説明

拡張可能な脳血管シースおよび使用方法

第1の小断面積構成にある際に体内に導入され、その後シースの遠位端部の少なくとも一部が第2の拡大断面構成へと拡張される、拡張可能な経管シースを開示する。このシースは、上部血管系において使用するように構成され、治療用マイクロカテーテルまたは診断用マイクロカテーテルの導入及び除去において有用である。アクセスルートは、大腿動脈または腸骨動脈を介して脳血管に至る。シースの遠位端部は、脳血管に進む際には、第1の小断面構成に維持される。シースの遠位端部は、その後、ラジアル方向拡張デバイスを用いて拡張される。このラジアル方向拡張デバイスは、マイクロカテーテルを導入する前に除去される。シースは、第1の小断面構成にて挿入され、第2の比較的大きな断面構成へと直径方向に拡張され、次いで除去のために直径方向に比較的小さなサイズへと縮小され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
【0002】
本発明は、心血管系に経皮的にアクセスするための、より具体的には脳血管にアクセスするための医用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
多様な診断的処置または治療的処置が、アクセス部位の経皮切開部すなわち観血切開部(percutaneous or open surgical incision)を介して血管内にデバイスを導入し、次いで、体内の遠隔位置における治療または診断のためにこのデバイスをこの遠隔位置まで送ることを伴う。体内のこのような遠隔位置には、神経血管または脳血管が含まれる。カテーテルが、ガイドワイヤ上を、ガイドカテーテル内を、またはそれらの両方において、脳血管まで送られる。このような血管へのアクセスで一般的に知られている1つの経皮的手技が、セルディンガー法である。セルディンガー法は、皮膚を穿刺し、選択された動脈へのアクセスを得るために、中空針の使用を伴う。次に、ガイドワイヤが、この中空針を介して選択された血管系領域内に配置される。ガイドワイヤは、脳血管内の標的位置まで、椎骨動脈または頸動脈のいずれかを介して進めることができる。針が、取り除かれ、中にカテーテルおよび中央ルーメン(lumen)を有するテーパ状拡張器が、ガイドワイヤ上を脳血管内へと進められる。次に、拡張器が、ガイドワイヤと同様に取り除かれる。ガイドカテーテルは、標的部位まで、完全にまたは途中まで進めることが可能である。このガイドカテーテルは、ガイドワイヤの除去後に、またはガイドワイヤを除去せずに、治療カテーテルまたは診断カテーテルを脳血管領域に送るために使用することが可能である。これらの処置は、特に、脳血管内動脈瘤修復、血栓除去、ネックブリッジの配置、ステントの配置、脳血管内塞栓コイルの配置、異物除去、および診断的脳血管内カテーテル留置等々に適する。
【0004】
治療的処置または診断的処置の後には、続いてシースが除去され、標準的な手技を用いて脈管の刺創に対して止血が施される。
【0005】
一般的には、ガイドカテーテルの十分な前進は、頸動脈または椎骨動脈の蛇行動脈により、ならびにそれらのサイズが小さいことにより制限される。一般的には、頸動脈サイフォンまたは脳底動脈のウィリス動脈輪への流通は、小径で高可撓性のマイクロカテーテルに制限される。一般的には、ガイドカテーテルは、ウィリス動脈輪に通ずる蛇行動脈により、ウィリス動脈輪内に、すなわちはるかウィリス動脈輪内まで通り抜けることができない。
【0006】
血管壁内に配置されるカテーテルから血管壁を保護するためには、神経血管内におけるガイドカテーテルの前進性を最大化することが望ましい。したがって、神経血管内に、はるかウィリス動脈輪内まで、または、現行において標準的なガイドカテーテル技術を用いて可能である範囲を超えて、ガイドカテーテルまたはシースを経皮的にまたは外科的に導入することを可能にする、改良されたアクセス技術に対する必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
一構成は、潰縮状態または拡張状態に応じて第1の比較的小さな断面積および第2の比較的大きな断面積を有する潰縮可能領域(collapsible region)を遠位端部に有する誘導シースすなわちガイドカテーテルを備える。他の構成においては、誘導シースすなわちガイドカテーテルは、第1の比較的小さな断面積と実質的に同一であってもよい第3の比較的小さな断面積を有することが可能であり、または、この第3の比較的小さな断面積は、第1の比較的小さな断面積と第2の比較的大きな断面積との中間であることが可能である。誘導シースすなわちガイドカテーテルは、ハブおよびある長さのシース管を備えることが可能である。シース管およびハブは、近位端部、遠位端部、壁部、およびほぼ近位端部から遠位端部にかけて延在するルーメンを有する軸方向に長い構造体を形成する。いくつかの実施形態においては、シース管は、近位セクション、中央セクション、および遠位セクションを有する。一実施形態においては、遠位セクションは、拡張可能であるかまたは潰縮可能であることが可能である。近位セクションは、概して直径方向に拡張不能であることが可能である。ラジアル方向すなわち直径方向に潰縮可能な誘導シースすなわちガイドカテーテルは、頸動脈、椎骨動脈、またはそれらの遠位の脳血管にアクセスするのに適する。
【0008】
拡張可能なシースは、第1の比較的小さな断面状態において、脳血管への小径の高可撓性のアクセス可能にする点において、脳血管アクセス処置を補助するために用いることが可能である。神経血管または脳血管内の標的位置まで進んだ後には、シースすなわちガイドカテーテルの潰縮可能領域は、近位端部から遠位端部にかけて実質的に均一な断面のルーメンを維持するように、直径方向に拡張され得る。潰縮可能な遠位領域が完全に膨張されたこの拡張状態においては、ガイドカテーテルは、大きな介入用デバイス、治療用デバイス、または診断用デバイスを中に導入するのに十分な大きさのサイズの通路としての役割を果たすことが可能である。介入的神経放射線科医(interventional neuroradiologist)(INR)は、一般的には、アクセスが経皮的であり外科的静脈切開を要さない介入的処置を好む。拡張可能な脳血管ガイドカテーテルすなわちアクセスシースは、拡張不能なシースすなわちガイドカテーテルにより可能であったものよりもさらに脳血管内に標的障害の付近に進むことにより、処置時間を短縮し、処置コストを削減し、患者への損傷を低減させ、患者予後を改善させることが可能である。この追加的な利点により、遠位塞栓形成法および血管壁損傷のリスクが低減され、標的領域まで器具を送る能力が向上する。
【0009】
いくつかの構成においては、遠位セクションはある程度の断面形状維持を実現する、補強要素を備えるポリマー壁部を備えることが可能である。この遠位セクションは、ポリマー壁部の形状に対して実質的な制御を行うが、血管壁などによりもたらされる力のような外力にさらされると潰縮構成へと容易に変形される、補強要素を備えることが可能である。遠位セクションは、塑性変形され得るものであり、膨張後にスプリングバックをほぼ生じないポリマー材料を含むことが可能である。これらの実施形態においては、遠位端部は、5〜40気圧の間の範囲の圧力下において拡張バルーンを膨張させることにより形状改変(remodeling)を受ける。
【0010】
他の構成においては、シースの遠位端部は、遠位方向に進むにしたがい直径がさらに大きくなるフレア状構成要素を備えることが可能である。フレア状構成要素は、テーパ部を備えることが可能であり、またはテーパ部と、最遠位端部がこのテーパ状領域に取り付けられるかまたは一体化された、直径が比較的一定の領域とを備えることが可能である。フレア状構成要素は、シースの拡張可能部分の遠位端部と一体であることが可能であり、またはシースの拡張可能部分の遠位端部に取り付けられてもよい。フレア状構成要素は、バルーン拡張器を用いて拡張させることが可能であり、自己拡張モダリティを用いて拡張させることが可能であり、またはバルーン拡張器の補助による自己拡張部を備えることが可能である。この自己拡張部は、弾性ばね力に起因するものが可能であり、またはニチノールまたは他の形状記憶材料から作製されたシース補強構成要素によって生成される形状記憶力に起因するものが可能である。フレア状構成要素は、器具、塞栓材料、残屑、または経皮送達される大動脈心臓弁などのインプラント可能デバイスの再捕獲または除去を容易にすることが可能である。シースの拡張可能なフレア状領域は、1cm〜10cmの間の長さの範囲であることが可能であり、好ましくは2cm〜5cmの範囲である。一実施形態においては、フレア状領域は、拡張させるために、遠位拡張可能領域の残りの部分と同一のバルーンを用いることが可能であり、または別個のバルーンにより拡張させることが可能である。
【0011】
いくつかの構成においては、シースの近位端部は、1つまたは複数の止血タイプの弁を組み込んだハブを備えることが可能である。ハブは、単一のカテーテル挿入ポートを有することが可能であり、または複数のカテーテル挿入ポートを備えることが可能である。各カテーテル挿入ポートは、好ましくは、カテーテルからの血液の漏出を防ぐために止血弁または活栓等々を備える。ハブは、1つまたは複数のパージポートをさらに備える。このパージポートは、ハブの内部ルーメンに作動自在に連絡し、活栓または他の弁によって終端する。
【0012】
いくつかの構成においては、カテーテルの直径方向すなわちラジアル方向に拡張可能な要素は、複数の長手方向折り目部を有するチューブとして構成することが可能である。シースすなわちカテーテルの近位セクション、遠位セクション、または中央セクションに位置する拡張可能な領域または要素は、折り目を付けられてこれらの折り目部を形成し、屈曲されて第1の比較的小さな折り畳み断面積を形成することが可能である。拡張可能な領域または要素は、例えば血管形成タイプバルーン、カテーテルシャフト、近位端部のバルーン膨張ポート、およびガイドワイヤルーメン等々を含む中央拡張器カテーテルにわたって折り畳まれ得る。拡張器カテーテルの近位端部上の適切なポート内に流体圧力を印加することにより血管形成タイプの非弾性の膨張不能バルーンを選択的に膨張させると、拡張可能な領域は、第2の比較的大きな断面形状へと広がることが可能となる。中央拡張器カテーテルは、収縮され、シースから除去されることにより、カテーテル、送達カテーテル、およびインプラント可能デバイス等々の導入に適した大型断面の中央カテーテルを形成することが可能である。
【0013】
一実施形態においては、拡張可能な誘導シースは、近位拡張可能セクションを備えることが可能である。近位拡張可能セクションは、ポリエチレンからなる内方ポリマー層と、ポリエチレンからなる外方ポリマー層と、2つのポリマー層の間に挟まれる補強層とから作製された複合管状構造体を備える。補強層は、0.005〜0.025インチの範囲で約0.010インチの幅と、0.002〜0.004インチの範囲で約0.003インチの厚さとを有する平型の完全に焼鈍されたステンレス鋼ワイヤからなるコイルを備えることが可能である。近位拡張可能領域は、近位端部が、同一または類似の内径の拡張不能な長さのシース管に取り付けられるか、またはシースハブに直接的に取り付けられる。近位拡張可能領域の遠位端部は、非弾性ポリマー材料を含む中央拡張可能領域に取り付けられる。中央拡張可能領域は、編組体もしくは他の繊維補強構造体に接合された、溶接された、またはそれらを囲む、中央拡張可能領域にあるレベルのコラム強度およびあるレベルの引張強度を与えるポリマー膜を備えることが可能である。中央拡張可能領域の遠位端部は、遠位拡張可能領域が拡張後に容易に潰縮されるように幾分か比較的弱いことを除けば近位拡張可能領域と同様に構成された、遠位拡張可能領域に取り付けられる。拡張可能領域の拡張不能領域に接合することが可能な、または異なる拡張性の2つの領域を接合することが可能な移行領域は、あるシース管状領域を隣接するシース管状領域に取り付ける。移行区域は、補強層の相互間のプラスチック溶接部または溶接部を含むことが可能である。
【0014】
別の実施形態においては、シース管は、ばねステンレス鋼リボンの補強層が約0.004〜0.025インチの幅および約0.0005〜0.004インチの厚さを有するコイル状へとまかれた、近位領域を備えることが可能である。コイル間隔は、0.001インチ〜0.050インチの間の範囲であることが可能であり、シース管は、金属編組体またはポリマー編組体からなる補強層がポリマーシースからなる層内に配設されるかまたは組み込まれる近位領域を備えることが可能である。編組体は、例えばPEN、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ステンレス鋼、ニチノール、タンタル、または新規の金属等々(それらに限定されない)の材料などを含むことが可能である。編組体材料は、好ましくは、弾性であり、またはばね特性を有する。
【0015】
別の実施形態においては、シースは、近位拡張不能領域および遠位拡張可能領域を備えることが可能である。遠位拡張可能領域は、カテーテルシャフトの長さの約5%〜60%の間であることが可能である。
【0016】
遠位拡張可能領域は、近位領域におけるのと同様の寸法を有するコイルへと巻かれた可鍛性ステンレス鋼リボンまたは平型ワイヤからなる補強層を備えることが可能である。代替の一実施形態においては、全長または大部分が、PEN、ポリエステル、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、コバルトニッケル合金、ポリアミド、またはポリイミド等々(それらに限定されない)の材料から作製された編組材料からなる追加の補強層または複数の補強層を備えることが可能である。一構成においては、ポリマー壁部からなる外方層と内方層と間に一般的には挟まれる補強構造体は、第1の補強編組層により重畳され、コイル補強体により重畳され、最後にポリマー材料からなる外側層により重畳される、ポリマーからなる内方層を備えることが可能である。別の実施形態においては、ポリマー材料からなる内方層は、コイル補強体により重畳され、このコイル補強体は、編組補強体により重畳され、最後にこの編組補強体は、ポリマー材料からなる外側層により重畳される。さらに別の実施形態においては、ポリマー材料からなる内方層は、編組層により重畳され、この編組層は、コイル巻線により重畳され、このコイル巻線は、別の編組層により重畳され、最後にこの別の編み組層は、外方ポリマー層により重畳される。ポリマー層は、フッ素重合体(例えばPTFE、FEP、PFA)、ハイトレル、ペバックス、ナイロン、およびポリエステル等々(それらに限定されない)の材料を含むことが可能である。
【0017】
