説明

抽出カートリッジ

【課題】液ダレが無く、取り扱いが容易な抽出カートリッジを提供する。
【解決手段】有底筒状のカートリッジ本体2bの底部にフィルタ2aを配置する。フィルタ2aの下方でカートリッジ本体2bに排出ノズル2cを設ける。排出ノズル2cの先端に一方向弁150を一体に形成する。一方向弁150をダックビルチェックバルブから構成する。試料液等をカートリッジ本体2bに入れて加圧し、試料液等をフィルタ2aに通す。フィルタ2aを通過した試料液等は一方向弁150から、廃液容器3もしくは回収容器4に排出される。単に、試料液等をカートリッジ本体2bに入れた状態では、一方向弁150が閉じられており、試料液等の自重による液ダレが発生することはない。したがって、液ダレによる加圧装置や試験室の汚染が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ部材を有するカートリッジ本体に特定物質を含む液を注入して、圧力差により特定物質を抽出する抽出カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抽出機、例えば核酸を抽出する核酸抽出機としては、磁気ビーズを用いたもの、フィルタを用いたもの等が知られている。フィルタを用いた抽出機は、磁気ビーズを用いた抽出機と比較して、高純度、高収量で核酸を抽出することができる利点を有している。
【0003】
フィルタを用いた抽出機は、核酸が含まれる試料液をカートリッジに分注し、試料液をカートリッジ内のフィルタに通過させて、核酸をフィルタに吸着させた後に、回収液をカートリッジに分注し、回収液をフィルタに通過させることにより、核酸をフィルタから分離して、核酸を回収液とともに抽出する。
【0004】
なお、フィルタを用いた抽出機に関する文献として以下のものが挙げられる。特許文献1記載の核酸分離精製ユニット(前述のカートリッジに対応)は、2つの開口と固相(前述のフィルタに対応)を有しており、一方の開口には圧力差発生装置が結合され、この圧力差発生装置により前記核酸分離精製ユニット内に圧力差を生じさせて、試料液や回収液を他方の開口から吸引及び排出することにより、固相に核酸を吸着し脱着させて、核酸を抽出している。
【0005】
特許文献2記載のウェルプレートに用いる一方向フロー制御シーリング・マットは、試料液等を排出させる複数の排出口が配列されたプレート(板)に、各排出口に対応した一方向制御バルブが配列されたマットを係合させることにより、各排出口をまたぐ圧力差が印加された場合にのみ試料液等を各排出口から排出させて、各排出口から液が漏れるのを防止している。
【0006】
特許文献3記載の核酸分離カラムは、その核酸分離カラムに設けられた試料液等を吐出させる吐出孔の外周に、該吐出孔を覆うようにして設けられた隔壁部を有している。この隔壁部により、一の核酸分離カラムの吐出孔から吐出された液ダレが、その隣の他の核酸分離カラムの吐出孔にまで飛散しないようにしている。
【特許文献1】特開2004−49106号公報
【特許文献2】特表2005−516200号公報
【特許文献3】特開2003−339374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、カートリッジの先端側に開口が形成されているため、カートリッジ内を加圧する前に試料液等の自重によりそのカートリッジの開口から液ダレが生じることもあり、この場合には装置、容器、試験室環境を汚染させるおそれがある。また、特許文献2記載の発明は、排出口のあるプレート(板)と一方向制御バルブのあるマットとが別体で構成されているために、排出口に試料液等を注入した後の取り扱いが容易ではなかった。また、特許文献3記載の発明は、吐出孔の外周に隔壁部を設けることにより、カートリッジ全体としての形状が変化し、取り扱いにくくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、液ダレが無く、取り扱いが容易な抽出カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、特定物質が含まれる液を注入し、フィルタ部材に前記液中の前記特定物質を付着させて、前記特定物質を抽出する抽出カートリッジにおいて、前記液が入れられるカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体の底部に設けられ、前記カートリッジ本体内に圧力差を発生させたときに前記液を通過させる一方向弁とを有することを特徴とする。
【0010】
