説明

折り畳み式保冷保温容器

【課題】使用状態と折り畳み状態との状態の変更を可能とすることができ、既に使用している保冷保温容器を利用して、簡易かつ容易に断熱性能をさらに向上させることができる断熱体を備える折り畳み式保冷保温容器を提供する。
【解決手段】容器の外形を画定する変形可能な材料からなる外表材と、外表材の内部に収納される複数の断熱体とを含む折り畳み式保冷保温容器であって、断熱体が2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有する、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内に収容し、第一断熱材を真空断熱材とする、折り畳み式保冷保温容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷凍・冷蔵食品等の収納物を収納して輸送・搬送する際、その収納物の温度を外気温度の影響を受け難くする断熱体を備える折り畳み式保冷保温容器に関する。特に、断熱性能に優れた真空断熱材をさらに断熱体に備えることが可能な折り畳み式保冷保温容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、個人・業界を問わず、冷凍・冷蔵食品等の収納物を収納して輸送・搬送する際、その収納物の温度を外気温度の影響を受け難くするため、いわゆるクーラーバッグ等の保冷保温容器が知られている。また、このような保冷保温容器について、収納物を収納していない状態では、折り畳むことによって輸送・保管時のコンパクト化を実現可能とする折り畳み式保冷保温容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、繊維系材料、連続気泡発泡プラスチック系材料等からなる芯材を、ガスバリア性を有する袋状の外包材の中に減圧密閉した構成の真空断熱材が開発され、従来の断熱材と比較して優れた断熱性を有することから、この真空断熱材を保冷保温容器の内部に設置することにより、断熱性を向上させた保冷保温容器も提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−10635号公報
【特許文献2】特開2001−278364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の折り畳み式保冷保温容器は、上述したように、収納物を収納していない状態における折り畳みにより輸送・保管時のコンパクト化を実現するものであるが、さらに、保冷保温容器の再利用性を考慮し、断熱材などの材料として単一材料、例えば、発泡ポリプロピレンなどの発泡体が好ましいとされている。したがって、既に使用している保冷保温容器を利用して、断熱性能をさらに向上させるためには、断熱材自体を新たな断熱材に変更しなければならず、既に使用していた断熱材を廃棄しなければならず、断熱材変更費用だけでなく廃棄コストも必要とし、さらに、資源の有効活用も図ることができないという問題が生じていた。
【0006】
また、特許文献2記載の保冷保温容器は、断熱性を向上させることを目的として、箱本体の外壁となる外側部材及び内壁となる内側部材の間に真空断熱材を備えたものである。しかし、従来の断熱材と比較して優れた断熱性を有する真空断熱材を備えているものの、外側部材及び内側部材の間に硬質ウレタンフォームを発泡・充填した断熱材が形成されている。したがって、既に使用している保冷保温容器を利用して、断熱体内部の気密性を維持しながら断熱性能をさらに向上させるために、真空断熱材を既に使用していた断熱体と併せて使用することは有効であるが、真空断熱材を内部に備えるように硬質ウレタンフォームなどを発泡・充填することが必要となる。この結果、発泡体を所定の位置で均一にかつ隙間なく充填することが困難であり、充填の際に真空断熱材が所定の位置に必ずしも設置できず、さらに、硬質ウレタンフォームを発泡・充填した保冷保温容器を製造する装置は規模が大きくなるため、製造コストに影響を与えるという問題点が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用状態と折り畳み状態との状態の変更を可能とすることができ、既に使用している保冷保温容器を利用して、簡易かつ容易に断熱性能をさらに向上させることができる断熱体を備える折り畳み式保冷保温容器を提供することにある。
【0008】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、断熱体が2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有する、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内に収容し、第一断熱材を真空断熱材とする。
【0009】
具体的には、本発明に係る折り畳み式保冷保温容器は、
変形可能な材料からなり、かつ、容器の外形を画定する外表材と、
前記外表材の内部に収納される複数の断熱体であって、前記外表材の内部で、組み立てられて容器として使用できる使用状態と、互いに畳重された収納状態と、になることができる複数の断熱体と、
を含む折り畳み式保冷保温容器であって、
前記断熱体は、2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有する、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内に収容し、
前記第一断熱材は、芯材と、前記芯材を収容する袋状で、かつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であり、
