説明

折り畳みフィルタおよびその製造方法

【課題】繊維径が1μm以下の超極細繊維の薄い層を従来のガラス繊維や合成繊維または天然繊維などで構成された不織布あるいは織布をフィルタ基材とし、その上に剥離しないように被覆したシートを素材として折り畳むことによりフィルタを製作する際に超極細繊維層を損傷することなく高性能で品質上安定した経済的なフィルタを製作する。
【解決手段】フィルタ基材供給部1、筋付け機3、前段折り畳み機4、加熱装置5、ビード塗布機9、後段折り畳み機11、カッター14からなる従来のフィルタ製造装置において、従来の加熱装置とビード塗布機の間に超極細繊維をフィルタ基材に被覆する機能と必要な場合はその被覆層を接着する機能を備えた超極細繊維被覆装置6および加熱加工装置7を挿入配置して折り畳みフィルタ12を製造するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来のガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などで構成された不織布あるいは織布をフィルタ基材とし、その上に繊維径が1μm以下の超極細繊維の薄い層を剥離しないように被覆しジグザグ状に折り畳むことにより製作するようにした折り畳みフィルタおよびその製造方法に関するものである。
【技術背景】
【0002】
半導体分野、バイオケミカル分野などのクリーンルームや一般空調などに使用されるフィルタは低い圧力損失で高い捕集効率を確保するためフィルタ面積を広めプリーツ加工を施こした構造が採用されている。その形状および構造を維持するために製造工程には折り筋となる圧痕を付け溶融樹脂ビードをフィルタ基材に塗布し折り畳む工程がある。そしてフィルタ基材によって複数の折り畳み工程や加熱工程、冷却工程などが設けられている。
【0003】
一方捕集効率を高め、目詰まりの減少あるいは長寿命化を図る手段として超極細繊維をフィルタ基材の表面あるいは中間層に設ける手法や形態保持・強度向上を目的とする細繊維層と超極細繊維層を積層してフィルタを形成する手法が考えられている。
【0004】
そこで、超極細繊維層を被覆した素材で折り畳みフィルタを作成する場合、超極細繊維層を損傷せずに製品化するために超極細繊維層を養生用のクロスで覆うことが考えられている。しかし超極細繊維層と養生クロスの接着や養生クロスによるフィルタ性能の低下やコスト面での不利益は避けられない。さらには超極細繊維層をバグフィルタ最表面に出せないため、折り畳みフィルタを払落し再生用のバグフィルタ用濾過体として使用した場合堆積したダストの払い落とし性が低下するなどの課題があった。
【0005】
さらにはフィルタ基材の最表面に超極細繊維層が存在する場合、ロールで加圧・駆動したり折り畳み装置の立上げプレートで超極細繊維層を擦ったり手繰り寄せたりする通常の製造工程では超極細繊維層を損傷し、圧力損失および粉塵捕集効率などのフィルタ性能を低下させてしまうといった課題があった。
【0006】
また、従来は製造するフィルタ種類が変わる都度フィルタ濾材を取替える必要があり、製造ラインの中にフィルタ濾材をセットする作業時間による製造ライン稼働率の低下や濾材をセットする際に調整のために濾材を一定量使用することによる歩留まりの低下によってコストアップとなるといった課題があった。
【発明が解決しょうとする課題】
【0007】
本発明はこれらの課題を解決しょうとしたもので本発明の第1の目的は超極細繊維層をフィルタ基材に被覆して、超極細繊維層を損傷せずに超極細繊維層の特徴を生かした折り畳みフィルタを提供しょうとしたものである。
【0008】
本発明の第2の目的は一種類のフィルタ基材で高性能フィルタから準HEPA、HEPA、ULPAフィルタまでのフィルタパックを生産可能として稼動率を高め、歩留まりを向上させることによるコスト改善に寄与できるようにしたものである。
【0009】
本発明の第3の目的はフィルタ種類が変わる都度、フィルタ素材を取替え、ラインの中に濾材を通す「段取替え」を大幅に減少しょうとしたものである。
【0010】
本発明の第4の目的は超極細繊維層をフィルタ基材の最表面に配置したまま超極細繊維層を損傷せずに折り畳みフィルタを製造するようにした製造方法を提供しょうとしたものである。
【0011】
本発明の第5の目的は本発明の製造方法により超極細繊維層をフィルタ基材に被覆して製造した折り畳みフィルタをフィルタパックの濾材として使用することにより、超極細繊維の特徴を生かしたフィルタパックを提供しょうとしたものである。
【0012】
