説明

押出成型品をプロセス凝縮液から保護する装置及び方法

熱可塑性材料の押出物16を製造するシステム10であり、ポリマー溶液がその間を通って押し出される第1ダイリップと第2ダイリップとを有するダイ出口14を備える押出ダイ12と、押出物を冷却する冷却ロール18と、冷却された押出物を保護する器具20とから成るシステムにおいて用いられる器具であって、リード縁52と、第1端54及び第2端56とを有するプレート50であって、プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、このプレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接して取り付けるための手段60とから成ることを特徴とする器具、及びこの器具を用いて熱可塑性材料の押出物を製造するプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は押出成型品製造用の押出装置、及び押出装置を保護するための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出ダイは、様々な製品の製造プロセスで用いられている。ある種の押出ダイは、例えば薄肉フィルムやシート等のプラスチックの長尺成型品の成型に用いられている。
ダイ内で加圧下にある2種類以上の様々な材料(例えば熱可塑性材料)の別個の溶融層を合流させて単一の積層材にする、溶融ラミネーションの技術が開発されている。このような溶融ラミネーションは、共通の流路内において適切な加工条件下にある2以上の溶融層を、接触界面での混合を生じさせることなく接合させることができる層流条件下で行われる。このような多層押出技術は、類似または異質の材料の多層積層体の成型を容易に行える方法として広く用いられている。
【0003】
多層フィルムの押出成型を行うために、様々な押出ダイが作られている。一般的な押出ダイの構成では、まず第1セクションで複数の溶融層を組み合わせる。次に、組み合わせた複数の溶融層を第2セクションで平らにして押し出す。このタイプの押出ダイは、本願に参照として組み込まれる米国特許5,316,703に開示されている。このタイプの押出ダイでは、押し出されたシートまたはウェブの横(TD)方向における厚みを均一にする必要があるため、実用面において制約があった。
【0004】
押出ダイをモジュール化することが可能であり、複数の部品を組み立てて一体の押出ダイにすることができる。例えば、押出ダイを第1ダイ部材と第2ダイ部材からなる構成にして、この2つの部材を組み立て、流れ込んだ溶融樹脂がそこを通って押し出される構造の装置にすることができる。第1ダイ部材には第1リップが含まれ、第2ダイ部材には第2リップが含まれ、この2つのリップの間にギャップが形成され、このギャップにより押し出されるフィルムの厚みが決められる。
【0005】
今日のプラスチック業界では、中央部に溶融樹脂が供給される押出ダイが広く用いられている。押出ダイのマニホールドに入った溶融樹脂の流れが広がり流れとなる結果、流れの一部が支流となってマニホールドの両端方向に向けて互いに反対方向に広がりながら流動する。各支流がマニホールドの中心線から両端部に向けて流動するに従って圧力低下が生じる。
【0006】
中央部に溶融樹脂が供給される押出ダイは一般にティアドロップ型であり、コートハンガーマニホールド、フィッシュテールマニホールド、またはT型マニホールド等と呼ばれるフラットなマニホールドを有する。圧力低下を回避し、溶融樹脂の流動の幅方向における流動容積を実質的に同じにするために、このタイプの押出ダイには流動圧補償プレランド(preland)流路が設けられる。また2段階の流動圧補償プレランドを有する押出ダイも知られている。このタイプの押出ダイは、Vetterらの米国特許4,372,739、Cloerenの米国特許5,256,052に開示されている。
【0007】
押出ダイは、固定されたギャップまたは可変ギャップを備えることができる。固定されたギャップの場合、リップの位置は互いに固定されており、ギャップの開度は常に一定である。可変ギャップの場合、1のリップは他のリップに対し位置が可変であり、押出ダイの幅方向においてギャップの開度を調整することができる。
一般に可変ギャップは、その後部と前部(ここに第1リップが取り付けられる)の間にフレキシブルなウェブが備えられるとともに、前部を限定された範囲内で移動させる手段が備えられるように、第1ダイ部材に組み込まれた構成になっている。前部を移動させることにより、一方のリップの位置が他方のリップに対し調整可能になり、従ってギャップの開度を限定された範囲内で調整することが可能になる。
【0008】
可変ギャップで操業する場合、特定の製品の製造に対応するために、ギャップの限定された範囲内での調整は従来の押出ダイの手法によって行われる。この調整方法では、ダイリップから押し出されたプラスチックシートまたはフィルムの幅方向における厚み分布を測定し、1以上のギャップ調整ボルトを再調整した後プラスチックシートまたはフィルムの幅方向における厚み分布を再測定する操作を、厚み分布が許容範囲に収まるまで繰り返し行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
微細孔ポリオレフィン膜等のある種の特殊フィルムの製造において、このようなフィルムの製造に対応するために、新たな押出ダイの設計が要求されている。微細孔ポリオレフィン膜は一次電池、及びリチウム−ポリマー二次電池、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−亜鉛二次電池、銀−亜鉛二次電池等の二次電池のセパレータとして用いられる。
