説明

押出プレス及び押出プレスの制御方法

【課題】押出工程において押出作用力が変化しても常に一定のコンテナシール力をコンテナとダイスの間に与えて均一な形状の押出製品が得られ、もって製品歩留まりを向上させることができ、かつ、押出に際してエネルギーの消費量が少ない押出プレス及び押出プレスの制御方法を提供する。
【解決手段】メインシリンダ装置によりコンテナに装填したビレットをダイスから押出す際に、メインシリンダの負荷圧力を検出し、該検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出するとともに、該算出した偏差に基づきコンテナシール力の制御手段30に出力することで押出工程の進行に伴って減少してダイスに作用する前記コンテナシール力を一定となるよう、1軸の出力により前記コンテナシール力を加減制御可能とした複数のコンテナシール力の制御手段30と、専ら前記コンテナの前後進移動用にのみ供するコンテナの複数の移動手段28をエンドプラテン10に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出プレス及び押出プレスのコンテナシール圧力制御方法に係り、特にダイスの端面に作用するコンテナシール力が押出の全工程において一定となるようにして製品歩留まりを向上させることができる押出プレス及び押出プレスのコンテナシール圧力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押出プレスは、タイロッドに連結されたエンドプラテンとメインシリンダ装置とを備え、エンドプラテン側にはダイスを挟んでビレットが装填されるコンテナが配され、メインシリンダ装置側にはメインシリンダから出入りするメインラムと一体に駆動されるクロスヘッドにステムを設けている。そして、該ステムをメインシリンダ装置による押出力によって前記コンテナに装填されたビレットを加圧押出し、ダイスから所定の形状の製品を押出形成するようにしている。
【0003】
このような従来型の押出プレスでは、コンテナシール力が押出の全工程において一定であることが望ましいが、押出工程においてはコンテナ内のビレットが徐々に短くなるため、押出開始時と押出終了時では前者の方が押出に要する力が大きいのが通常である。すなわち、ダイスの押出抵抗(ダイスに作用する押出所要力)が一定であったとしても、コンテナ内壁とビレットの摩擦抵抗がビレットの長さの減少に従って小さくなるので、全体として押出の作用力が徐々に低下してしまう。
【0004】
そして、押出工程時に押出作用力が変化すると、ダイスに作用する力が変化し、この結果押出工程中ではダイスの変位量及び撓み量が一定とならない。従って、従来の押出プレスによって得られた製品の肉厚や形状が長手方向に対して不均一となる問題があった。
また、押出作用力の変化は、ダイスに対するコンテナシール力にも変動を生じさせ、シール部分からビレットが噴出してしまう所謂花咲現象を発生させる問題もあった。
【0005】
前述した問題を解決する押出プレス装置として、コンテナとダイスとの間をシールするようにコンテナをダイス側に向けて押圧する押圧手段が、メインシリンダ装置とメインラムとを連結するクロスヘッドに設ける。そして、押出工程中にビレットが所定の長さになった時点で、押圧手段でコンテナを押圧しコンテナとダイスの間にコンテナシール力が付与され、ビレットの噴出しを回避する技術が開示されている。(特許文献1参照)
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1で開示された技術ではシール力の減少に伴ってダイスに作用するコンテナシール力を経時的に大きくしていくように制御される。このため、ダイスの変位を一定に保つことができ製品の長手方向に均一な製品を得ることができるが、押出工程の間メインシリンダ装置には押出開始時の最大負荷圧力が作用し、押出工程時のエネルギー消費量が増大するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−274821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、その目的は、押出工程において押出作用力が変化しても常に一定のコンテナシール力をコンテナとダイスの間に与えて均一な形状の押出製品が得られ、もって製品歩留まりを向上させることができ、かつ、押出に際してエネルギーの消費量が少ない押出プレス及び押出プレスの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る押出プレスは、メインシリンダ装置によりコンテナに装填したビレットをダイスから押出す際に、前記メインシリンダの負荷圧力を検出し、該検