説明

折り畳み箱、折り畳み箱の収納構造、並びに、折り畳み箱の製造方法

【課題】 簡単に製造することができ、折り畳み状態の維持が容易である折り畳み箱を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の折り畳み箱1は本体部10と蓋部11を有し、本体部10には底面21と側面22、23、24、25とを有しており、また収納空間27が形成されている。側面22、24には傾斜折り目36、37、38、39が設けられて、本体部10は折り畳み状態とすることができ、折り畳み状態で蓋部11の内側空間57に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品などを入れることができる折り畳み箱、その収納構造、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
箱は、使用時には商品などを入れるため、箱内部に空間を形成することが出来るようにしなければならない。一方、未使用状態で輸送や保管する場合、また、廃棄する場合には折り畳めるようにしておけば、嵩張らず便利である。
【0003】
このような、折り畳み箱は従来より知られており、例えば、特許文献1などに開示されている。
【特許文献1】特開平06−293326号公報
【0004】
また、このような折り畳み可能な箱は、厚紙などの折り曲げ可能なものを折り曲げて製作される。具体的には、厚紙を所定の形状に切断して折り曲げて箱状とし、内部に空間を形成する。そして、この状態を維持するために、辺などで隣接する面同士を連結することが行われている。
【0005】
この辺などで行われる連結は、糊しろを設けて糊しろ部分を他方の面と重ねる方法や、厚紙に係合部を設けて行う方法や、厚紙の縁同士を突き合わせてこの部分を別の紙で覆って行う方法がある。
段ボールなどでは糊しろを設ける方法や係合部を設ける方法が用いられるが、かかる方法では糊しろや係合部の部分で段差が生じて、見た目がよくないので、商品を包装するための箱では別の紙で連結する方法が良く用いられている。また、商品を包装するための箱などでは、表面に化粧紙を貼り付けて外観を向上させることが行われるので、この化粧紙によって厚紙の縁同士が突き合わされた部分の接合を兼ねて、外観性を向上させながら辺での連結をすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、厚紙などで箱状にしたものの表面に化粧紙を張り、この化粧紙によって隣接する面の連結を行う場合、折り畳みの方法が限られることとなる。これは、箱の表面に化粧紙を貼った場合には、連結部分などで分割すると化粧紙が破断されるため分割できないからである。そのため、折り曲げることのみによって折り畳む必要がある。
【0007】
例えば、直方体状の箱の場合、底面と、4つの側面が設けられ、4つの側面は、底面と接続して底面とのなす角度がほぼ直角であって、隣接する面同士のなす角がほぼ直角である。そして、箱の上方には開口が設けられ、箱の内側には、収納空間が設けられる。
そして、このような箱を折り曲げのみによって折り畳む場合、底面と側面との間の辺や、側面同士の間の辺だけでなく、側面に傾斜する方向に折り曲げることが可能な傾斜折り目を設けて、辺や傾斜折り目で折り曲げて箱の折り畳みを行う。
【0008】
このような折り畳み箱では、使用状態から折り畳み状態とする場合、又は、逆に折り畳み状態から使用状態とする場合、傾斜折り目や辺での折り曲げ角度を変えることで簡単にでき、作業がしやすいという特徴がある。
【0009】
しかし、厚紙には復元力があり、折り畳み箱を折り畳み状態で維持することが難しい。は、また、紙が厚い場合には復元力が大きく、特に折り畳み状態を維持しにくい。
そして、折り畳み状態を維持しにくいと、輸送、保管、廃棄時などに嵩張ることとなってしまう。
【0010】
また、傾斜折り目や辺で厚紙を切断して、化粧紙などで連結する構造とすると、かかる部分の復元力を小さくすることができる。しかし、複数のパーツの厚紙を連結することとなり、箱の製作が複雑で難しくなってしまう。
【0011】
