説明

抵抗中和面をもつ電気ヒーター

多層形状であり、それでも比較的薄く、フレキシブルなパネルのヒーティングシステムである。このパネルは、第1電気絶縁層、第2電気絶縁層および第3電気絶縁層を含む多くの層を有している。第1導電抵抗層(ヒーター層)は、第1電気絶縁層と第2電気絶縁層の間に挟まれている。第2導電抵抗層(抵抗中和層)は、第2電気絶縁層と第3電気絶縁層の間に挟まれている。ヒーター層は、中和電気接点とライブ電気接点を有している。中和電気接点とライブ電気接点は、パネルで、中和電気接点とライブ電気接点の間に延びるヒーター層の電気抵抗材料によってのみ互いに電気的に接続されている。抵抗中和層は、ヒーター層の中和電気接点と電気的に接続された中和電気接点を有している。抵抗中和層は、第2電気絶縁層によってヒーター層のライブ電気接点から電気的に隔離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年9月16日に出願された米国仮出願番号61/097,323、および2009年5月8日に出願された米国仮出願番号61/176,787で優先権を主張し、全ての目的のために参考としてここに示す。これと同時に出願され、関連する主題である名称の特許出願“ヒーティングシステム”を、全ての目的のために参考としてここに示す。
【0002】
本発明は、ヒーティングシステムに関するものであり、特に、比較的薄く、フレキシブルな多合板パネルに組込まれ、建築分野の床、壁、あるいは天井など、あるいは非建築分野の鏡、写真フレームなどに組込まれるヒーティングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
薄いヒーティングシステムは知られている。細いワイヤーを金網マットに織って、バスのない金網ヒーターが作製されている。この金網マットは、ラミネート床の下あるいは下張り床の下に、あるいは非建築環境に取付けられる。しかしながら、これらのマットは、半端な形状の空間に合わせ、そして現地で形を変えることができないので、注文仕様でなくてはならない。このことで、ヒーターとその設置に経費が嵩み、設置時にヒーターレイアウトを変えるのを非常に難しくしている。
【0004】
ポリマー−ベースのヒーターが、電気抵抗性プラスチックを使用して作製される。この抵抗ヒーターのどちらか一方の面に導電バスを設けて回路が出来上がる。これで、切断可能なヒーティング面ができる。しかしながら、現在入手できる製品は、非常に厚くなっている
【0005】
導電性インク−ベースのヒーターは、プラスチックシート上に抵抗性インクをプリントして作製される。この抵抗ヒーターのどちらか一方の面に導電バスを設けて回路が出来上がる。次いで、ヒーティングエレメントを保護するために、回路上に第2プラスチックシートを置く。
【0006】
これで、薄く、フレキシブルで、切断可能なヒーティング面となる。導電性インク−ベースのヒーターは、ラミネート床の下に使用されることが知られており、この場合、ラミネート床は、床板と下張り床の間の空間、あるいは修理の場合には古い床に接触しないでいる。この装置を保護するプラスチックシートの面は、セラミックタイルとの接着性が悪い。
【0007】
プラスチックシート上に形成されたヒーティングエレメントでは、シートの薄い性状と静電容量により電流リークがある。バスルームやキッチンの床に使用の場合のようにウエットな環境では、この電流リークの大きさは許容出来ないレベルに達することがある。この電流リークをコントロールすることは、ヒーティングエレメントが高湿度あるいは水を受ける使用場所では、特に問題になる。ウエットな使用場所での電流リークの問題は、現在の電気技術および電気なヒーター技術では、解決されていない。
【0008】
薄いプラスチックシートの損傷は、電流が流れるエレメントの間での電気的短絡となり、
また、高電流により、電気ショック、ヒーティングエレメントあるいはプラスチックシートの過熱といった許容できない事態になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する薄く、軽量、フレキシブルな電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、ドライおよびウエットのいずれの表面でも測定した電流リークが5mA以下、好ましくは2.5mA以下、さらに好ましくは1.0mA以下である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、25平方フィート以上、好ましくは50平方フィート以上、さらに好ましくは75平方フィート以上、さらに好ましくは100平方フィート以上、さらに好ましくは125平方フィート以上、さらに好ましくは150平方フィート以上の適用範囲を有し、しかも電気リークの電流値が上記の値である。
【0011】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、5mAの遮断限界を有する漏電遮断器(GFCI)と組み合わせて使用される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、電力密度が、約50,000ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約5000ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約2500ワット/m(ヒーター面積)、・あるいは約1000ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約500ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約250ワット/m(ヒーター面積)である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、電力密度が、約500ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約300ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約200ワット/m(ヒーター面積)、・あるいは約150ワット/m(ヒーター面積)、あるいは約100ワット/m(ヒーター面積)である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、抵抗エレメントにより発生する局部ヒートフラックスが、偶発的な短絡の場合など極限使用条件で12.5kW//m以下、好ましくは4.0kW//m以下、より好ましくは2.0kW//m以下に維持されている。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、地面に接続して、偶発的な製品の破壊とこれに続く電流リークの場合にも、使用者を完全に安全にしている。
