説明

折れ戸における電磁波シールド装置

【課題】2枚の折れ戸が互いに接触する召し合せ部を有する折れ戸における電磁波シールドをより確実に行うこと。
【解決手段】建造物の導電性を有する間口に、少なくとも2枚の導電性を有する折れ戸からなる中折れ開き戸を設け、間口と中折れ開き戸の少なくともいずれか一方の全周囲に電磁波シールド用ガスケットを取り付けた折れ戸における電磁波シールド装置において、折れ戸同士の召し合せ部に電磁波シールド用ガスケットを取り付け、召し合せ部におけるいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けて電磁波シールドを確実にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折れ戸の召し合せ部分における電磁波シールド効果をより確実にした折れ戸における電磁波シールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スイングにより開閉する開き戸において、シールドルームの出入り口などの建造物の間口全周囲と扉との接触部分にシールド装置を取り付けたものは種々知られている(特許文献1、特許文献2)。
図13は、特許文献1を示しており、1枚の電磁波シールド開き戸10をスイングで開閉する片開きタイプであり、図14(a)(b)は、特許文献2を示しており、2枚の電磁波シールド開き戸10をスイングで開閉する両開きタイプである。
【0003】
図14に示した電磁波シールド開き戸10は、周囲の枠体11にヒンジ12によりスイングする片開きタイプとして構成され、この電磁波シールド開き戸10は、絶縁物の芯材の両面を電磁波シールド面材とし、周端部に形成した段部でこれら両面の電磁波シールド面材同士が電気的に非導通となっている。この1枚の電磁波シールド開き戸10における内側の全周囲に突状部13を取り付け、外側の全周囲に溝付き保持材15により電磁波シールド用ガスケット14を取り付け、また、枠体11の内側の全周囲に、前記電磁波シールド開き戸10の突状部13に接離するように溝付き保持材15により電磁波シールド用ガスケット14を取り付け、枠体11の外側の全周囲に、前記電磁波シールド開き戸10の電磁波シールド用ガスケット14に接離する突状部13を取り付けることにより2重シールドを施したものである。
さらに、電磁波シールド開き戸10の両面に連動するハンドル16を設け、このハンドル16の先端に、前記枠体11に設けたストッパ部材18に係合する当接部材17が設けられている。
【0004】
図14(a)(b)に示した電磁波シールド開き戸10は、両側の枠体11に電磁波シールド開き戸10がヒンジ12により両開き状態に取り付けられ、前記枠体11の上枠と縦枠部分における電磁波シールド開き戸10との接触部に溝付き保持材15を介して2列の電磁波シールド用ガスケット14が設けられると共に、電磁波シールド開き戸10の周囲の段部20に遮音用ガスケット19が設けられている。また、召し合せ部21の部分にも2列の電磁波シールド用ガスケット14と遮音用ガスケット19が設けられている。
電磁波シールド開き戸10の扉下端部22には、収納溝30が形成され、この収納溝30内の水平シールド材23がハンドルの操作で連結棒28により上下動自在に収納されている。この水平シールド材23は、収納溝30の内側の摺動板27に水平枠材29の両側の摺動子26が摺動し、また、水平枠材29の下端部の接触子24が沓摺り25に接離するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−282113号公報
【特許文献2】特開2003−69274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13に示すものは、一枚の電磁波シールド開き戸10に2重の電磁波シールド用ガスケット14を設け、また、ハンドル16で電磁波シールド用ガスケット14と突状部13との接触をより確実にしているという特徴を有する。
しかし、これは、電磁波シールド開き戸10と枠体11との間の電磁波シールド効果が保持されるとしても、折れ戸には、そのままでは採用できない。すなわち、2枚の電磁波シールド開き戸10が互いに接触する召し合せ部がどうしてもやや浮きあがるため、特許文献1に記載の片開き戸に関する電磁波シールドの発明をそのまま利用することができない。
