説明

押釦装置

【課題】特定商品を確実にアピールすることができる押釦装置を提供すること。
【解決手段】複数の第1光源327と、商品を収容した自動販売機本体1a(本体キャビネット2)に操作可能に配設され、かつ複数の第1光源327からの出射光を透過する商品選択のための押釦スイッチ32と、複数の第1光源327の点灯および消灯を個別に制御するコントローラ40とを備えた押釦装置20において、コントローラ40は、少なくとも自動販売機本体1aに収容された商品の払い出しが可能になった場合に、予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチ32の第1光源327を交互に点灯させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦装置に関し、より詳細には、自動販売機等の機器に用いられる押釦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動販売機の前面パネルには、左右方向に沿って商品見本を陳列した陳列棚が複数段設けられており、それぞれの陳列棚に対応して押釦装置が配設されている。押釦装置は、押釦スイッチと、コントローラとを備えて構成されている。
【0003】
押釦スイッチは、自動販売機の前面パネルに表出する態様で各商品見本に対応して配設され、より詳細には、光源を内蔵し、前方側から押圧された場合に操作可能に配設されている。光源は、例えばチップ型発光ダイオード(LED;Light-emitting diode)等から構成され、販売可能表示を行うための発光素子(以下、販売表示用発光素子ともいう)と、売切表示を行うための発光素子(以下、売切表示用発光素子ともいう)とから構成されている。コントローラは、販売表示用発光素子および売切表示用発光素子の点灯および消灯を個別に制御するものである。
【0004】
そのような押釦装置では、自動販売機内に商品の販売価格以上の貨幣が投入されたことにより該自動販売機内に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、コントローラが、販売表示用発光素子を点灯させる。その後、利用者により選択した商品見本に対応した押釦スイッチが押圧されることにより、該押釦スイッチが操作して選択された商品見本に対応した商品が払い出され、該商品が販売されたことになる。
【0005】
一方、既に売切または販売中止となっている商品がある場合には、コントローラは、該商品に対応する押釦スイッチの売切表示用発光素子を点灯させる。これにより、利用者は、売切等商品を視認することができる。
【0006】
そして、上記押釦装置では、自動販売機が貨幣が投入される前の待機状態である場合には、特定のお奨め商品に対応する押釦スイッチが目立つように、販売表示用発光素子を点灯させてイルミネーション効果の向上を図ったものもある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−149482号公報
【特許文献2】特開平11−242772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記押釦装置では、自動販売機が待機状態の場合に限って特定商品に対応する押釦スイッチの販売表示用発光素子を点灯させていたために、利用者が貨幣を投入した後は、該利用者に対して特定のお奨め商品をアピールすることが困難であった。特に、利用者は、貨幣を投入した後に商品を選択することが一般的であることを考慮すると、上記押釦装置では、利用者に対して特定のお奨め商品をアピールしているとはいえなかった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、特定商品を確実にアピールすることができる押釦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る押釦装置は、複数の光源と、商品を収容した筐体に操作可能に配設され、かつ前記複数の光源からの出射光を透過する商品選択のための押釦スイッチと、前記複数の光源の点灯および消灯を個別に制御する制御手段とを備えた押釦装置において、前記制御手段は、少なくとも前記筐体に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチの光源を交互に点灯させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る押釦装置は、上記請求項1において、前記複数の光源は、同色の発光素子から構成して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る押釦装置によれば、少なくとも筐体に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、制御手段が予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチの光源を交互に点灯させるので、特定商品を確実にアピールすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る押釦装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下においては、本発明に係る押釦装置は、自動販売機に適用されるものとして説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である押釦装置を適用した自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機1は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却もしくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体1aを備えて成るものである。自動販売機本体1aは、筐体であり、本体キャビネット2および外扉3を備えている。
