拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置
【課題】輝度ムラを抑制することが可能な拡散シートを提供すること。
【解決手段】表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートを提供する。
【解決手段】表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術に係り、拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、及びノートパソコンなどの幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後に光源ユニットを配置し、光源ユニットからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示している。液晶表示装置に用いられる光源ユニットは、表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、光源ユニットには、均一性に優れ、高い輝度を実現可能な光学特性が要求される。
【0003】
従来の光源ユニットにおいては、複数の点光源(例えばLED)又は複数の線光源(例えばCCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が使用されることが通常であるので、液晶表示パネルの全体にわたって光源ユニットから入射する光の分布を均一にするために、例えば全面に均一な凹凸構造を形成した導光板、もしくは拡散板、又は内部に拡散剤を含有した拡散板からなる光学部材と、拡散シート、プリズムシート、及び反射型偏光シート等の複数枚の光学シートとの組み合わせが用いられてきている。しかしながら、近年、液晶表示装置の薄型化や省電力化が求められ、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少が進められている。そして、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少により、光源ユニットから出射する光束量及び光のベクトルのばらつきは格段に大きくなっている。そのため、従来の全面に均一な凹凸構造を形成した光学部材では、輝度ムラを軽減する効果が十分ではなくなってきている。また、内部に拡散剤を含有した拡散板からなる光学部材では輝度の低下が避けられない。
【0004】
特許文献1には、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸構造を記録してパターン転写用の金型を製造し、製造した金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸構造を形成したホログラム導光板の模様の面積密度を制御する発明が開示されている(例えば、特許文献1の図41参照。)。特許文献1には、導光板の表面において、光源直上の位置に対応する領域のホログラムの模様の面積密度を、複数の光源の間の位置に対応する領域の面積密度よりも高くすることによって、輝度ムラを効果的に軽減できるとの記載がある。
【0005】
また、特許文献2には、例えばバイトにより切削した金型からの転写などで、拡散シート表面に曲率の異なるレンズ群あるいはプリズム列を形成し、拡散度合いを面内で変化させるという発明が開示されている。特許文献2には、光源上には広拡散部位を、複数の光源の間の上には狭拡散部位を配置することにより、輝度ムラを低減させることができるという例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−23422号公報
【特許文献2】特開2007−3852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されている導光板はいずれも、単純に面内で帯状に拡散角度が変化した部位を形成しているだけなので、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少に対応できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に開示されている製造方法で製造可能なレンズ群あるいはプリズム列のような拡散シート表面の凹凸構造は、変化が離散的となりかつ設計自由度が低いため、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少による光源ユニット内の光のベクトルのバラつきに対応することが困難である。また、レンズ群あるいはプリズム列は大きさが数十μm以上であり、またその配列も規則的であるため、液晶パネルとの間でモアレ縞が発生するという問題もある。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、光源ユニットの厚さや光源数を減少させた、いわゆる省灯化モデルにおいて、輝度ムラを抑制することが可能な拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シートを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50%〜99.5%である拡散シートを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たすことを特徴とする拡散シートを要旨とする。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
【0014】
本発明の第5の態様は、光を放射する2つ以上の光源と、前記光源と平行に配置された本発明の第1乃至第4のいずれかの態様の拡散シートと、を備える光源ユニットであることを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の態様は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する本発明の第5の態様の光源ユニットと、を備える、液晶表示装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画面の輝度ムラを抑制することが可能な拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの平坦部及び粗面部の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る斜めから光学シートに入射する光の入射角度を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る平坦部と粗面部の平均高さの差を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの粗面部の幅Lを説明するための上面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの出射光の出射角度と強度との関係を示す模式的な第1のグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光源ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係るLED光源の配置図である。
【図8】平坦部/粗面部構造を有する拡散シートの一例の表面形状写真である。写真において、長辺は100μm、短辺は75μmである。縦横と高さの比率は1:1であり、z方向の拡大縮小は為されていない。
【図9】平坦部/粗面部構造を有しないシート基材の一例の表面形状写真である。写真において、長辺は100μm、短辺は75μmである。縦横と高さの比率は1:1であり、z方向の拡大縮小は為されていない。
【図10】市販の拡散シートの一例の表面構造写真である。
【図11】図8及び図9の拡散シートにつき、表面から出射する光の出射角度を横軸とし、表面から出射する光の強度を縦軸とした出光パターン分布である。拡散角度はともに35°である。
【図12】拡散角度25゜で本発明に係る拡散シートの二例につき、表面から出射する光の強度を縦軸とした出光パターン分布である。
【図13】平坦部/粗面部構造を有しないシート基材の一例の表面形状写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第1の態様に係り、図1に示すように、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートである。
上述したような平坦部と粗面部から構成される構造としては、平坦部を海とし、粗面部を島とする海島構造や、この凹凸構造を反転させた構造が挙げられる。これらの構造の断面が、例えば図1(a)または図1(b)の断面図で示されたものである。
【0020】
ここで、拡散シートの表面において、平坦部と粗面部はいずれも微細凹凸が不均一に設けられた構造を有している。微細凹凸が不均一に設けられた構造とは、微細凹凸の形状、ピッチ、高さの少なくともいずれかが不均一であることを指す。微細凹凸が不均一でないとは、例えば凹凸構造が円柱、角柱や半球状などの定型でそれぞれに揃って(相似形を含む)おり、かつその凹凸構造が規則正しく配置されているようなものを指す。
【0021】
形状、ピッチ、高さが不均一である典型的な構造は、図8及び図9に示すような連続した不均一な波状の凹凸構造を有するものであり、これは干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造に基づく構造である。この他に、表面に均一な形状の球状ビーズが、ランダムに埋め込まれた、すなわち、ピッチと高さが一定しない構造も、後述するFWTM/FWHMの要件を満たす限り、本発明の実施の形態でいう微細凹凸が不均一に設けられた構造の範疇に入る。更には、レンチキュラーレンズやプリズムの高さが不規則であったり、ピッチが不規則であったりする場合も本願発明の実施の形態の範疇である。
【0022】
ビーズの凹凸構造、レンチキュラーレンズ、プリズム構造であっても、形状、高さ、ピッチのいずれかが不均一であれば、モアレの発生や、光のムラを抑制する効果は発揮できるが、図8及び図9に示すような連続した不均一な波状の凹凸構造のものは、それらの効果が著しく優れている。
