説明

抗EGFR療法に二次的な皮疹の予防および処置のためのビタミンK

【課題】 抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を効果的に処置できる製薬学的製剤の提供
【構成】 前記処置に有効抗成分としてのビタミンKアナログ若しくはホスファターゼ阻害剤の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ビタミンKの製薬学的製剤での使用、特に、皮膚疾患の治療もしくは予防での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願を通じて、多様な刊行物がカッコ内で引用される。これらの参考文献の完全な引用は、請求の範囲の直前の本明細の最後に見出しうる。これらの刊行物の開示は、ここに、主題の出願が関する技術分野をより完全に記述するために、引用することにより本願にそっくりそのまま組み込まれる。
【0003】
上皮増殖因子受容体(EGFR)は、全部の上皮細胞表面で発現される膜貫通タンパク質タンパク質である。それは上皮の修復および再生で重要な生理学的役割を演じる。上皮増殖因子(EGF)は、EGFRの細胞外ドメインの特定の一領域に結合する上皮表面と会合した唾液腺および他の腺により分泌されるペプチドである。結合に際して、それは細胞の内側に伝達されるシグナルを生成する。EGF結合の結果としての第一の細胞内事象は、アデノシン5’−三リン酸(ATP)にいわゆるチロシンキナーゼ(TK)ドメイン(チロシン残基を含有するポケット)に進入させかつ該チロシン残基にリン酸基を供与させるEGFRの細胞内ドメインのコンホメーション変化である。リン酸化されたチロシンを運搬する細胞内EGFRは、他の細胞内タンパク質と会合することが可能になり、そして、非常に複雑なネットワークにより下流に伝播する一連の生化学反応を開始する。このネットワークの最良に知られた部門(arm)は、活性化に際して腫瘍細胞分裂をもたらすマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路、および、活性化に際して高められた細胞生存をもたらすAKT経路である。EGFR活性化の結果は、従って、増大された細胞増殖および多様な傷害に対する高められた細胞耐性である。
【0004】
多くの腫瘍は、それらが発する近隣の正常組織若しくは上皮細胞表面に比較してEGFRを過剰発現するか、または、本質的に活性化されたか若しくは活性化に対する高められた感受性を伴う変異バージョンのEGFRを有する。こうした過剰発現は、腫瘍細胞が悪性の表現型の重要な一特徴である増殖の利点を獲得する多くの機構の1つであると考えられている。結果、EGFRシグナル伝達経路の阻害は、多くのヒト悪性病変の処置のための合理的一戦略であると考えられる。基本的に、EGFRシグナル伝達経路の上流を阻害する2つの方法、すなわち、1)特異的モノクローナル抗体の使用により、EGFおよび他の天然のペプチドリガンドが細胞外EGFRドメインに結合することを予防する、ならびに2)ポケットに構造上非常に良好に嵌る小分子の使用により、ATPおよび他のリン酸供与体が細胞内EGFRドメインのTKポケットに進入することを予防する(いわゆるEGFR TK阻害剤)、が存在する。
【0005】
長年の発見の努力および臨床評価後に、EGFR阻害剤は、限定されるものでないが結腸直腸癌、非小細胞肺癌、頭頚部の癌および悪性神経膠腫を挙げることができる多様な充実性腫瘍に対する活性の抗腫瘍剤であることが最近示された(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。症状の解消若しくは生存の延長と定義される臨床上の利敵は、これまで、抗EGFR抗体セツキシマブ(Erbitux(R))、ならびにEGFRチロシンキナーゼ(TK)阻害剤ゲフィチニブ(Iressa(R))およびエルロチニブ(Tarceva(R))で示されている。この分類に属する多くの付加的な剤が開発されている。今日のところ、FDAに承認された適応症は、化学療法難治性の結腸直腸癌および非小細胞肺癌、頭頚部の癌、ならびに膵癌を包含する。多様な他の悪性疾患を伴う難治性若しくは化学療法を受けていない患者に対しこれらの剤を単独で若しくは
組合せで使用する多くの臨床試験が進行中である。近い将来、米国で毎年約20万人の患者がこれらの剤を受けているものと予想される。
【0006】
これらの剤は生命を脅かす毒性を引き起こさないとは言え、主要な副作用は皮疹であり、60〜70%の患者で発生し、主として顔および体躯を冒し、そして多くの症例で不快かつ好ましくない美容上の変化を引き起こす。皮疹により引き起こされる主症状は掻痒感、乾燥および二次感染である。発疹の発生率および強度は明瞭に用量に関係しており、そして発生時間の中央値は療法の開始10日後である。患者の約10%が皮膚毒性のため療法を中断する。
【0007】
大部分の臨床試験は、抗EGFR療法の結果皮疹を発症する大部分の患者がより長く生存する傾向があることを示している。皮疹の発生は、皮膚中での効果的なEGFR阻害、および適切な免疫応答でこうした阻害により引き起こされる組織傷害に応答することが可能である適格性の免疫系の双方を必要とすると考えられる。皮疹は抗腫瘍有効性および臨床上の利益の代理指標であるという増大しつつある証拠が存在する(非特許文献5)ため、皮疹を引き起こすように抗EGFR剤の投与を増大させることは一般的実務になりうる。それが真実である場合、皮進の処置もまたますます重要になるであろう。結果として、皮疹の処置はまたますます重要になりつつある。この形態の皮疹の処置に利用可能な合理的な科学的に証明されかつ臨床上有効な方法は存在しない。局所若しくは全身の抗生物質、抗炎症薬、レチノイド、局所潤滑剤および他の型の療法薬が、乏しい若しくは一貫しない結果を伴い、経験的様式で試みられている。今日のところ、非常に近い将来、米国で毎年約15万人が冒されると期待される状態であるこの新たな皮膚疾患に対する確立された療法若しくは予防は存在しない。
