]。CTLA−4受容体は、CTLA−4ノックアウトマウスで証明されるように、免疫応答をダウンレギュレートするうえで重要な役割を果たしている。CTLA−4遺伝子を発現する能力をもたずに生まれてきたノックアウトマウスは、重篤なリンパ増殖性疾患のために3〜4週間以内に死亡する[非特許文献38]。CTLA−4は、アポトーシスの誘発と連動したシグナル伝達機構により機能すると考えられており[非特許文献39]、該受容体上の特定部位への未だ定かでないリガンド結合により誘起される。B7.1/B7.2依存性コスティミュラトリーシグナルの種々の仕方での阻止は未発達の(aborted)T細胞活性化経路および特定の抗原に対する非応答性の発達を導くことがインビトロで示されている[特許文献1;特許文献2;非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28]。インビボ免疫寛容、アネルギー、または抗原特異的なT細胞の枯渇は、免疫抑制機構および臓器移植拒絶のための実行可能な療法または自己免疫疾患のもっともらしい治療を構成する。
【0012】
B7.1およびB7.2の差異的な時間をずらした(differential temporal)発現は、これら2つの分子とCTLA−4および/またはCD28との相互作用がT細胞への別個だが関連したシグナルを送達することを示唆している[非特許文献40;非特許文献41]。T細胞に対するCTLA−4およびCD28の正確なシグナル伝達機能は、現在のところ知られていない[非特許文献42]。しかしながら、1セットの受容体がT細胞活性化の初期刺激および第二の持続されたシグナルを提供し、該経路のさらなる精巧さ(elaboration)およびクローン拡張が起こるのを可能にしうる可能性がある[非特許文献43]。現在のデータは、T細胞拡張、リンホカイン分泌およびエフェクター機能の完全な発達のためにTCRとコスティミュラトリーシグナルの両者が必要である[非特許文献44]というジェンキンスおよびシュワルツにより提唱された2シグナル仮説[非特許文献15;非特許文献16]を支持している。第二のシグナルの送達ができないとT細胞がIL−2を分泌できず、細胞は抗原に対して非応答性となる。
【0013】
構造的には、B7.1およびB7.2の両者ともに、細胞外免疫グロブリンスーパーファミリーVおよびC様ドメイン、疎水性膜貫通領域および細胞質テールを含む[非特許文献45]。B7.1およびB7.2はともに高程度にグリコシル化されている。B7.1は、223アミノ酸の細胞外ドメイン、23アミノ酸の膜貫通ドメインおよび61アミノ酸の細胞質テールからなる44〜54kDの糖タンパク質である。B7.1は、3つの潜在的なプロテインキナーゼリン酸化部位を含む[非特許文献22]。B7.2は、306アミノ酸の膜糖タンパク質である。B7.2は、220アミノ酸の細胞外領域、23アミノ酸の疎水性膜貫通ドメインおよび60アミノ酸の細胞質テールからなる[非特許文献23]。B7.1およびB7.2の両遺伝子は同じ染色体領域中に局在するが[非特許文献46;非特許文献47]、これら抗原は高レベルのホモロジーを共有してはいない。B7.1とB7.2との間の全体のホモロジーは26%であり、マウスB7.1とヒトB7.1との間の全体のホモロジーは27%である[非特許文献22;非特許文献23]。ヒトB7.1、ヒトB7.2およびマウスB.1配列のアラインメントは、長いホモロジーを示す領域は殆どないことを示すが、これら3つの分子はすべてヒトCTLA−4およびCD28に結合することが知られている。従って、これら3つの分子に共通する隣接しているかまたは立体配置的な共通した密接に関連した相同領域が存在する可能性が高い。この領域は、B7.1分子およびB7.2分子の対応受容体への結合部位を構成する。これらエピトープに対して産生された抗体は、T細胞上でのB7と対応受容体との相互作用を阻止する可能性がある。さらに、B7.1分子とB7.2分子との両者の上の該領域と交差反応する抗体は、B7.1またはB7.2に対して別々に向けられた抗体よりも実際的に有利である可能性がある。
【0014】
2.B7/CD28相互作用の阻止
B7/CD28相互作用の阻止は特異的な免疫抑制の可能性を与え、長期間持続する抗原特異的な治療効果が得られる可能性がある。この相互作用を一時的に妨害する抗体または薬剤は、長期間の抗原特異的な治療効果を生成する効力を有する有用で特異的で安全な臨床免疫抑制剤となり得る。
【0015】
B7.1かまたはB7.2のいずれかに対する抗体は、インビトロでのIL−2産生の抑制により測定されるようにT細胞活性化を阻止することが示されている[非特許文献48;非特許文献22]。しかしながら、種々の抗体が免疫抑制能においてさまざまであることが示されており、これは親和性かまたはエピトープ特異性のいずれかを反映しているかもしれない。このことの一つの可能な説明として、アポトーシスや活性化T細胞でのCTLA−4受容体を介した幾つかの他の負のシグナル伝達は促進しながら、B7とCD28との結合のみを阻止する幾つかの抗体の能力がある。B7.1またはB7.2に対する幾つかの抗体は、実際、CTLA−4結合ドメインと交差反応することによりCTLA−4の活性を妨害する。CTLA−4/Ig融合タンパク質および抗CD28 Fabは、IL−2産生のダウンレギュレーションに対して同様の作用を有することが示された。
【0016】
可溶性のCTLA−4/Ig融合タンパク質のインビボ投与は、マウスにおいてT細胞依存性の抗体応答を抑制することが示されており[非特許文献43;非特許文献49]、さらに大用量の投与は第二の免疫に対する応答を抑制することができ、このアプローチが抗体に媒体された自己免疫疾患の治療に対して実行可能であることが示されている。さらに、CTLA−4−Igは、T細胞とB7.1/B7.2抗原提示細胞との間の相互作用を直接抑制することにより、マウスにおいて膵臓島細胞の拒絶を防ぐことができた[非特許文献35]。この場合、長期のドナー特異的な寛容が達成された。
【0017】
3.抗体選択のための組換えファージ提示(Display)法
今日まで、B7.1およびB7.2の両者に交差反応するモノクローナル抗体は報告されていない。さらに、B7.1またはB7.2に特異的で受容体CD28結合を同時に活性化することに限定された抗原上の特定の部位を認識するモノクローナル抗体は報告されていない。または、B7.1またはB7.2に特異的でCTLA−4受容体結合に限定された抗原上の特定の部位を認識するモノクローナル抗体は報告されていない。記載したように、かかる抗体は免疫抑制剤として非常に望ましいものである。
【0018】
ファージ提示法は免疫応答の際に産生される抗体を単離するための従来法に置き換わりつつある。なぜなら、従来法を用いた場合に比べてはるかに高いパーセントの免疫範囲(immune repertoire)を評価することが可能であるからである。このことは、一部、PEG融合の非効率性、染色体の不安定性、およびヘテロハイブリドーマ産生に伴う大量の組織培養およびスクリーニングによるものである。対照的にファージ提示法は、所定の抗原に応答した免疫グロブリン遺伝子の全範囲を潜在的に捕捉するための分子技術に依存している。
【0019】
この技術は非特許文献50に記載されている。本質的に、免疫グロブリンの重鎖遺伝子をPCR増幅し、繊維状ファージM13のマイナーコートタンパク質をコードする遺伝子を含むベクター中に重鎖融合タンパク質が生成されるような仕方でクローニングする。重鎖融合タンパク質は、それが組み立てられるときに軽鎖遺伝子とともにM13ファージ粒子中に取り込まれる。各組換えファージはそのゲノム内に異なる抗体Fab分子の遺伝子を含み、これはファージの表面上に提示される。これらライブラリー内に10を越える異なる抗体がクローニングされ、提示されうる。ファージライブラリーを抗原をコーティングしたマイクロタイターウエル上でえり分け、非特異的なファージを洗い落とし、抗原結合したファージを溶出する。抗原特異的なクローンからのゲノムを単離し、さらに特徴付けるために可溶性のFab形態で抗体が発現できるように遺伝子IIIを切り出す。潜在的な治療候補として単一のFabが一旦選択されたら、これを容易に全抗体に変換することができる。Fab配列を全抗体に変換するために以前に記載された発現系は、IDECの哺乳動物発現ベクターNEOSPLAである。このベクターは、ヒトガンマ1かまたはガンマ4のいずれかの定常領域遺伝子を含む。CHO細胞をNEOSPLAベクターでトランスフェクションし、増幅後、このベクター系は非常に高い発現レベル(>30pg/細胞/日)を達成できることが報告された。
【0020】
4.霊長類化抗体
組換え抗体を生成するための他の非常に効率的な手段がニューマン(Newman)によって開示されている[非特許文献51]。さらに詳しくは、この技術によりサル可変ドメインおよびヒト定常配列を含む霊長類化抗体を得ることができる。上記文献を参照のためその全体を本明細書中に引用する。さらに、この技術はまた、本願と同一の出願人である1995年1月25日に出願した米国特許出願第08/379,072号(これは1992年7月10日に出願した米国特許出願第07/912,292号(これは1992年3月23日に出願した米国特許出願第07/856,281号(これは1991年7月25日に出願した米国特許出願第07/735,064号の一部継続出願である)の一部継続出願である)の継続出願である)にも記載されている。米国特許出願第08/379,072号およびその親出願を参照のためその全体を本明細書中に引用する。
【0021】
この技術は、抗体をヒトに投与したときに抗原的に拒絶されないように修飾するものである。この技術は、ヒト抗原または受容体でカニクイザルを免疫することによっている。この技術は、ヒト細胞表面抗原に向けられた高親和性のモノクローナル抗体を産生するために開発された。
【0022】
ファージ提示ライブラリーまたはB7.1および/またはB7.2で免疫したサルからのBリンパ球を用いて得られたサルヘテロハイブリドーマをスクリーニングすることによるヒトB7.1およびB7.2に対するマカークザル抗体の同定はまた、本願と同一出願人に係る米国特許出願第08/487,550号(1995年6月7日出願;その全内容を参照のため本明細書中に引用する)に記載されている。さらに詳しくは、米国特許出願第08/487,550号は、B7:CD28経路を阻害し、それゆえ有効な免疫抑制剤として機能する4つのモノクローナル抗体7B6、16C10、7C10および20C9を提供している。
【0023】
このようにしてこれら同一出願人に係る出願により記載された仕方で生成された抗体は、ヒトエフェクター機能を示すこと、免疫原性が低減していること、および長期の血清半減期を有することが以前に報告されている。この技術は、カニクイザルがヒトと系統発生的には類似しているという事実にもかかわらず、カニクイザルが依然として多くのヒト抗原を異物として認識し、それゆえ免疫応答を誘起するという事実によっている。さらに、カニクイザルがヒトに系統発生的に近接しているため、これらサルで産生された抗体はヒトで産生された抗体に対して高度のアミノ酸ホモロジーを有することが見出された。実際、マカークザルの免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域遺伝子を配列決定したところ、各遺伝子ファミリーはヒトにおけるその対応遺伝子と85〜98%相同であることがわかった[非特許文献51]。このようにして産生された最初の抗体である抗CD4抗体は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域のコンセンサス配列に91〜92%相同であった[非特許文献51]。
【0024】
ヒトB7抗原に特異的なモノクローナル抗体は、以前に文献に記載されている。たとえば、ワイル(Weyl)ら[非特許文献52]は、天然および変異抗原変異体を用いたHLA−B−27に対するヒトモノクローナル抗体のエピトープマッピングを記載している。また、トゥバート(Toubert)ら[非特許文献53]は、35KDの細菌外膜タンパク質とも反応するHLA−B−27モノクローナル抗体のエピトープマッピングを記載している。また、バル(Valle)ら[非特許文献54]は、活性化B細胞およびHTLV−1形質転換T細胞で発現されたB7抗原を認識するIgG1サブクラスのモノクローナル抗体を記載している。さらに、トゥバートら[非特許文献55]は、HLA−B−27およびHLA−B−7抗原遺伝子の対立遺伝子間でのハイブリッド遺伝子を大腸菌で作成することにより構築したドメイン内組換え体を用いたこれら抗原のエピトープマッピングを記載している。
【0025】
B7抗原の高発現が自己免疫疾患と相関関係を有することが何人かの研究者によって示されている。たとえば、イオネスコ−チルゴビスト(Ionesco−Tirgoviste)ら[非特許文献56]は、1型インスリン依存性糖尿病での増大したB7抗原発現を報告している。また、乾癬患者から得た皮膚樹状細胞上でのB7抗原の関与が報告されている[非特許文献57]。
【0026】
さらに、アフィニティー精製した可溶性HLA−B7を用いた抗HLA−B7同種反応性CTLの抑制が文献で報告されている[非特許文献58]。さらに、動物モデルにおいてB7活性を阻止するためのB7受容体可溶性リガンドCTLA−4−Igの使用[たとえば、非特許文献29を参照]およびB7を抑制しうるB7−1−Ig融合タンパク質が報告されている。
【0027】
この開示では、CD28受容体結合に限定されたB7.1抗原上の特定の部位を認識するモノクローナル抗体の同定のための証拠が提供される。さらに、本明細書では、CTLA−4受容体結合を排除するB7.1抗原上の特定の部位を認識するモノクローナル抗体の同定のための証拠が提供される。それゆえ、本明細書では、ヒトB7.1(CD80)コスティミュラトリー抗原上の独特の抗原結合部位の存在を支持する証拠が提供される。これら主張に係る部位は、抗B7.1PRIMATIZEDR抗体により認識され、同時活性化受容体CD28との結合に限定されたB7.1抗原上の相互作用部位への結合を確認する証拠が提供される。
【0028】