【0023】
平坦部の微細凹凸の最大高さ(Ry)は2μm以下である。平坦部が完全に平坦であってもよいが、完全に平坦とはならず、Ryが2μm以下の凹凸が不均一に形成されていることが好ましい。これに対し、粗面部は微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きくなっている。
また、平坦部において、最短5μmの幅で測定した十点平均粗さ(Rz)は1μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。一方、粗面部において、最短5μmの幅で測定した十点平均粗さ(Rz)は2μm以上であることが好ましい。
【0024】
粗面部/平坦部の微細凹凸の最大高さ(Ry)と平均高さ、および十点平均粗さ(Rz)は、例えば株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて測定可能である。
図8が典型的な第1の実施の形態の表面構造を示す図であって、不均一な凹凸構造を有し、かつ平坦部に取り囲まれた粗面部を有する構造である。図中の黒く見える山の部分が粗面部であり、白く見える谷の部分が平坦部に相当する。
【0025】
これに対し、図9は、全面的に不均一な凹凸構造は有するものの、平坦部を有さない構造である。
図9のような平坦部を有さない構造でも、微細凹凸が不均一な構造であれば、モアレ防止能、画面均一性には効果を発揮するが、図8のように平坦部が部分的に存在する構造であれば、この部分が低拡散となり、画面均一性を損なわずに輝度を向上させることが可能となる。
【0026】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートは、図2に示すように、光源から拡散シートに斜めから入射した入射光を出射面の法線方向に効率的に立ち上げることが可能であるため、面内の輝度を向上させることが可能となる。ここで、光の入射角は、拡散シートの入射面の法線に対して入射光がなす角度をいう。第1の実施の形態に係る拡散シートは、10乃至80°の角度で入射した光を特に効率よく立ち上げる。また同時に平坦部は真下近傍からの光を法線方向に透過させることができる。このように平坦部と粗面部が微小スケールで混在、言うなれば低拡散角度部と高拡散角度部が微小スケールで混在することにより全体的に効率的に出射面の法線方向に透過させる結果、シート全体平均の拡散角度に比して正面輝度を高めることができる。
【0027】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートにおいては、図3に示すように、平坦部の平均高さと、粗面部の平均高さとが異なっていることが好ましい。その差は、0.1μm以上20μm未満であることが好ましい。高い光立ち上げ効果、つまり高輝度を得るためには、平坦部の平均高さと、粗面部の平均高さとの差は0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜15μmがより好ましく、2μm〜12μmがさらに好ましく、3μm〜10μmが特に好ましい。なお、図3においては、粗面部の平均高さが平坦部の平均高さよりも高い場合を示しているが、平坦部の平均高さが粗面部の平均高さより高くてもよく、その場合においても、好ましい平均高さの差は同様である。
【0028】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートにおいて、平坦部に囲まれた粗面部の幅Lとは、上述した超深度カラー3D形状測定顕微鏡の測定結果で粗面部と認識された部分を画像解析し、粗面部を略楕円形と認識させ、略楕円形の最長径の長さを各粗面部で求め、求められた10個の長さの平均値をいう。高い光立ち上げ効果、つまり高輝度を得るためには、平坦部に囲まれた粗面部の図4に示す幅Lは、0.1μm以上100μm未満であることが好ましい。粗面部の幅Lの下限は0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。粗面部の幅Lの上限は50μm未満がより好ましく、10μm未満がさらに好ましく、5μm未満が特に好ましい。
【0029】
平坦部と粗面部の面積割合は、面内の輝度ムラを抑制しつつ、輝度を向上させるという観点から5:95〜50:5であることが好ましい。より好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜80:20、さらに好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜70:30、よりさらに好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜60:40、特に好ましくは、平坦部:粗面部5:95〜50:50、最適の範囲は平坦部:粗面部=5:95〜40:60である。
【0030】
なお、平坦部と粗面部の面積は、超深度カラー3D形状測定顕微鏡の測定結果から次の方法で算出する。前述の超深度カラー3D形状測定顕微鏡により、任意の箇所に引いた直線を隣接する幅5μmの区間に分割し、それぞれの区間内の測定点の高さを測定してその区間における最大高さ(Ry)を求める。これを10区間以上求める。最大高さ(Ry)が2μmより大きい区間は粗面部、Ryが2μm以下の区間を平坦部とし、粗面部となった区間の数aと平坦部となった区間の数bから、以下に示す式(2)及び式(3)でそれぞれの面積の割合を求める。
粗面部面積割合(%)=a2/(a2+b2)×100 ・・・(2)
平坦部面積割合(%)=b2/(a2+b2)×100 ・・・(3)
【0031】
平坦部/粗面部構造は、第1の実施の形態に係る拡散シートの全面に設けられてもよいし、部分的に設けられてもよい。例えば、拡散シートの光源の直上に相当する領域に、部分的に平坦部/粗面部構造が設けられていてもよい。あるいは、光源と光源との間に相当する領域に部分的に平坦部/粗面部構造が設けられていてもよい。拡散シートの平坦部/粗面部構造ではない部分の表面には、平坦部/粗面部構造とはならない微細凹凸が設けられていてもよいし、微細凹凸が設けられていなくてもよい。拡散シートの全面積に対する、平坦部/粗面部構造が設けられた部分の面積が占める割合は、十分な輝度向上能力を発現するという観点から、30%以上であることが好ましく、50%以上であればさらに好ましい。
【0032】
第1の実施の形態に係る拡散シートから出射する光の拡散角度は、0.1゜以上120゜以下の範囲内であることが好ましい。高い輝度ムラ抑制効果を得るためには20゜以上100゜以下であることが好ましく、さらに好ましくは20゜〜80゜の範囲、より好ましくは20゜〜60゜の範囲、それより好ましくは25゜〜50゜の範囲、それ以上に好ましくは25゜〜40゜の範囲、最適であるのは25゜〜35゜の範囲である。ここで、光の拡散角度とは、図5に示すように、透過拡散光の出射角度を横軸、強度を縦軸として、出射角度に対する透過光強度の分布をとったときに、強度がピーク強度の半分となる出射角度(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width at Half Maximum)をいう。
【0033】
光の拡散角度は、例えば日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いて、拡散シートの平坦部/粗面部構造が設けられた面に対して法線方向から入射した光の透過光の出射角度に対する光強度の分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートに対する法線方向とは、図2で説明したように、拡散シートの表面又は底面に対して垂直な方向である。
【0034】
また、光の拡散角度は、Photon.Inc のFar−field Profiler LD8900の測定面に、平坦部/粗面部構造が設けられた面を外側にして拡散シートをおき、拡散シートの底面に垂直にレーザーを照射して、透過光の出射角度に対する強度の分布を求めることによっても、測定可能である。
【0035】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、シート面に平行な方向の測定において、測定方向によらず、FWHMがほぼ同じ拡散角度が得られる等方拡散シートであり得る。しかし、測定方向によって、FWHMが異なる異方拡散シートであってもよいし、等方拡散となる部分と異方拡散となる部分とを両方含んでいてもよい。なお、異方拡散シートであった場合も、拡散角度は、上述したように、0.1゜以上120゜以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは20゜〜80゜の範囲、より好ましくは20゜〜60゜の範囲、それより好ましくは25゜〜50゜の範囲、それ以上に好ましくは25゜〜40゜の範囲、最適であるのは25゜〜35゜の範囲である。
【0036】
例えば、拡散シートに不均一な粗面部構造を設けなくても、拡散シートの基材内部に基材とは屈折率の異なる球状又は楕円球状の粒子を含有させても、0.1゜以上120゜以下の拡散角度は、実現され得る。しかし、表面に不均一な粗面部構造が設けられた拡散シートのほうが、シートの厚みを薄くすることが可能である。また、拡散角度の制御を容易にすることを可能にし、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源の数が少なくても輝度ムラを解消するという顕著な効果をもたらす。
【0037】
また、第1の実施の形態に係る拡散シートの光学特性は、図5に示すFWHMと、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度(FWTM:Full Width at Tenth Maximum)の比率であるFWTM/FWHMで表現することができる。 すなわち、FWTMは粗面部の光学特性をより反映し、FWHMは平坦部の光学特性をより反映しているので、その比率であるFWTM/FWHMでまとめることができる。その場合本発明における1.5以上10以下であることが好ましい。より好ましい下限値は1.7以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。またより好ましい上限値は2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。この範囲内において輝度向上効果がよりよく発揮される。なお、FWTMは、FWHMと同様に測定可能である。