【0008】
ビタミンKは皮膚の血管障害の処置、美容的皮膚処置およびレーザー処置後の皮膚処置に使用されている(特許文献1;特許文献2;特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6;非特許文献6;非特許文献7)。しかしながら、ビタミンK3の局所投与は皮膚炎(非特許文献8)および皮膚の小水疱形成(非特許文献9)を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,510,391号
【特許文献2】米国特許出願公開第US 2003/0170187号
【特許文献3】PCT国際公開第WO 97/39746号
【特許文献4】PCT国際公開第WO 02/13780号
【特許文献5】PCT国際公開第WO 03/101415号
【特許文献6】PCT国際公開第WO 2004/019923号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Conenら、2003
【非特許文献2】Lageら、2003
【非特許文献3】Lorusso、2003
【非特許文献4】Vanhoeferら、2004
【非特許文献5】Cohenら、2003
【非特許文献6】Louら、1999
【非特許文献7】Shahら、2002
【非特許文献8】Pageら、1942
【非特許文献9】Ulbrich、1961
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ビタミンKアナログを、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の処置方法を提供する。本発明はまた、ビタミンKアナログを、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法も提供する。
【0012】
本発明は、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置若しくは予防するのに有効な量のビタミンKアナログを含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明はまた、化合物が上皮増殖因子受容体(EGFR)、Aktおよびシグナル伝達性転写因子3(STAT−3)のいずれか1種を活性化するかどうかを決定することを含んでなり、該化合物によるEGFR、Akt若しくはStat−3の活性化は皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに該化合物が有効であることを示す、抗EGFR療法に二次的な皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに有用でありうる化合物の同定方法も提供する。
【0014】
本発明はまた、ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の処置方法にも向けられる。本発明は、さらに、ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置若しくは予防するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を含んでなる製薬学的組成物も提供する。
【0016】
本発明はまた、皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のビタミンKアナログを皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、ビタミンKアナログはEGFRを活性化する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法も提供する。本発明は、さらに、皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、ホスファターゼ阻害剤はEGFRの脱リン酸化を阻害する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法を提供する。
【0017】
[発明の詳細な記述]
本発明は、ビタミンKアナログを、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の処置方法に向けられる。
【0018】
本明細書で使用されるところの抗EGFR療法に二次的な皮疹を「処置する」という用語は、被験者の皮膚の皮疹を低減若しくは排除しかつ/または皮疹の増大若しくは拡大を低下若しくは除外することを意味している。
【0019】
抗EGFR療法を受けている被験者は、セツキシマブ(cetuximab)のような抗EGFR抗体および/またはゲフィチニブ(gefitinib)若しくはエルロチニブ(erlotinib)のようなEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置を受けている患者を包含する。
【0020】
本明細書で使用されるところの「ビタミンKアナログ」は、ビタミンK1(2−メチル−3−フィチル−1,4−ナフトキノン)、ビタミンK2(2−メチル−3−ヘキサプレニル−1,4−ナフトキノン;メナキノン)、ビタミンK3(2−メチル−1,4−ナフ
トキノン;メナジオン)、ビタミンK4(1,4−ジアセトキシ−2−メチルナフタレン)、ビタミンK5(4−アミノ−2−メチル−1−ナフタレノール)、ビタミンK6、ビタミンK7(3−メチル−4−アミノ−1−ナフトール塩酸塩)、メナジオン二リン酸塩、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、および構造:
【0021】
【化1】

【0022】