【0016】
本発明の別の実施形態では、薄く、軽量、フレキシブルであり、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、AC電流でもDC電流でも使用できる。
【0017】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、フレキシブルであり、20”以下、好ましく12”以下、さらに好ましく6”以下の径に巻き上げることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、薄く、合計厚さが、1”以下、好ましく0.5”以下、さらに好ましく0.50”以下、さらに好ましく0.25”以下、さらに好ましく0.125”以下である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、軽量で、合計製品重量が、3.0#/sq.ft.以下、好ましくは2.0#/sq.ft.以下、さらに好ましくは1.5#/sq.ft.以下、さらに好ましくは1.0#/sq.ft.以下、さらに好ましくは0.5#/sq.ft.以下である。
【0020】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境での使用に適する電気ヒーターが提供される。この電気ヒーターは、薄く、軽量で、ロールに巻き上げでき、そして巻き解いたときに巻き戻しメモリーを持たない。
【0021】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境にある建築および床張り使用に適する電気ヒーターが提供され、この電気ヒーターは、セラミックタイルおよび自然の石に取付けた場合に、セラミックタイルおよび自然の石との接着強度が50psi以上、好ましくは100psi以上、さらに好ましくは150psi以上である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境に適する電気ヒーターが提供され、この電気ヒーターは、鋏やナイフなど商業的に入手できる道具を用いて、現地での切断が容易であり、形を作ることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境にある建築および床張り使用に適する電気ヒーターが提供され、この電気ヒーターは、セメント質材料(薄い硬化モルタルおよびタイルグラウト)による強アルカリ条件に晒されても化学的に安定である。
【0024】
本発明の別の実施形態の中で、ドライおよびウエットな環境にある建築および床張り使用に適する電気ヒーターが提供され、この電気ヒーターは、セメント質モルタルを含む一般に入手可能な接着材を用いて、コンクリート、合板、OSB、セメントボード、石膏ボード、石膏およびセメント質注入下張りなど種々の基材と接合可能である。
【0025】
本発明の別の実施形態では、ドライおよびウエットな環境にある建築および床張り使用に適する電気ヒーターが提供され、この電気ヒーターは、機械的な留め具の使用なしに、短時間で設置できる。
【0026】
発明の実施形態では、ヒーティングシステムは、多層ではあるが、それでも、比較的薄く、フレキシブルなパネルの形で提供される。パネルは、第1電気絶縁層、第2電気絶縁層、および第3の電気絶縁層を含む多層である。第1導電抵抗層は、第1電気絶縁層と第2電気絶縁層に挟まれ、電気絶縁層の1つにプリントされている。第2導電抵抗層は、第2電気絶縁層と第3電気絶縁層に挟まれ、電気絶縁層の1つにプリントされる。
【0027】
第1導電抵抗層は、第1電気接点〔中和接点(neutral connection)〕と第2電気接点〔ライブ接点(live connection)〕を有している。第1電気接点と第2電気接点は、パネルで、第1電気接点と第2電気接点の間に延びる第1導電抵抗層の電気抵抗材料によってのみ互いに電気的に接続されている。第2導電抵抗層は、第1導電抵抗層の第1電気接点と電気的に接続された第1電気接点(中和接点)を有している。第2導電抵抗層は、第2電気絶縁層により、第1導電抵抗層の第2電気接点から電気的に隔離されている。
【0028】
実施形態では、ヒーティングシステムは、さらに第4電気絶縁層と第3導電抵抗層を有している。第3導電抵抗層は、電気絶縁層の1つにプリントされることなどて、第4電気絶縁層と第1電気絶縁層の間に挟まれており、第1導電抵抗層の第1電気接点と電気的に接続された第1電気接点(中和接点)を有している。また、第3導電抵抗層は、第1電気絶縁層によって、第1電気絶縁層の第2電気接点から電気的に隔離されている。
【0029】
実施形態では、ヒーティングシステムは、さらに1つの電気接点(グランド接点あるいはアース接点)をもつ少なくとも1つの導電低抵抗層を有している。導電低抵抗層およびその電気接点は、電気絶縁層の1つによって、第1導電抵抗層と第2導電抵抗層から電気的に隔離されている。
【0030】
実施形態では、ヒーティングシステムは、さらに少なくとも1つの導電抵抗層と重なり合う第4電気絶縁層を有している。
【0031】
実施形態では、ヒーティングシステムは、さらに第1電気絶縁層と第3電気絶縁層の1つと重なり合うセメント質タイル膜を有している。
【0032】
実施形態では、ヒーティングシステムは、さらに、第1電気絶縁層と第3電気絶縁層の1つと重なり合い、セメント質タイル膜と重なり合わない基材層を有している。
【0033】
実施形態では、第2導電抵抗層の抵抗材料は、第1導電抵抗層の抵抗材料より大きな横と縦の寸法を有している。
【0034】
実施形態では、床は、基板、ヒーティングシステム、および装飾床表面を有している。ヒーティングシステムは、第1電気絶縁層、第2電気絶縁層、第3電気絶縁層、第1電気絶縁層と第2電気絶縁層に挟まれた第1導電抵抗層、第2電気絶縁層と第3電気絶縁層に挟まれた第2導電抵抗層を有している。
【0035】
第1導電抵抗層は、第1電気接点と第2電気接点を有している。この第1電気接点と第2電気接点は、第1電気接点と第2電気接点の間に延びる第1導電抵抗層の電気抵抗材料でのみ互いに電気的に接続されている。
第2導電抵抗層は、第1導電抵抗層の第1電気接点と電気的に接続された第1電気接点を有している。第2導電抵抗層は、第2電気絶縁層により、第1導電抵抗層の第2電気接点から電気的に隔離されている。
【0036】
実施形態では、装飾床表面が、ラミネート床材と木材床のいずれかである。
【0037】
実施形態では、装飾床表面が、セラミックタイルか自然の石である。また、床は、さらに、基板とヒーティングシステムの間に位置する接着材、およびヒーティングシステムとセラミックタイルあるいは自然の石の間に位置するモルタルを有している。
【0038】
実施形態では、基板が、木材、セメント、リノリウム、セラミックタイルあるいは自然の石、あるいはこれらからの組合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの分解斜視図である。
【図2】図1のヒーティングシステムにおける3つの層の平面図である。
【図3】図1のヒーティングシステムにおける1つの共通の層と2つの追加の層である。
【図4】図1のヒーティングシステムの模式化側面断面図である。
【図5】本発明のヒーティングシステム模式化電気回路図である。
【図6】ヒーティングパネル22の模式化平面図である。
【図7】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、第2抵抗中和面を示す分解斜視図である。
【図8】図7のヒーティングシステムの模式化側面断面図である。
【図9】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、グラウンド面を示す模式化側面断面図である。
【図10】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、2つのグラウンド面を示す模式化側面断面図である。
【図11】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、セメント質層を示す模式化側面断面図である。
【図12】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、セメント質層と基材層を示す模式化側面断面図である。
【図13】図12の実施形態で、基材層の詳細を示す模式化側面断面図である。
【図14】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、機能材層と自己接着層を示す模式化側面断面図である。
【図15】本発明の原理を具体化したヒーティングシステムの別の実施形態で、硬質パネルコンポジット質層を示す模式化側面断面図である。
【図16】本発明のヒーティングシステムを用いた暖房床の模式化側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態では、図1〜4に説明しているように、ヒーティングシステム20は、多層であるが、それでも薄く、フレキシブルなパネル22の形状で提供される。パネル22は、第1絶縁層24、第2絶縁層26、第3絶縁層28を含む複数の層でなっている。これらの絶縁層は、低誘電率であるポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンあるいはその他ポリマーなどのポリマーから形成されるのが好ましい。
【0041】
第1導電抵抗層30は、第1電気絶縁層24と第2電気絶縁層26の間に挟まれている。第2導電抵抗層32は、第2電気絶縁層26と第3電気絶縁層28の間に挟まれている。導電抵抗層30、32は、電気抵抗器の機能をして、電流が流れることで熱を発生する。
【0042】
第1導電抵抗層30は、第1電気接点(中和接点)34と第2電気接点(ライブ接点)36を有している。第1電気接点34は、バスであり、第2電気絶縁層26のほとんどの長さに沿って延び、第2電気絶縁層のそれぞれの周縁38、40の手前で止まり、第2電気絶縁層の長さ方向の第1周縁42と平行であるが、内側に間隔を置いている。第2電気接点36は、バスであり、第2電気絶縁層26のほとんどの長さに沿って延び、第2電気絶縁層のそれぞれの周縁38、40の手前で止まり、第2電気絶縁層の長さ方向の第2周縁44とは平行であるが、内側に間隔を置いている。第1電気接点34と第2電気接点36は、パネル22で、第1電気接点と第2電気接点の間に延びる第1電気絶縁層30の電気絶縁材料によってでのみ互いに電気的に接続されている。
【0043】
実施形態で、第1導電抵抗層30は、導電性インク−ベースの輻射ヒーターであり、第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26にプリントされた複数の導電性インク−ベースの抵抗帯46である。
【0044】
いくつかの異なるタイプの導電性インク−ベース輻射ヒーター30が、商業的に市販されている。 1つのタイプの導電性インク−ベースの輻射ヒーター30は、種々の抵抗を有する炭素−ベースインクでプリントされる。別のタイプの導電性インク−ベースの輻射ヒーター30は、種々の抵抗を有する銀を含むインクでプリントされる。また、別の導電性インク−ベースの輻射ヒーター30は、ポリエステルフィルム上にプリントされた回路である。
【0045】
第1導電抵抗層30に好ましい導電性インク−ベース輻射ヒーターは、カレスコ・ノレス社(Calesco Norrels)〔イリノイ州、エルジン(Elgin)〕から市販されているものと同じである。熱は、ポリマーシートである第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26の上にプリントされたインクの抵抗帯46で供給される。
【0046】
抵抗帯46は、公知の方法を用いてポリマーシート24、26に配置される。抵抗帯46を作る1つの技術は、炭素−ベースのインクでプリントすることである。
【0047】
乾燥して抵抗性の材料を作り、導電性インク−ベース輻射ヒーター30が曲げられるときに剥がれ落ちないあるいは剥離しないようにポリマーシート24、26に密着する導電性インクが選択される。実施形態では、ポリマーシート24、26は、ポリエステルで作られている。
