説明

押出し機

押出し機(1)において、シリンダクロスヘッドと該シリンダクロスヘッドに結合されたカウンタクロスヘッド(2)とから成るプレスフレーム(3)が設けられており、該プレスフレーム(3)内にリニア走行可能なコンテナキャリッジ(5)が配置されており、該コンテナキャリッジ(5)が、ビレットコンテナ(7)を同心的に取り囲むコンテナホルダ(6)を有していて、装入装置によって装入された、プレスしたいビレットをカウンタクロスヘッド(2)に対応配置されたダイの前方のプレス位置に搬送するようになっており、この場合、コンテナホルダ(6)が、コンテナキャリッジ(5)に対してエアギャップを伴ってコンテナキャリッジ(5)に自己支持的に保持されており、コンテナホルダ(6)が、プレス中心(12)において両側に配置された、直径方向で外側に突き出した支持ウェブ(13)を備えており、該支持ウェブ(13)が、コンテナキャリッジ(5)の保持ブロック(15)の切欠き(14)内に掛け込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出しプレスとも呼ばれるストランド・パイプ押出し機(以下、略称して単に押出し機と呼ぶ)であって、シリンダクロスヘッドとこれに結合されたカウンタクロスヘッドとから成るプレスフレームを有していて、このプレスフレームにリニア走行可能なコンテナキ ャリッジが配置されていて、このコンテナキャリッジは、ビレットコンテナを同心的に取り囲むコンテナホルダを有していて、装入装置によって装入された、プレスプレスしたいビレットをカウンタクロスヘッドに対応配置されたダイの前方のプレス位置に搬送し、この場合、コンテナホルダが、コンテナキャリッジに対してエアを伴ってコンテナキャリッジに自己支持的に保持されている形式のものに関する。
【0002】
このような押出し機は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2003244号明細書により公知である。ビレットコンテナもしくはタンクを備えたコンテナホルダは、鉛直の軸線を中心にして旋回可能にコンテナキャリッジの所定のヨークに支承されている。それにもかかわらず、ビレットコンテナがダイとプレスラムとに整合しないということを排除することはできない。このことはビレットのプレス押出しを妨害し、それどころか場合によっては完全に不可能にしてしまう。したがって、同心的な中心軸線への調整を可能にするために、コンテナキャリッジ全体は一方ではねじによって鉛直に、他方ではコンテナキャリッジ用の走行レールの調節により横方向もしくは側方に調整および調節可能である。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許第19500555号明細書から公知の押出し機の場合には、プレスしたいビレットのビレットコンテナへの装入(記載せず)は通常、次のように行われる。つまり炉内でプレス成形温度に加熱されたビレットが、装入シェルから引き取られ、所定の軸に相対回動不能に配置された旋回アーム(同様に汎用のリニアビレットローダに対する択一的な構成としてのいわゆる旋回ローダ)のプレス軸線への旋回により、ダイとプレスディスクとの間の自由なスペースに運ばれる。走行クロスヘッドと、プレスフレームのガイドを走行可能なコンテナキャリッジとが、調節シリンダによってダイもしくはカウンタクロスヘッドに移動するようになっていて、この場合、ビレットコンテナがビレットに被される。ビレットコンテナを備えたコンテナキャリッジの移動に相応して、軸方向に可動な旋回アームは軸を移動させられ、これによってビレットはプレスラムもしくはプレスマンドレルと、カウンタクロスヘッドもしくはホルダに固定されているダイとの間で緊締される。コンテナキャリッジの移動は、サイドシリンダによって行われる。
【0004】
押出しプレス中、ビレットを大きな変形度を可能にする高い圧力応力が占めている。この高い変形度の前提は、変形物の低い降伏応力である。したがって、最終的には高い温度においてプレスされる。アルミニウム材料の場合には400〜500℃、銅材料の場合には600〜900℃、貴金属もしくは特殊材料の場合には最高で1250℃である。この高い温度に伴い必然的に生ぜしめられる熱膨張は、プレス軸線に対するビレットコンテナの同心的な位置が保持され得るのに大きな困難をもたらす。
【0005】