そこで、本発明は、簡単に製造することができ、折り畳み状態の維持が容易である折り畳み箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成すべく提供される請求項1に記載の発明は、本体部と、蓋部を有し、前記本体部は底面と、前記底面と下辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、底面及び複数の側面に囲まれた収納空間が形成され、前記収納空間の上方には開口が設けられているものであり、前記蓋部は天面と、前記天面と上辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、天面及び複数の側面に囲まれた内側空間が形成されており、本体部の側面の外側に蓋部の側面が配置するようにして前記天面が本体部の開口を覆うことができるものであり、本体部の側面には傾斜折り目が設けられて、本体部は、傾斜折り目、下辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が底面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができるものであり、折り畳み状態とした本体部を蓋部の内側空間に収納することができることを特徴とする折り畳み箱である。
【0013】
請求項1に記載の発明の折り畳み箱では、傾斜折り目、下辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が底面側に折り曲げられて、折り畳み状態とした本体部を、蓋部の内側空間に収納することができるので、本体部の折り畳み状態の維持が容易となり、輸送時、保管時、廃棄時などに嵩張りにくい。
【0014】
請求項2に記載の発明は、蓋部の側面には傾斜折り目が設けられて、蓋部は、傾斜折り目、上辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が天面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができるものであり、折り畳み状態とした本体部を蓋部の内側空間に収納した状態で、蓋部を折り畳み状態とすることができることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み箱である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、折り畳み状態とした本体部を蓋部の内側空間に収納した状態で、蓋部を折り畳み状態とすることができるので、さらに、本体部の折り畳み状態の維持が容易となり、輸送時、保管時、廃棄時などに嵩張りにくい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、本体部は、芯板と表面紙とを接着剤で貼り合わせて製作されるものであり、前記接着剤が固化する前に、折り畳み状態となるように変形させて製造されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳み箱である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、本体部は、芯板と表面紙とを接着剤で貼り合わせて製作されるものであり、前記接着剤が固化する前に、折り畳み状態となるように変形させているので、接着剤の固化後に本体部は折り畳み状態に近い状態で形状維持ができ、芯板の反発によって発生する嵩張りが起こりにくい。
【0018】
上記の折り畳み箱を用いた折り畳み箱の収納構造を採用することができる。
すなわち、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の折り畳み箱が用いられ、前記折り畳み箱の収納空間に収納物が収納され、前記収納物により折り畳み箱の傾斜折り目が設けられた側面同士を広げた状態で維持して折り畳み箱の使用状態を維持していることを特徴とする折り畳み箱の収納構造である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、収納物は不定形なものであることを特徴とする請求項4に記載の折り畳み箱の収納構造である。
ここで、収納物は不定形なものであるとは、複数のものの集合体であって、箱に入れないで平面等の上に置くと広がるようなものであり、例えば、小袋などの個別包装された商品などである。