【特許文献1】レダーマン(Lederman S)、チェス(Chess L)、イェリン(Yellin MJ):「Tリンパ球の表面上のヒト糖タンパク質を認識するマウスモノクローナル抗体(5c8)、それを含有する組成物」、米国特許第5,474,771(1995年12月12日)
【特許文献2】リンズレイ(Linsley PS)、レッドベター、ダムル(Damle NK)、ブラディー(Brady W):「キメラCTLA4受容体およびその使用方法」、米国特許第5,434,131(1995年7月18日)
【非特許文献1】シュロスマン(Schlossman,SF)、ブムセル(Boumsell,L.)、ジルクス(Gilks,JM)、ハーラン(Harlan,T.)、キシモト(Kishimoto,C.)、モリモト(Morimoto,C.)、リッツ(Ritz,J.)、ショー(Shaw,S.)、シルバースタイン(Silverstein,RL)、スプリンガー(Springer,TA)、テッダー(Tedder,TF)、トッド(Todd,RF):CD antigens(1993)、Blood 83:879、1994
【非特許文献2】ブレッチャー(Bretcher,P.):「21年後のリンパ球活性化の2シグナルモデル」、Immunol.Today 13:73(1992)
【非特許文献3】ジェンキンス(Jenkins,MK)、ジョンソン(Johnson,JG):「T細胞コスティミュレーションに関与する分子」、Curr.Opin.Immunol.5:351、1993
【非特許文献4】ゲッパート(Geppert,T.)、デービス(Davis,L.)、ガー(Gur,H.)、ワコルツ(Wacholtz,M.)、リプスキー(Lipsky,P.):「T細胞活性化に関与するアクセサリー細胞」、Immunol.Rev.117:5(1990)
【非特許文献5】ウィーバー(Weaver,CT)、ウナウエ(Unaue,ER):「抗原提示細胞のコスティミュラトリー機能」、Immunol.Today 11:49(1990)
【非特許文献6】ステナム(Stennam,RM)、ヤング(Young,JW):「抗原提示細胞から生じるシグナル」、Curr.Opin.Immunol.3:361(1991)
【非特許文献7】ジュン(June,CH)、ブルーストーン(Bluestone,JA)、リンスレイ(Linsley,PS)、トンプソン(Thompson,CD):「T細胞活性化におけるCD28受容体の役割」、Immunol.Today 15:321(1994)
【非特許文献8】ジュン、レッドベター(Ledbetter,JA):「T細胞の抗原への応答の間のCD28受容体の役割」、Ann.Rev.Immunol. 11:191(1993)
【非特許文献9】シュワルツ(Schwartz,RH):「Tリンパ球のコスティミュレーション:インターロイキン2の産生および免疫療法におけるCD28、CTLA−4およびB7/BB1の役割」、Cell 71:1065(1992)
【非特許文献10】ジェンシキンス(Jenkins MK)、テイラー(Taylor PS)、ノートン(Norton SD)、アーダール(Urdhal KB):「CD28はヒトT細胞による抗原特異的なIL−2産生に関与するコスティミュラトリーシグナルを放出する」Journal of Immunology 147:2461−2466(1991)
【非特許文献11】コーエン(Cohen,J.):「望んでいない免疫応答に対して開始される攻撃」(ニュースコメント)Science 257:751(1992)
【非特許文献12】コーエン:「“コスティミュレーター”として注目を浴びる新たなタンパク質」(ニュースコメント)Science 262:844(1993)
【非特許文献13】ギミ(Gimmi CD)、フリーマン(Freeman GJ)、グリッベン(Gribben JG)、スギタ(Sugita K)、フリードマン(Freedman AS)、モリモト(Morimoto C)、ナドラー(Nadler LM):「B細胞表面抗原B7はT細胞の増殖およびインターロイキン2分泌を誘発するコスティミュラトリーシグナルを提供する」Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:6575−6579(1991)
【非特許文献14】レイン(Lane,P.J.L.)、マッコネル(F.M.McConnell)、シーベン(G.L.Schieven)、クラーク(E.A.Clark)、およびレッドベター(1990)、「ヒトB細胞活性化におけるクラスII分子の役割」、The Journal of Immunology、144:3684−3692
【非特許文献15】シュワルツ、「Tリンパ球クローナルアネルギーの細胞培養モデル」、Science 248:1349
【非特許文献16】ジェンキンス(1992)「クローナルアネルギーの誘発における細胞分裂の役割」、Immunology Today、13:69
【非特許文献17】アズマ(Azuma,M.)、カタビアブ(M.Catabyab)、バック(D.Buck)、フィリップス(J.H.Phillips)およびラニエ(L,L,Lanier)(1992)、「ヒトナチュラルキラー白血病細胞株により媒体されるMHC非制限細胞毒性へのCD28の関与」、The Journal ofImmunology、149:1556−1561
【非特許文献18】アズマ、カタビアブ、バック、フィリップスおよびラニエ(1992)、「CD28とB7との相互作用は、小さな静止Tリンパ球によって媒体される一次同種増殖応答および細胞毒性をコスティミュレートする」、J.Exp.Med.175:353−360
【非特許文献19】ノートン、ズッカーマン(L,Zuckerman)、アーダール、シェフナー(R.Shefner)、ミラー(J.Miller)およびジェンキンス(1992)、「CD28リガンドであるB7はT細胞にコスティミュラトリーシグナルを提供することによりIL−2産生を促進する」、The Journal of Immunology、249:1556−1561
【非特許文献20】ジューン、レッドベター、リンスレイおよびトンプソン(1990)「T細胞活性化におけるCD28受容体の役割」、Immunology Today、11:211〜216
【非特許文献21】リンスレイ、ブラディー、アーンズ、グロスメア(L.S.Grosmaire)、ダムル(N.K.Damle)およびレッドベター(1991)、「CTLA−4はB細胞活性化抗原B7の第二の受容体である」、J.Exp.Med.174:561
【非特許文献22】アズマ、イッセル(H.Yssel)、フィリップス、スピッツ(H.Spits)およびラニエ(1993)、「活性化Tリンパ球上でのB7/BB1の機能的発現」、J.Exp.Med.177:845〜850
【非特許文献23】フリーマン(Freeman,G.J.)、フリードマン(A.S.Freedman)、セジル(J.M.Segil)、リー(G.Lee)、ホワイトマン(J.F.Whitman)およびナドラー(LM.Nadler)(1989)、「活性化された新生物B細胞上でのみ発現されるIgスーパーファミリーの新たな成員であるB7」、The Journal of Immunology、143:2714〜2722
【非特許文献24】ハスコック(Hathcok,K.S.)、ラスロ(G.Laslo)、ディックラー(H.B.Dickler)、ブラッドショー(J.Bradshaw)、リンスレイおよびホーズ(R.J.Hodes)(1993)、「T細胞活性化のコスティミュラトリーの他のCTLA−4リガンドの同定」、Science、262:905〜911
【非特許文献25】ハート(Hart,D.N.J.)、スターリング(G.C.Starling)、カルダー(V.L.Calder)およびフェルナンド(N.S.Fernando)(1993)、「B7/BB1は、活性化により誘発されたヒト樹状細胞上の白血球分化抗原である」、Immunology、79:616〜620
【非特許文献26】ハーディング(Harding,F.A.)、マッカーサー(J.G.McArthur)、グロス(J.A.Gross)、ラウレット(D.M.Raulet)およびアリソン(J.P.Allison)(1992)、「CD28により媒体されたシグナル伝達は、マウスT細胞をコスティミュレートし、T細胞クローンにおけるアネルギーの誘発を防ぐ」、Nature、356:607〜609
【非特許文献27】ギミ、フリーマン、グリベン、グレイ(G.Gray)およびナドラー(1993)、「ヒトT細胞クローナルアネルギーは、B7コスティミュレーションの不在下での抗原提示により誘発される」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6586〜6590
【非特許文献28】タン(Tan,P.)、アナセフティ(C.Anasefti)、ハンセン(J.A.Hansen)、メルローズ(J.Melrose)、ブランバンド(M.Brunvand)、ブラッドショー、レッドベターおよびリンスレイ(1993)、「CD28とその天然リガンドであるB7/BB1との間の相互作用を阻止することによるヒトTリンパ球でのアロ抗原特異的な低応答性の誘発」、J.Exp.Med.177:165〜173
【非特許文献29】レンショー(Lenshow,D.J.)、ゼング(Y.Zeng)、ジスルスウェイト(R.J.Thistlethwaite)、モンタグ(A.Montag)、ブラディー、ギブソン(M.G.Gibson)、リンスレイおよびブルーストーン(J.A.Bluestone)(1992)、「CTLA4−Igにより誘発された異種個体膵臓島移植の長期生存」、Science、257:789〜795
【非特許文献30】リンスレイ、クラークおよびレッドベター(1990)、「T細胞抗原CD28は、活性化抗原B7/BB1と相互作用することによりB細胞との接着を媒体する」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:5031〜5035
【非特許文献31】リンスレイら(1993)、「抗原へのT細胞応答の際のCD28受容体の役割」、Annu.Rev.Immunol.、11:191〜192
【非特許文献32】リンスレイら(1993)、「B7/BB1とCD28との連動が、CD28合成の一過性のダウンレギュレーションおよびCD28シグナル伝達に対する長期化した応答の欠如を誘発する」、The Journal of Immunology、150:3151〜3169
【非特許文献33】フリーマン、グレイ、ギミ、ロマルド(D.B.Lomarrd)、ゾウ(L−J.Zhou)、ホワイト、フィンゲロス(J.D.Fingeroth)、グリベンおよびナドラー(1991)、「ヒトBリンパ球活性化抗原B7のマウスホモログの構造、発現およびT細胞コスティミュラトリー活性」、J.Exp.Med.、174:625〜631
【非特許文献34】アズマ、イトー(D.Ito)、ヤギタ(H.Yagita)、オクムラ(K.Okumura)、フィリップス、ラニエおよびゾモザ(C.Zomoza)(1993)、「B70抗原はCTLA−4およびCD28の第二のリガンドである」、Nature、366:76〜79
【非特許文献35】レンショー、ス(G.H.Su)、ズッカーマン、ナバビ(N.Nabavi)、ジェリス(C.L.Jellis)、グレイ、ミラーおよびブルーストーン(1993)、「CTLA−4の別のリガンドの発現および機能的有意」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:11054〜11058
【非特許文献36】ブショティス(Boussiotis,V.A.)、フリーマン、グリベン、ダリー(J.Daley)、グレイおよびナドラー(1993)、「活性化されたヒトBリンパ球は、T細胞活性化をコスティミュレートする3つのCTLA−4対応受容体を発現する」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:11059〜11063
【非特許文献37】クラメル(Krummel M)、アリソン(Allison J):「CD28とCTLA−4とは刺激に対するT細胞の応答に対して反対の作用を有する」、J.Exp.Med. 182:459−466(1995)
【非特許文献38】チボル(Tivol EA)、ボリエロ(Borriello G)、シュワイツァー(Schweitzer AN)、リンチ(Lynch WP)、ブルーストーン(Bluestone JA)、シャープ(Sharpe AH):「CTLA−4の喪失は広範囲のリンパ増殖および致死的な多臓器組織破壊に導き、CTLA−4の重要な負の制御的役割を明らかにする」、Immunity 3:541−547(1995)
【非特許文献39】グリッベン、フリーマン、ブシオチス(Boussiotis VA)、レナート(Remmert P)、ジェリス(Jellis CL)、グリーンフィールド(Greenfield E)、バーバー(Barber M)、レスティボ(Restivo Jr. VA)、ケ(Ke X)、グレイ(Gray GS)、ナドラー:「CTLA−4はヒトT細胞の抗原特異的なアポトーシスを媒介する」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:811−825(1995)
【非特許文献40】ラサル(LaSalle,J.M.)、トレンチーノ(P.J.Tolentino)、フリーマン、ナドラーおよびハフラー(D.A.Hafler)(1992)、「CD28およびT細胞抗原受容体シグナル伝達は、スーパー抗原刺激に応答したインターロイキン2遺伝子発現を共同的に制御する」、J.Exp.Med.、176:177〜186
【非特許文献41】バンデンベルグ(Vandenberghe,P.)、フリーマン、ナドラー、フレッチャー(M.C.Fletcher)、カモウン(M.Kamoun)、ツルカ(L.A.Turka)、レッドベター、トンプソンおよびジュン(1992)、「抗体およびB7/BB1媒体されたCD28受容体のライゲーションはヒトT細胞においてチロシンリン酸化を誘発する」、The Journal of Experimental Medicine、175:951〜960