【0010】
公知の様に、電池、特に使用時に高温にさらされる電池の安全性を高めるためには、シャットダウン温度がより低く、メルトダウン温度がより高い方が好ましい。高機能性フィルムでは、フィルム厚み等の寸法安定性が重要である。電池の耐久性を高め、より優れた電池を製造するために、機械的強度に優れたセパレータが求められている。
微細孔ポリオレフィン膜の性能を向上させるために、原料組成や、フィルム成型及びストレッチ条件、熱処理条件等を最適化することが検討されてきた。
【0011】
一般に、ポリエチレンのみから成る(すなわちポリエチレンのみを含み、有意な量の他の成分を含まない)微細孔ポリオレフィン膜のメルトダウン温度は低い。このため、メルトダウン温度を高くする目的でポリエチレンとポリプロピレンを混合した樹脂から成る微細孔ポリオレフィン膜や、ポリエチレン層とポリプロピレン層とで構成される多層微細孔ポリオレフィン膜が提案されている。このように混合樹脂を使用したり、異種のポリオレフィン層を含む多層フィルムを製造したりする場合、フィルムの厚み等の寸法安定性がよいフィルムを製造することが困難になる。
【0012】
ウェット押出成型を行う場合、溶剤をポリオレフィン等の熱可塑性原料に混合して溶液状にする。押出成型中、押出システムを加熱することにより溶剤からガスが発生し、押出システムの周囲に放出される。このガスには溶剤や液状パラフィン等が含まれ、押出ダイ、特に押出ダイ出口と最初の冷却ロールの周辺の低温環境下で凝縮してオイル状の物質を生じる。さらに、最初の冷却ロール周辺が低温環境下にあること、及び冷却ロールによる押出物の冷却により、最初の冷却ロールまたはその近傍でガスの凝縮が生じる。オイル状の凝縮物が押出物の表面に付着すると、押出物表面の品質上の欠陥となる。
【0013】
特許公開公報平7-216118号には、ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分とする少なくとも2層の微細孔ポリオレフィン層を有し、各層のポリエチレン含有量が異なる微細孔フィルムから成る電池用セパレータが開示されている。1の微細孔ポリオレフィン層のポリエチレン含有量は0から20重量%で、他の微細孔ポリオレフィン層のポリエチレン含有量は21から60重量%で、微細孔フィルム全体のポリエチレン含有量は2から40重量%である。この電池用セパレータは、高いシャットダウン温度と機械的強度とを備える。
【0014】
WO2004/089627には、ポリエチレンとポリプロピレンから成る2層以上の微細孔ポリオレフィン膜が開示されており、この微細孔ポリオレフィン膜では少なくとも1の表面層のポリプロピレン含有量が50重量%より高く95重量%以下で、微細孔ポリオレフィン膜全体のポリエチレン含有量が50から95重量%である。
【0015】
WO2005/113657には、従来のシャットダウン性能、メルトダウン性能、寸法安定性、及び高温強度を有する微細孔ポリオレフィン膜が開示されている。この微細孔ポリオレフィン膜は、(a)低分子量ポリエチレンと高分子量ポリエチレンから成る組成物と(b)ポリプロピレンとから成るポリオレフィン組成物を用いて作られている。この微細孔ポリオレフィン膜は、いわゆる「ウェットプロセス」により製造されている。
【0016】
このように種々の改良が図られてきたが、より高品質の微細孔ポリオレフィン膜、あるいはフィルムまたはシートを製造することが可能な、改良された押出システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一側面では、ポリマーと希釈剤とを含む押出物を製造するシステムであり、ポリマーと希釈剤との混合物がその間を通って押し出される第1ダイリップと第2ダイリップとを有するダイ出口を備える押出ダイと、押出物を冷却する冷却ロールと、冷却された押出物を保護する器具とから成るシステムにおいて用いられる器具であって、この器具はリード縁と、第1及び2端とを有するプレートであり、プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、このプレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接して取り付けるための手段とから成る。
【0018】
別の側面では、ポリマーと希釈剤とを含む混合物から成る押出物、例えば熱可塑性材料を製造するプロセスが提供される。このプロセスには少なくとも1のポリマー、例えばポリオレフィン組成物と、希釈剤(例えば溶剤)とを組み合わせて混合物(例えばポリオレフィン溶液)を調製するステップと、この混合物を押出ダイから押し出すステップであって、押出ダイは混合物が押し出されるダイ出口(細長い開口を有するダイ出口でもよい)を備え、ダイ出口は第1ダイリップと第2ダイリップとを有するステップと、押出物を冷却して冷却された押出物を形成するステップと、リード縁と、第1及び2端とを有するプレートであって、プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、このプレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接させて取り付けるための手段とを備える器具を用いて冷却された押出物を凝縮物から保護するステップとを備える。
【0019】
本願のひとつの実施形態では、冷却された押出物を凝縮物から保護するための器具は、蓄積した凝縮オイルを導いて冷却された押出物から遠ざけるためのガイド部を備える。ガイド部はさらに、蓄積した凝縮オイルをオイル回収装置へ導くために十分な長さを有する延長部材を備える。
