説明

抵抗体の接続構造

【課題】 加締め及び半田付けを省き、組立の作業性を向上することを可能とする。
【解決手段】 両端にリード線37,39を有した抵抗体3を、ベースの接続部に接続する抵抗体3の接続構造において、ベースに固定可能なカバー1を設け、カバー1に、抵抗体3を弾性力によりスナップ止め保持可能な固定爪17,19及びリード線37,39に沿った弾性舌部29,31を設け、ベースにカバー1を固定すると弾性舌部29,31がリード線37,39を介して接続部に弾性的に当接しリード線37,39が接続部に押し付けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のレバースイッチ装置等に供される抵抗体の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の抵抗体の接続構造としては、例えば図10,図11に示すようなものがある。図10は、抵抗体の接続構造を有するレバースイッチ装置の操作レバーの一部を示す断面図、図11は、補足的に示すベースの平面図である。
【0003】
図10の操作レバー101を備えたレバースイッチ装置は、コンビネーションスイッチに備えられ、コンビネーションスイッチは、ステアリングコラムに取り付けられている。操作レバー101は、ベース103と、第1,第2,第3レバー105,107,109と、第1、第2回動ノブ111,113等を備えている。操作レバー101の全体操作によりターンシグナルスイッチ、ヘッドライト切り換えスイッチを動作させ、第1回動ノブ111の操作によりワイパウォッシャスイッチを動作させ、第2回動ノブ113の操作によりフォグランプスイッチを動作させる。
【0004】
また、前記操作レバー101の先端(図10の左側図外)には、定速走行制御用のスライドスイッチが設けられ、前記ベース103には、前記スライドスイッチの操作による電気信号を伝達するためのターミナル116が設けられている。前記ターミナル116の接続部117には、抵抗体119が、取り付けられている(図11参照)。
【0005】
前記抵抗体119の取付は、接続部117の加締め及び半田付けにより行われている。すなわち、抵抗体119は、両端にリード線121を有し、リード線121が接続部117に加締められると共に半田付けされている。従って、抵抗体119をターミナル116に確実に接続することができる。
【0006】
しかし、前記のような接続構造では、抵抗体119の取付の作業工数が多く、組立の作業性向上に限界があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−313191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、組立の作業性向上に限界があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、組立の作業性を向上するため、ベースに固定可能なカバーを設け、前記カバーに、抵抗体を保持可能な保持部及びリード線に沿った弾性部を設け、前記ベースに前記カバーを固定すると前記弾性部が前記リード線を前記接続部に弾性的に押し付けることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抵抗体の接続構造は、ベースに固定可能なカバーを設け、前記カバーに、抵抗体を保持可能な保持部及びリード線に沿った弾性部を設け、ベースに前記カバーを固定すると前記弾性部が前記リード線を前記接続部に弾性的に押し付けるため、抵抗体をカバーと同時にベースに組み付けることができ、またリード線を接続部に接続するための加締め及び半田付けを省くことができるので、組立の作業性を向上することができる。
【0011】
前記保持部が、前記弾性部に隣接して配置され前記抵抗体を弾性力によりスナップ止めする固定爪であり、前記弾性部を、前記カバーにスリットを形成して設けた場合は、抵抗体を固定爪にスナップ止めした状態でカバーをベースに固定すると、弾性部がリード線を介して接続部から当接力を受ける。この当接力により弾性部がカバーに対して撓むことにより弾性部からリード線に弾性力が付与される。この弾性力の付与により、リード線が接続部に押し付けられ、確実に接続することができる。
【0012】
前記弾性部が、前記リード線に向かって突設され該リード線に当接する抑え凸部を備え、前記接続部が、前記リード線を嵌め込む楔状の接続溝を備え、前記弾性部の弾性力により前記抑え凸部が前記リード線を前記接続溝へ押し付ける場合は、接続溝の楔作用で、リード線を接続部へ確実に接続させることができる。
【0013】
前記ベースが、自動車のレバースイッチ装置に設けられ該レバースイッチ装置のスイッチ操作部の操作信号を中継して伝達するものである場合は、レバースイッチ装置の組立の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