【0038】
例えば、図10に示す表面形状を有する、市販品の拡散シート(ツジデン(株)製D141、表面に半球状の均一形状を有するビーズが埋め込まれたもの)では、FWTM/FWHMの値は14となる。
また、図11の出光パターンにおいては、図8の表面形状を有する拡散シートのFWTM/FWHMの値は2.2であり、図9の表面形状を有する拡散シートのFWTM/FWHMの値は1.6である。
また、図12は図11に示されたものとは別の、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートA、Bの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは25°である。この出光パターンにおいては、拡散シートAのFWTM/FWHMの値は2.5であり、拡散シートBのFWTM/FWHMの値は1.7である。
【0039】
また、第1の実施の形態に係る拡散シートにおいては、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50〜99.5%であることが好ましい。より好ましい下限値は70%であり、さらに好ましくは77%、それ以上に好ましくは80%、それ以上に更に好ましいのは85%である。またより好ましい上限値は98%であり、さらに好ましくは95%である。この範囲内において輝度向上効果がよりよく発揮される。この積分値については、変角光度計(GC−5000L)或いはPhoton.Inc のFar−field Profiler LD8900で測定したデータから計算できる。
【0040】
図11に図8の表面形状を有する拡散シートの出光パターン、および図9の表面形状を有する拡散シートの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは35°である。図8の表面形状を有する拡散シートは、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して87.6%である。これに対し、図9の表面形状を有する拡散シートの出光パターンにおいては、上記の割合は97.3%である。
【0041】
また、図12に、図11に示されたものとは別の、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートA、Bの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは25°である。拡散シートAは、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して92.1%である。これに対し、拡散シートBの出光パターンにおいては、上記の割合は99.5%である。いずれも、モアレ抑制および画面均一性に優れているが、輝度向上効果はシートAの方がシートBよりも優れている。
【0042】
第1の実施の形態に係る拡散シートの平坦部/粗面部構造は、入光面及び出光面のいずれかに設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。しかし、輝度向上及び輝度ムラ軽減の観点から、平坦部/粗面部構造は、出光面に設けられていることが好ましく、入光面は平滑であることがより好ましい。なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、入光面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も、平滑であるものとする。
【0043】
次に、第1の実施の形態に係る拡散シートの製造方法について説明する。第1の実施の
形態に係る拡散シートの製造方法としては、1)好適な微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造の表面形状をシミュレーションにより計算し、レーザー微細加工等によって表面形状のマスタを製造する方法、2)予め表面に粗面部となるような凸部を有するシート基材を作製し、シート基材の必要箇所に樹脂を塗工して、谷間を埋めて樹脂層を形成し、微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造となるように表面形状を制御する方法、3)予め表面に平坦部となるような不均一凹凸を有するシート基材を作製し、シート基材の必要箇所に樹脂を賦形して粗面部となる部位を形成し、微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造となるように表面形状を制御する方法などが挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いることも可能である。
【0044】
2)の方法においては、形成される粗面部形状と同程度の大きさの基底凹凸形状が設けられたシート基材が予め作製される。基底凹凸形状とは、例えば、表面に多数の不規則な形状の突起部が設けられた形状である。この形状としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造であることが好ましい。
【0045】
干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造は、機械加工では困難であった20μm以下の基底凹凸形状の形成に適している。特に、非平面スペックルを用いて基底凹凸形状を形成する方法は、拡散シート上の領域に応じて、拡散角度を変えるような場合に、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。なお、干渉露光によって形成された基底凹凸形状は、高さ及びピッチが不規則となるため、モアレ抑制効果や0次光を排除する効果を有する。
【0046】
また、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された3次元構造を表面に有し、面内において拡散角度が変化するようにしてもよい。このようなシート基材は、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御し、適切な拡散角度を有する凹凸構造、あるいは位置によって異なる拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができる。
【0047】
一般に、拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ角度範囲が広い。また、基底凹凸形状の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された基底凹凸形状とすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となり、この場合は異方拡散性を有するものとなる。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写して賦形用マスタを作製する。光硬化性樹脂層に、賦形用マスタを用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。詳細な製造方法については、例えば、特表2003−525472号公報に開示されている。また、拡散角度は凹凸構造のピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御しても構わない。光源からの距離や、光源の強度に応じて拡散角度を適切に調整すれば、輝度ムラを良好に解消し、かつ輝度を向上させることが可能となる。
【0048】
次に、パターンが転写されたシート基材に樹脂を塗布する。シート基材上への樹脂の塗布方法としては、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、及びスプレーなどを用いる方法が使用可能である。好ましくは、拡散角度の滑らかな変化を付与する観点から、スプレー及びダイコーターが用いられる。また、マスク等を用いて、樹脂をシート基材上の必要箇所に塗工されるようにしてもよい。さらに、樹脂層となる液には、拡散角度の滑らかな変化を付与する観点から、溶剤を添加してもよい。溶剤の添加量は形成する平坦部/粗面部構造に応じて適宜調整されるが、一般的には樹脂100部に対して溶剤を1部から5000部添加する。
【0049】
シート基材は、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であればよく、特に、基材単体での光透過率が75%以上であることが好ましい。
この場合「光」とは、可視光であれば特に限定しないが、例えば、本実施形態の拡散シートを用いた光源ユニットにおける光源より射出される光である。
前記光透過率は、例えば、(株)島津製作所社製の紫外可視分光光度計(MPC−2200)を用いて、光源と検出器との間に基材をセットし、550nmにおける入射光強度及び透過光強度を検出した後、下記式(4)によって算出することができる。
光透過率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおける入射光強度)×100 ・・・(4)
【0050】
基材の厚さは、特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。
基材の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂等が挙げられる。
また、ガラスとしては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
【0051】