【非特許文献42】ジェインウェイ(Janeway,C.A.,Jr.)およびボトムリー(K.Bottomly)(1994)、「リンパ球応答のシグナルおよび信号」、Cell、76.275285
【非特許文献43】リンスレイ、グリーン(J.L.Greene)、タン、ブラッドショー、レッドベター、アナセッティ(C.Anasetti)およびダムル(1992)、「活性化Tリンパ球上でのCTLA−4およびCD28の同時発現および機能的協同」、J.Exp.Med.、176:1595〜1604
【非特許文献44】グリーナン(Greenan,V.)およびクレーマー(G.Kroemer)(1993)、「細胞免疫寛容への複数の経路」、Immunology Today、14:573
【非特許文献45】フリーマン、グリベン、ブショティス、ング(J.W.Ng)、レスティボ(V.Restivo,Jr.)、ロンバード(L.A.Lombard)、グレイおよびナドラー(1993)、「B7.2のクローニング:ヒトT細胞増殖をコスティミュレートするCTLA−4対応受容体」、Science、262:909
【非特許文献46】フリーマン、ロンバード、ギミ、ブロッド(S.A.Brod)、リー、レイニング(J.C.Laning)、ハフラー、ドーフ(M.E.Dorf)、グレイ、レイサー(H.Reiser)、ジュン、トンプソンおよびナドラー(1992)、「CTLA−4およびCD28のMRNAは活性化後に大抵のT細胞で同時に発現される」、The Journal of Immunology、149:3795〜3801
【非特許文献47】シュワルツ(1992)、「Tリンパ球のコスティミュレーション:CD28、CTLA−4およびB7/BB1の役割」、セルバクマール(Selvakumar,A.)、モハンラジュ(B.K.Mohanraj)、エディ(R.L.Eddy)、ショーズ(T.B.Shows)、ホワイト(P.C.White)、ペリン(C.Perrin)およびデュポン(B.Dupont)(1992)、「Bリンパ球活性化抗原B7をコードするヒト遺伝子のゲノム構成および染色体位置」、Immunogenetics、36:175〜181
【非特許文献48】デュボア(DeBoer,M.)、パレン(P.Parren)、ドーブ(J.Dove)、オッセンドープ(F.Ossendorp)、ファン・デア・ホルスト(van der Horst)およびリーダー(J.Reeder)(1992)、「新規な抗B7モノクローナル抗体の機能的特徴付け」、Eur.Journal of Immunology、22:3071〜3075
【非特許文献49】リン(Lin,H.)、ビリング(S.F.Builing)、リンスレイ、ウェイ(R.O.Wei)、トンプソンおよびツルカ(L.A.Turka)(1993)、「CTLA−4−Igとドナー特異的な輸血によって誘発された主要組織適合複合体の不適合な心臓同種移植の長期受容」、J.Exp.Med.、178:1801
【非特許文献50】バーバー(Barber)らのProc.Natl.Acad.Sci.USA、88、7978〜7982(1991)
【非特許文献51】ニューマン(Newman)(1992)、Biotechnology、10、1455〜1460
【非特許文献52】ワイル(Weyl)ら、Hum.Immunol.、31(4)、271〜276(1991)
【非特許文献53】トゥバート(Toubert)ら、Clin.Exp.Immunol.、82(1)、16〜20(1990)
【非特許文献54】バル(Valle)ら、Immunol.、69(4)、531〜535(1990)
【非特許文献55】トゥバートら、J.Immunol.、141(7)、2503〜9(1988)
【非特許文献56】イオネスコ−チルゴビスト(Ionesco−Tirgoviste)ら、Med.Interre、24(1)、11〜17(1986)
【非特許文献57】ネッスル(Nestle)ら、J.Clin.Invest.、94(1)、202〜209(1994)
【非特許文献58】ザバザバ(Zavazava)ら、Transplantation、51(4)、838〜42(1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の目的は、ヒトB7抗原に特異的な新規な抗体を同定することにある。より詳しくは、ヒトB7.1抗原に特異的であり、CD28受容体へのB7.1の結合をも阻止し得る抗体を同定することが本発明の目的である。ヒトB7.1抗原に特異的であり、CTLA−4へのB7.1の結合を阻害し得る抗体を同定することもまた本発明の目的である。それゆえ、本発明の目的は、B7.1抗原上の特定の部位を認識する抗原を同定することであり、その際、認識される部位は、CD28受容体結合に限定されCTLA−4受容体結合を排除するものである。
【0030】
本発明の他の目的は、ヒトB7.1抗原に特異的であるがヒトB7.2抗原を認識することはできない抗体を同定することである。
【0031】
本発明の他の目的は、ヒトB7.1抗原上の特定の部位を認識し、IL−2産生およびT細胞増殖を阻害し、有効な免疫抑制剤として機能するモノクローナル抗体およびその霊長類化形態を同定することである。さらに詳しくは、本発明の目的は、B7.1に特異的であり、IL−2産生を阻害し得る抗体を同定することである。
【0032】
本発明の他の目的は、ドナー脾臓細胞培養中での抗原誘発応答、たとえば、抗原特異的なIgG応答、IL−2産生および細胞増殖を阻害する、モノクローナル抗体およびその霊長類化形態を提供することにある。
【0033】
本発明の他の特別の目的はまた、有利な特性、すなわち親和性、免疫抑制活性を有する、治療剤として有用な、ヒトB7.1抗原に特異的な特定のサルモノクローナル抗体およびその霊長類化形態を同定することにある。さらに詳しくは、これら抗体およびその霊長類化形態は、たとえば免疫抑制剤として、すなわち抗原誘発免疫応答を阻止するため、自己免疫疾患(乾癬、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アレルギー、炎症性胆汁疾患など)を治療するため、および臓器移植拒絶を防ぐために用いることができる。
【0034】
本発明の他の目的は、ヒトB7.1抗原に特異的な1またはそれ以上のモノクローナル抗体またはその霊長類化形態および薬理学的に許容しうる担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供することにある。これら組成物は、たとえば、自己免疫疾患、たとえば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するため、抗原誘発免疫応答を阻止するため、および移植受容者における臓器移植拒絶を防ぐための免疫抑制剤として用いられるであろう。
【0035】
本発明の他の目的は、ヒトB7.1抗原に特異的に結合する1またはそれ以上の霊長類化モノクローナル抗体の治療学的有効量を投与することによる新規な治療方法を提供することにある。そのような治療方法は、B7:CD28経路の阻害により治療可能な疾患、たとえば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、乾癬、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、再生不能性貧血などの自己免疫疾患の治療、並びに移植患者において移植拒絶を防ぐために有用である。
【0036】
本発明のさらに他の目的は、ヒトB7.1抗原に特異的なモノクローナル抗体の少なくとも可変重鎖および軽鎖ドメインを発現するトランスフェクタント、たとえばCHO細胞を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
定義
本発明を一層明確に理解できるように下記術語を定義する。
枯渇(Depleting)抗体 活性化B細胞または他の抗原提示細胞を殺す抗体。
非枯渇(Non−depleting)抗体 B7とT細胞活性化リガンドCD28およびCTLA−4とのコスティミュラトリー作用を阻止する抗体。それゆえ、この抗体は免疫性を減少させる(anergizes)が抗原提示細胞を排除はしない。
【0038】
霊長類化抗体 サル抗体、とりわけカニクイザル抗体の可変重鎖および軽鎖ドメインを含み、ヒト定常ドメイン配列、好ましくはヒト免疫グロブリンガンマ1またはガンマ4定常ドメイン(またはPE変異体)を含むように設計した組換え抗体。かかる抗体の調製は、ニューマンら(1992)、「ヒト疾患の免疫療法のための組換え抗体の霊長類化:ヒトCDHに対するマカークザル/ヒトキメラ抗体」、Biotechnology、10:1458〜1460;および本願と同じ出願人に係る米国特許出願第08/379,072号(両文献を参照のため本明細書中にその全体を引用する)に記載されている。これら抗体は、ヒト抗体と高程度のホモロジー、すなわち85〜98%のホモロジーを示し、ヒトエフェクター機能を示し、免疫原性が減少しており、ヒト抗原に対して高い親和性を示すことが報告されている。
【0039】
B7抗原 本願におけるB7抗原は、たとえばヒトB7.1抗原およびB7.2抗原を含む。これら抗原はCD28および/またはCTLA−4に結合する。これら抗原はT細胞活性化においてコスティミュラトリー機能を有する。また、これら抗原はすべて、細胞外免疫グロブリンスーパーファミリーVおよびC様ドメイン、疎水性膜貫通領域および細胞質テールを含み[フリーマンら、Science、262:909(1993)を参照]、高度にグリコシル化されている。
【0040】
抗B7抗体 ヒトB7抗原、たとえばヒトB7.1抗原および/またはB7.2抗原に充分な親和性にて特異的に結合してB7:CD28相互作用を阻止し、それによって免疫抑制を誘発するサルモノクローナル抗体またはその霊長類化形態。
【0041】
上記のように、本発明は、ヒトB7.1抗原に特異的であり、CD28受容体へのB7.1の結合を阻害することができ、CTLA−4受容体へのB7.1の結合を阻害することができないモノクローナル抗体またはその霊長類化形態の同定に関する。正のコスティミュレーションに対するアンタゴニスト作用と負のシグナル伝達に対するアゴニスト作用との組み合わせを可能としながら上記同定された抗体を用いてCD28とB7.1(CD80)との間の主要な活性化部位を阻止することは、再発形態の自己免疫疾患に介入するための有用な治療学的アプローチであろう。同定された抗体の機能的な活性は、T細胞刺激性サイトカインIL−2の産生の阻止により定められる。同定された抗体は、第二の作動リガンドB7.2の存在下にもかかわらず、IL−2の産生を50%を超えて阻止する能力を示し、他の文献において定められる他の抗B7.1抗体で観察される作用では一般に認められない別の作用機構が存在することを示唆していた。
【0042】
ヒトB7.1および/またはB7.2抗原に特異的に結合する新規なサルモノクローナル抗体並びにそれから得られた霊長類化抗体の製造は、同時出願中の米国特許出願第08/487,550号に記載されており、本明細書にも記載してある。これら抗体はヒトB7.1および/またはB7.2に対する高い親和性を有し、それゆえB7:CD86経路を阻害する免疫抑制剤として用いることができる。
【0043】
サルモノクローナル抗体の調製は、ファージ提示ライブラリーのスクリーニングにより、またはB7(たとえば、ヒトB7.1および/またはB7.2)で免疫したサルから得たBリンパ球を用いたサルヘテロハイブリドーマの調製により、行うことができる。
【0044】
記載のように、抗B7抗体の第一の製造方法は、組換えファージ提示技術を含む。この技術は一般に上記文献に記載されている。
【0045】
本質的に、この技術は、繊維状ファージの表面上に提示されたB7抗原に対する組換え免疫グロブリンライブラリーを合成し、B7.1抗原および/またはB7.2抗原に対する高い親和性を有する抗体を分泌するファージを選択することを含むであろう。上記に記載したように、ヒトB7.1およびB7.2の両者に結合する抗体を選択するのが好ましいであろう。かかる方法を行うため、本発明者らは組換えの可能性を減少させ安定性を改善したサルライブラリーのための独特のライブラリーを作成した。このベクターpMSは以下に詳細に記載するが、図1に示してある。
【0046】
本質的に、マカークザルライブラリーに使用するファージ提示を採用するため、このベクターはサル免疫グロブリン遺伝子をPCR増幅するための特定のプライマーを含んでいる。これらプライマーは、霊長類化技術を開発する際に得られるマカークザル配列およびヒト配列を含むデータベースに基づく。
【0047】
適当なプライマーは、本願と同じ出願人に係る米国特許出願第08/379,072号(参照のため本明細書中に引用する)に開示されている。
【0048】
第二の方法は、ヒトB7抗原、好ましくはヒトB7.1抗原およびB7.2抗原に対してサル、すなわちマカークザルを免疫することを含む。マカークザルをモノクローナル抗体の再生に使用することの本来的な利点は上記に記載してある。とりわけ、かかるサル、すなわちカニクイザルはヒト抗原または受容体に対して免疫することができる。さらに、得られた抗体は、ニューマンら、Biotechnology、10、1455〜1460(1992)およびニューマンらの本願と同じ出願人に係る米国特許出願第08/379,072号(1995年1月25日出願)(その全体を参照のため本明細書中に引用する)に記載の方法に従って霊長類化抗体を作成するのに用いることができる。
【0049】
カニクイザルから得られる抗体の有意な利点は、これらサルが多くのヒトタンパク質を異物として認識し、それゆえ所望のヒト抗原、たとえばヒト表面タンパク質および細胞受容体に対して高い親和性を有する抗体を作成できることである。さらに、カニクイザルはヒトと系統発生的に近接しているため、それから得られる抗体はヒトで産生される抗体と高度のアミノ酸ホモロジーを示す。上記に記載したように、マカークザルの免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域遺伝子の配列決定したところ、各遺伝子ファミリーの配列はヒトの対応配列と85〜88%相同であることがわかった(ニューマンら(1992)、上掲)。