式中、R=H、または飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素;ならびにRおよびR=H若しくはCH
を有する化合物よりなる群から選択される化合物である。
【0023】
ビタミンK3およびビタミンK1が好ましいビタミンKアナログである。ビタミンK3が最も好ましい。ビタミンK3は構造:
【0024】
【化2】

【0025】
を有する。
【0026】
ビタミンK1は、構造:
【0027】
【化3】

【0028】
を有する。
【0029】
好ましい形態のビタミンK1は、trans異性体のビタミンK1若しくはtransおよびcis異性体の混合状態である。cis異性体は生物学的活性をほとんど若しくは全く有しないためである(Matschinerら、1972)。
【0030】
ビタミンK1およびK2は天然に存在する。ビタミンK3、K4、K5、K6およびK7は合成アナログである。ビタミンKアナログの製造方法は記述されている(例えば米国特許第4,374,775号、同第4,906,411号、同第5,412,124号、同第5,637,741号、同第5,770,774号および同第6,579,994号明細書、ならびにSah(1949−50))。ビタミンK1、K2およびK3は例えばSigma−Aldrichから入手可能である。
【0031】
ビタミンKアナログはEGFR、Aktおよび/若しくはStat−3を活性化し得る。ビタミンKアナログをスクリーニングして、本出願に記述される手順を使用してEGFR、Aktおよび/若しくはStat−3を活性化するものを同定し得る。本明細書で使用されるところのEGFR、Aktおよび/若しくはStat−3を「活性化する」ことは、リン酸化された形態のEGFR、Aktおよび/若しくはStat−3を増大させることを意味している。
【0032】
皮疹を処置するために本明細書で使用されるところのビタミンKアナログは皮膚に局所適用される。ビタミンK化合物はエチルアルコールおよび有機溶媒に容易に可溶性であり、そして所望の濃度で局所使用のための製剤に製造し得る。ビタミンKアナログは、例えばクリーム剤、ゲル剤、乳剤、ローション剤、液剤および/若しくはリポソームを使用して皮膚に塗布しうる。該製剤はビタミンKアナログの持続放出を提供する製剤であり得る。局所皮膚製剤は、例えば、限定されるものでないが以下すなわちエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、レシチン顆粒、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、プロピルパラベン、メチルパラベン、界面活性剤(例えばPluronic F−127 NF)、Dowicil 200、鉱物油、天然油、シリコーン油、パラフィン、グリセリン、ステアリン酸ジエステル、ステアリン酸グリセロール、シクロデキストリンのような安定剤、および紫外(UV)遮蔽物のいずれかを挙げることができる成分を包含し得る。
【0033】
ビタミンKアナログは、被験者間で変動することがありかつ処置で使用される特定のビタミンKアナログに依存する最大耐用量まで皮膚に塗布し得る。最大耐用量は当業者により容易に決定され得る。好ましくは、ビタミンKアナログは、最低100μMすなわち最低15μg/mlの濃度で皮膚に塗布される。好ましくは、ビタミンK3は、50μg/mlないし200μg/ml、より好ましくは75μg/mlないし100μg/mlの濃度で塗布される。好ましくは、ビタミンK1は最低450μg/mlの濃度で皮膚に塗布される。
【0034】
ビタミンKアナログを用いる処置は、例えば、抗EGFR剤を用いる療法の開始日に、または皮疹が出現したらすぐ若しくは別の方法で医師により処方される際に開始し得る。ビタミンKアナログは抗EGFR剤を用いる療法の経過中定期的に投与する。投与頻度は処方により変動することができる(例えば1日2回、1日1回若しくは1日おき、または別の方法で医師により処方されるとおり)。徐放製剤は、ビタミンKアナログの徐放(sustained)すなわち徐放(slow release)を提供しない製剤より少なく頻繁な投与を必要とすることができる。
【0035】
本発明はさらに、皮疹の処置について本明細書に記述されるとおり、ビタミンKアナログを、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法
を提供する。抗EGFR療法に二次的な皮疹は一般に顔および体躯で発生する。好ましくは、ビタミンKアナログは、顔および体躯のような、皮疹が一般に抗EGFR療法に二次的に出現する身体領域、若しくは該被験者が以前の抗EGFR療法の間に皮疹を経験した身体領域に塗布される。皮疹を予防するために、ビタミンKアナログは、例えば抗EGFR剤を用いる療法の開始日に、若しくは別の方法で医師により処方される際に開始して皮膚に塗布し得る。
【0036】
本発明はまた、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに有効な量の本明細書に記述されるビタミンKアナログのいずれかを含んでなる製薬学的組成物も提供する。該組成物はまた製薬学的に許容できる担体も包含し得る。本明細書で使用されるところの「担体」という用語は、エチルアルコールおよび有機溶媒のような標準的製薬学的担体を包含する。好ましい一態様において、製薬学的組成物は局所投与のため処方される。ビタミンKアナログは徐放製剤に処方し得る。
【0037】