前記一方向弁は、前記カートリッジ本体に一体に成形されることを特徴とする。また、前記一方向弁は、前記カートリッジ本体とは別体で形成され、前記カートリッジ本体に取り付けられることを特徴とする。また、前記カートリッジ本体の底部には前記フィルタを通過する液を排出する排出ノズルが設けられ、前記一方向弁は、前記カートリッジ本体とは別体で形成され、前記排出ノズルに取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液が入れられるカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体の底部に設けられ、前記カートリッジ本体内に圧力差を発生させたときに前記液を通過させる一方向弁とを有することにより、前記液の自重による液ダレの発生が防止され、特定物質の抽出前及び後における取り扱いが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
核酸抽出処理は、図1に示すような手順(A)〜(G)で行われる。図1(A)に示すように、詳細を後述するカートリッジ2に核酸が含まれる試料液Sを注入する試料液注入処理を行う。次に(B)に示すように、廃液容器3上のカートリッジ2に加圧エアを導入して加圧し、フィルタ2aを通して試料液Sを通過させ、このフィルタ2aに核酸を吸着させる核酸吸着処理を行う。
【0013】
次に、(C)に示すように、カートリッジ2に洗浄液Wを分注する洗浄液分注処理を行う。そして、(D)に示すように、カートリッジ2に加圧エアを導入して加圧し、フィルタ2aに核酸を保持したままその他の不純物の洗浄除去をする洗浄処理を行う。フィルタ2aを通過した洗浄液Wは廃液容器3に排出される。洗浄液分注処理及び洗浄処理は複数回繰り返してもよい。
【0014】
次に、(E)に示すように、カートリッジ2の下方の廃液容器3を回収容器4に交換する。そして、(F)に示すように、カートリッジ2に回収液Rを分注する回収液分注処理を行う。最後に、(G)に示すように、カートリッジ2に加圧エアを導入して加圧し、フィルタ2aと核酸との結合力を弱め、吸着されている核酸を脱着させて、核酸が含まれる回収液Rを回収容器4に回収する核酸回収処理を行う。なお、回収液Rへの洗浄液Wのコンタミネーションを極力減らすためには、最後の洗浄処理のみ余分に加圧して、カートリッジ2の先端に洗浄液Wが残らないようにすることが好ましい。
【0015】
フィルタ2aは、基本的には核酸が通過可能な多孔性であり、その表面には試料液S中の核酸を化学的結合力で吸着する特性を有し、洗浄液Wによる洗浄時にはその吸着を保持し、回収液Rによる回収時に核酸の吸着力を弱めて離すように、構成されている。その一例の具体的構成は、特開2003−128691号公報の核酸の分離精製方法に詳細に述べられているように、例えば、フィルタ2aは表面に水酸基を有する有機高分子で構成されている。表面に水酸基を有する有機高分子としては、アセチルセルロースの表面鹸化物が好ましい。アセチルセルロースとしては、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースのいずれでもよいが、特にはトリアセチルセルロースが好ましい。その表面が鹸化処理液(例えばNaOH)との接触により鹸化され、その構造体はアセチルセルロースのままである。表面鹸化処理の程度(表面鹸化度)で表面の水酸基の量(密度)を調節することができ、水酸基の数が多い方が核酸の吸着効果が高くなる。例えば、トリアセチルセルロースなどのアセチルセルロースの場合には、表面鹸化率が約5%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。アセチルセルロースは多孔性膜が好適である。
【0016】
「核酸が含まれる試料液S」は、細胞またはウイルスを含む試料に前処理を施した状態のものである。前処理とは、試料を溶解処理することにより核酸を液中に分散させた溶液に水溶性有機溶媒を添加する処理のことである。例えば、診断分野においては、試料として採取された全血、血漿、血清、尿、便、精液、唾液等の体液、あるいは植物(またはその一部)、動物(またはその一部)など、あるいはそれら溶解物およびホモジネートなどの生物材料から調製された溶液が対象となる。「溶解処理」は、細胞膜および核膜を溶解して核酸を可溶化する試薬(例えばグアジニン塩、界面活性剤、又はタンパク質分解酵素)を含む水溶液で処理するものである。例えば、対象となる試料が全血の場合、フィルタへの非特異吸着および目詰まりを防ぐために赤血球および各種タンパク質を分解、低分子化し、抽出の対象である核酸を可溶化させるために、白血球および核膜の溶解を行う。「水溶性有機溶媒」としてはエタノール、イソプロパノール、又はプロパノールなどが挙げられ、中でもエタノールが好ましい。水溶性有機溶媒の濃度は好ましくは5〜90重量%であり、さらに好ましくは15〜50重量%である。エタノールの添加濃度は、凝集物を生じない程度でできるだけ高くすることが特に好ましい。