【0020】
本願の別の実施形態では、プレートを押出ダイの第1リップに隣接させて取り付けるための手段には、プレートの第1端に取り付けられた第1取り付け具と、プレートの第2端に取り付けられた第2取り付け具とが含まれる。
【0021】
また別の実施形態では、プレートを押出ダイの第1リップに隣接させて取り付けるための手段にはさらに長尺サポートが含まれ、この長尺サポートは、プレートのリード縁に対向する縁に隣接して取り付けられる。
【0022】
また別の実施形態では、本願のプロセスにはプロセスガスを排気して凝縮を最小限にするステップであって、排液プロセスが含まれるステップと、冷却された押出物から溶剤を除去して溶媒除去冷却押出物を形成するステップと、溶媒除去冷却押出物を乾燥して微細孔ポリオレフィン膜を形成するステップとを備える。
【0023】
この発明の器具とシステムの構成とその効果または使用方法について、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】熱可塑性材料の冷却された押出物を保護するための本願発明の器具の斜視図である。
【図2】熱可塑性材料の冷却された押出物を保護するための本願発明の器具を別の角度から見た斜視図である。
【図3】熱可塑性材料の冷却された押出物を保護するための本願発明の器具を別の角度から見た斜視図であり、押出プロセスエアー処理システムとともに示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から3を参照して説明する。これらの図では、同一の部材には同一の番号が付されている。
【0026】
図1から3に押出物を製造するためのシステム10を示す。システム10にはダイ出口(図示せず)を備える押出ダイ12が含まれ、ダイ出口は、その間を通してポリマー溶液が押し出されて押出物16が形成される第1リップ及び第2リップ(図示せず)を有する。
図3に示すように、加熱された溶融流は、フィルター46により濾過された後、加熱されたホース44を通して押出ダイ12へ供給される。押出物16は最初の冷却ロール18へ送られて冷却され、次に2番目の冷却ロール14及びこれに続く他の冷却ロール(図示せず)へ送られてさらに冷却される。
【0027】
当業者であれば分かるように、ウェット押出成型を用いて押出物16を製造する場合、ポリオレフィンまたはポリオレフィン組成物等の少なくとも1のポリマーと、希釈剤とを混合して混合物(例えばポリオレフィン溶液)を調製する。押出を行っているとき、システムが加熱されることによりガスが発生し押出システムの周囲に放出される。このガスには溶剤、液状パラフィン等が含まれ、押出ダイ12、特に押出ダイ出口14と、最初の冷却ロール18の周辺の低温環境下で凝縮してオイル状の物質を生じる。
さらに、最初の冷却ロール18周辺が低温環境下にあること、及び冷却ロールによる押出物16の冷却とにより、最初の冷却ロール18またはその近傍でガスの凝縮が生じる。オイル状の凝縮物が押出物の表面または近傍にあると、押出物16表面の品質上の欠陥を生じ得る。
【0028】
冷却された押出物16を、凝縮して押出物16に付着し得る凝縮オイル状物質から保護するために、器具20が設けられている。器具20には、リード縁52と、第1端54と、第2端56とを有するプレート50が含まれる。図示するように、プレート50の幅Wは、リード縁52に沿って第1端54から第2端56に向かうに従い増加する。器具20はさらに、押出ダイ12のダイ出口14の第1リップに隣接してプレート50を取り付けるための手段60を備える。
【0029】
図1〜3に示すように、装置20のプレート50は、冷却ロール18及び冷却された押出物16の上部に位置する。このように配置することにより、冷却された押出物16が凝縮して押出物16に付着し得る凝縮オイル状物質から保護される。
【0030】
ひとつの実施形態では、装置20には、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物16から遠ざけるためのガイド部30が含まれる。別の実施形態では、ガイド部30はさらに、蓄積した凝縮オイルをオイル回収装置36(図3参照)へ導くために十分な長さを有する延長部材32を備える。延長部材32には、鎖、コード、中空チューブ等を用いることができる。図1〜3には鎖を図示してある。
【0031】
ひとつの実施形態では、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物16から遠ざけるためのガイド部30には、プレート20の第2端56に形成された下方延長部38が含まれる。図示するように、延長部材32は、下方延長部38はプレート20の下方延長部38に取り付けられる。
【0032】
押出ダイ12のダイ出口14の第1リップに隣接してプレート50を取り付けるための手段60には公知の手段を用いることができ、例えば押出ダイ構造部または冷却ロールのフレームから延び出す取り付け具や、押出ダイ構造部のフレームに直接溶接する等の手段を用いることができる。
ひとつの実施形態では、押出ダイ12のダイ出口14の第1リップに隣接してプレート50を取り付けるための手段60には、プレート50の第1端54に取り付けられた第1取り付け具22と、プレート50の第2端56に取り付けられた第2取り付け具22とが含まれる。押出ダイ12のダイ出口14の第1リップに隣接してプレート50を取り付けるための手段60にはさらに長尺サポート部材24が含まれ、この長尺サポート24は、プレート50のリード縁52に対向する縁58に隣接して取り付けられる。