前記外包材は、前記芯材を内部に収納した外包材の周縁部全体を熱融着により減圧状態に維持可能にシールするシール部を有する、
ことを特徴とする。
【0010】
上述した発明によれば、変形可能な材料からなり、かつ、容器の外形を画定する外表材と、外表材の内部に収納される複数の断熱体であって、外表材の内部で、組み立てられて容器として使用できる使用状態と、互いに畳重された収納状態と、になることができる複数の断熱体と、を含む折り畳み式保冷保温容器であることから、断熱体を組み立てることにより保冷保温容器を形成するだけでなく、外部から断熱することができるため、保冷保温容器に収納された物品の温度を一定時間保持することができる。また、収納状態では、複数の断熱体が互いに畳重することができることから、保冷保温容器として使用しないときにはサイズを小さくすることができるため、省スペース化を図ることができ、保冷保温容器の収納スペースを有効に活用することができる。
【0011】
そして、上述した発明によれば、断熱体は、2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有する、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内に収容し、第一断熱材は、芯材と、前記芯材を収容する袋状で、かつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であり、外包材は、芯材を内部に収納した外包材の周縁部全体を熱融着により減圧状態に維持可能にシールするシール部を有する。したがって、従来から保冷保温容器の断熱体のカバー材内に収容された断熱材として使用されていたポリスチレンフォームなどの板状形状の断熱材に、寸法加工容易で、薄型板状形状の優れた断熱性能を有する真空断熱材を重ねてカバー材内に収容することで、保冷保温容器の断熱性能を顕著に向上させることができるだけでなく、既に使用していた保冷保温容器をそのまま使用することができるため、断熱材変更に伴う費用や廃棄費用なども要せず、資源の有効利用も可能となる。
【0012】
なお、真空断熱材である第一断熱材をポリスチレンフォームなどの第二断熱材に貼り付けることにより位置固定は極めて容易となる。また、真空断熱材のシール部を利用した場合、シール部により生じた弾性を用いて所定位置に固定させるとともに、カバー材に対する断熱材の挿入や抜き出しをも容易にすることができる。
【0013】
ここで、真空断熱材の「芯材」としては、繊維集合体、連続気泡発泡体等が使用される。「繊維集合体」は無機繊維、有機繊維又はそれらの混合物からなる。「無機繊維」としては、例えば、ガラス繊維(グラスウール)、アルミナ繊維、スラグウール繊維、シリカ繊維、ロックウール等が挙げられる。「有機繊維」としては、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジヅク繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等が挙げられる。無機繊維および有機繊維は1種からなる単独繊維又は複数種の混合繊維として用いられる。さらに、「連続気泡発泡体」としては、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等が挙げられる。
【0014】
また、「外包材」としては、ガスバリア性を有するとともに、外包材内部を減圧状態に維持でき、かつヒートシール可能なものであれば、どのようなものでも用いることができる。外包材は、シート状又はフィルム状の素材を袋状、例えば、開口部を残して三方をヒートシールした袋状に加工して使用される。また、フィルム状の素材等からなる外包材は、例えば、最外層から最内層へ、ナイロン、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)、アルミ箔、高密度ポリエチレンの順に積層された4層構造からなるガスバリアフィルムや、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂からなるガスバリアフィルムや、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂からなるガスバリアフィルム等が挙げられる。なお、上記外包材の最内層が裏面を構成し、すなわち最内層が袋の内部を構成するように使用される。
【0015】
なお、「複数の断熱体」は、互いに独立した別体となっている場合だけでなく、複数の断熱体が可撓性のある部材によって互いに連結されている場合も含み、収納状態は複数の断熱体が互いに畳重されていればよい。
【0016】
本発明に係る折り畳み式保冷保温容器として、シール部は、第二断熱材とカバー材とに圧接され、第二断熱材とカバー材との間に固定されるとき、第二断熱材に沿って折り曲げられる、ことが好ましい。
【0017】
上述した発明によれば、第一断熱材(真空断熱材)を第二断熱材に載置した後に両断熱材をカバー材に挿入した場合、真空断熱材のシール部がカバー材への挿入を妨げることなく、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内にスムーズに挿入できるとともに、第一断熱材を第二断熱材とカバー材との間に固定し収納することができる。そして、カバー材内に収納された第一断熱材と第二断熱材とを、第1断熱材(真空断熱材)及び第一断熱材のシール部がカバー材からの抜き出しを妨げることもないため、両断熱材をスムーズにカバー材から抜き出し、第一断熱材(真空断熱材)及び第二断熱材の取り外しも容易にすることができる。
【0018】
本発明に係る折り畳み式保冷保温容器として、複数の断熱体が6個の断熱体からなり、6個の断熱体の各々は、板状の形状を有し、使用状態では6個の断熱体によって、六面体が形作られ、複数の断熱体の各々が六面体の対応する面として組み立てられる、ことが好ましい。