図14に示すものは、召し合せ部21の部分も、2列の電磁波シールド用ガスケット14で電磁波シールド効果を持たせているが、2枚の電磁波シールド開き戸10が互いに接触する召し合せ部を確実に圧着する手段がなく、召し合せ部がやや浮きあがるという問題があった。
本発明は、折れ戸同士が互いに接触する召し合せ部における電磁波シールドをより確実に行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による折れ戸における電磁波シールド装置は、建造物の導電性を有する間口に、少なくとも2枚の導電性を有する折れ戸からなる中折れ開き戸を設け、前記間口と中折れ開き戸の少なくともいずれか一方の全周囲に電磁波シールド用ガスケットを取り付けた折れ戸における電磁波シールド装置において、前記折れ戸同士の召し合せ部に電磁波シールド用ガスケットを取り付け、前記召し合せ部におけるいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたことを特徴とする。
前記上端係止部と下端係止部は、それぞれ回転部材と、この回転部材と一体で上横枠と下横枠にそれぞれ形成した係止孔の受圧突起に係脱する係止ローラとからなり、中間係止部は、回転部材と、この回転部材と一体で他方の折れ戸の受圧突起に圧接する加圧ローラと、この回転部材と一体のハンドルとからなり、このハンドルの操作で前記上端係止部,下端係止部及び中間係止部の回転部材を連動棒で連結して一連に回動せしめてなることを特徴とする。
中折れ開き戸は、2枚からなり、それぞれの中折れ開き戸は、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸からなり、それぞれの中折れ開き戸における2枚の折れ戸同士をヒンジで連結したいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設け、前記2枚の中折れ開き戸における折れ戸同士の召し合せ部の一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、建造物の導電性を有する間口に、少なくとも2枚の導電性を有する折れ戸からなる中折れ開き戸を設け、前記間口と中折れ開き戸の少なくともいずれか一方の全周囲に電磁波シールド用ガスケットを取り付けた折れ戸における電磁波シールド装置において、前記折れ戸同士の召し合せ部に電磁波シールド用ガスケットを取り付け、前記召し合せ部におけるいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたので、2枚の折れ戸が召し合せ部で浮き上がるのを防止し、かつ、隣接する折れ戸同士を密着させて電磁波シールドをより確実に行うことができる。
特に、MRI室などの狭い部屋に大きな装置を設置する場合、装置搬入のための大きな開口を必要とする。このような場合に採用される折れ戸からなる中折れ開き戸の電磁波シールドをより確実に行うことができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、上端係止部と下端係止部は、それぞれ回転部材と、この回転部材と一体で上横枠と下横枠にそれぞれ形成した係止孔の受圧突起に係脱する係止ローラとからなり、中間係止部は、回転部材と、この回転部材と一体で他方の折れ戸の受圧突起に圧接する加圧ローラと、この回転部材と一体のハンドルとからなり、このハンドルの操作で前記上端係止部,下端係止部及び中間係止部の回転部材を連動棒で連結して一連に回動せしめてなる構成としたので、開き戸の間口への固定と、開き戸同士の密着操作を1回のハンドル操作で行うことができる。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、中折れ開き戸は、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸で構成したので、2枚以上の中折れ開き戸からなるものの電磁波シールドをより確実に行うことができる。