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出するとともに、該算出した偏差に基づきコンテナシール力の制御手段に出力することで押出工程の進行に伴って減少してダイスに作用する前記コンテナシール力を一定となす押出プレスであって、1軸の出力により前記コンテナシール力を加減制御可能とした複数のコンテナシール力の制御手段と、専ら前記コンテナの前後進移動用にのみ供するコンテナの複数の移動手段をエンドプラテンに設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、前記コンテナシール力の制御手段は電動サーボモータを駆動源とし、回転運動を直線運動に変換する装置で構成され、前記コンテナシール力の制御手段の出力軸をコンテナに対し進退、且つ、着脱自在に設けるとともに、前記コンテナと前記出力軸との着脱はコンテナホルダのステム側端面に設けた着脱手段により行なわれることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項2に記載の発明において、押出工程終了後のコンテナ移動動作は、前記着脱手段が開放され前記コンテナの移動手段に駆動されて行なわれることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項4に係る押出プレスの制御方法は、押出プレスのメインシリンダ装置に作用する押出工程中の負荷圧力を検出し、該検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出し、該算出した偏差に基づいて出力軸がコンテナホルダに着脱自在に連結されたコンテナシール力の制御手段に、当該差分押出力に相当するコンテナシール補正力を出力して、前記コンテナシール力を一定となすことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の請求項1に係る押出プレスでは、メインシリンダ装置の負荷圧力を検出し、検出した負荷圧力と予め設定した基準圧力との偏差を算出する。そして、基準圧力に相当する一定のコンテナシール力がダイスに作用するように、1軸の出力によりコンテナシール力を加減制御可能とした複数のコンテナシール力の制御手段に出力する構成とした。これにより全押出工程において、ダイスに作用するコンテナシール力を補正して一定に保持することができる。そのため、ダイスの変位を一定に保つことができ、製品の肉厚や形状が長手方向に均一となり製品歩留まりが向上する。また、押出工程中に負荷圧力を上昇させることがないので、押出に要するエネルギー消費量を増大させることがない。
コンテナの複数の移動手段をコンテナの移動にのみ供する構成としたので、移動手段の小型化とコンテナ移動時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る押出プレスでは、請求項1に記載の押出プレスのエンドプラテンに設けた1軸の出力により前記コンテナシール力を加減制御可能とした複数のコンテナシール力の制御手段を、電動サーボモータを駆動源とし、回転運動を直線運動に変換する装置で構成され、前記コンテナシール力の制御手段の出力軸をコンテナに対し進退、且つ、着脱自在となるように構成した。この構成により、コンテナシール力の制御に係るエネルギー効率が大幅に改善され、エネルギーの消費量を削減することができる。
また、コンテナシール力の複数の制御手段の出力軸をコンテナホルダのステム側端面に設けた着脱手段により着脱可能に設けたので、コンテナシール力の制御手段とコンテナとの係合を選択的に行なうことができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る押出プレスでは、請求項2に記載の押出プレスにおいて、押出工程終了後のコンテナ移動動作は、前記着脱手段が開放され前記コンテナの移動手段に駆動されて行なう構成とした。このため、コンテナシール力の制御手段の出力軸をコンテナの移動手段によるコンテナの移動に際して協働させて移動させる必要がなく、コンテナシール力の制御手段に対する出力制御を容易、且つ、簡略化することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る押出プレスの制御方法では、押出プレスのメインシリンダ装置に作用する押出工程中の負荷圧力を検出する。そして、検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出し、該算出した偏差に基づいて出力軸がコンテナホルダに着脱自在に連結されたコンテナシール力の制御手段に、当該差分押出力に相当するコンテナシール補正力を出力する。