シート基材に樹脂を塗布した後、紫外線照射などの方法により、樹脂を硬化させる。硬化させる工程は熱硬化性樹脂を使用した熱による硬化させる方法や、樹脂を溶剤に溶かして塗布した後に乾燥させて硬化させる方法でもよいが、作業性、表面硬度の観点から紫外線照射による硬化工程が好ましい。樹脂の塗工量、樹脂の希釈量、樹脂の塗工部位を制御することによって、平坦部/粗面部構造の凹凸の比率、平坦部/粗面部の面積比率、形成される微細凹凸の粗さを適切な値にし、必要な光学性能を得ることができる。
【0052】
3)の方法においては、形成される平坦部形状と同程度の大きさの基底凹凸形状が設けられたシート基材が予め作製される。これは前述の2)と同様の方法で得られる。このシートに対して、粗面部形状を有するマスタを用いて紫外線硬化樹脂を賦形し、粗面部の凹凸形状を形成することで実施の形態に係る拡散シートを得ることが出来る。
上記2)3)の方法においては、一種類の基底凹凸形状を設けたシート基材を用いて、塗工による平坦部の形成、または賦形による粗面部の形成によって、多種類の拡散シートを得ることが可能となるというメリットがある。
【0053】
また、別の製造方法として、上記の金属電鋳を行う前のサブマスタに対して樹脂を塗布して所望のパターンを得た後、これをサブマスタとして金属電鋳加工し、賦形用マスタとするやり方もある。得られた金属製の賦形用マスタを用いて、前述と同じ方法で、光透過性樹脂層に紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面に光学パターンを転写し、実施の形態に係る拡散シートを得る。
【0054】
なお、上記2)、3)の方法を用いて製造されたシート自身を最終製品の拡散シートとして用いることも可能であり、さらにはこの表面形状をコピーして、マスタとして用いることも可能である。
【0055】
また、金属平板マスタまたは金属ロールマスタによって、基材表面に光学パターンを賦形する方法の他に、上記光学パターンの形状を有する金属金型を製造して、これを用いた射出成形を行うことにより、上記光学パターンが形成された拡散板或いは導光板を製造することも可能である。
【0056】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第2の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シートも含む。
【0057】
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記要件を満たす。
比率であるFWTM/FWHMのより好ましい下限値は1.7以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。またより好ましい上限値は2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。
【0058】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第3の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して60%〜99.5%である拡散シートも含む。
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記式の範囲内である。
より好ましい下限値は70%であり、さらに好ましくは77%、それ以上に好ましくは80%、それ以上に更に好ましいのは85%である。またより好ましい上限値は98%であり、さらに好ましくは95%である。
【0059】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第4の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たす拡散シートも含む。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記式の範囲内である。
さらに好適なのは、70<x<99.5、1.5<y≦2.5で上記式(1)を充足する範囲である。
【0060】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、前述の第5の態様に係り、図6に示すように、光を放射する2つ以上の光源1と、前記光源と平行に配置された第1の実施の形態に係る拡散シート3と、を備える。光源1としては、図6(a)に示すように、冷陰極管(CCFL)などの線光源を用いることができる。あるいは、線光源1の代わりに、図6(b)に示すように、LED(発光ダイオード)及びレーザーなどの点光源2を用いることができる。図6の例において、光源1は本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3の入光面及び出光面に対して、直下に配列されている。
【0061】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(c)に示すように、光源1と本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3との間に、平面性及び自立性を保持するために、透明な板や拡散板5をさらに備えていてもよい。拡散板5は、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンポリマーなどに、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子等の拡散剤を添加したものを用いることができる。
【0062】
また、拡散板5は、表面に凹凸構造が設けられていてもよい。拡散板5表面の凹凸構造としては、等方性のマイクロレンズ、異方性のプリズム状列或いはレンチキュラーレンズなどが表面に設けられていてもよい。レンチキュラーレンズの断面は厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。これらには、必要に応じて、有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。
【0063】
拡散板5には、例えば、デラグラスDL/DHシリーズ(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、ゼオノア拡散板(日本ゼオン(株)製)、及びMicrolens Brightness Film(Bright View Technologies(株)製)等が使用可能である。また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板を用いてもよい。
【0064】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、光源1に対して本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3の反対側に配置された反射シート4をさらに備えていてもよい。反射シート4は、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、及びポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシートなどを用いることができる。また、反射シート4は、表面に凹凸構造が形成されていてもよい。反射シート4には、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0065】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3から出射する光を受ける拡散シート6をさらに備えていてもよい。拡散シート6は、面内で均一な拡散性能を持つ拡散板が好ましい。また拡散シート6は、複数枚配置されてもよい。拡散シート6としては、表面に拡散剤としての複数のビーズがコートされた拡散シート、表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シート、及び集光拡散シートなどを用いることができる。
【0066】
表面に複数のビーズがコートされた拡散シートとしては、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面に光拡散性を有するビーズをウェットコートした光学シートが使用可能であり、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。光拡散性ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、シリカビーズ、硫酸バリウム、酸化チタン、及び珪酸カルシウムなどが用いられる。具体的には、TDF−127(商品名、東レセハン(株)製)、オパルスBS−080(商品名、恵和(株)製)、及びD141(商品名、ツジデン(株)製)等が使用可能である。
【0067】
表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートとしては、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にランダムな凹凸形状を形成したものが使用可能であり、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。詳細な製造方法は特開2002−202508号公報、及び特開2002−148416号公報にも記載されているが、例えばポリカーボネートなどの非結晶性樹脂のシート形成時にロール圧着を行い、その際使用するロールの表面をランダムな凹凸にすることにより得られる。このような拡散シートとしては、例えば、オパルスPC−ES(商品名、恵和(株)製)等が使用可能である。
【0068】
表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートは、例えば、特表2003−525472号公報に記載されている方法で製造可能である。具体的には、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、スペックルパターンを形成させたサブマスタを作製する。次に、作製されたサブマスタに電鋳などの方法で金属を被着し、金属にスペックルパターンを転写してマスタを作製する。その後、光硬化性樹脂層に、マスタを用いて紫外線による賦形を行い、光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートとしては、例えば、LSD(Light Shaping Diffuser、Luminit社製)が使用可能である。
【0069】
集光拡散シートとは、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にレンズパターンを設けた光学シートを指し、主にバックライトの光を拡散させ均一化させるとともに、拡散された光を集光するという複合的な目的で用いられる。アレイ状のレンズは、例えば、アクリル系樹脂の球状ビーズをシート上に塗布することによって設けられる。また、他には紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造をポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写することによって得ることもできる。この他に、機械加工やエッチング法によっても製造することができる。厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。集光拡散シートとしては、例えば、PTR733(商品名、シンファインターテック(株)製)、UTE−21(商品名、未来ナノテック(株)製)、及びML13MK(商品名、SKC Haas(株)製)等が使用可能である。
【0070】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(d)に示すように、拡散シート3を出射した光を受けるプリズムシート7をさらに備えていてもよい。プリズムシート7は、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にアレイ状のプリズムパターンを設けた光学シートであり、主にバックライトの光を集光させ輝度を向上させる目的で用いられる。プリズムパターンは厳密にプリズム形状でなくてもよく、頂部にR形状を施したものや、ウェーブフィルム状、又は下向きプリズム状であってもよい。
【0071】
プリズムシート7には、例えば、ビキュイティBEFIII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティBEFII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティRBEF(商品名、3M(株)製)、LES−T2F(商品名、LGケミカル(株)製)、ウェーブフィルムW818(商品名、3M(株)製)、及びダイヤアートC(商品名、三菱レイヨン(株)製)等が使用可能である。プリズムシート7の材料としてはアクリル系フォトポリマーやポリカーボネートなどがよく用いられるが、これに限定されない。
【0072】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(e)に示すように、拡散シート3を出射した光を受ける反射型偏光シート8をさらに備えていてもよい。反射型偏光シート8は、自然光又は偏光から直線偏光を分離する機能を有する。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シート8としては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M(株)製)等が使用可能である。
【0073】
第2の実施の形態に係る光源ユニットの拡散シート6、プリズムシート7、及び反射型偏光シート8の数及び配置は、様々に変更可能である。例えば、図6(f)に示すように、拡散シート3上に、複数の拡散シート6を配置してもよいが、本発明の実施の形態に係る拡散シートの輝度向上機能をより良く発揮するためには、光源側から、拡散板/本発明の実施の形態に係る拡散板/市販の拡散シート2枚/反射型変更シートとなるように光学シートを配置することが好ましい。さらには、本発明の実施の形態に係る拡散シートは、拡散シート面内に入射する光強度に合わせて拡散角度を変化させることが好ましい。光強度に対して正相関で拡散角度を変化させるように拡散シートの光学特性を制御することがより好ましい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る液晶表示装置は、前述の第6の態様に係り、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する第2の実施の形態に係る光源ユニットと、を備える。
以上説明した第2の実施の形態に係る光源ユニットの上方に液晶表示パネルを配置し、液晶表示パネルに輝度ムラのない光を照射することで、高画質の液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0074】
(その他の実施の形態)
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、及び形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【実施例】
【0075】
次に、実施例及び比較例を挙げて実施の形態をより具体的に説明するが、実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(構成例)
光源として、配光特性がランバート(Lambertian)タイプのLEDを、図7に示すような千鳥格子状に配置した。LEDの下方には反射シートを配置した。また、反射シートからの距離が40mmとなるよう、光源の上方に拡散板を配置した。拡散板は、旭化成イーマテリアルズ株式会社製であり、基材のポリスチレン中に平均粒径が2μmで真比重が1.35のシリコーン微粒子を1.3重量%含み、厚さは1.5mmである。
【0076】
さらに、上記拡散板の上に、上記拡散板と接するように、本発明の実施例に係る拡散シートを配置した。本発明の実施例に係る拡散シートの上方には、2枚の拡散シート(本発明の実施例に係る拡散シートとは異なる拡散シート)と、反射型偏光シートと、を配置し、構成例に係る光源ユニットとした。上記2枚の拡散シートには、東レセハン株式会社製のTDF−127を用いた。また、反射型偏光シートには、3M株式会社製のDBEFを用いた。
【0077】
平坦部/粗面部面積割合は次の方法で求めた。株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用いて、任意の箇所に引いた直線を隣接する幅5μmの区間に分割し、それぞれの区間内の測定点の高さを測定してその区間における最大高さ(Ry)を10区間以上測定した。最大高さ(Ry)が2μmより大きい区間は粗面部、Ryが2μm以下の区間を平坦部とし、粗面部となった区間の数aと平坦部となった区間の数bから、前述の式(2)及び式(3)でそれぞれの面積の割合を求めた。
【0078】
(実施例1)
125μm厚PETフィルム表面に、特表2003−525472号公報に記載の干渉露光により形成されたスペックルパターンの基底凹凸形状を有する、拡散角度が80°のシート基材を用意した。次に、上に、メタノールで希釈したウレタンアクリレート系の紫外線硬化樹脂溶液を塗布した。希釈割合は樹脂量5重量%であった。また、希釈した紫外線硬化樹脂溶液の塗工量は0.1ml/cm2であった。塗布後、メタノールを蒸発させ、UV照射で硬化させたところ、不均一な微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造がシート基材上に形成された。得られた拡散シートの面内の平均拡散角度は49°であった。また、平坦部:粗面部の面積比は8:92であった。また、FWTM/FWHMは1.6、表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合は84.1%であった。粗面部の幅は平均1.8μmであった。さらに、得られた拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットの輝度は636cd/m2であり、目視での輝度ムラは観察されなかった。
【0079】
(実施例2)
実施例1と同様の製造方法によって、125μm厚PETフィルムの表面に、微細凹凸が不均一に設けられ、拡散角度が25°であり、平坦部:粗面部の面積比が11:89であり、FWTM/FWHM=2.1であり、表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合が94.3%である、実施例2に係る拡散シートを作製した。粗面部の幅は平均3.8μmであった。さらに、実施例2に係る拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットの輝度は646cd/m2であり、目視での輝度ムラは観察されなかった。
【0080】
(実施例3)
厚み250μmのPETシート基材表面に、特表2003−525472号公報に記載の干渉露光法により形成されたスペックルパターンの基底凹凸形状を有する、拡散角度が57°の拡散シートを用意した。この拡散シートのFWTM/FWHM=1.6であり、スペックルパターンの基底凹凸形状においては、粗面部を楕円で近似したときに隣接する粗面部が互いに一部接触しており、粗面部の幅を算出することはできなかった。表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合は82.2%であった。SEMによる表面形状を、図13に示す。次に、用意した拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットにおいて、目視での輝度ムラは観察されず、輝度は626cd/m2であった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、電器産業等で利用可能である。具体的には、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、及びノートパソコン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 光源
3 本発明の実施例に係る拡散シート
4 反射シート
5 拡散板
6 本発明の実施例に係る拡散シートとは異なる拡散シート
7 プリズムシート