【0015】
本体キャビネット2は、複数の鋼板を組み合わせることによって構成したもので、前面が開口した断熱構造の箱状を成している。図には明示していないが、この本体キャビネット2の内部には、商品収納ラックを介して複数の商品が収納してある。外扉3は、本体キャビネット2の前面開口を閉塞するためのもので、開閉可能となる態様で本体キャビネット2の一側縁部に保持させてある。
【0016】
この外扉3の前面パネル(自動販売機本体1aの前面)には、紙幣投入口4、硬貨投入口5、表示部6、商品取出口7が設けてある。紙幣投入口4は、利用者が紙幣を投入するための開口であり、また硬貨投入口5は、利用者が硬貨を投入するための開口であり、それぞれ前面パネルの高さ方向中間位置に設けてある。これら紙幣投入口4や硬貨投入口5を通じて投入された貨幣は、図示せぬ貨幣処理装置において適宜処理されることになる。貨幣処理装置は、紙幣投入口4や硬貨投入口5を通じて投入された貨幣が正規なものであるか否かを判別し、正規なものとして判別した貨幣を内部に取り込む一方、正規な貨幣として判別できなかった場合、並びに投入操作の後に返却レバー8が操作された場合、それぞれ貨幣を返却するためのものである。尚、紙幣投入口4は、利用者に対して紙幣を返却する際の紙幣返却口としても機能する。これに対して硬貨投入口5から投入した硬貨は、硬貨返却口9を通じて利用者に返却されることになる。表示部6は、利用者が投入した貨幣の入金額、釣銭の金額等々、商品を販売する上で必要となる各種情報を外部に表示するためのものであり、例えば液晶表示器によって構成してある。商品取出口7は、本体キャビネット2から払い出された商品を利用者が取り出すための開口であり、前面パネルの最下部に設けてある。
【0017】
また、外扉3の前面パネルには、その上方部にディスプレイウィンドウ10が設けてある。ディスプレイウィンドウ10は、前面が透明板11によって覆われた窓であり、その内部に左右方向に沿って商品見本12を陳列した陳列棚13が複数段設けてある。各陳列棚13の商品見本12は、透明板11を通じて外部から視認することが可能である。
【0018】
透明板11の前面には、それぞれの陳列棚13に対応して販売商品を選択するための押釦装置20が設けてある。押釦装置20は、押釦ユニット30と、コントローラ(制御手段)40とを備えて構成してある。押釦ユニット30は、ケーシング31と、ケーシング31に対して操作可能に配設した複数の押釦スイッチ32とを備えたものである。この押釦ユニット30は、その複数組が支持部材によって透明板11に支持されることにより、利用者に対して各商品見本12に対応した押釦スイッチ32を個別に提供するためのものである。
【0019】
図2および図3は、図1に示した自動販売機に適用する押釦装置の押釦ユニットを示したものである。尚、図1においては、ケーシング31に6個の押釦スイッチ32を備えた押釦ユニット30を示してあるが、以下の説明においては便宜上、ケーシング31に2個の押釦スイッチ32を備えた押釦ユニット30について説明する。
【0020】
図2および図3に示したように、押釦ユニット30のケーシング31は、ベース部材311とカバー部材312とを備えて構成してある。
【0021】
ベース部材311は、矩形の板状を成すもので、その表面周縁に枠部311aを有するとともに、枠部311aに装着溝311bを有している。枠部311aは、ベース部材311の各辺に沿って設けた矩形枠状を成すもので、ベース部材311の表面から表面側に向けて突設している。装着溝311bは、枠部311aの突出端面に形成した狭幅の凹所であり、無端の矩形状に形成してある。
【0022】
カバー部材312は、ベース部材311の表面を覆うためのもので、前板部312a、一対の段状部312bおよび一対の側板部312cを有している。前板部312aは、長手方向に沿う軸心を中心とした円弧状の横断面を有する部分であり、2つの釦挿通孔312dを有している。釦挿通孔312dは、後述する押釦スイッチ32の操作部材325を外部に露出させるためのものである。本実施の形態では、カバー部材312の長手方向に沿って横長となり、かつ互いに同一の大きさとなる楕円形状の釦挿通孔312dを、カバー部材312の長手方向に沿って互いに並設するように形成してある。段状部312bは、横断面が前板部312aよりも小径の円弧筒状を成すもので、前板部312aの長手方向両端部に形成してある。図からも明らかなように、段状部312bは、それぞれ円弧状に膨出する外表面が前板部312aの外表面よりも低くなる態様で前板部312aに連設してある。側板部312cは、段状部312bの端面開口を閉塞するためのもので、段状部312bの横断面形状にしたがった外形の平板状を成している。このカバー部材312は、前板部312a、段状部312bおよび側板部312cによって構成される矩形状の開口をベース部材311によって閉塞することのできる大きさに構成してある。尚、カバー部材312には、裏面側から光を照射した場合に、その光が表面側に透過しないように、遮光性を有した材料により成形する、あるいは遮光性を有した塗料を施す、等の処理が施してある。
【0023】
一方、押釦ユニット30の押釦スイッチ32は、配線基板321、リフレクタ部材322、パッキン323、表示板324および操作部材325を順次重ね合わせて構成したものである。
【0024】