【0048】
第1導電抵抗層30の電気抵抗帯46は、互に平行に並べられ、その端部48、50が、第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26の長さ方向の第1周縁42および第2周縁44から離れている。別の実施形態では、電気抵抗帯46は、互いに十字交差していてもよく、あるいは、曲線その他の非線形形状でもよい。
【0049】
抵抗帯46は、図5に示したように、第1電気接点34と第2電気接点36である少なくとも2つのバスを用いて電気回路52をなしている。バス34、36は、第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26の互いに反対側になる抵抗帯46のそれぞれの端部48、50、あるいはその近くに置かれる。このように、抵抗帯46は、第1電気接点34と第2電気接点36であるバスに、互いに平行にして接続される。
【0050】
さらに追加のバス53を、例えば抵抗帯46の中央部に接続して所望するように加えることができる(図6を参照)。このような追加のバスを用いることで、以下に述べるように寸法を合わせるときにバスの一部を切断して熱を供給しないシート22の領域を小さくすることができる。
【0051】
追加のバス53が使用された場合、中央のバス53は回路52のライブ接点Lに接続し、そして外側のバス34、36は中和接点Nに接続する。好ましいバスの例は、銅箔あるいはその他の導電性材料である。実施形態では、バス34、36の1端54を第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26の周縁38に迄延ばし、電気導線としての役割をさせている。
【0052】
必要により、抵抗帯46と、第1電気接点34と第2電気接点36の間に薄い導電性材料56を置いて交差させ、両者の間の導電性を良くする。好ましくは、導電性材料は、導電性ポリマーである。有機の導電性ポリマーの一般的なものには、ポリ(アセチレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリテトラチアフルバレン)、 ポリナフタレン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、およびポリ(p−フェニレンビニレンである。
【0053】
第1電気接点34および第2電気接点36と導電性材料56は、第1電気絶縁層24あるいは第2電気絶縁層26の、第1導電抵抗層30が適用されていない方に結合される。
【0054】
ワイヤーのような電気導線58は、第1電気接点34および第2電気接点36から少なくともパネル22の周縁38迄あるいはパネルを超えて延びていてもよい。また、電気導線58は、第1電気接点34と第2電気接点36からの、あるいはワイヤーあるいはバス以外の電気導線からの延長であってもよい。
【0055】
第2導電抵抗層32は、第1導電抵抗層30の第1電気接点34と電気的に接続されている第1電気接点60(中和接続)を有している。第2導電抵抗層32は、第2電気絶縁層26によって、第1導電抵抗層30の第2電気接点36から電気的に隔離されている。第2導電抵抗層32は、第1導電抵抗層30と実質同じようにして、プリントされた抵抗帯61で作られるが、典型的には第1導電抵抗層の抵抗と等しいかあるいはそれより高い抵抗である。第1電気接点60としてバスの使用、導電性インクの使用、および導電抵抗層と第1電気接点間の導電性材料の使用など他の全ての点で、第1導電抵抗層30におけると同じである。
【0056】
図5の電気回路図に示したように、第1導電抵抗層30の第1電気接点34および第2導電抵抗層32の第1電気接点60は、回路52の中和接点(neutral connection)Nに接続され、一方、第1導電抵抗層30の第2電気接点36が、電力回路のライブまたはホット接点(live or hot connection)Lに接続されている。この接続で、ビルディングの主電気回路の回路電源から第2電気接点36を通って、第1導電抵抗層30に電流が供給され、る。しかしながら、電流は、回路電源から第2導電抵抗層32には供給されない。
【0057】
第1導電抵抗層30から電流のリークがあり、第2導電抵抗層が大きい抵抗を持つことから第2導電抵抗層32に遮られると、このリーク電流は、中和接点60に流れて、高電流の漏れや過剰なヒートフラックスを起さない。それ故に、第2導電抵抗層32は、この場合には抵抗中和面とみなせる。 抵抗中和面32を使用すると、広範囲の導電性インクを使ってヒーティングエレメントの設計ができる可能性を与えることになり、導電性インクが広範囲の表面抵抗を選択でき、プリント領域を大きくしても、電流リーク対策、火災に対する安全性を同時に満たすことになる。
【0058】
抵抗中和面32は、事故による短絡があったときにも、電流のリークを少なくし、パネル22に過度な熱発生を抑える道具となる。抵抗中和面32は、第1導電抵抗層30の上あるいは下に置かれる。抵抗中和面32は、高電気抵抗の導電性インクで作られる。
【0059】
炭素粒子で作られた導電インクは、好ましいインクの例である。その他、銀、ニッケル、アルミニウム、炭素、あるいはこれらから2種以上の組合わせた粒子を含む導電性インクがある。抵抗中和帯61の電気抵抗、幅、厚さ、および長さは、電気的安全性と火災安全性を達成するために特に調整される。火災安全性は、導電性インク抵抗帯61によって発生する最大ヒートフラックスを、予め定めた限界以下にすることで確保できる。
【0060】
第1導電抵抗層(ヒーティングエレメント)30の抵抗帯46の幅は、プリントされた抵抗中和面32の抵抗帯61の幅と同じあるいはそれ以下であることが好ましい。 更に、主回路のプリントされた導電性インクヒーティングエレメント30は、抵抗中和面32と重ね合わされ、完全に覆われているのが好ましい。つまり、実施形態では、第1導電抵抗層30の導電性材料は、第1電気絶縁層24と第2電気絶縁層26の間で横と縦の大きさをもち、第2導電抵抗層32の導電性材料は、第1導電抵抗層の導電性材料と少なくとも同じ横と縦の大きさである。
【0061】
第1導電抵抗層30に使用される第1導電抵抗インク、第2導電抵抗層32に使用される第2導電抵抗インク、第1導電抵抗層(ヒーター)の幅、第2導電抵抗層(中和面)の幅は、ヒーティングシステム20により発生する最大ヒートフラックスが、隣り合う表面の臨界ヒートフラックス、あるいはヒーティングシステムのどの成分材料の最低ヒートフラックスより小さくするように選ばれる。
【0062】
このヒーティングシステムがビルディング建築の床材として使用されているときには、電流リークと、事故による短絡を考慮しなくてはならない。抵抗中和面層32は、ヒーター層30とほぼ平行に位置する導電性表面である。抵抗中和面は、リーク電流を集め、これを中和ターミナルに流すことができる。
【0063】
抵抗中和面層32の相対抵抗値およびヒーター層30の抵抗値は、抵抗中和面層とヒーター層の間に短絡があった場合に、電流、電力およびヒートフラックスを最少となるように設計される。中和平面層32が、低表面抵抗値を持つようにすると、電源の近くで短絡が起きると、ヒートフラックスが大きくなる。
【0064】
ある状況の下では、これは、1つ以上のポリマーフィルムの融解、および/または硬質木材床あるいは木材−ベースの下張り床などの隣接表面の発火により起きる。これらの問題は、ヒーティングシステム20を、最高ヒートフラックスが、どのヒーター成分の臨界ヒートフラックスよりも、あるいは隣接表面の臨界ヒートフラックスよりも低くなるように設計することにより解決できる。
【0065】
本発明によれば、抵抗中和面の表面抵抗を、好ましくは1正方形当たり30オーム以上、より好ましくは1正方形当たり60オーム以上、さらに好ましくは1正方形当たり100オーム以上とする。表面抵抗が、最高で1正方形当たり2000オームの導電性インクが、本発明の抵抗中和面のプリントに有効に使用される。ヒーター上に非常に幅の大きい抵抗中和面をプリントすることが望まれる場合には、最高1正方形当たり2,000,000オームの導電性インクを、本発明の抵抗中和面をプリントに使用する。
【0066】
図1に示したような長方形、あるいは所望する他の形状の周縁をもったフレキシブルなパネル22が形成される。長方形で形成されると、パネルの適用により種々の大きさにすることができる。例えば、パネルは、幅が12インチあるいは18インチ、あるいは12インチあるいは18インチの倍数、あるいは幅が25センチメートル、あるいは25センチメートルの倍数で提供される。また、パネル22は、長さが12インチあるいは18インチ、あるいは12インチあるいは18インチの倍数、あるいは長さが25センチメートル、あるいは25センチメートルの倍数で形成される。もちろん、パネル22の特別の適用によっては、これより小さいあるいは大きいサイズも選ばれる。
【0067】
実施形態では、図7、8に示したヒーティングシステム20は、さらに第4電気絶縁層62と第3導電抵抗層64を有している。 第3導電抵抗層64は、第4電気絶縁層62と第1電気絶縁層24の間に挟まれ、第1導電抵抗層30の第1電気接点34と電気的に接続された第1電気接点66を有している。第3導電抵抗層64は、第1電気絶縁層24によって、第1導電抵抗層30の第2電気接点36から電気的に隔離され、抵抗中和面となっている。
【0068】
第3導電抵抗層64は、第2導電抵抗層32と本質的に同じように作製される。第3導電抵抗層64の使用により、第2導電抵抗層32と反対方向に流れる電流リークは、第3導電抵抗層が大きな抵抗を持っているので第3導電抵抗層64によって遮断され、高電流を外に流すことなく中和接点の方に流すことになる。
【0069】
図9に示した実施形態では、ヒーティングシステム20は、さらに電気接点70をもつ少なくとも1つの導電低抵抗層68(グラウンド面)を有している。導電低抵抗層68は、銅、銀、アルミニウムなどの高導電性(低電気抵抗性)材料で形成される。導電低抵抗層68およびその電気接点70は、第1絶縁層24、第2絶縁層26、第3絶縁層28の1つにより、第1導電抵抗層30および第2導電抵抗層32から電気的に隔離されている。
【0070】
ヒーティングシステム20は、さらに、導電低抵抗層68と重なり合う少なくとも1つの第4電気絶縁層72を有している。電気接点70は、グラウンド接点G(図5)に接続され、何らかの電流リークがあったとき、その電流が、導電低抵抗層68に流れて、直ちにグラウンドに向うようする。導電低抵抗層68は、第1導電抵抗層30あるいは第2導電抵抗層32より実質的に小さい抵抗であるので、導電低抵抗層68に流れる電流は、非常に大きく、回路52にある電流ブレーカーや漏電遮断器を落すことになる。
【0071】
導電低抵抗層68は、パネル22層に重大な欠陥が生じてリークして特定パネルの取替えが必要になるような電流を遮断するように設計されている。導電低抵抗層68は、第1導電抵抗層30と第2導電抵抗層32と同様にして、導電抵抗層の1つにインクをプリントして作成される。しかしながら、この層を形成するインクの抵抗は、導電抵抗層に使用されるインクの抵抗よりも遥かに低くなければならない。
【0072】
また、別に、ポリマーシートにラミネートされた薄い金属箔材料(アルミニウム、銅、銀など)は、導電低抵抗層(グラウンド面)として使用され、地面に接続されて電気的に安全にできる。
【0073】
導電低抵抗層68は、設置の特殊性によりパネル22の第1導電抵抗層30と第2導電抵抗層32の上または下のいずれか一側にのみ設ける。あるいは導電低抵抗層68は、パネル22の第1導電抵抗層30と第2導電抵抗層32の上と下の両側に置いてもよい(図10)。導電低抵抗層68は、パネルの全表面を覆う広いシート形状、あるいは電気バスと同様にパネル22の長さ方向に沿う単一あるいは多数の狭い帯の形状である。
【0074】
図11に示した実施形態では、ヒーティングシステム20は、さらに第1電気絶縁層24および第2電気絶縁層28の1つを覆うセメント質タイル膜74が、接着材75で保持されている。
【0075】
好ましいセメント質タイル膜74は、2008年3月23日に発行された米国特許7,347,895号“フレキシブル水硬性組成物”、ヨーロッパの特許EP179179号、および2006年3月16日に公開された米国特許出願US2006/0054059号“フレキシブルおよび巻上げ可能なセメント質膜およびその製造方法”に記載され、ここに全ての目的のために参考として挙げる。
【0076】