8 反射型偏光フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術に係り、拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、及びノートパソコンなどの幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後に光源ユニットを配置し、光源ユニットからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示している。液晶表示装置に用いられる光源ユニットは、表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、光源ユニットには、均一性に優れ、高い輝度を実現可能な光学特性が要求される。
【0003】
従来の光源ユニットにおいては、複数の点光源(例えばLED)又は複数の線光源(例えばCCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が使用されることが通常であるので、液晶表示パネルの全体にわたって光源ユニットから入射する光の分布を均一にするために、例えば全面に均一な凹凸構造を形成した導光板、もしくは拡散板、又は内部に拡散剤を含有した拡散板からなる光学部材と、拡散シート、プリズムシート、及び反射型偏光シート等の複数枚の光学シートとの組み合わせが用いられてきている。しかしながら、近年、液晶表示装置の薄型化や省電力化が求められ、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少が進められている。そして、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少により、光源ユニットから出射する光束量及び光のベクトルのばらつきは格段に大きくなっている。そのため、従来の全面に均一な凹凸構造を形成した光学部材では、輝度ムラを軽減する効果が十分ではなくなってきている。また、内部に拡散剤を含有した拡散板からなる光学部材では輝度の低下が避けられない。
【0004】
特許文献1には、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸構造を記録してパターン転写用の金型を製造し、製造した金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸構造を形成したホログラム導光板の模様の面積密度を制御する発明が開示されている(例えば、特許文献1の図41参照。)。特許文献1には、導光板の表面において、光源直上の位置に対応する領域のホログラムの模様の面積密度を、複数の光源の間の位置に対応する領域の面積密度よりも高くすることによって、輝度ムラを効果的に軽減できるとの記載がある。
【0005】
また、特許文献2には、例えばバイトにより切削した金型からの転写などで、拡散シート表面に曲率の異なるレンズ群あるいはプリズム列を形成し、拡散度合いを面内で変化させるという発明が開示されている。特許文献2には、光源上には広拡散部位を、複数の光源の間の上には狭拡散部位を配置することにより、輝度ムラを低減させることができるという例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−23422号公報
【特許文献2】特開2007−3852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されている導光板はいずれも、単純に面内で帯状に拡散角度が変化した部位を形成しているだけなので、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少に対応できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に開示されている製造方法で製造可能なレンズ群あるいはプリズム列のような拡散シート表面の凹凸構造は、変化が離散的となりかつ設計自由度が低いため、光源ユニットの厚さの低減や光源数の減少による光源ユニット内の光のベクトルのバラつきに対応することが困難である。また、レンズ群あるいはプリズム列は大きさが数十μm以上であり、またその配列も規則的であるため、液晶パネルとの間でモアレ縞が発生するという問題もある。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、光源ユニットの厚さや光源数を減少させた、いわゆる省灯化モデルにおいて、輝度ムラを抑制することが可能な拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シートを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50%〜99.5%である拡散シートを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たすことを特徴とする拡散シートを要旨とする。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
【0014】
本発明の第5の態様は、光を放射する2つ以上の光源と、前記光源と平行に配置された本発明の第1乃至第4のいずれかの態様の拡散シートと、を備える光源ユニットであることを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の態様は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する本発明の第5の態様の光源ユニットと、を備える、液晶表示装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画面の輝度ムラを抑制することが可能な拡散シート、光源ユニット、及び液晶表示装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの平坦部及び粗面部の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る斜めから光学シートに入射する光の入射角度を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る平坦部と粗面部の平均高さの差を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの粗面部の幅Lを説明するための上面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る拡散シートの出射光の出射角度と強度との関係を示す模式的な第1のグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光源ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係るLED光源の配置図である。
【図8】平坦部/粗面部構造を有する拡散シートの一例の表面形状写真である。写真において、長辺は100μm、短辺は75μmである。縦横と高さの比率は1:1であり、z方向の拡大縮小は為されていない。
【図9】平坦部/粗面部構造を有しないシート基材の一例の表面形状写真である。写真において、長辺は100μm、短辺は75μmである。縦横と高さの比率は1:1であり、z方向の拡大縮小は為されていない。
【図10】市販の拡散シートの一例の表面構造写真である。
【図11】図8及び図9の拡散シートにつき、表面から出射する光の出射角度を横軸とし、表面から出射する光の強度を縦軸とした出光パターン分布である。拡散角度はともに35°である。
【図12】拡散角度25゜で本発明に係る拡散シートの二例につき、表面から出射する光の強度を縦軸とした出光パターン分布である。
【図13】平坦部/粗面部構造を有しないシート基材の一例の表面形状写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第1の態様に係り、図1に示すように、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部を有しており、前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シートである。
上述したような平坦部と粗面部から構成される構造としては、平坦部を海とし、粗面部を島とする海島構造や、この凹凸構造を反転させた構造が挙げられる。これらの構造の断面が、例えば図1(a)または図1(b)の断面図で示されたものである。
【0020】
ここで、拡散シートの表面において、平坦部と粗面部はいずれも微細凹凸が不均一に設けられた構造を有している。微細凹凸が不均一に設けられた構造とは、微細凹凸の形状、ピッチ、高さの少なくともいずれかが不均一であることを指す。微細凹凸が不均一でないとは、例えば凹凸構造が円柱、角柱や半球状などの定型でそれぞれに揃って(相似形を含む)おり、かつその凹凸構造が規則正しく配置されているようなものを指す。
【0021】
形状、ピッチ、高さが不均一である典型的な構造は、図8及び図9に示すような連続した不均一な波状の凹凸構造を有するものであり、これは干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造に基づく構造である。この他に、表面に均一な形状の球状ビーズが、ランダムに埋め込まれた、すなわち、ピッチと高さが一定しない構造も、後述するFWTM/FWHMの要件を満たす限り、本発明の実施の形態でいう微細凹凸が不均一に設けられた構造の範疇に入る。更には、レンチキュラーレンズやプリズムの高さが不規則であったり、ピッチが不規則であったりする場合も本願発明の実施の形態の範疇である。
【0022】
ビーズの凹凸構造、レンチキュラーレンズ、プリズム構造であっても、形状、高さ、ピッチのいずれかが不均一であれば、モアレの発生や、光のムラを抑制する効果は発揮できるが、図8及び図9に示すような連続した不均一な波状の凹凸構造のものは、それらの効果が著しく優れている。
【0023】