配線基板321は、2つ(複数)の押釦スイッチ32に対して1つ用意したもので、上述したベース部材311の枠部311aに収容することができる大きさの矩形状に成形してある。この配線基板321の表面には、長手方向に略二等分したそれぞれの部分に各押釦スイッチ32の実装領域が構成してあり、各実装領域にそれぞれ接点部材326、第1光源327、第2光源328等の押釦スイッチ32で個別に必要となる個別電子部品が実装してある一方、両実装領域の境界となる部位に2つの押釦スイッチ32で共通に用いる集積回路素子329等の共通電子部品が実装してある。
【0025】
接点部材326は、押圧操作された場合に配線基板321に構成された所望の電子回路をON状態に切り換えるもので、それぞれの押釦スイッチ32に2つずつ設けてある。本実施の形態では、互いの間にカバー部材312に形成した釦挿通孔312dの長径と略同等の間隔を確保した状態で各実装領域の両端部にそれぞれ接点部材326を配置するようにしている。
【0026】
第1光源327および第2光源328は、明滅状態の相違によって自動販売機1の状態を報知するためのもので、それぞれ複数の発光素子、例えば発光ダイオードによって構成してある。より具体的には、第1光源327は、配線基板321の各実装領域の一端部側に、緑色の発光色を呈する3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cを略三角形の頂点を形成する態様で並設することによって構成してある。第2光源328は、配線基板321の各実装領域の他端部側に、赤色の発光色を呈する第2赤色発光ダイオード328aと、橙色の発光色を呈する第2橙色発光ダイオード328bとを互いに配線基板321の短手方向に並設することによって構成してある。
【0027】
集積回路素子329は、それぞれの実装領域に配置した接点部材326が押圧操作された場合に個別の作動信号を後述するコントローラ40に出力する一方、コントローラ40から指令が与えられた場合、この指令に応じてそれぞれの実装領域に配置した第1光源327および/または第2光源328を明滅させるためのものである。第1光源327および第2光源328の明滅については後述する。
【0028】
リフレクタ部材322は、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けたもので、遮光性を有した材料により、配線基板321の各実装領域において接点部材326の間に収容することができ、かつカバー部材312に形成した釦挿通孔312dに遊嵌することのできる楕円形状に形成してある。個々のリフレクタ部材322には、第1光源327に対応する部位にレンズ保持部322aが設けてある一方、第2光源328の第2赤色発光ダイオード328aおよび第2橙色発光ダイオード328bに対応する部位にそれぞれ個別の反射面322bが設けてある。
【0029】
レンズ保持部322aは、楕円形状のレンズ部材Lを保持するためのものであり、第1光源327の3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cの出射光の通過域に設けてある。より詳細に説明すると、レンズ保持部322aは、第1緑色発光ダイオード327a〜327cの出射光が中心部分に至る態様でレンズ部材Lを保持するものである。ここでレンズ保持部322aに保持されたレンズ部材Lは、光透過材から形成して成るものである。
【0030】
反射面322bは、リフレクタ部材322の表面にそれぞれ矩形状の開口を有し、個々の開口から四角錐状に窪んだ凹部であり、それぞれの頂点部分に光通過孔322cを有している。光通過孔322cは、第2赤色発光ダイオード328aおよび第2橙色発光ダイオード328bをそれぞれ個別に含む大きさに形成した矩形状を成すものである。
【0031】
図には明示していないが、リフレクタ部材322には、レンズ保持部322a、反射面22bに光反射性に富むアルミニウムもしくはアルミニウム合金を蒸着しても良い。
【0032】
パッキン323は、2つ(複数)の押釦スイッチ32に対して1つ用意したもので、例えばシリコーン系ゴム等のように透光性および弾性を有した材料により、基部323aが配線基板321と同等の大きさを有した矩形の外形形状に成形してある。このパッキン323には、突条部323b、釦装着部323c、部品収容部323dおよびスプリング部323eが一体成形してある。
【0033】
突条部323bは、基部323aの裏面周縁から各辺に沿う態様で突設した無端の矩形状を成す部分であり、ベース部材311の装着溝311bに対応して構成してある。図には明示していないが、この突条部323bの突出端部は、装着溝311bの幅よりも僅かに大きな板厚を有するように構成してある。
【0034】
釦装着部323cは、基部323aの裏面において配線基板321の各実装領域に対応する部位にそれぞれリフレクタ部材322を嵌挿することのできる楕円形状の開口を有し、該開口から基部323aの表面側に向けて突設した部分であり、個々の突出端面が閉塞した楕円の筒状を成している。
【0035】
部品収容部323dは、配線基板321に実装した接点部材326や集積回路素子329等、突出量が大きい電子部品との干渉を避けるための部分であり、これらの電子部品に対応する部位に基部323aから表面側に突出し、かつ電子部品を覆う態様で形成してある。具体的には、パッキン323の長手方向両端部、並びに釦装着部323cの相互間にそれぞれ釦装着部323cに連続する態様で部品収容部323dを形成してある。これらの部品収容部323dには、接点部材326に対応する部位にそれぞれ操作突起部323fが設けてある。操作突起部323fは、部品収容部323dにおいて裏面側に向く面から互いに同一の長さをもって円柱状に突設したものである。
【0036】