【0019】
上述した発明によれば、取り扱いが容易な保冷保温容器とすることができる。特に、6個の断熱体の各々は板状の形状を有することから、非常に簡単な構造であるため、収納状態から使用状態への組み立てと使用状態から収納状態への折り畳みは非常に容易に、かつ、短時間で行うことができる。さらに、使用状態において、外表材により保冷保温容器の外形が画定されることから、保冷保温容器を6面体と形作られることにより、強度を有する保冷保温容器とすることができる。
【0020】
本発明に係る折り畳み式保冷保温容器として、シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状は真空断熱材が対接する第二断熱材の形状より小さく、カバー材と対接する真空断熱材の側面の周端部は、保護部材、例えば、発泡ポリエチレンシート、発泡ポリウレタンシート、エチレン−ビニルアセテート共重合体発泡シート、シリコンゴム、ブチルゴム等からなる、厚み及び幅が3〜20mm程度の弾性シール材からなる部材で被覆されている、ことが望ましい。
【0021】
上述した発明によれば、シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状は真空断熱材が対接する第二断熱材の形状より小さいことから、真空断熱材の周端部、特に、4隅の端部が直接外表材と接触することを防止することができる。さらに、カバー材と対接する真空断熱材の側面の周端部は保護部材で被覆されていることから、真空断熱材の周端部が損傷することを防止できるため、真空断熱材の外包材の損傷により断熱性能が低下することを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した発明によれば、断熱性能が向上された保冷保温容器を構成することができ、保冷保温容器に収納された物品の温度を一定時間保持することができる。また、収納状態では、複数の断熱体が互いに畳重することができるので、保冷保温容器として使用しないときには、サイズを小さくすることができるため、省スペース化を図ることができ、保冷保温容器の収納スペースを有効に活用することができる。
【0023】
さらに、従来から保冷保温容器の断熱体のカバー材内に収容された断熱材として使用されていたポリスチレンフォームなどの板状形状の断熱材に、寸法加工容易で、薄型板状形状の優れた断熱性能を有する真空断熱材を重ねてカバー材内に収容することで、保冷保温容器の断熱性能を顕著に向上させることができるだけでなく、既に使用していた保冷保温容器をそのまま使用することができるため、断熱材変更に伴う費用や廃棄費用なども要せず、資源の有効利用も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る折り畳み式保冷保温容器について、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る折り畳み式保冷保温容器は、容器の外形を画定する変形可能な材料からなる外表材と、外表材の内部に収納される複数の断熱体と、を含む折り畳み式保冷保温容器であって、各断熱体のカバー材の中に収納される真空断熱材及び他の断熱材に関し、真空断熱材が他の断熱材と断熱体のカバー材とに圧接されて、他の断熱材とカバー材との間に固定されるとき、真空断熱材が有するシール部が他の断熱材に沿って折り曲げられるものである。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る保冷保温容器の使用状態を示す斜視図(a)と、収納状態を示す斜視図(b)とである。図2は、本発明の実施形態に係る保冷保温容器に用いられる使用状態における断熱体を示す斜視図(a)と、収納状態における断熱体を示す斜視図(b)とである。図3は、断熱体を、右方に向かって引き起こしている経過状態を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る保冷保温容器に用いる真空断熱材を示す分解斜視図である。図5は、真空断熱材における芯材及び外包材の状態を示す図4のA−A’線断面図である。図6は、図5のP部の拡大断面図である。図7は、断熱体を示す斜視図(a)と、図7(a)のB−B’線断面図(b)である。図8は、外表材に収納された断熱体の端部の拡大断面図である。図9は、真空断熱材の側面の周端部を保護部材で被覆した状態を示す斜視図(a)と、その側面図(b)である。
【0026】
<<保冷保温容器1>>
図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明の実施形態に係る折り畳み式保冷保温容器1は、容器の外形を画定する変形可能な材料からなる外表材2と、外表材の内部に収納される6つの断熱体30A〜30Fと、を含む構成となっている。また、折り畳み式保冷保温容器1は、外表材2の内部で、組み立てられて容器として使用できる使用状態(図1(a))と、互いに畳重された収納状態(図1(b))と、になることができる断熱体30A〜30Fと含む。
【0027】
<外表材2>
外表材2は、保冷保温容器1に収容される収納物の収納数や総重量を考慮した強度を有する材質により作製されている。また、外表材2は、例えば、ナイロン等の布製であり、6枚の断熱体30A〜30Fが組み立てられたときの形状に応じて変形できる。さらに、外表材2は、ある程度の保形性を備えたものであるものがより好ましい。例えば、エアーキャップシートの表裏にアルミ箔を貼着したものを外表材2の内部に有するようにしてもよい。
【0028】