既述したドイツ連邦共和国特許第19500555号明細書から、コンテナホルダおよび走行クロスヘッドの支持も支持面において行うことが公知である。支持面が、その延長においてプレス軸線と交わるかまたはプレス軸線の近くを延びる、ひいてはプレス軸線に向けられているように傾いて配置されていて、これによって、コンテナとプレスラムとの同心的な位置は、温度変化に伴う熱膨張の影響を受けずに済む。コンテナとプレスラムとをプレス軸線に対して同心的に方向付けするために、コンテナホルダと走行クロスヘッドとを備えたコンテナキャリッジ用のガイドを支持するベースフレームにおいて、ガイドとベースフレームとの間にはサポートが配置されている。このサポートはベースフレームにおいてプレス軸線に対して水平に横方向で調整可能であり、プレス軸線に対してガイドは鉛直に調節可能である。
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の押出し機において、コンテナキャリッジでのビレットコンテナもしくはコンテナホルダの配置形式を改良して、簡単な形式で熱膨張がプレス軸線に対するブレットコンテナの同心的な位置に対して無害となるようにすることである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、コンテナホルダが、プレス中心において両側に配置された、直径方向で外側に突き出した支持ウェブを備えていて、これらの支持ウェブが、コンテナキャリッジの保持ブロックの切欠き内に掛け込まれていることにより解決される。したがって、本発明により離されて支承されたコンテナホルダは、もはや支持ウェブの狭幅な接触面もしくはフィン、つめまたはこれと同様のものでしか、コンテナキャリッジに設けられた保持ブロックに載置していない。ビレットコンテナを備えたコンテナホルダは、コンテナキャリッジから熱的に分離されている。ビレットコンテナの周壁はコンテナホルダ内で膨張することができる。この場合、その都度異なるコンテナ温度が、不変にプレス中心において載置されたコンテナキャリッジに位置するビレットコンテナの同心的な組付け位置に影響を与えることはあり得ない。この場合、単に狭幅な支持ウェブまたはこれと同様のものは熱作用を無視することができ、さらに、鉛直方向で見て前方で開放したU字形の切欠き内に、熱に起因した膨張に対するマージンを有している。
【0008】
コンテナキャリッジにおけるコンテナホルダの自己支持的な支承もしくは保持の確立は、本発明の構成によれば、上方から載置されるカウンタプレートが保持ブロックにねじ締結されることにより達成される。この場合、ねじ締結部は保持ブロックの切欠きの横に延びている。
【0009】
本発明の有利な構成は、コンテナホルダが、プレス中心に対して垂直に設けられた軸方向ウェブによってコンテナキャリッジの底部支持体のスリットに支持されることを提案している。底部支持体は、いわば橋部材としてコンテナホルダの両側に設けられた、プレスフレームのリニアガイドを走行するガイドシューから成るホルダキャリッジを結合している。支持ウェブと協働して、同様に極めて狭幅に構成される場合によってはフィン状の軸方向ウェブは、正確な支持およびガイドもしくは、水平および垂直でのビレットコンテナの同心的な位置決めを可能にする。この場合、軸方向ウェブ、フィンまたはこれらと同様のものは、熱作用を無視することができる。
【0010】
本発明の別の特徴および詳細は、請求項および、図面に示した本発明の実施例の以下の説明から得られる。
【0011】
自体十分に公知な金属押出し機もしくは押出し機1のうち、図1には主として、コンパクトなプレスフレーム3を介してシリンダクロスヘッドに結合されているカウンタクロスヘッド2と、このカウンタクロスヘッド2に前置されている、プレスフレーム3のリニアガイド4を走行可能な、コンテナホルダ6とビレットコンテナ7とを含めたコンテナキャリッジ5とだけが示してある(図2も参照)。炉内で予め加熱されて装入されたビレットの温度を保持するために、ビレットコンテナ7は複数のヒーティングロッド8を有している。
【0012】
ビレットコンテナ7は、組付け位置においてコンテナホルダ6の軸方向溝10と一致しする複数の軸方向溝9を有しているので、ビレットコンテナ7を嵌合キー11(図2参照)を介してコンテナホルダ6に位置固定することができる。したがって、ビレットコンテナ7を同心的に取り囲んでいるコンテナホルダ6は、所定の間隔もしくはエアギャップによりコンテナキャリッジ5から離されて自己支持的に保持される。このためにはコンテナホルダ6は、プレス中心において両側に配置された、直径方向で外側に突き出した、小さく構成されているかもしくは狭幅な支持ウェブ13を有している。これらの支持ウェブ13は、コンテナキャリッジ5の保持ブロック15(図1参照)のU字形の切欠き14に挿入され、したがって、コンテナキャリッジ5に対して僅かな接触面しか有していない。U字形の切欠き14に挿入された支持ウェブ13を位置固定するために、上方からカウンタプレート16が保持ブロック15に載置され、この保持ブロック15にねじ17を使って固定される。