本発明の第6の目的は本発明の製造方法により超極細繊維層をフィルタ基材に被覆して製造した折り畳みフィルタを払落し再生用のバグフィルタ用濾過体の濾材として使用することにより、超極細繊維の特徴を生かしたバグフィルタ用濾過体を提供しょうとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の手段はフィルタ基材供給部、筋付け機、前段折り畳み機、加熱装置、ビード塗布機、後段折り畳み機、カッターからなる従来のフィルタ製造装置において、従来の加熱装置とビード塗布機の間に、ビード塗布機を設けない場合は後段折り畳み機の間に超極細繊維をフィルタ基材に被覆する機能と必要な場合はその被覆層を接着する機能を備えた超極細繊維被覆装置および加熱加工装置を挿入配置して折り畳みフィルタを製造するようにしたことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の第2の手段は折り畳みフィルタを製造する加工工程中に超極細繊維をフィルタ基材に被覆する工程と必要な場合はその被覆層を接着する工程とを、折り筋をつける筋付け工程と溶融樹脂ビードを塗布する工程との間に、ビード塗布機を設けない場合は後段折り畳み機の間に設けた折り畳みフィルタの製造工程およびその工程で折り畳みフィルタを作るようにしたことを特徴としたものである。
【0015】
本発明の第3の手段は、ビード塗布機の後段に設けた折り畳み機にフィルタ基材表面を空気および/またはガス流で押す機構が少なくとも超極細繊維層が被覆されている側に採用されている製造工程およびその工程で折り畳みフィルタを作るようにしたことを特徴としたものである。
【0016】
ここで超極細繊維とは単繊維直径が好ましくは1〜500nmの範囲内にあるものであるものを指し、その形態は繊維状(アスペクト比100以上)の形態であればよく、長さや断面形状にはこだわらないものである。そして超極細繊維を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などが挙げられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。また、ポリアミドとしてはナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)などが挙げられる。ポリオレフィンとしてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。上記材料以外にもフェノール樹脂やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)ポリスルホン、フッ素系高分子、セルロースやそれらの誘導体を用いることももちろん可能である。
【0017】
本発明に使用される超極細繊維層は上述のような超極細繊維から構成されているが、超極細繊維は束状ではなく超極細繊維が無方向に分散した状態にあるのが好ましい。これは超極細繊維が束状に集合した状態にあると平均繊維径が小さいにもかかわらず太い繊維と大差がなく濾過性能が劣る傾向があるためである。
【0018】
そして超極細繊維層は電界紡糸法により製造されたものを含んでいる。このように電界紡糸法により製造された超極細繊維層はスリップフローやクリーニング効果と言うナノサイズ効果を有するため各種フィルタの性能改善面ですぐれている。この電界紡糸法とは従来公知の方法でありノズルなどから供給した紡糸溶液に対して電界を作用させることによりノズル先端から噴射後も静電反発を繰返しながら繊維径を減少させる方法である。
【0019】
次いで前記繊維化した超極細繊維をフィルタ基材上に集積させて超極細繊維層を形成する。このフィルタ基材は超極細繊維を捕集できるものであれば良く特に限定されるものではない。たとえばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などの合成繊維の織布あるいは不織布、ガラス繊維の織布あるいは不織布あるいはこれらを適宜混合した素材に必要な場合は有機系バインダ、無機系バインダを単独あるいは混合して加えて得られる混合バインダを適当量加えて湿式抄紙法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などで形成したシートを、その後乾燥して作成したものでよい。
【0020】
高性能フィルタの濾材シートとして使用する場合は濾材シートの厚みが0.2〜1.0mmで、粒径0.3μmの粒子に対して15〜80%の捕集効率を有しており、準HEPA、HEPAの濾材シートとして使用する場合はシートの厚みが0.1〜1.0mmで、粒径0.3μmの粒子に対して95〜99.97%以上の捕集効率を有している。ULPAフィルタの濾材シートとして使用する場合はシートの厚みが0.1〜1.0mmで、粒径0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の捕集効率を有している。
【0021】
次に折り畳みフィルタの製造方法は下記の要領にて行われる。
【0022】
