説明

拡大読書器

【課題】LCDモニターを使用した拡大読書器をコンパクト化することができ、運搬時にLCDモニターを拡大読書器本体に取り付けた状態で出荷でき、目の不自由なユーザーがLCDモニターの取り付けや配線などの難易度の高い作業を行う必要もなく、梱包の簡素化および運搬費の低減を図ることができる拡大読書器を提供する。
【解決手段】本発明の拡大読書器1は、読み取り資料を載置するステージ2と、ステージ2の上方に配置され読み取り資料を撮像する撮像部3と、撮像部3に回動部4を介して回動可能に取り付けられたLCDモニター5とを有し、LCDモニター5は回動部4の回動によりステージ2と撮像部3との間に収納可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り資料を拡大表示するための拡大読書器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCDモニターの普及に伴い、拡大読書器に使用されるモニターも液晶化が進んでいるが、LCDモニターが拡大読書器本体から大きく突出してしまうため、非使用時や収納時にLCDモニターが邪魔になり、コンパクト化が嘱望されていた。
【0003】
また、製品外寸が大きくなると運搬時に不利となるため、LCDモニター、モニターアーム、または拡大読書器本体を分離させた状態で梱包し出荷していた。その結果、主なユーザーである目の不自由な使用者がモニターの取り付けや配線など難易度の高い作業を行わなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】引用無し
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、LCDモニターを使用した拡大読書器をコンパクト化することができ、運搬時にLCDモニターを拡大読書器本体に取り付けた状態で出荷でき、目の不自由なユーザーがLCDモニターの取り付けや配線などの難易度の高い作業を行う必要もなく、梱包の簡素化および運搬費の低減を図ることができる拡大読書器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係る拡大読書器は、読み取り資料を載置するステージと、該ステージの上方に配置され前記読み取り資料を撮像する撮像部と、該撮像部に回動部を介して回動可能に取り付けられたLCDモニターとを有し、該LCDモニターは前記回動部の回動により前記ステージと前記撮像部との間に収納可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の拡大読書器において、前記ステージと前記撮像部との間における前記LCDモニターの収納状態を保持するためのロック機構を有していることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載の拡大読書器において、前記回動部は、前記撮像部の両側にそれぞれ設けられ先端部に前記LCDモニターを固定した一対のモニターアームと、該モニターアームの基端部間に設けられた連動部材とを有し、該連動部材は弾性部材により付勢されており、前記モニターアームが水平位置より回動降下すると水平位置に向かう復元力が作用するよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によれば、LCDモニターを使用した拡大読書器をコンパクト化することができ、運搬時にLCDモニターを拡大読書器本体に取り付けた状態で出荷でき、目の不自由なユーザーがLCDモニターの取り付けや配線などの難易度の高い作業を行う必要もなく、梱包の簡素化および運搬費の低減を図ることができる。
請求項2によれば、ステージと撮像部との間におけるLCDモニターの収納状態を確実に保持できる。
請求項3によれば、ステージと撮像部との間に収納されたLCDモニターを使用する際により軽く持ち上げることができ使用者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の拡大読書器の一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示した拡大読書器の作用を示す斜視図である。
【図3】図1に示した拡大読書器における回動部の内部構造を説明するための部分斜視図である。
【図4】図1に示した拡大読書器における回動部の作用を説明するための部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明では、LCDモニター5がステージ2と撮像部3との間に収納可能に構成されているため、LCDモニターを使用した拡大読書器がコンパクト化され、運搬時にLCDモニターを拡大読書器本体に取り付けた状態で出荷でき、目の不自由なユーザーがLCDモニターの取り付けや配線などの難易度の高い作業を行う必要もなく、梱包の簡素化および運搬費の低減を図ることができる拡大読書器1を実現した。
【実施例1】
【0011】
本発明の拡大読書器を図1ないし図4に示した一実施例を用いて説明する。
本発明の拡大読書器1は、図1に示すように、読み取り資料を載置するステージ2と、ステージ2の上方に配置され読み取り資料を撮像する撮像部3と、撮像部3に回動部4を介して回動可能に取り付けられたLCDモニター5とを有し、LCDモニター5は回動部4の回動によりステージ2と撮像部3との間に収納可能に構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0012】
ステージ2は、その上面に読み取り資料を載置するためのものであり、クロススライド機構(図示せず)を備え、前後及び左右に移動可能に設けられている。
【0013】
撮像部3は、ステージ2上に載置された読み取り資料を撮影して後述するLCDモニター5の画面上に拡大表示するための部位であり、ステージ2の背面側に立設された支持アーム6の上端から正面側に向かって水平方向に延在するように設けられた筺体にて構成されている。
【0014】
撮像部3内には、水平方向に対して45゜傾斜させて配されたミラー7と、ミラー7に対向して水平姿勢で配されたレンズユニット8と、ライト9a,9bと、ポインタ10と、制御部(図示しない)が組み込まれている。
【0015】
ミラー7の下部には撮像孔(図示しない)が形成されており、レンズユニット8は、撮像孔を介してミラー7に写った読み取り資料を撮影するように構成されている。
【0016】
ライト9a,9bは、撮像部3の左右の両側下面にそれぞれ取り付けられおり、ステージ2上を照射するものである。また、ポインタ10はステージ2上におけるレンズユニット8の撮影範囲の略中心を照射するために設けられたものであり、LED照射ランプにて構成されている。