【0013】
橋渡ししている底部支持体18によって互いに結合されている両側のキャリッジユニットを備えたコンテナキャリッジ5は、ガイドシュー19によってリニアガイド4を走行する。底部支持体18には、プレス中心12に対して垂直に軸方向スリット20が形成されていて(図1も参照)、この軸方向スリット20に、コンテナホルダ6の、フィン状に輪郭付けされた狭幅な軸方向ウェブ21が係合している。一方ではプレス中心12に設けられた支持ウェブ13により、他方では軸方向ウェブ21により、コンテナホルダ6はコンテナ7と一緒に、水平方向にも垂直方向にも正確に同心的にプレス中心に位置決めされる。
【0014】
ビレットコンテナ7の周壁は、離された保持に基づき妨害されずに膨張することができるので、同心的な位置決めは、コンテナキャリッジ5でのコンテナホルダ6の、離された自己支持的な配置形式による熱的な分離に基づき、熱作用によって影響を受けないままである。このことは支持ウェブ13もしくは軸方向ウェブ21を介した接触によっても全く損なわれないままである。なぜならば、支持ウェブ13が僅かな狭幅な接触面しか有していないので、熱作用を無視することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】押出し機の1部分の斜視的かつ展開的な部分縦断面図である。
【図2】図1の押出し機の横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し機(1)であって、シリンダクロスヘッドと、該シリンダクロスヘッドに結合されたカウンタクロスヘッド(2)とから成るプレスフレーム(3)が設けられており、該プレスフレーム(3)内にリニア走行可能なコンテナキャリッジ(5)が配置されており、該コンテナキャリッジ(5)が、ビレットコンテナ(7)を同心的に取り囲むコンテナホルダ(6)を有していて、装入装置によって装入された、プレスしたいビレットをカウンタクロスヘッド(2)に対応配置されたダイの前方のプレス位置に搬送するようになっており、コンテナホルダ(6)が、コンテナキャリッジ(5)に対してエアギャップを伴ってコンテナキャリッジ(5)に自己支持的に保持されている形式のものにおいて、
コンテナホルダ(6)が、プレス中心(12)において両側に配置された、直径方向で外側に突き出した支持ウェブ(13)を備えており、該支持ウェブ(13)が、コンテナキャリッジ(5)の保持ブロック(15)の切欠き(14)内に掛け込まれていることを特徴とする、押出し機。
【請求項2】
上方から載置される、保持ブロック(15)にねじ締結されるカウンタプレート(16)が設けられている、請求項1記載の押出し機。
【請求項3】
コンテナホルダ(6)が、プレス中心(12)に対して垂直に設けられた軸方向ウェブ(21)によって、コンテナキャリッジ(5)の底部支持体(18)のスリット(20)内に支持されている、請求項1または2記載の押出し機。
【請求項4】
コンテナキャリッジ(5)が、ガイドシュー(19)でプレスフレーム(3)のリニアガイド(4)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の押出し機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−513215(P2008−513215A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531585(P2007−531585)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001551
【国際公開番号】WO2006/032235
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(597021727)エス エム エス オイムコ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】SMS Eumuco GmbH
【住所又は居所原語表記】Josefstrasse 10, D−51377 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】