一実施形態においては、シース拡張器は、ハイトレルシャフトに取り付けられたPETバルーンを有して構成される。ハイトレルシャフトは、同心状に配設された内方チューブおよび外方チューブと、それら2つのチューブ間の環状部とを備えることが可能である。拡張器バルーンの遠位端部は、内方ハイトレル管に取り付けることが可能である。拡張器バルーンの近位端部は、直径が比較的大きく、この実施形態においては外方ハイトレル管に取り付けられる。外方ハイトレル管は、拡張器バルーンの中央ボリュームのすぐ内側に延在し、外方チューブと内方チューブとの間の環状部は、拡張器バルーンの中央ボリュームに流体連通状態において作動自在に連絡される。環状部は、拡張器ハブと一体であるかまたは拡張器ハブに取り付けられる膨張ポートと作動自在に流体連通状態にある。別の実施形態においては、先述の実施形態の外方ハイトレルチューブなどの外方ポリマーチューブが、省かれ、拡張器バルーンが、拡張器ハブまたは側部アーム内において接合および封着するように近位方向に延在する近位テールを備えることが可能である。この実施形態においては、バルーンのための加圧環状部は、拡張器バルーンと内方ポリマーチューブとの間に位置し、加圧環状部は、拡張器ハブ上の膨張ポートに作動自在に連絡される。内方拡張器チューブの内部は、ガイドワイヤ上にてシステム全体を進めるのに適したガイドワイヤルーメンを備える。かかるガイドワイヤは、典型的には、0.010〜0.038インチの直径であり、例示的な直径は、約0.014インチである。例えば.014ワイドワイヤの場合には、内方拡張器チューブの内径は、約.016〜約.020インチの範囲であることが可能である。
【0018】
シースは、折り畳まれて、1つまたは複数の長手方向に配向された折り目部を成すことが可能であり、拡張器バルーンが潰縮された状態で拡張器の周囲に巻き付けられ得る。近位拡張可能領域および遠位拡張可能領域の可鍛性要素は、システムの構成を潰縮状態に維持する。使用前に装着されるか、剥離されるか、剥ぎ取られるか、または除去可能な構成(attached, peel-away, tear-away, or removable before use configurations)を有することが可能なオプションの外方ジャケットが、直径方向に潰縮されたシース管の一部または全てを包囲するために用いられてもよい。他の実施形態においては、シースは、シースの外側を覆う薄いPET、FEP、PFA、またはPTFEのチューブをさらに備えることが可能である。このフッ素重合体外方カバーは、除去される必要はない。このカバーの機能は、アテロームなどの硬質の血管沈着物から軟質ポリエチレンシース材料を保護することである。
【0019】
拡張可能な誘導シースすなわちガイドカテーテルが、進められて、その遠位端部が、血管内の標的区域に到達すると、拡張器は、約5〜40気圧の間の、および好ましくは10〜30気圧の間の圧力で拡張される。次に、拡張器は、収縮され、誘導シースすなわちガイドカテーテルの中央ルーメンから除去されて、治療カテーテルまたは診断カテーテルを進めるための大きな中央ルーメンが開通された状態で残る。
【0020】
拡張可能領域の補強体は、ワイヤ、好ましくは可鍛性ワイヤを備えることが可能である。このワイヤは、円形断面、矩形断面、またはリボン状断面等々を有することが可能である。可鍛性ワイヤは、拡張器バルーン、テーパ状拡張器、または中空拡張器等々により第2の比較的大きな断面へと屈曲させることが可能であり、可鍛性ワイヤの強度は、シース壁部のポリマー構成要素によりもたらされるあらゆる弾性スプリングバックを実質的に克服することが可能である。
【0021】
他の実施形態においては、ワイヤは、弾性特性または形状記憶特性を有することが可能である。これらの実施形態は、形状記憶ワイヤ、擬弾性ワイヤ、超弾性ワイヤ、または弾性ワイヤ等々を使用することが可能である。ワイヤは、ニチノール、ステンレス鋼、またはコバルトニッケル合金等々であることが可能である。ワイヤは、体温血液によりワイヤメッシュが比較的大きな拡張構成へと付勢されるように、形状記憶構成において摂氏約25〜35度の、好ましくは摂氏28〜32度の間のオーステナイト終了温度(Af)を有することが可能である。
【0022】
別の実施形態においては、拡張可能領域は、編組状、コイル状、または他の態様の、拡張可能な径所記憶補強構造体からなるポリマーカプセル密封体(polymeric encapsulation)を備えることが可能である。補強要素または補強構造体は、形状記憶特性を有することが可能である。シースは、第1の小断面積にて患者内に挿入される。補強要素は、マルテンサイト開始温度未満に維持されるため、補強要素は、体温(約37℃)であっても実質的に可鍛性を有する。次に、シース壁部が、本明細書に記載されるようなバルーン拡張器により膨張される。次に、拡張器が、除去され、シースが、治療カテーテルまたは診断カテーテルのホスト(host)となり、治療カテーテルまたは診断カテーテルが、このシース内に挿入される。カテーテルを除去した後に、電気(ACまたはDC)が、シースの近位端部のリード線に印加され得る。リード線は、近位端部から遠位端部まで実質的にカテーテルの長さにわたって延在し、補強要素の近傍の加熱器に作動自在に接続されるか、または電気リードが、補強要素の各端部に作動自在に連結される。電気により、オーステナイト終了温度超までの補強要素のオーム加熱または抵抗加熱が行われる。小径構成に形状設定された補強構造体は、小径構成へと戻り、拡張可能シース壁部全体をこの補強構造体と共に縮小させ(bring down)て、患者からのシースの除去を容易化する。約42℃のオーステナイト終了温度が、この用途において使用され得る。補強された拡張可能領域は、開かれるかまたは展開されることにより拡張を生じさせる、折り畳まれたかまたは巻かれた構造体を備えることが可能である。
【0023】
拡張器カテーテルは、内方部材および外方部材を備えることが可能である。内方部材および外方部材の材料には、ハイトレル、PEEK、複合材料、補強された構造体、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリエチレン等々が含まれ得る。カテーテルハブは、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、およびポリ塩化ビニル等々(それらに限定されない)の材料から作製することが可能である。拡張器バルーンは、例えばEastman PET 9921または同様のものなどの材料を用いて、延伸ブロー成形されたポリエステルポリアミド、ポリアミド、またはポリエステル混合物から作製することが可能である。
【0024】
別の実施形態においては、コーティングが、拡張可能区域に施されることにより、内方向に付勢されラジアル方向に配向された収縮力を生じさせることが可能である。拡張可能区域は、コーティングの付勢力に逆らってラジアル方向に拡張するように強制され得る。ラジアル方向拡張力が、取り除かれると、拡張可能区域は、最小径へとラジアル方向に内方に付勢された状態に留まる。拡張可能区域は、妨げられない限りこの最小径の方向に移動する。
【0025】
このシステムは、蛍光透視法における視覚化を向上させるために、放射線不透過性強化体を備えることが可能である。放射線不透過性マーカが、シースの遠位端部、拡張可能領域もしくは複数の拡張可能領域の伸長、またはシースの配向を示すために、シースの遠位端部に取り付けられ得る。放射線不透過性マーカは、タンタル、プラチナ、プラチナイリジウム、および金等々(それらに限定されない)の金属からなるバンド、編組体、または巻線を備えることが可能である。
【0026】
シース壁部構造のいくつかの実施形態においては、ポリマーからなる内方層およびポリマーからなる外方層が、補強層を挟む。補強層は、チタン、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、ニチノール、およびタンタル等々(それらに限定されない)の金属からなるコイルであることが可能である。コイルは、好ましくは、殆どまたは全くばね特性を有さない可鍛性のものであり、弾性傾向を示さない。このコイルは、0.0005〜0.010インチの、好ましくは0.0007〜0.005インチの厚さを有する平型ワイヤから作製することが可能である。平型ワイヤの幅は、約0.003〜0.050インチの、好ましくは約0.005〜0.010インチの範囲であることが可能である。コイル同士の間の間隔は、例えば、コイルワイヤの幅のほぼ0〜約5倍の範囲であることが可能であり、例示的な間隔は、コイルワイヤの幅とほぼ等しい。これらのコイルは、円形ストックまたは平型ストック等々から作製することが可能である。補強体は、ポリマー材料からなる内方層と外方層との間に挟まれ得るが、内方層および外方層は、これらのコイル間の空間の間で互いに接合または溶接され得る。内方ポリマー層および外方ポリマー層は、同一のまたは異なる材料から作製することが可能である。内方層および外方層に関して適切な材料には、ポリウレタン、シリコーン、ハイトレル、PEEK、ポリエチレン、HDPE、LDPE、ポリエステル(例えばPET)、およびポリエチレン混合物等々が含まれるが、それらに限定されない。さらに別の実施形態においては、有利に可鍛性コイルの必要性をなくし、編組体の引張強度およびトルク伝達性(torqueabilit)を維持しつつ壁厚さの縮小を可能にするために、塑性変形可能、可鍛性、または焼鈍された編組構造体が、補強体に対してさらに使用され得る。さらに他の実施形態においては、補強体は、ステント状構造体を備えることが可能である。
【0027】
いくつかの実施形態においては、ガイドカテーテルシースシャフトは、シャフトの軸方向長さ部分に沿って可撓性が変化する複数の領域を備えることが可能である。いくつかの実施形態においては、ガイドカテーテル拡張器シャフトは、異なる可撓性の少なくとも2つの領域を有することが可能である。他の実施形態においては、ガイドカテーテルシャフトは、異なる可撓性の3つ以上(実際的な上限は6つである)の領域を備えることが可能である。さらに他の実施形態においては、シースシャフト可撓性は、ガイドカテーテルの近位端部の方向に進むにつれて低減され、ガイドカテーテルの遠位端部の方向に進むにつれて上昇され得る。ガイドカテーテルシャフトの近位端部から遠位端部に進むにつれ、所与の離散セクションの可撓性は、前記離散セクションのすぐ付近および隣接する領域の可撓性よりも高くなることが可能である。実質的に潰縮された小径遠位領域を有するガイドカテーテルシースが、その実質的に潰縮された小径遠位領域においては、拡張不能な、すなわち完全に拡張された拡張可能領域における可撓性を超えて著しく高い可撓性を示すことが可能である。かかる可撓性は、大動脈弓などの蛇行状または湾曲状の解剖学的構造を越えて腕頭動脈(無名動脈)内へと進む際に特に有用となる。かかる進行後に、ガイドカテーテルシースは、拡張されて、比較的剛性の比較的大きな直径の構造体を形成することが可能である。
【0028】
他の実施形態においては、拡張可能な誘導シースすなわちガイドカテーテルは、大腿動脈または腸骨動脈内に挿入され、その遠位端部が頸動脈または椎骨動脈内に来るように大動脈を通り送られるように構成される。これらの実施形態においては、誘導シースの作動長さは、シースが、頸動脈サイフォンのすぐ近位に達するような長さであることが可能である。他の実施形態においては、シースの作動長さは、シースがウィリス動脈輪内に十分に達するような、またははるか前交通動脈の領域までもしくは中大脳動脈まで達するような長さであることが可能である。これらの実施形態においては、誘導シースの作動長さは、約90〜150cmの間の範囲であることが可能であり、好ましくは約100〜130cmの長さである。拡張可能な遠位領域は、約5〜40cmの、好ましくは約10〜30cmのシース管を備えることが可能であり、シースハブへの装着を容易にするためにおよびカラム強度およびトルク伝達性をもたらすために、シースチューブの近位部分を、近位端部の変形不能、潰縮不能、または収縮不能領域として残す。好ましい一例においては、全作動長さは、約120cmであり、拡張可能遠位領域は、約20cmの長さである。別の好ましい例においては、全作動長さは、約120cmであり、拡張可能な遠位領域は、約12〜15cmの長さである。さらに別の好ましい例においては、全作動長さは、約210cmであり、拡張可能な遠位領域は、約30cmの長さである。システムは、約6フレンチの外径を有するように製造することが可能であり、または、約7フレンチの外径を有するように製造することが可能である。直径公差は、典型的には約±0.5フレンチであることが可能である。
【0029】
別の実施形態は、拡張可能な脳血管シースすなわちガイドカテーテルが、無菌のすなわち滅菌されたパッケージ内に用意され、エチレンオキシド、ガンマ照射、または電子ビーム照射等々により滅菌される、使用方法を含む。患者は、手術用の標準的な病院スタイルで準備し、滅菌布で適切に覆われる。経皮的な針刺しが、本文献において先に述べたセルディンガー法を利用して腸骨動脈または大腿動脈内へと行われる。ガイドワイヤが中空の18ゲージ針内に進められ、針が除去される。任意には、経皮アクセス部位が、この時点でアンプラッツ拡張器または同様のデバイスにより拡張され得る。拡張器を有する第1の小断面構成にある誘導シースは、ガイドワイヤ上において動脈内へと進められ、大動脈を通り進められる。誘導シースの遠位端部は、頸動脈または椎骨動脈内に進められる。いくつかの実施形態においては、誘導シースは、潰縮構成において、頸動脈サイフォンを通りウィリス動脈輪内にまたはそれを越えて進められる。次に、誘導シースは、予め挿入された拡張器を用いて、または他の適切な手段により、第2の比較的大きな断面構成へと膨張される。次に、拡張器は除去され、任意の止血弁が、シースの近位端部の閉鎖について確認される。次に、介入治療カテーテルが、拡張可能な誘導シースを通り、解剖学的標的の方向に進められる。この手順の完了後に、介入カテーテルまたは診断カテーテルは、拡張異可能な腸骨誘導シースから除去され、シースの近位端部の弁またはポートからの出血を確実になくすように再び確認が行われる。シースは、2つの方法の中の1つにおいて患者から除去される。いくつかの実施形態においては、シースは、シースを積極的に潰縮させることなく患者から引き抜かれるが、シースは、介入カテーテルの除去後には若干潰縮して、引き抜きを容易にする。他の実施形態においては、シースは、直径または断面が積極的に縮小され、次いで患者から引き抜かれる。標準的な病院技術を用いて、または市販の経皮アクセス止血制御デバイスを適用することにより、止血が維持される。
【0030】