本発明はまた、化合物が、上皮増殖因子受容体(EGFR)、Aktおよびシグナル伝達性転写因子3(STAT−3)のいずれか1種若しくはそれ以上を活性化するかどうかを決定することを含んでなり、該化合物によるEGFR、Akt若しくはStat−3の活性化は皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに該化合物が有効であることを示す、抗EGFR療法に二次的な皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに有用でありうる化合物の同定方法も提供する。EGFR、Akt若しくはStat−3の活性化は、例えばリン酸化(活性化)された形態のEGFR、Akt若しくはStat−3に特異的である抗体を使用することにより決定し得る。該化合物は例えばビタミンKアナログであり得る。該化合物はEGFR、Akt若しくはStat−3の脱リン酸化を阻害し得る。該化合物はホスファターゼ阻害剤であり得る。
【0038】
本発明はまた、ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の処置方法にも向けられる。本発明はさらに、ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法を提供する。好ましくは、ホスファターゼ阻害剤はEGFRの脱リン酸化を阻害する。多様なホスファターゼ阻害剤が記述されている(例えば、Baeら 2004、Gerlingら 2004、LeeとBurke 2003、Liemら 2004、米国特許第5,155,031号および同第6,428,949 B1号明細書、米国特許出願公開第US 2004/0138218 A1号明細書)。ホスファターゼ阻害剤は、例えばクリーム剤、ゲル剤、乳剤、ローション剤、液剤および/若しくはリポソームを使用して皮膚に塗布しうる。該製剤はホスファターゼ阻害剤の持続放出を提供する製剤であり得る。ホスファターゼ阻害剤は、被験者間で変動することがありかつ処置で使用される特定のホスファターゼ阻害剤に依存する最大耐用量まで皮膚に塗布し得る。最大耐用量は当業者により容易に決定され得る。
【0039】
本発明はまた、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置若しくは予防するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を含んでなる製薬学的組成物も提供する。好ましくは、ホスファターゼ阻害剤はEGFRの脱リン酸化を阻害する。好ましくは、製薬学的組成物は局所投与のため処方される。ホスファターゼ阻害剤は徐放製剤に処方し得る。
【0040】
本発明はまた、皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のビタミンKアナログを皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、ビタミンKアナログはEGFRを活性化する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法も提供する。本発明はさらに
、皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、ホスファターゼ阻害剤はEGFRの脱リン酸化を阻害する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法を提供する。皮膚および粘膜潰瘍の状態は、例えば、化学療法および/若しくは放射線療法により誘発され得る潰瘍性大腸炎および口内粘膜炎を包含する。潰瘍性大腸炎に対しては、ビタミンKアナログ若しくはホスファターゼ阻害剤は例えば浣腸投与により投与し得る。ステロイドおよび他の抗炎症薬を含む浣腸による局所療法は、現在、潰瘍性大腸炎の療法の標準である。口内粘膜炎に対しては、例えばビタミンKアナログ若しくはホスファターゼ阻害剤を含有する接着性ゲル剤若しくは口腔洗浄剤を使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A−1C】ヒトA431外陰癌細胞でのEGFR(A)、AKT(B)およびStat−3(C)のリン酸化に対するビタミンK1、K2およびK3(VK1、VK2、VK3)の影響。A431細胞(1×10細胞/ウェル)を6ウェルプレートにプレーティングし、そして10%血清を含むRPMI−1640培地中で一夜インキュベートした。細胞を指定された濃度のVK1、VK2およびVK3に2時間曝露した。曝露後、細胞を冷リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)溶液で2回洗浄し、そして50μlの溶解緩衝液で溶解した。等量のライセート(30μgタンパク質)を7.5%若しくは12%SDS−PAGEにかけた。EGFR、phos−EGFR、AKT、phos−AKT、Stat−3およびphos−Stat−3を、対応する抗体を使用するイムノブロッティング分析により検出した。ビタミンK3はEGFR、AktおよびStat−3を刺激した。ビタミンK1もまたEGFRを刺激した一方、ビタミンK2はほとんど若しくは全く影響を有しなかった。
【図2】ビタミンK3(メナジオン)は、A431細胞で、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブにより引き起こされるEGFRリン酸化の阻害を予防する。A431細胞(1×10細胞/ウェル)を6ウェルプレートにプレーティングし、そしてウシ胎児血清を含まないRPMI−1640培地中で24時間インキュベートした。飢餓(starving)後に、細胞を単独若しくは2μMエルロチニブを伴う多様な濃度のビタミンK3(0.01〜0.5mM)に2時間曝露したか、または100ng/mlのEGFで5分間刺激した。曝露後に細胞を冷PBS溶液で2回洗浄し、そして50μlの溶解緩衝液で溶解した。等量のライセート(30μgタンパク質)を7.5%SDS−PAGEにかけた。EGFRおよびリン酸化されたEGFRを、対応する抗体を使用するイムノブロッティング分析により検出した。
【図3】A431細胞でのエルロチニブ誘発性細胞増殖阻害に対するVK3(メナジオン)の影響。細胞を96ウェルプレート中で一夜プレーティングした。細胞を単独または50μM若しくは100μMのVK3(メナジオン)と組合せの多様な濃度のエルロチニブに72時間曝露した。曝露後、細胞をトリプシン処理により収集し、そして血球計算板を使用して細胞を計数することにより細胞の生存率を評価した。各点は2回の独立した実験の平均を表す。