平坦部の微細凹凸の最大高さ(Ry)は2μm以下である。平坦部が完全に平坦であってもよいが、完全に平坦とはならず、Ryが2μm以下の凹凸が不均一に形成されていることが好ましい。これに対し、粗面部は微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きくなっている。
また、平坦部において、最短5μmの幅で測定した十点平均粗さ(Rz)は1μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。一方、粗面部において、最短5μmの幅で測定した十点平均粗さ(Rz)は2μm以上であることが好ましい。
【0024】
粗面部/平坦部の微細凹凸の最大高さ(Ry)と平均高さ、および十点平均粗さ(Rz)は、例えば株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて測定可能である。
図8が典型的な第1の実施の形態の表面構造を示す図であって、不均一な凹凸構造を有し、かつ平坦部に取り囲まれた粗面部を有する構造である。図中の黒く見える山の部分が粗面部であり、白く見える谷の部分が平坦部に相当する。
【0025】
これに対し、図9は、全面的に不均一な凹凸構造は有するものの、平坦部を有さない構造である。
図9のような平坦部を有さない構造でも、微細凹凸が不均一な構造であれば、モアレ防止能、画面均一性には効果を発揮するが、図8のように平坦部が部分的に存在する構造であれば、この部分が低拡散となり、画面均一性を損なわずに輝度を向上させることが可能となる。
【0026】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートは、図2に示すように、光源から拡散シートに斜めから入射した入射光を出射面の法線方向に効率的に立ち上げることが可能であるため、面内の輝度を向上させることが可能となる。ここで、光の入射角は、拡散シートの入射面の法線に対して入射光がなす角度をいう。第1の実施の形態に係る拡散シートは、10乃至80°の角度で入射した光を特に効率よく立ち上げる。また同時に平坦部は真下近傍からの光を法線方向に透過させることができる。このように平坦部と粗面部が微小スケールで混在、言うなれば低拡散角度部と高拡散角度部が微小スケールで混在することにより全体的に効率的に出射面の法線方向に透過させる結果、シート全体平均の拡散角度に比して正面輝度を高めることができる。
【0027】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートにおいては、図3に示すように、平坦部の平均高さと、粗面部の平均高さとが異なっていることが好ましい。その差は、0.1μm以上20μm未満であることが好ましい。高い光立ち上げ効果、つまり高輝度を得るためには、平坦部の平均高さと、粗面部の平均高さとの差は0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜15μmがより好ましく、2μm〜12μmがさらに好ましく、3μm〜10μmが特に好ましい。なお、図3においては、粗面部の平均高さが平坦部の平均高さよりも高い場合を示しているが、平坦部の平均高さが粗面部の平均高さより高くてもよく、その場合においても、好ましい平均高さの差は同様である。
【0028】
第1の実施の形態に係る平坦部に囲まれた粗面部を面内に有する拡散シートにおいて、平坦部に囲まれた粗面部の幅Lとは、上述した超深度カラー3D形状測定顕微鏡の測定結果で粗面部と認識された部分を画像解析し、粗面部を略楕円形と認識させ、略楕円形の最長径の長さを各粗面部で求め、求められた10個の長さの平均値をいう。高い光立ち上げ効果、つまり高輝度を得るためには、平坦部に囲まれた粗面部の図4に示す幅Lは、0.1μm以上100μm未満であることが好ましい。粗面部の幅Lの下限は0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。粗面部の幅Lの上限は50μm未満がより好ましく、10μm未満がさらに好ましく、5μm未満が特に好ましい。
【0029】
平坦部と粗面部の面積割合は、面内の輝度ムラを抑制しつつ、輝度を向上させるという観点から5:95〜50:5であることが好ましい。より好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜80:20、さらに好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜70:30、よりさらに好ましくは、平坦部:粗面部=5:95〜60:40、特に好ましくは、平坦部:粗面部5:95〜50:50、最適の範囲は平坦部:粗面部=5:95〜40:60である。
【0030】
なお、平坦部と粗面部の面積は、超深度カラー3D形状測定顕微鏡の測定結果から次の方法で算出する。前述の超深度カラー3D形状測定顕微鏡により、任意の箇所に引いた直線を隣接する幅5μmの区間に分割し、それぞれの区間内の測定点の高さを測定してその区間における最大高さ(Ry)を求める。これを10区間以上求める。最大高さ(Ry)が2μmより大きい区間は粗面部、Ryが2μm以下の区間を平坦部とし、粗面部となった区間の数aと平坦部となった区間の数bから、以下に示す式(2)及び式(3)でそれぞれの面積の割合を求める。
粗面部面積割合(%)=a2/(a2+b2)×100 ・・・(2)
平坦部面積割合(%)=b2/(a2+b2)×100 ・・・(3)
【0031】
平坦部/粗面部構造は、第1の実施の形態に係る拡散シートの全面に設けられてもよいし、部分的に設けられてもよい。例えば、拡散シートの光源の直上に相当する領域に、部分的に平坦部/粗面部構造が設けられていてもよい。あるいは、光源と光源との間に相当する領域に部分的に平坦部/粗面部構造が設けられていてもよい。拡散シートの平坦部/粗面部構造ではない部分の表面には、平坦部/粗面部構造とはならない微細凹凸が設けられていてもよいし、微細凹凸が設けられていなくてもよい。拡散シートの全面積に対する、平坦部/粗面部構造が設けられた部分の面積が占める割合は、十分な輝度向上能力を発現するという観点から、30%以上であることが好ましく、50%以上であればさらに好ましい。
【0032】
第1の実施の形態に係る拡散シートから出射する光の拡散角度は、0.1゜以上120゜以下の範囲内であることが好ましい。高い輝度ムラ抑制効果を得るためには20゜以上100゜以下であることが好ましく、さらに好ましくは20゜〜80゜の範囲、より好ましくは20゜〜60゜の範囲、それより好ましくは25゜〜50゜の範囲、それ以上に好ましくは25゜〜40゜の範囲、最適であるのは25゜〜35゜の範囲である。ここで、光の拡散角度とは、図5に示すように、透過拡散光の出射角度を横軸、強度を縦軸として、出射角度に対する透過光強度の分布をとったときに、強度がピーク強度の半分となる出射角度(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width at Half Maximum)をいう。
【0033】
光の拡散角度は、例えば日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いて、拡散シートの平坦部/粗面部構造が設けられた面に対して法線方向から入射した光の透過光の出射角度に対する光強度の分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートに対する法線方向とは、図2で説明したように、拡散シートの表面又は底面に対して垂直な方向である。
【0034】
また、光の拡散角度は、Photon.Inc のFar−field Profiler LD8900の測定面に、平坦部/粗面部構造が設けられた面を外側にして拡散シートをおき、拡散シートの底面に垂直にレーザーを照射して、透過光の出射角度に対する強度の分布を求めることによっても、測定可能である。
【0035】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、シート面に平行な方向の測定において、測定方向によらず、FWHMがほぼ同じ拡散角度が得られる等方拡散シートであり得る。しかし、測定方向によって、FWHMが異なる異方拡散シートであってもよいし、等方拡散となる部分と異方拡散となる部分とを両方含んでいてもよい。なお、異方拡散シートであった場合も、拡散角度は、上述したように、0.1゜以上120゜以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは20゜〜80゜の範囲、より好ましくは20゜〜60゜の範囲、それより好ましくは25゜〜50゜の範囲、それ以上に好ましくは25゜〜40゜の範囲、最適であるのは25゜〜35゜の範囲である。
【0036】
例えば、拡散シートに不均一な粗面部構造を設けなくても、拡散シートの基材内部に基材とは屈折率の異なる球状又は楕円球状の粒子を含有させても、0.1゜以上120゜以下の拡散角度は、実現され得る。しかし、表面に不均一な粗面部構造が設けられた拡散シートのほうが、シートの厚みを薄くすることが可能である。また、拡散角度の制御を容易にすることを可能にし、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源の数が少なくても輝度ムラを解消するという顕著な効果をもたらす。
【0037】
また、第1の実施の形態に係る拡散シートの光学特性は、図5に示すFWHMと、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度(FWTM:Full Width at Tenth Maximum)の比率であるFWTM/FWHMで表現することができる。 すなわち、FWTMは粗面部の光学特性をより反映し、FWHMは平坦部の光学特性をより反映しているので、その比率であるFWTM/FWHMでまとめることができる。その場合本発明における1.5以上10以下であることが好ましい。より好ましい下限値は1.7以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。またより好ましい上限値は2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。この範囲内において輝度向上効果がよりよく発揮される。なお、FWTMは、FWHMと同様に測定可能である。
【0038】
