説明

折畳み式携帯電話機

【課題】基板上に実装された発熱体から発生した熱を効率的に外部に放熱することができる折畳み式携帯電話機を提供すること。
【解決手段】表示部21を有する上部本体20と、キー操作部31を有する下部本体30と、上部本体と下部本体とを回動自在に連結するヒンジ機構50と、からなる折畳み式携帯電話機10であって、上部本体は少なくとも金属材からなる表示部ホルダ25を備え、下部本体は少なくとも金属材からなるシールドケース35及びパワーアンプ42を有する制御基板40を備え、ヒンジ機構は金属材からなる第1〜第3フレーム55、60、65を備え、表示部ホルダとシールドケースとをヒンジ機構により連結し、制御基板のパワーアンプがシールドケースに接触するように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み式携帯電話機に関し、特に、基板上に実装された発熱体から発生した熱を外部に効率的に放熱することができる折畳み式携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は音声による通話機能に加えて、メール送受信機能、TV電話機能、画像撮影機能、インターネット接続機能などの様々な機能を搭載した携帯電話機が広く普及している。このため、これらの機能を実現するために処理能力の向上が図られており、携帯電話機の高機能および高性能化に伴って、携帯電話機の内部に実装されている電子部品の消費電力が増加してきている。
【0003】
ここで、電子部品を搭載する電子機器、例えば携帯型のコンピュータでは、発熱量の多い電子部品に放熱用のヒートパイプやファンを取り付けて放熱を行うことが知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1(特開平11−102235号公報)には、第1部分と第2部分を有し、開閉連結手段は、第1部分に対して第2部分を開閉するために、第1部分と第2部分を機械的に連結しており、かつ第1部分に配置される熱発生源からの熱を第2部分に伝える電子機器が開示されている。
【0005】
すなわち、携帯型コンピュータの中央処理装置が駆動されて発熱すると、発熱板は中央処理装置の熱を受け、この熱がヒートパイプとコネクタを介してヒンジに伝わり、その後この熱はケース側に伝わり、この結果、伝わった熱はケースから放熱もしくは拡散される。
【0006】
また、下記特許文献2(特開2000−20171号公報)には、発熱体が組み込まれた本体部と、内側の面に液晶表示パネルが設けられた蓋部とを有し、蓋部の外側の面に露出して設けられ、発熱体で発生した熱を外部に放出させる放熱板を備えた携帯型情報処理装置が開示されている。
【0007】
すなわち、携帯型情報処理装置のCPUで発生した熱は、熱伝導ブロックを介してヒートパイプに伝わり、二層流熱輸送により放熱板に伝わる。
【特許文献1】特開平11−102235号公報(段落[0014]、図3)
【特許文献2】特開2000−20171号公報(段落[0007]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された電子機器では、比較的発熱割合の大きい本体側から比較的発熱量の少ない表示部側へ熱を伝えることにより、電子機器であるコンピュータにおける本体内における熱の籠もりを防いで、熱を表示部側へ拡散もしくは分散することが簡単に行える。また、上記特許文献2に記載された携帯型情報処理装置では、放熱板が蓋部の外側の面に露出して設けられているので、放熱板の面積全体を有効に使って発熱体で発生した熱を効果的に外部に放出させることができる。
【0009】
しかしながら、最近の携帯電話機は更なる小型化、薄型化が求められていることから、スペース的な制約から上述の電子機器のようにヒートパイプ等を用いた放熱構造を採用することは難しく、また、ファンを取り付けることも軽量化を妨げるため採用が難しいという問題があった。さらには、この小型化、薄型化の要求に伴って携帯電話機の制御基板は更なる集積化が進み、この制御基板内の各種電子部品のうちの発熱体、例えばパワーアンプあるいは充電用ICチップ等も小さく集積化されているため、それ自体のみでは発熱した熱を十分に外部に放熱することができない。以上のことから、筐体内部の発熱体により表面温度上昇が規格値を満足できなくなっているという問題が生じてきている。
【0010】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、基板に実装された発熱体により発生する熱が熱伝導率の高い金属部分を介して次々に伝達され、携帯電話機の内部部品全体により効率的に放熱を行うようになせば、上記の問題点を解消し得ることを想到し本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、基板上に実装された発熱体から発生した熱を効率的に外部に放熱することができる折畳み式携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る折畳み式携帯電話機の発明は、表示部を有する上部本体と、操作部を有する下部本体と、前記上部本体と下部本体とを回動自在に連結するヒンジ機構と、からなる折畳み式携帯電話機であって、