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、中折れ開き戸は、2枚からなり、それぞれの中折れ開き戸は、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸からなり、それぞれの中折れ開き戸における2枚の折れ戸同士をヒンジで連結したいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設け、前記2枚の中折れ開き戸における折れ戸同士の召し合せ部の一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたので、ヒンジで連結した折れ戸同士の召し合せ部のみならず、2枚の中折れ開き戸における折れ戸同士の召し合せ部が構成されているものにも本発明を適用することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、受圧突起は、テーパー部を有し、係止ローラ又は加圧ローラが回動して乗りあがって圧接するようにしたので、固定及び圧接操作が簡単でより確実になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、建造物の導電性を有する間口に、少なくとも2枚の導電性を有する折れ戸からなる中折れ開き戸を設け、前記間口と中折れ開き戸の少なくともいずれか一方の全周囲に電磁波シールド用ガスケットを取り付けた折れ戸における電磁波シールド装置に適用される。
前記折れ戸同士の召し合せ部に電磁波シールド用ガスケットを取り付け、前記召し合せ部におけるいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設ける。
上端係止部と下端係止部は、それぞれ回転部材と、この回転部材と一体で上横枠と下横枠にそれぞれ形成した係止孔の受圧突起に係脱する係止ローラとからなり、中間係止部は、回転部材と、この回転部材と一体で他方の折れ戸の受圧突起に圧接する加圧ローラと、この回転部材と一体のハンドルとからなり、このハンドルの操作で前記上端係止部,下端係止部及び中間係止部の回転部材を連動棒で連結して一連に回動せしめる。
【0013】
中折れ開き戸は、少なくとも一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸で構成されている。
中折れ開き戸は、より具体的には、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸で構成した2枚からなる。そして、それぞれの中折れ開き戸における2枚の折れ戸同士をヒンジで連結したいずれか一方の折れ戸に、前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とを有する圧接手段を設け、前記2枚の中折れ開き戸における折れ戸同士の召し合せ部の一方の折れ戸に、前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とを有する圧接手段を設ける。
【実施例1】
【0014】
図1乃至図4において、導電性を有する両側の縦枠32、上横枠33a,下横枠33bで構成される建造物の間口におけるシールドルーム側は、開き戸を開閉するためのスペースが少ないが、できるだけ大きな開口をとるために、2枚ずつの折れ戸31a,31bと31c,31dで構成された2枚の中折れ開き戸31が設けられている例を示している。
前記中折れ開き戸31は、ハニカムコアなどの芯材に、珪素鋼板を貼り付け、さらに全面にステンレススチールなどの導電性金属板を貼り付け、電磁波シールドが装備されているものである。
本発明は、折れ戸31aと31bの間、折れ戸31cと31dの間、折れ戸31bと31cの間の召し合せ部の電磁波シールドをより確実に行おうとするものである。ここで、電磁波シールドの対象となる召し合せ部とは、具体的には、中折れ開き戸31において、図1のヒンジ35で連結した折れ戸31aと31bの間のガスケット付き召し合せ部48aと、折れ戸31cと31dの間のガスケット付き召し合せ部48aであって、折れ戸が互いにヒンジ35で連結しつつ屈曲して接離するものを指すとともに、2枚の中折れ開き戸31の折れ戸31bと31dのように、ヒンジなしで開閉時に離れるガスケット付き召し合せ部48aをも指すものとする。
【0015】
まず、図1に示す4枚の折れ戸からなる中折れ開き戸31を説明すると、この中折れ開き戸31は、左右2枚ずつの折れ戸31a,31bと,折れ戸31c,31dで構成されている。
これらのうち、図中左端の折れ戸31aは、一方の縦枠32にヒンジ35でスイングによりシールドルーム側に開閉自在に取り付けられ、同様に、図中右端の折れ戸31cは、他方の縦枠32にヒンジ35でスイングによりシールドルーム側に開閉自在に取り付けられている。