【0017】
「洗浄液W」は、核酸と一緒にフィルタに付着した試料液S中の不純物を洗い流す機能を有し、核酸の吸着はそのままで不純物をフィルタ2aから離脱させる組成を有する。洗浄液Wは、主剤、緩衝剤、及び必要に応じて含まれる界面活性剤を有する水溶液である。主剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−イソプロパノール、ブタノール、アセトン等の約10〜100重量%(好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは30〜80重量%)の水溶液が挙げられる。
【0018】
「回収液R」は、塩濃度が低いことが好ましく、特には0.5M以下の塩濃度の溶液、例えば、精製蒸留水、TEバッファが挙げられる。
【0019】
図2は、本発明を適用した加圧装置10を示している。なお、本発明を適用する装置としては、図2に示す加圧装置に限る必要はなく、例えば特開2005−95160号公報に示すような試料液等の分注を自動で行う核酸抽出装置であってもよい。なお、以下に記載する試料液等とは、上述の試料液S、洗浄液W、回収液Rのいずれかを示すものとする。
【0020】
加圧装置10は、基台11と、この基台11から取り付けと取り外しが可能な載置トレイ12と、この基台11の両側面に取り付けられた側板13と、この側板13に設けられた軸14を中心に揺動自在な加圧ヘッド16と、この加圧ヘッド16を後述するエア供給位置と退避位置とに変位させるヘッド変位機構17とから構成される。この加圧装置10の載置トレイ12には、カートリッジ2、廃液容器3、及び回収容器4を保持するラック18が載置される。
【0021】
加圧ヘッド16は、その内部に設けられカートリッジ2に自動もしくは手動により加圧エアを供給するエア供給ユニット(図示省略)と、エア供給ユニットを保持するヘッド基部66とを有する。エア供給ユニットは、軸14により連結されており、この軸14の駆動によりエア供給ユニットのエアポンプ(図示省略)を駆動させて加圧エアを発生させる。軸14の駆動は、モータ(図示省略)もしくはハンドル23によりなされる。ハンドル23の一端には嵌合溝23aが形成されており、その嵌合溝23aに側板13から突出した軸14の一端部が嵌合されている。エア供給ユニットはエアノズル15A〜15Hを有しており、これらエアノズル15A〜15Hを通してカートリッジ2に加圧エアが供給される。
【0022】
ヘッド変位機構17は、引っ張りバネ62と、側板13に形成される孔に挿通される回転軸63と、この回転軸63に固定されたカム64と、この回転軸63の両端部に取り付けられた把持部65とから構成される。引っ張りバネ62は、その一端が側板13にその他端が加圧ヘッド66のヘッド基部66に取り付けられており、ヘッド基部66を図2中J方向に付勢する。カム64はヘッド基部66と接触する第1接触面64aと第2接触面64bとを有している。
【0023】
把持部65は回動操作によりカム64を回転させる。把持部65を図2中K方向に回動させることにより、ヘッド基部66と当接するカム64の当接面が、第1接触面64aから第2接触面64bへ変位する。これにより、加圧ヘッド66は、カートリッジ2の注入口2e(図3参照)にエアノズル15A〜15Hが装着されるエア供給位置へと変位する。
【0024】
一方、把持部65を図2中L方向に回動させることにより、ヘッド基部66と当接するカム64の当接面が、第2接触面64bから第1接触面64aへと変位する。これにより、加圧ヘッド66は、カートリッジ2の注入口2e(図3参照)からエアノズル15A〜15Hが退避する退避位置へと変位する。
【0025】
ラック18は、カートリッジ2を保持するカートリッジホルダ19と、廃液容器3及び回収容器4を保持する容器ホルダ20とから構成される。カートリッジホルダ19には保持孔19aが形成されており、この保持孔19aにカートリッジ2が挿入される。また、カートリッジホルダ19は、このカートリッジホルダ19に挿入されたカートリッジ2を係止し、その係止を解除することが可能である。このように、カートリッジホルダ19にカートリッジ2を個別に保持することにより、核酸抽出処理の前及び後において、カートリッジ2の取り扱いがし易くなる。なお、カートリッジ2内の液量を視認しやすくするために、カートリッジホルダ19の前面に抜き穴を形成してもよく、さらにはその前面の色を透明にするとともにその後面に色付けしてもよい。また、カートリッジ2への試料液等への注入をしやすくするために、カートリッジホルダ19の上部にカートリッジ2と異なる色を付けてもよい。
【0026】