ひとつの実施形態では、第1取り付け具22と、第2取り付け具22と、長尺サポート24とは、プレート50に複数のボルト26で取り付けられる。当業者であれば分かるように、溶接等の他の手段で取り付けることもできる。
【0033】
器具20のプレート50を形成する材料は、当業者であれば分かるように、押出機の周囲環境に耐える材料であればどのような材料でもよい。ひとつの実施形態では、プレート50は金属板であり、鉄、アルミ、その他の適切な合金を用いることができる。
【0034】
図3に、押出機システムの周囲に放出されたガスの影響を最小限にするためのエアー処理システム40を示す。上記のように、このガスには溶剤や液状パラフィン等が含まれ、押出ダイ12、特に押出ダイ出口14と最初の冷却ロール18の周辺の低温環境下で凝縮してオイル状の物質を生じる。エアー処理システム40によりガスの影響を最小限にすることができる。
【0035】
エアー処理システム40により押出成型中に発生したガスを押出ダイ12の周囲から排気することができる。押出システム10から発生したガスは排気フード46で吸引され、排気ホース48で移送される。さらに、図2にも示すように、押出システム10から発生したガスは、1以上の排気チューブ34によってもダイ出口付近から排気される。当業者であれば理解できるように、押出システム10から発生したガスの少なくとも一部を排気することにより、オイル状の凝縮物が押出物16に付着する可能性が低減される。
【0036】
本願に開示した器具とシステムにより、ポリマーと希釈剤、例えばポリオレフィン溶液を「ウェット」微細孔ポリオレフィン膜フィルム成型またはシート成型を含む様々なプロセスにおいてダイから押し出す際の問題点を解決することができる。このようなフィルムまたはシートは少なくとも1の層、例えばポリエチレンやポリプロピレンからなる単一層を有する。しかし、層の数は重要ではない。
このようなフィルムまたはシートは、電池のセパレータの分野において非常に有用である。本願発明は、下記のように多層フィルムの製造に用いることができる。多層フィルムは、共押出ダイで製造することもできるし、単層フィルムまたはシートを製造する単層ダイを用い、従来の方法で製造された他の層と積層して製造することもできる。本願発明は単層フィルムの製造に用いることもできる。
【0037】
ひとつの実施形態では、多層の微細孔膜は2層からなる。第1層(例えば微細孔膜のスキン層、表面層、または上層)は第1微細孔層材からなり、第2層(例えば微細孔膜の底層、裏面層、またはコア層)は第2微細孔層材からなる。例えば、微細孔膜の横方向と縦(機械)方向に対しほぼ垂直上方から見たとき、微細孔膜は平坦な表面層と、表面層に隠れて見えない裏面層とを有する。
本願に開示する押出ダイは、単層の微細孔膜の製造に用いることもでき、例えば本願に参照として組み込まれるWO2007/132942に開示された単層のポリエチレン微細孔膜や、単層ポリオレフィン微細孔膜の製造に用いることができる。
【0038】
ひとつの実施形態では、多層の微細孔膜は3以上の層からなり、外層(「表面」または「スキン」層とも呼ばれる)は第1微細孔層材からなり、少なくとも1のコアまたは中間層は第2微細孔層材からなる。
別の実施形態では、多層の微細孔ポリオレフィン膜が2層からなるとき、第1層は実質的に第1微細孔層材からなり、第2層は実質的に第2微細孔層材からなる。
別の実施形態では、多層の微細孔ポリオレフィン膜が3層以上からなるとき、外層は実質的に第1微細孔層材からなり、少なくとも1の中間層は実質的に第2微細孔層材からなる。
このような微細孔膜は、本願に参照として組み込まれるWO2008/016174, US2008/0057388,及び US2008/0057389に開示されている。
【0039】
上記のフィルム及びシートの製造に適した原料について説明する。適したポリマーとその量は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。当業者であれば、クロスフローマニホールドによる押出ダイとマニホールドで加工可能ならば、どのようなポリマー原料でも使用可能であることを理解できよう。
ひとつの実施形態では、第1及び第2微細孔層材にはポリエチレンが含まれる。ひとつの実施形態では、第1微細孔層材には、Mw値が約1×106未満の第1ポリエチレン("PE-1")が含まれる。または、第2微細孔層材には、Mw値が少なくとも約1×106の第2ポリエチレン("UHMWPE-1")が含まれる。
ひとつの実施形態では、第1微細孔層材には第1ポリプロピレン("PP-1")が含まれる。ひとつの実施形態では、第1微細孔層材は、(i) ポリエチレン(PE)、(ii) 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、 または(iii) PE-1及びPP-1、または (iv) PE-1、UHMWPE-1、及びPP-1の内の、いずれかから成る。
【0040】
上記の(ii)と(iv)のひとつの実施形態において、WO2008/016174に開示されているようなハイブリッド構造を有する微細孔層を得るためには、UHMWPE-1のMwが約1×106から約15×106、または約1×106 から約5×106、または1×106から約3×106の範囲で、PE-1とUHMWPE-1の総重量に対し約1 wt%以上、または約15 wt%から40 wt%含まれ、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであることが好ましい。