図1に示すように、外表材2は、使用状態においては、筐体状(六面体形状)になる。外表材2の上面は、ヒンジ機構、例えば、薄肉ヒンジによって外表材2の一つの側面の上辺と連続するように形成されており、開閉することができる。また、外表面2の上面が接する他の3側面の上辺に沿って、スライドファスナが設けられており、外表材2を閉塞状態にすることができる。このように、外表材2の上面は、蓋体として機能する。
【0029】
断熱体30A〜30Fと、外表材2の内側の面との間には、図8に示すように、外表材2に設けられた面ファスナー部材52と断熱体に設けられた面ファスナー部材53からなる、雌雄の一対の面ファスナ5が設けられている。なお、この面ファスナ5は、本実施形態では、外表材2の内側の面各々に、上下(又は前後)二箇所に離間して略水平方向に沿って設けられている。後述するように、この面ファスナ5は、6枚の断熱体30A〜30Fが組み立てられたときには、断熱体30A〜30Fの各々に設けられた面ファスナ5と係合する。このような構成により、6枚の断熱体30A〜30Fにより組み立てた形状を非常に安定させることができる。
【0030】
なお、外表材2には、必要に応じて取手やショルダーベルトを設けてもよい。また、外表材2の外表面を銀膜塗装(アルミ箔等)としてもよい。このようにすることにより、保冷保温容器1の外側の大気熱を反射することができるため、保冷保温容器1の内部の温度をさらに長い一定時間保持できる。
【0031】
<断熱体30A〜30F>
図2(a)に示すように、断熱体30A〜30Eが組み立てられて、使用状態となったときには、断熱体30A〜30Eは、略直方体の箱形状となる。そして、断熱体30A〜30Eにより形成された略直方体の箱形状を外表材2の内部に収納することにより、保冷本容器1の外形が画定される(図1(a))。また、収納状態、すなわち、断熱体30A〜30Eが外表材2の内側で折り畳まれたときには、図1(b)に示すように、外表材2の上側も折り畳むことができ、保冷保温容器1が占める体積を小さくすることができるため、保冷保温容器1の収納や保管だけでなく、搬送の場面においても、省スペース化を実現できる。
【0032】
なお、本実施形態では、断熱体30A〜30Eの各々は、薄板状の長方体形状を有する。説明の都合上、図1(a)及び(b)、図2(a)及び(b)、並びに図3においては、図面の手前側が前方や前面、図面の奥行き側が後方や背面、図面の右側が右方や右面、図面の左側が左方や左面と称し、使用状態(図2(a))において、断熱体30Aは底面として機能し、断熱体30Bは前面として機能し、断熱体30Cは背面として機能し、断熱体30Dは、左面として機能し、断熱体30Eは右面として機能し、断熱体30Fは、上面として機能する。なお、本実施形態では、断熱体30Fは、図1(a)に示すように、外表材2に設けられている。
【0033】
上述したように、本実施形態では、底面の断熱体30Aは、薄板状の長方体形状を有する。左面として機能する断熱体30Dの高さと、右面として機能する断熱体30Eの高さとは、断熱体30Aの長辺の略半分以下の長さに設定されている。このようにすることにより、図2(b)に示すように、折り畳んだ状態(収納状態)では、底面の断熱体30Aの上に、二枚の断熱体30Dと30Eとを同一平面に配置することができる。
【0034】
<断熱体30B〜Eの組み立て及び折り畳み>
図2(a)、図2(b)及び図3を用いて、保冷保温容器1の組み立てについて説明する。まず、図2(b)に示された「折り畳んだ状態(収納状態)」から、断熱体30Bを、前方に向かって、回転させながら引き起こし、同様に、断熱体30Cを、後方に向かって、回転させながら引き起こす。このようにすることにより、断熱体30Bと断熱体30Cとは、互いに略平行にとなって起き上がった状態となる。
【0035】
次に、断熱体30Eを、底面の断熱体30Aと当接する辺を回転軸にして回転させながら、右方に向かって引き起こす。このようにすることにより、図3に示すように、断熱体30Bと断熱体30Cと断熱体30Eとの3つの断熱体が、底面の断熱体30Aの上で直立した状態となる。
【0036】
最後に、断熱体30Dを、底面の断熱体30Aと当接する辺を回転軸にして回転させながら、左方に向かって引き起こす。図3は、断熱体30Dを、左方に向かって引き起こしている経過状態を示す図である。上述した手順で組み立てることにより、図2(a)に示すように、底面の断熱体30Aの上で、断熱体30B〜30Eの4枚の断熱体が直立し、2組の向かい合う2枚の断熱体(30Bと30C、30Dと30E)が略平行な状態となる。
【0037】
なお、保冷保温容器1を折り畳むときには、上述した手順と逆の手順で行えばよい。すなわち、まず、断熱体30Dと断熱体30Eとを、底面の断熱体30Aと当接している辺を回転軸にして回転させながら、底面の断熱体30Aに向かって押し倒す。次に、断熱体30Cを、既に押し倒された断熱体30Dと断熱体30Eとに向かって回転させながら押し倒す。最後に、断熱体30Bを、既に押し倒された断熱体30Cとに向かって回転させながら押し倒す。
【0038】
したがって、本実施形態に係る折り畳み式保冷保温容器は、取り扱いが容易な保冷保温容器とすることができる。特に、6個の断熱体の各々は板状の形状を有することから、非常に簡単な構造であるため、収納状態から使用状態への組み立てと使用状態から収納状態への折り畳みは非常に容易に、かつ、短時間で行うことができる。さらに、使用状態において、外表材により保冷保温容器の外形が画定されることから、保冷保温容器を6面体と形作られることにより、強度を有する保冷保温容器とすることができる。
【0039】
<断熱体30A〜30Fの構成>
図7(a)、図7(b)及び図8を用いて、断熱体30(30A〜30F)の構成を説明する。図示された断熱体の寸法は説明のための例示である。なお、図8は、断熱体30A〜30Fの代表例として、断熱体30Dの後方側の側面が、断熱体30Cの内側の面と当接した状態を示す断面を示した。