まず、フィルタ基材供給部から巻き出されたフィルタ基材に折り筋が形成される。さらに加熱装置にてより確実に折り癖がつけられた後、超極細繊維被覆装置に供給される。そして超極細繊維被覆装置にてフィルタ基材に超極細繊維層が被覆される。被覆層とフィルタ基材の接着が不十分な場合は加熱加工装置によりフィルタ基材に確実に接着されるようになっている。次に被覆されたフィルタ基材はビード塗布機にてホットメルトビードが塗布される。
そしてホットメルトビードが塗布されたフィルタ基材はさらに後段折り畳み機にて折り筋に沿って折り畳まれる。そして折り畳まれた際塗布されたホットメルトビード同志が接着され低い圧力損失でありながら高効率の折り畳みフィルタが製造される。そしてカッターにて適宜使用目的に応じて所定寸法に切断される。
【0023】
次に折り畳みフィルタを高性能フィルタあるいは準HEPA、HEPA、ULPAフィルタのフィルタパックとして使用される場合は気流方向の上流側にフィルタ基材を気流方向の下流側に超極細繊維層を配置するのが好ましい。しかしこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0024】
そしてフィルタパックとして使用される場合は内側にシール材を取り付けたセル型のフィルタ枠に機密性をもたされた状態で取り付けられ高性能フィルタあるいは準HEPA,HEPA,ULPAフィルタとして使用される。
【0025】
そしてその作用は次の通りである。すなわち空調装置の吸気運転により吸入される大気中の粉塵はフィルタ基材および超極細繊維層で捕集され清浄空気として通過する。この際形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きなフィルタ基材と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層とを積層しているので、ナノサイズ効果の一つであるスリップフロー効果により低い圧力損失でありながら高効率の機能を有している。
【0026】
次に折り畳みフィルタをバグフィルタ用濾過体として使用し、上流側表面に堆積したダストの払落し性の向上をさせる場合は超極細繊維層を気流方向の最表面に配置するのが好ましい。しかし集塵効率を引上げる目的で使用する場合にはこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0027】
そしてその作用は次の通りである。すなわち集塵装置の吸気運転により吸入されるエアーに含まれたダストは超極細繊維層で捕集されフィルタ基材を通過して処理される。この際ダストを超極細繊維層で捕集しフィルタ基材へのダストの侵入が抑制されるため、バグフィルタに付着した堆積ダストの払い落としが良好となる。これがいわゆるクリーニング効果でナノサイズ効果の一つの特徴である。一方フィルタ基材は形状保持機能および強度向上の機能を有しているのでバグフィルタの再生がスムーズに行われるものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明に基づいて作られた折り畳みフィルタをフィルタパックやバグフィルタ用濾過体として用いた時に得られる効果および本発明に基づく製造方法を用いた時に得られる効果は次のようになる。
【0029】
(1)フィルタ製造工程に超極細繊維被覆装置を設けることで、従来のフィルタ幅やビードの連続、断続、無塗布の対応のほかに一種類のフィルタ基材から効率、使用目的の異なった多様なフィルタの製造が可能になる。
これにより、従来はフィルタの種類ごとに準備していたろ材の種類が集約され、製造装置の段取り替えにより休転時間が短縮されるので生産性の向上、コスト削減に寄与できる。
(2)超極細繊維は超極細繊維に係わる製造方法によりフィルタ基材表面にコーティングされるが、フィルタ基材との接着が不足する場合は接着剤として軟化点の低い樹脂の粉末を超極細繊維のコーティングに先立って散布したり、前記樹脂製の短繊維もしくは芯鞘構造の繊維を基材に混紡したりしておくことにより超極細繊維の被覆後に加熱工程を通すことで超極細繊維とフィルタ基材とを強固に接着できる。
(3)フィルタ基材の最表面に超極細繊維層を配置してもロールで加圧・駆動したり、後段の折り畳み機の立上げプレートで超極細繊維層を擦ったり手繰り寄せたりする工程においても超極細繊維層を損傷し、圧力損失や捕集効率などのフィルタ性能を低下させてしまうことがない。
(4)同一フィルタ基材で高性能フィルタから準HEPA、HEPA、ULPAフィルタまでのフィルタパックを製造できる。また同一フィルタ基材からバグフィルタ用濾過体を製造できる。
(5)フィルタ種類が変わる都度、フィルタ素材を取り替える必要がなく、また製造ライン中にフィルタ基材をセットする際に調整のために使用する濾材の量を大幅に減少できる。よって稼働率を高め歩留まりを向上させることによるコスト改善に寄与できる。
(6)特に折り畳みフィルタを高性能フィルタあるいは準HEPA,HEPA,ULPAフィルタなどのフィルタパックとして使用した場合は低圧力損失でありながら高い捕集効率を可能にしたものである。