上記の(iii)と(iv)のひとつの実施形態において、PP-1は少なくともホモポリマーとコポリマーのいずれかであり、好ましくは第1微細孔層材の総重量に対し約25wt%以下含まれる。
ひとつの実施形態では、上記のハイブリッド構造を有する微細孔層を得るためには、微細孔層材中のポリオレフィンのMwが約1×106以下、または1×105から約1×106の範囲、または2×105から約1×106の範囲であることが好ましい。
ひとつの実施形態では、PE-1はMwが約1×104から約5×105の範囲、または約2×105から約4×105の範囲であることが好ましく、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、または直鎖低密度ポリエチレンのいずれかであり、少なくともホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである。
【0041】
ひとつの実施形態では、第2微細孔層材は、(i) Mwが少なくとも約1×106 (UHMWPE-2)の第4ポリエチレン、(ii) Mwが1×106未満の第3ポリエチレンと、UHMWPE-2と、第4ポリエチレンであって、第4ポリエチレンの量が第3及び第4ポリエチレンの総重量に対し少なくとも約8wt%である材料、または(iii) UHMWPE-2及びPP-2、または(iv) PE-2、UHMWPE-2及びPP-2の内の、いずれかから成る。
上記の(ii), (iii)及び(iv)のひとつの実施形態では、高強度の多層微細孔ポリオレフィン膜を製造するために、UHMWPE-2は、UHMWPE-2, PE-2及びPP-2の総重量に対し少なくとも約8wt%、または少なくとも約208wt%、または少なくとも25 wt%含まれる。
上記の(iii)及び(iv)のひとつの実施形態では、PP-2少なくともホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであり、第2微細孔層材の総重量に対し25wt%以下含まれ、または約2%から約15%の範囲で含まれ、または約3%から約10%の範囲で含まれる。
ひとつの実施形態では好ましいPE-2はPE-1と同一であるが、独立して選択することもできる。ひとつの実施形態では、好ましいUHMWPE-2はUHMWPE-1と同一であるが、独立して選択することもできる。
【0042】
第1、第2、第3、及び第4ポリエチレンと、第1、及び第2ポリプロピレンに加え、第1及び第2微細孔層材には任意成分として1以上の追加ポリオレフィン、および/または、例えばUS2008/0057388に開示されたMwが約1×103から約1×104のポリエチレンワックスが含まれていてもよい。
【0043】
ひとつの実施形態では、2層微細孔ポリオレフィン膜を製造するためのプロセスが提供され、このプロセスでは本願に開示したタイプの押出ダイとマニホールドシステムが用いられる。
別の実施形態では、微細孔ポリオレフィン膜は3層であり、本願に開示したタイプの押出ダイとマニホールドシステムで製造される。微細孔ポリオレフィン膜の製造に関しては、主に2層及び3層構造の膜の場合について説明する。
【0044】
ひとつの実施形態では、3層の微細孔ポリオレフィン膜は、微細孔ポリオレフィン膜の外層を形成する第1及び第3微細孔層と、第1及び第3微細孔層の間に設けられた(さらに任意に平面接触する)第2(コア)微細孔層とから成る。
別の実施形態では、第1及び第3微細孔層は第1ポリマー溶液から製造され、第2(コア)微細孔層は第2ポリマー溶液から製造される。
【0045】
ひとつの実施形態では、多層微細孔ポリオレフィン膜を製造する方法が提供される。
この方法は、
(1) 第1ポリオレフィン組成物と、少なくとも1の希釈剤(例えば膜形成溶媒)とを組合せ(例えば溶融ブレンド)て、例えば第1ポリオレフィン溶液等の、ポリオレフィンと希釈剤の第1混合物を調製するステップと、(2) 第2ポリオレフィン組成物と、少なくとも第2の希釈剤(例えば第2膜形成溶媒)とを組合せ(例えば溶融ブレンド)て、例えば第2ポリオレフィン溶液等の、ポリオレフィンと希釈剤の第2混合物を調製するステップと、(3) 第1及び第2ポリオレフィン溶液を、本願に開示した少なくとも1のダイから押出して多層押出物を形成するステップと、(4) 任意に、多層押出物を冷却して冷却された押出物を形成するステップと、(5) 形成された押出物または冷却された押出物から膜形成溶媒の少なくとも一部を除去して多層膜を形成するステップと、(6)任意に、膜から揮発性成分の少なくとも一部を除去するステップとを含む。
ステップ(4)と(5)の間に、所望により任意の延伸ステップ(7)と、任意の熱溶媒処理ステップ(8)を行うことができる。
ステップ(6)の後に、任意の多層微細孔ポリオレフィン膜の延伸ステップ(9)、任意の熱処理ステップ(10)、任意のイオン化照射による架橋ステップ(11)、及び任意の親水化処理ステップ(12)を行うこともできる。
【0046】
上記のポリオレフィン樹脂から成る第1ポリオレフィン組成物を、ドライミキシングまたは溶融ブレンド等によって適切な膜形成溶媒と組み合わせることによって、第1ポリオレフィン溶液が製造される。
第1ポリオレフィン溶液には、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されているように、1以上の酸化防止剤やケイ酸塩微粉末(孔形成材)等の、種々の添加剤を任意成分として添加することができる。
【0047】