【0040】
断熱体30A〜30Fの各々は、図7及び図8に示すように、2つの断熱材34、40(断熱材40は真空断熱材)と、カバー材32と、面ファスナ部材53とを含む。断熱材34は、発泡プラスチック製、ダンボール紙製、ハニカム部材製等の従来から使用されている断熱材であり、互いに向かい合う略平行な2つの平面を有する板状形状を有する。特に好ましくは、硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームであり、厚みが7〜60mm、好ましくは10〜50mmである。上記の発泡体を断熱材として用いた場合には、他の従来の断熱材と比べ軽量でかつ断熱性に優れ、それ自体接触に強く、ある程度の弾性を有し、平滑性も優れるため、余分な隙間を発生させることなく真空断熱材を挿入又は貼り付け等することができる。これに対して、断熱体40である真空断熱材は、外包材の内部を真空に保つことを前提としているため、接触による外包材の損傷などには弱いが、従来の断熱体と比較して、優れた断熱性能を有するだけでなく、非常に薄い板状形状を有するため、断熱材の設置スペースについて適応性が広い。真空断熱材40については、後述する。
【0041】
カバー材32は、2つの断熱材34、40を重ねた状態で全体を覆う。面ファスナ部材53は、図8に示すように、カバー材32の外表面側に設けられており、断熱体30B〜30Eを組み立てたときには、上述した外表材2の内表面側に設けられた面ファスナ部材52と係合することができる。
【0042】
<真空断熱材40>
図4、図5及び図6を用いて、真空断熱材40について説明する。図4は真空断熱材40を示す分解斜視図である。図5は真空断熱材40における芯材42及び外包材44の状態を示す図4のA−A’線断面図である。図6は図5のP部の拡大断面図である。
【0043】
図4に示すように、真空断熱材40は、芯材42と外包材44とを備え、芯材42を袋状の外包材44内部に収納した構成となっている。また、真空断熱材40は、芯材42を収納した状態で外包材44を真空引きし、外包材44のその開放端46Aのシール部46aを熱融着することにより、その全体が略四角形状のシート状に形成されたものである。なお、真空断熱材の厚みは好ましくは0.1〜6mmであり、カバー材への挿入の容易さと断熱性能のバランスを考慮すれば、特に1〜4mmが好ましい。厚みが小さいと断熱性能の向上にあまり寄与することができず、厚みが大きくなると重量が重くなり、カバー材の負担が大きくなると共に、カバー材への挿入が極めて困難となるからである。真空断熱材40は、所定寸法のシート状のままで、あるいは、保冷又は保温対象となる断熱対象物の形状や設置スペース等に応じた所定の形状に折曲ないし湾曲させて使用されることができる。
【0044】
外包材44内部は減圧状態にあることから、保冷保温容器1への取り付け及び取り外しの際も、真空断熱材40の形状は安定し、場合によっては変形状態を維持したまま、外包材44の破れや損傷を防止して、外包材44を保護することができる。したがって、真空断熱材40の断熱性能を維持することができる。なお、本実施形態に係る保冷保温容器1の断熱体30A〜30Fは、厚み7mm〜60mm程度の板状の長方体形状であることから、真空断熱材40をさらに薄型のシート状に作製した。したがって、真空断熱材40が圧接されるカバー材32及び他の断熱材34に対して、真空断熱材40の平面を隙間なく密着させて吸着させることができるため、効率的な断熱性能を確保することができる。さらに、真空断熱材40は、非常に薄いシート状で優れた断熱性能を有することから、カバー材32と他の断熱材34との間に真空断熱材40を設置する空間を非常に狭くすることが可能となり、真空断熱材を使用していなかった従来の断熱体に対して、カバー材32をそのまま使用して、断熱材34に真空断熱材40を重ねてカバー材32内に挿入するだけで、従来と比較して優れた断熱性能を有する断熱体を作製することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る保冷保温容器1においては、真空断熱材40がカバー材と当接する面の形状を一致するように作製した。したがって、カバー材32と他の断熱材34との間に固定される真空断熱材40の固定位置が一意に決定されることから、位置決めや、カバー材32や他の断熱材34への真空断熱材の貼り付けも不要となるため、断熱体30の作成が容易となる。
【0046】
(芯材42)
芯材42は、繊維集合体、連続気泡発泡体等の材料を使用することができる。繊維集合体としては、無機繊維集合体、有機繊維集合体又はそれらの混合物が挙げられるが、本実施形態においては、硬質の繊維集合体との接触による外包材44内側の損傷を防止し、断熱性に優れ、量産性が高く、さらに、低コストであるガラス繊維(グラスウール)を使用した。
【0047】
さらに、真空断熱材40の断熱性能を向上させるため、ガラス繊維の繊維集合体を圧縮してシート状にした。シート状に形成したことから、シート状に形成されていない綿状の繊維集合体と比較して断熱性能が向上するだけでなく、真空断熱材40の製造工程において芯材42を簡易かつ容易に外包材44に収納することができ、作業性の効率化も図ることができる。さらに、断熱性能を高めるためは、複数のシート状の断熱材料を積層して芯材42を形成することも可能である。
【0048】
芯材42としてガラス繊維を用いた場合、その繊維長を約1〜100mmとすることができる。但し、繊維長が長すぎると、熱伝導性能が低下するとともに、曲面加工性も低下してしまう。一方、繊維長が短すぎると、曲面形状に合わせる際の折れや皺の発生が増加してしまうので、繊維長を約3〜30mmとすることが好ましい。