【0050】
本質的に、カニクイザルにヒトB7抗原、たとえばヒトB7.1抗原および/またはヒトB7.2抗原を投与し、それからB細胞を単離し、たとえばリンパ節生検を該動物から採取し、ついでポリエチレングリコール(PEG)を用いてBリンパ球をKH6/B5(マウス×ヒト)と融合させる。ついで、ヒトB7抗原、たとえばヒトB7.1抗原および/またはヒトB7.2抗原に結合する抗体を分泌するヘテロハイブリドーマを同定する。
【0051】
B7.1およびB7.2の両者に結合する抗体が望ましい。なぜなら、そのような抗体は、B7と同様にB7.1およびB7.2とその対応受容体、すなわちヒトCTLA−4およびCD28との相互作用を抑制するのに用いることができるからである。これらエピトープに対する抗体は、ヒトB7.1およびヒトB7.2の両者がT細胞上の対応受容体と相互作用するのを抑制する。このことは、相乗作用を付与する可能性がある。
【0052】
しかしながら、ヒトB7抗原、B7.1抗原またはB7.2抗原の一方のみに結合する抗体もまた、これら分子がともにT細胞活性化、クローン拡張、リンホカイン(IL−2)分泌、および抗原に対する応答性に関与することから非常に望ましい。ヒトB7.1およびB7.2の両者がヒトCTLA−4およびCD28に結合するなら、おそらく、それに対してマカークザル抗体が潜在的に産生される少なくとも一つの共通したまたは相同な領域(おそらく、共通する立体配置エピトープ)が存在するに違いない。
【0053】
開示した発明は、特定の抗体を産生するようにプライミングした動物の使用を含む。かかる手順に有用な動物には、これらに限られるものではないが、以下のものが挙げられる:マウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ブタ、ヤギおよびウサギ。
【0054】
SCIDマウスを用いてヒト抗体を産生するための好ましい手段は、本願と同一出願人に係る同時出願中の米国特許出願第08/488,376号に開示されている。
【0055】
本発明者らは、マカークザルの免疫を、CHO細胞中で産生されL307.4−セファロースアフィニティーカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製した組換え可溶性B7.1抗原に対して行うことを選択した。しかしながら、特定の投与B7抗原および潜在的に他のB7抗原に対して特異的な抗体応答となるに充分な純度を有する限りにおいて、ヒトB7抗原、ヒトB7.1抗原またはヒトB7.2抗原の特定の採取源は重要ではない。
【0056】
ヒトB7抗原、ヒトB7.1抗原(CD80とも称される)遺伝子およびヒトB7.2抗原(CD86とも称される)遺伝子はクローニングおよび配列決定されており、それゆえ組換え法により容易に製造することができる。
【0057】
好ましくは、投与するヒトB7抗原、ヒトB7.1抗原および/またはヒトB7.2抗原は、たとえば膜貫通ドメインと細胞質ドメインを除去することによって細胞外部分、すなわち細胞外スーパーファミリーVおよびC様ドメインのみを有するB7、B7.1またはB7.2遺伝子を発現させることにより、可溶性の形態で投与されるであろう[たとえば、グルメット(Grumet)ら、Hum.Immunol.、40(3)、228〜234、1994(可溶性形態のB7の発現を教示する;参照のためその全体を本明細書中に引用する)を参照]。
【0058】
マカークザルをB7抗原、B7.1抗原および/またはB7.2抗原、好ましくはその可溶性形態で、これら抗原に対する抗体が産生される条件下にて免疫するであろう。好ましくは、可溶性のヒトB7抗原、B7.1抗原またはB7.2抗原をアジュバント、たとえばフロントの完全アジュバント(CFA)、アルミニウム、サポニンまたは他の公知のアジュバント並びにそれらの組み合わせとともに投与されるであろう。一般に、これには、たとえば繰り返し注射することにより数カ月にわたって繰り返し免疫することが必要であろう。たとえば、可溶性のB7.1抗原の投与をアジュバント中でブースター免疫とともに3〜4カ月間行い、ヒトB7.1抗原に結合する抗体を含む血清を生成した。
【0059】
免疫後、B細胞をたとえば免疫動物からリンパ節生検を採取することにより回収し、ポリエチレングリコールを用いてB細胞をKH6/B5(マウス×ヒト)ヘテロハイブリドーマと融合させる。かかるヘテロハイブリドーマの作成方法は知られており、1995年1月25日に出願されたニューマンらの米国特許出願第08/379,072号(参照のため本明細書中に引用する)に記載されている。
【0060】
ついで、ヒトB7、B7.1および/またはB7.2に結合する抗体を分泌するヘテロハイブリドーマを同定する。このことは公知技術により行うことができる。たとえば、このことは酵素または放射性核種で標識したヒトB7、B7.1および/またはB7.2を用いたELISAまたはラジオイムノアッセイにより決定することができる。
【0061】
ついで、ヒトB7、B7.1および/またはB7.2抗原に対する所望の特異性を有する抗体を分泌する細胞株をサブクローニングしてモノクローナル化する。
【0062】
本発明においては、本発明者らは、ELISAアッセイにおける可溶性B7.1抗原コーティングプレート、抗原陽性B7.1細胞、および細胞表面上にヒトB7.1抗原を発現するCHOトランスフェクタントに結合する能力について精製抗体をスクリーニングした。さらに、混合リンパ球反応(MLR)におけるIL−2産生およびトリチウム化チミジンの取り込みにより測定されるように(B7結合は125I放射性標識した可溶性B7.1(SB7.1)を用いて検出)、B細胞/T細胞相互作用を阻止する能力について抗体をスクリーニングした。
【0063】
また、マカークザルからのアフィニティー精製した抗体を、B7.1/Ig融合タンパク質を発現するCHOトランスフェクタントに対する反応性、およびヒトB7.2抗原を産生するCHO細胞に対する反応性について試験した。これら結果は、B7.1免疫血清がB7.2トランスフェクトーマに結合することを示した。B7.2抗原への抗体の結合は、可溶性のB7.2−Ig試薬を用いて確認することができる。実施例に記載するように、このことは、B7.2−Ig−セファロースアフィニティーカラムを調製するのに充分な量でB7.2−IgをCHOトランスフェクトーマから調製および精製することにより行う。B7.2に交差反応する抗体はB7.2−Ig−セファロースカラムに結合するであろう。
【0064】
ついで、ヒトB7抗原、B7.1抗原および/またはB7.2抗原に特異的に結合する抗体を発現する細胞株を用い、本質的にニューマンら(1992)、上掲、および1995年1月25日に出願されたニューマンらの米国特許出願第08/379,072号(ともに参照のため本明細書中に引用する)に記載されたようにして霊長類化抗体を作成するために可変ドメイン配列をクローニングする。本質的に、このことには、該細胞株からのRNAの抽出、cDNAへの変換、およびIg特異的プライマーを用いたPCRによる増幅が含まれる。適当なプライマーは、ニューマンら(1992)、上掲、および米国特許出願第08/379,072号明細書(とりわけ、米国特許出願第08/379,072号の図1を参照)に記載されている。
【0065】
ついで、クローニングしたサル可変遺伝子を、ヒト重鎖および軽鎖定常領域遺伝子を含む発現ベクター中に挿入する。好ましくは、このことはIDEC,Inc.の特許発現ベクターであるNEOSPLAを用いて行う。このベクターは図2に示してあり、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー、マウスβグロビン主要プロモーター、SV40の複製起点、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼエクソン1およびエクソン2、ヒト免疫グロブリンκまたはλ定常領域、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、ヒト免疫グロブリンγ1またはγ4PE定常領域およびリーダー配列を含む。このベクターは、サル可変領域遺伝子の導入、CHO細胞中でのトランスフェクション、ついでG418含有培地中での選択およびメトトレキセート増幅の後に非常に高レベルの霊長類化抗体が発現されることがわかった。
【0066】
たとえば、この発現系は、これまでにCD4その他のヒト細胞表面受容体に対して高い結合活性(Kd≦10−10M)を有する霊長類化抗体が得られることが開示されている。さらに、これら抗体は、もともとのサル抗体と同じ親和性、特異性および機能的活性を示すことがわかっている。このベクター系は、本願と同じ出願人に係る米国特許出願第379,072号(参照のため本明細書中に引用する)、および1993年11月3日に出願された米国特許出願第08/149,099号(参照のためその全体を本明細書中に引用する)に実質的に開示されている。この系は高発現レベル、すなわち>30pg/細胞/日を提供する。
【0067】
以下に記載するように、本発明者らは、B7.1抗原に特異的に結合する4つの先導(lead)候補サルモノクローナル抗体を選択した。これらサルモノクローナル抗体は、本明細書において7B6、16C10、7C10および20C9と称する。
【0068】
以下にさらに詳細に記載するように、これら抗体を、T細胞結合についてのT細胞結合実験のための混合リンパ球反応中でのIL−2産生およびトリチル化チミジンの取り込みによって測定されるように、B細胞/T細胞相互作用を阻止する能力について評価し、ヒト体コート(human body coat)末梢血リンパ球をPHA刺激物質の存在下で3〜6日間培養した。B7結合を125I−放射性標識した可溶性B7.1を用いてラジオアッセイした。観察した結果は、減少したIL−2産生および混合リンパ球培養の減少した増殖により示されるように、これらすべての抗体がB7.1抗原と高い親和性にて結合し、B細胞/T細胞相互作用を有効に阻止することを示す。
【0069】
これら特定のサルモノクローナル抗体の特性は、まとめると以下のとおりである。
1.スキャッチャード分析は、B7−Igコーティングプレートへ結合するサル抗体のみかけの親和性定数(Kd)がおよそ以下のとおりであることを示した:
a:7C10: 6.2×10−9
b:16C10: 8.1×10−9
c:7B6: 10.7×10−9
d:20C9: 10.8×10−9
【0070】
2.抗体を混合リンパ球反応アッセイ(MLR)においてインビトロで試験した。MLRは、4つのすべての抗B7.1抗体が下記IC50値に示されように異なる程度にIL−2産生を阻害することを示した:
a:7B6: 5.0μg/M
b:16C10: <0.1μg/M
c:20C9: 2.0μg/M
d:7C10: 5.0μg/M
【0071】
3.サル抗B7.1抗体を、ヒト末梢血リンパ球(PBL)上のB7に結合する能力について試験した。FACS分析は、4つのすべてのサル抗体が陽性であることを示した。
4.サル抗体16C10、7B6、7C10および20C9をFACS分析によりC1q結合について試験した。その結果は、B7.1 CHOトランスフェクション細胞とともにインキュベートした後に7C10サルIgが強いヒトC1q結合を有することを示した。16C10は陽性であったが、20C9および7B6サル抗体は陰性であった。
5.病理−毒性(path-tox)研究のための動物モデルを選択するため、異なる種からの動物血でサル抗体を試験した。サル抗B7.1抗体は、ヒト、チンパンジーと交差反応した。
【0072】
これら特性に基づき、3つのサルモノクローナル抗体、16C10、7C10および20C9が最も有利な特性を備えていると思われ、そのうちでも16C10および7C10は20C9に比べて若干優れていた。
【0073】
上記技術および本願と同じ出願人に係る米国特許出願第08/379,072号に開示された技術を用い、本発明者らは7C10、7B6および16C10の可変ドメインをクローニングし、7C10軽鎖、7C10重鎖、7B6軽鎖、7B6重鎖、16C10軽鎖および16C10重鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を提供する。これらアミノ酸配列および核酸配列は、図3aおよび図3b、図4aおよび図4b、および図5aおよび図5bに示されている。ヒトガンマ1定常ドメインのDNA配列およびアミノ酸配列は米国特許出願第08/379,072号に記載されている。
【0074】
上記に記載したように、これら霊長類化抗体は図2に示したNEOSPLA発現ベクター(実質的に、本願と同じ出願人に係る米国特許出願第08/379,072号および08/149,099号(両出願を参照のため本明細書中に引用する)に記載されている)を用いて発現させるのが好ましい。
【0075】
上記で記載したように、本発明の霊長類化抗体はヒト免疫グロブリンガンマ1またはガンマ4定常領域のいずれかを含むのが好ましく、ガンマ4は2つの位置にて突然変異させてガンマ4PEを作成するのが好ましいであろう。このガンマ4PE変異体は2つの変異、すなわち残留FCR結合を排除するために導入したCH2領域中のグルタミン酸、および重鎖ジスルフィド結合相互作用の安定性を増大させることを意図したヒンジ領域におけるプロリン置換を含んでいる[アレグル(Alegre)ら、J.Immunol.、148、3461〜3468(1992);およびエンジェル(Angel)ら、Mol.Immunol.、30、105〜158(1993);ともに参照のため本明細書中に引用する]。
【0076】
本発明の霊長類化抗体がガンマ1、ガンマ4またはガンマ4PE定常領域のいずれを含むかは、特定の疾患標的にほぼ依存する。好ましくは、枯渇および非枯渇霊長類化IgG1およびIgG4抗体を作成し、特定の疾患標的に対して試験する。
【0077】