様々な実施形態のシースにより、ラジアル方向、直径方向、または断面方向へのシースの再潰縮を行うことが可能である。いくつかの実施形態においては、形状記憶ニチノールが、体温を超える温度にまで加熱されて、オーステナイト終了温度の回復が生じ、事前設定された潰縮形状へと戻ることが可能である。他の実施形態においては、シースの外方層が、内方層から分離され得る。シースの外方層は、好ましくは、実質的に非従順性の材料を含むことが可能である。別の実施形態においては、シースの外方層は、実質的に半従順性の材料を含むことが可能であり、またはそれらの組合せを含むことが可能である。近位シースハブの膨張ポートが、シースの外方層と内方層との間に生じ得る空間に作動自在に連絡され得る。外方層と内方層との間に生じ得るこの空間を加圧することにより、より大きな度合いだけ内方に内方層を、優先的に強制するか、押しつけるか、押しやるか、または他の態様で移動させることが可能である。生じ得る空間の領域は、単一のチャンバであることが可能であり、または間にヒートシールもしくは他の障壁を有する複数のチャンバを備えることが可能である。生じ得る空間内の加圧を除いた後には、潰縮されたシースおよびそのこの時点で緩んだ外方層は、患者から除去することが可能となる。いくつかの実施形態においては、この時点で潰縮されたかまたは再度折り畳まれた内方シースと緩んだ外方層との間の空間が、流体を排出されて、外方層を潰縮させることにより、患者からのシースの除去を容易化することが可能となる。いくつかの実施形態においては、外方層は、相互に封着された2つの層を備え、加圧は、二重壁外方層間において行われる。これらの実施形態は、材料の不適合により内方層に外方層を封着させることが困難である場合に有用となり得る。シース外方層について適切な材料は、ポリエステル(PET)、ポリイミド、ポリアミド等々を含み得るが、それらに限定されない。外方層の壁厚さは、約0.0002〜0.001インチの範囲であることが可能である。
【0031】
可鍛性実施形態の主な理由には、断面形状の制御、ポリマーと補強体との間に作製困難な結合解除部を形成する必要(needing to create some difficult-to-manufacture decoupling of the polymer and the reinforcement)を伴わずにポリマー層中に補強体を組み込むことが可能であること、配置後のシースの強度の高さ、および体腔により生じるルーメンの再潰縮の防止が含まれる。所望の形状へと形状改変してインプラントおよび他の医用デバイスの配置のための超高速経路(superhighway)をもたらすこのデバイスの能力は、今日入手可能ないずれのものよりも上回っている。さらに、本デバイスは、比較的平滑な内部ルーメンを形成し、これにより、過度の結合または摩擦を伴わずに非常に大きなサイズの器具およびインプラントを通過させることが可能となる。これらの利点を有するシースは、今日においては他に存在しない。シース内に組み込まれる可鍛性補強体は、ラジアル方向に潰縮された拡張されていないシースの直径を制御および維持するのに十分な力を生成するように構成される。可鍛性補強体は、シースルーメン愛に位置するバルーンまたは他の拡張器による膨張の後に、シースを、開いた、ラジアル方向に拡張された構成に維持するようにさらに構成される。可鍛性金属補強体の構造は、概して補強体を囲むかまたは包入するシース管のポリマー構成要素により加えられるあらゆる弾性力または構造力を克服するか、またはそれを上回るのに十分なものである。また、可鍛性金属補強体の構造は、例えば、皮膚と大腿動脈もしくは腸骨動脈との間に位置する筋肉塊および腹膜、または血栓もしくはアテローム性動脈硬化プラークを含む狭窄的動脈蓄積体(stenotic arterial buildup)などの、シースが挿入されたあらゆる組織により課されるあらゆる内方向に付勢される力を克服するのに十分なものである。
【0032】
本発明を概説するために、本発明の特定の態様、利点、および新規の特徴を本明細書において説明する。必ずしも全てのかかる利点が、本発明の任意の特定の実施形態により実現され得るわけではないことを理解すべきである。したがって、例えば、本発明は、本明細書において教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも実現せずとも、本明細書において教示するような1つの利点または利点群を実現または最適化するように具現化または実施し得ることが、当業者には理解されよう。本発明のこれらのおよび他の目的および利点は、添付の図面と組み合わせることにより、以下の説明からさらに一層明らかになろう。
図面の簡単な説明
【0033】
次に、図面を参照として本発明の種々の特徴を実装する一般的な構成を説明する。図面およびそれに対応する説明は、本発明の実施形態を例示するために提示されるものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。参照番号は、全図面にわたり、参照される要素同士の間の対応性を示唆するために繰返し用いられる。
【0034】
図1は、ヒトの中心循環系概略正面図である。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態による、ヒトの脳血管の一部の概略図である。
【0036】
図3Aは、本発明の一実施形態による、拡張器カテーテルが定位置にある状態の、ラジアル方向拡張構成における拡張可能な誘導シースシステムを示す図である。
【0037】
図3Bは、本発明の一実施形態による、拡張可能な誘導シースシステムのためのバルーン拡張器を示す図である。
【0038】
図3Cは、本発明の一実施形態による、拡張器カテーテルが取り除かれた状態の、第1の非拡張構成における図1Aの拡張可能な誘導シースを示す図である。
【0039】
図4Aは、本発明の一実施形態による、拡張器が中に挿入された状態の、第1の非拡張構成における拡張可能な誘導シースの遠位拡張可能端部を示す図である。
【0040】
図4Bは、本発明の一実施形態による、拡張器が取り除かれた状態の、拡張構成における図4Aの拡張可能な誘導シースの遠位端部を示す図である。
【0041】
図4Cは、本発明の一実施形態による、バルーンが膨張構成にある、バルーン拡張器の遠位端部を示す図である。
【0042】
図5Aは、本発明の一実施形態による、拡張可能なシース拡張器の近位端部の部分破断図である。
【0043】
図5Bは、本発明の一実施形態による、拡張可能な誘導シースすなわちガイドカテーテルの近位端部の部分破断図である。
【0044】
図6は、本発明の一実施形態による、頸動脈サイフォン中に進められつつある、第1のラジアル方向潰縮構成における拡張可能なガイドカテーテルすなわち誘導シースおよび拡張器を示す図である。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態による、ラジアル方向に拡張され、拡張器が取り除かれた、脳血管の中大脳動脈内の拡張可能な誘導シースすなわちガイドカテーテルを示す図である。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態による、治療用マイクロカテーテルがシースを通り進められた状態にある、完全に拡張された誘導シースすなわちガイドカテーテルを示す図である。
【0047】
図9Aは、本発明の一実施形態による、単一折り目部を備える拡張可能な動脈シースの遠位領域の横断面図である。
【0048】
図9Bは、本発明の一実施形態による、双折り目部を備える拡張可能な動脈シースンお遠位領域の横断面図である。
【0049】
図10Aは、本発明の一実施形態による、膨張された拡張器が依然として定位置にある、第2のラジアル方向拡張構成における、外方ジャケットを有するガイドカテーテルすなわち誘導シースを示す図である。
【0050】
図10Bは、本発明の一実施形態による、拡張器が取り除かれた状態の、第2のラジアル方向拡張構成における、外方ジャケットを備えるガイドカテーテルすなわち誘導シースを示す図である。
【0051】
図10Cは、本発明の一実施形態による、外方ジャケットと誘導シースとの間の空間が加圧されて、誘導シース遠位チューブを第3のラジアル方向潰縮構成へと潰縮させた状態の、ガイドカテーテルすなわち誘導シースを示す図である。
【0052】
図10Dは、外方ジャケットと誘導シースとの間の空間が減圧されて、外方ジャケットを潰縮させた状態の、ガイドカテーテルすなわち誘導シースを示す図である。
【0053】
図11aは、本発明の一実施形態による、拡張可能な誘導シースと共に使用するための潰縮栓塞子を示す図である。
【0054】
図11bは、本発明の一実施形態による、直径方向に拡張された誘導シース内に挿入され、次いで加圧されて2つのシーリングバルーンを拡張させた、潰縮栓塞子を示す図である。
【0055】
図11cは、2つのシーリングバルーンが膨張され、シーリングバルーン同士の間の潰縮栓塞子の外部の領域が減圧されて、拡張可能な誘導シース管をラジアル方向に潰縮させた状態の、誘導シース内の潰縮栓塞子を示す図である。
【0056】
図12aは、本発明の一実施形態による、誘導シースの遠位潰縮可能領域の形状を制御するように構成された成形栓塞子すなわち再折り畳み栓塞子の側面図である。
【0057】
図12bは、本発明の一実施形態による、三叉プロファイルを有する成形栓塞子すなわち再折り畳み栓塞子の断面図である。
【0058】
図12cは、本発明の一実施形態による、外側に開いたU字型構成を有する成形栓塞子すなわち再折り畳み栓塞子の断面図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
【0059】
本明細書においては、近位および遠位という用語は、カテーテルまたは医用器具の長手方向軸に沿った方向または位置を指す。近位は、操作者に最も近いカテーテルまたは医用器具の端部を指し、遠位は、患者に最も近いカテーテルまたは医用器具の端部を指す。例えば、第1の点が、第2の点よりもカテーテルまたは医用器具の操作者端部に近い場合には、この第1の点は、第2の点に対して近位となる。しかし、解剖学的に近位および解剖学的に遠位という用語は、体内における配向を指す。ある点が、解剖学的に近位なものとして説明される点よりも心臓から遠い場合には、この点は、解剖学的にさらに遠位となる。
【0060】
図1は、中心循環の構成要素を示す、ヒト患者100の概略正面(前面)図(後方に向かって見た図)である。図示のように、中心循環は、概して、心臓102、大動脈分岐部104、下行大動脈106、大動脈弓108、下大静脈114、上大静脈116、腸骨動脈112、大腿動脈110、胸大動脈118、複数の頸動脈120、122、および主要な脳血管124を含む。この図においては、患者100の身体の解剖学的に左側が、図の右方向となる。図1は、中心循環の構成要素を主に示す。
【0061】
図1を参照すると、心臓102は、ポンプであり、このポンプの出口は、体循環における主な動脈を成す、大動脈弓108、胸大動脈118、下行大動脈106、および大動脈分岐部104を含む大動脈である。心臓102に対して作動自在に連絡されるこの循環系は、帰路循環、すなわち静脈循環をさらに含む。静脈循環は、上大静脈116および下大静脈114を含み、これらは、それぞれ上肢および下肢から血液を戻す。腸骨動脈112は、大動脈分岐部104に対して作動自在に連絡され、大動脈分岐部104から血液を受ける。大腿動脈110は、腸骨動脈112に対して作動自在に連絡され、腸骨動脈112から血液を受ける。上大静脈116および下大静脈114にて終端する静脈は、身体組織から右心に血液を送り戻し、次いでこの右心が、肺を経由して左心に血液を送り戻す。脳血管124は、頸動脈120、122を含む主要な動脈、ならびに大動脈弓108から直接的にまたは間接的に続く椎骨動脈から、血液を供給される。
【0062】
一般的には、静脈循環中の圧力の平均値は、20mmHg未満である。この循環システムの動脈は、心臓102の左心室から身体100の組織に酸素血液(図示せず)を運ぶ。大動脈中の圧力は、約80mmHgの拡張期血圧と約120mmHgの収縮期血圧との間(時として120/80と呼ばれる)で修正三角波形にて起伏する。低血圧症のヒトは、120/80mmHg未満の動脈圧を有することがあり、高血圧症のヒトは、120/80mmHgを越える動脈圧を有することがある。極度の高血圧症のヒトにおいては、約300mmHgを越える収縮期動脈圧が生ずる可能性がある。
【0063】
図2は、脳血管124の前面側から後方に向かって見た概略正面図である。脳血管124は、内頸動脈202、椎骨動脈218、脳底動脈206、後大脳動脈204、後交通動脈210、中大脳動脈212、前大脳動脈220、および前交通動脈216を含む。
【0064】
図2を参照すると、脳血管は、ほぼ対称的であり、右側が左側と同様となるように正中を中心としたミラーとなる。これにより、脳血管中に遮断が生じた場合の余剰性および側副循環が得られ、したがって、血液供給が脳組織に依然として到達するようにする。左右の後大脳動脈204、左右の後交通動脈210、左右の前大脳動脈220、および前交通動脈216により形成される構成は、ウィリス動脈輪と呼ばれる。多数の神経血管障害が、このウィリス動脈輪の領域にて、またはこの領域を超えた位置で生じるため、ウィリス動脈輪へのカテーテルのアクセスは、神経血管内の治療を実施するためには必須となる。ウィリス動脈輪へのアクセスは、蛇行状の頸動脈サイフォンを通過することにより、内頸動脈202を経由して遂行し得る。また、ウィリス動脈輪へのアクセスは、椎骨動脈および脳底動脈206を経由し、次いでウィリス動脈輪の後大脳動脈204内の方に達成することも可能である。アクセス通路は全て、極度に蛇行状かつ小径であり、概して大動脈の上方に送られたカテーテルから大動脈弓108を経由し、次いで無名動脈または頸動脈120、122を経由してアクセスする。
【0065】
動脈循環を介して脳血管にアクセスすることにより、カテーテル挿入部位から出血する可能性が、患者に対して使用される任意のカテーテル、シース、中空針、または誘導針の中に組み込まれた止血弁を用いることによって最低限に抑えられる。一般的には、ガイドワイヤは、近位端部にて身体の外部に十分に延出するこのガイドワイヤの一部分により、ガイドワイヤ上でカテーテルが完全に送り込まれ、幾分かのガイドワイヤがカテーテルの近位端部を越えて延出した状態となるように、十分な長さのものである。したがって、ガイドワイヤは、患者100の治療部位までの長さと同等のまたはそれを越える長さである。最も一般的に用いられるガイドワイヤ径は、大脳向け用途については0.008インチ〜0.018インチの範囲であり、これらの用途については0.035インチ〜0.038インチ超の範囲である。ガイドワイヤは、潤滑性を高めるためにPTFE被覆を施されてもよく、直線状、「J字型」、柔軟先端部、および剛性先端部等々を含むがそれらに限定されない、様々なタイプの選択部構成を有することが可能である。アクセスは、腸骨動脈112を介して得ることが可能であるが、好ましくは、大腿動脈110を介して得ることが可能である。いくつかの実施形態においては、アクセスは、ある程度さらに短いデバイスを用いて、肩の中の鎖骨下動脈を介して得ることもまた可能である。