【0049】
また、芯材42となる無機繊維集合体の密度は、約100〜300kg/mとすることができる。但し、密度が小さすぎると、芯材42としての強度が低下するとともに、断熱性が低下してしまう。一方、密度が大きすぎると、芯材42が硬くなりすぎて形状追従性が低下し、折れ皺の発生が増加してしまう。また、芯材42が重くなると断熱性が低下してしまう傾向もある。したがって、芯材42の密度は、約120〜250kg/mとすることが好ましい。
【0050】
なお、芯材42を有機繊維集合体とする場合、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジック繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等を用いることができる。上述した無機繊維の場合と同様に、これら材料を単独で用いた単独繊維又は任意に組み合わせた混合繊維としてもよい。好ましくは、吸湿性が少なく断熱性に優れ、量産性が高く、しかも低コストであるポリエステル繊維が好ましく、特に、PET繊維が好適である。
【0051】
その際、芯材42となる有機繊維の太さは、1〜6デニール程度が好ましい。有機繊維の太さが1デニール未満では、芯材42としてシート状に加工することが困難となり、一方、太さが6デニールを超えると断熱性が低下してしまうからである。より好ましくは約1〜3デニールである。また、芯材42となる有機繊維の繊維長は、約10〜150mmが好ましい。繊維長が10mm未満では、シート状に加工することが困難となり、一方、繊維長が150mmを超えると、断熱性が低下してしまうからである。より好ましくは、有機繊維の繊維長を約20〜80mmである。
【0052】
なお、芯材42を連続気泡発泡体とする場合、連通硬質ウレタンフォーム、連通ポリスチレンフォーム、連通フェノールフォーム等を用いることができる。断熱性の観点から好ましくは連通硬質ポリウレタンフォームである。なお、連続気泡発泡体製芯材を用いた場合、上述した繊維集合体製芯材と比較し、非常に軽量な真空断熱材を得ることができる。
【0053】
(外包材44)
本実施形態の外包材44は、2枚の四角形状のシート又はフィルムを重ね合わせ、互いの3辺(図4中のシール部46b,46c,46d)を熱融着によりシールした袋状としている。外包材44のシールしてない残り1辺(図4中の点線で示すシール部46a)は、芯材42を外包材44内部に収納するための開放端46Aとなっており、芯材42を収納して真空引きした後にシールする。
【0054】
さらに、外包材44を構成する各シート又はフィルムは、図5のP部及び図6に示すように、最外層441、第1ガスバリア層442、第2ガスバリア層443、最内層444の4層構造となっている。外包材44としては、ガスバリア性を有するとともに、外包材内部を減圧状態に維持できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。
【0055】
最外層441は、外部からの衝撃等を緩衝して外包材44に耐久性をもたせるためのものである。最外層441の材料は、例えば、ナイロン、PET樹脂等によって形成することができる。
【0056】
第1ガスバリア層442は、各シール部441〜444により密閉した外包材44内部に大気中のガスが侵入するのを防止するためのものである。第1ガスバリア層442の材料は、例えば、アルミ蒸着PET又はアルミ蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等によって形成することができる。また、第1ガスバリア層442は、後述する第2ガスバリア層443の保護も兼ねている。なお、この第1ガスバリア層442を設けることなく、外包材44を最外層441、ガスバリア層443、シール層444の3層構造としてもよい。
【0057】
第2ガスバリア層443は、第1ガスバリア層442と同様に、各シール部441〜444により密閉した外包材44内部に大気中のガスが侵入するのを防止するためのものであり、本実施形態の真空断熱材40では、アルミ箔により形成されている。
【0058】
最内層444は、熱融着によりシール部46a〜46dを形成し、真空引きした外包材44の減圧状態を経年的に維持するためのものであり、本実施形態の真空断熱材40では、高密度ポリエチレン樹脂によって形成されている。また、最内層44dは、その肉厚が薄いほど良好な熱融着性と気密性とを得ることができるが、容易に破損しない強度をも必要とすることを考慮して材料を選択しなければならない。
【0059】
このような外包材44の積層構造として、例えば、最外層441から最内層444へ順に、ナイロン、アルミ蒸着PET樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂の4層構造が考えられる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂からなる3層構造や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂からなる3層構造も可能である。
【0060】
(ガス吸着材)
経時的観点から真空断熱材40の断熱性を維持するため、芯材42を外包材44内部に収納し、真空引きした後に、この外包材44内部で発生するガス、例えば、芯材42から発生するアウストガスや、外包材44内部に残存する水分や、外包材44の外部から侵入したガスや水分を吸着するガス吸着材(図示しない)を、芯材42とともに外包材44内部に収納することが好ましい。この結果、真空度を低下させることなく真空状態を維持できるため、ガス吸着材を収納しない場合と比較して、経時的観点からも断熱性をより向上させることができる。