前記上部本体は少なくとも金属材からなる表示部ホルダを備え、
前記下部本体は少なくとも金属材からなるシールドケース及び発熱体を有する制御基板を備え、
前記ヒンジ機構は金属材からなるフレームを備え、
前記表示部ホルダと前記シールドケースとを前記ヒンジ機構のフレームで連結し、前記制御基板の発熱体が前記シールドケースに接触するように配設されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の折畳み式携帯電話機において、前記シールドケースは前記発熱体の表面に接触するように、前記発熱体の表面に対応する位置に凸面部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の折畳み式携帯電話機において、前記発熱体は、パワーアンプ及び充電用ICチップの少なくとも一方であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の折畳み式携帯電話機において、前記ヒンジ機構は、前記シールドケースに固定される第1フレームと、前記表示部ホルダに固定される第2フレームと、前記第1及び第2フレームにそれぞれ回動自在に連結した第3フレームと、からなる2軸ヒンジ機構からなり、前記第1フレームと前記第2フレームとは、前記シールドケースあるいは前記表示部ホルダとの接触部分の面積が大きくなるようにその一部が前記シールドケースあるいは前記表示部ホルダに当接して配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、本願の請求項1に係る発明によれば、表示部ホルダとヒンジ機構とシールドケースとを熱伝導性の高い金属材で形成し、これらを連結し、さらにシールドケースを制御基板の発熱体に接触させることで、発熱体で発生した熱はこれらの部材に伝達されて折畳み式携帯電話機全体に拡散されて外部に放熱されるため、発熱体で発生する熱を効果的に放熱することができる。また、サイズの大きいヒートパイプやファンなどを取り付けることなく、発熱体で発生した熱を分散させて放熱させるので、折畳み式携帯電話機自体を大型にすることなく良好な放熱効果を得ることが可能になる。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、シールドケースに発熱体の表面と接触するように凸面部を設けることにより、シールドケースと発熱体とを簡単な構造で接触させることができるようになる。
【0018】
また、請求項3に係る発明によれば、前記発熱体はパワーアンプ及び/又は充電用ICチップであるため発熱量が大きいが、上記請求項1に記載の構成を備えることで、発生した熱を効率良く伝達でき外部に良好に放出させることができるようになる。
【0019】
さらに、請求項4に係る発明によれば、ヒンジ機構として第1〜第3フレームからなる2軸ヒンジ機構を採用し、第1、第2フレームとシールドケース及び表示部ホルダとの接触面積が大きくなるように構成したので、これらの部材間の熱伝導が良好になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための折畳み式携帯電話機を例示するものであって、本発明をこの折畳み式携帯電話機に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の折畳み式携帯電話機にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0021】
図1は本発明の実施例にかかる折畳み式携帯電話機の前方斜視図、図2は本発明の実施例にかかる折畳み式携帯電話機の各種カバー等を取り外した状態を示す後方斜視図、図3は図2に示す折畳み式携帯電話機を部品ごとに分解した分解斜視図、図4は表示部ホルダを示す図であり、図4(a)は背面図、図4(b)は正面図、図5はシールドケースを示す図であり、図5(a)は背面図、図5(b)は正面図、図6は制御基板を示す図であり、図6(a)は背面図、図6(b)は正面図、図7はヒンジ機構を開いた状態を示し、図7(a)は正面図、図7(b)は右側面図、図8はヒンジ機構を閉じた状態を示し、図8(a)は正面図、図8(b)は右側面図、図8(c)は図8(a)のX方向から見た図である。
【0022】
本実施例に係る折畳み式携帯電話機10は、図1に示すように、各種機能の設定画面や待ち受け画面などの表示を行う液晶表示モジュールやEL発光素子などを備える表示部21を備える上部本体20と、数字キーや方向キー、特殊機能キーなどの複数のキーが配列されたキー操作部31を備える下部本体30と、これらの上下本体20、30を連結するヒンジ機構50から構成されている。なお、上下本体20、30及びヒンジ機構50はそれぞれ合成樹脂等からなる上部カバー22、下部カバー32及びヒンジカバー51により覆われている。
