説明

折り畳み式ハサミ

【課題】 比較的長いハサミを鞄等に収納して持ち運ぶ際にコンパクトなサイズにすることが出来、且つ刃部が露出しないように出来、且つ使用に際して素早く使用可能状態に出来、且つ従来のハサミに対して遜色の無い使用感が得られるハサミが求められている。しかし、筒状の収納ケースに一対の刃部を収納するようなアイデアでは余計にハサミが長くなってしまうし、収納ケースをなくしてしまうことも考えられる。
【解決手段】 指掛部(7)を折り畳み、収納ケースの替わりとして利用することで刃部(6)の露出を簡便に抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙等を切断するハサミに関する。
【背景技術】
【0002】
ハサミにおいては、特許文献1のように一対のアームの一端部に一対の刃部と、中間部に一対のアームを相対回転可能に支持する軸ピンと、他端部に一対の輪状の指掛部と、を備えているものが多い。
また、特許文献2のように一対のアームを相対回転可能に支持する軸ピンと指掛部の間に配置される、軸ピンに略平行な軸線を中心に指掛部が回転可能に支持されるアイデアが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−233872号公報
【特許文献2】実開平02−109562号公報
【0004】
また、筒状の収納ケースに一対の刃部を挿入し収納するアイデアがよく知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比較的長いハサミを鞄等に収納して持ち運ぶ際にコンパクトなサイズにすることが出来、且つ刃部が露出しないように出来、且つ使用に際して素早く使用可能状態に出来、且つ従来のハサミに対して遜色の無い使用感が得られるハサミが求められている。
しかし、筒状の収納ケースに一対の刃部を収納するようなアイデアでは余計にハサミが長くなってしまうし、収納ケースをなくしてしまうことも考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0007】
発明1に係るハサミは、例えば図1から3の組み、図4から6の組み、のいずれかの組みのように、
棒状の一端部の長手方向に沿うように刃部5と、中間部に軸線11と、他端部に軸線12と、を備えるアーム1と、
一端部に指掛部7を備え、他端部が軸線12を中心に回転可能にアーム1に支持されるアーム2と、
棒状の一端部の長手方向に沿うように刃部6と、他端部に軸線13と、を備え、軸線11を中心に回転可能に中間部がアーム1に支持されるアーム3と、
一端部に指掛部8を備え、他端部が軸線13を中心に回転可能にアーム3に支持されるアーム4と、
を具備し、
アーム1の一端部の長手方向にアーム3の一端部の長手方向が沿うように重なり合った状態において、
当たり10によって軸線11を中心とする第1回転方向へのアーム3の回転が制限され、且つアーム1の一端部からアーム2の一端部が遠ざかった位置にあり、且つアーム3の一端部からアーム4の一端部が遠ざかった位置にある図1又は4のような第1状態と、
前記第1状態から軸線12を中心にアーム2を回転させて図2又は5のようにし、且つ軸線13を中心にアーム4を回転させて、アーム3又は4にアーム2を係合させることで、軸線11を中心に前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向へのアーム3の回転が制限された図3又は6のような第2状態と、
を有する、ハサミである。
【0008】
発明2に係るハサミは、例えば図7及び8の組みのように、
棒状の一端部の長手方向に沿うように刃部5と、中間部に軸線11と、他端部に軸線12と、を備えるアーム1と、
一端部に指掛部7を備え、他端部が軸線12を中心に回転可能にアーム1に支持されるアーム2と、
棒状の一端部の長手方向に沿うように刃部6と、他端部に指掛部8と、を備え、軸線11を中心に回転可能に中間部がアーム1に支持されるアーム3と、
を具備し、
アーム1の一端部の長手方向にアーム3の一端部の長手方向が沿うように重なり合った状態において、
当たり10によって軸線11を中心とする第1回転方向へのアーム3の回転が制限され、且つアーム1の一端部からアーム2の一端部が遠ざかった位置にある図7のような第1状態と、
前記第1状態から軸線12を中心にアーム2を回転させてアーム3にアーム2を係合させることで、軸線11を中心に前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向へのアーム3の回転が制限された図8のような第2状態と、
を有する、ハサミである。
【0009】
発明3に係るハサミは、発明1のハサミにおいて、例えば図4から6の組みのように、
図6のような前記第2状態において、刃部6は指掛部7及び8の間に配置される、
ハサミである。