フライアッシュを少なくとも55%含む如何なる水硬性成分も、セメント質タイル膜74に使用できる。クラスCの水硬性フライアッシュあるいはその等価物は、最も好ましい水硬性成分である。このタイプのフライアッシュは、石灰濃度の高いフライアッシュで、ある種の石炭の加工工程から得られる。ここに参考で挙げるASTMのC−618には、クラスCフライアッシュ〔ベイユーアッシュ社(Bayou Ash Inc.)、ルイジニア州ビッグケイジャン(Big Cajun)〕の特性が記載されている。
【0077】
このフライアッシュは、水と混合すると、セメントあるいは石膏と同様に硬化する。フライアッシュと組合わせて、高アルミナセメントを含むセメント、無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水化物あるいは硫酸カルシウム二水和物を含む硫酸カルシウム、その他水硬性成分、およびそれらの組合わせなど他の水硬性の成分を使用することも考えられる。フライアッシュ混合物の使用も考えられる。
【0078】
シリカヒューム〔SKW・シリシウム・ベカンクー(SKW Silicium Becancour)、カナダ、ケベック州サンローラン(St. Laurent)〕は、別の好ましい材料である。全組成物は、好ましくは水硬性成分が重量で約25%から約92.5%である。
【0079】
ポリマーは、水溶性で、フィルム形成性のポリマーであり、好ましくはラテックスポリマーである。このポリマーは、液体形状でも、あるいは再分散可能な粉体としても使用することができる。特に好ましいラテックスポリマーは、アクリル酸のメチルメタクリレートコポリマー〔フォルトンVF−774ポリマー((Forton VF 774 Polymer)、EPS社(EPS Inc.)、イリノイ州メレンゴ(Marengo)〕と酢酸ブチルである。このポリマーは、任意の量で加えられるが、好ましくは乾燥固体ベースで約5%から35%である。
【0080】
2つの連結マトリックス構造を形成するには、この組成物に水が存在しなければならない。組成物中の合計の水は、水をシステムに加える時に考慮されなくてはならない。
ラテックスポリマーが、水性懸濁液の形状で供給される場合には、ポリマーの分散に使用されている水は、組成物中の水に包含されなければならない。
【0081】
混合物を流動性にするのに水は如何なる量であってもよい。好ましくは、組成物中に約5から約35%の水が使用される。
【0082】
特定の使用目的に改善するために、セメントあるいはポリマーセメント用の周知の添加物が、この発明のいずれの実施形態においても有用である。種々の理由から、フィラーが加えられる。拡張パーライト、その他拡張材料、ガラス、セラミック、プラスチックミクロスフェアなどの軽量フィラーを加えると、この組成物および最終製品をより軽量にすることができる。ミクロスフェアは、組成物中に入れられるとガスを小さな泡状にカプセル化することでその密度を下げ、全製品の重量を減らす。発泡剤は、従来からの量で使用して、製品の密度を下げるに有用である。
【0083】
従来からの無機フィラーおよび骨材は、コストを下げ、収縮クラッキングを少なくするに有用である。典型的なフィラーには、砂、タルク、雲母、炭酸カルシウム、焼成クレイ、軽石、粉砕あるいは拡張パーライト、火山灰、稲藁灰、珪藻土、スラグ、メタカオリン、およびその他ポゾラン材がある。これら材料の量は、強度などの性状が損なわれる点を超えないようにすべきである。非常に薄い膜あるいは下塗りで適用するときには、砂やミクロスフェアのような非常に小さいフィラーが好ましい。
【0084】
仕上がったセメント質タイル膜74組成物の色を変えるために、着色剤が任意に加えられる。フライアッシュは典型的に灰色であり、クラスCのフライアッシュは、クラスFのフライアッシュより通常軽い。組成物と一緒にできる如何なる染料あるいは顔料も使用し得る。二酸化チタンは、任意に白くするのに使用される。好ましい着色剤は、ケンタッキー州シンチアナ(Cynthiana)のソリューションディスパージョン社(Solution Dispersions)から市販されているアジャック・ブラック(Ajack Black)がある。
【0085】
水硬性成分の硬化時間を加速あるいは遅延させる硬化コントロール剤は、これら組成物において使用が考えられる。硬化コントロール剤の正確な量は、使用される水硬性成分と、硬化時間を変える程度に依って変わる。
【0086】
補強材は、セメント質タイル膜74に加えられて強度を高めることができる。任意に、組成物にファイバーまたはメッシュを加えることができる。鉄鋼ファイバー、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどのプラスチックファイバー、およびガラスファイバーが推奨されるが、補強材の範囲はここで限定されない。
【0087】
高流動化剤は、水硬性スラリーの流動性を改善することが知られている。高流動化剤は、溶液中の分子を分散して互いに動き易くし、スラリー全体の流動性を改善する。ポリカルボキシレート、スルホン化メラミン、スルホン化ナフタリンが、高流動化剤として知られている。好ましい高流動化剤には、マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge)のグレース・コンストラクション・プロダクツ社(Grace Construction Products)からのADVA・キャスト(ADVA Cast)、ジョージア州セダータウン(Cedartown)のゲオ・スペシャリティ・ケミカルス社(Geo Specialty Chemicals)のGW・スーパープラスチサイザー(GW Superplasticizer)がある。これらの材料を添加することで、施工者が、特別の適用に対してスラリーの流動性を調整できる。
【0088】
収縮減少剤は、セメント質タイル膜74のコーティングが乾燥したときに、プラスチック収縮クラッキングを減らすようにする。収縮減少剤は、一般に、表面張力を変えるように機能して、スラリーが乾燥する時に流れる。グリコール類は、好ましい収縮減少剤である。
【0089】
実施形態では、ヒーティングシステム20は、さらに、第1電気絶縁層24と第3電気絶縁層28の、セメント質タイル膜74によって覆われていない方の1つを覆う基材層76を有している。
【0090】
