説明

拡張用ダイ及び容器成形方法

【課題】拡張された直径部を有する飲料容器の製造において、インラインプロセスに容易に組み込むことができ、より経済的な方法を提供する。
【解決手段】金属容器を製造するための拡張用ダイ5は、徐々に拡張する部分15及びランド部20を含む作用面10と、作用面10のランド部20に続くアンダーカット部25とを有している。成形された容器を製造するプロセスは、第1の直径を有する容器ストックを準備すること、少なくとも1つの拡張用ダイ5を用いて、容器ストックの少なくとも一部を第2の直径に拡大すること、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成することを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料容器を成形する拡張用ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトドリンク又はビール用の飲料缶は種々あるが、一般的には、絞りとしごき加工(drawn and iron)技術によって形成され(DI缶)、缶胴(又は側壁部)及び缶底は、アルミニウム合金シート又は表面処理されたスチールシート等の金属シートを絞りとしごき加工することによって一体に形成される。
【0003】
産業界において、これらの飲料缶は略同一形状となるように、相対的経済的に大量に製造される。容器は略同一の形状に製造されるので、それらの外観からは、互いの識別又は区別を的確に行うことができない。飲料缶は相対的経済的に大量生産されるので、飲料メーカーの間では、製品を区別するのに有用な固有の形状を有する経済的な飲料容器に対する強い要望がある。
【0004】
飲料メーカーの要望を満足させるために、これまでにも、多くの容器製造者が、容器製造技術に改良を加えた、容器本体の再成形プロセスを数多く提案している。直径が拡大された容器本体を作る再成形プロセスの一例として、モールディング技術に組み合わせて、容器本体の内部に拡張媒体(expansion medium)を配備する方法がある。拡張媒体は、容器の所望形状に対応する形状のモールド表面に抗して、容器本体をその内部から径方向に拡大させるものである。拡張媒体として、圧縮空気又は窒素、非圧縮性液体があり、又は径方向に作動するフィンガーによって供給されることもできる。
【0005】
モールディング技術による容器本体の再成形(reshaping)又は拡張(expansion)には幾つもの不利な点がある。具体的に述べると、容器本体のモールディングは、製造時間の増加を招くので、飲料容器の製造に関連する費用が増加する。モールディングは、インラインプロセスの中に組み込むことが容易ではないので、絞りとしごき加工を用いる容器本体形成工程では、インラインプロセスから分離して行わなければならない。
【0006】
さらなる不利な点は、モールディングを行なうときの拡張の程度は実質的に制限されることである。特に、絞りとしごき加工は過酷な金属加工を受けるので、適当な延性を保持することができず、所望効果をもたらす特徴的な外形を得ようとすると、缶つまり金属の破壊を生ずる。一実施例において、アルミニウムの容器本体は肉厚が約0.1016mm(0.0040”)のオーダであり、1回のモールディングステップでは、径方向に拡大できるのは、容器本体の元の直径の最大10%にすぎない。
【0007】
上記に鑑み、拡張された直径部を有する飲料容器の製造において、インラインプロセスに容易に組み込むことができ、より経済的な方法が要請されている。
【発明の概要】
【0008】
包括的には、本発明は、側壁に拡大された直径部を少なくとも有し、拡大された直径部を少なくとも1つの拡張用ダイ(expansion die)によって成形する容器の製造方法に関するものである。
【0009】
本発明の方法は、
第1の直径を有する容器ストック(container stock)を準備するステップ、
少なくとも1つの拡張用ダイを用いて、容器ストックの少なくとも一部を第2の直径に拡張するステップ、
容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成するステップ、を含んでいる。
【0010】
拡張用ダイは、容器ストックの開口端へ挿入可能であり、拡張用ダイの作用面は、拡張用ダイの中心線から離れる方向に徐々に(progressively)延びている。拡張用ダイが容器ストックの開口端に挿入されていくにつれて、拡張用ダイの作用面により、容器ストックの側壁は径方向に変形して、拡張された直径部が形成される。
【0011】