前記折れ戸31aには、折れ戸31bが前記縦枠32側のヒンジ35と反対面に取り付けたヒンジ35で互いに屈曲自在に取り付けられ、同様に、前記折れ戸31cには、折れ戸31dが前記縦枠32側のヒンジ35と反対面に取り付けたヒンジ35で屈曲自在に取り付けられている。
【0016】
図3に示すように、前記両側の縦枠32におけるヒンジ35の反対側に、導電性を有する金属板で取り付け溝43を形成し、この取り付け溝43に電磁波シールド用ガスケット42を嵌め込み、同様に図4に示すように、上横枠33a,下横枠33bに形成した取り付け溝43と床面34に形成した取り付け溝43にも電磁波シールド用ガスケット42を嵌め込み、間口の全周囲に電磁波シールド用ガスケット42が取り付けられている。
この電磁波シールド用ガスケット42は、図10に示すように、弾力性のあるゴム製チューブ44に、導電性金網45を被せたものである。この電磁波シールド用ガスケット42は、ゴム製チューブ44の当接片46側を扉の角部50に向けて取り付け溝43に収納し、圧接させる。当接片46の接触圧を弱くするときには、側面の切り落とし片47を切り取れるように切り落とし片47の両側を肉薄に連結してある。
【0017】
図3に示すように、前記電磁波シールド用ガスケット42は、ヒンジ35で連結された折れ戸31aと31bの間にも取り付けられる。この場合、折れ戸31b側のヒンジ35と反対面に、折れ戸31a側にやや突出するガスケット付き召し合せ部48aが設けられ、この召し合せ部48aに取り付け溝43を形成し、この取り付け溝43に電磁波シールド用ガスケット42を嵌め込み、他方の折れ戸31aの角部50に対峙させる。この召し合せ部48aにおける垂直な電磁波シールド用ガスケット42は、その上下端部が可能な限り隙間なく上横枠33aと床面34に接することが好ましい。
図中の右側の折れ戸31cと31dの間にも同様にして電磁波シールド用ガスケット42が取り付けられる。この場合、折れ戸31d側に電磁波シールド用ガスケット42を嵌め込み、折れ戸31cの角部50に対峙させる。
さらに、電磁波シールド用ガスケット42は、ヒンジで連結されていないために、開閉時に互いに離れる一方の折れ戸31bに、他方の折れ戸31dの角部50に対峙させて取り付けられる。
【0018】
本発明は、電磁波シールド用ガスケット42を取り付けただけでなく、中折れ開き戸31の閉鎖時に電磁波シールド用ガスケット42を介在して、折れ戸31aと31bの間、折れ戸31cと31dの間、折れ戸31bと31cの間を確実に圧接させる圧接手段63の機構を有している。
折れ戸31aと31bとのヒンジによる屈曲部分に取り付けられた圧接手段63は、上端係止部38a,中間係止部38b,中間係止部38c,下端係止部38dで構成されている。
図1及び図5(a)において、折れ戸31aと31bの召し合せ部48aにおける折れ戸31aの側縁部付近には、上下端部と、中間部2箇所の4か所に回転部材38が回転軸54と軸受板62によって回動可能に取り付けられている。
前記折れ戸31aの下端部に設けた下端係止部38dの回転部材38は、図5(a)、図11及び図9(b)に示すように、水平線から約35度下側に位置して連動棒37の角棒51がピン53により回動可能に連結されている。また、この回転部材38には、下向きに係止ローラ55が取り付けられている。この係止ローラ55に対応した下横枠33bには、逃げ孔56が穿設され、この逃げ孔56に臨ませて係止板57が取り付けられる。この係止板57には、前記係止ローラ55が嵌合される係止孔58が穿設され、この係止孔58の内側の支持板59には、テーパー部60を有する受圧突起40が取り付けられる。そして、係止ローラ55が図5(a)の鎖線状態から回転部材38と一体に図中の反時計回りに約70度回動して係止孔58に嵌合し、さらに受圧突起40のテーパー部60に乗り上げて折れ戸31aが図11及び図9(b)における右側に移動するのを規制する。前記受圧突起40に重ねられる調整ライナー61は、受圧突起40を取り付けるとき、1ないし複数枚介在して位置調整が行われる。
【0019】
前記折れ戸31aの上端部に設けた上端係止部38aの回転部材38は、図11に示すものを上下反転したものと略同一構造で、異なるのは、回転部材38が図5(a)に示すように、約125度のくの字に形成され、水平線から約35度下側に位置して連動棒37の角棒51がピン53により回動可能に連結され、この回転部材38には、上向きに係止ローラ55が取り付けられている。そして、係止ローラ55が回転部材38と一体に図中反時計回りに約70度回動して係止孔58に嵌合し、さらに受圧突起40のテーパー部60に乗り上げて中折れ開き戸31が図9(a)において右側に移動するのを規制する。