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の折り畳み箱を用いており、収納空間に収納される収納物が不定形なものであっても、傾斜折り目が設けられた側面同士を広げた状態で維持することができるので、折り畳み箱が使用状態で維持することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、底面と、前記底面と下辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、底面及び複数の側面に囲まれた収納空間が形成され、前記収納空間の上方には開口が設けられ、側面には傾斜折り目が設けられて、傾斜折り目、下辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が底面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができる折り畳み箱の本体部を製造するものであり、芯板を所定の形状に切断する工程と、芯板に傾斜折り目を形成する工程と、表面紙を所定の形状に切断する工程と、芯板を下辺となる位置で折り曲げて底面と複数の側面を形成し、側面同士を側辺で連結するように表面紙を接着剤で芯板に貼り付ける工程と、前記接着剤が固化する前に折り畳み状態に変形させる工程と、を有することを特徴とする折り畳み箱の製造方法である。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、芯板を下辺となる位置で折り曲げて底面と複数の側面を形成し、側面同士を側辺で連結するように表面紙を接着剤で芯板に貼り付ける工程と、前記接着剤が固化する前に折り畳み状態に変形させる工程とを有するので、折り畳み状態で形状維持がしやすい折り畳み箱を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の折り畳み箱によれば、折り畳み状態の維持が容易であり、また、本発明の折り畳み箱の製造方法によればかかる折り畳み箱を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の折り畳み箱の斜視図である。図2は、図1の折り畳み箱を蓋をした状態で示した斜視図である。図3は、図1の折り畳み箱を商品を入れた状態で示した斜視図である。図4は、図1の折り畳み箱の本体部の製造に用いる芯板と表面紙を示した斜視図である。図5は、図1の折り畳み箱の本体部の製造途中を示す斜視図である。図6は、図1の折り畳み箱の本体部の製造途中を示す斜視図である。図7は、図1の折り畳み箱の蓋部の製造に用いる芯板と表面紙を示した斜視図である。図8は、図1の折り畳み箱の本体部のみを折り畳み状態で示した斜視図である。図9は、図1の折り畳み箱の蓋部を折り畳み状態で示した斜視図である。図10は、図1の折り畳み箱の断面図である。
【0025】
本発明の第1の実施形態の折り畳み箱1は、図1に示されるように、本体部10と蓋部11を有している。
本体部10は、図1に示されるように、直方体状であり、長方形状の底面21と、4つ長方形状の側面22、23、24、25を有し、また、底面21と側面22、23、24、25に囲まれた収納空間27が設けられおり、収納空間27の上部には開口26が設けられている。
【0026】
蓋部11は、図1に示されるように、直方体状であり、長方形状の天面51と、4つ長方形状の側面52、53、54、55を有し、また、天面51と側面52、53、54、55に囲まれた内側空間57が設けられおり、内側空間57の下部には開口56が設けられている。
そして、図2に示すように、蓋部11によって本体部10の開口26を覆うように、蓋をすることができる。このように折り畳み箱1の蓋をした状態では、蓋部11の側面52、53、54、55が、本体部10の側面22、23、24、25の外側に位置し、蓋部11の天面51が本体部10の開口26付近に配置している。また、図3に示されるように、収納空間27に商品28を入れることができる。
なお、後述するように、本体部10及び蓋部11は、使用状態と折り畳み状態との間で形状が異なるが、特に、断りがない場合には使用状態を基準に説明する。
【0027】
本体部10の4つの側面22、23、24、25は、底面21と下辺32、33、34、35で接続している。また、側面22と側面23とは側辺42で接続し、側面23と側面24とは側辺43で接続し、側面24と側面25とは側辺44で接続し、側面25と側面22とは側辺45で接続している。すなわち、側面22、23、24、25同士は側辺42、43、44、45で接続している。
さらに、側面22の上側には上辺32dが設けられ、側面23の上側には上辺33dが設けられ、側面24の上側には上辺34dが設けられ、側面25の上側には上辺35dが設けられており、開口26は4つの上辺32d、33d、34d、35dにより、囲まれて形成される。
【0028】
底面21は下辺32、33、34、35によって囲まれている。また、下辺32と下辺34、及び、下辺33と下辺35は、それぞれ対辺であり、下辺33、35の方が、下辺32、34よりも長い。したがって、長方形状である底面21の長辺が下辺33、35となり、短辺が下辺32、34となる。