これにより全押出工程において、ダイスに作用するコンテナシール圧力を補正して一定に保持することができる。そのため、ダイスの変位量や撓みを一定に保ちことができ、製品の肉厚や形状が長手方向に対して均一となり製品の歩留まりが向上する。
また、メインシリンダ装置の負荷圧力を上昇させることなくダイスに作用するコンテナシール力を一定とすることができるので、エネルギー消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る押出プレスの断面図である。
【図2】図1のA矢視で切断した断面図であり、図2(a)は着脱手段を閉じた状態を示し、図2(b)は着脱手段を開いた状態を示す図である。
【図3】本発明の押出作用力の特性線図である。
【図4】本発明の動作チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る押出プレス及び押出制御方法の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は実施形態に係る押出プレスの断面図である。図に示すように、押出プレスはエンドプラテン10とメインシリンダ装置12とを対向して配置し、両者を複数のタイロッド14によって連結している。エンドプラテン10の内側面には押出穴が形成されたダイス16を挟んでコンテナ18が配置され、コンテナ18にビレット20を装填し、これをダイス16に向けて押出加圧することによりダイス穴16Aに応じた断面の製品が押出成形される。
【0019】
押出作用力を発生させるメインシリンダ装置12は、メインシリンダ12Aにメインラム12Bを内蔵し、これをコンテナ18に向けて加圧移動可能としている。このメインラム12Bの前端部にはコンテナ18のビレット装填穴18Aと同芯配置されるように押出ステム24がコンテナ18に向けて突出状態でクロスヘッド22を介して取付けられている。したがって、メインシリンダ装置12を駆動してクロスヘッド22を前進させると、押出ステム24がコンテナ18のビレット装填穴18Aに挿入され、装填されたビレット20の後端面を加圧して製品20Aを押出すのである。
【0020】
なお、前記メインシリンダ12Aには押出装置軸心と平行にサイドシリンダ装置26が取付けられており、そのシリンダロッド26Aがクロスヘッド22に連結されている。これによって押出工程の準備工程として押出ステム24をコンテナ18に近接させた位置に初期移動させ、押出加圧動作はメインシリンダ装置12及びサイドシリンダ装置26の両者を用いて行なわせる構成になっている。
【0021】
エンドプラテン10には、専らコンテナ18を押出軸線方向に進退自在とした移動手段としてのコンテナシフトシリンダ装置28が取付けられており、そのシリンダロッド28Aがコンテナ18を保持するコンテナホルダ19に連結されている。これにより押出の準備工程としてダイス16の端面とコンテナ18の端面を当接させるコンテナ18の前進動作と、押出工程後にダイス16とコンテナ18との端面を離間させビレット20の残材を排出する隙間を確保するコンテナ18の後退動作を行なうことができる。
【0022】
また、エンドプラテン10には、コンテナシール力を加減制御可能とする複数のコンテナシール力の制御手段30が取付けられており、その構成は駆動源としての電動サーボモータ31、出力軸32、ボールネジ33、ボールナット34、軸受35などで要部が構成されている。電動サーボモータ31の回転運動は、巻き掛け伝動装置36からボールネジ33に伝えられ、ボールナット34を介して直線運動に変換され、軸線方向に所定の荷重を出力できる構成となっている。
出力軸32の段付部でコンテナホルダ19のダイス側端面に当接し、小径部がコンテナホルダ19を挿通される。出力軸32は、コンテナホルダ19のステム側端面に設けた着脱装置40により着脱自在に設けられ、コンテナ18の前後移動に際してコンテナ18との係合を解放するようにしている。
【0023】
メインシリンダ装置12の駆動用油圧回路の構成を、図1を参照して説明する。まず、メインシリンダ装置12を駆動する油圧回路50は可変容量型の油圧ポンプ51を備え、これからの吐出油をメインシリンダ装置12及びサイドシリンダ装置26へ油圧通路を介して供給するようにしている。油圧通路には押出工程時の負荷圧力を検出する圧力センサ52が取付けられており、検出した圧力をコントローラ53に出力するようにしている。
コンテナシフトシリンダ装置28への圧油の供給は、前記油圧回路50の油圧通路を介して公知の手段で供給されるが、その詳細は省略する。
【0024】
図2は、図1のA矢視で切断した断面図であり、図2(a)は着脱手段40を閉じた状態(係合)を示し、図2(b)は着脱手段40を開いた状態(解放)を示す図である。