(7)特に折り畳みフィルタをバグフィルタ用濾過体として使用した場合はバグフィルタに付着した堆積ダストの払い落としを良好にしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る折り畳みフィルタおよびその製造方法について図1〜図4に基づいて説明する。
【0031】
図1は折り畳みフィルタの製造装置の全体構成図である。1はフィルタ基材供給部であり、このフィルタ基材供給部1には帯状のフィルタ基材2がロール状に巻回されて回転自在に支持されている。そしてフィルタ基材2はフィルタ基材供給部1から繰り出されるようになっている。
【0032】
3は繰り出されたフィルタ基材2に一定間隙に折り筋を付ける筋付け機である。筋付け機3の隣側にはフィルタ基材2の折り筋に沿ってジグザグ状に折り目を付けるとともに折り目癖を付ける前段折り畳み機4が設けられている。
【0033】
そして前段折り畳み機4の隣側にはジグザグ状のフィルタ基材2を加熱して折曲部に折曲癖を付ける加熱装置5が設けられている。
【0034】
さらに加熱装置5の隣側には超極細繊維被覆装置6が設けられ、この超極細繊維被覆装置6には折曲癖が付けられたフィルタ基材2をいったんフラットに延伸した状態で搬入される。
【0035】
ここで、超極細繊維がフィルタ基材2にコーティングされる。この後超極細繊維をコーティングしたフィルタ基材を隣接する加熱加工装置7に装入し、加熱加工装置7で接着剤を加熱溶融して超極細繊維層8をフィルタ基材2に結合する。
【0036】
さらに、後段のビード塗布機9で超極細繊維層8を合体したフィルタ基材2の表および/または裏にが紐状に塗布される。
【0037】
ビード10
次に、後段折り畳み機11で折り畳むことにより各折り襞が次々と接着され一体化され折り畳みフィルタ12として製品コンベヤ13から排出される。
【0038】
最後に連続的に出てくる折り畳みフィルタ12をカッター14で所定の長さに裁断してフィルタパック15やバグフィルタ16として完成される。
【0039】
ここで、従来の後段折り畳み機では各折り襞を立上げるプレートにより擦りながら手繰り寄せて先行する折り襞に押し付けて接着する方法であるため超極細繊維層8を損傷してしまう。そこで本発明に使用する後段折り畳み機は少なくとも超極細繊維層8の立上げプレートの代わりに圧縮空気やガスなどの気流で押し付ける方法としたので超極細繊維層8を損傷することなく折り畳みフィルタ12を製造可能としたものである。
【0040】
次に前記実施態様の作用について説明する。
【0041】
まず、フィルタ基材供給部1のフィルタ基材2は筋付け機3の送りローラによって搬送され搬送中にフィルタ基材2の長手方向に一定間隙に筋が付けられる。
【0042】
筋が付けられたフィルタ基材2は前段折り畳み機4にて筋に沿ってジグザグ状に折り目が付けられる。
【0043】
そしてジグザグ状に折り目が付けられたフィルタ基材2は加熱装置5によって加熱され、折り目に折り目癖を付けることにより復元するのを防止される。
【0044】
折り目癖が付けられたフィルタ基材2は超極細繊維被覆装置6に搬送され超極細繊維が電界紡糸法によりフィルタ基材2に被覆される。その際フィルタ基材2との接着力が不足する場合は接着剤として軟化点の低い樹脂の粉末を超極細繊維のスプレイに先立って散布したり前記樹脂製の短繊維もしくは芯鞘構造の繊維をフィルタ基材2に混紡したりしておくことにより超極細繊維の被覆後に加熱工程を通すことで超極細繊維層8とフィルタ基材2とを強固に接着できる。
【0045】
超極細繊維層8が被覆されたフィルタ基材2はビード塗布機9に搬送される。ここでいったんフラットに延伸された状態で搬送され、その表および/または裏面の長さ方向に連続または断続的にまた幅方向には所定間隙にビード10が塗布される。
【0046】
ビード塗布機9によって超極細繊維層8が被覆されたフィルタ基材2の両面又は片面にビード10が塗布された後、ビード10が固まらないうちに筋に沿ってジグザグ状に折り目を付ける後段折り畳み機11に搬送される。
【0047】
超極細繊維層8が被覆されたフィルタ基材2は後段折り畳み機11にてジグザグ状に折り畳まれる。ジグザグ状に折り畳まれた超極細繊維層8が被覆されたフィルタ基材2はその表および/または裏面に塗布されたビード10によって結合され製品コンベア13によって搬出され折り畳みフィルタ12が製造される。
【0048】
ここで折り畳みフィルタ12はビード10によって気流の一次側および二次側が相隣る折襞面との間隔が規則的に接着もしくは接触して維持されているため、剛性があり高速で濾過速度が速い場合でも折り畳みフィルタ12の各平面の平坦度を維持し、低い形状抵抗を保つことができる。
【0049】
次に搬出された折り畳みフィルタ12はカッター14にてフィルタパック15あるいはバグフィルタ用濾過体16として切断される。