また、本体部10には、底面21と側面22、23、24、25とに囲まれた収納空間27を有しており、収納空間27は開口26とつながっている。
【0029】
下辺32、33、34、35での、底面21と側面22、23、24、25とのなす角度や、側辺42、43、44、45での、側面22、23、24、25同士のなす角度はほぼ90°である。
【0030】
また、側面22、24(底面21の短辺である下辺32、34に接続する方)には、傾斜折り目36、37、38、39が設けられている。傾斜折り目36、37、38、39は、後述するように、本体部10を折り畳み状態とする場合に、折り曲げられる直線状の部分であり、側面22、24にそれぞれ2ヵ所ずつ設けられている。
【0031】
側面22に設けられる傾斜折り目36、37は、下辺32の両端に位置する頂点45d、42dから傾斜しながら上方に向かって伸びている。また、側面24に設けられる傾斜折り目38、39は、下辺34の両端に位置する頂点43d、44dから傾斜しながら上方に向かって伸びている。
そして、傾斜折り目36、37、38、39は、下辺32、34と、側辺45、42、43、44とによって形成される角を2分する方向に設けられている。したがって、傾斜折り目36、37、38、39は頂点45d、42d、43d、44dから斜め上約45°方向に伸びている。
【0032】
蓋部11は、本体部10の開口26を覆うことができるものであり、蓋部11の天面51は、本体部10の底面21や開口26よりやや大きい長方形状である。そして、蓋部11の4つの側面52、53、54、55は、天面51と上辺62、63、64、65で接続している。また、側面52と側面53とは側辺72で接続し、側面53と側面54とは側辺73で接続し、側面54と側面55とは側辺74で接続し、側面55と側面52とは側辺75で接続している。すなわち、側面52、53、54、55同士は側辺72、73、74、75で接続している。
さらに、側面52の下側には下辺62dが設けられ、側面53の下側には下辺63dが設けられ、側面54の下側には下辺64dが設けられ、側面55の下側には下辺65dが設けられている。
【0033】
また、天面51は上辺62、63、64、65によって囲まれており、上辺62と上辺64、及び、上辺63と上辺65は、それぞれ対辺であり、上辺63、65の方が、上辺62、64よりも長く、底面21の長辺が上辺63、65となり、短辺が上辺62、64となる。
そして、蓋部11の上辺63、65及び下辺63d、65dは、本体部10の下辺33、35及び上辺33d、35dに比べてやや長い。また、蓋部11の上辺62、64及び下辺62d、64dは、本体部10の下辺32、34及び上辺32d、34dに比べてやや長い。
【0034】
上辺62、63、64、65での、天面51と側面52、53、54、55とのなす角度や、側辺72、73、74、75での、側面52、53、54、55同士のなす角度はほぼ90°である。
【0035】
そして、蓋部11を用いて蓋をすると、図2のように本体部10の側面22、23、24、25の外側の上方に、蓋部11の側面52、53、54、55が位置する状態となり、収納空間27は閉鎖状態となる。
【0036】
また、蓋部11にも、傾斜折り目66、67、68、69が設けられている。傾斜折り目66、67、68、69は、側面53、55(天面51の長辺である上辺62、64で接続する方)に設けられており、後述するように、蓋部11を折り畳み状態とする場合に、折り曲げられる直線状の部分である。
【0037】
側面53に設けられる傾斜折り目66、67は、上辺63の両端の頂点72d、73dから傾斜しながら下方に向かって伸びている。また、側面55に設けられる傾斜折り目67、68は、上辺65の両端の頂点74d、75dから傾斜しながら下方に向かって伸びている。
【0038】
そして、傾斜折り目66、67、68、69は、上辺63、65と側辺72、73、74、75とによって形成される角を2分する方向に設けられている。したがって、傾斜折り目66、67、68、69は頂点72d、73d、74d、75dから斜め下約45°方向に伸びている。
【0039】
そして、本体部10及び蓋部11は、いずれも使用状態、折り畳み状態との間で相互に状態を変更することができる。
本体部10の使用状態は、図1に示されるように、傾斜折り目36、37、38、39が折り曲げられていない状態であり、外形が直方体状であり、収納空間27の容積が大きい状態である。