図2に示すように、着脱手段40はコンテナホルダ19に取付けられた軸41と、軸41を中心として揺動可能に配された1対の係合ブロック42及び係合ブロック42の開閉手段であるシリンダ43により基本構成される。係合ブロック42は、コンテナシール力の制御手段30の出力軸32に設けた係合部32Aと係合し、シリンダ43を駆動することにより出力軸32とコンテナホルダ19が着脱自在となる。
図2の(a)は係合ブロック42が出力軸32に設けた係合部32Aと係合した状態で、コンテナシール力の制御手段30とコンテナ18とが一体となり、これにより、出力軸32の荷重がコンテナ18に出力される。
図2の(b)は係合ブロック42が係合部32Aから離脱して係合が解放された状態で、これにより、コンテナ18の単独での前後移動を可能とする。
【0025】
ところで、前述したように押出工程中、メインシリンダ装置12とサイドシリンダ装置26とによって押出が行なわれるが、押出時の押出作用力(F)はダイス16に作用する所用押出力(Fa)とビレット20とコンテナ18内壁の摩擦力(Fb)の和で表される。図3に示すように、押出作用力(F)及びビレット20とコンテナ18内壁との摩擦力(Fb)の最大値は押出の開始時であって、押出工程が進行してビレット20の長さが短くなるに伴って摩擦力(Fb)が低下し押出作用力(F)は減少することとなる。
ダイス16に作用する所用押出力(Fa)は略均一で、ビレット20の温度条件が同一であれば押出中に変化することは少ない。
【0026】
次に、押出制御方法について説明する。図3に示すように、押出工程の最終段階においても所定のコンテナシール力が維持でき、且つ、コンテナシール力を一定に制御する基準圧力(P1)を最大負荷圧力(P0)よりも低く、ダイス16に作用する所用負荷圧力(P2)よりも高く設定した。この場合、最大負荷圧力(P0)から所用負荷圧力(P2)へ変化する押出負荷圧力が基準圧力(P1)よりも高い範囲である押出工程の前半ではダイスに作用するコンテナシール力は過剰であり、押出負荷圧力が基準圧力(P1)よりも低い範囲である押出工程の後半ではダイスに作用するコンテナシール力は不足することになる。
【0027】
そこで、コンテナシール力が過剰に作用する負荷圧力が基準圧力(P1)よりも高い範囲においては、コンテナシール力の制御手段30に算出した偏差に基づいたコンテナシール力の補正力(Fc)、即ちコンテナシール力を削減する方向に荷重を出力する。
また、コンテナシール力が不足する負荷圧力が基準圧力(P1)よりも低い範囲においては、コンテナシール力の制御手段30に算出した偏差に基づいたコンテナシール力の補正力(Fd)、即ちコンテナシール力を補充する方向に荷重を出力する。
このように、コンテナシール力を加減制御可能とするコンテナシール力の制御手段30の電動サーボモータ31に検出した偏差に基づく補正値を出力し、コンテナシール力が過剰に作用する場合はコンテナ18をダイス16から押し戻す方向に、コンテナシール力が不足する場合にはコンテナ18をダイス16に押圧する方向に制御して、コンテナシール力を一定に保ち、もって、ダイスの変位量や撓みを一定に保つのである。
【0028】
コントローラ53は圧力センサ52による検出信号を入力しており、内蔵しているメモリに検出圧力との比較値となる基準圧力(P1)を記憶している。押出工程において検出圧力を連続的に入力し、入力された圧力と基準圧力(P1)とを比較演算されるように構成されている。
そして、これらの差圧(偏差)を算出しこの偏差が基準圧力(P1)より大きい場合は、コンテナシール力が過剰に作用していることから、過剰分に応じた補正力(Fc)を発生させるに必要な電動サーボモータ31のトルク値を算出する。算出したトルク値に対する変換処理を行ない、これを制御用アンプ54に出力信号として出力し電動サーボモータ31制御する。過剰なコンテナシール力は、算出した差圧にメインシリンダ及びサイドシリンダの断面積の合計値を乗じることで求めることができる。
【0029】
また、これらの差圧(偏差)を算出しこの偏差が基準圧力(P1)より小さい場合は、コンテナシール力が不測していることから、不足分に応じた補正力(Fd)を発生させるに必要な電動サーボモータ31のトルク値を算出する。算出したトルク値に対する変換処理を行ない、これを制御用アンプ54に出力信号として出力し電動サーボモータ31を制御する。そして、不足分するコンテナシール力は、算出した差圧にメインシリンダ及びサイドシリンダの断面積の合計値を乗じることで求めることができる。
【0030】
図4により本発明の押出プレスの動作工程を説明する。コンテナ18は後退位置にあり、ビレット20がコンテナに装填された状態か工程を開始する。なお、着脱手段40は図2(b)に示すように係合は解放されている。