【0066】
図3Aは、拡張可能な脳血管誘導シースすなわちガイドカテーテルアセンブリ300の一実施形態を図示する。この構成においては、ガイドカテーテルアセンブリ300は、シース302、拡張器304、およびシースY字型コネクタ306を備えることが可能である。シースY字型コネクタ306は、側部ポート350、止血弁352をさらに備える貫通ポート354、および雄型ルアーロック356をさらに備える。拡張器304は、弁360にて終端するパージライン358をさらに備える。
【0067】
図3Aを参照すると、Y字型コネクタ306は、シース302上のハブの近位貫通ポートに恒久的に固定されるか、取外し自在に装着されるか、または一体化される。Y字型コネクタ306は、取外し自在性または交換自在性が要求される場合には、これを目的とした雄型ルアーロック356を備える。パージライン358は、止水栓または他のタイプの液密弁であることが可能な弁360に取り付けられる。パージライン358は、拡張器の中央ルーメンまたは貫通ルーメン(図示せず)に作動自在に連絡される。この中央ルーメンまたは貫通ルーメン(図示せず)は、近似サイズのガイドワイヤを受けるように構成される。拡張器304は、Y字型コネクタ306内に摺動自在に挿入される。このY字型コネクタ306は、止血タイプの弁をさらに備える。拡張器304は、シース302の遠位端部から若干外に突出して、拡張器304上のバルーンがシース302の遠位端部を若干超えて延在するまで、シース302のルーメン内にて進められる。次に、シース302の遠位潰縮可能領域が、拡張器304上の潰縮されたバルーンの周囲に圧着され、拡張器304が、シース302の近位端部にて地位置にロックされる。このような準備は、一般的には、パッケージング、滅菌、および使用の前に、製造現場にて実施される。この準備は、好ましくは、クリーンルーム環境内でバイオバーデンを最小限に抑えて実施される。
【0068】
止血弁352は、好ましくは、止血弁をさらに備えるかまたは止血弁にて終端するポートを備える。止血弁は、シース302のルーメンからの出血を防ぐように、またはシース302のルーメン内への空気の取り込みを防ぐように構成される。止血弁352は、弁中に挿入されるいずれのものに対してもシールを形成しない、弁を介して挿入される最大径の物体に対するシールを形成する、または、弁を介して挿入されるあらゆる中間サイズのものに対するシールを形成する、1〜5個の間の要素を備えることが可能である。止血弁352の要素は、ソフトシリコーンまたは他のエラストマーから作製することが可能である。止血弁要素は、シリコーンオイルまたは親水性層などの潤滑性コーティングで被覆するか、または潤滑性コーティングを含浸させることが可能である。止血弁352要素には、ダックビル弁、ピンホール弁、スリット弁、X字型スリット弁、およびリングシール等々が含まれ得る。止血弁352には、その機構の全てまたは一部としてトゥーイボースト弁(Tuohy-Borst valve)が含まれ得る。
【0069】
図3Bは、拡張可能なガイドカテーテルシステム300と共に使用するために構成された拡張器304の側面図を示す。ガイドカテーテル拡張器304は、止血弁324および貫通ポート328をさらに備える、拡張器ハブ322を備える。拡張器ハブ322は、側部ポート326をさらに備える。この側部ポート326は、貫通ポート328から作動自在に隔離される。拡張器304は、外方管310と、オプションの張力逃がし部(図示せず)と、ある長さの内方管312と、近位ボンド316および遠位ボンド318をさらに備える拡張器バルーン314とをさらに備える。
【0070】
拡張器バルーン314は、拡張器バルーン314の両端部のそれぞれにてバルーンボンド316、138によって拡張器カテーテル管310、312に接合、溶接、または他の態様で取り付けることが可能である。拡張器バルーン314は、シース302の内部に挿入する前に、拡張器カテーテル管312の周囲において完全に収縮され、平滑になされ、拡張器カテーテル管312の周囲を包囲する。拡張器バルーン314の近位端部は、外方管310の外側に接合される。内方管312は、外方管310内に同心状に配設される。同心の管310、312は、外方管310の内径部(ID)と内方管の外径部(OD)との間に空間または環状部分を有することにより、この環状部分を介して流体が側部ポート326からバルーン314の内部に進むことが可能となるように構成される。この環状部分は、約0.002インチ〜0.025インチの範囲の、好ましくは0.005〜0.015インチの範囲の、ラジアル方向隙間を有することが可能である。拡張器バルーン314の遠位端部は、内方管312の外側に接合される。したがって、環状部分内を流れる加圧流体が、バルーン314の中に収集かつ捕獲され、それにより、ハブ322の側部ポート326に装着された膨張デバイスまたはシリンジを用いて操作者の制御下においてこのバルーン314を加圧し拡張させることが可能となる。拡張器バルーン314は、熱収縮管、および放射放熱器、レーザ接合器、または強制熱風システム等々の分散熱源を適用することにより、拡張器カテーテル管310および312に接合または溶接することが可能となる。結合の完全性を最適化するために均一な加熱または熱分散を可能にする、自体の長手方向軸を中心としてカテーテルを回転させるように構成されたカテーテル回転デバイスが有用である。
【0071】
図3Bを参照すると、拡張器バルーン314は、壁厚さが0.001〜0.006インチの間の範囲のPET、PETG、ポリアミド、またはポリアミド等々から作製することが可能であり、10〜30気圧、またはそれ以上の内圧を収容することが可能なものが可能である。拡張器バルーン314は、一般的には、操作者により、拡張器ハブ322の一体部分であるかまたは拡張器ハブ322に取り付けられたバルーン膨張ポート326を介して、生理的食塩水またはX線撮影造影剤等々(それらに限定されない)の非圧縮性流体で充填することが可能である。
【0072】
図3Cは、シース/拡張器システム300の一部であり、拡張器304が取り外された状態の、拡張可能な誘導シース302(拡張構成における)を図示する。誘導シース302は、貫通ポート336および側部ポート334をさらに備えるシースハブ332と、近位拡張不能管領域306と、第1の移行区域308と、近位拡張不能領域338と、遠位拡張可能領域340と、移行区域342と、張力逃がし部344とを備える。
【0073】
シースハブ332は、拡張不能近位管338の近位端部に取り付けられる。拡張不能管338の遠位端部は、移行区域342により拡張可能領域340の近位端部に取り付けられる。ハブ332は、張力逃がし部344の近位端部にも取り付けられる。この張力逃がし部344は、軟質の近位管338が硬質のハブ332から出る位置において、軟質の近位管338を囲み、近位管338に対する応力を低減させるのを補助する。貫通ポート336は、シース管の種々の領域338、340、342内の貫通ルーメンに作動自在に連絡される。貫通ポート336と側部ポート334との間には、作動自在な連通はない。側部ポート334は、ハブ332内において個別のルーメンに作動自在に連絡され、ハブ332は、近位シース管338内において小さな個別のルーメンまたは環状部分に作動自在に連絡される。
【0074】
図3Cを参照すると、遠位拡張可能領域340および移行区域342がラジアル方向にすなわち直径方向に拡張されて、第2の比較的大きな断面構成となった状態の、拡張可能な誘導シース302が図示されている。移行区域342および遠位拡張可能領域340内の可鍛性補強構造体(図示せず)により、シースは、第2の比較的大きな断面構成に維持される。好ましくは、遠位拡張可能領域340および移行区域342内の可鍛性要素は、可鍛性要素が中に組み込まれるポリマー管によって加えられる弾性力を克服するのに十分な強度を維持する。可鍛性要素または補強構造体は、図3Bの拡張器バルーン314の拡張力を克服するには不十分な強度を有するように構成される。補強要素には、平型ワイヤまたは丸型ワイヤの螺旋巻線、ポリマーストランドの編組要素、ワイヤ、ステントと同様のメッシュ構造体、および重複する長手方向に配向されたスロットを有するスロット付きチューブ等々(それらに限定されない)の構造が含まれ得る。シースハブ332の遠位端部から潰縮可能領域340の遠位端部までのシース管の長さは、約85cm〜140cmの間の範囲であることが可能であり、好ましくは約95cm〜約125cmの長さである。この長さは、他の市販のガイドカテーテルの中におよびそれを越えて通すのに十分な長さであり、市販のマイクロカテーテルを、他の市販のガイドカテーテルの中に通し、潰縮可能領域340の遠位端部を越えて延在させ得るのに十分な短さである。
【0075】
図4Aは、第1の小さな断面構成にある拡張可能なガイドカテーテルシステム300の遠位端部を図示する。ガイドカテーテルシステム300の遠位端部は、圧縮可能領域340と、移行区域342と、近位拡張不能領域338と、拡張器バルーン314と、拡張器内方管312とを備える。圧縮可能領域340および移行区域342の少なくとも一部分は、長手方向折り目部400をさらに備える。
【0076】
拡張可能領域とも呼ばれる圧縮可能領域340および移行区域342は、第1の比較的小さな断面構成において図示される。移行区域342は、直径方向に潰縮された拡張可能領域340および比較的大きな近位拡張不能領域338の間にテーパを形成する。図示する実施形態の誘導シース/拡張器アセンブリ300は、近位拡張不能管338の近位端部に取り付けられたシースハブ332(図示せず)と、拡張器ハブ322(図示せず)とを備える。圧縮可能領域340は、薄い非従順性の可撓性構造体である外方ジャケット(図示せず)によって囲まれる。この外方ジャケットは、潰縮可能領域340の遠位端部の付近では拡張可能領域340の内方層に対して、および移行区域342の近位の潰縮不能管338に対して封着される。外方ジャケット(図示せず)が、拡張可能領域340の内方構成要素から剥離されることにより、この剥離された領域の圧力によって、内方構成要素の潰縮が引き起こされる。外方ジャケット(図示せず)は、極めて高い強度を有し、概してまたは実質的に、定格圧力での非弾性を有し、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、または照射架橋ポリエチレン等々(それらに限定されない)の材料から作製される。外方ジャケット(図示せず)の端部が、シース管の内方層に対して結合、溶接、または他の態様で封着されることにより、特に遠位端部において液密シールの損傷を招くことなく何度も繰り返して折り畳み開いて伸ばすことが可能な液密シールを形成する。他の実施形態においては、外方ジャケット(図示せず)は、拡張可能領域340の内方層および複数の内方層を内方に圧縮するバルーンを形成し得る、これらの端部にて互いに封着される2つの層を備えることが可能である。二重壁構造は、折り畳むおよび広げる際にこれらの端部の結合シールを比較的容易に維持し得る点において、有利となる可能性がある。拡張器バルーン314は、拡張可能領域340の全長にわたり、および拡張可能領域340の長さを若干越えて、延在する。シース管に対する外方ジャケットの溶接、拡張器管に対する拡張器バルーン314の溶接、またはそれらの両方は、レーザ、強制空気加熱器(例えば熱軸箱)、または放射放熱器等々(それらに限定されない)を含む、溶接区域に対して熱を加えるための手段である、熱の下で溶接区域を圧着するための収縮管を用いることによって実現することが可能である。特に熱が「熱軸箱」またはレーザからなどの噴流または源流の形態である場合には、回転可能システムまたは他の回転システムを用いて、シースすなわちカテーテルシャフトをそれらの長手方向軸を中心として回転させることにより、熱分布を向上させることが可能である。ジャケット接合またはバルーン接合の長さは、約0.005〜0.250インチの範囲であることが可能であり、好ましくは約0.040〜0.150インチの範囲である。
【0077】
遠位潰縮可能領域340および移行区域342の内方層を作製するために使用される材料には、ハイトレル、ポリエチレン、PET、LDPE、HDPE、HDPE/LDPE混合物、PFA、FEP、PTFE、ポリイミド、およびペバックス等々が含まれるが、それらに限定されない。ハイトレルは、外方ジャケット(図示せず)の作成に適した材料である、PETに対して比較的容易に溶接することが可能な熱可塑性エラストマーである。ペバックスは、ナイロンまたは他のポリアミドから作製された外方ジャケット材料に対する結合または溶接に比較的適したブロックポリアミドである。
【0078】
図4Bは、シース/拡張器システム300の一部であり、拡張器304が取り外された状態の、拡張可能誘導シース302の遠位端部を図示する。拡張可能領域340および移行区域342は、完全に拡張されて、第2の比較的大きな断面構成となっている。誘導シース302は、シースハブ332(図示せず)、近位拡張不能管領域338、移行区域342、および拡張可能領域340を備える。近位拡張不能管338は、長手方向に延在し、シースハブ332上のシース収縮ポートを外方ジャケットと拡張可能領域340の内方パーツとの間の剥離された領域に対して作動自在に連絡する、別個の膨張ルーメン404をさらに備える。
【0079】
図4Bを参照すると、拡張可能領域340は、いくつかの実施形態においては、体温(通常は摂氏約37度)を上回るオーステナイト終了温度により構成された、ニチノールから作製された形状記憶要素(図示せず)を備えることが可能である。したがって、拡張可能領域340は、オーステナイト終了温度を上回る温度まで抵抗加熱および温度上昇を生じさせるために電気を印加することによって加熱することが可能である。適切なオーステナイト終了温度は、摂氏38〜50度の範囲が可能である。かかる加熱は、シースの中心から任意の治療器具または診断器具を取り出した後に、手順の最後に実施することが可能である。一般的には、シースは、血流中に位置し、血管壁に接触しない。さらに、流動血液により、抵抗加熱要素によって生成された熱が分散されて、身体に対する局所的な加熱損傷効果を最小限に抑えることが可能となる。形状記憶要素は、抵抗加熱の印加後に付勢されることとなる潰縮された小径構成へと熱硬化することが可能である。補強構造体は、編組体、螺旋巻線、編成メッシュ、またはスロット付きチューブ等々として構成することが可能である。補強構造体は、潰縮されたかまたは小さな初期径構成にヒートセットすることが可能であり、次いで、ポリマーによる被覆または他の適切な製造プロセスを施すために補強構造体を拡張させることが可能となるマルテンサイト終了温度未満まで冷却することが可能である。好ましい実施形態においては可鍛性ステンレス鋼から、または本明細書において説明するようにニチノールから作製することが可能なこれらの補強構造体は、螺旋巻線、ステント状構造体、または編組体等々として構成することが可能である。