また、本体部10の折り畳み状態は、図8に示されるように、傾斜折り目36、37、38、39、下辺32、33、34、35、側辺42、43、44、45を折り曲げて側面22、23、24、25を底面21側に移動させた状態である。そして、折り畳み状態では、側面22、23、24、25が、下辺32、33、34、35よりも内側に移動して底面21に重なった状態である。また、この状態では、側面23、25が上側に位置しており、側面22、24は底面21と側面23、25との間に位置している。
そして、本体部10が折り畳み状態となると収納空間27の容積はほとんどなくなり、また、上下方向の高さは蓋部11の側面52、53、54、55の上下方向の幅より小さくなり、上から見るとその大きさは底面21とほぼ同じである。
【0040】
蓋部11の使用状態は、図1や図8に示されるように、傾斜折り目66、67、68、69が折り曲げられていない状態であり、外形が直方体の状態である。また、蓋部11の折り畳み状態は、図9に示されるように、傾斜折り目66、67、68、69が折り曲げられて、側面52、53、54、55が天面51に重なった状態である。
【0041】
また、本体部10や蓋部11は、以下のように製作される。
本体部10は、図4に示されるように、芯板12と表面紙13とを用いて製作される。芯板12は、具体的には平面状の段ボールであり、ある程度の剛性を有している板である。ここで、段ボールは、ボール紙等で作製され、面状に広がる一又は複数のライナーと称される部材に、断面形状が波形等の形状になるように屈曲させた段を複数有する中芯と称される部材を貼り付けたものである。
【0042】
そして、芯板12は、一旦折り曲げられて折り曲げ跡が設けられると、その部分で容易に折り曲げることができる。本実施形態では、芯板12に段ボールを用いているので、傾斜折り目36、37、38、39などで設ける折り曲げ跡を付与しやすい。
なお、折り曲げ跡を設けてその部分で折り曲げることができれば、段ボール以外のものを用いることができる。
そして、芯板12には、底面部21aと、底面部21aに接続する4つの側面部22a、23a、24a、25aが設けられている。
【0043】
芯板12は、1枚の段ボールを図4のような形状に切断されたものが用いられる。また、この切断は公知の方法を採用することができ、例えば、芯板12の縁を一周するような切り刃を有するプレス機を用い、打ち抜きによって切断する方法を採用することができる。
【0044】
そして、底面部21aと、各側面部22a、23a、24a、25aとの境界32a、33a、34a、35aで谷折りして、直方体状として、図1に示されるように収納空間27が形成される。また、境界32a、33a、34a、35aの折角をほぼ90°として、側面部22a、23a、24a、25aの隣接する辺同士(辺42aと辺42b、辺43aと辺43b、辺44aと辺44b、辺45aと辺45b)が突き合わされた状態とする。そして、この状態で、表面紙13を貼り付けることにより、隣接する側面部22a、23a、24a、25a同士が結合させる。
【0045】
表面紙13は、表側に模様や柄が付されている化粧紙であり、芯板12よりも薄い紙である。そして、表面紙13は折り畳み箱1の外側となるように貼り付けられて、折り畳み箱1の外観を向上させることができる。また、表面紙13を芯板12に貼り付けることにより、隣接する側面部22a、23a、24a、25a同士を結合させる。
【0046】
表面紙13は、図4に示されるように、芯板12と比較して大きいものである。表面紙13には、底面部21bと、底面部21bに接続する4つの側面部22b、23b、24b、25bと、側面部22b、23b、24b、25bの外側に設けられた上縁折り返し部22c、23c、24c、25cと、側面部23bに設けられた張り出し部42c、43cと、側面部25bに設けられた張り出し部44c、45cが設けられている。
【0047】
そして、表面紙13を貼る場合には、図5に示されるように、境界32a、33a、34a、35aで谷折りされた芯板12を表面紙13に載せる。このとき、表面紙13の底面部21bの上に、芯板12の底面部21aを載せるようにし、接着剤で、底面部21aと底面部21bとを接着する。
【0048】
次に、側面部23b、25b(張り出し部42c、43c、44c、45cが設けられている方)を、境界33b、35bで折り曲げ、芯板12の側面部23a、25aに沿うよう折る。そして、上縁折り返し部23c、25cを芯板12の内側に折り返して、側面部23b、25b及び上縁折り返し部23c、25cを芯板12の側面部23a、25aに接着剤で接着する。また、張り出し部42c、43c、44c、45cを隣接する側面部22a、24a側に折り曲げて、張り出し部42c、43c、44c、45cを側面部22a、24aに接着剤で接着する。