【0061】
ガス吸着材の成分は、物理的にガスや水分等を吸収(吸着)するものとして、例えば、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト等を用いることができる。また、化学的にガスや水分等を吸着するものとして、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等の他、鉄、亜鉛等の金属粉末、バリウム−リチウム系合金、ジルコニウム系合金等を用いることができる。
【0062】
(断熱体30A〜30F中の真空断熱材40の設置状態)
図7及び図8を用いて、真空断熱材40の設置状態を説明する。図7に示すとおり、真空断熱材40は、カバー材32と他の断熱材34との間に位置され、シール部46が他の断熱材34に沿って折り曲げられる。さらに、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40の形状は、カバー材32の当接面の形状と一致するように設計され作製されている。
【0063】
したがって、シール部46が他の断熱材34に沿って折り曲げられることから、真空断熱材40を断熱体34の所定の位置に配置した後、カバー材32に挿入した場合、真空断熱材40の平坦面がカバー材32に接触するため、2つの断熱材の挿入を妨げることなくスムーズにカバー材32内に挿入できるとともに、真空断熱材40をカバー材32と他の断熱材34との間に固定することができる。そして、真空断熱材40がカバー材32からの抜き出しを妨げることもないため、両断熱材をスムーズに抜き出し、カバー材32からの取り外しも容易にすることができる。
【0064】
なお、真空断熱材40を他の断熱材34に載置する際、真空断熱材40を他の断熱材34に貼り付けることにより、各断熱材間の位置ずれを防止することが可能になり、両断熱材のカバー材32内へのさらにスムーズな挿入及びカバー材32からのさらにスムーズな抜き出しが可能となる。真空断熱材40を他の断熱材34に接着剤や両面テープを用いて貼り付ける場合、接着面の平滑性を考慮し、シール部46の折り曲げをカバー材側に向けることも可能である。また、シール部46を折り曲げない状態で、他の断熱材に貼り付けることも可能である。さらに、真空断熱材40の保護を強化するため、プラスチック、繊維又は紙等で形成された薄手の袋材に真空断熱材40を入れた状態で他の断熱材34とカバー材32との間に位置させても何ら差し支えない。
【0065】
なお、本実施形態においては、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40のカバー材32と対接する面を、使用状態における折り畳み式保冷保温容器1の物品収容空間側になるように、断熱体30(30A〜30F)を設置している。したがって、外部からの衝撃や、鋭利な形状を有するものが衝突しても、断熱材34の緩衝作用により直接真空断熱材40の外包材46を損傷することを防止できるため、向上した断熱性能を維持できる。一方、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40のカバー材32と対接する面を、使用状態における外表材2側になるように、断熱体30(30A〜30F)を設置した場合、折り畳み式保冷保温容器1内に収容される物品の上下方向及び左右方向の移動による断熱体30A〜30Fへの衝撃に対して、断熱材34の緩衝作用により直接真空断熱材40の外包材46を損傷することを防止できるため、向上した断熱性能を維持できる。ただし、真空断熱材40のカバー材32と対接する面を、使用状態における折り畳み式保冷保温容器1の物品収容空間側と反対側に設置することは、何ら差し支えない。
【0066】
<断熱材34に対する真空断熱材40の取り付け>
真空断熱材は、上述のとおり、外包材44内部の真空状態を維持することにより、優れた断熱性能を発揮することができる。したがって、外包材44内部の真空状態を維持するため、外包材44の破れや損傷を防止して、外包材44を保護することが必要となる。以下に、他の実施形態として、断熱体30A〜30F内に収納される断熱材34上の真空断熱材40側面の周端部を保護部材で被覆することが有効である。上記他の実施形態について、図9を用いて説明する。
【0067】
図9(a)は、真空断熱材40の側面の周端部を保護部材36で被覆した状態を示す平面図であり、図9(b)はその側面図(b)である。図9(a)及び図9(b)に示すように、真空断熱材40は、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40の形状が、真空断熱材40とともにカバー材32に収納される断熱材34の対接する面の形状より小さく、かつ、真空断熱材40の側面の周端部が保護部材36で被覆されている。
【0068】
したがって、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40を断熱材34上に載置し、断熱材34上に載置された真空断熱材40の側面の周端部を保護部材36で被覆する。この結果、シール部46が折り曲げられた真空断熱材40の形状は真空断熱材40が対接する断熱材34の形状より小さいことから、真空断熱材40の周端部、特に、4隅の端部が直接外表材と接触することを防止することができる。さらに、カバー材32と対接する真空断熱材40の側面の周端部は保護部材36で被覆されていることから、真空断熱材40の周端部が損傷することを防止できるため、真空断熱材40の外包材44の損傷により断熱性能が低下することを防止することができる。
【0069】