【0023】
上部本体20内には、図2及び図3に示すように、薄板状の金属材、例えばマグネシウム合金からなる表示部ホルダ25が設けられている。また、下部本体30内には、薄板状の金属材、例えばステンレスからなるシールドケース35と、折畳み式携帯電話機10の各種制御を行う制御基板40と、が設けられている。
【0024】
このうち、上部本体20内に設けられた表示部ホルダ25は、主に図4に示すように、上部本体20の形状に合わせたほぼ長方形状の薄板から構成されている。そして、この長方形状の表示部ホルダ25の下部、すなわちヒンジ機構50に連結される側の短辺の両端部には、表示部ホルダ25の長手方向に延長部26a、26bがそれぞれ設けられ、この延長部26a、26bには、後述するヒンジ機構50の第2フレーム60にビス固定するための貫通孔27a、27bが設けられている。
【0025】
また、この表示部ホルダ25の表裏面には、それぞれ大きさが異なる表示パネルを収納するほぼ矩形状のパネル収納部28a、28bが設けられている。詳しくは、これらのパネル収納部28a、28bには、2画面液晶表示パネル等が固定されるようになっており、表示部ホルダ25の正面側に設けられているパネル収納部28aにはメインの表示パネルとして比較的大きな液晶表示パネルが固定され、背面側に設けられているパネル収納部28bにはサブの液晶表示パネルとして、比較的小さな液晶表示パネルが固定される。そして、これら2つの表示パネルはフレキシブルプリント配線基板(FPC、図示省略)により電気的に接続しており、このフレキシブルプリント配線基板は表示部ホルダ25の上部短辺近傍に設けられた横長の開口部29に通されて配設されている。なお、この横長の開口部29にはスピーカが収納されるスペースとしても利用される。
【0026】
下部本体30内に設けられたシールドケース35は、主に図5に示すように、金属材からなる薄板であって、その外縁部及び表裏面の複数箇所に、制御基板40及びICカードスロット(図示省略)等の機器を固定するための切り起こし片が設けられている。このシールドケース35は制御基板40や二次電池(図示省略)あるいはICカード(図示省略)等の電子部品から発生する電磁波等を遮断する目的及び機械的な強度を上げる目的で設けられるものである。
【0027】
また、シールドケース35の上部、すなわち、ヒンジ機構50に連結される側の短辺の近傍には、後述するヒンジ機構50の第1フレーム55の形状に合わせて、ほぼT字状に背面から正面に向かってプレス加工が施されたフレーム固定用の突出部36が設けられており、この突出部36の1乃至複数箇所(例えば突出部36の横方向に延びる端部付近に2箇所)には、ヒンジ機構50の第1フレーム55にビス固定するための貫通孔37aが設けられている。さらにこの突出部36背面の1乃至複数箇所(例えば突出部36の縦方向の延びる部分に1箇所)には、ヒンジ機構50の第1フレーム55に設けられる係止孔57bに係合する係止突起37bが設けられている。加えて図5に示すシールドケース35の突出部36の中間部には、ヒンジ機構50の第1フレーム55に設けられる切り欠き57cに係合し、かつその中心部にビス固定するための貫通孔が設けられた固定突起37cが設けられている。そして、シールドケース35の下部近傍の後述する制御基板40のパワーアンプ42、42に対向する位置には、上述した突起部36と同様に背面から正面に向かってプレス加工が施されたパワーアンプ42、42当接用の凸面部38、38が設けられている。
【0028】
下部本体30内に設けられた制御基板40は、主に図6に示すように、多層構造の半導体基板41と各種の電子回路によって構成されている。そして、その背面の一部はシールドケース35に覆われるようにして配置される。半導体基板41上に形成される各種の電子回路は、そのほとんどが半導体基板41の背面に取付けられており、これらの電子回路の1つであるパワーアンプ42、42は半導体基板41の下部に配設されている。また、この半導体基板41の中央部付近には充電用ICチップ43が配設されている。
【0029】
上述した上部本体20と下部本体30、詳しくは表示部ホルダ25とシールドケース35とはヒンジ機構50により連結されている。このヒンジ機構50は、図7及び図8に示すように、それぞれ横長の板体からなる金属製(例えばステンレス)の第1〜第3フレーム55、60、65を備え、第1フレーム55は下部本体30のシールドケース35に固定され、第2フレーム60は上部本体20の表示部ホルダ25に固定され、第3フレーム65は第1、第2フレーム55、60をそれぞれ回動自在に固定している。
【0030】