【図4A−4B】EGFRのVK3誘発性のリン酸化はA431細胞で可逆的である。細胞を0.1mM VK3に1時間曝露した。曝露後、細胞を冷培地で3回洗浄し、そしてその後、10%ウシ胎児血清を含むVK3を含まない新鮮培地中で指定された時間再インキュベートした。細胞を収集しそして溶解緩衝液で溶解した。等量の細胞ライセートを7.5%SDS−PAGEにかけた(A)。全EGFRおよびリン酸化されたEGFR(p−EGFR)を、対応する抗体を使用するイムノブロット分析により検出した。対照(Con)は細胞をVK3に曝露しなかったことを意味している。相対p−EGFRは、1としての対照中のものと比較した、レーザーデンシトメトリーにより測定した各時間点のp−EGFRバンドの強度として表した(B)。
【図5】ビタミンK3はホスファターゼ活性を阻害する。A431細胞を0.1mM VK3に1時間曝露した。曝露後に細胞を冷培地で3回洗浄し、そしてその後、10%ウシ胎児血清を含むVK3を含まない培地中で指定された時間再インキュベートした。細胞を収集し、そして、基質としてpNPP(4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム)を使用するホスファターゼ活性のアッセイのため細胞抽出液を調製した。対照(Con)はVK3への曝露を伴わない細胞でのホスファターゼ活性を意味している。相対ホスファターゼ活性は1としての対照中でのものに比較して表した。VK3誘発性のホスファターゼ阻害はVK3の除去後に可逆的である。
【図6】マウス皮膚でのEGFRリン酸化のエルロチニブ誘発性阻害に対するビタミンK3(メナジオン)の影響。ビタミンK3は、マウス皮膚組織でのEGFRリン酸化のエルロチニブ誘発性阻害をレスキューする。マウスに50mg/kgのエルロチニブを連日P.O.投与し;マウス皮膚にVK3の15mMエタノール溶液を塗りつけた。処置後にマウスを殺しかつ皮膚組織を採取した。100mgの皮膚組織を組織抽出液の調製に使用した。等量の皮膚組織抽出液(80μgタンパク質)を7.5%SDS−PAGEにかけた。全EGFRおよびp−EGFRをイムノブロット分析により検出した。
【図7】マウス皮膚組織でのEGFRリン酸化に対するVK3、クリームBおよびクリームVKの影響。マウスに、30mM若しくは100mMのVK3(エタノール中)または同一用量のクリームB若しくはクリームVKを塗りつけた。処置後にマウスを殺しかつ組織抽出液の調製のため皮膚組織を採取した。等量の組織抽出液(80μgタンパク質)を7.5%SDS−PAGEにかけた。全EGFRおよびp−EGFRを、ポリクローナル抗EGFRおよびp−EGFR抗体を使用するイムノブロット分析により検出した。クリームBは、そのラベルによればビタミンK3を含有する一般用医薬品(Baby Cakes)であり;該濃度は明記されていない。クリームVKは処方箋なしで入手可能な5%ビタミンKクリームである。30mM若しくは100mM VK3と対照的に、商業的クリームは効果を示さない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は後に続く実験の詳細からより良好に理解されるであろう。しかしながら、当業者は、論考される特定の方法および結果が、その後に続く請求の範囲でより完全に記述されるところの本発明を単に具体的に説明することを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0043】
実験の詳細
材料および方法
変異していないEGFRを過剰発現する2種のヒト細胞株、すなわちA431外陰癌およびHN5頭頚部癌を使用した。細胞を、3種のEGFR阻害剤、すなわち抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブ(Erbitux(R))、ならびにEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)エルロチニブ(Tarceva(R))およびゲフィチニブ(Iressa(R))の1種の存在下で多様な濃度の多様なビタミンKアナログに曝露した。細胞傷害性を細胞計数により評価した。細胞を溶解し、そして、EGFR、キナーゼAkt、およびシグナル伝達性転写因子3(STAT−3)の活性化に対する多様なビタミンKアナログの影響を、リン酸化(活性化)された形態のEGFR、AktおよびStat−3に対する抗体を使用するウエスタンブロット分析により評価した。抗EGFR、抗phos−EGFR(Tyr1068)、抗AKT、抗phos−AKT(Ser473)、抗Stat−3および抗phos−Stat−3(Tyr−705)のポリクローナル抗体はCell Signaling(マサチューセッツ州ビバリー)から購入した。ビタミンK1、K2およびK3はSigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。EGFR、AktおよびStat−3の活性化を細胞の抗EGFR処理の存在および非存在下で評価した。ビタミンKアナログによるEGFRの活性化は、ビタミンKアナログでの処理後にホモジナイズしかつ溶解したマウス皮膚を使用してもまた評価した。ホスファターゼ活性はpNPP(4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム)を基質として使用して測定した。
【0044】
結果