【0080】
近位端部がシースハブ(図示せず)に取り付けらえる近位シースチューブ338は、メッシュ補強体の1つまたは2つの層と、ばねコイル補強体とを備えることが可能である。遠位シースチューブ340および移行区域342は、可鍛性コイル、および任意にメッシュ補強体をさらに備えることが可能である。中央ルーメン(図示せず)を備えるシースチューブの全体が、その全長に沿ってほぼ一定の内径を有する。このほぼ一定の直径は、大径の物体が、挿入され、近位端部からシース302の遠位端部を出るまで完全に進むことが可能となる点において有利である。
【0081】
一実施形態においては、内方シース層が、初めにPTFE被覆されたステンレス鋼マンドレル(図示せず)を覆って施される。このシース内方層は、好ましくは、ポリエチレン、HDPE、LDPE、HDPEおよびLDPEの混合物、PTFE、FEP、PFA、ハイトレル、またはペバックス等々(それらに限定されない)の潤滑性材料から作製することが可能である。さらに、シース内方層は、その内方表面上において、シリコーンオイルおよびポリウレタンベース親水性スリップコーティング材料等々(それらに限定されない)の摩擦減速材料(friction retarding materials)で被覆することが可能である。次に、任意のメッシュ層が、内方層を覆って施される。次に、コイル補強層が、このメッシュを覆って施される。他の実施形態においては、任意には、第2のメッシュ層が、このコイルを覆って施され得る。第2のメッシュ層は、異なる単繊維径、単繊維数、ピック数、および単繊維の密度または角度を含む、内方メッシュ層とは異なる特性を有することが可能である。最後に、ポリマー材料の外方層が、補強層を覆って施され、その後に、収縮管が、構造体全体の周囲に配置され、加熱されることにより、補強層を外方層と内方層との間に挟みつつ、外方層に対して内方層を収縮、溶着、融着、および結合させることが可能である。シース内方層は、約0.001〜0.010インチの間の範囲の、好ましくは約0.0015〜0.006インチの範囲の壁厚さを有することが可能である。シース外方層は、約0.001〜0.010インチの間の範囲の、好ましくは0.0015〜0.006インチの範囲の壁厚さを有することが可能である。
【0082】
メッシュは、編組体、編成体、ニット、または管状断面に形成された他の構造体から形成することが可能である。メッシュは、平型、矩形、または丸型のストランドから作製することが可能である。メッシュは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、PET、ポリアミド、またはポリイミド等々(それらに限定されない)のポリマーから作製することが可能である。メッシュは、可鍛性ステンレス鋼、ばねステンレス鋼、ニチノール、チタン、コバルトニッケル合金、タンタル、金、白金、および白金合金等々(それらに限定されない)の金属から作製することも可能である。メッシュのストランドの側方サイズは、少なくとも1つの寸法においては0.001〜0.010インチの間の範囲が可能である。メッシュの端部の個数は、2〜50の間の範囲が可能である。
【0083】
遠位シースチューブ340の構造は、0.001〜0.040インチの、好ましくは0.002〜0.010インチのワイヤ直径を有するワイヤのコイルを備えることが可能である。コイルは、1つの寸法においては0.001〜0.010インチであり、他の寸法においては.004〜.040インチであるリボンワイヤまたは平型ワイヤをさらに備えることが可能である。好ましくは、平型ワイヤは、概してコイルのラジアル方向に配向された小径においては0.001〜0.005インチであり、コイルのラジアル方向に対して垂直に配向された幅においては0.005〜0.020インチである。コイルターン同士の間の間隔に関するコイルのピッチは、リボン幅またはワイヤ径の約0〜約5倍の範囲が可能である。好ましくは、幾分かの空間が、外方層と内方層との間の接合を可能にするためにコイルターン同士の間に存在し、そのため、好ましい間隔は、リボン幅の0.5〜4倍の間となる。ポリマー材料の外方層は、0.001〜0.020インチの壁厚さを有することが可能であり、内方層は、0.001〜0.010インチの間の壁厚さを有する。コイルの作製に使用されるワイヤは、金、ステンレス鋼、チタン、タンタル、ニッケルチタン合金、およびコバルトニッケル合金等々(それらに限定されない)の焼鈍された材料から製造することが可能である。ワイヤは、PET、PEN、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラス充填ポリカーボネート、または炭素繊維等々(それらに限定されない)のポリマーまたは非金属材料をさらに含むことが可能である。コイル補強体のワイヤは、有利には、蛍光透視法またはX線可視化の下における可視性を向上させるために高い放射線不透過性を有する材料により被覆することが可能である。コイル補強体のための放射線不透過性コーティングには、金、白金、タンタル、および白金イリジウム等々が含まれ得る。コイルの機械的特性は、溶融された内方層および外方層の構成を制御し得るようなものである。
【0084】
遠位領域340が、折り畳まれて、小径を形成する場合に、何らかの記憶を有し得るポリマー層は、著しいまたは大きなスプリングバックを生じさせない。シース壁部は、好ましくは、それにより管状構造体に与えられるあらゆる力が、可鍛性遠位補強層により加えられる力よりも下回るように、薄い。さらに、剥離により、摺動により、または他の様式により取外し可能な保護スリーブ(図示せず)が、潰縮されたシース構成を維持するために有用であるが、必須ではない。
【0085】
これらの変形形態を用いて、初期小断面直径を有するカテーテルの拡張可能領域を形成することが可能であることを理解されたい。遠位領域340を広げることにより、遠位領域の直径は、比較的大きな直径へと拡大され得る。比較的小さな折り畳まれた構成においては、上述の可鍛性構造体は、比較的小さな折り畳まれた構成に遠位領域を維持することが可能である。他の実施形態においては、外部構造体が、折り畳まれた構成にシースを維持することが可能である。この比較的小さな折り畳まれた構成においては、カテーテルの可撓性(例えば頸動脈サイフォンを進むカテーテルの能力など)が上昇することが判明している。カテーテルが、広げられ拡張されると、可鍛性構造体は、比較的大きな広げられた直径へと、およびシースが中に配置される解剖学的構造の形状へと再形成され得る。広げられた構成においては、可鍛性構造体は、ルーメンの開通性を維持するためのフープ強度を与える。
【0086】
他の実施形態においては、シースの外側、および任意にはシースンの内部ルーメンが、シリコーンオイル、またはポリエチレングリコールもしくはポリエーテルポリウレタン等々を含む親水性ヒドロゲルなど(それらに限定されない)の材料を含む潤滑性コーティングにより被覆されてもよい。他のコーティングには、アジ化銀から作製されるものなどの抗菌性コーティング、またはヘパリンを含むものなどの抗凝固性コーティングが含まれ得る。
【0087】
図4Cは、拡張器外方シャフト310、拡張器ハブ322、拡張器バルーン314、オプションの遠位フェアリング(図示せず)、および拡張器内方管312を備えるシース拡張器304の遠位端部を図示する。拡張器バルーン314は、近位くびれ領域316および遠位くびれ領域318のそれぞれを備える。膨張環状部402は、同心状に配設された外方シャフトまたは管310と各長期の内方シャフトまたは管312との間の領域である。
【0088】
拡張器バルーン314は、接着剤、溶接、またはそれらの組合せを用いて近位くびれ領域316にて外方拡張器シャフト310に取り付けられ、遠位くびれ領域318にて拡張器内方管312に取り付けられることにより、バルーンボンド316、318を形成する。拡張器バルーン314は、PET、ポリイミド、ポリアミド、または強化ポリマー等々(それらに限定されない)の材料から作製される血管形成タイプのバルーンであることが可能である。拡張器バルーン314は、放射線不透過性染料造影剤、生理的食塩水、および乳酸リンゲル等々(それらに限定されない)の加圧液体で充填された場合に最大で約25〜30気圧の範囲の圧力を生じさせるように構成することが可能である。拡張器バルーン314は、少なくともシース拡張可能遠位端部340と移行区域342とを組み合わせた長さと同様のフラット長さを有し、好ましくは、製造性および信頼性を促進するように幾分かさらに長い。拡張器バルーン314は、シースの完全に拡張された遠位領域340の直径に比して、例えば約0.5〜1フレンチだけ直径が大きいなど、ほぼ同一のまたは若干大きな膨張直径を有することが可能である。バルーン314は、0.0005〜0.005インチの範囲の、好ましくは約0.0007〜0.002インチの間の範囲の壁厚さを有することが可能である。バルーン314のフラット長さは、有利には、移行区域342と潰縮可能領域340とを組み合わせた長さよりも少なくとも約1cm長い。したがって、バルーン314のフラット長さは、約9cm〜約31cmの間の範囲が可能である。遠位フェアリング(図示せず)は、拡張器304の遠位先端部の付近に取り付けられ、好ましくは拡張器内方管312が遠位バルーンボンド318から遠位方向に突出する位置にて拡張器内方管312に対して少なくとも部分的に取り付けられる点に留意されたい。遠位フェアリング(図示せず)は、シリコーンエラストマーまたは熱可塑性エラストマーなどの軟質弾性材料から作製されると有利であり、バルーン314のショルダから遠位方向に離れて拡張し折り畳まれることで、バルーン314が収縮された場合に、フェアリング(図示せず)は、シース304のルーメンを通り近位方向に引かれることが可能となる小径へと戻る。遠位フェアリング(図示せず)は、熱可塑性エラストマー、シリコーンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、およびハイトレルエラストマー等々(それらに限定されない)の弾性材料から作製することが可能である。
【0089】
拡張器304は、シース302の中央ルーメン内に摺動自在に配設され、血管形成タイプバルーン、マルコー、リバースコレット(reverse collet)、またはシースの直径よりも大きな約0.2mm(0.5フレンチ)超までの拡張が可能な他のデバイスなど(それらに限定されない)の拡張可能拡張器314をさらに備える。バルーン314は、カテーテルシャフト内の膨張ルーメンを介して膨張させることが可能であり、この膨張ルーメンは、近位端部が拡張器ハブまたは膨張ポートに作動自在に連絡される。シースの遠位端部を拡張させる膨張の後に、バルーン(図示せず)などの拡張器拡張要素は、収縮または潰縮させることが可能であり、その後、拡張器拡張要素は、ノーズコーンまたは遠位フェアリング(図示せず)と共にシース302から取り外すことが可能である。
【0090】
図5Aは、拡張器304の近位端部を図示する。この拡張器は、拡張器ハブ322、外方管310、および内方管312を備える。拡張器ハブ322は、膨張ポート326、中央ルーメン502、止血弁324、および内方管312と外方管310との間の膨張環状部402をさらに備える。
【0091】
図5Aを参照すると、拡張器ハブ322は、外方管310の近位端部に取り付けられるかまたは結合され、外方管310がハブ32の遠位端部から出る位置にて外方管310を囲む張力逃がし部(図示せず)をさらに備えることが可能である。拡張器ハブ322は、その近位端部が止血弁324に取り付けられるか、または止血弁324と一体であり、止血弁324は、その最近位端部に雌型ルアーロックコネクタをさらに備えることが可能である。止血弁324のルーメンは、ハブ322の中央ルーメン502に作動自在に連絡され、中央ルーメン502は、内方管312の中央ルーメンに作動自在に連絡される。膨張ポート326は、有利には、市販のバルーン膨張デバイスまたはシリンジ(図示せず)への装着に適した雌型ルアーロックコネクタを有して終端する。膨張ポート326は、中央ルーメン502から作動自在に隔離されるが、膨張環状部402に作動自在に連絡される。したがって、膨張ポート326内に注入される好ましくは液体である加圧流体が、環状部404内に送られ、ここから拡張器304の長さ部分に沿って拡張器バルーン314の下方の領域まで移送され、この領域から出ることにより、拡張器バルーン314を加圧または減圧する。拡張器ハブ322およびそれに装着されたベンは、ABS、PVC、ポリウレタン、およびポリカーボネート等々(それらに限定されない)の材料から作製することが可能である。拡張器ハブ322は、パージライン358(図3Aに示す)をさらに備え、このパージハブ358は、中央ルーメン502に作動自在に連絡され、拡張器304の中央ルーメン502から空気を除去するために使用される。
【0092】
図5Aを参照すると、拡張器ハブ322は、内方拡張器管312の近位端部に取り付けられ、封着される。内方拡張器管312の遠位端部は、拡張器の遠位端部まで延在する。内方ルーメン502は、市販のガイドワイヤを受容するようにサイズ設定され、0.014インチ径ガイドワイヤを摺動自在に受容することが可能となるように、約0.010インチ〜0.042インチの範囲のサイズの直径が可能であり、好ましくは約0.018インチの直径である。拡張器ハブ322の近位端部から内方拡張器管312の遠位端部までの拡張器の作動長さの全長は、約90〜150cmの間の範囲であることが可能である。
【0093】
図5Bは、拡張器304を取り外した後の、2方向に拡張可能または潰縮可能なシースアセンブリ302の近位端部を図示する。このシースアセンブリ302は、拡張可能領域340(図示せず)と、移行区域342(図示せず)と、近位拡張不能シース管338と、シース潰縮側ポート334、中央貫通ポート336、および中央ルーメン506をさらに備えるシースハブ332とをさらに備える。
【0094】
シースハブ332は、拡張器ハブ322を作製するために用いられる材料と同一のまたは同様の材料から作製することが可能である。シースハブ332は、近位シース管338の近位端部に取り付けられ、オプションの張力逃がし部504にさらに取り付けられることにより、比較的軟質のシース近位管338が比較的硬質のシースハブ332の遠位端部から出る際の比較的軟質のシース近位管338に対する応力を軽減することが可能である。中央貫通ポート336は、シース潰縮可能領域340の遠位端部まで延在し、この遠位端部から延出するため、貫通ルーメンとも呼ばれる中央ルーメン506に作動自在に連絡される。シース潰縮ポート334は、中央ルーメン506から流体的に隔離され、少なくとも近位シース管338の遠位端部まで延在する、別個の加圧ルーメン404に作動自在に連絡される。加圧ルーメン404は、近位管338の外部上のバンプとして配置することが可能であり、完全に近位管338の壁部内に共有押出成形することが可能であり、またはそれらの組合せが可能である。