第1フレーム55は横長の金属板からなり、その長手方向両端部からはその先端部に貫通孔を有する同一形状の左右腕片56a、56bが立設するように延びており、この左右腕片56a、56bの先端部に設けられた貫通孔は、その内面側に配置した第3フレーム65の左右腕片66a、66bの下部腕67a、67b(図8(c)参照)に設けられた貫通孔に連通することによって第1回転軸70を形成する。また、第1フレーム55の左右腕片56a、56bに近接する位置には、シールドケース35の貫通孔37aに連通する連通孔57a、57aが設けられている。さらに、この第1フレーム55の長手方向中央部の下部側壁、すなわち下部本体30に取付けられたときに下部本体30側に位置する側壁からは、第1フレーム55の長手方向に直交する方向に所定長さ延設された延長部58が設けられており、この延長部58の先端部には、シールドフレーム35の係止突起37bに嵌合する係止孔57bが形成されている。さらにまた、この第1フレーム55の長手方向中央部の上部側壁、すなわち第3フレーム65に近接する側の側壁には、その幅が固定突起37cの外径とほぼ等しいかあるいは僅かに大きな切り欠き57cが設けられている。
【0031】
第2フレーム60は横長の金属板からなり、その両端部付近はその幅が拡幅され、その拡幅された両端部の先端部からは、その先端部に貫通孔を有する同一形状の左右腕片61a、61bが立設するように延びている。この左右腕片61a、61bの先端部に設けられた貫通孔は、その内面側に配置した第3フレーム65の左右腕片66a、66bの上部腕68a、68b(図8(c)参照)に設けられた貫通孔に連通することによって第2回転軸71を形成する。また、第2フレーム60の拡幅された部分には表示部ホルダ25の貫通孔27a、27bに連通する連通孔62a、62bが設けられている。
【0032】
第3フレーム65は横長の金属板からなり、その両端部からはその先端部が上下に分岐した左右腕片66a、66bが立設するように形成されており、このうち左側腕片66aは上下に分岐し先端部に貫通孔を備える上部腕67a及び下部腕67aを備えており、右側腕片66bは上下に分岐し先端部に貫通孔を備える上部腕67b及び下部腕67bを備えている。
【0033】
上述した構成を備える第1〜第3フレーム55、60、65を連結することによりなるヒンジ機構50は、第1、第2回転軸70.71を有する2軸ヒンジとなっている。また、第1〜第3フレーム55、60、65を連結した状態において、第1、第2フレーム55、60の左側腕片56a、61aと第3フレーム65の左側腕片66aとの連結部分には駆動機構73と連係機構75が設けられており、第1、第2フレーム55、60の右側腕片56b、61bと第3フレーム65の右側腕片66bとの連結部分にはストッパー機構76が設けられている。
【0034】
駆動機構73は上下本体20、30を開閉(回動)させ、所定位置で静止させた際に、この状態を保持するとともに、上下本体20、30の開閉動作の際に適度なスナップアクションが得られるようにするために設けられているものであって、第1、第2フレーム55、60の左側腕片56a、61aの内側に設けられたカム片と第3フレーム65の左側腕片66aの外側に設けられたカム片を噛合させた状態で、第1、第2フレーム55、60の左側腕片56a、61aの外側に配設されたバネ体等からなる付勢機構74によりこの噛合状態を付勢することで構成されている。また、連係機構74は第1フレーム55の第3フレーム65に対する回動と第2フレーム60の第3フレーム65に対する回動とを連動させるために設けられているものであって、例えば歯車により構成されている。さらに、ストッパー機構76は、上下本体20、30の最大の開放角度(例えば160°)を設定するものであって、この最大の開放角度になった状態で上下本体20、30の回動を規制するようになっている。なお、これら駆動機構73、連係機構75及びストッパー機構76を構成する各部品は、何れも熱伝導性の高い材料、例えばステンレスにより形成されている。
【0035】
上述した各構成部品を組み立てると、図2及び図3に示すように、シールドケース35の表面に配設された制御基板40のパワーアンプ42、42の表面が、シールドケースの凸面部38、38に当接されることにより、パワーアンプ42、42で発生した熱は凸面部38、38を介してシールドケース35に伝達される。また、このシールドケース35はその上部でヒンジ機構50の第1フレーム55に当接しているため、シールドケース35に伝達された熱は、さらにヒンジ機構50の第1フレーム55にも伝達される。加えて、ヒンジ機構50は全体がステンレスからなる金属材で形成されているために、第1フレーム55に伝達された熱は第3フレーム65及び第2フレーム60に伝達され、さらには第2フレーム60に当接固定された表示部ホルダ25にまで伝達される。このように、パワーアンプ42から発生した熱は、シールドケース35、ヒンジ機構50及び表示部ホルダ25に伝導されることによって、これらの部材全てによって放熱がなされることになり、良好な放熱効果を得ることができる。また、ヒンジ機構50の第1、第2フレーム55、60はそれぞれシールドケース35及び表示部ホルダ25に対してその当接面積が大きくなるように、一部が延設されたり、拡幅されたりしているので、良好な熱伝導を得られるようになっている。
【0036】