第1及び第2希釈剤には、室温で液体の溶媒を用いることができる。適切な希釈剤は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示された希釈剤である。
【0048】
ひとつの実施形態では、第1ポリオレフィン組成物を製造するために用いられる樹脂は、二軸押出機または混練機で溶融ブレンドされる。
例えば、二軸押出機等の公知の押出機(または混練機または混練機-押出機)を用いて原料樹脂を組み合わせて第1ポリオレフィン組成物を製造することができる。希釈剤は、プロセスの任意の時点において、ポリオレフィン組成物に(またはポリオレフィン組成物の製造に用いられる各樹脂に)添加することができる。
例えば、溶媒の添加は、第1ポリオレフィン組成物と第1希釈剤(膜形成溶媒)を溶融ブレンドして製造する場合、ポリオレフィン組成物(またはその構成成分)に(i) 溶融ブレンドを開始する前、(ii) 第1ポリオレフィン組成物の溶融ブレンド中、または、(iii) 例えば、第2押出機内にあるか、またはポリオレフィン組成物を溶融ブレンドするために用いた押出機ゾーンの下流側にある、溶融ブレンドまたは部分的に溶融ブレンドされたポリオレフィン組成物に第1膜形成溶媒を供給する等、溶融ブレンド後において行なうことができる。
【0049】
ポリマーと改質剤とを組み合わせる適切な方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0050】
第1ポリオレフィン溶液中の第1ポリオレフィン組成物の量は重要ではない。ひとつの実施形態では、第1ポリオレフィン溶液中の第1ポリオレフィン組成物の量は、第1ポリオレフィン溶液の総重量に対し約1 wt%から約75 wt%であり、例えば約20wt%から約70 wt%である。
第1ポリオレフィン溶液の残余の部分は溶媒である。例えば、第1ポリオレフィン溶液中の溶媒(または)希釈剤)の量は約30 wt%から約80 wt%である。
【0051】
第2ポリオレフィン溶液は、第1ポリオレフィン溶液と同様の方法で調製することができる。例えば、第2ポリオレフィン溶液は第2ポリオレフィン組成物と第2膜形成溶媒とを溶融ブレンドして調製することができる。
【0052】
第2ポリオレフィン溶液中の第2ポリオレフィン組成物の量は重要ではない。ひとつの実施形態では、第2ポリオレフィン溶液中の第2ポリオレフィン組成物の量は、第2ポリオレフィン溶液の総重量に対し約1 wt%から約75 wt%であり、例えば約20wt%から約70 wt%である。
第2ポリオレフィン溶液の残余の部分は溶媒である。例えば、第2ポリオレフィン溶液中の溶媒(または)希釈剤)の量は約30 wt%から約80 wt%である。
【0053】
本願に開示するタイプの押出ダイを用いて、共押出または積層される押出物を形成することができる。
ひとつの実施形態では、押出機に隣接または連結された押出ダイを用いて押出物を形成することができる。第1及び第2シートダイがそれぞれ第1及び第2押出機に連結され、第1押出機には第1ポリオレフィン溶液が供給され、第2押出機には第2ポリオレフィン溶液が供給される。押出された第1及び第2ポリオレフィン溶液の温度が押出温度に近い場合は、積層の方が容易に加工できるが、必須ではない。
【0054】
別の実施形態では、第1、第2及び第3ダイがそれぞれ第1、第2及び第3押出機に連結され、第1及び第3押出機には第1ポリオレフィン溶液が供給され、第2押出機には第2ポリオレフィン溶液が供給される。この実施形態では、外層が押出された第1ポリオレフィン溶液から成り、中間層が押出された第2ポリオレフィン溶液から成る構成の積層押出物が形成される。
【0055】
また別の実施形態では、第1、第2及び第3ダイがそれぞれ第1、第2及び第3押出機に連結され、第1及び第3押出機には第2ポリオレフィン溶液が供給され、第2押出機には第1ポリオレフィン溶液が供給される。この実施形態では、外層が押出された第2ポリオレフィン溶液から成り、中間層が押出された第1ポリオレフィン溶液から成る構成の積層押出物が形成される。
【0056】
一般に、ダイのギャップは重要ではない。例えば、本願に示す押出ダイのギャップを約0.1mmから約5mmにすることができる。ダイ温度と押出速度も、重要な製造条件ではない。例えば、押出を行っているときのダイの温度を、約140℃から約250℃にすることができる。押出速度は、例えば約0.2 m分から約15 m/分にすることができる。
積層押出物の各層の厚みは、独立に選択することができる。例えば、積層押出物の中間層の厚みに対し、スキン層または表面層の厚みを相対的に大きくすることができる。
【0057】
任意に、多層押出物を冷却することができる。冷却速度と冷却温度は重要ではない。適切な冷却方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0058】
ひとつの実施形態では、多層微細孔ポリオレフィン膜を形成する際に、多層押出物から第1及び第2膜形成溶媒の少なくとも一部が除去される(または取り除かれる)。
溶媒(希釈剤)を除去するために適した方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388,及びUS2008/0057389に開示されている。例えば洗浄溶媒を用いることができる。
【0059】
ひとつの実施形態では、微細孔ポリオレフィン膜中に残留する揮発性成分(例えば洗浄溶媒)の少なくとも一部が除去される。揮発性成分を除去するために適した方法は、例えばWO2008/016174, , US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0060】
膜形成溶媒を除去するステップの前に、配向された押出物を得るために押出物を延伸することができる。
押出物または冷却された押出物の延伸に適した方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0061】
WO 2000/20493に開示されているように押出物を熱溶媒で処理することもできるが、必須ではない。
【0062】
ひとつの実施形態では、少なくとも希釈剤の一部を除去した後、微細孔ポリオレフィン膜を少なくとも単軸方向に延伸することができる。延伸方法は重要ではなく、テンター法等の公知の延伸方法を用いることができる。
上記のように押出物を延伸する場合、乾燥した微細孔ポリオレフィン膜の延伸は、ドライストレッチング、再ストレッチング、またはドライオリエンテーション等と呼ばれる。適切な延伸方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0063】
延伸倍率は重要ではない。例えば、微細孔ポリオレフィン膜の延伸倍率は、少なくとも1の横(平面内)方向において約1.1倍から2.5倍、または約1.1倍から2.0倍の範囲である。二軸方向に延伸することもでき、この場合延伸倍率を同じにする必要はない。
【0064】
ひとつの実施形態では、微細孔ポリオレフィン膜を熱処理、および/またはアニールすることができる。
所望により、微細孔ポリオレフィン膜をイオン化放射線(例えばa-rays (3-rays, 7-rays, 電子線ビーム等))によって架橋したり、親水化処理したり(すなわち、微細孔ポリオレフィン膜をより親水性にする処理(例え親水性ばモノマーグラフト化処理、界面活性剤処理、コロナ放電処理等))することができる。
微細孔ポリオレフィン膜の熱処理、アニール、及び架橋等に適した方法は、例えばWO2008/016174, US2008/0057388, 及びUS2008/0057389に開示されている。
【0065】
あるいは、WO2008/016174 (多層膜) や、WO2007/132942 (単層膜)に開示された微細孔ポリオレフィン膜を製造する方法を用いることもできる。
【0066】
押出方法について2層または3層の押出物を製造する場合を例に説明したが、押出方法はこれらに限定されない。例えば、本願に開示した押出ダイの構成を利用した多数のダイおよび/またはダイ構成を用いて、4層以上の多層押出物を製造することもできる。
【0067】
本願に引用した全ての特許文献、試験方法、その他の文献は、それが許される全ての法域において本願に参照として組み込まれる。
【0068】
本願発明について実施形態に基づき説明したが、当業者であれば本願の要旨から逸脱することなく種々の変更を行えることを理解できよう。従って、特許請求の範囲は実施形態によって限定されず、当業者にとって均等な範囲も含めて本願に開示した全ての特許性の有る構成が含まれる様に解釈される。
【0069】
複数の上限値及び下限値が記載されている場合、いずれかの下限値からいずれかの上限値までの範囲が考慮される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーと希釈剤とを含む押出物を製造するシステムであり、ポリマー溶液がその間を通って押し出される第1ダイリップと第2ダイリップとを有するダイ出口を備える押出ダイと、押出物を冷却する冷却ロールと、冷却された押出物を保護する器具とから成るシステムにおいて用いられる前記器具であって、
(a)リード縁と、第1端及び第2端とを有するプレートであって、プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、
(b)このプレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接して取り付けるための手段とから成ることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記プレートが、冷却ロール及び冷却された押出物の上部に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて、冷却された押出物から遠ざけるためのガイド部を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物から遠ざけるための前記ガイド部に、延長部材が含まれる、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記延長部材が、蓄積した凝縮オイルをオイル回収装置へ導くために十分な長さを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記延長部材が鎖である、請求項3から5に記載の器具。
【請求項7】
さらに、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物から遠ざけるための前記ガイド部に、プレートの第2端に形成された下方延長部が含まれる、請求項3から5に記載の器具。
【請求項8】
前記延長部材が前記プレートの前記下方延長部に取り付けられている、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
押出ダイの第1リップに隣接してプレートを取り付けるための前記手段に、プレートの前記第1端に取り付けられた第1取り付け具と、プレートの前記第2端に取り付けられた第2取り付け具とが含まれる、請求項1から9のいずれか1項に記載の器具。
【請求項10】