本発明のサルモノクローナル抗体が上記結合特性および機能的特性を有するとするなら、これら抗B7.1モノクローナル抗体およびその霊長類化形態はB7:CD28相互作用を阻止するための治療剤として充分に適しているに違いなく、かくして免疫抑制剤が提供される。とりわけ、混合リンパ球培養におけるIL−2産生およびトリチウム化チミジンの取り込みによって測定されるようなB7.1抗原への高親和性およびB細胞/T細胞相互作用を阻止する能力、並びに減少した抗原特異的IgG応答、IL−2産生および細胞増殖によって示されるようなドナー脾臓細胞培養において抗原誘発応答を有効に抑制する能力を有するとするなら、これらサルモノクローナル抗体およびその霊長類化形態はB7:CD28経路を調節する有効な免疫抑制剤として機能するに違いない。このことは、免疫抑制が治療学上望ましい多くの疾患、たとえば自己免疫疾患を治療するため、望ましくない抗原特異的IgG応答を抑制するため、および臓器移植拒絶および移植片対宿主病を防ぐために重要である。本質的に、本発明の抗体は、B7:CD28経路の抑制が治療学上望ましいあらゆる疾患を治療するうえで有用であろう。
【0078】
本発明の抗B7.1抗体の重要な治療適応症としては、例として、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、多発性硬化症、再生不能性貧血、乾癬、アレルギー、炎症性胆汁疾患および慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患が挙げられる。
【0079】
本発明の抗B7.1抗体の他の治療適応症は、臓器移植および骨髄移植(BMT)の際の移植片対宿主病(GVHD)を防ぐことである。本発明の抗体は、ドナー特異的な同種抗原に対する宿主寛容を誘発し、それによって移植を容易にし、移植拒絶の発生を低減するのに用いることができる。同種抗原心臓移植のマウスモデルにおいて、CTLA4−Igの静脈内投与が免疫抑制あるいは同種抗原に対する寛容の誘発とさえなりうることが示されている[リン(Lin)ら、J.Exp.Med.178]1801、1993;トルカ(Torka)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:11102、1992]。本発明の霊長類化抗B7.1抗体は同様またはそれ以上の活性を示すであろうことが期待される。
【0080】
上記方法によりまたは同等の技術により産生した抗体は、機能的生物学的アッセイにおいて特徴付けるためにアフィニティークロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーとの組み合わせにより精製することができる。これらアッセイには、特異性および結合親和性の決定並びに発現されたイソ型に伴うエフェクター機能、たとえばADCC、または補体固定化が含まれる。かかる抗体は、多くのヒト疾患、たとえば、B細胞リンパ腫、HIV/AIDSなどのウイルス性疾患を含む感染疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、および移植に対する受動および能動治療剤として用いることができる。これら抗体は、その天然型か、または抗体/キレート複合体、抗体/薬剤複合体もしくは抗体/毒素複合体の一部として用いることができる。さらに、全抗体または抗体フラグメント(F(ab')、Fab、Fv)を造影試薬として、または抗イディオタイプ応答を生成するための能動免疫療法における潜在的なワクチンまたは免疫原として用いることができる。
【0081】
治療効果を得るのに有用な抗体の量は、当業者によく知られた標準法により決定することができる。これら抗体は一般に、標準法により薬理学的に許容しうる緩衝液中にて提供され、所望の経路にて投与できる。本願の請求に係る抗体の有効性およびヒトによる寛容のため、ヒトにおける種々の疾患または疾患状態を治療するためにこれら抗体を繰り返し投与することが可能である。
【0082】
本発明の抗B7.1抗体(またはそのフラグメント)は、免疫抑制を誘発するのに、すなわちヒトまたは動物の免疫系の抑制を誘発するのに有用である。それゆえ、本発明は、本発明の抗体の有効な非毒性量を免疫抑制を必要とするヒトその他の動物に投与することによる、かかるヒトその他の動物において免疫抑制を予防的または治療的に誘発する方法に関する。
【0083】
本発明の化合物が免疫抑制を誘発する能力は、この目的のために使用される標準的な試験、たとえば、混合リンパ球反応試験またはチミジンの取り込みにより測定されるT細胞増殖の抑制を測定する試験で示される。
【0084】
本発明の抗体が免疫抑制を誘発するうえで有用性を有するという事実は、本発明の抗体が移植臓器または組織(たとえば、腎臓、心臓、肺、骨髄、皮膚、角膜など)に対する抵抗または拒絶の治療または予防;自己免疫疾患、炎症疾患、増殖性および過増殖性疾患、および免疫学的に媒体された疾患の皮膚症状(たとえば、慢性関節リウマチ、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型糖尿病、ぶどう膜炎、ネフローゼ症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、およびさらなる(further)湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、偏平苔せん、天疱瘡、水泡性天疱瘡、表皮水泡症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症など)の治療または予防;可逆性閉塞性気道疾患(reversible obstructive airways disease)、胃腸炎症およびアレルギー(たとえば、炎症性胆汁疾患、小児脂肪便症、直腸炎、好酸球増加性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病および潰瘍性大腸炎)、食物関連アレルギー(たとえば、偏頭痛、鼻炎および湿疹)および他のタイプのアレルギーの治療に有用であるに違いないことを示している。
【0085】
当業者であれば日常的な実験により、免疫抑制を誘発する目的のための抗体の有効かつ非毒性の量を決定できるであろう。しかしながら、一般に、有効投与量は1日当たり体重1kg当たり約0.05〜100mgの範囲であろう。
【0086】
本発明の抗体(またはそのフラグメント)はまた、哺乳動物において腫瘍を治療するうえでも有用であるに違いない。一層詳しくは、本発明の抗体は、腫瘍のサイズを小さくし、腫瘍の増殖を抑制し、および/または腫瘍を有する動物の生存時間を延ばすのに有用であるに違いない。さらに、本発明はまた、ヒトその他の動物に有効かつ非毒性量の抗体を投与することによるヒトその他の動物における腫瘍の治療方法にも関する。当業者であれば日常的な実験により、発癌性腫瘍を治療する目的のための抗B7抗体の有効かつ非毒性の量を決定できるであろう。しかしながら、一般に、有効投与量は1日当たり体重1kg当たり約0.05〜100mgの範囲であることが期待される。
【0087】
本発明の抗体は、上記治療方法に従い、治療または予防効果が期待できる程度に充分な量にてヒトその他の動物に投与することができる。かかる本発明の抗体は、公知技術に従って本発明の抗体を通常の薬理学的に許容しうる担体または希釈液と混合することにより調製した通常の剤型にて、かかるヒトその他の動物に投与することができる。当業者であれば薬理学的に許容しる担体または希釈液の形態および特性が、混合する活性成分の量、投与経路および他のよく知られた変量によって決定されることが認識されるであろう。
【0088】
本発明の抗体(またはそのフラグメント)の投与経路は、経口、非経口、吸入または局所投与であってよい。本明細書において用いる非経口なる術語は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸内または膣内投与を含む。皮下および筋肉内形態の非経口投与が一般に好ましい。
【0089】
本発明の化合物を予防的または治療的に免疫抑制を誘発するためまたは発癌性腫瘍を治療するために用いる際の毎日の非経口および経口投与計画は、一般に1日当たり体重1kg当たり約0.05〜100mgの範囲だが、約0.5〜10mgの範囲であるのが好ましいであろう。
【0090】
本発明の抗体はまた吸入によっても投与することができる。「吸入」とは鼻内および経口吸入投与を意味する。かかる投与に適した剤型、たとえばエアロゾル製剤や定量吸入器(metered dose inhaler)などは通常の技術により製造できる。本発明の化合物の好ましい投与量は、一般に約10〜100mgの範囲である。
【0091】
本発明の抗体はまた、局所投与することもできる。局所投与とは非全身投与をいい、本発明の抗体(またはそのフラグメント)化合物を表皮や頬面窩洞に外用したり、かかる抗体を眼、耳および鼻や血流に実質的に浸入しない場所に点滴注入することを含む。全身投与とは、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内投与を意味する。治療または予防効果を得るのに必要な抗体の量は、もちろん、選択した抗体、治療しようとする状態の性質および重篤度および治療を受ける動物により変わるであろうが、最終的には医師の裁量による。本発明の抗体の局所投与の適当な投与量は、一般に1日当たり体重1kg当たり約1〜100mgの範囲であろう。
【0092】
製剤
本発明の抗体またはそのフラグメントは単独でも投与することが可能であるが、医薬製剤として投与することが好ましい。活性成分は、局所投与の場合、医薬製剤の0.001〜10%w/w、たとえば1重量%〜2重量%を構成してよいが、10%w/wを構成してもよく、好ましくは医薬製剤の5%w/wを越えない量、さらに好ましくは0.1〜1%w/wである。
【0093】
本発明の局所製剤は、活性成分を1またはそれ以上の許容しうる担体および任意の他の治療成分とともに含む。担体は、製剤の他の成分と適合し、適用者に有害でないという意味で「許容しうる」ものでなければならない。
【0094】
局所投与に適した製剤としては、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏またはパスタ剤などの治療が必要な部位へ皮膚を通して浸透していくのに適した液状または半液状の製剤、および眼、耳または鼻に投与するのに適した滴剤が含まれる。
【0095】
本発明による滴剤は滅菌した水性または油性の溶液または懸濁液を含み、殺菌剤および/または殺真菌剤および/または他の適当な保存剤の適当な水溶液(好ましくは表面活性剤を含む)中に活性成分を溶解することにより調製できる。ついで、得られた溶液を濾過により清澄化し、適当な容器に移し、ついでこれを密封し、90〜100℃にて半時間オートクレーブまたは維持することにより滅菌する。別法として、溶液を濾過により滅菌し、無菌技術により容器に移す。滴剤中に含めるのに適した殺菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液を調製するのに適した溶媒には、グリセリン、希アルコールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0096】
本発明によるローション剤には、皮膚または眼に適用するのに適したものが含まれる。眼用ローション剤は、任意に殺菌剤を含む滅菌水溶液を含み、滴剤の調製と同様の方法により調製できる。皮膚に適用するローション剤またはリニメント剤はまた、アルコールやアセトンなどの乾燥促進剤や皮膚冷却剤、および/またはグリセリンなどの加湿剤またはヒマシ油や落花生油などの油をも含む。
【0097】
本発明によるクリーム剤、軟膏またはパスタ剤は、活性成分の外用のための半固形製剤である。これら製剤は、微細に粉砕したまたは粉末形態の活性成分を単独で、または水性もしくは非水性流体中の溶液または懸濁液中にて、適当な機械の助けを借りて脂肪性(greasy)または非脂肪性(non−greasy)基剤を用いて混合することにより調製できる。基剤は、固形パラフィン、軟パラフィンまたは流動パラフィン、グリセリン、蜜蝋、金属石鹸などの炭水化物;粘漿薬;扁桃油、トウモロコシ油、落花生油、ヒマシ油またはオリーブ油などの天然起源の油;羊毛脂もしくはその誘導体、またはステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸をプロピレングリコールやマクロゴールなどのアルコールとともに含む。製剤は、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性界面活性剤などの適当な界面活性剤、たとえば、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体などを含んでいてよい。天然ゴム、セルロース誘導体または無機物質(シリカ(silicaceous silicas)などの懸濁化剤、およびラノリンなどの他の成分も含まれていてよい。
【0098】
本発明の抗B7.1抗体またはそのフラグメントはまた、B7:CD28経路を調節する他の分子(moieties)とともに投与することもできる。かかる分子としては、その例として、IL−7やIL−10などのサイトカイン、CTLA4−Ig、可溶性CTLA4および抗CD28抗体およびそのフラグメントが挙げられる。本発明の抗体はまた、他の免疫抑制剤と併用して投与することができる。かかる免疫抑制剤としては、サイクロスポリンA(CSA)およびFK506などの小さな分子;抗腫瘍壊死因子a(抗TNFa)、抗CD54、抗CD11、抗CD11a、および抗IL−1などのモノクローナル抗体;および rTNFaおよびrIL−1などの他の可溶性受容体が挙げられる。
【0099】
当業者には、本発明の抗体またはそのフラグメントの個々の投与量の最適量および期間(spacing)が治療しようとする状態の性質および程度、投与の形態、経路および部位、および治療しようとする特定の動物により決定されるであろうこと、およびかかる最適量が通常の技術により決定されうることが認識されるであろう。当業者にはまた、治療の最適コース、すなわち所定日数の間の1日当たりに投与する本発明の抗体またはそのフラグメントの投与の回数が治療決定試験(treatment determination tests)の通常のコースを用いて当業者により評価されうることも認識されるであろう。