【0020】
前記折れ戸31aの上から2番目に設けた中間係止部38bの回転部材38は、図5(a)及び図6(a)に示すように、折れ戸31aの表裏を貫通した回転軸54が軸受板62で軸支され、両端部にそれぞれ回転部材38が取り付けられている。前記ヒンジ35の反対面における折れ戸31bの側縁部にガスケット付き召し合せ部48aが設けられ、この召し合せ部48aの取り付け溝43に取り付けた電磁波シールド用ガスケット42が折れ戸31aの角部50に対峙している。この召し合せ部48aの正面側には、図11に示したものと同一の受圧突起40が、テーパー部60側を下にして取り付けられている。前記回転軸54のヒンジ35と反対側に突出して固着すされた回転部材38は、約145度に屈曲しており、水平から約35度の位置でピン53により連動棒37の角棒51と連結されている。また、図中の水平端部には、受圧突起40に圧接しつつ移動する加圧ローラ39が設けられている。
【0021】
前記折れ戸31aの上から3番目に設けた中間係止部38cの回転部材38は、図5(a)及び図6(b)に示すように、折れ戸31aの表裏を貫通した回転軸54が軸受板62で軸支され、両端部にそれぞれ回転部材38が取り付けられている。前記ヒンジ35の反対面における折れ戸31bの側縁部にガスケット付き召し合せ部48aが設けられ、この召し合せ部48aの取り付け溝43に取り付けた電磁波シールド用ガスケット42が折れ戸31aの角部50に対峙している。この召し合せ部48aの正面側には、図11に示したものと同一の受圧突起40が、テーパー部60側を下にして取り付けられている。前記回転軸54のヒンジ35と反対側に突出して固着された回転部材38は、約145度に屈曲しており、水平から約35度の位置でピン53により連動棒37の角棒51と連結されており、さらに同一角度でハンドル36が取り付けられている。また、図中の水平端部には、受圧突起40に圧接しつつ移動する加圧ローラ39が設けられている。前記ヒンジ35と同一面の回転部材38には、反対面と同様にハンドル36が取り付けられている。
図5(a)に示す4か所の上端係止部38a,中間係止部38b,中間係止部38c,下端係止部38d間の角棒51は、丸棒52で連結されて1本の連動棒37を構成している。
【0022】
前記折れ戸31cと31dの屈曲部分に取り付けられた上端係止部38a,中間係止部38b,中間係止部38c,下端係止部38dからなる圧接手段63は、図7(a)(b)に示されるように構成され、閉じるときに中間係止部38cのハンドル36を時計方向に回す。図5(a)の場合、閉じるときにハンドル36を反時計方向に回すように構成されているのとの違いがあるが、同様の構成である。
【0023】
ヒンジで連結されていない前記折れ戸31bと31dの間のガスケット付き召し合せ部48aとガスケットなし召し合せ部48bの部分における圧接手段63は、図5(b)、図8(a)(b)に示される。そして、折れ戸31b側に電磁波シールド用ガスケット42を有するガスケット付き召し合せ部48aを設け、折れ戸31d側にガスケットなし召し合せ部48bを設けている。閉じるときにハンドル36を時計方向に回すように構成されているのは、前記折れ戸31cと31dの結合部分の圧接手段63と同様である。ただし、ガスケット付き召し合せ部48aの取り付け面が表裏異なるので、回転部材38に設けた加圧ローラ39の位置が異なるが、ほぼ同一構造である。
【0024】
以上のように構成された中折れ開き戸31の開閉動作を説明する。
中折れ開き戸31が図2の鎖線状態に解放されているものとすると、図5(a)に示すように、連動棒37が上昇しピン53を介して上端係止部38a,中間係止部38b,中間係止部38c,下端係止部38dのすべての回転部材38が鎖線の状態にある。この状態でシールドルーム側から閉じる場合、折れ戸31aと31bが1枚の開き戸状になるように押し込みながら図3の左端のように、折れ戸31aの角部50を間口側の電磁波シールド用ガスケット42に接触させる。
この図5(a)に示す鎖線状態で中間係止部38cのハンドル36を反時計方向に約70度回転して実線位置にする。すると、上端係止部38aと下端係止部33dのそれぞれの係止ローラ55が係止孔58に嵌合し、受圧突起40のテーパー部60から乗りあがり、上横枠33aと下横枠33bに係止され、折れ戸31aの位置が固定される。同時に図6(a)(b)に示すように、中間係止部38bと中間係止部38cの加圧ローラ39が受圧突起40のテーパー部60側から乗りあがり、折れ戸31aと31bを1枚の固定された中折れ開き戸31にして固定する。