以上の実施形態に係る折り畳み式保冷保温容器1によれば、変形可能な材料からなり、かつ、容器の外形を画定する外表材2と、外表材2の内部に収納される複数の断熱体30A〜30Fであって、外表材2の内部で、使用状態と収納状態とになることができる複数の断熱体と、を含む折り畳み式保冷保温容器1であることから、断熱体30A〜30Fを組み立てることにより保冷保温容器1を形成するだけでなく、外部から断熱することができるため、保冷保温容器に収納された物品の温度を一定時間保持することができる。また、収納状態では、複数の断熱体が互いに畳重することができることから、保冷保温容器として使用しないときにはサイズを小さくすることができるため、省スペース化を図ることができ、保冷保温容器の収納スペースを有効に活用することができる。
【0070】
そして、折り畳み式保冷保温容器1によれば、断熱体30のカバー材32内に収納される断熱材34、40とは2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有し、かつ、断熱材40は真空断熱材であることから、従来から保冷保温容器の断熱体のカバー材内に収容された断熱材として使用されていたポリスチレンフォームなどの板状形状の断熱材34に、寸法加工容易で、薄型板状形状の優れた断熱性能を有する真空断熱材40を重ねてカバー材32内に収容することで、保冷保温容器1の断熱性能を顕著に向上させることができるだけでなく、既に使用していた保冷保温容器1をそのまま使用することができるため、断熱材変更に伴う費用や廃棄費用なども要せず、資源の有効利用も可能となる。
【0071】
なお、真空断熱材である第一断熱材40をポリスチレンフォームなどの第二断熱材34に貼り付けることにより位置固定は極めて容易となる。また、真空断熱材40のシール部46を利用した場合、シール部46により生じた弾性を用いて所定位置に固定させるとともに、カバー材32に対する断熱材34、40の挿入や抜き出しをも容易にすることができる。
【0072】
更に、本発明に係る折り畳み式保冷保温容器は、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る保冷保温容器の使用状態を示す斜視図(a)と、収納状態を示す斜視図(b)とである。
【図2】本発明の実施形態に係る保冷保温容器に用いられる使用状態における断熱体を示す斜視図(a)と、収納状態における断熱体を示す斜視図(b)とである。
【図3】断熱体を、右方に向かって引き起こしている経過状態を示す斜視図である。
【図4】真空断熱材を示す分解斜視図である。
【図5】真空断熱材における芯材及び外包材の状態を示す図4のA−A’線断面図である。
【図6】図5のP部の拡大断面図である。
【図7】断熱体を示す斜視図(a)と、図7(a)のB−B’線断面図(b)である。
【図8】外表材に収納された断熱体の端部の拡大断面図である。
【図9】真空断熱材の側面の周端部を保護部材で被覆した状態を示す平面図(a)と、その側面図(b)である。
【符号の説明】
【0074】
1 折り畳み式保冷保温容器
2 外表材
30A 断熱体(底面)
30B 断熱体(前面)
30C 断熱体(背面)
30D 断熱体(左面)
30E 断熱体(右面)
30F 断熱体(上面)
32 カバー材
34 断熱体
36 真空断熱材保護部材
40 真空断熱材
42 芯材
44 外包材
46,46a,46b,46c,46d シール部
5,52,53 面ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な材料からなり、かつ、容器の外形を画定する外表材と、
前記外表材の内部に収納される複数の断熱体であって、前記外表材の内部で、組み立てられて容器として使用できる使用状態と、互いに畳重された収納状態と、になることができる複数の断熱体と、
を含む折り畳み式保冷保温容器であって、
前記断熱体は、2つの互いに向かい合った側面を含む板状形状を有する、第一断熱材と第二断熱材とをカバー材内に収容し、
前記第一断熱材は、芯材と、前記芯材を収容する袋状で、かつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であり、
前記外包材は、前記芯材を内部に収納した外包材の周縁部全体を熱融着により減圧状態に維持可能にシールするシール部を有する、
ことを特徴とする折り畳み式保冷保温容器。
【請求項2】
前記シール部は、前記第二断熱材と前記カバー材とに圧接され、前記第二断熱材と前記カバー材との間に固定されるとき、前記第二断熱材に沿って折り曲げられる、
ことを特徴とする請求項1記載の折り畳み式保冷保温容器。
【請求項3】
前記複数の断熱体が、6個の断熱体からなり、
前記6個の断熱体の各々は、板状の形状を有し、
前記使用状態では、前記6個の断熱体によって、六面体が形作られ、
前記複数の断熱体の各々が、前記六面体の対応する面として組み立てられる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み式保冷保温容器。
【請求項4】
前記シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状は、前記真空断熱材が対接する前記第二断熱材の形状より小さく、
前記カバー材と対接する前記真空断熱材の側面の周端部は保護部材で被覆されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の折り畳み式保冷保温容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−201438(P2008−201438A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38465(P2007−38465)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】