溶解したA431細胞から得たEGFR、AktおよびStat−3の活性化(リン酸化)に対するビタミンK1、K2およびK3の影響を図1A−1Cに示す。ビタミンK3はEGFRならびに下流の細胞内シグナル伝達成分AktおよびStat−3を活性化した。影響は100μMすなわち約17μg/mlのビタミンK3濃度で明瞭に見られた。ビタミンK1は、使用した最高濃度(1000μMすなわち約450μg/ml)でEGFRおよびAktを活性化することについてのみ有効であった。ビタミンK2は、使用した濃度(1000μMまで)でほとんど若しくは全く影響を有しなかった。従って、ビタミンK3は、ビタミンK1若しくはビタミンK2よりEGFR、ArtおよびStat−3のはるかにより強力な刺激物質である。正常マウス皮膚へのビタミンK3の塗布もまたEGFRを活性化した。
【0045】
EGFR、Stat−3およびAktのビタミンK3活性化を抗EGFR処理の存在下で試験した。無血清培地中で保存したA431細胞若しくはHN5細胞を、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブ(2μM)およびビタミンK3(0.01〜0.5mM)で処理した。ビタミンK3は、エルロチニブの存在下で、EGFR(図2)ならびにStat−3(0.1および0.5mMのビタミンK3の濃度で)、ならびにAkt(0.5mMのビタミンK3の濃度で)を活性化した。同様に、ビタミンK3(0.1および0.5mM)は、抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブの存在下でもまたEGFR、Stat−3およびAktを活性化した。ビタミンK3はまた、図6に示されるとおり、マウス皮膚組織でのEGFRリン酸化のエルロチニブ誘発性の阻害もレスキューした。
【0046】
細胞を過剰のEGFで処理して、EGFが多様な抗EGFR処理によるEGFR阻害を予防し得るかどうかを決定した。EGFは、EGFRの細胞外部分に作用する抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブによるEGFR阻害の予防において有効であった。対照的に、EGF(2μg/ml)での細胞の処理は、EGFRの細胞内部分に作用するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブによるEGFR阻害を予防しない(図2)。
【0047】
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブへのヒトA431外陰癌細胞の曝露は細胞死をもたらす。ビタミンK3(50〜100μM)との細胞の共インキュベーションはEGFR阻害剤の細胞傷害性を4〜6倍減少させた。図3は、エルロチニブで処理した細胞のレスキューにおける2種の異なる濃度のビタミンK3で得られた結果を具体的に説明する。ビタミンK3の影響は可逆的である。図4A−4Bは、EGFRのビタミンK3誘発性のリン酸化がA431細胞で可逆的であることを示す。
【0048】
ビタミンK3は、図5に示されるとおり、少なくとも部分的に、ホスファターゼ活性を阻害することにより作用する。該影響はビタミンK3の除去2〜3時間後に可逆的である。
【0049】
ビタミンK3の影響を、EGFR TK阻害剤エルロチニブ100mg/kg×10日(第1〜10日)を受領する動物の皮膚で検査した。エルロチニブを受けていないマウスの対照皮膚と比較して、エルロチニブを受領する動物のビタミンK3で処置した皮膚は有意のp−EGFR発現を示した一方、同一動物のビタミンK3で処置していない皮膚はp−EGFRの下方制御を示した。(図6)。マウスの皮膚にエタノール中のビタミンK3を塗りつけた(第5ないし10日に15mM 1日2回×5日)。ビタミンK3の影響を2種の一般用皮膚クリーム剤のものと比較した。クリームB(Baby Cakes)はそのラベルによればビタミンK3を含有する一般用医薬品であり;該濃度は明記されていない。クリームVKは処方箋なしで入手可能な5%ビタミンKクリーム剤である。マウス皮膚組織でのEGFRリン酸化に対するVK3、クリームBおよびクリームVKの影響を
図7に示す。マウスに、ビタミンK3(エタノール中)30mM若しくは100mM×12時間ごとに3用量、または同一用量のクリームB若しくはクリームVKを塗りつけた。EGFRを活性化する30mM若しくは100mMのVK3と対照的に、商業的クリーム剤は影響を示さない。
【0050】
考察
本出願は、ビタミンK3が、EGFRを過剰発現する上皮細胞起源の腫瘍細胞株で抗EGFR療法のEGFR阻害効果を予防し得ることを開示する。これらの細胞でのEGFR系(axis)は皮膚ケラチノサイトのEGFR系を代表する。ビタミンK3は、EGFRの細胞内シグナル伝達経路に対する刺激効果を有し、これは抗EGFR療法の存在下でさえ有効であった。ビタミンK3はまた正常哺乳動物(マウス)皮膚からのEGFRも活性化した。EGFRに対するより弱い刺激効果がビタミンK1で観察されたが、しかしビタミンK2でされなかった。本結果は、抗EGFR療法との闘いにおける、ビタミンK1若しくはK2、または2種の一般用ビタミンK皮膚クリーム剤と比較してのビタミンK3の予期されない有効性を示す。本出願に開示されるところの皮疹の処置および予防のためのビタミンK3の使用は、ビタミンK3の局所投与が皮膚炎(Pageら、1942)および皮膚の小水疱形成(Ulbrich、1961)を引き起こすという以前の報告を鑑みれば直観に反する。ビタミンK3が、細胞のホスファターゼ活性を阻害して、従って皮疹および関連する皮膚若しくは粘膜障害の処置および予防のためのホスファターゼ阻害剤の使用を提供することもまた示された。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
<発明の態様>
限定されるものでないが、本発明の特徴または主たる態様を以下に示す。
態様1: ビタミンKアナログを、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に対する二次的な皮疹の処置方法。
態様2: 抗EGFR療法が抗EGFR抗体を用いる処置である、態様1に記載の方法。態様3: 抗EGFR抗体がセツキシマブ(cetuximab)である、態様2に記載の抗体。