組立の作業性を向上するという目的を、弾性部を備えたカバーにより実現した。
【実施例1】
【0015】
図1〜図9は、本発明の実施例1を示し、図1は、ベースにカバーを取り付けた状態の要部斜視図、図2は、同要部側面図、図3(a)は、同要部断面図、図3(b)は、接続部とリード線との接続を示す拡大図、図4は、カバーに抵抗体を取り付けた状態の斜視図、図5は、カバーの平面図、図6は、カバーの正面図、図7は、カバーの側面図、図8は、カバーの裏面図、図9は、図8のSA−SA矢視断面図である。
【0016】
図1〜図4のように、カバー1に、抵抗体3が保持され、このカバー1が操作レバーのベース5に着脱自在に係合固定されている。ベース5は自動車のレバースイッチ装置の操作レバーに設けられ、ターミナルを備えている。ターミナルにより、スイッチ操作部であるスライドスイッチの操作による電気信号を中継して伝達し、定速走行制御装置を動作させるものである。
【0017】
前記カバー1を、図5〜図9をも加えて説明する。図1〜図9のように、前記カバー1は、全体が樹脂により矩形箱状に形成され、天板部7及び側板部9,11,13,15を備えている。
【0018】
前記天板部7には、幅方向(図5では上下方向)中央部に保持部としての固定爪17,19が、例えば3組並設されている。固定爪17,19は、抵抗体3を固定爪17,19の弾性力によりワンタッチでスナップ止めするものであり、天板部7から一体に立ち上げ形成され、先端に鍵状部21,23を備えている。鍵状部21,23の対向側に傾斜したガイド面25,27が設けられている。
【0019】
前記天板部7には、前記固定爪17,19に隣接して弾性部としての弾性舌部29,31が設けられている。弾性舌部29,31は、カバー1の天板部7に設けられたコ字状のスリット33,35により形成されている。弾性舌部29,31は、前記固定爪17,19にスナップ止めした抵抗体3のリード線37,39に沿うように設けられている。
【0020】
前記弾性舌部29,31には、リード線37,39に向かって抑え凸部41,43が一体に突設されている。抑え凸部41,43は、抵抗体3を固定爪17,19にスナップ止めした状態でリード線37,39に当接する。
【0021】
前記側板部9,11には、係合固定用のフック部45がそれぞれ2箇所に設けられている。フック部45は、側板部9,11の外面からベース5側へ突出し、それぞれ係合窓47が設けられている。
【0022】
前記ベース5には、抵抗体取付面49の両側において両側壁51,53に係止突起55が突設されている。抵抗体取付面49には、ターミナルの接続部57が突設されている。接続部57は、例えば3対設けられている。図3(b)のように、接続部57の接続溝59は、くさび形を呈し、リード線37,39が押し付けられると、押し付け力に応じて食い込むようになっている。
【0023】
前記抵抗体3の接続に際し、予め固定爪17,19間に保持させる。すなわち、カバー1を仰向けにして天板部7の内面を上に向ける。この状態で抵抗体3を、固定爪17,19間に対向させ、抵抗体3をそのまま押し込む。この押し込みにより、抵抗体3が固定爪17,19のガイド面25,27に当接し、ガイド面25,27が抵抗体3から力を受ける。この力により固定爪17,19が撓み、ガイド面25,27が開いて抵抗体3が固定爪17,19間にワンタッチで図4のようにスナップ止めされる。スナップ止めの状態では、鍵状部21,23が、抵抗体3に係合し、抵抗体3が、天板部7及び鍵状部21,23間で固定保持される。
【0024】
前記抵抗体3が固定爪17,19間に保持されると、抵抗体3のリード線37,39が抑え凸部41,43に当接し、若干撓んだ状態となる。
【0025】
このような抵抗体3の取付により、各固定爪17,19間に各抵抗体3を保持させる。
【0026】
次いで、カバー1を反転し、抵抗体3をベース5の抵抗体取付面49に対向させる。カバー1をそのまま抵抗体取付面49に押し付け、各フック部45の係合窓47を、ベース5側の各係止突起55に係止させる。
【0027】
このようにカバー1がベース5に固定されると、カバー1の弾性舌部29,31がリード線37,39を介して前記接続部57に弾性的に当接する。すなわち、リード線37,39が接続部57の接続溝59に嵌り、弾性舌部29,31の抑え凸部41,43がリード線37,39を接続溝59へ押し付ける。この押しつけにより、弾性舌部29,31が反力を受け、弾性舌部29,31が若干撓むことで弾性力を発生する。この弾性力は、抑え凸部41,43を介してリード線37,39に付与され、リード線37,39が接続溝59に押し付けられる。この押しつけにより、リード線37,39は、接続溝59の楔作用により該接続溝59に食い込み、確実な接続が行われる。
【0028】
以上、抵抗体3のリード線37,39を接続部57に接続するための加締め及び半田付けを省くことができ、組立の作業性を向上することができる。
【0029】
前記抵抗体3を固定爪17,19にスナップ止めした状態でカバー1をベース5に固定すると、弾性舌部29,31がリード線37,39を介して接続部57から当接力を受ける。この当接力により弾性舌部29,31がカバー1に対して撓むことにより弾性舌部29,31からリード線37,39に弾性力が付与される。この弾性力の付与により、リード線37,39が接続部57の接続溝59に押し付けられ、確実に接続することができる。このとき、接続溝59の楔作用で、リード線37,39を接続部57へより確実に接続させることができる。
【0030】
前記ベース5が、自動車のレバースイッチ装置に設けられレバースイッチ装置の組立の作業性を向上することができる。
【0031】
なお、弾性部は、カバー1にスリットを形成して設けるものに限らず、カバー1とは別体のものをカバー1に取り付ける構成にすることもできる。接続部57の接続溝59は、楔形状に限らず、平行溝で構成することもできる。
【0032】
前記弾性舌部29,31は、接続部57に対向しているが、弾性舌部29,31の弾性によりリード線37,39を接続溝59へ押し付けるものであれば良く、弾性舌部29,31が接続部57に対し位置的にずれたものであっても良い。
【0033】
本発明の抵抗体の接続構造は、レバースイッチ装置以外の装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ベースにカバーを取り付けた状態の要部斜視図である(実施例1)。
【図2】ベースにカバーを取り付けた状態の要部側面図である(実施例1)。
【図3】(a)は、ベースにカバーを取り付けた状態の要部断面図、(b)は、接続部とリード線との接続を示す拡大図である(実施例1)。
【図4】カバーに抵抗体を取り付けた状態の斜視図である(実施例1)。
【図5】カバーの平面図である(実施例1)。
【図6】カバーの正面図である(実施例1)。
【図7】カバーの側面図である(実施例1)。
【図8】カバーの裏面図である(実施例1)。
【図9】図8のSA−SA矢視断面図である(実施例1)。
【図10】抵抗体の接続構造を有するレバースイッチの一部を示す断面図である(従来例)。
【図11】補足的に示すベースの平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 カバー
3 抵抗体
5 ベース
17,19 固定爪(保持部)
29,31 弾性舌部(弾性部)
33,35 スリット
37,39 リード線
41,43 抑え凸部
57 ターミナルの接続部
59 接続溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線を有した抵抗体を、ベースのターミナルの接続部に接続する抵抗体の接続構造において、
前記ベースに固定可能なカバーを設け、
前記カバーに、前記抵抗体を保持可能な保持部及び前記リード線に沿った弾性部を設け、
前記ベースに前記カバーを固定すると前記弾性部が前記リード線を前記接続部に弾性的に押し付ける
ことを特徴とする抵抗体の接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の抵抗体の接続構造であって、
前記保持部は、前記弾性部に隣接して配置され前記抵抗体を弾性力によりスナップ止めする固定爪であり、
前記弾性部は、前記カバーにスリットを形成して設けた
ことを特徴とする抵抗体の接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の抵抗体の接続構造であって、
前記弾性部は、前記リード線に向かって突設され該リード線に当接する抑え凸部を備え。
前記接続部は、前記リード線を嵌め込む接続溝を備え、
前記弾性部の弾性力により前記抑え凸部が前記リード線を前記接続溝へ押し付ける
ことを特徴とする抵抗体の接続構造。
【請求項4】
請求項1又は2記載の抵抗体の接続構造であって、
前記ベースは、自動車のレバースイッチ装置に設けられ該レバースイッチ装置のスイッチ操作部の操作信号を中継して伝達するものである
ことを特徴とする抵抗体の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−88836(P2006−88836A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275534(P2004−275534)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】