そうすると、本体部10は、図6に示されるような状態となり、側面部22a、23a、24a、25a同士が隣接する部分は化粧紙13によって結合する。
【0049】
さらに、側面部22b、24bを、境界32b、34bで折り曲げ、芯板12の側面部22a、24aに沿うよう折る。そして、上縁折り返し部22c、24cを芯板12の内側に折り返して、側面部22b、24b及び上縁折り返し部22c、24cを芯板12の側面部22a、24aに接着剤で接着する。そうすると、本体部10は、図1に示される状態となり、図10に示されるように、芯板12の外側(収納空間27とは反対側)は、化粧紙13によって覆われる状態となる。
【0050】
また、本体部10の傾斜折り目36、37、38、39は、上記で説明した位置であらかじめ折り曲げて付与されるものであり、傾斜折り目36、37、38、39の位置で容易に折ることができる。
傾斜折り目36、37、38、39の形成は、芯板12に化粧紙13を貼った後に折り曲げても良く、化粧紙13を貼る前に芯板12のみを折り曲げても形成することができる。化粧紙13を貼る前に芯板12のみを折り曲げても形成する場合には、芯板12の折り曲げの際に化粧紙13を汚すことがない。さらに、芯板12を切断の際、又は、その前後の工程で、芯板12を折り曲げて傾斜折り目36、37、38、39を形成する方法を採用すれば、切断と折り曲げの工程で用いられるプレス機の兼用が可能となる。
【0051】
また、化粧紙13を芯板12に貼り付けた後に、化粧紙13の接着に用いた接着剤が固化する前に、一旦、折り畳み状態となるように変形させる。具体的には、折り畳み状態で、上下方向から挟んで圧縮する。このように、一旦、折り畳み状態にすることで、芯板12と化粧紙13との位置関係が微妙にずれ、本体部10は折り畳み状態に近い状態で接着剤が固化する。
そのため、収納空間27に商品28が入れられていない場合には、本体部10は、図8に示されるような折り畳み状態で形状維持がしやすくなり、保管時や廃棄時に扱いやすくなる。
【0052】
蓋部11は、本体部10と同様に、芯板15と表面紙16とを用いて製作されるものであり、図7に示されている。また、芯板15や表面紙16の材質は、本体部10に用いられる芯板12と表面紙13と同じ材質のものが用いられており、切断方法も同様な方法を用いることができる。
【0053】
そして、芯板15には、天面部51aと、天面部51aに接続する4つの側面部52a、53a、54a、55aが設けられている。
天面部51aと、各側面部52a、23a、24a、25aとの境界62a、63a、64a、65aで山折りして、芯板15を天面部51aが上側となる直方体状にする。この状態では、側面部52a、53a、54a、55aの隣接する辺同士(辺72aと辺72b、辺73aと辺73b、辺74aと辺74b、辺75aと辺75b)が突き合わされた状態となる。そして、この状態で、本体部10の場合と同様に、表面紙16を芯板15の外側に貼り付けることにより、隣接する側面部52a、53a、54a、55a同士が結合する。
【0054】
表面紙16は、図7に示されるように、芯板15と比較して、薄く、大きいものである。また、表面紙16には、天面部51bと、天面部51bに接続する4つの側面部52b、53b、54b、55bと、側面部52b、53b、54b、55bの外側に設けられた上縁折り返し部52c、53c、54c、55cと、側面部53bに設けられた張り出し部72c、73cと、側面部55bに設けられた張り出し部74c、75cが設けられている。
【0055】
そして、表面紙16を芯板15に貼る。具体的には、境界62a、63a、64a、65aで山折りされた芯板15に、表面紙16の天面部51bを、芯板15の天面部51aに載せ、接着剤で天面部51aと天面部51bとを接着する。さらに、表面紙16の側面部53b、55bを、境界63b、65bで折り曲げ、芯板15の側面部53a、55aに沿うよう折り、上縁折り返し部53c、55cを芯板15の内側に折り返して、側面部53b、55b及び上縁折り返し部53c、55cを芯板15の側面部53a、55aに接着剤で接着する。また、張り出し部72c、73c、74c、75cを隣接する側面部52a、54a側に折り曲げて、張り出し部72c、73c、74c、75cを側面部52b、54bに接着剤で接着する。
【0056】
さらに、側面部52b、54bを、境界62b、64bで折り曲げ、芯板15の側面部52a、54aに沿うよう折り、上縁折り返し部52c、54cを芯板15の内側に折り返して、側面部52b、54b及び上縁折り返し部52c、54cを芯板15の側面部52a、54aに接着剤で接着する。そうすると、蓋部11は、図1に示される状態となり、また、図10に示されるように、芯板15の外側は、化粧紙16によって覆われる状態となる。