ヒーティングシステム20のための好ましい基材層76は、少なくとも1つの第1スパンボンド薄片78(図13)である。 第1スパンボンド薄片78は、任意にヒーティングシステムパネル22に直接接合される。別の実施形態では、任意な溶融成型薄片80が、水あるいは他の液体が基材層76を通って水あるいは他の液体が流れるのを抑えるに加え、液体が基材層76を通って移動するのを抑えている。第1スパンボンド薄片78は、溶融成型薄片80の上面に配置され、基材層76の少なくとも1つ面を多孔性にしている。スパンボンド材料が多孔性であることで、パネルをタイル床に使用したときに、モルタルの透過性と吸収性を高めることができる。大きなファイバーをモルタルの硬いマトリックスに組み入れると、強い結合ができる。
【0091】
任意に、第2スパンボンド薄片82が、第1スパンボンド薄片78とは反対側表面の溶融成型薄片80上に存在する。 この実施形態では、溶融成型薄片80が、第1スパンボンド薄片78と第2スパンボンド薄片82の間に挟まれている。この実施形態は、両側に同じ表面を持っていて、どちらの面にヒーターパネル22を施すか、どちらの面を新しい装飾床張りあるいは他の表面とするかは問題にならないという長所がある。
【0092】
第1スパンボンド薄片78、溶融成型薄片80および第2スパンボンド薄片82の薄片は、任意に適切な手段によって互いに接合される。三層合板あるいはこのタイプは、ジョージア州ロスウェル(Roswell)のキンバリー・クラーク社(Kimberly−Clark)によるS−M−Sラミネート(S−M−S laminate)として入手できる。この製品はポリプロピレンファイバーで作られている。
【0093】
液体に対して障壁を設けているが、この材料は通気性であり、水蒸気が通り抜けることができる。最終の適用と仕上がりの必要から、特別の適用にはその他の薄片がよりふさわしいことがある。ここに参考に挙げる米国特許4,041,203号では、S−M−Sラミネートと、その作成方法を充分記載している。
【0094】
ヒーティングシステムのまた別の実施形態を、図14に示している。 この実施形態では、上記したような多層であり、単一機能あるいは多機能の新しい機能材層84が、接着層86によってパネル226に接着されている。
【0095】
例えば、機能材層84は、音抑制材料であり、断熱材料であり、電気絶縁材料であり、防水性材料であり、耐クラック材料であることができる。さらに、この機能材層84は、個々の特性をもつ成分の層により1つ以上の特性を与えてもよく、あるいは、1つ以上の特性を単一の層で与えてもよい。
【0096】
機能材層84となり得る成分の例として、音、特に衝撃音を抑える特性は、低密度フォーム、ゴムあるいはプラスチックの層で達成できる。パネル22に機能材層84を保持する接着層86は、感圧性接着トランスファーテープ、感圧両面接着テープ、あるいはスプレーまたは液体接着材がある。
【0097】
耐クラック分裂性および防水性を高めようとするには、両面接着テープの使用が好ましい。断熱および/または電気的な絶縁がなされる低密度発泡体には、3Mポリエチレンフォームテープ4462あるいは4466などのポリエチレンフォーム、3Mウレタンフォームテープ4004あるいは4008などのポリウレタンフォーム、3Mポリビニルフォームテープ4408あるいは4416などのポリビニルフォーム、インターナショナル・テープ社(International Tape Company)のポリエチレンフォームテープ316あるいは332などのエチレン−酢酸ビニルフォーム、3M―VHB−4941閉鎖セルアクリルフォームテープ群などのアクリルフォーム、パーマセル(Permacel)−EE1010閉鎖セルEPDMフォームテープなどのEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー)フォーム、サン・ゴバン(Saint−Gobain)512AV.062および512AF.094フォームテープなどのシリコーンフォーム、がある。
【0098】
ラバーフォームには、3M−500インパクトストリッピングテープと510−ステンシルテープがある。エラストマーフォームには、3M−4921エラストメリックフォームテープとエイブリー・デニスン(Avery Dennison)XHA−9500フォームテープがある。ラバーあるいはリサイクルラバーシートは、アモリウム・インダストリー・ソリューションズ社(Amorim Industrial Solutions)あるいはIRPインダストリー・ラバー(IRP Industrial Rubber)社から入手できる。
【0099】
接着層88と剥離シート90の使用で、パネル22を、剥がしてくっ付けるという性状で所望の基板表面に自己接着できるようにしている。これにより、施工者は、パネルを、接着材を混合して適用することなしに、接着材がパネルを充分に覆い、正しい量で適用されて速やかに所定の場所に設置できるようになる。
【0100】
本発明のさらに別の実施形態を、図15に示している。図15では、図14で記載した(剥離シート90以外の)全ての層を有している。さらに、この実施形態は、硬いパネル複合層92を有している。これによりヒーティングシステム20は、床、壁、天井および建物の他の構造成分と組合わせることができる。
【0101】
この硬いパネル複合層92は、メッシュで補強されたセメントボード、ファイバー強化セメントボード、石膏パネル、石膏ファイバーパネル、合板、配向性ストランドボード、あるいはその他タイプの木材ベースパネル、およびその他硬質パネル複合物がある。このパネル厚さは、0.125〜10インチ、好ましくは0.250〜2インチ、そして最も好ましくは0.250〜1インチの範囲である。
【0102】
図16に示す実施形態では、床94は、基板96、ヒーティングシステム20、および装飾床表面98がある。ヒーティングシステム20は、上記したようなものである。 装飾床表面98は、ラミネート床、木製床、セラミックタイル、あるいは自然な石であることができる。
【0103】
床は、さらに、基板96とヒーティングシステム20の間に位置した接着材100、ヒーティングシステムとセラミックタイルあるいは自然の石との間にモルタル102がある。基板96は、木材、セメント、リノリウム、セラミックタイル、自然の石、あるいはこれらからの組合せである。
【0104】
ヒーティングシステム20は、ある標準サイズで作製されと考えられる。入手できる最大のサイズより大きな領域に対しては、2つ以上のパネル22を互いに取付け可能であり、1つのヒーターからのライブバス接点36が、1つ以上の隣接したパネルのライブバス接点に電流を流す。それぞれの中和接点34、60は、同様に互いに電気的に接続される。この技術により、実質的に如何なる大きさの部屋にでも暖房表面を作ることができる。