態様4: 抗EGFR療法がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置である、態様1に記載の方法。
態様5: EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がゲフィチニブ(gefitinib)若しくはエルロチニブ(erlotinib)である、態様4に記載の方法。
態様6: ビタミンKアナログがEGFRを活性化する、態様1に記載の方法。
態様7: ビタミンKアナログがビタミンK3である、態様1に記載の方法。
態様8: ビタミンKアナログがビタミンK1である、態様1に記載の方法。
態様9: ビタミンK3が、最低15μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様7に記載の方法。
態様10: ビタミンK3が、75μg/mlないし100μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様7に記載の方法。
態様11: ビタミンK1が、最低450μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様8に記載の方法。
態様12: ビタミンKアナログが局所投与に適する製薬学的製剤に処方されている、態様1に記載の方法。
態様13: ビタミンKアナログが徐放製剤に処方されている、態様12に記載の方法。態様14: ビタミンKアナログを、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法。
態様15: ビタミンKアナログが顔若しくは体躯に塗布される、態様14に記載の方法。
態様16: 抗EGFR療法が抗EGFR抗体を用いる処置である、態様14に記載の方法。
態様17: 抗EGFR抗体がセツキシマブである、態様16に記載の方法。
態様18: 抗EGFR療法がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置である、態様14に記載の方法。
態様19: EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がゲフィチニブ若しくはエルロチニブである、態様18に記載の方法。
態様20: ビタミンKアナログがEGFRを活性化する、態様14に記載の方法。
態様21: ビタミンKアナログがビタミンK3である、態様14に記載の方法。
態様22: ビタミンKアナログがビタミンK1である、態様14に記載の方法。
態様23: ビタミンK3が、最低15μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様21に記載の方法。
態様24: ビタミンK3が、75μg/mlないし100μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様21に記載の方法。
態様25: ビタミンK1が、最低450μg/mlの濃度で皮膚に塗布される、態様22に記載の方法。
態様26: ビタミンKアナログが局所投与に適する製薬学的製剤に処方されている、態様14に記載の方法。
態様27: ビタミンKアナログが徐放製剤に処方されている、態様26に記載の方法。態様28: 抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置若しくは予防するのに有効な量のビタミンKアナログを含んでなる製薬学的組成物。
態様29: ビタミンKアナログがEGFRを活性化する、態様28に記載の製薬学的組成物。
態様30: ビタミンKアナログがビタミンK3である、態様28に記載の製薬学的組成物。
態様31: ビタミンKアナログがビタミンK1である、態様28に記載の製薬学的組成物。
態様32: ビタミンK3の濃度が最低15μg/mlである、態様30に記載の製薬学的組成物。
態様33: ビタミンK3の濃度が75μg/mlないし100μg/mlである、態様30に記載の製薬学的組成物。
態様34: ビタミンK1の濃度が最低450μg/mlである、態様31に記載の製薬学的組成物。
態様35: 局所投与のため処方されている、態様28に記載の製薬学的組成物。
態様36: ビタミンKアナログが徐放製剤に処方されている、態様35に記載の製薬学的組成物。
態様37: 化合物が、上皮増殖因子受容体(EGFR)、Aktおよびシグナル伝達性転写因子3(STAT−3)のいずれか1種を活性化するかどうかを決定することを含んでなり、該化合物によるEGFR、Akt若しくはStat−3の活性化は皮疹を処置しそして/若しくは予防するのに該化合物が有効であることの指標である、抗EGFR療法に二次的な皮疹を処置かつ/若しくは予防するのに有用でありうる化合物の同定方法。
態様38: EGFR、Akt若しくはStat−3の活性化が、リン酸化された形態のEGFR、Akt若しくはStat−3に特異的である抗体を使用して決定される、態様37に記載の方法。
態様39: 化合物がビタミンKアナログである、態様37に記載の方法。
態様40: 化合物が、EGFR、Akt若しくはStat−3の脱リン酸化を阻害する、態様37に記載の方法。
態様41: 化合物がホスファターゼ阻害剤である、態様37に記載の方法。
態様42: 皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のビタミンKアナログを皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、該ビタミンKアナログがEGFRを活性化する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法。
態様43: 皮膚若しくは粘膜潰瘍が、潰瘍性大腸炎、化学療法誘発性の口内粘膜炎、若しくは放射線療法誘発性の口内粘膜炎である、態様42に記載の方法。