【0095】
図6は、頸動脈サイフォン208をさらに含む内頸動脈202、後交通動脈210、中大脳動脈212、前大脳動脈220、および前交通動脈216を含む、脳血管124の概略図を示す。拡張可能なガイドカテーテル300が、左頸動脈内に進められて、その近位拡張不能管338および移行区域342が、頸動脈サイフォン208の近位に位置している。内方拡張器管312を封入する遠位拡張可能領域340および拡張器バルーン314は、高い可撓性、トルク伝達性、および押込み力伝達性(pushable)を有し、ガイドワイヤ602上において頸動脈サイフォン208および中大脳動脈212の近位部分に進められている。この実施形態においては、ガイドワイヤは、0.014インチ径ガイドワイヤである。
【0096】
図7は、拡張可能なガイドカテーテル300の遠位端部が膨張され、拡張器が取り外されて、ガイドワイヤ602が定位置に残された状態の、図6の脳血管124を図示する。移行区域342は、もはやテーパ状ではなく、拡張された遠位領域340と同様に実質的に円筒状であり、この遠位領域は、近位管338の内径とほぼ同一の内径を保持する。頸動脈サイフォン208をさらに含む内頸動脈202、後交通動脈210、中大脳動脈212、前大脳動脈220、および前交通動脈216が図示される。
【0097】
図8は、中大脳動脈212上に位置する小嚢状動脈瘤800が加えられた図6の脳血管124を図示する。拡張されたガイドカテーテル300は、プッシャーカテーテル804が動脈瘤800内において塞栓コイル802展開することが可能となるように、プッシャーカテーテル804を案内するために使用されている。図6のガイドワイヤ602は、取り外されている。この手順の完了後に、例えばプッシャーカテーテル804などの全ての内部カテーテルが、除去される。次に、遠位領域340が、外方ジャケットと遠位領域340の内方部分との間の領域を加圧することよって潰縮される。潰縮圧力の排出後には、潰縮された遠位領域340は、敏感な血管壁に対して損傷を与えるおそれを伴うことなく、脳血管から取り出すことが可能となる。
【0098】
図9Aは、外方ジャケット900と、内方壁部902と、外側エッジ904および内側エッジ906をさらに備える単一の長手方向に延在する折り目部908と、内方壁部902を軸方向に貫通して延在する複数の導電体とを備える、拡張可能な動脈シースの遠位領域340の横断面図を示す。小径遠位セクション340および比較的厚い壁部902と共に、単一折り目部908は、製造時に形成するための一構造体である。シース内方壁部902は、抵抗加熱または操縦等々の目的によるシースハブ(図示せず)からシースの遠位領域への電気エネルギーの伝達に使用するための、ステンレス鋼、銀、銅、または他の導体金属から作製された任意の電気バス912をさらに備える。膨張不能な外方ジャケット900と内方壁部902との間の空間は、内方壁部902の再潰縮が求められる場合に、操作者により加圧される。外方ジャケット900は、この図においては折り畳まれるが、シース管338の近位部分の外周部に近似する伸張されていない外周部を維持する。
【0099】
図9Bは、外方ジャケット900、長手方向に延在する双折り目部928をさらに備える内方壁部922を備える、拡張可能な動脈シースの遠位領域920の横断面の別の実施形態を示す。この双折り目部928は、2つの外側縁部924および2つの内側縁部926をさらに備え、これらが、内方壁部922中の長手方向襞部を形成する。シースの直径が拡張される場合には、複数の折り目部を内方壁部922中に形成することが有利となる。双折り畳み部により、大径シースを潰縮構成へとより効率的に折り畳むことが可能となり得る。シース内方壁部922は、シースハブからバルーンが取り付けられ得るシースの遠位領域への流体圧力または流体エネルギーの伝達に使用するための、またはシース壁部を再度潰縮するための、オプションのバルーン膨張ルーメン930をさらに備える。バルーン膨張ルーメン930の直径は、約0.004〜0.020インチの間の範囲であることが可能である。他の実施形態においては、折り目部の個数は、3〜10この間の範囲であることが可能である。膨張不能外方ジャケット900と内方壁部922との間の空間は、内方壁部922の潰縮が求められる場合に、操作者により加圧される。外方ジャケット900は、この図においては折り畳まれるが、シース管338の近位部分の外周部に近似する伸張されていない外周部を維持する。
【0100】
遠位シース管340は、1〜4個の外側折り目縁部を備える慎重に予め定められたパターンで、長手方向に折り畳まれ、折り目部は、移行区域342の近位端部から遠位シースチューブ342の遠位端部までの全長にわたって延在する。任意の遠位フェアリング(図示せず)は、遠位シースチューブ340の遠位露出縁部を覆って平滑テーパ部を形成するように構成される。この平滑テーパ部に逆らって、シースシステム300は、脳血管内に進められ得る。遠位フェアリングは、シースの遠位端部を先導し、拡張器管に取り付けられ、しかし潰縮されたシース管の遠位端部を覆わない、バンプとして構成することも可能である。この遠位フェアリングは、好ましくは、その長さ部分に沿って可撓性を与えるように、軟質弾性材料から作製することが可能である。かかる材料には、ハイトレル、シリコーンエラストマー、ポリウレタン、およびペバックス等が含まれ得る。
【0101】
上述の実施形態においては、図9Aおよび図9Bの長手方向折り目部またはそれらの変形形態を用いて、初期小断面直径を有するカテーテルの拡張可能な領域を形成することが可能である点を理解されたい。遠位領域340を広げることにより、遠位領域の直径は、より大きな直径へと拡大され得る。比較的小さな折り畳まれた構成においては、上述の可鍛性構造体により、遠位領域が比較的小さな折り畳まれた構成に維持され得る。他の実施形態においては、外部構造体により、ガイドカテーテルすなわちシースが折り畳まれた構成に維持され得る。この比較的小さなフォルダ構成においては、カテーテルの可撓性(例えば椎骨動脈および脳底動脈を進むカテーテルの能力)が上昇することが判明している。ガイドカテーテルが、折り畳まれず、拡張される場合には、可鍛性構造体は、比較的大きな折り畳まれていない直径へと、およびシース300が中に配置される解剖学的構造(例えば頸動脈サイフォン208)の形状へと再構成され得る。折り畳まれていない構成においては、可鍛性構造体は、ルーメンの開通性を維持するためのフープ強度を与える。いくつかの実施形態においては、ルーメンは、約7フレンチの外径を有するシースに対して、0.068〜0.082インチの範囲の直径を有することが可能である。
【0102】
図10Aは、膨張された拡張器304が依然として定位置にある状態の、第2のラジアル方向拡張構成におけるガイドカテーテル300の拡張可能かつ再潰縮可能なシース302の遠位端部を図示する。外方ジャケット1010は、シース管1008、342と共に拡張され広げられて、その最大プロファイルに近い状態にある。拡張器304およびその拡張器バルーン314は、シース302内において定位置に留まる。シース管338、342、340は、ほぼ連続するプロファイルと、実質的に全長にわたって同一サイズの実質的に連続する内部ルーメン(図示せず)とを保持するが、遠位潰縮可能領域340に幾分かの小さな歪みが生じるおそれがある。
【0103】
図10Aを参照すると、再潰縮可能な誘導シース300が、拡張器バルーン314および内方拡張器管312をさらに備える拡張器304と、近位潰縮不能シースチューブ338と、移行区域342と、遠位潰縮可能領域1008と、外方加圧ジャケット1010と、外方加圧ジャケット/シース間近位ボンド(outer pressurization jacket to sheath proximal bond)1020と、外方加圧ジャケット/シース間遠位ボンド(outer pressurization jacket to sheath distal bond)1012とを備える。
【0104】
図10Aを参照すると、シースおよび拡張器システム300が、外部加圧ジャケット1010を備える。この外部加圧ジャケットは、近位端部および遠位端部のそれぞれがシース管338および1008に取り付けられ封着される。ルーメン404(図4B)が、外方加圧ジャケット1010とシース管1008との間の隙間1018に対してシースハブ332上の潰縮ポート334(図3C)を作動自在に連絡する。外部加圧ジャケット1010の近位端部は、好ましくは、近位潰縮不能領域338または移行区域342においてシース管338に取り付けられる。外部加圧ジャケット1010は、ジャケット1010の内部とシース管338の外部との間に環状ルーメンが存在することにより、加圧流体がジャケット1010とシース管338との間の隙間に流入およびその隙間から流出することが可能となるように、シースハブ332に作動自在に連絡されるかまたは取り付けられることもまた可能である。加圧ジャケット1010は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、および照射ポリエチレン等々(それらに限定されない)の、実質的に膨張不能なまたは非弾性の折り畳み可能材料から作製することが可能である。外方ジャケット1010の壁厚さは、0.0001〜0.005インチの間の範囲であることが可能であり、好ましくは0.0002〜0.002インチの壁厚さの範囲である。加圧ジャケット1010のかかる構造は、加圧ジャケット1010が実質的に非従順性のものであるため、実質的にサイズ制約またはサイズ制限を受け、外寸が過度に拡張しない。
【0105】
他の実施形態においては、外方ジャケット1010は、0.00015インチ〜0.005インチの間の範囲の壁厚さを有し、好ましくは0.0002〜0.002インチの範囲の壁厚さを有する、2重のポリエステル(PET)層などの2重の材料層を備えることが可能である。この2重層は、外方ジャケット1010およびシース管338、342、1008の材料の特性が異なり他の態様による強力な圧力シールが不可能な状況で、強力な圧力シールを形成することを可能にするため、有利である。さらに、2重壁部は、加圧ジャケット1010が加圧された場合の完全なシース再折り畳みおよび再潰縮を可能にするように、シースの最遠位端部に対して遠位の点にて接合されるかまたは終端することが可能である。シース管338、342、1008は、好ましくは、拡張器304または外方ジャケット1010の内部領域の加圧により移動されない場合にシース管の形状を制御する、中に組み込まれた可鍛性金属補強層をさらに備える。潰縮環状部1018の加圧は、シリンジまたはPTCA膨張デバイス等々を用いて、約1〜30気圧の範囲の、好ましくは約4〜6気圧の間の範囲の圧力にて、シースハブ潰縮ポート334内に注入される生理的食塩水、水、または放射線不透過性造影剤などの圧縮不能流体を使用して実施することが可能である。
【0106】
いくつかの実施形態においては、外方加圧ジャケット1010は、熱または圧力を利用してシース管338の外側に溶接することが可能である。シース管338および1008において使用するための材料は、一般的には、加圧ジャケット1010とシース管338および1008との間の熱溶接を最適化するように選択される。圧力は、内方マンドレルを覆って作製することにより、またはFEPまたはPTFE等々から作製された熱収縮バンドを介して熱を印加することにより、アセンブリに対して印加することが可能である。シース管1008と圧力ジャケット1010との間の遠位ボンドは、好ましくは、例えば約1mm〜10mm長の短さであり、強力で、耐久性を有し、可撓性を有する。シース管1008と外方ジャケット1010との間の遠位ボンドは、鋭角折曲による長期的な折り曲げ、滅菌、輸送、および保管(この保管および輸送はしばしば極度の高温または低温で行われる)の後に、定格圧力での漏れが無いことが必要となる。例示的な一実施形態においては、内方シース層が、約55Dの硬度および約0.001〜0.003インチの壁厚さを有するハイトレルから作製される一方で、折り畳み可能領域の外方層1008が、約40Dの硬度を有するハイトレルから作製され、約0.004〜0.010インチの壁厚さを有する。圧力ジャケット1010は、約0.0002〜0.0004インチの壁厚さを有するPETから作製することが可能である。いくつかの実施形態においては、内方シース層は、内方ハイトレル55D層の代わりに、またはそれに加えて、約0.0005〜0.002インチの壁厚さを有するPETから作製することが可能である。さらに別の実施形態においては、内方層は、ハイトレルであるが、約0.00025〜0.0003インチ厚さの非常に薄いPETからなる短層が、このハイトレルシースを遠位端部の付近において補強するために使用され、短PET補強層は、約0.5〜1.0cmの長さであり、補強層の遠位端部を覆う。
【0107】
図10Bは、図10Aの拡張器304により拡張され、その後に拡張器304が取り外された、シース302の遠位部分を図示する。シース遠位部分は、拡張可能領域340、移行区域342、近位管338、外方ジャケット1010、近位ジャケットボンド1020、および遠位ジャケットボンド1012を備える。外方ジャケット1010は、ほぼその最大径まで膨張され、それ以上には拡張しない。
【0108】
図10Cは、拡張器304(図10Aを参照)が取り外され、外方ジャケット1010と誘導シース1008との間の空間1018が加圧されて、誘導シース遠位チューブ1008が第3のラジアル方向潰縮構成へと潰縮された状態の、拡張可能なガイドカテーテルシース302の遠位端部を図示する。外方ジャケット1010とシース管1008との間の隙間1018が、この図においては視認可能である。移行区域342の内方管は、潰縮された遠位潰縮可能領域1008の比較的小さな直径までテーパ状となっている。
【0109】
外方ジャケット1010は、単一の層であることが可能であり、または遠位端部にてめくり返され得るか、外方ジャケット1010自体に接着式に接着され得るか、もしくは溶接され得る、2重層を備えることが可能である。2重層外方ジャケット1610は、非常に強力な結合を実現する、したがっておよび向上した膨張確実性を実現し、潰縮可能シース遠位管1008の遠位端部までほぼ全長にわたる、および潰縮可能シース遠位管1008の遠位端部を含む、潰縮可能シース管1008を完全に潰縮させる能力をもたらすという利点を有する。
【0110】
他の実施形態においては、拡張可能領域340は、拡張可能領域内に組み込まれた形状記憶補強部に対して熱を印加することにより、第3の比較的小さな断面構成へと再潰縮される。拡張可能領域340は、比較的小さな径へと均一に圧縮されるように作製することが可能であり、または長手方向に配設された折り目部に沿って折り畳まれるチューブが呈する任意の様々な断面パターンへと折り畳まれるように作製することが可能である。断面形状の均一な縮小がもたらされる実施形態においては、補強部は、径が縮小される際に長手方向に延在する編組体を備えることが可能である。拡張可能領域340のポリマー材料1008は、好ましくは弾性であり、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、およびシリコーンエラストマー等々(それらに限定されない)の材料を含む。拡張可能領域のルーメン(図示せず)の内方壁部は、有利には、高潤滑性および低摩擦性を有する層により被覆されて、このルーメン内におけるカテーテルまたはデバイスの停滞を伴わない誘導を促進する。
【0111】
図10Dは、潰縮ステップの完了後の拡張可能なガイドカテーテルシース302の遠位端部を図示する。図10Dにおいては、流体が、ギャップ1018から引かれており、したがって外方ジャケット1010が、緩められた状態になされ、少なくとも部分的に潰縮され、したがって患者からこの比較的小さな径のガイドカテーテルシース302を取り外すことが容易化されている。
【0112】
他の実施形態においては、外方圧力ジャケット1010は、接着されない圧力ジャケット1010の領域がシース管1008に沿って長手方向に配設されるように、接着剤または溶接によりシース外方表面に取り付けられる。圧力ジャケット1010とシース管1008との間の領域を加圧することにより、非接着領域のみが、拡張され、シース管1008を内方に偏向させることにより、中央領域においてはシース管1008から完全に取り外されるが端部の身において接合される圧力ジャケット1010の場合に可能となる断面よりも、さらに制御され、さらに小さな断面を形成する「U字型」断面を形成する。圧力ジャケット1010とシース管1008との間に位置する流体を排出することは、患者から除去に対してシース断面の最小化をもたらすため有利である。いくつかの実施形態においては、圧力ジャケット1010の非接着領域は、シースの外周部の約20%からシース外周部の約50%までの範囲であることが可能である。
【0113】
さらに他の実施形態においては、圧力ジャケット1010は、シース管1008の一方の側部に沿って長手方向に配設された側部バルーン(図示せず)を囲むことが可能であり、これにより、側部バルーンは、圧力下で膨張されることによって、側部バルーンに隣接する領域のみに沿ってシース管1008を潰縮させることが可能となる。側部バルーンの長さは、有利には、シースの拡張可能領域とほぼ同一である再潰縮領域よりもほぼ若干だけ長い。実質的に非従順性の圧力ジャケット1010は、実質的に非従順性の側部バルーンに対して対抗力を印加することにより、側部バルーンによって「U字型」断面部分がシース管内に「押し込まれる(punch)」のを可能にする役割を果たす。側部バルーンは、シース構造体が備えるルーメンまたは環状部によりシースの遠位端部付近にて再潰縮膨張ポートに対して作動自在に連絡され流体連通される。側部バルーンは、遠位シールを備えることが可能であり、またはシールもしくはボンドを全く要さない完全に閉鎖された端部を有して形成され得る。ここに参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる特許出願(ONSET.037)は、側部バルーンの複数の実施形態を示している。側部バルーンおよび圧力ジャケット1010は、圧力ジャケット1010において使用するために本明細書において開示される同一の材料から作製することが可能である。圧力ジャケット1010は、側部バルーンのための摩擦シールド、穿孔シールド、または損傷シールドとしての役割を果たすことが可能であり、したがってシステムの頑丈さを高める。側部バルーンは、本明細書において開示される部分的に接合された圧力ジャケット1010と同一の様式で再折り畳みまたは再潰縮を制御することが可能である。
【0114】
図11aは、拡張可能な誘導シースと共に使用するための潰縮栓塞子1100を図示する。潰縮栓塞子1100は、ある長さの栓塞子管1102と、排出ポート1112およびシーリングバルーン膨張ポート1114をさらに備えるハブ1122と、複数のバルーンボンド1110を有する近位シーリングバルーン1108と、複数のバルーンボンド1110を備える遠位シーリングバルーン1106と、複数の排出ベント1104と、内方バルーン排出領域1120とを備える。
【0115】
図11aを参照すると、シーリングバルーン1106および1108は、ポリウレタン、ラテックス、シリコーンエラストマー、および熱可塑性エラストマー等々(それらに限定されない)の材料から作製された、弾性バルーンであることが可能であり、またはポリオレフィン、照射ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリイミド、およびポリアミド等々(それらに限定されない)の材料から作製されたものなどの実質的に非弾性のバルーンであることが可能である。近位シーリングバルーン1108および遠位シーリングバルーン1106はそれぞれ、整合材料によりさらに被覆されることにより、膨張されたバルーン1108、1106と膨張されたシースチューブの内側壁部との間の封着を高めることが可能である。かかるコーティング(図示せず)は、本明細書に記載される弾性バルーンを作製するのに使用される同一の材料を含むことが可能である。コーティングは、ヒドロゲルまたは他のゲルタイプの物質をさらに含むことが可能である。
【0116】
栓塞子管1102は、複数ルーメン断面を有することが可能であり、または、バルーン1106、1108の内部に加圧流体を作動的に送ると共に、1つまたは複数のベント1104を介してバルーン間領域1120を空にするために、環状ルーメンが間に存在する内方チューブおよび外方チューブを有する環状構成を有することが可能である。ハブ1122上のバルーン加圧ポート1114は、ルーメンに対して、したがってシーリングバルーン1106、1108に対して、バルーン1106、1108の領域の下方の管壁部1102中の加圧ベントまたはスカイブ(skive)により作動自在に連絡することが可能である。排出ポート1112は、管1102内に別の別個のルーメンに対して作動自在に連絡することが可能であり、さらにこのルーメンは、管1102中に削がれるかまたは切削された1つまたは複数のベントポート1104に対して作動自在に連絡されて、外部環境に排出ルーメンを作動自在に連絡させる。
【0117】
図11Bは、移行区域管342および遠位シース管340をさらに備える直径方向に拡張された誘導シース内に挿入されており、次いで加圧されることにより2つのシーリングバルーン1108、1106を拡張させた、潰縮栓塞子1100を図示する。近位シーリングバルーン1108は、好ましくは、シースの近位拡張不能領域内に位置する一方で、遠位シーリングバルーン1106は、好ましくは、シースの遠位端部に可能な限り近くに位置し、それにより幾分かのシールを形成するが、シースの遠位端部の付近における最大量のシース潰縮を可能にする。このとき、バルーン間排出領域1120は、密閉ボリュームを画成し、密閉ボリュームの外方境界は、拡張されたシース遠位管340および移行区域342の内部表面である。
【0118】
図11Cは、2つのシーリングバルーン1106、1108が膨張され、シーシングバルーン1120同士の間で潰縮栓塞子1100の外部の領域が減圧されて、遠位拡張可能誘導シース管340をラジアル方向に潰縮させた状態の、誘導シース内の潰縮栓塞子1100を図示する。かかる収縮の後に、シーリングバルーン1106、1108は、収縮させることが可能であり、システムは、除去されるか、完全に拡張されるか、または全く潰縮されないシースよりも、比較的低い摩擦を伴って、および組織損傷の可能性が比較的低い状態で、患者から取り外される。シース管340の遠位最領域の一部分は、拡張されたシーリングバルーン1106が潰縮の際に配置された位置にて、拡張された状態に留まることに留意されたい。この短い長さの拡張されたシース管340は、より長い長さの拡張されたシース管340よりも除去が容易であり、除去に際して損傷がより低い。シーリングバルーン1108は、その近位端部が、移行区域342または近位潰縮不能シース管338の中に位置し、これら移行区域342または近位潰縮不能シース管338は、患者の非常に蛇行した血管系の外部に位置するため、このことは、シースの除去に対して影響を及ぼさない。遠位シーリングバルーン1106は、最小で約0.100インチのシールで機能することが可能である。部分真空が、排出ポート1112により排出領域1120内に引かれて、外方シース管340を潰縮させる。
【0119】
図12Aは、シース302の遠位潰縮可能領域340の形状を制御するように構成された再折り畳み栓塞子すなわち成形栓塞子1200を側面図において示す。再折り畳み栓塞子1200は、圧力下における再潰縮が実質的に制御されるように、再潰縮の前にシース302内に再挿入されるように構成される。成形栓塞子1200は、ハンドル1210、実質的に円形の断面を有する近位部分1212、遠位成形領域1214、およびノーズコーン1216を備える。円形近位部分1212は、有利にはシースハブ332内の、またはシースハブ332に連絡される止血弁内において封着するように構成される。ハンドル1210は、操作者により手で把持されるように構成される。成形栓塞子1200は、好ましくは、シース302内において屈曲するが、再潰縮時に幾分かの形状を保持することにより、シース遠位領域340の形成を補助することが可能である、可撓性材料から作製される。成形栓塞子1200は、単一の一体構造体であることが可能であり、または複数の構成要素が相互に取り付けられてもよい。成形栓塞子1200は、ステンレス鋼、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンエラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリウレタン、およびポリアセタール等々(それらに限定されない)の材料から作製することが可能である。再折り畳み栓塞子1200は、少なくとも部分的に中実または中空の構成であることが可能である。成形栓塞子1200は、成形領域1214において、十字型(図示するような)、3翼プロペラ型、U字型、W字型、およびV字型等々(それらに限定されない)の様々な断面形状を有することが可能である。成形栓塞子1200は、再潰縮の前にシース302内から再除去可能およびシース302内に再挿入可能なように構成される。成形栓塞子1200は、約.020〜.060インチの直径を有するガイドワイヤルーメン(図示せず)をさらに備える。成形栓塞子1200は、潰縮栓塞子すなわち再折り畳み栓塞子とも呼ぶことが可能である。成形栓塞子1200は、再潰縮の後に、遠位潰縮可能領域304に大型の剛性翼部が形成されるのを防止するように補助することが可能である。
【0120】
図12Bは、三叉プロファイルを有する成形栓塞子すなわち再折り畳み栓塞子1200の成形領域1214’の別の実施形態の断面図を示す。
【0121】
図12Cは、外側に開いたU字型構成を有する成形栓塞子すなわち潰縮栓塞子1200’’の成形領域1214’の別の実施形態の断面図を示す。
【0122】
本明細書において開示される血管アクセスシースは、はるか脳血管内にまで到達する点において利点を有する。同様の構成および同様のサイズのシースもまた、脚の膝窩動脈、腕の動脈、または人体器官にもしくは人体器官から通ずる脈管へのアクセスなどの末梢動脈カテーテル留置に有用である。これらはまた、冠状動脈などの心臓の血管へのアクセスにも有用である。かかるシースは、橈骨動脈へのアクセスにおいて用いるために変更することも可能である腕の橈骨動脈は、カテーテルが移動を要する距離が短縮され、いくつかの場合においてはアプローチを向上させるので、心臓へのまたは脳血管へのアクセスにとって有用である。橈骨動脈アクセスシースは、有利には、いくつかの実施形態においてはシースの遠位端部から近位端部までのほぼ全長に及ぶはるかに長い拡張可能(および潰縮可能)領域を備えることが可能である。橈骨動脈シース、冠状動脈シース、および末梢シースは、約3フレンチ〜約6フレンチの潰縮された外方プロファイルを有するように構成することが可能であり、さらに用途に応じて約6フレンチ〜約13フレンチの外径まで拡張するように構成することが可能である。橈骨動脈の直径は小さいため、シースの潰縮性は、他の場合であればその完全な作動直径まで拡張された後では動脈内に拘束されるであろうシースの除去において有利となる。
【0123】
さらに、本発明のいくつかの目的および利点は、本発明および先行技術を上回り達成される利点を開示することを目的として上述した点に留意されたい。当然ながら、必ずしも全てのこれらのような目的または利点が、本発明の任意の特定の実施形態により実現され得るわけではないことを理解すべきである。したがって、例えば、本発明は、本明細書において教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも実現せずとも、本明細書において教示するような1つの利点または利点群を実現または最適化するように具現化または実施し得ることが、当業者には理解されよう。
【0124】
さらに、特定の好ましい実施形態および例の場合において本発明を開示したが、本発明は、具体的に開示した実施形態を越えて、本発明の他の代替的な実施形態および/または使用、ならびにそれらの自明な変形形態および均等物にまで及ぶことが、当業者には理解されよう。さらに、本発明の複数の変形形態を詳細に示し説明したが、本発明の範囲内に含まれる他の修正形態が、本開示に基づき当業者には容易に明らかになろう。例えば、これらの実施形態の特定の特徴および態様の様々な組合せおよび下位組合せを行うことができ、それらが依然として本発明の範囲内に含まれ得ることが予期される。したがって、開示された実施形態の様々な特徴および態様が、相互に組み合わされるかまたは相互に代用されることによって、開示する本発明の様々な態様を形成することが可能であることを理解されたい。したがって、本明細書において開示する本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読解することによってのみ決定されるべきであると意図される。
優先権主張
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2009年9月11日出願の米国仮出願第61/241,740号の優先権を主張するものであり、当該出願の全内容が、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【図1】