コンテナシフトシリンダ装置28のロッド側に圧油を供給することでコンテナ18が前進移動(101)し、ダイス16に当接して停止(102)する。着脱手段40のシリンダ43のロッド側に圧油を供給して係合ブロック42を移動させ、出力軸32の小径部32Aに係合しコンテナシール力の制御手段30とコンテナ18とを連結(103)する。
次いで、押出工程を開始(104)するとともに、コンテナシール力の制御を開始(105)する。押出工程の完了(106)の後、着脱手段40のシリンダ43のヘッド側に圧油を供給して係合ブロック42を移動させ、出力軸32の小径部32Aとの係合を解放(107)する。コンテシフトシリンダ装置28のヘッド側に圧油を供給してコンテナ18を後退移動(109)させる。コンテナ18の移動により形成された隙間にシャーが下降してビレット20の残材を切断、その後シャーが上昇(109)、次いで、サイドシリンダ装置26のロッド側に圧油を供給してメインラム12Bを後退させることで一連の動作が完了する。
コンテナ18と押出ステム24との隙間からビレット20をコンテナ18内に装填し、供給の完了により次サイクルが開始される。
【0031】
以上説明したように、押出工程中のメインシリンダ装置の負荷圧力を検出して予め定めた基準圧力と比較演算し、偏差を算出してコンテナシール力を一定に補正する構成とした。そしてコンテナシール力の補正は、1本の出力軸からなる複数のコンテナシール力制御手段を用い、出力軸を押動方向に駆動してシール力の減少を、引き戻しでシール力を増大させる。
このように構成したので、押出工程中のコンテナシール力を一定に保持するとこができ、製品の不良をなくして歩留まりを向上させことができる。
【0032】
コンテナシール力を補正して一定に保持するに際して、メインシリンダに作用する負荷圧力を上昇させることがない。また、コンテナシール力は電動サーボモータを駆動して出力する構成とした。このため、押出工程におけるエネルギー効率が改善されエネルギー消費量を削減することができる。
さらに、エンドプラテンにコンテナシール力の出力手段とコンテナの移動手段をそれぞれ独立して設け、そして、コンテナシール力制御手段の出力軸はコンテナと着脱自在とする構成としたので、コンテナの移動時間が短縮され生産性が向上するという優れた効果を有する。
【符号の説明】
【0033】
10 エンドプラテン
12 メインシリンダ装置
16 ダイス
18 コンテナ
19 コンテナホルダ
20 ビレット
28 コンテナシフトシリンダ装置
30 コンテナシール力の制御手段
31 電動サーボモータ
32 出力軸
40 着脱手段
P0 最大負荷圧力
P1 基準圧力
P2 所用負荷圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシリンダ装置によりコンテナに装填したビレットをダイスから押出す際に、前記メインシリンダの負荷圧力を検出し、該検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出するとともに、該算出した偏差に基づきコンテナシール力の制御手段に出力することで押出工程の進行に伴って減少してダイスに作用する前記コンテナシール力を一定となす押出プレスであって、
1軸の出力により前記コンテナシール力を加減制御可能とした複数のコンテナシール力の制御手段と、専ら前記コンテナの前後進移動用にのみ供するコンテナの複数の移動手段をエンドプラテンに設けたことを特徴とした押出プレス。
【請求項2】
前記コンテナシール力の制御手段は電動サーボモータを駆動源とし、回転運動を直線運動に変換する装置で構成され、前記コンテナシール力の制御手段の出力軸をコンテナに対し進退、且つ、着脱自在に設けるとともに、前記コンテナと前記出力軸との着脱はコンテナホルダのステム側端面に設けた着脱手段により行なわれることを特徴とした請求項1に記載の押出プレス。
【請求項3】
押出工程終了後のコンテナ移動動作は、前記着脱手段が開放され前記コンテナの移動手段に駆動されて行なわれることを特徴とした請求項2に記載の押出プレス。
【請求項4】
押出プレスのメインシリンダ装置に作用する押出工程中の負荷圧力を検出し、該検出した負荷圧力と予め定めた基準圧力との偏差を算出し、該算出した偏差に基づいて出力軸がコンテナホルダに着脱自在に連結されたコンテナシール力の制御手段に、当該差分押出力に相当するコンテナシール補正力を出力して、前記コンテナシール力を一定となすことを特徴とした押出プレスの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−179332(P2010−179332A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24357(P2009−24357)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】