スプリング部323eは、所望とする弾性復元力を維持した状態で、他の部分よりも弾性変形し易いように薄肉に成形した部分であり、基部323aと釦装着部323cとの間、並びに基部323aと部品収容部323dとの間に構成してある。
【0037】
表示板324は、透光性を有した材料から成るフィルム材によって釦装着部323cの突出端面と略同一の形状に成形したもので、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けてある。図には明示していないが、個々の表示板324には、リフレクタ部材322の2つの反射面322bに対応する部位にそれぞれ抜き文字が形成してある。抜き文字は、例えば他の部分に塗装を施す等、透光性を低下させる処理を施すことにより、表示板324に光を透過させた場合に文字部分を浮き上がるようにしたもので、本実施の形態では、第2赤色発光ダイオード328aの反射面322bに対応する部位に「売切」と表示するように構成する一方、第2橙色発光ダイオード328bの反射面322bに対応する部位に「準備中」を表示するように構成してある。
【0038】
操作部材325は、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けたもので、透光性を有した材料により、釦基部325aがカバー部材312の前板部312aに形成した釦挿通孔312dよりも大きく、配線基板321の実装領域に実装した2つの接点部材326を覆うに充分な幅および長さを有した矩形の外形形状に成形してある。釦基部325aの外表面は、カバー部材312の内表面に倣って円弧状に膨出している。個々の操作部材325には、それぞれ釦基部325aの中央部に操作部325bが設けてある。操作部325bは、操作部材325の裏面にパッキン323の釦装着部323cおよび表示板324を嵌挿することのできる楕円形状の開口を有し、該開口から釦基部325aの表面側に向けて楕円の筒状に突設した部分であり、カバー部材312の釦挿通孔312dに嵌挿できる外形寸法に構成してある。釦基部325aの外表面からの操作部325bの突出高さは、カバー部材312の板厚よりも僅かに大きく構成してあり、また操作部325bの個々の先端面は、押圧操作面325cとして閉塞してある。
【0039】
上記のような構成を有する押釦ユニット30は、例えば以下のようにして組み立てることができる。まず、パッキン323に設けた釦装着部323cの内部に、レンズ部材Lを保持させたリフレクタ部材322を嵌挿させるとともに、釦装着部323cの突出端面に表示板324を重ね合わせた状態でこれらを操作部材325の裏面側から操作部325bの内部に嵌挿させることにより、リフレクタ部材322、パッキン323、表示板324および操作部材325を一体化させる。その後、ベース部材311の枠部311aに配線基板321を収容させた状態で装着溝311bにパッキン323の突条部323bを圧入すれば、ベース部材311と操作部材325との間にパッキン323のスプリング部323eを介在させた状態でベース部材311に操作部材325が保持される。
【0040】
この場合、配線基板321に実装した接点部材326には、それぞれパッキン323の操作突起部323fを介して操作部材325の釦基部325aが対向配置された状態にある。この状態からスプリング部323eの弾性力に抗して操作部材325の押圧操作面325cをに押圧力を与えれば、パッキン323の操作突起部323fを介して釦基部325aの裏面により接点部材326を押圧操作することができる。操作部材325の押圧操作面325cに与えた押圧力を除去すると、スプリング部323eの弾性復元力によって操作部材325が配線基板321から離隔移動し、接点部材326の押圧操作を解除することができる。
【0041】
また、配線基板321に実装した第1光源327には、リフレクタ部材322のレンズ保持部322aに保持されたレンズ部材Lが対向配置された状態にあるとともに、第2光源328には、それぞれ反射面322bに通じる光通過孔322cが対向位置に配置された状態にある。
【0042】
コントローラ40は、図4に示したように、主制御部41と、通信処理部42と、貨幣処理管理部43と、商品管理部44と、光源管理制御部45と、商品払出制御部46とを備えて構成してある。
【0043】
主制御部41は、例えばROMやRAM等のメモリ47に格納されたプログラムやデータに基づいてコントローラ40の動作を統括的に制御するものである。通信処理部42は、外部の各端末機器との間で各種指令または各種信号の入出力を行うものである。
【0044】
貨幣処理管理部43は、上記貨幣処理装置が正規なものとして取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったか否かを管理するものである。商品管理部44は、本体キャビネット2の内部に収容された商品のうち、既に在庫が無くなって売切状態に該当する商品の存否、並びに現在冷却中あるいは現在加温中のために販売準備状態に該当する商品の存否を管理するものである。より具体的に説明すると、本体キャビネット2の内部に配設された売切検出部(図示せず)からの売切信号を入力したか否か、並びに本体キャビネット2の内部に配設された準備中検出部(図示せず)からの準備中信号を入力したか否かを確認するものである。
【0045】
光源管理制御部45は、第1光源327および第2光源328の明滅を制御、すなわち第1光源327および第2光源328のそれぞれの点灯および消灯を制御するものである。具体的に説明すると、光源管理制御部45は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったと判断された場合には、該当する商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、通信処理部42を通じて第1緑色発光ダイオード点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子329は、該当する3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cを一様に点灯させることになる。