【0017】
制御部は、所定のスイッチ入力に基づきレンズユニット8で撮像した画像信号を処理したり出力したりする各種画像処理制御、ライト9a,9bまたはポインタ10のオン・オフ制御などを行い、使用方法を音声で説明するためのボイスレコーダー(図示せず)等も備えている。
【0018】
LCDモニター5は、レンズユニット8にて撮影された読み取り資料を画面上に拡大表示するためのものであり、撮像部3に回動部4を介して回動可能に取り付けられている。
【0019】
具体的には、LCDモニター5は、図1に示した位置(撮像部3の正面側前方位置)から図2に示した位置(撮像部3の下方位置)に、反時計回りに90°回転可能に構成されており、ステージ2と撮像部3との間に収納可能となっている。これにより、LCDモニターを使用した拡大読書器をコンパクト化することができ、運搬時にLCDモニターを拡大読書器本体に取り付けた状態で出荷でき、目の不自由なユーザーがLCDモニターの取り付けや配線などの難易度の高い作業を行う必要もなく、梱包の簡素化および運搬費の低減を図ることができる。
【0020】
他方、この拡大読書器1を使用する場合には、逆にLCDモニター5を、図2に示した位置(撮像部3の下方位置)から図1に示した位置(撮像部3の正面側前方位置)に時計回りに90°回転させて、LCDモニター5の画面を垂直方向に延在させ拡大表示された読み取り資料を読むことができる。
【0021】
すなわち、拡大読書器1はステージ2上におけるポインタ10の照射に合わせて読み取り資料を載置すると、読み取り資料がミラー7に写り、レンズユニット8により撮影される。この撮像画像は、レンズユニット8の画像処理部(図示しない)により反転処理されて、正立画像をLCDモニター5の画面に拡大表示され使用者が読むことができるように構成されている。
【0022】
回動部4は、LCDモニター5を支持して撮像部3に取り付けると共に、回動してLCDモニター5をステージ2と撮像部3との間に収納するよう機能する部位であり、撮像部3の両側にそれぞれ設けられ先端部にLCDモニター5を固定した一対のモニターアーム11a,11bと、図3または図4に示すように、モニターアーム11a,11bの基端部間に設けられた連動部材12とを有している。
【0023】
連動部材12は、モニターアーム11a,11bの水平位置より下方への回動に連動してカバー13と共に回動する部位であり、弾性部材12a,12bにより付勢されている。
【0024】
具体的には、連動部材12はモニターアーム11a,11bが水平位置より回動降下すると水平位置に向かう復元力が作用するよう付勢されており、これによって、ステージ2と撮像部3との間に収納されたLCDモニター5を使用する際により軽く持ち上げることができ、使用者の負担を軽減できるよう構成されている。
【0025】
また、この実施例の拡大読書器1は、ステージ2と撮像部3との間におけるLCDモニター5の収納状態を保持するためのロック機構14を有している。
【0026】
ロック機構14は、図3に示すように、連動部材12にそれぞれ一体に形成され相互に直交する方向に延出して設けられた回動片部12c,12dと、連動部材12の下方に配され、撮像部3の上面に固定される固定用板材部15の前後にそれぞれ延出して設けられた係止片部15a,15bと、係止部材16とから構成されている。
【0027】
そして、図1に示した状態(LCDモニター5の画面が正面を向いている状態)では、図3に示すように、回動片部12dが係止片部15bの上面に重ね合わされた状態で係止部材16により螺合固定されることによって、LCDモニター5が正面を向く状態が保持されている。
【0028】
他方、図2に示した状態(LCDモニター5が下方を向いている状態)では、図4に示すように、回動片部12cが係止片部15aの上面に重ね合わされた状態で係止部材16により螺合固定されることにより、LCDモニター5が下方を向いた状態が保持されている。これによって、連動部材12に付加された上方への復元力(回動力)に抗して、ステージ2と撮像部3との間におけるLCDモニター5の収納状態を確実に保持できるように構成されている。
【0029】
なお、この実施例の回動部4は、撮像部3の上部に取り付けられているが、これに限定されるものではなく、モニターアームが撮像部の側部に回動可能に取り付けられたものも本発明の範疇に包含される。また、この実施例の回動部4は撮像部3の両側にそれぞれ設けられた一対のモニターアーム11a,11bを有しているが、これに限定されるものではなく、1本のモニターアームによりLCDモニターが回動可能に支持されたものも本発明の範疇に包含される。
また実施例は、ロック機構として回動片部12dを係止片部15bの上面に重ね合わされた状態で係止部材16により螺合固定する構成を採用しているが、これに限定されるものではなく、螺合に代えて、たとえばフック手段を用いてワンタッチで回動片部12dを係止片部15bに掛止する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 拡大読書器
2 ステージ
3 撮像部
4 回動部
5 LCDモニター
6 支持アーム
7 ミラー
8 レンズユニット
9 ライト
10 ポインタ
11 モニターアーム
12 連動部材
13 カバー
14 ロック機構
15 固定用板材部
16 係止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り資料を載置するステージと、該ステージの上方に配置され前記読み取り資料を撮像する撮像部と、該撮像部に回動部を介して回動可能に取り付けられたLCDモニターとを有し、該LCDモニターは前記回動部の回動により前記ステージと前記撮像部との間に収納可能に構成されていることを特徴とする拡大読書器。
【請求項2】
前記拡大読書器は、前記ステージと前記撮像部との間における前記LCDモニターの収納状態を保持するためのロック機構を有している請求項1に記載の拡大読書器。
【請求項3】
前記回動部は、前記撮像部の両側にそれぞれ設けられ先端部に前記LCDモニターを固定した一対のモニターアームと、該モニターアームの基端部間に設けられた連動部材とを有し、該連動部材は弾性部材により付勢されており、前記モニターアームが水平位置より回動降下すると水平位置に向かう復元力が作用するよう構成されている請求項1又は2に記載の拡大読書器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate