説明

抽出容器

【課題】 本発明は、抽出液の品質を向上させながら、当該抽出液を抽出する際に要する時間を短縮することができる抽出容器を提供することを目的とする。
【解決手段】 注出側開口部40に向けて張り出すように成形され、フィルター支持部20Aに支持され固着された注出側フィルター50と、注出側フィルター50の内側面及び底面によって形成され、所望の抽出対象物70を収容する収容部60と、収容部60に収容された抽出対象物70を覆うようにして、注出側フィルター50のうち、フィルター支持部20Aによって支持されている領域に固着された注入側フィルター80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抽出容器としては、例えば予め1杯分のコーヒー粉を収容し、コーヒー飲料を抽出する方法として、いわゆるドリップ式を採用した種々のものが開発されている。ユーザは、かかる抽出容器をコーヒーカップ上に載置し、当該抽出容器の上方から湯を注ぐことにより、コーヒー飲料を抽出する。
以下、抽出容器に関する文献名を記載する。
【特許文献1】特開2003−190019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、抽出液の品質を向上させながら、当該抽出液を抽出する際に要する時間を短縮することができる抽出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様による抽出容器は、
注入側開口部及び注出側開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の内側面から突出するように形成されたフィルター支持部と、
前記注出側開口部に向けて張り出すように成形され、前記フィルター支持部に支持され固着された注出側フィルターと、
前記注出側フィルターの内側面及び底面によって形成され、所望の抽出対象物を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記抽出対象物を覆うようにして、前記注出側フィルターのうち、前記フィルター支持部によって支持されている領域に固着された注入側フィルターと
を備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明の抽出容器によれば、抽出液の品質を向上させながら、当該抽出液を抽出する際に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0007】
図1に、本発明の実施の形態による抽出容器10の構成を示す。このうち、図1(a)は、抽出容器10の斜視図を示し、図1(b)は、抽出容器10を上方から視認した場合の平面図を示し、図1(c)は、抽出容器10を下方から視認した場合の平面図を示し、図1(d)は、図1(a)中のA−A’線に沿って切断した場合の縦断面図を示す。
【0008】
抽出容器10は、例えば厚紙などの紙材が筒状に形成された容器本体20と、湯を注ぐための上側開口部30と、抽出されたコーヒー飲料をコーヒーカップに注ぐための下側開口部40とを有する。また、この抽出容器10は、上側開口部30から下側開口部40に向けて、直径が短くなるように台形状に形成されている。
【0009】
容器本体20の内側面のうちの下方付近には、フィルター支持部20Aが、容器本体20の内側面から突出するようにして環状に形成されている。
【0010】
下側フィルター50は、例えば不織布を用いて製造され、周縁部分を除く部分を下方に張り出すようにして、フィルター支持部20Aの上面と、当該下側フィルター50の下面のうちの周縁部分とを固着することにより、容器本体20に取り付けられている。
【0011】
この場合、フィルター支持部20Aから下側フィルター50の底部までの距離H10は、フィルター支持部20Aから容器本体20の下側端部までの距離H20より短くなるように形成される。
【0012】
ところで、下側フィルター50が下方に張り出すように成形されることにより、収容部60が形成され、当該収容部60には、コーヒー粉70が収容される。
【0013】
また、コーヒー粉の蒸らしを目的として、収容部60に収容されたコーヒー粉70を覆うように、上側フィルター80の下面のうちの周縁部分を、下側フィルター50の上面のうちの周縁部分に固着することにより、上側フィルター80が下側フィルター50に取り付けられている。
【0014】
ここで図2に、抽出容器10を図示しないコーヒーカップ上に載置し、当該抽出容器10の上方から湯を注ぐことにより、コーヒー飲料を抽出する際の様子を示す。
【0015】
図2(a)に示すように、抽出容器10の上方から上側開口部30に湯を注ぐと、湯が上側フィルター80を介して収容部60内に浸透する。これにより、湯が収容部60内に貯留し、当該収容部60内に貯留した湯に、コーヒー粉70に含まれる成分が溶出することにより、抽出液が生成される。
【0016】
上側開口部30に湯を注ぎ始めたタイミングでは、下側フィルター50の底面全体から、抽出液が下方に落下することにより、抽出液がコーヒーカップに注がれる。
【0017】
その後、図2(b)に示すように、収容部60内に貯留した湯の重みによって、下側フィルター50の中央部分が下方に垂下し、当該下側フィルター50の中央部分から、抽出液が下方に落下する。このようにして、抽出液がコーヒーカップに注がれることにより、コーヒー飲料が生成される。
【0018】
ここで図3に、比較例として、下側フィルター110を支持するためのリブ120が、容器本体130と一体成形され、下側フィルター110の下方に放射状に形成された抽出容器100の構成を示す。なお、かかる抽出容器100は、例えばプラスチックなどの合成樹脂によって製造されている。
【0019】
この比較例の抽出容器100の場合、コーヒー飲料を抽出する際には、下側フィルター110の底面のうち、当該下側フィルター110が露出している領域140から、抽出液が下方に落下する。
【0020】
従って、この比較例の抽出容器100の場合、下側フィルター110の底面のうち、抽出液を注出させることができる領域が少なく、これにより、下側フィルター110が目詰まりを起こし易くなり、その結果、抽出に要する時間が長くなるという問題があった。
【0021】
これに対して、本実施の形態による抽出容器10の場合には、下側フィルター50の底面全体から、抽出液を注出させることができ、その結果、抽出に要する時間を短くすることができると共に、抽出液の品質を向上させることができる。
【0022】
このようにして、本実施の形態によれば、抽出されるコーヒー飲料の品質を向上させながら、当該コーヒー飲料を抽出する際に要する時間を短縮することができる。
【0023】
ところで、本実施の形態による抽出容器10の場合には、フィルター支持部20Aから下側フィルター50の底部までの距離H10は、フィルター支持部20Aから容器本体20の下側端部までの距離H20より短くなるように形成される。
【0024】
これにより、例えば市場に流通させることを目的として運搬し易くするために、抽出容器10を上下方向に積層した場合に、下側に位置する抽出容器10の上側フィルター80と、上側に位置する抽出容器10の下側フィルター50とが接触することを防止することができる。従って、下側フィルター50や上側フィルター80が破損することを防止して、抽出容器10の信頼性を向上させることができる。
【0025】
なお上述の実施の形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、収容部60に収容される抽出対象物としては、コーヒー粉70ではなく、例えば茶葉など、他の種々の抽出対象物を収容部60に収容するようにしても良い。
【0026】
また、上述の実施の形態においては、容器本体として、容器本体20を適用した場合について述べたが、注入側開口部としての上側開口部30及び注出側開口部としての下側開口部40を有する、他の種々の容器本体を適用するようにしても良い。
【0027】
また、上述の実施の形態においては、フィルター支持部として、フィルター支持部20Aを適用した場合について述べたが、容器本体20の内側面から突出するように形成された、他の種々のフィルター支持部を適用するようにしても良い。
【0028】
また、上述の実施の形態においては、注出側フィルターとして、下側フィルター50を適用した場合について述べたが、下側開口部40に向けて張り出すように成形され、フィルター支持部20Aに支持され固着された、他の種々の注出側フィルターを適用するようにしても良い。
【0029】
また、上述の実施の形態においては、収容部として、収容部60を適用した場合について述べたが、下側フィルター50の内側面及び底面によって形成され、所望の抽出対象物を収容する、他の種々の収容部を適用するようにしても良い。
【0030】
また、上述の実施の形態においては、注入側フィルターとして、上側フィルター80を適用した場合について述べたが、収容部60に収容されたコーヒー粉を覆うようにして、下側フィルター50のうち、フィルター支持部20Aによって支持されている領域に固着された、他の種々の注入側フィルターを適用するようにしても良い。
【0031】
また、上述の実施の形態においては、注出側フィルターとして、下側フィルター50を適用した場合について述べたが、フィルター支持部20Aから下側フィルター50の注出側端部までの距離が、フィルター支持部20Aから容器本体20の注出側端部までの距離より短くなるように形成すれば良い。
【0032】
また、上述の実施の形態においては、容器本体として、容器本体20を適用した場合について述べたが、環状に形成され、上側開口部30の径が、下側開口部40の径より長くなるように形成すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態による抽出容器の構成を示す斜視図、平面図及び縦断面図である。
【図2】コーヒー飲料を抽出する際の様子を示す縦断面図である。
【図3】比較例の抽出容器の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0034】
10、100 抽出容器
20、130 容器本体
20A フィルター支持部
30 上側開口部
40 下側開口部
50、110 下側フィルター
60 収容部
70 コーヒー粉
80 上側フィルター
120 リブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入側開口部及び注出側開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の内側面から突出するように形成されたフィルター支持部と、
前記注出側開口部に向けて張り出すように成形され、前記フィルター支持部に支持され固着された注出側フィルターと、
前記注出側フィルターの内側面及び底面によって形成され、所望の抽出対象物を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記抽出対象物を覆うようにして、前記注出側フィルターのうち、前記フィルター支持部によって支持されている領域に固着された注入側フィルターと
を備えることを特徴とする抽出容器。
【請求項2】
前記注出側フィルターは、
前記フィルター支持部から前記注出側フィルターの注出側端部までの距離が、前記フィルター支持部から前記容器本体の注出側端部までの距離より短くなるように形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の抽出容器。
【請求項3】
前記容器本体は、
環状に形成され、注入側開口部の径が、注出側開口部の径より長くなるように形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の抽出容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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