【0046】
一方、商品管理部44を通じて売切状態に該当する商品が確認された場合には、光源管理制御部45は、売切状態に該当する商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、通信処理部42を通じて第2赤色発光ダイオード点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子329は、該当する第2赤色発光ダイオード328aを点灯させることになる。また、商品管理部44を通じて販売準備状態に該当する商品が確認された場合には、光源管理制御部45は、販売準備状態に該当する商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、通信処理部42を通じて第2橙色発光ダイオード点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子329は、該当する第2橙色発光ダイオード328bを点灯させることになる。
【0047】
更に、光源管理制御部45は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったと判断された場合において、該当する商品の中にメモリ47に予め設定された特定のお奨め商品(以下、特定商品ともいう)が含まれているときには、該特定商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、通信処理部42を通じて第1緑色発光ダイオード特定点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子329は、該当する第1緑色発光ダイオード327a〜327cを交互に点灯させることになる。より詳細に説明すると、集積回路素子329は、図5に示したように、略三角形の頂点を形成する態様で並設された3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cを、例えば第1緑色発光ダイオード327a、第1緑色発光ダイオード327b、第1緑色発光ダイオード327cの順に交互に点灯させることになる。
【0048】
商品払出制御部46は、本体キャビネット2の内部に収容された商品を払い出すための商品払出機構(図示せず)の動作を制御するもので、具体的には、通信処理部42を通じて集積回路素子329から作動信号を入力した場合に、該当する商品に応じた商品払出機構を動作させるものである。これにより、該当商品は、商品取出口7まで払い出されることになる。
【0049】
以上のような構成を有する押釦装置20は、次のような動作を行う。ここでは、コントローラ40の主制御部41の処理内容を中心にして押釦装置20の動作について説明する。
【0050】
コントローラ40の主制御部41は、商品管理部44を通じて売切状態に該当する商品を確認した場合、あるいは商品管理部44を通じて準備中状態に該当する商品を確認した場合には、売切状態に該当する商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に第2赤色発光ダイオード点灯指令、あるいは準備中状態に該当する商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に第2橙色発光ダイオード点灯指令を、それぞれ光源管理制御部45および通信処理部42を通じて出力する。これにより、集積回路素子329は、第2赤色発光ダイオード328aまたは第2橙色発光ダイオード328bを点灯させる。そうすると、第2赤色発光ダイオード328aまたは第2橙色発光ダイオード328bからの出射光が、対応する光通過孔322cを通過し、反射面322bで反射した後、パッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次透過することになり、この透過光を外部から視認することができる。その際、第2赤色発光ダイオード328aからの出射光は、操作部材325の押圧操作面325cにおいて表示板324に設けた「売切」の抜き文字を浮き上がらせ(図6参照)、第2橙色発光ダイオード328bからの出射光は、操作部材325の押圧操作面325cにおいて表示板324に設けた「準備中」の抜き文字を浮き上がらせるようになる(図7参照)。従って、販売する商品が無くなった場合に対応する押釦スイッチ32の第2赤色発光ダイオード328aを点灯させれば、また販売する商品が適温状態に至っていない場合に対応する押釦スイッチ32の第2橙色発光ダイオード328bを点灯させれば、自動販売機1の運転状態を利用者に明示することができる。
【0051】
そのように商品管理部44が売切状態および準備中状態を確認していない商品に対しては、押釦装置20は次のように動作を行う。コントローラ40の主制御部41は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったと判断した場合、すなわち商品の払い出しが可能な状態になった場合には、該当する商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、光源管理制御部45および通信処理部42を通じて第1緑色発光ダイオード点灯指令を出力する。これにより、集積回路素子329は、該当する3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cを一様に点灯させる。そうすると、第1緑色発光ダイオード327a〜327cからの出射光が、リフレクタ部材322に保持されたレンズ部材Lを同時に透過した後に、パッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次同時に透過することになり、この透過光を外部から視認することができる。従って、販売可能な商品を利用者に明示することができるようになる。