【図2】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図5A】

【図5B】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9A】

【図9B】

【図10A】

【図10B】

【図10C】

【図10D】

【図11A】

【図11B】

【図11C】

【図12A】

【図12B】

【図12C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸骨位置または大腿位置から通ずる大動脈通路を介して患者の脳血管へのアクセスを実現するためのガイドカテーテルであって、
遠位部分、近位部分、および前記遠位部分と前記近位部分との間に延在するルーメンを有する軸方向に長いシースチューブであり、前記近位部分は、前記患者から外に延出するようになされ、前記遠位部分は、少なくとも前記患者の頸動脈まで延在するようになされ、前記シースは、可鍛性補強構造体を備える少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域を備え、前記可鍛性補強構造体は、前記少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域を、前記少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域が縮小された断面プロファイルへと長手方向に折り畳まれる第1の断面構成に維持するように構成され、前記少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域は、前記少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域が比較的大きな断面プロファイルへと開かれる第2の断面構成へと拡張され得る、シースチューブと、
近位端部が前記シースチューブに結合されるハブと
を備え、
前記可鍛性補強構造体は、拡張前および拡張後に、前記直径方向に拡張可能な領域の構造的構成を制御する、ガイドカテーテル。
【請求項2】
前記第1の断面構成において、前記少なくとも1つの直径方向に拡張可能な領域は、前記第2の断面構成における場合よりも長手方向においてより高い可撓性を有する、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項3】
前記シースチューブのルーメン内に予め配置される拡張器をさらに備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項4】
ねじれ抵抗およびトルク伝達性を与えるために前記シースチューブの近位端部内に編組補強部材をさらに備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項5】
前記拡張可能な領域は、弾性または半弾性の壁部を備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項6】
前記拡張可能な領域は、内部編組体でさらに補強された弾性または半弾性の壁部を備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項7】
前記患者からの過度の失血を防ぐために、前記ハブに取り付けられた止血弁をさらに備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項8】
収縮され、折り畳まれ、前記シースチューブのルーメン内に予め挿入されるバルーン拡張器をさらに備え、前記バルーン拡張器は、前記拡張可能な領域の少なくとも全長部分に沿って配設された膨張不能な高圧バルーンを備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項9】
前記拡張可能なガイドカテーテルの長さが、大腿動脈中の挿入点からウィリス動脈輪内の領域までまたはそれを越えるまでの距離に及ぶのに十分な長さである、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項10】
前記拡張可能な領域は、約4フレンチ以下の第1の比較的小さな外径から約5フレンチ以上の第2の比較的大きな外径へと拡張する、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項11】
前記拡張可能な領域内にニチノール補強要素をさらに備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項12】
前記ニチノール補強要素は、前記拡張可能な領域を直径方向に拡張させるように付勢される、請求項11に記載のガイドカテーテル。
【請求項13】
前記ニチノール補強要素は、前記拡張可能な領域を直径方向に潰縮させるように付勢される、請求項11に記載のガイドカテーテル。
【請求項14】
前記ニチノール要素は、ほぼ体温にて完全に発動して前記拡張可能な領域を拡張させる形状記憶特性を有する、請求項11に記載のガイドカテーテル。
【請求項15】
前記ニチノール要素は、体温を超える温度にて完全に作動されて前記拡張可能な領域を拡張させるかまたは前記拡張可能な領域を潰縮させる形状記憶要素を備える、請求項11に記載のガイドカテーテル。
【請求項16】
前記可鍛性補強構造体は、コイル状に巻かれた平型ワイヤを備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項17】
前記近位部分は、ばね硬度ステンレス鋼(spring hardness stainless steel)から作製されたコイル補強体を備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項18】
前記近位部分は、ポリマー包囲体内に組み込まれたコイルおよび編組補強体の両方を備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項19】
前記シースの前記近位端部に取り付けられ、前記ガイドカテーテルの前記ルーメンに作動自在に連絡される、パージポートをさらに備え、前記パージポートは、閉鎖された場合に前記ルーメンからの流体の損失または空気の進入を防ぐ弁を備える、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項20】
前記直径方向に拡張可能な領域は、2つのポリマー層間に組み込まれた可鍛性補強構造体を備え、さらに、前記可鍛性補強構造体は、前記シースが第1の断面構成から第2の断面構成へと拡張された場合に、前記2つのポリマー層に対して実質的に移動しない、請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項21】
患者の脳血管のある領域にアクセスするようになされた拡張可能な誘導シースであって、
近位端部、遠位端部、ならびに前記遠位端部および前記近位端部を貫通して延在するルーメンを有する軸方向に長いシースチューブであり、前記シースチューブは、潰縮可能な領域を備え、さらに、前記シースの作動長さが、前記シースチューブが患者の外部から経皮アクセスを介して大腿動脈または腸骨動脈まで、および大動脈を介して頸動脈、椎骨動脈、またはさらに遠位の血管内に位置する点まで延在することが可能となるのに十分な長さである、シースチューブと、
前記軸方向に長いシースチューブの前記近位端部に取り付けられるハブであり、前記シースを貫通して延在する前記ルーメンに作動自在に連絡された止血弁をさらに備える、ハブと、
前記軸方向に長いシースチューブ内の前記ルーメン内に予め挿入される拡張器であり、ある長さの拡張器管、バルーン膨張ポートおよびガイドワイヤアクセスポートを備えるハブ、ならびに非従順性バルーンを備え、前記ガイドワイヤアクセスポートは、止血弁をさらに備え、前記非従順性バルーンは、前記拡張器管の周囲にて収縮され折り畳まれて、最小プロファイルを形成する、拡張器と
を備え、
前記拡張器は、第1のラジアル方向に潰縮された断面積から第2の比較的大きなラジアル方向に拡張された断面積へと前記シース潰縮可能領域を拡張させるように作動可能である、誘導シース。
【請求項22】
前記潰縮可能な領域は、ポリマー包囲体内に組み込まれた可鍛性補強体を備える、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項23】
前記潰縮可能な領域は、前記シースチューブの前記遠位端部から約15〜40センチメートルだけ延在する、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項24】
前記軸方向に長いシースチューブ内の近位潰縮不能領域に組み込まれた編組弾性補強体をさらに備える、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項25】
前記潰縮可能な領域が第2の比較的大きな断面積へと拡張した後に、前記シースの前記潰縮可能な領域を第3の比較的小さな断面積へと再潰縮させるように作動可能な構造体をさらに備える、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項26】
前記潰縮可能な領域の断面積が、約2フレンチ〜4フレンチの潰縮外径を有する、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項27】
前記拡張された潰縮可能な領域のルーメンが、約1フレンチ〜約7フレンチの範囲のサイズの物体を通過させることが可能である、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項28】
前記潰縮可能な領域の近位端部の近位の位置および前記潰縮可能な領域の遠位端部の付近の位置を除いて前記軸方向に長いチューブの内方層から分離された、外方の実質的に膨張不能な層をさらに備え、前記外方層から前記内方層を分離させる隙間を加圧することにより、拡張後の前記潰縮可能な領域の内方向変形、潰縮、または断面積縮小がなされる、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項29】
前記潰縮可能な領域の前記シースの前記内方層を覆って配設された二重外方ジャケット層をさらに備え、前記二重層は、隙間により分離されるが、前記潰縮可能な領域の前記近位端部の近位の位置および前記潰縮可能な領域の前記遠位端部の遠位の位置にて一体的に接合および封着され、さらに、前記二重層間の領域を加圧することにより、前記二重層の最内部分が直径方向に潰縮され、それにより前記潰縮領域の前記シース内方層が潰縮される、請求項21に記載の誘導シース。
【請求項30】
大腿動脈アクセスまたは腸骨動脈アクセスにより患者の脳血管内にカテーテルを案内するようになされた誘導シースであって、
近位端部、遠位端部、および前記近位端部および前記遠位端部を貫通して延在する主要ルーメンを有する軸方向に長いシースチューブであり、前記軸方向に長いシースチューブは、その長さの一部分に沿って前記シースチューブの前記遠位端部まで延在する潰縮可能な領域を備え、さらに、前記潰縮可能な領域は、拡張前には第1の比較的小さな断面を有し、拡張後には第2の比較的大きな断面を有し、再潰縮後には第3の比較的小さな断面を有する、シースチューブと、
前記シースチューブの前記主要ルーメン内に配設される取外し可能な拡張器であり、前記拡張器の近位端部の外部のソースからの加圧に応じて潰縮された領域を拡張させるように構成される、拡張器と、
前記シースの近位端部および遠位端部の付近にて封着される外方シースジャケットであり、前記近位端部封着部と前記遠位端部封着部との間においては前記シースに対して封着されない、外方シースジャケットと、
前記シースと前記外方ジャケット層との間に加圧流体を導入するための膨張ルーメンであり、前記誘導シースの前記近位端部の付近に加圧ポートに作動自在に結合される、膨張ルーメンと
を備え、
前記シースと前記外方ジャケット層との間の領域を加圧することにより、内方向圧力を加えて、前記第2の比較的大きな断面積から前記第3の比較的小さな断面積に前記シースの前記潰縮可能な領域を潰縮させる、誘導シース。
【請求項31】
前記外方シースジャケットは、実質的に非従順性の材料を含む、請求項30に記載の誘導シース。
【請求項32】
前記外方シースジャケットは、実質的に半従順性の材料を含む、請求項30に記載の誘導シース。
【請求項33】
前記外方シースジャケットは、部分的に非従順性の材料を含む、請求項30に記載の誘導シース。
【請求項34】
前記外方シースジャケットは、実質的に非従順性の材料および半従順性の材料の組合せを含む、請求項30に記載の誘導シース。
【請求項35】
前記外方シースジャケットと前記シースとの間の領域の加圧または膨張により、不均一な直径方向外方プロファイルが生じる、請求項30に記載の誘導シース。
【請求項36】
前記不均一な直径方向外方プロファイルは、体腔、組織管(tissue tract)、または空洞内にデバイス固定するようになされる、請求項35に記載の誘導シース。
【請求項37】
前記外方シースジャケットは、加圧された場合に、内方向圧力を加えて前記潰縮可能な領域に規定の潰縮された構成を形成するように、前記シースに取り付けられる、請求項35に記載の誘導シース。
【請求項38】
前記外方シースジャケットは、負圧が前記外方シースジャケットと前記シースとの間の空間内に印加されるのに応じて、先に潰縮されたシースの周囲において潰縮可能である、請求項35に記載の誘導シース。
【請求項39】
前記外方シースジャケットは、前記潰縮可能な領域において前記シースを所定の潰縮プロファイルへと潰縮させる、請求項35に記載の誘導シース。
【請求項40】
前記潰縮可能な領域の再潰縮前に前記軸方向に長いシースチューブの前記主要ルーメン内に挿入される再折り畳み栓塞子をさらに備え、前記再折り畳み栓塞子は、前記潰縮可能な領域を所定の断面構成に再潰縮させるのを容易にする形状を有する、請求項35に記載の誘導シース。
【請求項41】
前記再折り畳み栓塞子は、中実で可撓性の事前成形されたロッドを備える、請求項40に記載の栓塞子。
【請求項42】
前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に三つ折りパターンを生じさせる断面形状を有する、請求項40に記載の再折り畳み栓塞子。
【請求項43】
前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に螺旋パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項40に記載の再折り畳み栓塞子。
【請求項44】
前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に十字型パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項40に記載の再折り畳み栓塞子。
【請求項45】
前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に「C字型」または「U字型」の断面パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項40に記載の再折り畳み栓塞子。
【請求項46】
前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に「W字型」断面パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項40に記載の再折り畳み栓塞子。
【請求項47】
大腿動脈アクセスまたは腸骨動脈アクセスにより患者の脳血管内にマイクロカテーテルを案内するようになされた拡張可能なガイドカテーテルであって、
近位端部、遠位端部、ならびに前記近位端部および前記遠位端部を貫通して延在する主要ルーメンを有する軸方向に長いシースチューブであり、前記軸方向に長いシースチューブは、その長さの一部分に沿って前記シースチューブの遠位端部まで延在する潰縮可能な領域を備え、さらに、前記潰縮可能な領域は、拡張前には第1の比較的小さな断面を有し、拡張後には第2の比較的大きな断面を有し、再潰縮後には第3の比較的小さな断面を有し、前記潰縮可能な領域は、シースチューブポリマー層同士の中に挟まれた可鍛性補強体を備える、シースチューブと、
前記シースチューブの前記主要ルーメン内に配設された取外し可能な拡張器であり、前記拡張器の近位端部の外部のソースからの加圧に応じて潰縮された領域を拡張させるように構成される、拡張器と、
2つの層を備える外方シースジャケットであり、内方ジャケット層および外方ジャケット層が、前記シースの近位端部および遠位端部の付近の位置にて互いに封着され、前記内方ジャケット層および前記外方ジャケット層の近位部分が、前記内方ジャケット層と前記外方ジャケット層との間に加圧流体を導入するために膨張ルーメンに作動自在に連絡される、外方シースジャケットと
を備え、
前記内方ジャケット層と前記外方ジャケット層との間の領域を加圧することにより、内方向圧力を加えて、前記第2の比較的大きな断面積から前記第3の比較的小さな断面積に前記シースの前記潰縮可能な領域を潰縮させる、拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項48】
前記外方シースジャケット層は、実質的に非従順性の材料を含む、請求項47に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項49】
前記外方シースジャケット層は、実質的に半従順性の材料を含む、請求項47に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項50】
前記外方シースジャケット層は、部分的に非従順性の材料を含む、請求項47に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項51】
前記外方シースジャケット層は、実質的に非従順性の材料および半従順性の材料の組合せを含む、請求項50に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項52】
前記外方シースジャケット層と前記内方シースジャケット層との間の領域を加圧または膨張させることにより、不均一な直径方向外方プロファイルが生じる、請求項51に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項53】
前記不均一な直径方向外方プロファイルは、体腔、組織管、または空洞内にデバイス固定するようになされる、請求項52に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項54】
前記外方シースジャケット層および前記内方シースジャケット層は、加圧された場合に、内方向圧力を加えて前記潰縮可能な領域に規定の潰縮された構成を形成するように、前記シースに取り付けられる、請求項52に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項55】
前記内方シースジャケット層は、内方ポリマーシース層に少なくとも部分的に取り付けられる、請求項52に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項56】
前記外方シースジャケット層は、負圧が前記外方シースジャケットと前記シースとの間の空間内に印加されるのに応じて、先に潰縮されたシースの周囲において潰縮可能である、請求項52に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項57】
前記外方シースジャケットは、前記潰縮可能な領域において前記内方層を所定の潰縮プロファイルへと潰縮させる、請求項52に記載の誘導シース。
【請求項58】
前記潰縮可能な領域の再潰縮前に前記軸方向に長いシースチューブの前記主要ルーメン内に挿入される成形された栓塞子をさらに備え、前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域を折り畳み構成に再潰縮させるのを容易にする断面を有する、請求項52に記載の拡張可能なガイドカテーテル。
【請求項59】
前記成形された栓塞子は、中実で可撓性の事前成形されたロッドを備える、請求項58に記載の栓塞子。
【請求項60】
前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に三つ折りパターンを生じさせる断面形状を有する、請求項58に記載の栓塞子。
【請求項61】
前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に螺旋パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項60に記載の栓塞子。
【請求項62】
前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に十字型パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項60に記載の栓塞子。
【請求項63】
前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に「C字型」または「U字型」の断面パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項60に記載の栓塞子。
【請求項64】
前記成形された栓塞子は、前記潰縮可能な領域が再潰縮する際に、前記潰縮可能な領域に「W字型」断面パターンを生じさせる断面形状を有する、請求項60に記載の栓塞子。
【請求項65】
大腿動脈または腸骨動脈を経由して患者の神経血管内の体腔または空洞にアクセスするようになされた誘導シースであって、
近位端部、遠位端部、ならびに前記近位端部および前記遠位端部を貫通して延在するルーメンを有する軸方向に長いシースチューブであり、前記シースチューブは、潰縮可能な領域を備え、さらに、前記シースの作動長さが、前記シースチューブが患者の外部から経皮アクセスを介して大腿動脈または腸骨動脈まで、および大動脈を介して頸動脈、ウィリス動脈輪、またはウィリス動脈輪の遠位の血管内に位置する点まで延在することが可能となるのに十分な長さであり、さらに、前記潰縮可能な領域は、第1の比較的小さな断面積および膨張に応じて第2の比較的大きな断面積を有する、シースチューブと、
前記軸方向に長いシースチューブの前記近位端部に取り付けられるハブであり、前記シースを貫通して延在する前記ルーメンに作動自在に連絡された止血弁をさらに備える、ハブと、
前記軸方向に長いシースチューブ内の前記ルーメン内に予め挿入される拡張器であり、ある長さの拡張器管、バルーン膨張ポートおよびガイドワイヤアクセスポートを備えるハブ、ならびに非従順性バルーンを備え、前記ガイドワイヤアクセスポートは、止血弁をさらに備え、前記非従順性バルーンは、前記拡張器管の周囲にて収縮され折り畳まれて、最小プロファイルを形成する、拡張器と、
前記拡張可能な領域が拡張し前記拡張器が取り外された後に、前記軸方向に長いシースチューブの前記ルーメン内に取外し自在に配置可能なリバース拡張器であり、前記リバース拡張器は、近位バルーン、遠位バルーン、前記近位バルーンおよび前記遠位バルーンのための膨張ルーメンをさらに備えるリバース拡張器チューブ、前記リバース拡張器チューブ内に真空ポートにより前記2つのバルーン間の領域に作動自在に連絡される真空ルーメン、ならびに前記リバース拡張器の近位端部に取り付けられるハブを備え、前記リバース拡張器の前記近位端部は、前記リバース拡張器の前記膨張ルーメン内に加圧流体を注入または除去するための、および前記近位バルーンと前記遠位バルーンとの間に真空を生じさせるためのポートをさらに備える、リバース拡張器と
を備え、
前記拡張器は、第1のラジアル方向潰縮断面積から第2の比較的大きなラジアル方向拡張断面積へと前記シース拡張可能領域を拡張させるように作動可能であり、
さらに、前記リバース拡張器は、前記シース管の前記ルーメンに対して封着するように拡張される近位バルーンおよび遠位バルーンを有するように構成されて、前記リバース拡張器の前記近位バルーンと前記遠位バルーンとの間に引かれる真空により、前記第2の比較的大きな断面積から第3の比較的小さな断面積へと前記シースの前記潰縮可能な部分を再潰縮させる、誘導シース。
【請求項66】
前記拡張器は、取外し不能であり、前記軸方向に長いシースチューブの内部と一体である、請求項65に記載の装置。

【公表番号】特表2013−504388(P2013−504388A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528947(P2012−528947)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/048524
【国際公開番号】WO2011/032038
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(507075521)オンセット メディカル コーポレイション (6)
【氏名又は名称原語表記】ONSET MEDICAL CORPORATION
【Fターム(参考)】