以上、詳細に説明したように本発明にかかる携帯電話機10によれば、シールドケース35とヒンジ機構50をステンレスにより構成し、表示部ホルダ25をマグネシウムにより構成し、発熱体であるパワーアンプ42、42をシールドケース35と直接接触するように構成したため、パワーアンプ42、42からの熱をシールドケース35、ヒンジ機構50、表示部ホルダ25という熱伝導経路を介して効率良く外部に放熱することができる。
【0037】
また、本実施例においては、発熱体としてパワーアンプ42、42を適用したものについて説明したが、これに限られることはなく、充電用ICチップ43やその他の半導体素子などにも適用できる。
【0038】
また、本実施例においては、シールドケース35、ヒンジ機構50及び表示部ホルダ25を形成する熱伝導率の良い材料として、ステンレスやマグネシウムを用いて説明したが、これに限られることはなく、アルミニウム、銅等の金属あるいはカーボンなどの熱伝導性に優れた材料も適用できる。
【0039】
さらに、本実施例においては、折畳み式携帯電話機を例にして説明したが、これに限られることはなく、少なくとも表示手段と操作手段とを備えた携帯電子機器であればよく、例えば、PDAなどの小型の携帯型コンピュータや携帯型ゲーム機器などに対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、発熱体からの熱を、筐体を介して効率良く外部へ放熱させることができる。特に、CDMA方式の携帯電話機ではパワーアンプからの発熱が大きいため、放熱効率の高い放熱構造として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の実施例にかかる折畳み式携帯電話機の前方斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例にかかる折畳み式携帯電話機の各種カバー等を取り外した状態を示す後方斜視図である。
【図3】図3は図2に示す折畳み式携帯電話機を部品ごとに分解した分解斜視図である。
【図4】図4は表示部ホルダを示す図であり、図4(a)は背面図、図4(b)は正面図である。
【図5】図5はシールドケースを示す図であり、図5(a)は背面図、図5(b)は正面図である。
【図6】図6は制御基板を示す図であり、図6(a)は背面図、図6(b)は正面図である。
【図7】図7はヒンジ機構を開いた状態を示し、図7(a)は正面図、図7(b)は右側面図である。
【図8】図8はヒンジ機構を閉じた状態を示し、図8(a)は正面図、図8(b)は右側面図、図8(c)は図8(a)のX方向から見た図である。
【符号の説明】
【0042】
10 折畳み式携帯電話機
20 上部本体
21 表示部
25 表示部ホルダ
30 下部本体
31 キー操作部
35 シールドケース
38 凸面部
40 制御基板
42 パワーアンプ
50 ヒンジ機構
55 第1フレーム
60 第2フレーム
65 第3フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する上部本体と、操作部を有する下部本体と、前記上部本体と下部本体とを回動自在に連結するヒンジ機構と、からなる折畳み式携帯電話機であって、
前記上部本体は少なくとも金属材からなる表示部ホルダを備え、
前記下部本体は少なくとも金属材からなるシールドケース及び発熱体を有する制御基板を備え、
前記ヒンジ機構は金属材からなるフレームを備え、
前記表示部ホルダと前記シールドケースとを前記ヒンジ機構のフレームで連結し、前記制御基板の発熱体が前記シールドケースに接触するように配設されていることを特徴とする折畳み式携帯電話機。
【請求項2】
前記シールドケースは前記発熱体の表面に接触するように、前記発熱体の表面に対応する位置に凸面部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯電話機。
【請求項3】
前記発熱体は、パワーアンプ及び充電用ICチップの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳み式携帯電話機。
【請求項4】
前記ヒンジ機構は、前記シールドケースに固定される第1フレームと、前記表示部ホルダに固定される第2フレームと、前記第1及び第2フレームにそれぞれ回動自在に連結した第3フレームと、からなる2軸ヒンジ機構からなり、前記第1フレームと前記第2フレームとは、前記シールドケースあるいは前記表示部ホルダとの接触部分の面積が大きくなるようにその一部が前記シールドケースあるいは前記表示部ホルダに当接して配設されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−53788(P2008−53788A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225092(P2006−225092)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】