【0052】
一方、コントローラ40の主制御部41は、商品の払い出しが可能な状態になった場合であって、販売可能商品の中にメモリ47に予め設定された特定商品が含まれているときには、該特定商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子329に対して、光源管理制御部45および通信処理部42を通じて第1緑色発光ダイオード特定点灯指令を出力する。これにより、集積回路素子329は、該当する第1緑色発光ダイオード327a〜327cを交互に点灯させる。そうすると、第1緑色発光ダイオード327a〜327cのそれぞれの出射光が、レンズ部材L、パッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを時間差を有して透過することになり、外部から第1緑色発光ダイオード327a〜327cの点灯部分が回転しているように確認することができる。従って、特定のお奨め商品を利用者に明示することができるようになる。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る押釦装置20によれば、コントローラ40が、本体キャビネット2に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチ32の第1光源327を交互に点灯させるので、特定商品を確実にアピールすることができる。従って、お奨め商品の販売向上を促進することができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述の実施の形態では、商品の払い出しが可能な状態の場合に限って第1光源327を交互に点灯させたが、本発明では、商品の払い出しが可能な状態だけでなく、貨幣が投入される前の待機状態の場合にも同様に第1光源を交互にさせても良い。これによっても特定商品を確実にアピールすることができる。
【0055】
また、上述の実施の形態では、第1光源327および第2光源328からの出射光が操作部材325の押圧操作面325cをともに透過する構成の押釦装置20について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1光源からの出射光が操作部材の押圧操作面を透過する構成であれば、第2光源からの出射光は、操作部材の押圧操作面以外の部分から透過する構成であっても良い。
【0056】
更に、上述の実施の形態では、第1光源327として3つの第1緑色発光ダイオード327a〜327cを有している場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1光源は、2つ以上の複数の発光素子から構成されるもので良い。また、発光ダイオードの色は、緑色に限定されず、青色や橙色でも構わない。
【0057】
また更に、上述の実施の形態では、リフレクタ部材322としてレンズ部材Lを保持するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1光源からの出射光を透過させる部分が反射面となるリフレクタ部材を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態である押釦装置を適用した自動販売機の正面図である。
【図2】図1に示した押釦装置の押釦ユニットを示した分解斜視図である。
【図3】図1に示した押釦装置の押釦ユニットを示した要部断面図である。
【図4】図2に示した押釦装置のコントローラの構成を示したブロック図である。
【図5】図2に示した押釦装置の第1光源の点灯パターンを示した説明図である。
【図6】図2に示した押釦装置の第2光源の点灯パターンを示した説明図である。
【図7】図2に示した押釦装置の第2光源の点灯パターンを示した説明図である。
【符号の説明】
【0059】
20 押釦装置
30 押釦ユニット
31 ケーシング
32 押釦スイッチ
327 第1光源
328 第2光源328
40 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
商品を収容した筐体に操作可能に配設され、かつ前記複数の光源からの出射光を透過する商品選択のための押釦スイッチと、
前記複数の光源の点灯および消灯を個別に制御する制御手段と
を備えた押釦装置において、
前記制御手段は、少なくとも前記筐体に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチの光源を交互に点灯させることを特徴とする押釦装置。
【請求項2】
前記複数の光源は、同色の発光素子から構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の押釦装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−108037(P2006−108037A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296401(P2004−296401)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】