【0100】
さらに詳述するまでもなく、当業者であれば上記の記載を用いて本発明を最大限に活用することができると思われる。それゆえ、以下に記載する製剤例は例示的な態様を示すのであって、本発明の範囲をいかなる意味においても限定することを意図するものではない。
【0101】
カプセル組成物
カプセル剤の形態の本発明の医薬組成物は、標準的な2片(two-piece)ハードゼラチンカプセルに粉末形態の本発明の抗体またはそのフラグメント(50mg)、乳糖(100mg)、タルク(32mg)およびステアリン酸マグネシウム(8mg)を充填することにより調製する。
【0102】
注射可能な非経口組成物
注射により投与するのに適した形態の本発明の医薬組成物は、本発明の抗体またはそのフラグメント(1.5重量%)を10容量%のプロピレングリコールおよび水の中で撹拌することにより調製する。この溶液を濾過滅菌する。
【0103】
軟膏組成物
本発明の抗体またはそのフラグメントを1.0g
白色軟パラフィンを100.0gまで。
本発明の抗体またはそのフラグメントを少量のビヒクル中に分散させて滑らかな均一な生成物を得る。ついで、この分散液を折り畳み式金属チューブに充填する。
【0104】
局所クリーム組成物
本発明の抗体またはそのフラグメントを1.0g
ポラワックスGP200を20.0g
無水ラノリンを2.0g
白色蜜蝋を2.5g
ヒドロキシ安息香酸メチルを0.1g
蒸留水を100.0gまで。
ポラワックス、蜜蝋およびラノリンをいっしょに60℃で加熱する。ヒドロキシ安息香酸メチルの溶液を加え、高速で撹拌して均一な溶液とする。ついで、温度を50℃まで下げる。ついで、本発明の抗体またはそのフラグメントを加え、充分に分散させ、ゆっくりとした速度で撹拌して組成物を冷却する。
【0105】
局所ローション組成物
本発明の抗体またはそのフラグメントを1.0g
ソルビタンモノラウレートを0.6g
ポリソルベート20を0.6g
セトステアリルアルコールを1.2g
グリセリンを6.0g
ヒドロキシ安息香酸メチルを0.2g
精製水B.P.を100−00ml(B.P.=英国薬局方)。
ヒドロキシ安息香酸メチルおよびグリセリンを75℃の水(70ml)中に溶解する。ソルビタンモノラウレート、ポリソルベート20およびセトステアリルアルコールをいっしょに75℃で溶融し、上記水溶液に加える。得られた乳濁液をホモジナイズし、連続攪拌しながら冷却させ、本発明の抗体またはそのフラグメントを残りの水中の懸濁液として加える。全懸濁液をホモジナイズされるまで攪拌する。
【0106】
点眼組成物
本発明の抗体またはそのフラグメントを0.5g
ヒドロキシ安息香酸メチルを0.01g
ヒドロキシ安息香酸プロピルを0.04g
精製水B.P.を100−00ml
ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピルを70mlの精製水中に75℃にて溶解し、得られた溶液を冷却した。ついで、本発明の抗体またはそのフラグメントを加え、溶液をメンブランフィルター(0.022μmの孔径)で濾過して滅菌し、適当な滅菌容器中に滅菌充填する。
【0107】
吸入投与のための組成物
15〜20ml容のエアロゾル容器用:
10mgの本発明の抗体またはそのフラグメントを0.2〜0.5%の滑沢剤、たとえばポリソルベート85またはオレイン酸と混合し、ついで該混合物を好ましくは(1,2ジクロロテトラフルオロエタン)とジフルオロクロロメタンとの組み合わせ中でフレオン等のプロペラント中に分散させ、鼻内かまたは口内投与のいずれかに適合させた適当なエアロゾル容器中に入れる。
【0108】
吸入投与のための組成物
15〜20ml容のエアロゾル容器用:
本発明の抗体またはそのフラグメント(10mg)をエタノール(6〜8ml)中に溶解し、ポリソルベート85またはオレイン酸などの滑沢剤(0.1〜0.2%)を加え、このものをフレオン(好ましくは(1,2ジクロロテトラフルオロエタン)とジフルオロクロロメタンとの組み合わせ)などのプロペラント中に分散し、鼻内かまたは経口吸入投与に適合させた適当なエアロゾル容器中に入れる。
【0109】
本発明の抗体および医薬組成物は、非経口投与、すなわち皮下、筋肉内または静脈内投与に特に有用である。非経口投与用の組成物は一般に、許容しうる担体、好ましくは水性担体中に溶解した本発明の抗体またはそのフラグメントまたはその組み合わせの溶液を含むであろう。種々の水性担体、たとえば、水、緩衝水溶液、0.4%食塩水、0.3%グリシンなどを用いることができる。これらの溶液は滅菌してあり、一般に粒状物質を含まない。これら溶液は、通常のよく知られた滅菌法により滅菌することができる。本発明の組成物は、pH調節剤や緩衝剤など、適当な生理条件に必要とされる薬理学的に許容可能な補助物質を含んでいてよい。かかる医薬組成物中の本発明の抗体またはフラグメントの濃度は広範囲に変わりうる、すなわち約0.5重量%未満、通常少なくとも約1重量%から15または20重量%までであってよく、選択した特定の投与方法に従って主として流体容量、粘度などに基づいて選択されるであろう。
【0110】
それゆえ、本発明の筋肉内投与用医薬組成物は、1mlの滅菌緩衝水溶液および50mgの本発明の抗体またはそのフラグメントを含むように調製できる。同様に、本発明の静脈内投与用医薬組成物は、250mlまでの滅菌リンゲル溶液および150mgの本発明の抗体またはそのフラグメントを含むように調製できる。非経口投与可能な組成物の実際の調製法は当業者によく知られているかまたは当業者には明らかであり、たとえば、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンス(Remington's Pharmaceutical Science)、第15版、マック・パブリシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、イーストン、ペンシルベニア(参照のため本明細書中に引用する)に一層詳細に記載されている。
【0111】
本発明の抗体(またはそのフラグメント)は貯蔵のために凍結乾燥し、使用前に適当な担体中で再構成することができる。この技術は通常の免疫グロブリンにおいて有効であることが示されており、技術分野で公知の凍結乾燥および再構成法を用いることができる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、意図する結果に依存して予防および/または治療のために投与することができる。治療の目的で適用する場合には、すでに疾患を患っている患者に該疾患およびその合併症を治癒もしくは少なくとも部分的に寛解させるに充分な量の組成物を投与する。予防の目的で適用する場合には、未だ疾患状態にない患者に本発明の抗体またはその混合物を含む組成物を投与して患者の耐性を高める。
【0113】
本発明の医薬組成物の単回投与または多回投与を、治療にあたった医師により選択された投与量レベルおよびパターンにて行うことができる。いずれの場合においても、本発明の医薬組成物は患者を有効に治療するのに充分な所定量の本発明の改変抗体(またはそのフラグメント)を提供できなくてはならない。
【0114】
本発明の抗体はまた、該抗体と同じ療法において有用なペプチド性かまたは非ペプチド性の化合物(模倣物)の設計および合成に用いることができる[たとえば、サラゴビ(Saragovi)ら、Science、253、792〜795(1991)を参照]。
【0115】
本発明をさらに説明するため、下記実施例を記載する。これら実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0116】
繊維状ファージの表面上に提示された組換え免疫グロブリンライブラリーは、マッカファーティー(McCafferty)ら、Nature、348:552〜554、1990およびバーバス(Barbas)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978〜7982、1991に最初に記載された。この技術を用い、高親和性抗体を免疫ヒト組換えライブラリーから単離した[バーバスら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 589:10164〜10168、1992]。本発明で使用したファージ提示の概念はバーバス(1991、上掲)によって記載されたものと実質的に同じであるが、組換えの可能性を低減し安定性を改善するため、サルライブラリーの独特のベクターを代用することにより該技術を修飾した。このベクター、pMS(図1)は、ポリシストロン性の重鎖および軽鎖サルDNAの効率的な転写および翻訳のための単一のlacプロモーター/オペレーターを含む。このベクターは、2つの異なるリーダー配列、すなわち、軽鎖のためのompA[モッバ(Movva)ら、J.Biol.Chem.、255:27〜29(1980)]および重鎖FdのためのpelB[レイ(Lei)ら、J.Bact.、4379〜109:4383(1987)]を含む。両リーダー配列は、重鎖および軽鎖クローニング生成物の細胞周辺腔への分泌を指令する疎水性のシグナルペプチドに翻訳される。ペリプラスムの酸化的環境中では、これら2つの鎖は折り畳まれ、ジスルフィド結合を生成して安定なFabフラグメントを形成する。
【0117】
本発明者らは、このベクターの骨格をファージミドであるbluescript(ストラタジーン、ラジョラ、カリフォルニア)から得た。それは、pMS DNAを含む細菌にアンピシリン(カルベニシリン)耐性を付与する酵素β−ラクタマーゼの遺伝子を含む。本発明者らはまた、マルチコピープラスミドColE1の複製起点および繊維状バクテリオファージf1の複製起点をbluescriptから得た。ファージf1の複製起点(いわゆる遺伝子内領域)は、一本鎖pMS DNAの合成の開始、カプシド形成の開始およびウイルス酵素によるRNA合成の終止を指令する。pMS DNA鎖の複製およびファージ粒子への組み立てには、ヘルパーファージによって提供されなければならないウイルスタンパク質を必要とする。本発明者らはヘルパーファージVCSM13を用いたが、これはカナマイシン耐性をコードする遺伝子をも含んでいるため特にこの目的に適している。VCSM13およびpMSが感染した細菌は、増殖培地にカナマイシンおよびカルベニシリンの両者を加えることにより選択できる。これら細菌は、最終的にpMSゲノムかまたはVCSM13ゲノムのいずれかを含有する繊維状ファージ粒子を生成するであろう。ヘルパーファージのパッケージングはpMSのパッケージングに比べて効率が悪く、その結果、組換えpMSファージを優勢に含む混合ファージ集団が得られる。このファージの両末端は各末端に特異的なマイナーコートタンパク質を拾い上げる(pick up)。
【0118】
本発明において特に興味深いのは、該ファージの一端に5コピーのうち3コピー中に存在する遺伝子III生成物である。この遺伝子III生成物は406アミノ酸残基からなり、F線毛を介した大腸菌のファージ感染に必要である。重鎖の最初の2つのドメイン、すなわち可変ドメインおよびCH1ドメインは遺伝子IIIタンパク質のカルボキシ末端半分に融合している。この組換え線毛タンパク質(pelBリーダーにより指令される)はペリプラスムに分泌され、そこで蓄積し、ファージのコート中に組み込まれる前に軽鎖とジスルフィド結合を生成する。また、他のベクターは遺伝子IIIの下流に組み込んだFLAG配列を含む。このFLAGは、Fdタンパク質のカルボキシ末端にて発現される8アミノ酸ペプチドである。本発明者らは、ファージFabの精製およびELISAによる検出の両目的のために市販のモノクローナル抗FLAG M2を用いている[ブリザード(Brizzard)、Bio Technology、16(4):730−731(1994)]。
【0119】
ベクターpMSを構築した後、本発明者らは該ベクターがファージ結合Fabを産生する能力について対照の抗体遺伝子を用いて試験した。本発明者らは抗破傷風毒素抗体(カルロス・バーバス(Carlos Barbas)博士より入手)をpMS中にクローニングし、XLI−blueを形質転換した。本発明者らはVCSM13および得られた抗破傷風毒素抗体を提示するファージで本発明者らの細胞を同時感染させた。本発明者らは効率実験を行い、その際、抗破傷風毒素ファージを関連のない抗体を結合した(beading)ファージと1:100,000にて組み合わせた。本発明者らは、混合ファージ(50μl)を抗原(破傷風毒素)コーティングポリスチレンウエルに適用することにより3回のえり分けを行った。接着しなかったファージは洗い落とし、接着したファージは酸で溶出した。溶出したファージを用いてXL1−Blue細菌の新たなアリコートを感染させ、ヘルパーファージを加えた。一夜増幅させた後、ファージを調製し、抗原をコーティングしたプレート上で再びえり分けた。3回のえり分けの後、本発明者らは抗破傷風毒素ファージに首尾よく富むことを示すことができた。この技術が首尾よくいくかどうかはまた、最終のえり分け生成物の特徴付けのために可溶性のFabを調製する能力にも依存する。このことは、制限酵素NheIを用いてpMS DNAから遺伝子IIIを切り出し、ついで再ライゲートすることにより行った。遺伝子IIIを切り出した後はFabはもはやファージ表面上には提示されず、細胞周辺腔中に蓄積した。可溶性のFabを発現する細菌から溶解液を調製し、ELISAを用いて抗原特異性を試験した。高レベルの可溶性Fabが検出された。
【0120】
ファージ提示法をマカークザルライブラリーに使用するため、本発明者らはサル免疫グロブリン遺伝子のPCR増幅のために特別のプライマーを開発した。これらプライマーは、霊長類化(PRIMATIZEDTM)抗体法(米国特許出願第08/379,072号を参照;参照のため本明細書中に引用する)を開発する際に本発明者らが得たマカークザル配列およびヒト配列を含むデータベース(カバット(Kabat)ら(1991)、「免疫学的に興味のあるタンパク質の配列」、U.S.Dept. of Health and Human Services、National Institute of Health)に基づいていた。