【0025】
次いで、折れ戸31cと31dを1枚の開き戸状になるように押し込みながら図3の右端のように、折れ戸31cの角部50を間口側の電磁波シールド用ガスケット42に接触させる。
この状態から折れ戸31cの中間係止部38cのハンドル36を時計方向に約70度回転して実線位置にする。すると、上端係止部38aと下端係止部33dのそれぞれの係止ローラ55が係止孔58に嵌合し、受圧突起40のテーパー部60から乗りあがり、上横枠33aと下横枠33bに係止され、折れ戸31cの位置が固定される。同時に図7(a)(b)に示すように、中間係止部38b,中間係止部38cの加圧ローラ39が受圧突起40のテーパー部60側から乗りあがり、折れ戸31cと31dを1枚の固定された中折れ開き戸31に固定する。
【0026】
左右の折れ戸31aと31b、折れ戸31cと31dがそれぞれ1枚の中折れ開き戸31となった状態で、ガスケット付き召し合せ部48a,ガスケットなし召し合せ部48bが付き合わされるが、ここで、図5(b)に示す鎖線状態で中間係止部38cのハンドル36を時計方向に約70度回転して実線位置にする。すると、上端係止部38aと下端係止部33dのそれぞれの係止ローラ55が係止孔58に嵌合し、受圧突起40のテーパー部60から乗りあがり、上横枠33aと下横枠33bに係止され、折れ戸31dの位置が固定される。同時に図8(a)(b)に示すように、中間係止部38b,中間係止部38cの加圧ローラ39が反対面にあるガスケット付き召し合せ部48aに設けた受圧突起40のテーパー部60側から乗りあがり、2枚の中折れ開き戸31がすべての電磁波シールド用ガスケット42に中折れ開き戸31の角部50が密着して閉鎖される。したがって、4枚の折れ戸31a,31b,31c,31dからなる中折れ開き戸31は、電磁波から確実に遮断される。
【0027】
中折れ開き戸31を開放するときは、以上の操作を逆におこなえばよい。
中折れ開き戸31をシールドルーム側でなく、外側から開閉するには、中折れ開き戸31の表裏に連動するハンドル36があるので、外側のハンドル36を操作して行う。
【実施例2】
【0028】
前記図1及び図2に示す実施例では、折れ戸31a(又は折れ戸31c)と縦枠32とを結合するヒンジ35の位置に対して、折れ戸31aと31b(又は折れ戸31cと31d)とを結合するヒンジ35の位置が反対面になっているが、図12に示すように同一側にして屈曲方向を変えるようにしてもよい。
前記図1及び図2に示す実施例では、中折れ開き戸31が左右2枚ずつで構成されているが、これに限られるものではなく、いずれか一方だけを中折れ開き戸31とし、他方は直接縦枠32に接離したり、1枚の開き戸41に接離するものであってもよい。さらに3枚以上をヒンジで連結した折れ戸からなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による折れ戸における電磁波シールド装置の一実施例を示すもので、中折れ開き戸31側から見た正面図である。
【図2】図1の中折れ開き戸31の平面図である。
【図3】図2の圧接手段63を省略して電磁波シールド用ガスケット42を詳細に示した横断平面図である。
【図4】図2の圧接手段63を省略して電磁波シールド用ガスケット42を詳細に示した縦断側面図である。
【図5】図1における圧接手段63の詳細な正面図である。
【図6】(a)は、図1のA−A線断面図、(b)は、図1のB−B線断面図である。
【図7】(a)は、図1のC−C線断面図、(b)は、図1のD−D線断面図である。
【図8】(a)は、図1のE−E線断面図、(b)は、図1のF−F線断面図である。
【図9】(a)は、図1の上端係止部38aの縦断面図、(b)は、図1の下端係止部38dの線縦断面図である。
【図10】本発明に用いた電磁波シールド用ガスケット42の斜視図である。
【図11】本発明の下端係止部38dの分解斜視図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図13】特許文献1に示した扉の電磁波シールド装置の平面図である。