【0050】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の変更が可能である。例えば前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
空調用フィルタを扱っている業界においては、低い圧力損失で且つ高い捕集効率および長寿命の性能を持ったフィルタを従来から追い求めている。しかし上記のそれぞれの性能は相反する性能を持ったものであることなどからなかなか理想とするものが生まれてこなかった。そこで近年繊維業界の技術開発により細繊維、極細繊維、超極細繊維などが開発されてきたのをきっかけにフィルタ業界でも理想の性能をもった空調用フィルタの開発が注目されている。しかし、細繊維から極細繊維さらには超極細繊維に行くにしたがって繊維の強度は小さくなり超極細繊維の特徴を発揮できる状態を維持したままフィルタパックやバグフィルタ用濾過体として製作する方法は未だ見つかっていない。そこで本発明は超極細繊維を損傷することなく、その超極細繊維効果を遺憾無く発揮し低圧損で高効率・長寿命の性能を持った折り畳みフィルタおよびその製造方法を提供しょうとしたもので本発明は産業上極めて利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の折り畳みフィルタの製造装置を示す略図。
【図2】本発明の折り畳みフィルタを示す概略図。
【図3】折り畳みフィルタをフィルタパックとして使用した概略図。
【図4】折り畳みフィルタをバグフィルタ用濾過体として使用した概略図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・フィルタ基材供給部 2・・・フィルタ基材 3・・・筋付け機
4・・・前段折り畳み機 5・・・加熱装置 6・・・超極細繊維被覆装置
7・・・加熱加工装置 8・・・超極細繊維層 9・・・ビード塗布機
10・・・ビード 11・・・後段折り畳み機
12・・・折り畳みフィルタ 13・・・製品コンベヤ
14・・・カッター
15・・・フィルタパック 16・・・バグフィルタ用濾過体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ基材供給部、筋付け機、前段折り畳み機、加熱装置、ビード塗布機、後段折り畳み機、カッターからなる従来のフィルタ製造装置において、従来の加熱装置とビード塗布機の間に、またビード塗布機を設けない製造工程の場合は後段折り畳み機の間に超極細繊維をフィルタ基材に被覆する機能と必要な場合はその被覆層を接着する機能を備えた超極細繊維被覆装置および加熱加工装置を配置して製造するようにしたことを特徴とした折り畳みフィルタ。
【請求項2】
超極細繊維層をフィルタ基材に被覆して製造した折り畳みフィルタをフィルタパックとして使用したことを特徴とする請求項1の折り畳みフィルタ。
【請求項3】
超極細繊維層をフィルタ基材の最表面に配置したまま超極細繊維層を損傷せずに製造した折り畳みフィルタを払落し再生用のバグフィルタ用濾過体として使用したことを特徴とする請求項1の折り畳みフィルタ。
【請求項4】
フィルタ基材供給部、筋付け機、前段折り畳み機、加熱装置、ビード塗布機、後段折り畳み機、カッターからなる従来のフィルタ製造装置において、従来の加熱装置とビード塗布機の間に、またビード塗布機を設けない製造工程の場合は後段折り畳み機の間に超極細繊維をフィルタ基材に被覆する機能を有する超極細繊維被覆装置と必要な場合はその被覆層を接着する機能を備えた加熱加工装置を挿入配置して超極細繊維をフィルタ基材に被覆する工程と必要な場合はその被覆層を接着する工程を、折り筋をつける筋付け工程とビードを塗布する工程との間に設けた折り畳みフィルタの製造工程で折り畳みフィルタを製造するようにしたことを特徴とした折り畳みフィルタの製造方法。
【請求項5】
ビード塗布機の後段に設けた折り畳み機にフィルタ基材表面を空気および/またはガス流で押す機構が少なくとも超極細繊維層が被覆されている側に採用されている製造工程およびその工程で折り畳みフィルタを作るようにしたことを特徴とする請求項4の折り畳みフィルタの製造方法。
【請求項6】
超極細繊維被覆装置及び加熱加工装置は超極細繊維被覆条件を変更することを可能とし、製作フィルタの用途先によってフィルタサイズや効率等が変化しても、一種類のフィルタ基材を用いて高性能フィルタから準HEPA、HEPA、ULPAフィルタまでを生産可能としたことを特徴とする請求項4の折り畳みフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−89067(P2010−89067A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285921(P2008−285921)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】