【0121】
本発明者らは、マカークザルの範囲(repertoire)の増幅をカバーするために3セットのプライマーを開発した。本発明者らの第一のプライマーのセットは、重鎖のVHおよびCH1(Fd)ドメインの増幅のために設計したものであった。それは、3'CH1ドメインプライマーおよびフレームワーク1領域に結合する6つの5'VHファミリー特異的プライマーからなっていた。本発明者らの第二のプライマーのセットは全ラムダ鎖を増幅するためのものであり、多くのラムダ鎖サブグループをカバーしている。それは、3'プライマーおよびVLフレームワーク1領域に結合する3つの5'縮重プライマーからなっている。本発明者らの第三のプライマーのセットは、カッパ鎖サブグループの増幅のために設計したものであった。それは、3'プライマーおよび5つのVKフレームワーク1プライマーからなる。これら各セットのプライマーを用い、ライブラリーのクローニングに利用するのに充分な物質を利用できるように各プライマーセットから充分に強いシグナルを得るべくPCRパラメータを最適化した。本発明者らは最近、これら最適化PCR条件を用いて本発明者らのpMSベクターにおいてマカークザル組み合わせ(combinatorial)ライブラリーを作成した。免疫グロブリンRNAの採取源として骨髄生検をCD4免疫サルから採取した。これらライブラリーは約10の成員を含んでおり、目下、抗原コーティングウエル上で特異的結合についてえり分けている。
【実施例2】
【0122】
B7/CTLA−4試薬の開発
本発明者らは、サルの免疫、インビトロでの結合および機能アッセイの開発、ヘテロハイブリドーマのスクリーニングおよびファージライブラリーのえり分けの目的のために多くの試薬を作成した。表1には各試薬とその意図する目的を掲げてある。B7.1の場合には、RNAをSB細胞から抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAに変換した。第一鎖のcDNAをB7.1特異的プライマーを用いてPCR増幅し、IDECのNEOSPLA哺乳動物発現ベクター中にクローニングした。このB7.1 NEOSPLA DNAでCHO細胞をトランスフェクションし、膜結合B7.1を発現するクローンを同定した。B7.1融合タンパク質も同様にして生成したが、ヒトCH2およびCH3免疫グロブリン遺伝子を含むNEOSPLAカセットベクター中にPCR増幅B7.1遺伝子をクローニングした。このB7.1/Ig NEOSPLA DNAでCHO細胞を形質転換し、B7.1/Ig融合タンパク質を分泌する安定なクローンを増幅した。一般に、B7.2およびCTLA−4試薬も同様にして生成したが、B7.2ではRNAを抗IgおよびIL−4で24時間刺激したヒト脾臓細胞から単離し、CTLA4構築物については遺伝子の採取源はPHA活性化したヒトT細胞であった。
【0123】
表1
試薬 目的 CHO発現
可溶性B7.1 免疫、イムノアッセイ 有
B7.1トランスフェクタント スクリーニング、ELISA 有
B7.1/Ig融合タンパク質 抑制試験、えり分け 有
B7.2トランスフェクタント スクリーニング、ELISA 有
B7.2/Ig融合タンパク質 抑制試験、えり分け 未完
CTLA4トランスフェクタント 抑制試験 未完
CTLA4/Ig 抑制試験 未完
【0124】
これら試薬が、B7.1に対するモノクローナル抗体(L3074)[ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)、1994]、B7.2に対するモノクローナル抗体(Fun−1)[エンジェル(Engel)ら、Blood、84、1402〜1407(1994)]およびサルFabフラグメントを検出すべく特別に開発した精製ヤギおよびウサギ血清とともに利用できることは、所望の特性を有する抗体の同定を容易にする。
【実施例3】
【0125】
ファージ提示ライブラリーの作成
組換えファージ提示ライブラリーをB7.1およびB7.2免疫サルから作成する。免疫の7〜12日後にリンパ節および骨髄生検を採取し、RNAに富むB細胞および形質細胞を回収する。チョンチンスキー(Chomczynski)により記載された方法[Anal.Biochem.、162(1)、156〜159(1987)]を用い、リンパ球からRNAを単離する。オリゴdTプライマーおよび逆転写酵素を用いてRNAをcDNAに変換する。第一鎖cDNAをアリコートに分け、以前に記載されたカッパ、ラムダ、および重鎖Fd領域のプライマーセット並びにPfuポリメラーゼ(ストラタジーン、サンジエゴ)かまたはTaqポリメラーゼ(プロメガ、マジソン)のいずれかを用い、PCR増幅する。重鎖PCR増幅生成物をプールし、Xho VSpeI制限酵素で切断し、ベクターpMS中にクローニングする。その後、軽鎖PCR生成物をクローニングし、SacI/XbaI制限酵素で切断し、クローニングして組換えライブラリーを作成する。XLI−Blue大腸菌を該ライブラリーDNAで形質転換し、VCSM13で重感染させて抗体を提示するファージを生成させる。このライブラリーを、B7.1抗原またはB7.2抗原をコーティングしたポリスチレンウエル上で4回えり分ける。各回のえり分けからの個々のファージクローンを分析する。pMSベクターDNAを単離し、遺伝子IIIを切り出す。可溶性のFabフラグメントが生成し、B7.1およびB7.2への結合についてELISAで試験する。
【実施例4】
【0126】
ファージFabフラグメントの特徴付け
サルファージFabフラグメントを、その特異性、およびCTLA−4−IgまたはCTLA−4トランスフェクション細胞へのB7.1−IgおよびB7.2−Ig結合を阻止する能力について特徴付ける。ファージフラグメントはまた、高親和性のフラグメントを選択するため、免疫に使用したB7種上で4回行った最初のえり分け後の交差反応性について特徴付けを行う。B7.1抗原またはB7.2抗原のいずれかをコーティングした表面上で4回えり分けたものから同定したFabフラグメントを、大腸菌の24時間発酵培養液中での感染および増殖によりスケールアップする。フラグメントを、抗FLAGアフィニティーカラムへのコダックFLAG結合により精製する。精製したファージFabを、西洋ワサビペルオキシダーゼをコンジュゲートしたヤギ抗サルFab抗体または抗FLAG MAbを用いたELISAベースの直接結合改変スキャッチャード分析[カトー(Katoh)ら、J.Chem.BioEng.、76:451〜454(1993)]により親和性を試験する。抗サルFab試薬は、ヒト重鎖定常領域Igに対して吸着され、B7−Igへの交差反応性は除かれるであろう。B7.1−IgまたはB7.2−Igをコーティングしたプレートへの直接結合の測定の後、各フラグメントについてKd値を計算する。
【実施例5】
【0127】
ファージFabフラグメントによるCTLA−4/B7結合の阻止
最も低い濃度でB7−Igの結合を最も有効に阻止するFabフラグメントを先導候補として選択する。選択は、CTLA−4−IgまたはCTLA−4トランスフェクション細胞への125I−B7−Ig結合を競合し尽くすことにより行う。他の選択基準には、応答細胞での3H−チミジンの取り込みの抑制[アズマら、J.Exp.Med.、177:845〜850;アズマら、Nature、301:76〜79(1993)]およびIL−2アッセイキットを用いたIL−2産生の直接分析により測定されるように、混合リンパ球反応(MLR)の阻止が含まれる。MLRの抑制およびCTLA−4結合アッセイにおいて最も有効な3または4の候補が、CHO細胞へのトランスフェクションおよびキメラサル/ヒト抗体の発現のための上記哺乳動物発現ベクター中へクローニングするために選択される。
【実施例6】
【0128】
サルヘテロハイブリドーマの生成
モノクローナル抗体を分泌するサルヘテロハイブリドーマを、その血清がB7.1および/またはB7.2に対して陽性と試験された生存(existing)免疫動物から作成する。いずれかまたは両方の抗原に対して陽性の動物からリンパ節生検を採取する。ハイブリドーマの産生方法は、サル抗CD4抗体の作成に使用する確立された方法[ニューマン、1992(上掲)]と同様である。高い血清力価を有するサルは、鼠蹊部のリンパ節の切片を麻酔下で取り除かれるであろう。組織からのリンパ球を洗浄し、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてKH6/B5ヘテロハイブリドーマ細胞[キャロル(Carrol)ら、J.Immunol.Meth.、89:61〜72(1986)]と融合させる。ハイブリドーマをH.A.T.培地上で選択し、96ウエルプレート中で繰り返しサブクローニングすることにより安定化させる。
【0129】
B7.1抗原に特異的なサルモノクローナル抗体をB7.2への交差反応性についてスクリーニングする。サル抗B7抗体は、125I−B7−Ig結合アッセイを用いてB7/CTLA−4結合の阻止について特徴付けられるであろう。3H−チミジンの取り込みおよびIL−2産生の直接測定によるMLRの抑制を用い、3つの候補を選択する。2つの候補はフェーズIIの試験に持ち込まれ、すべての機能的研究を繰り返しながらCHO細胞中に発現されるであろう。インビボ薬理学のための動物モデルを開発する目的のため、抗B7抗体が幾つかの動物種の細胞上で試験されるであろう。動物モデルの確立は、選択した臨床適応のために前臨床研究を行うことを可能にするであろう。
【実施例7】
【0130】
上記のように上記ヘテロハイブリドーマ法を用いて4つの先導サル抗B7.1抗体:16C10、7B6、7C10および20C9が同定された。これら抗体は以下のように特徴付けられた:
スキャッチャード分析は、B7−Igコーティングプレートへのサル抗体の結合の見かけの親和定数(Kd)がおよそ以下のとおりであることを示した:
a:7C10: 6.2×10−9
b:16C10: 8.1×10−9
c:7B6: 10.7×10−9
d:20C9: 16.8×10−9
【0131】
抗体を混合リンパ球反応アッセイ(MLR)においてインビトロで試験した。MLRは、4つのすべての抗B7.1抗体が異なる程度にIL−2産生を抑制することを示した:
a:7B6: 5.0μg/M1
b:16C10: 0.1μg/M1
c:20C9: 2.0μg/M1
d:7C10: 5.0μg/M1
【0132】
サル抗B7.1抗体を、ヒト末梢血リンパ球(PBL)上のB7に結合する能力について試験した。FACS分析は、4つのすべてのサル抗体が陽性であることを示した。
サル抗体16C10、7B6、7C10および20C9をFACS分析によりC1q結合について試験した。その結果は、7C10サルIgがB7.1 CHOトランスフェクション細胞とともにインキュベートした後に強いヒトC1q結合を有することを示した。16C10もまた陽性であったが、20C9および7B6サル抗体は陰性であった。
【実施例8】
【0133】
本明細書中に参照のために引用した米国特許出願第08/379,072号の霊長類化抗体法を用い、および図2に示すNEOSPLAベクター系を用い、7C10、7B6および16C10の重鎖および軽鎖可変ドメンをクローニングし、その霊長類化形態をNEOSPLAベクター系を用いてCHO細胞中で合成した。霊長類化7C10の軽鎖および重鎖、7B6の軽鎖および重鎖、および16C10の軽鎖および重鎖のアミノ酸配列および核酸配列を、それぞれ、図3a、図3b、図4a、図4b、図5aおよび図5bに示す。
【実施例9】
【0134】
CTLA−4とB7.1上のPRIMATIZEDR抗体結合部位との非交差反応性の確認実験
ビオチン化CTLA−4Igを用いた競合結合アッセイにおいて(図6)、非標識霊長類化16C10(すなわち、P16C10)はB7.1トランスフェクションCHO細胞へのCTLA−4Ig結合を阻止することができなかった。非標識CTLA−4Igおよび非標識B7.1はこれら条件下で有効に競合することがわかる。
【0135】
ビオチン化P16C10を用いた第二の実験において、同じ結論を得ることができる。図7に示す実験において、P16C10−ビオチンの結合は非標識P16C10およびB7.1Igの両者により阻害されるが、CTLA−4Igによっては阻害されない。CTLA−4Igは4〜10倍も高い親和性を示すことが報告されているが(Kd=0.4nM;モートンら、J.Immunol. 156:1047〜1054(1996))、100倍過剰もの高いCTLA−4Ig濃度でもP16C10結合の有意な阻害はみられない。
【0136】
同様の結果は、同実験でP16C10の代わりに霊長類化抗体7C10(P7C10)を用いても得られた(データは示していない)。
【実施例10】
【0137】
L307.4およびBB−1マウス抗体がCTLA−4Igの存在下でB7CHO細胞へ結合する能力の比較
マウス抗体の結合部位がCTLA−4の結合部位と重複するか否かを決定するため、CTLA−4Igの存在下でのL307.4およびBB−1マウス抗体の結合を調べた。P16C10−ビオチン、L307.4−ビオチンおよびCTLA−4Ig−ビオチンを用いた競合アッセイ実験を行い、親和性の相違が競合結合の検出を妨害しないことを保証した。その結果を図8および図9に示す。
【0138】
図8の結果は、マウス抗体BB−1がP16C10と競合しないという以前の研究を確認している。これら結果はまた、L307.4に対する約50%の若干の交差反応性が認められることを示している。図8の結果は、BB−1およびL307.4がともに互いに競合すること、およびBB−1がB7.1トランスフェクションCHO細胞へのCTLA−4Ig−ビオチンの結合を完全に阻止することを確認している。BB−1はB7.1陽性CHO細胞へのP16C10結合に有意に影響を及ぼさない。
【0139】