本発明の方法は、一実施例において、拡張するステップの後、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成するステップの前に、少なくとも1つのネッキングダイを用いて、容器ストックを第3の直径にネッキングするステップをさらに含むことができる。
【0012】
本発明の方法は、一実施例において、容器ストックがネッキングダイ及び/又は拡張用ダイの中へ移動する距離を調節するステップをさらに含むことができ、容器の拡大された部分と容器のネッキングされた部分との間の移行部が最小となるか、又は容器の拡大された部分と容器のネッキングされた部分との間で直径が略一様な長い移行部が形成されるようにする。
【0013】
本発明の他の態様では、径方向に拡大された直径を有する金属容器を製造する拡張用ダイを提供するものである。拡張用ダイは、徐々に拡張する部分及びランド部を有する作用面を含み、作用面のランド部に続いてアンダーカット部がある。作用面の初期部は、容器本体の側壁において、元の直径部から拡大された直径部への移行部を形成する形状である。
【0014】
本発明の他の態様では、径方向に拡大された直径部を少なくとも1つ有する形状に成形された容器を作成する上記拡張用ダイを含むダイシステムを提供するものである。
【0015】
前記ダイシステムは、
容器ストックの直径を拡大して、元の容器ストックの直径から容器ストックの拡大された部分に移行する移行部の外形を画定できるように構成された作用面を有する第1の拡張用ダイと、
容器ストックの直径を徐々に拡大する少なくとも1つの拡張用ダイと、を含んでおり、
少なくとも1つの徐々に拡大する拡張用ダイにおける一連の各拡張用ダイは、容器ストックの直径を拡大させる程度が、第1の拡張用ダイと等しいか又は第1の拡張用ダイよりも小さいか若しくは大きくなるように構成された作用面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の詳細な説明は、例示であって、発明を限定するものでなく、添付の図面を参照することによって最も良く理解されるであろう。なお、同様な要素及び部品については、同じ引用符号を付している。
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明に係る拡張用ダイの一実施例の側部断面図である。
【図1B】図1Bは、本発明に係る拡張用ダイの他の実施例の側部断面図である。
【図1C】図1Cは、本発明に係る拡張用ダイの他の実施例の側部断面図である。
【図1D】図1Dは、図1A、1B及び1Cに示されるアンダーカットの拡大断面図である。
【0018】
【図2A】図2Aは、内径52.5526mm(2.069")の飲料缶(飲料容器)で、本発明に係る方法を用いて、211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大された部分を少なくとも有する飲料缶の幾つかの実施例を図示したものである。
【図2B】図2Bは、内径52.5526mm(2.069")の飲料缶(飲料容器)で、本発明に係る方法を用いて、211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大された部分を少なくとも有する飲料缶の幾つかの実施例を図示したものである。
【図2C】図2Cは、内径52.5526mm(2.069")の飲料缶(飲料容器)で、本発明に係る方法を用いて、211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大された部分を少なくとも有する飲料缶の幾つかの実施例を図示したものである。
【0019】
【図3】図3は、211飲料缶(飲料容器)で、本発明に係る方法を用いて、内径が52.5526mm(2.069")から72.644mm(2.860")よりも大きな内径に拡大された部分を少なくとも有するする飲料缶の幾つかの実施例を図示したものである。
【0020】
【図4】図4は、本発明に用いられたネッキングダイの側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<好ましい実施例の詳細な説明>
図1A〜1Dは、拡張用ダイ(5)を示しており、これは、少なくとも1つの拡張された部分を有する飲料容器の成形に用いられ、ここで、飲料容器の直径は径方向に拡大される。成形された飲料容器の形状は、好ましくは、飲料缶の形態や、飲料ボトルの形態であるが、その他の形状も本発明の範囲内である。飲料容器は、好ましくは金属から形成され、より好ましくは、アルミニウム協会(Aluminum Association (AA))の3104等のアルミニウム合金から形成される。