さらに、押出ダイ第1リップに隣接してプレートを取り付けるための前記手段に長尺サポート部材が含まれ、前記長尺サポートがプレートの前記リード縁に対向する縁に隣接して取り付けられる、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記第1取り付け具と、前記第2取り付け具と、前記長尺サポート部材とが、前記プレートに複数のボルトで取り付けられる、請求項9または10に記載の器具。
【請求項12】
前記プレートが金属製である、請求項1から11のいずれか1項に記載の器具。
【請求項13】
熱可塑性材料の押出物を製造するプロセスであって、
(a)少なくとも1のポリマーと、少なくとも1の希釈剤とを組合せて混合物を調製するステップと、(b)前記混合物を押出ダイから押し出すステップであって、前記押出ダイが前記熱可塑性材料の溶融流が押出されるダイ出口を備え、細長い開口を有する前記ダイ出口が第1ダイリップと第2ダイリップとを有するステップと、(c)前記押出物を冷却して冷却された押出物を形成するステップと、(d)前記冷却された押出物をステップ(c)で生じた凝縮物から器具を用いて保護するステップであって、前記器具が(i)リード縁と、第1端及び第2端とを有するプレートであって、前記プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、(ii)前記プレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接して取り付けるための手段とから成るステップとから成る、熱可塑性材料の押出物を製造するプロセス。
【請求項14】
前記プレートが、冷却ロール及び冷却された押出物の上部に位置する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
さらに、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物から遠ざけるためのガイド部を備える、請求項13または14に記載のプロセス。
【請求項16】
蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物から遠ざけるための前記ガイド部に、延長部材が含まれる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記延長部材が、蓄積した凝縮オイルをオイル回収装置へ導くために十分な長さを有する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記延長部材が鎖である、請求項16または17に記載のプロセス。
【請求項19】
さらに、蓄積した凝縮オイル状物質を導いて冷却された押出物から遠ざけるための前記ガイド部にプレートの第2端に形成された下方延長部が含まれる、請求項16から18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記延長部材が前記プレートの前記下方延長部に取り付けられている、請求項16から19に記載のプロセス。
【請求項21】
押出ダイの第1リップに隣接してプレートを取り付けるための前記手段に、プレートの前記第1端に取り付けられた第1取り付け具と、プレートの前記第2端に取り付けられた第2取り付け具とが含まれる、請求項13から20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
さらに、押出ダイ第1リップに隣接してプレートを取り付けるための前記手段に長尺サポート部材が含まれ、前記長尺サポートがプレートの前記リード縁に対向する縁に隣接して取り付けられる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記プレートが金属製である、請求項13から22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
さらに、(e)ステップ(b)と(c)で生じたガスを排気して凝縮の発生を最小にするステップと、(f)冷却された押出物から溶媒を除去して溶媒除去冷却押出物を形成するステップと、(g)溶媒除去冷却押出物を乾燥して微細孔膜を形成するステップとを備える、請求項13に記載のプロセス。
【請求項25】
冷却されたポリマー押出物を保護するための器具であって、
(a)ポリマー溶液がその間を通って押し出される第1ダイリップ及び第2ダイを含むダイ出口を有する押出ダイと、
(b)押出物を冷却する冷却ロールと、
(c)リード縁と、第1端及び第2端とを有するプレートであって、前記プレートの幅がリード縁に沿って第1端から第2端へ向かうに従い拡大するプレートと、
(d)前記プレートを押出ダイの第1ダイリップに隣接して取り付けるための手段とから成ることを特徴とする器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−540268(P2010−540268A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513511(P2010−513511)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/JP2008/068129
【国際公開番号】WO2009/044906
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000221627)東燃化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】