また、カートリッジホルダ19は支持脚25を有しており、容器ホルダ19の両端部に形成された載置溝28もしくは載置溝29に選択的に取り付けられる。支持脚25が載置溝28に取り付けられた場合には、カートリッジ2の排出ノズル2c(図3参照)は廃液容器3に挿入され、支持脚25が載置溝29に取り付けられた場合には、排出ノズル2cは回収容器4に挿入される。載置トレイ12の上面には「WASH」の文字が付されており、支持脚25を載置溝28に取り付けて、ラック18を載置トレイ12に載置した場合に、この「WASH」の文字が見えるようにする。したがって、この「WASH」の文字が見えるときに、回収液Rを注入して加圧しようとする場合には、間違った処理であることがわかる。なお、文字は「WASH」に限られない。
【0027】
図3に示すように、カートリッジ2は、有底筒状のカートリッジ本体2bと、カートリッジ本体2bの底部に保持されたフィルタ2aと、カートリッジ本体2bの底部に突出して設けられた排出ノズル2cと、カートリッジ本体2bの外周に突出して設けられた突部2dとから構成される。排出ノズル2cはカートリッジ本体2bに一体に成形されおり、その排出ノズル2cの先端には一方向弁150が一体に成形されている。これら成形方法は、図5を用いて後述する。また、カートリッジ本体2bの上部には試料液等が注入される注入口2eが形成されている。なお、本実施形態ではカートリッジ本体を筒状としたがこれに限る必要はなく、例えば、直方体形状等であってもよい。
【0028】
図4は、一方向弁150を拡大して示すカートリッジ2の断面図である。一方向弁150は、一対のリップ151a,151bから構成されている。本実施形態では、一方向弁150をダックビルチェックバルブから構成する。各リップ151a,151bの先端部は、自身の弾性によって互いに密着されており閉状態とされ、試料液等の自重により開状態とされることはない。また、カートリッジ本体2b内に一定以上の圧力がかかると、カートリッジ2b内部と外部との間に圧力差が発生する。この圧力差の発生によって、各リップ151a,151bが押し開かれ開状態となり、試料液等が吐出される。なお、本実施形態では、一方向弁150は一対のリップ151a,151bとしたが、これに限定されるものでなく、例えば二対のリップ等であってもよい。
【0029】
図5を参照してカートリッジ2の製造方法について説明する。まず、(A)に示すように、第1下型155及び第1上型156を用いて、先端側に一方向弁150を有する排出ノズル2c((B)参照)を、例えば押し出し成形によって成形する。次に、(B)に示すように、第1上型156を取り外して、排出ノズル2cの上に円板上のフィルタ2aを配置する。次に、(C)に示すように、カートリッジ本体形成用キャビティを有する第2上型157を第1下型155に嵌合させて、カートリッジ本体2bを押し出し成形する。これにより、一方向弁150及びフィルタ2aを有するカートリッジ2が一体成形される。
【0030】
次に、本発明の作用を説明する。まず、図2に示すように、カートリッジ2をカートリッジホルダ19にセットする。各カートリッジ2に試料液等を注入した後に、ラック18を載置トレイ12に載置する。把持部65を図2中K方向に回動することにより、加圧ヘッド16を退避位置からエア供給位置へと変位させる。この変位により、エアノズル15A〜15Hがカートリッジ2の注入口2に装着される。そして、エア供給ユニットからエアノズル15A〜15Hを通してカートリッジ本体2bに加圧エアが供給される。
【0031】
図1及び図4に示すように、加圧エアにより試料液等がフィルタ2aを通過するとともに、一方向弁150のリップ151a,151bが閉状態から開状態に変位する。フィルタ2aを通過した液は、廃液容器3もしくは回収容器4へと吐出される。カートリッジ本体2bへの加圧エアの供給が停止した場合には、リップ151a,151bは再び開状態から閉状態へと変位する。
【0032】
全てのカートリッジ2に対する加圧エアの供給が完了した場合には、把持部65を図2中L方向に回動させることにより、加圧ヘッド16をエア供給位置から退避位置へと変位させ、ラック18を載置トレイ12から取り外す。
【0033】
なお、図6に示すように、従来の製造方法と同様にして、フィルタ2a、カートリッジ本体160b、及び排出ノズル160cを一体に成形した後に、別に成形した一方向弁161を排出ノズル160cに固定してもよい。一方向弁161の固定方法は、接着、溶着、嵌着その他の固定方法を用いる。また、一方向弁161の取付位置は、図6のような排出ノズル160cの外側に限る必要はなく、その内側であってもよい。
【0034】
また、図7に示すように、フィルタ2a、カートリッジ本体170bを一体に成形した後に、別に成形した一方向弁171をカートリッジ本体170bに固定してもよい。一方向弁171の固定方法は、前述の図6の一方向弁161の固定方法と同様である。