【0022】
本発明の拡張用ダイ(5)は、徐々に拡張する部分(15)及びランド部(20)を含む作用面(10)と、作用面(10)のランド部(20)から続くアンダーカット部(25)と、を有している。作用面(10)の初期部(30)は、容器の側壁を、元の直径部から拡大された直径部に移行する移行部を形成できる形状を有している。
【0023】
拡張用ダイ(5)の一実施例を図1Aに示しており、作用面(10)の初期部(30)の角度は、容器の元の直径部と容器側壁の拡張された部分との間に、容器の直径が径方向に大きくなる移行部が滑らかに形成されるように設定される。滑らかな移行部を有する飲料容器の例は、図2Aの、A、B、C、D及びEに示されており、内径52.5526mm(2.069")の飲料缶(飲料容器)で、内径66.1162mm(2.603")の211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大された部分を少なくとも有する飲料缶の幾つかの例が示されている。この明細書において、「滑らかな移行部(smooth transition)」という語は、直径が徐々に増加することを意味する。好ましい一実施例において、滑らかな移行部を形成する作用面(10)を有する拡張用ダイ(5)は、ピルスナーグラスと同様な形状を有する容器を作るのに用いられる。
【0024】
拡張用ダイ(5)の他の実施例を図1B及び1Cに示しており、作用面(10)の初期部(30)の曲率は、容器の元の直径部と容器の拡張された部分との間で、容器の直径が径方向に大きくなる移行部がより鋭く又は段階的に形成されるように設定される。一実施例において、作用面(10)の初期部(30)の曲率は、単一半径R1によって規定される。他の実施例において、作用面(10)の初期部(30)の曲率は、側壁に鋭い移行部又は段階状移行部を有する所望の拡張部が作成されるように、2つの対向半径R2、R3によって規定されることもできる。鋭い移行部又は段階状移行部を有する飲料容器の例は、図2BのG、H、I及びJ、並びに図2CのL、M及びNに示されており、内径52.5526mm(2.069")の飲料缶(飲料容器)で、内径66.1162mm(2.603")の211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大された部分を少なくとも有する飲料缶の幾つかの例が示されている。この明細書において、「鋭い移行部(pronounced transition)又は段階状移行部(stepped transition)」という語は、直径がより急激に増加することを意味し、容器の側壁にリップル効果を及ぼすことも含まれる。
【0025】
拡張用ダイ(5)の作用面(10)は、徐々に拡張する部分(15)をさらに含んでおり、初期部(30)を含むこともできる。徐々に拡張する部分(15)は、缶ストックの開口端に挿入されたとき、缶ストックが作用面(10)に沿って進むにつれて缶ストックの直径を径方向に徐々に拡大させるように缶ストックの側壁に作用する寸法及び形状を有している。拡張の程度は、容器の拡張された部分で所望される最終直径に依存する他、拡張された部分を形成するのに用いられる拡張用ダイの数に依存し、また、缶ストックの材料及び肉厚に依存する。一実施例において、作用面(10)は、ノックアウト等の構造部材がなくても、適当な拡張及び成形作業を行うことができる。
【0026】
拡張用ダイ(5)の作用面(10)には、徐々に拡張する部分(15)の後にランド部(20)がある。ランド部(20)は、拡張用ダイ(15)によって形成される容器の拡径部の最終直径を定める寸法及び形状を有している。一実施例において、ランド部(20)は、ネッキング方向に沿って、12.7mm(0.5")よりも小さく、好ましくは約3.175mm(0.125")のオーダの距離L1だけ拡張するものでよい。なお、ランド部(20)の寸法は例示としてのみ記載したものであり、発明を限定するものではなく、他の寸法を採用することも開示の範囲内であることは理解されるべきである。
【0027】
作用面(10)は、ポリッシュ面又は非ポリッシュ面のどちらでもよい。一実施例において、ポリッシュされた表面の仕上げは、平均表面粗さ(Ra)0.0508μm(2μインチ)〜0.1524μm(6μインチ)である。一実施例において、非ポリッシュの表面(10)は、容器ストックの内面に沿って設けられる製品側部コーティングを有意に損なうものでない限り、表面の平均表面粗さ(Ra)は、0.2032μm(8μインチ)以上で0.8128μm(32μインチ)以下であってよい。
【0028】
ランド部(20)に続いてアンダーカット部(25)がある。アンダーカット部(25)は、容器ストックが、作用面(10)の徐々に拡張する部分(15)及びランド部(20)によって加工されたとき、容器ストックと拡張用ダイ(5)との摩擦接触を低減できる形状である。図1Dは、本発明に係るアンダーカット部(25)の一実施例の端部を拡大して示す図である。摩擦接触の低下により、破壊発生が最少になり、拡張プロセス中における容器ストックのストリッピングが改善される。好ましい実施例において、アンダーカット部(25)は、非ポリッシュの表面であり、その平均表面粗さ(Ra)が0.2032μm(8μインチ)以上で0.8128μm(32μ)以下である。アンダーカット部(25)は、0.127mm(0.005インチ)以上の距離L2だけ拡張用ダイの壁の中に入り込んでいる。なお、アンダーカット部(25)の寸法と表面粗さは例示としてのみ記載したものであり、発明を限定するものでないことは理解されるべきである。
【0029】
成形された飲料容器を作製する本発明のダイシステムの他の態様では、前述の拡張用ダイ(5)を含むダイシステムを提供するものである。ダイシステムは、少なくとも第1の拡張用ダイ(5)を含み、第1の拡張用ダイは、容器ストックの直径を拡大し、元の容器ストックの直径から容器ストックの拡大された部分まで移行する移行部の形状を決定するように構成された作用面(10)を有しており、ダイシステムは、少なくとも1つの徐々に拡張する拡張用ダイを含み、徐々に拡張する一連の拡張用ダイにおける各拡張用ダイは、容器ストックの直径を拡張する程度が、第1の拡張用ダイの程度と等しいか又は第1の拡張用ダイよりも小さいか若しくは大きくなるように構成された作用面を有している。一実施例において、ダイシステムはまた、1又は複数のネッキングダイを含んでいる。ネッキングダイの一例は図4に示されている。
【0030】
本発明の他の態様は、飲料容器を作製する方法を提供するものである。本発明の方法は、上記の拡張用ダイ(5)を利用し、第1の直径を有する容器ストックを準備するステップ、少なくとも1つの拡張用ダイを用いて、容器ストックの少なくとも一部を第1直径よりも大きな第2の直径に拡大するステップ、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成するステップ、を含んでいる。
【0031】
本明細書において、「容器ストックを準備する」という語は、アルミニウムのブランク(例えば、ディスク又はスラグ)を準備し、該ブランクをアルミニウム容器ストックに成形する(shaping)ことを意味する。前述の如く、少なくとも1つの拡張用ダイ(5)は容器ストックの開口端に挿入される。拡張用ダイ(5)の数は、拡張の程度、容器ストックの材料及び容器ストックの側壁の肉厚に依存する。一実施例では、容器ストックの内径を約52.5526mm(2.069")から、211飲料缶の直径よりも大きな直径に拡大するのに、図2A〜2Cに示されるように5個の拡張用ダイ(5)が用いられる。他の実施例において、211缶の内径を約66.1162mm(2.603")から約72.644mm(2.860")まで拡大するのに、図3に示されるように3個の拡張用ダイが用いられる。本発明の拡張用ダイ(5)を用いて徐々に拡径すると、容器の直径は25%のオーダで徐々に拡大される。なお、拡張中に金属が破損しない限り、より大きな拡径も可能である。
【0032】
飲料容器の形成方法の一実施例において、容器の前記部分を第2の直径に拡大した後、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成する前に、容器ストックを第3の直径にネッキングすることをさらに含むことができる。図2Cに示されるLとMの例は、容器ストックの拡大された部分のネッキングを示している。好ましくは、ネッキングステップによって形成される第3の直径は、第2の直径よりも小さく、また、第3のダイは、第1の直径よりも大きくても、小さくても又は等しくてもよい。一実施例において、ネッキング工程は、図4に示されるように、少なくとも1つのネッキングダイ(40)によって行われることができる。一実施例において、ネッキング工程は、ボトル形状を有する飲料缶又は飲料容器を形成するために、容器の拡径部をネッキングするものである。
【0033】