図9に示す結果は、結合実験においてCTLA−4Ig−ビオチンを用いたときに50%よりも良好な競合を示している。図9は、CTLA−4Ig−ビオチンがP16C10以外のすべてのB7.1インヒビターにより有効に阻害されることを示しており、それゆえP16C10は負のシグナルの生成において正常なCTLA−4リガンド結合を可能にするB7.1上の独特の結合決定部位を認識する。以前の機能的研究(データは示していない)は、同種MLRにおいてIL−2産生を阻止するL307.4の弱められた能力を示唆しており、このことはL307.4がCTLA−4の負のシグナル伝達に介入するという仮設と相関している。文献に報告された他のマウス抗体の多くがいかにしてCTLA−4結合の完全な阻害をもたらすのかは明らかではない;しかしながら、B7.1特異的抗体およびB7.2特異的抗体の真の機能的メカニズムを定めるうえで重要な問題である。
【0140】
これら結果は、B7.1トランスフェクションCHO細胞への結合に対してP16C10−ビオチンと競合するB7−Igを用いた以前の研究を確認している。これら研究はまた、CTLA−4IgによりP16C10が阻害されないという以前の観察をも確認するものである。これらの結果は、霊長類抗体が、CD28と主として相互作用するCTLA−4結合部位とは独立に独特のB7.1エピトープに特異的であることを強く示唆している。このタイプの相互作用は、CTLA−4の負のシグナル伝達機能は依然として阻害されずに起こるようにしながら、CD28へのB7.1の結合を阻止する能力を有するため、有益である。このように認められる相互作用は、Th1かまたはTh2のいずれかの表現型の優勢のいかんにかかわらず、全体としてのT細胞活性化応答のダウンレギュレーションに導く。
【0141】
同様の結果は、同実験でP16C10の代わりにP7C10を用いても得られた(データは示していない)。
【実施例11】
【0142】
B7.1に結合しCD28受容体とのB7.1の相互作用を阻止する能力を示す実験
B7.1のP16C10結合がB7.1とCD28との相互作用を阻止し得るか否かを決定する実験を、B7.1Igを125Iで放射性標識し、ついでCD28陽性非活性化末梢血Tリンパ球への競合結合により行った。図10に示す結果は、非標識B7.1Igでの阻害により確認されるように、放射性標識B7.1IgがT細胞に特異的に結合することを示している。これら結果はまた、CTLA−4Ig、抗CD28およびP16C10がすべてこの相互作用を阻止し得ることをも示している。これら結果はさらに、P16C10がCD28/B7相互作用の結合を<1μg/mLのIC50にて阻止することを確認している。
【0143】
上記結果は、膜結合CTLA−4が発現されない条件下で得られ(リンスレイら、J.Exp.Med. 173:721〜730(1991))、抗CD28抗体での阻止により確認された。
同様の結果は、同実験でP16C10の代わりにP7C10を用いても得られた(データは示していない)。
【0144】
これら霊長類化抗体は、それがおそらく低い抗原性を有しヒトエフェクター機能を有するために治療剤として極めて適していることが期待される。実際、霊長類化16C10はヒトC1q結合を示すことが最近示されている。
【0145】
当業者であれば、本明細書に記載した本発明の特定の態様と等価な多くの等価物を日常的な実験を越えない実験を使用して認識もしくは確認し得るであろう。かかる等価物は以下の請求の範囲に包含されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、マカークザル免疫グロブリン配列に基づくプライマーを含む、繊維状ファージの表面に示されたB7に対して産生された組換え免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングするのに用いるpMSベクターを示す。
【0147】
【図2】図2は、本願発明のヒトB7.1抗原に特異的な霊長類化抗体を発現させるのに用いるNEOSPLA発現ベクターを示す。
【0148】
【図3a】図3aは、7C10の軽鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0149】
【図3b−1】図3b−1は、7C10の重鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0150】
【図3b−2】図3b−2は、7C10の重鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す(続き)。
【0151】
【図4a】図4aは、7B6の軽鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0152】
【図4b−1】図4b−1は、7B6の重鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0153】
【図4b−2】図4b−2は、7B6の重鎖の霊長類化形態のアミノ酸配列および核酸配列を示す(続き)。
【0154】
【図5a】図5aは、16C10の霊長類化軽鎖のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0155】
【図5b−1】図5b−1は、16C10の霊長類化重鎖のアミノ酸配列および核酸配列を示す。
【0156】
【図5b−2】図5b−2は、16C10の霊長類化重鎖のアミノ酸配列および核酸配列を示す(続き)。
【0157】
【図6】図6は、P16C10がB7.1トランスフェクションCHO細胞へのCTLA−4Ig−ビオチン結合を阻止できないことを示す。
【0158】
【図7】図7は、CTLA−4IgがB7.1トランスフェクションCHO細胞へのP16C10−ビオチン結合を阻止できないことを示す。
【0159】
【図8】図8は、BB−1がB7.1トランスフェクションCHO細胞へのCTLA−4Ig−ビオチンの結合を完全に阻止することを示しており、さらにBB−1がB7.1トランスフェクションCHO細胞へのP16C10−ビオチン結合に有意の影響を及ぼすことができないことを示している。
【0160】
【図9】図9は、CTLA−4Ig−ビオチンがP16C10以外のすべてのB7.1阻害剤により有効に阻止されることを示している。
【0161】
【図10】図10は、P16C10がCD28/B7−1Ig相互作用の結合を阻止する能力を示す。示したデータは、4つの別個の実験から得られた値の平均である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD80抗原に特異的に結合し、該CD80抗原のCD28への結合は阻害するが、該CD80抗原のCTLA−4への結合は阻害せず、下記よりなる群から選ばれるモノクローナル抗体を発現する細胞:
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体7C10の軽鎖可変領域および配列番号4に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を有する抗体;
(b)配列番号10に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および配列番号12に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を有する抗体;および
(c)ヒトCD80抗原への結合に対して(a)または(b)の抗体と競合し、(a)または(b)の抗体によっても結合されるヒトCD80抗原のエピトープに結合する抗体。
【請求項2】
サルの抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体を発現する、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
該モノクローナル抗体が、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体7C10の軽鎖可変領域および配列番号4に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項4】
該モノクローナル抗体が、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および配列番号12に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項5】
該モノクローナル抗体がヒト軽鎖定常領域および重鎖定常領域を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の細胞。
【請求項6】
該モノクローナル抗体が、ヒトガンマ1定常領域、ヒトガンマ4定常領域、およびヒトガンマ4PE定常領域よりなる群から選ばれるヒト重鎖定常領域を含む、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
ヒトCD80抗原に特異的に結合し、該CD80抗原のCD28への結合は阻害するが、該CD80抗原のCTLA−4への結合は阻害せず、下記よりなる群から選ばれるモノクローナル抗体のフラグメントを発現する細胞:
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体7C10の軽鎖可変領域および配列番号4に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を有する抗体;
(b)配列番号10に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および配列番号12に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を有する抗体;および
(c)ヒトCD80抗原への結合に対して(a)または(b)の抗体と競合し、(a)または(b)の抗体によっても結合されるヒトCD80抗原のエピトープに結合する抗体。
【請求項8】
サルの抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体のフラグメントを発現する、請求項7に記載の細胞。
【請求項9】
該モノクローナル抗体が、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体7C10の軽鎖可変領域および配列番号4に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含む、請求項7に記載の細胞。
【請求項10】
該モノクローナル抗体が、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および配列番号12に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を含む、請求項7に記載の細胞。
【請求項11】
Fab、F(ab')、およびFvよりなる群から選ばれるフラグメントを発現する、請求項7ないし10のいずれかに記載の細胞。
【請求項12】
該モノクローナル抗体またはフラグメントが、Tリンパ球によるIL−2の産生をインビトロで阻害する、請求項1ないし11のいずれかに記載の細胞。
【請求項13】
該モノクローナル抗体またはフラグメントが、少なくとも10μg/mlの濃度でTリンパ球によるIL−2産生を阻害する、請求項12に記載の細胞。
【請求項14】
該モノクローナル抗体が、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するサルモノクローナル抗体16C10の軽鎖可変領域および配列番号12に示すアミノ酸配列を有する該サルモノクローナル抗体の重鎖可変領域を有する抗体と同じCD80上のエピトープに結合する、請求項1に記載の細胞。
【請求項15】
該モノクローナル抗体がヒト軽鎖定常領域および重鎖定常領域を含む、請求項14に記載の細胞。
【請求項16】
該モノクローナル抗体がサルの抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項15に記載の細胞。
【請求項17】
CHO細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項18】
安定なクローンである、請求項1に記載の細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b−1】
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【図3b−2】
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【図4a】
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【図4b−1】
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【図4b−2】
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【図5a】
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【図5b−1】
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【図5b−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−330261(P2007−330261A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185903(P2007−185903)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【分割の表示】特願平10−521633の分割
【原出願日】平成9年10月29日(1997.10.29)
【出願人】(398050098)バイオジェン・アイデック・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Biogen Idec Inc.
【Fターム(参考)】