【0010】
発明4に係るハサミは、発明1から2のいずれかのハサミにおいて、例えば図1から3の組み、図7及び8の組み、のいずれかの組みのように、
図3又は8のような前記第2状態において、刃部6は指掛部7の内側に配置される、
ハサミである。
【0011】
発明5に係るハサミは、発明1から4のいずれかのハサミにおいて、例えば図1から3の組み、図4から6の組み、図7及び8の組み、のいずれかの組みのように、
軸線12は、軸線11に対して略垂直であり、且つアーム1の棒状の一端部の長手方向に対して略垂直である、
ハサミである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明では、指掛部7(8)を折り畳み、収納ケースの替わりとして利用することで刃部6(5)の露出を簡便に抑えることが可能である。
【0013】
さらに発明1によると、本発明の効果に加えて、よりコンパクトに折り畳み可能となる。
【0014】
さらに発明3又は4によると、本発明の効果に加えて、刃部6の露出をより抑えることが可能となる。
【0015】
さらに発明5によると、本発明の効果に加えて、軸線11に対して軸線12を略垂直に配置したことでハサミとして使用する際の軸線12を中心とする指掛部7の回転止めを合理的に構成可能となり、且つ折り畳みの際に刃部5及び6が容易に開いてしまうような問題を発生しにくく出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
図1において、アーム1及び3それぞれの一端部の刃部5及び6は鉄板の打ち抜き成型後の部材に切削加工を施したものであり、中間部には軸線11を中心とする軸ピン9が隙間嵌合される貫通穴が開けられており、他端部の支持部14及び20には軸線12及び13を中心に回転可能で当たり19及び25によって一回転方向への回転が制限されているアーム2及び4の支持部15及び21が支持されている。
続いて、アーム2を軸線12中心に他回転方向へ約180度回転させることで図2のような状態になり、アーム2に備えられた凹状の係合形状16及び18にそれぞれアーム3の中間部及び一端部が嵌るように係合する。
続いて、アーム4を軸線13中心に他回転方向へ約180度回転させることで図3のような状態になり、アーム4に備えられた凹状の係合形状22及び24にそれぞれアーム1の中間部及び一端部が嵌るように係合すると同時に、アーム2及び4にそれぞれ備えられた凸状の係合形状17及び23がアーム4及び2に摺動抵抗を生じながら係合する。
【0017】
また、当たり19はアーム1及び2の間に、当たり25はアーム3及び4の間に設けられている。
また、軸線11を中心とするアーム1及び3の一回転方向への回転を制限する為の当たり10は軸線12付近に設けることが好ましく、アーム1又は2とアーム3又は4の間に設けることが出来るが、アーム1及び3の間に設けるのが合理的である。
また、係合形状16、17、18、22、23、及び24のいずれかにおける係合のみによって軸線11を中心とするアーム1及び3の他回転方向への回転が制限されるので、複数の係合形状を無理に備える必要は無い。
また、図3のような状態において、刃部5及び6はそれぞれ輪状の指掛部8及び7の内側に配置されており、且つ刃部5及び6は指掛部7及び8の間に配置されている。
【0018】
〔第2実施形態〕
図4において、アーム1及び3それぞれの一端部の刃部5及び6は鉄板の打ち抜き成型後の部材に切削加工を施したものであり、中間部には軸線11を中心とする軸ピン9が隙間嵌合される貫通穴が開けられており、他端部の支持部14及び20には軸線12及び13を中心に回転可能で当たり19及び25によって一回転方向への回転が制限されているアーム2及び4の支持部15及び21が支持されている。
続いて、アーム2を軸線12中心に他回転方向へ約180度回転させることで図5のような状態になり、アーム2に備えられた凹状の係合形状26にアーム3の刃部6の峰が嵌るように係合する。
続いて、アーム4を軸線13中心に他回転方向へ約180度回転させることで図6のような状態になり、アーム4に備えられた凹状の係合形状27にアーム1の刃部5の峰が嵌るように係合する。
【0019】
また、当たり19はアーム1及び2の間に、当たり25はアーム3及び4の間に設けられている。
また、軸線11を中心とするアーム1及び3の一回転方向への回転を制限する為の当たり10は軸線12付近に設けることが好ましく、アーム1又は2とアーム3又は4の間に設けることが出来るが、アーム1及び3の間に設けるのが合理的である。
また、係合形状26又は27における係合のみによって軸線11を中心とするアーム1及び3の他回転方向への回転が制限されるので、複数の係合形状を無理に備える必要は無い。
また、図6のような状態において、刃部5及び6は輪状の指掛部7及び8の間に配置されている。