態様44: ビタミンKアナログがビタミンK3である、態様42に記載の方法。
態様45: ビタミンKアナログがビタミンK1である、態様42に記載の方法。
態様46: ビタミンK3が、最低15μg/mlの濃度で皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布される、態様44に記載の方法。
態様47: ビタミンK3が、75μg/mlないし100μg/mlの濃度で皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布される、態様44に記載の方法。
態様48: ビタミンK1が、最低450μg/mlの濃度で皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布される、態様45に記載の方法。
態様49: ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の処置方法。
態様50: ホスファターゼ阻害剤がEGFRの脱リン酸化を阻害する、態様49に記載の方法。
態様51: 抗EGFR療法が抗EGFR抗体を用いる処置である、態様49に記載の方法。
態様53: 抗EGFR抗体がセツキシマブである、態様51に記載の方法。
態様54: 抗EGFR療法がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置である態様49に記載の方法。
態様54: EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がゲフィチニブ若しくはエルロチニブである、態様53に記載の方法。
態様55: ホスファターゼ阻害剤が、局所投与に適する製薬学的製剤に処方されている、態様49に記載の方法。
態様56: ホスファターゼ阻害剤が徐放製剤に処方されている、態様55に記載の方法。
態様57: ホスファターゼ阻害剤を、皮疹を予防するのに有効な量で皮膚に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に二次的な皮疹の予防方法。
態様58: ホスファターゼ阻害剤が顔若しくは体躯に塗布される、態様57に記載の方法。
態様59: ホスファターゼ阻害剤がEGFRの脱リン酸化を阻害する、態様57に記載の方法。
態様60: 抗EGFR療法が抗EGFR抗体を用いる処置である、態様57に記載の方法。
態様61: 抗EGFR抗体がセツキシマブである、態様60に記載の方法。
態様62: 抗EGFR療法が、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置である、態様57に記載の方法。
態様63: EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がゲフィチニブ若しくはエルロチニブである、態様62に記載の方法。
態様64: ビタミンKアナログが、局所投与に適する製薬学的製剤に処方されている、態様57に記載の方法。
態様65: ホスファターゼ阻害剤が徐放製剤に処方されている、態様64に記載の方法。
態様66: 抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法に二次的な皮疹を処置若しくは予防するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を含んでなる製薬学的組成物。
態様67: ホスファターゼ阻害剤がEGFRの脱リン酸化を阻害する、態様66に記載の製薬学的組成物。
態様68: 局所投与のため処方されている態様66に記載の製薬学的組成物。
態様69: ホスファターゼ阻害剤が徐放製剤に処方されている、態様68に記載の製薬学的組成物。
態様70: 皮膚若しくは粘膜潰瘍を処置するのに有効な量のホスファターゼ阻害剤を皮膚若しくは粘膜潰瘍に塗布することを含んでなり、ホスファターゼ阻害剤はEGFRの脱リン酸化を阻害する、被験者における皮膚若しくは粘膜潰瘍の処置方法。
態様71: 皮膚若しくは粘膜潰瘍が、潰瘍性大腸炎、化学療法誘発性の口内粘膜炎、若しくは放射線療法誘発性の口内粘膜炎である、態様70に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に従えば、ビタミンK1またはビタミンK3を皮膚疾患、特に、皮疹、の治療または予防に効果的に使用できることが確認された。したがって、本発明は、ビタミンK1またはビタミンK3を有効成分とする製薬学的製剤の製造業で利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンKアナログを、皮疹を処置するのに有効な量で皮疹に塗布することを含んでなる、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)療法を受けている被験者における前記療法に対する二次的な皮疹の処置方法。

【図1A−1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A−4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−236857(P2012−236857A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196249(P2012−196249)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2008−506765(P2008−506765)の分割
【原出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(507339663)アルバート・アインシユタイン・カレツジ・オブ・メデイシン・オブ・イエシバ・ユニバーシテイ (3)
【Fターム(参考)】