【図14】特許文献2に示した扉の電磁波シールド装置であって、(a)は、一部切り欠いた平面図、(b)は、一部切り欠いた斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10…電磁波シールド開き戸、11…枠体、12…ヒンジ、13…突状部、14…電磁波シールド用ガスケット、15…溝付き保持材、16…ハンドル、17…当接部材、18…ストッパ部材、19…遮音用ガスケット、20…段部、21…召し合せ部、22…扉下端部、23…水平シールド材、24…接触子、25…沓摺り、26…摺動子、27…摺動板、28…連結棒、29…水平枠材、 30…収納溝、31…中折れ開き戸、31a…折れ戸、31b…折れ戸、31c…折れ戸、31d…折れ戸、32…縦枠、33…横枠、33a…上横枠、33b…下横枠、34…床面、35…ヒンジ、36…ハンドル、37…連動棒、38…回転部材、38a…上端係止部、38b…中間係止部、38c…中間係止部、38d…下端係止部、39…加圧ローラ、40…受圧突起、42…電磁波シールド用ガスケット、43…取り付け溝、44…ゴム製チューブ、45…導電性金網、46…当接片、47…切り落とし片、48…召し合せ部、48a…ガスケット付き召し合せ部、48b…ガスケットなし召し合せ部、49…突起部、50…角部、51…角棒、52…丸棒、53…ピン、54…回転軸、55…係止ローラ、56…逃げ孔、57…係止板、58…係止孔、59…支持板、60…テーパー部、61…調整ライナー、62…軸受板、63…圧接手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の導電性を有する間口に、少なくとも2枚の導電性を有する折れ戸からなる中折れ開き戸を設け、前記間口と中折れ開き戸の少なくともいずれか一方の全周囲に電磁波シールド用ガスケットを取り付けた折れ戸における電磁波シールド装置において、
前記折れ戸同士の召し合せ部に電磁波シールド用ガスケットを取り付け、前記召し合せ部におけるいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたことを特徴とする折れ戸における電磁波シールド装置。
【請求項2】
上端係止部と下端係止部は、それぞれ回転部材と、この回転部材と一体で上横枠と下横枠にそれぞれ形成した係止孔の受圧突起に係脱する係止ローラとからなり、中間係止部は、回転部材と、この回転部材と一体で他方の折れ戸の受圧突起に圧接する加圧ローラと、この回転部材と一体のハンドルとからなり、このハンドルの操作で前記上端係止部,下端係止部及び中間係止部の回転部材を連動棒で連結して一連に回動せしめてなることを特徴とする請求項1記載の折れ戸における電磁波シールド装置。
【請求項3】
中折れ開き戸は、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の折れ戸における電磁波シールド装置。
【請求項4】
中折れ開き戸は、2枚からなり、それぞれの中折れ開き戸は、一側部をヒンジで間口の縦枠に連結した一方の折れ戸と、この一方の折れ戸の他側部にヒンジで連結した他方の折れ戸との少なくとも2枚の折れ戸からなり、それぞれの中折れ開き戸における2枚の折れ戸同士をヒンジで連結したいずれか一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設け、前記2枚の中折れ開き戸における折れ戸同士の召し合せ部の一方の折れ戸に、この一方の折れ戸を前記間口の上横枠に係止する上端係止部と、この一方の折れ戸を前記間口の下横枠に係止する下端係止部と、一方の折れ戸に他方の折れ戸を圧接する中間係止部とからなる圧接手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の折れ戸における電磁波シールド装置。
【請求項5】
受圧突起は、テーパー部を有し、係止ローラ又は加圧ローラが回動して乗りあがって圧接するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の折れ戸における電磁波シールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−53526(P2010−53526A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216681(P2008−216681)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000158965)技研興業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】