【0020】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、第1実施形態のハサミのアーム3及び4を一体化しアーム3としたようなハサミであり、図7においてアーム1及び3の間に当たり10が設けられている。
また、図8において係合形状16の縁に新たに設けられた爪形状28がアーム1の中間部に掛止されている。
また、図8のような状態において、刃部6は輪状の指掛部7の内側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の第1状態を表す図
【図2】第1実施形態の第1状態及び第2状態の中間状態を表す図
【図3】第1実施形態の第2状態を表す図
【図4】第2実施形態の第1状態を表す図
【図5】第2実施形態の第1状態及び第2状態の中間状態を表す図
【図6】第2実施形態の第2状態を表す図
【図7】第3実施形態の第1状態を表す図
【図8】第3実施形態の第2状態を表す図
【符号の説明】
【0022】
1,2,3,4. アーム
5,6. 刃部
7,8. 指掛部
9. 軸ピン
10,19,25. 当たり
11,12,13. 軸線
14,15,20,21. 支持部
16,17,18,22,
23,24,26,27. 係合形状
28. 爪形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の一端部の長手方向に沿うように第1刃部と、中間部に第1軸線と、他端部に第2軸線と、を備える第1アームと、
一端部に第1指掛部を備え、他端部が前記第2軸線を中心に回転可能に前記第1アームに支持される第2アームと、
棒状の一端部の長手方向に沿うように第2刃部と、他端部に第3軸線と、を備え、前記第1軸線を中心に回転可能に中間部が前記第1アームに支持される第3アームと、
一端部に第2指掛部を備え、他端部が前記第3軸線を中心に回転可能に前記第3アームに支持される第4アームと、
を具備し、
前記第1アームの一端部の長手方向に前記第3アームの一端部の長手方向が沿うように重なり合った状態において、
当たりによって前記第1軸線を中心とする第1回転方向への前記第3アームの回転が制限され、且つ前記第1アームの一端部から前記第2アームの一端部が遠ざかった位置にあり、且つ前記第3アームの一端部から前記第4アームの一端部が遠ざかった位置にある第1状態と、
前記第1状態から前記第2軸線を中心に前記第2アームを回転させ、且つ前記第3軸線を中心に前記第4アームを回転させて、前記第3アーム又は前記第4アームに前記第2アームを係合させることで、前記第1軸線を中心に前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向への前記第3アームの回転が制限された第2状態と、
を有する、ハサミ。
【請求項2】
棒状の一端部の長手方向に沿うように第1刃部と、中間部に第1軸線と、他端部に第2軸線と、を備える第1アームと、
一端部に第1指掛部を備え、他端部が前記第2軸線を中心に回転可能に前記第1アームに支持される第2アームと、
棒状の一端部の長手方向に沿うように第2刃部と、他端部に第2指掛部と、を備え、前記第1軸線を中心に回転可能に中間部が前記第1アームに支持される第3アームと、
を具備し、
前記第1アームの一端部の長手方向に前記第3アームの一端部の長手方向が沿うように重なり合った状態において、
当たりによって前記第1軸線を中心とする第1回転方向への前記第3アームの回転が制限され、且つ前記第1アームの一端部から前記第2アームの一端部が遠ざかった位置にある第1状態と、
前記第1状態から前記第2軸線を中心に前記第2アームを回転させて前記第3アームに前記第2アームを係合させることで、前記第1軸線を中心に前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向への前記第3アームの回転が制限された第2状態と、
を有する、ハサミ。
【請求項3】
前記第2状態において、前記第2刃部は前記第1指掛部及び前記第2指掛部の間に配置される、
請求項1に記載のハサミ。
【請求項4】
前記第2状態において、前記第2刃部は前記第1指掛部の内側に配置される、
請求項1から請求項2のいずれかに記載のハサミ。
【請求項5】
前記第2軸線は、前記第1軸線に対して略垂直であり、且つ前記第1アームの棒状の一端部の長手方向に対して略垂直である、
請求項1から請求項4のいずれかに記載のハサミ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−252935(P2007−252935A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−112449(P2007−112449)
【出願日】平成19年4月22日(2007.4.22)
【出願人】(504474323)
【Fターム(参考)】