【0057】
また、蓋部11の傾斜折り目66、67、68、69は、上記で説明した位置であらかじめ折り曲げて付与されるものであり、傾斜折り目66、67、68、69の位置で容易に折ることができる部分である。
傾斜折り目66、67、68、69を形成は、芯板15に化粧紙16を貼った後に折り曲げても良く、化粧紙16を貼る前に芯板15のみを折り曲げても形成することができる。化粧紙16を貼る前に芯板15のみを折り曲げても形成する場合には、芯板15の折り曲げの際に化粧紙16を汚すことがない。さらに、芯板15を切断の際、又は、その前後の工程で、芯板15を折り曲げて傾斜折り目66、67、68、69を形成する方法を採用すれば、切断と折り曲げの工程で用いられるプレス機の兼用が可能となる。
【0058】
また、本体部10と同様に、化粧紙16を芯板15に貼り付けた後に、化粧紙16の接着に用いた接着剤が固まる前に、折り畳み状態となるように圧縮する。
そのため、蓋をしない場合には、蓋部11は、図9に示されるような折り畳み状態で形状維持がしやすくなり、保管時や廃棄時に扱いやすくなる。
【0059】
折り畳み箱1を使用する場合には、図3に示されるように、本体部10を使用状態にして、商品28を収納空間27に入れる。なお、本体部10は、折り畳み状態となりやすいように圧縮されているが、商品28が収納空間27に入れられているので、使用状態の形状で維持することができる。
そして、蓋部11も使用状態の形状で、本体部10の上側を覆って、図2に示す状態とする。蓋部11も折り畳み状態となりやすいように圧縮されているが、蓋部11の側面52、53、54、55が本体部10の側面22、23、24、25の外側に位置しているので、使用状態の形状で維持する。
【0060】
したがって、折り畳み箱1を使用する場合には、通常の箱と同様に用いることができる。また、商品28の形態は定形性を有するものでなく不定形なものでも良く、商品28を収納空間27に収納しすることにより、傾斜折り目36、37、38、39を有する側面22、24同士が広げた状態で維持し、折り畳み箱1が使用状態となるように維持していれば良い。例えば、小袋などにより個別包装された商品28を収納空間27に複数収納して、収納空間27の全体を満たすことにより、折り畳み箱1の使用状態を維持することができる。
このように、折り畳み箱1を折り畳み状態とすると、全ての側面22、23、24、25が底面21側、すなわち、内側に折り曲げられるので、商品28を入れることにより収納空間27を広げることができ、不定形性の商品28でも、その商品28の存在により、折り畳み箱1が使用状態となるように維持することができる。
【0061】
なお、収納空間27に収納される商品28が小さく、収納空間27の全体に商品28が収納されておらず、使用状態の維持ができない場合などには、傾斜折り目36、37、38、39が設けられた側面22、24が内側に倒れ込まないように、仕切などを設けて、倒れ込みを防止して側面22、24を広げた状態を維持することもできる。
【0062】
また、折り畳み箱1を保管したり、廃棄したりする場合には、本体部10及び蓋部11を折り畳み状態とする。本実施形態の本体部10及び蓋部11では、収納空間27に商品28を入れないときは、折り畳み状態になりやすく扱いやすい。
【0063】
さらに、本体部10が折り畳み状態の場合には、蓋部11の内側空間27に入れることができるので、本体部10と蓋部11とのセットで保管ができ、また、本体部10の折り畳み状態の維持がしやすい。
そして、図8、図9に示すように、折り畳み状態とした本体部10を蓋部11の内側空間57に収納することができ、さらに、本体部10を蓋部11の内側空間57に収納した状態で、蓋部11を折り畳み状態とすることもできる。かかる場合には、折り畳み箱1の嵩張りをより小さくすることができる。
【0064】
上記した折り畳み箱1は、本体部10と蓋部11とをセットにして用いるものであったが、本体部のみを箱として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態の折り畳み箱の斜視図である。
【図2】図1の折り畳み箱を蓋をした状態で示した斜視図である。
【図3】図1の折り畳み箱を商品を入れた状態で示した斜視図である。
【図4】図1の折り畳み箱の本体部の製造に用いる芯板と表面紙を示した斜視図である。
【図5】図1の折り畳み箱の本体部の製造途中を示す斜視図である。
【図6】図1の折り畳み箱の本体部の製造途中を示す斜視図である。