本発明に基づいて、容器ストックの元の直径よりも大きな直径に拡張された容器の拡径部をネッキングすると、容器の側壁は、拡張された後が引張状態であるため、従来のネッキング方法とは異なり、ノックアウトを必要としない。本発明の幾つかの実施例では、容器ストックの拡張された部分を第3の直径にネッキングするとき、ノックアウトが用いられる。拡張された部分を容器ストックの元の直径に等しいか又は元の直径より小さくなるようにネッキングするとき、一般的にはノックアウトを必要とする。ネッキング後の直径を容器ストックの元の直径よりも小さくするネッキングステップでは、ノックアウト構造を用いることが好ましい。
【0034】
本発明の幾つかの実施例において、飲料容器を形成する方法は、容器の拡張された部分とその次に拡張された部分との間の移行部又は容器の拡張された部分と容器のネッキングされた部分との間の移行部が最小となるように、容器ストックがネッキングダイ及び/又は拡張用ダイの中へ移動する距離(travel dimension)を調節することをさらに含んでいる。前記の移動距離は、容器ストックが拡張用ダイ(5)又はネッキングダイ(40)の作用面(10)に沿って移動する距離として規定される。移行部が最小となるように移動距離を調節した効果の一例が図2Cの例Lに示されている。他の実施例において、容器の拡張された部分と容器のネッキングされた部分との間が略一様な直径となる長い移行部が形成されるように、移動距離を調節することができる。略一様な直径の長い移行部を有するように形成された容器の例は、図2BのH、I及びJの例、並びに図2CのM及びNの例に示されている。
【0035】
本発明の方法は、複数の拡張用ダイ(5)とネッキングダイ(40)の組合せを用いて成形することをさらに含むことができる。容器の側壁に拡張された部分とネッキングされた部分を交互に形成するために、これらのダイは、続けて用いられることができる。
【0036】
最終の拡張/ネッキングステップの後、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの開口端部が形成される。容器蓋を容器ストックの開口端部に取り付けるステップは、公知のプロセス又は方法によって行なうことができ、これには、フランジ、カール、ネジ、ラグ(lug)の形成、アウトサート(outsert)及びヘムの取付又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0037】
本発明は、拡張用ダイ(5)と飲料容器の側壁に拡張された部分を形成する方法を提供するもので、飲料容器の製造において飲料容器の成形に関わるコストを低減できる利点がある。
【0038】
上記の説明は、飲料用、エアロゾル用、食物用容器の他に、拡張及び/又はネッキングされることができるあらゆる容器に適している。また、上記の説明は、絞りとしごき、延伸(drawn)、衝撃押出成形/拡張方法に対しても等しく適用可能である。
【0039】
本発明について上記の如く広く説明したが、本発明のさらなる例示として以下の実施例を挙げて、得られる幾つかの利点を説明する。なお、本発明は、開示した具体的実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
<内径52.5526mm(2.069")の拡大>
5つのダイによる拡張システムを用いて、アルミニウム協会(AA)3104の厚さ0.2235mm(0.0088インチ)の側壁を有する容器ストックの一部の直径を、元の内径52.5526mm(2.069")から66.421mm(2.615")のオーダの最終内径に拡大する。拡大は、容器ストックの直径の約24%の増加であり、リューダー線(Lueder's lines)や金属引裂の発生はなかった。第1の拡張用ダイで約9%の拡大があり、第2及び第3の拡張用ダイで夫々約4.5%の拡大があり、第4及び第5の拡張用ダイで夫々約3.0%の拡大があった。
【実施例2】
【0041】
<内径66.1162mm(2.603")の拡大>
3つのダイによる拡張システムを用いて、アルミニウム協会(AA)3104の厚さ0.1422mm(0.0056インチ)の側壁を有する211缶の容器ストックの一部の直径を、元の内径66.1162mm(2.603")から72.644mm(2.860")のオーダの最終内径に拡大する。3つの拡張用ダイの各ダイによる拡張度は、拡張ステップ1回につき3%の拡大であった。
【0042】
本発明の好ましい実施例を説明したが、発明は、添付の特許請求の範囲内で実施可能であることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された容器を製造するプロセスであって、
第1の直径を有する容器ストックを準備すること、