【0035】
一方向弁の材質は、加圧時以外は閉状態を保持できるものが好ましく、例えばポリアセタール、エストラマー、シリコンゴムが挙げられる。一方向弁をカートリッジ本体と排出ノズルに一体に成形した場合には、カートリッジ本体と排出ノズルの材質を一方向弁の材質と同一にしてもよい。一体に成形しない場合、すなわち一方向弁を別体に成形した場合には、カートリッジ本体と排出ノズルの材質を、例えばポリプロピレンにすることが好ましい。
【0036】
本実施形態では、第1下型155、第1上型156、及び第2上型157を用いて、2回の押し出し成形を行ったが、これに代えて、図示は省略したが、キャビティ内のフィルタセット位置にフィルタを予め入れておき、1回の押し出し成形によって、一方向弁、排出ノズル、及びカートリッジ本体を一体に形成してもよい。
【0037】
本実施形態では、洗浄液による洗浄処理を施しているが、フィルタ部材の透過能力によっては必ずしも必要とされるものではない。本実施形態では、回収液を用いて回収処理を行っているが、例えば、フィルタ部材に特定物質を吸着させたまま分析を行う場合には、回収液は必ずしも必要ではない。
【0038】
本実施形態では、単体のカートリッジとしたが、単体のカートリッジを横方向に一列に並べて連結してもよい。
【0039】
本実施形態では、固定されたカートリッジに対してエアノズルが移動する構成であったが、固定されたエアノズルに対してカートリッジを移動させる構成にしてもよい。
【0040】
本実施形態では、核酸を抽出する加圧装置について記載しているが、この用途に限定する必要はなく、種々の特定物質を抽出する場合にも本発明の加圧装置を用いることができる。
【0041】
本実施形態では、加圧により圧力差を発生させているが、減圧による方法でもよく、遠心分離等を利用した方法でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】核酸抽出処理の手順を示す説明図である。
【図2】本発明の抽出カートリッジを用いる加圧装置及びラックを示す斜視図である。
【図3】本発明の抽出カートリッジを示す斜視図である。
【図4】本発明の抽出カートリッジの一方向弁を拡大してを示す断面図である。
【図5】本発明の抽出カートリッジの製造方法を示す説明図である。
【図6】別実施形態における本発明の抽出カートリッジの一方向弁を拡大して示す断面図である。
【図7】別実施形態における本発明の抽出カートリッジの一方向弁を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 カートリッジ
2a フィルタ
2b カートリッジ本体
2c 排出ノズル
10 加圧装置
150 一方向弁
160 カートリッジ
160b カートリッジ本体
160c 排出ノズル
161 一方向弁
170 カートリッジ
170b カートリッジ本体
171 一方向弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定物質が含まれる液を注入し、フィルタ部材に前記液中の前記特定物質を付着させて、前記特定物質を抽出する抽出カートリッジにおいて、
前記液が入れられるカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の底部に設けられ、前記カートリッジ本体内に圧力差を発生させたときに前記液を通過させる一方向弁とを有することを特徴とする抽出カートリッジ。
【請求項2】
前記一方向弁は、前記カートリッジ本体に一体に成形されることを特徴とする請求項1記載の抽出カートリッジ。
【請求項3】
前記一方向弁は、前記カートリッジ本体とは別体で形成され、前記カートリッジ本体に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の抽出カートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジ本体の底部には前記フィルタを通過する液を排出する排出ノズルが設けられ、前記一方向弁は、前記カートリッジ本体とは別体で形成され、前記排出ノズルに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の抽出カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−252335(P2007−252335A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84108(P2006−84108)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】