【図7】図1の折り畳み箱の蓋部の製造に用いる芯板と表面紙を示した斜視図である。
【図8】図1の折り畳み箱の本体部のみを折り畳み状態で示した斜視図である。
【図9】図1の折り畳み箱の蓋部を折り畳み状態で示した斜視図である。
【図10】図1の折り畳み箱の断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 折り畳み箱
10 本体部
11 蓋部
12、15 芯板
13、16 表面紙
21 底面
22、23、24、25 側面
26 開口
27 収納空間
28 商品
36、37、38、39 傾斜折り目
51 天面
52、53、54、55 側面
57 内側空間
66、67、68、69 傾斜折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、蓋部を有し、前記本体部は底面と、前記底面と下辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、底面及び複数の側面に囲まれた収納空間が形成され、前記収納空間の上方には開口が設けられているものであり、前記蓋部は天面と、前記天面と上辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、天面及び複数の側面に囲まれた内側空間が形成されており、本体部の側面の外側に蓋部の側面が配置するようにして前記天面が本体部の開口を覆うことができるものであり、
本体部の側面には傾斜折り目が設けられて、本体部は、傾斜折り目、下辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が底面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができるものであり、折り畳み状態とした本体部を蓋部の内側空間に収納することができることを特徴とする折り畳み箱。
【請求項2】
蓋部の側面には傾斜折り目が設けられて、蓋部は、傾斜折り目、上辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が天面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができるものであり、折り畳み状態とした本体部を蓋部の内側空間に収納した状態で、蓋部を折り畳み状態とすることができることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み箱。
【請求項3】
本体部は、芯板と表面紙とを接着剤で貼り合わせて製作されるものであり、前記接着剤が固化する前に、折り畳み状態となるように変形させて製造されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳み箱。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の折り畳み箱が用いられ、前記折り畳み箱の収納空間に収納物が収納され、前記収納物により折り畳み箱の傾斜折り目が設けられた側面同士を広げた状態で維持して折り畳み箱の使用状態を維持していることを特徴とする折り畳み箱の収納構造。
【請求項5】
収納物は不定形なものであることを特徴とする請求項4に記載の折り畳み箱の収納構造。
【請求項6】
底面と、前記底面と下辺で接続している複数の側面とを有し、複数の側面は隣接する他の側面と側辺で接続し、底面及び複数の側面に囲まれた収納空間が形成され、前記収納空間の上方には開口が設けられ、側面には傾斜折り目が設けられて、傾斜折り目、下辺及び側辺で折り曲げることにより、全ての側面が底面側に折り曲げられて、折り畳み状態とすることができる折り畳み箱の本体部を製造するものであり、
芯板を所定の形状に切断する工程と、芯板に傾斜折り目を形成する工程と、表面紙を所定の形状に切断する工程と、芯板を下辺となる位置で折り曲げて底面と複数の側面を形成し、側面同士を側辺で連結するように表面紙を接着剤で芯板に貼り付ける工程と、前記接着剤が固化する前に折り畳み状態に変形させる工程と、を有することを特徴とする折り畳み箱の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−131246(P2006−131246A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320516(P2004−320516)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000250742)株式会社リョウエイ (1)
【Fターム(参考)】