少なくとも1つの拡張用ダイを用いて、容器ストックの少なくとも一部を第2の直径に拡大すること、
容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成すること、を含んでいるプロセス。
【請求項2】
容器の一部を第2の直径に拡大した後、容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成する前に、容器ストックを第3の直径にネッキングすることをさらに含んでいる請求項1のプロセス。
【請求項3】
少なくとも1つのネッキングダイで容器ストックをネッキングすることをさらに含んでいる請求項2のプロセス。
【請求項4】
第3の直径は第2の直径よりも小さく、第3の直径は第1の直径よりも大きいか若しくは小さいか又は第1の直径と同じである請求項3のプロセス。
【請求項5】
容器の拡張された部分と容器ストックのネッキングされた部分との間の移行部が最小となるように、容器ストックがネッキングダイ及び拡張用ダイの中へ移動する移動距離を調節することをさらに含んでいる請求項3のプロセス。
【請求項6】
容器の拡張された部分と容器のネッキングされた部分との間が略一様な直径となる長い移行部が形成されるように、容器ストックがネッキングダイ及び拡張用ダイの中へ移動する移動距離を調節することをさらに含んでいる請求項3のプロセス。
【請求項7】
1以上の他の拡張ステップと1以上の他のネッキングステップをさらに有している請求項2のプロセス。
【請求項8】
ノックアウトを有しない1以上のネッキングダイを用いて、容器ストックを、第1の直径よりも大きな第3の直径にネッキングすることをさらに含んでいる請求項2のプロセス。
【請求項9】
容器蓋を受け入れることができるように容器ストックの端部を形成することは、フランジ、カール、ネジ、ラグを形成すること、アウトサート及びヘムを取り付けること又はそれらの組合せを行なうことを含んでいる請求項1のプロセス。
【請求項10】
容器ストックは、第1の容器直径から約25%の拡張まで徐々に拡大される請求項1のプロセス。
【請求項11】
金属容器を製造するための拡張用ダイであって、
徐々に拡張する部分及びランド部を有する作用面と、
作用面のランド部に続いて形成されたアンダーカット部と、を具える拡張用ダイ。
【請求項12】
作用面の初期部は、容器の元の直径部から拡大された直径部へ移行する移行部を形成する形状を有している請求項11のダイ。
【請求項13】
移行部は、段階状に又は徐々に変化する請求項11のダイ。
【請求項14】
ランド部の寸法は、作用面により容器ストックの直径を拡大させることができる寸法である請求項11のダイ。
【請求項15】
作用面の少なくとも一部は非ポリッシュである請求項11のダイ。
【請求項16】
作用面の非ポリッシュ部は、仕上げ表面が8μインチ〜で32μインチである請求項15のダイ。
【請求項17】
アンダーカット部は非ポリッシュである請求項15のダイ。
【請求項18】
容器ストックの直径を拡大して、元の容器ストックの直径から容器ストックの拡大された部分に移行する移行部の外形を画定できるように構成された作用面を有する第1の拡張用ダイと、
少なくとも1つの徐々に拡張する拡張用ダイと、を含んでおり、
少なくとも1つの徐々に拡張する拡張用ダイにおける一連の各拡張用ダイは、容器ストックの直径を拡張する程度が、第1の拡張用ダイと等しいか又は第1の拡張用ダイよりも小さいか若しくは大きくなるように構成された作用面を有している、ダイシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの徐々に拡張する拡張用ダイのうちの最後のダイは、容器ストックの拡張された部分の最終直径を画定する作用面を有している請求項18のダイシステム。
【請求項20】
少なくとも1つのネッキングダイをさらに具えている請求項18のダイシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−161844(P2012−161844A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−64935(P2012−64935)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2009−518425(P2009−518425)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500277629)アルコア インコーポレイテッド (49)