【0105】
このヒーターの利点は、この床材が設置される現地で切断でき、形を変えられることである。 ヒーティングシステム20のパネル22は、如何なる形にも合うように切り落とすことができ、注文仕様である必要がない。ヒーターは、設置時に、例えば、ヒーティングやクーリングのベント、配管設備、種々の形の備え付けキャビネットなどに合うように、ヒーターを切断できる。
【0106】
ヒーティング帯46のあるものは、熱を出さないものであることがあるが、切断していないヒーティング帯が、隣接した表面を暖め続ける。特別の設置要件に合せるためにパネル22を切断する必要がある場合、この実施形態では、抵抗帯が互いに間隔を置いて平行になっており、パネルは、抵抗帯46と平行な(図6のライン104のような)ラインに沿って切ることができる。この場合、バス34、36の2つの露出部分は、絶縁テープ、液体の非導電性ポリマー、あるいは電気絶縁のその他の既知方法でパネルの切断端部から絶縁、分離する必要性が生じる。設置の大きさにより、パネル22の長さ方向に切断(抵抗帯46の全てが切断される)が必要なときには、切断抵抗帯の多数の露出端部を電気的に絶縁するのを避けるために、狭く組立てたパネルを入手する、あるいは床下のヒーターを設ける領域を限定するのが好ましい。パネル22は、並列接続(図5参照)で回路を接続しているので、必要により追加のパネルを加えることができる。
【0107】
ここに記載した組合せ以外に、上記とは異なる種々の層を用いて、パネル22に多くの変化をもたらすことができる。単一のヒーティング層30と抵抗中和面32層を用いた層のみを示したが、上記とは異なる他の層を組合せることで、所望する機能を有する特別のパネルができる。
【0108】
抵抗中和面をもつヒーターの特別の実施形態を示し、記載したが、熟練した当業者であれば、広く本発明を逸脱することなく、これを変更、修正できる。特別の断りのない限り、ここに明らかにした任意な層は、他の任意な層と共に使用されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気絶縁層、第2電気絶縁層、第3電気絶縁層、前記第1電気絶縁層と前記第2電気絶縁層の間に挟まれた第1導電抵抗層、前記第2電気絶縁層と前記第3電気絶縁層の間に挟まれた第2導電抵抗層、を有する多層パネル形状のヒーティングシステムであって、
前記第1導電抵抗層が、第1電気接点と第2電気接点を有し、
前記第1電気接点と前記第2電気接点が、前記第1電気接点と前記第2電気接点の間に延びる前記第1導電抵抗層の電気抵抗材料により互いに電気的に接続され、
前記第2導電抵抗層が、前記第1導電抵抗層の前記第1電気接点と電気的に接続された第1電気接点を有し、そして
前記第2導電抵抗層が、前記第2絶縁層により第1導電抵抗層の前記第2電気接点から電気的に絶縁されている、
ことを特徴とするヒーティングシステム。
【請求項2】
さらに、第4電気絶縁層と第3導電抵抗層を有し、
前記第3導電抵抗層が、前記第4電気絶縁層と前記第1電気絶縁層の間に挟まれ、
前記第1導電抵抗層の前記第1電気接点と電気的に接続された第1電気接点を有し、
前記第1電気抵抗層により前記第1導電抵抗層の前記第2電気接点から電気的に隔離されている、
ことを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項3】
さらに、電気接点を有する少なくとも1つの導電性低抵抗層を有し、
前記導電性低抵抗層とその電気接点が、前記電気絶縁層のいずれかにより前記第1電気絶縁層と前記第2電気絶縁層から電気的に隔離されていることを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項4】
さらに、前記第1電気絶縁層と前記第3電気絶縁層の1つと重なり合うセメント質タイル膜を有することを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項5】
さらに、前記第1電気絶縁層と前記第3電気絶縁層の1つと重なり合い、前記セメント質タイル膜とは重なり合わない基材層を有することを特徴とする請求項4記載のヒーティングシステム。
【請求項6】
前記第1電気絶縁層、前記第2電気絶縁層、前記第3電気絶縁層、および前記第1導電抵抗層と前記第2導電抵抗層のそれぞれが、薄く、フレキシブルであり、多層パネルにした時にもそのパネルが薄く、フレキシブルであることを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項7】
前記第1導電抵抗層が、前記第1電気絶縁層と前記第2電気絶縁層の1つの上にプリントされた一連の導電性インク帯であり、
前記第2導電抵抗層が、前記第2電気絶縁層と前記第3電気絶縁層の1つの上にプリントされた一連の導電性インク帯であることを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項8】
前記第2導電抵抗層の抵抗が、前記第1導電抵抗層の抵抗より大きいことを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項9】
前記第1電気絶縁層、前記第2電気絶縁層および前記第3電気絶縁層が、ポリマーシートであることを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。
【請求項10】
さらに、接着材を用いて多層合板パネルに接着された多機能材層を有し、前記多機能材層が、低密度フォーム、ポリマーシート、ラバーシート、およびこれらからの組み合わせからの1つであることを特徴とする請求項1記載のヒーティングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−503275(P2012−503275A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527057(P2011−527057)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057094
【国際公開番号】WO2010/033547
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】