例えば、図10に示す表面形状を有する、市販品の拡散シート(ツジデン(株)製D141、表面に半球状の均一形状を有するビーズが埋め込まれたもの)では、FWTM/FWHMの値は14となる。
また、図11の出光パターンにおいては、図8の表面形状を有する拡散シートのFWTM/FWHMの値は2.2であり、図9の表面形状を有する拡散シートのFWTM/FWHMの値は1.6である。
また、図12は図11に示されたものとは別の、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートA、Bの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは25°である。この出光パターンにおいては、拡散シートAのFWTM/FWHMの値は2.5であり、拡散シートBのFWTM/FWHMの値は1.7である。
【0039】
また、第1の実施の形態に係る拡散シートにおいては、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50〜99.5%であることが好ましい。より好ましい下限値は70%であり、さらに好ましくは77%、それ以上に好ましくは80%、それ以上に更に好ましいのは85%である。またより好ましい上限値は98%であり、さらに好ましくは95%である。この範囲内において輝度向上効果がよりよく発揮される。この積分値については、変角光度計(GC−5000L)或いはPhoton.Inc のFar−field Profiler LD8900で測定したデータから計算できる。
【0040】
図11に図8の表面形状を有する拡散シートの出光パターン、および図9の表面形状を有する拡散シートの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは35°である。図8の表面形状を有する拡散シートは、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して87.6%である。これに対し、図9の表面形状を有する拡散シートの出光パターンにおいては、上記の割合は97.3%である。
【0041】
また、図12に、図11に示されたものとは別の、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートA、Bの出光パターンを示す。いずれも等方拡散であり、FWHMは25°である。拡散シートAは、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して92.1%である。これに対し、拡散シートBの出光パターンにおいては、上記の割合は99.5%である。いずれも、モアレ抑制および画面均一性に優れているが、輝度向上効果はシートAの方がシートBよりも優れている。
【0042】
第1の実施の形態に係る拡散シートの平坦部/粗面部構造は、入光面及び出光面のいずれかに設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。しかし、輝度向上及び輝度ムラ軽減の観点から、平坦部/粗面部構造は、出光面に設けられていることが好ましく、入光面は平滑であることがより好ましい。なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、入光面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も、平滑であるものとする。
【0043】
次に、第1の実施の形態に係る拡散シートの製造方法について説明する。第1の実施の
形態に係る拡散シートの製造方法としては、1)好適な微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造の表面形状をシミュレーションにより計算し、レーザー微細加工等によって表面形状のマスタを製造する方法、2)予め表面に粗面部となるような凸部を有するシート基材を作製し、シート基材の必要箇所に樹脂を塗工して、谷間を埋めて樹脂層を形成し、微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造となるように表面形状を制御する方法、3)予め表面に平坦部となるような不均一凹凸を有するシート基材を作製し、シート基材の必要箇所に樹脂を賦形して粗面部となる部位を形成し、微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造となるように表面形状を制御する方法などが挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いることも可能である。
【0044】
2)の方法においては、形成される粗面部形状と同程度の大きさの基底凹凸形状が設けられたシート基材が予め作製される。基底凹凸形状とは、例えば、表面に多数の不規則な形状の突起部が設けられた形状である。この形状としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造であることが好ましい。
【0045】
干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される3次元構造は、機械加工では困難であった20μm以下の基底凹凸形状の形成に適している。特に、非平面スペックルを用いて基底凹凸形状を形成する方法は、拡散シート上の領域に応じて、拡散角度を変えるような場合に、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。なお、干渉露光によって形成された基底凹凸形状は、高さ及びピッチが不規則となるため、モアレ抑制効果や0次光を排除する効果を有する。
【0046】
また、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された3次元構造を表面に有し、面内において拡散角度が変化するようにしてもよい。このようなシート基材は、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御し、適切な拡散角度を有する凹凸構造、あるいは位置によって異なる拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができる。
【0047】
一般に、拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ角度範囲が広い。また、基底凹凸形状の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された基底凹凸形状とすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となり、この場合は異方拡散性を有するものとなる。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写して賦形用マスタを作製する。光硬化性樹脂層に、賦形用マスタを用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。詳細な製造方法については、例えば、特表2003−525472号公報に開示されている。また、拡散角度は凹凸構造のピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御しても構わない。光源からの距離や、光源の強度に応じて拡散角度を適切に調整すれば、輝度ムラを良好に解消し、かつ輝度を向上させることが可能となる。
【0048】
次に、パターンが転写されたシート基材に樹脂を塗布する。シート基材上への樹脂の塗布方法としては、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、及びスプレーなどを用いる方法が使用可能である。好ましくは、拡散角度の滑らかな変化を付与する観点から、スプレー及びダイコーターが用いられる。また、マスク等を用いて、樹脂をシート基材上の必要箇所に塗工されるようにしてもよい。さらに、樹脂層となる液には、拡散角度の滑らかな変化を付与する観点から、溶剤を添加してもよい。溶剤の添加量は形成する平坦部/粗面部構造に応じて適宜調整されるが、一般的には樹脂100部に対して溶剤を1部から5000部添加する。
【0049】
シート基材は、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であればよく、特に、基材単体での光透過率が75%以上であることが好ましい。
この場合「光」とは、可視光であれば特に限定しないが、例えば、本実施形態の拡散シートを用いた光源ユニットにおける光源より射出される光である。
前記光透過率は、例えば、(株)島津製作所社製の紫外可視分光光度計(MPC−2200)を用いて、光源と検出器との間に基材をセットし、550nmにおける入射光強度及び透過光強度を検出した後、下記式(4)によって算出することができる。
光透過率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおける入射光強度)×100 ・・・(4)
【0050】
基材の厚さは、特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。
基材の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂等が挙げられる。
また、ガラスとしては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
【0051】
シート基材に樹脂を塗布した後、紫外線照射などの方法により、樹脂を硬化させる。硬化させる工程は熱硬化性樹脂を使用した熱による硬化させる方法や、樹脂を溶剤に溶かして塗布した後に乾燥させて硬化させる方法でもよいが、作業性、表面硬度の観点から紫外線照射による硬化工程が好ましい。樹脂の塗工量、樹脂の希釈量、樹脂の塗工部位を制御することによって、平坦部/粗面部構造の凹凸の比率、平坦部/粗面部の面積比率、形成される微細凹凸の粗さを適切な値にし、必要な光学性能を得ることができる。
【0052】
3)の方法においては、形成される平坦部形状と同程度の大きさの基底凹凸形状が設けられたシート基材が予め作製される。これは前述の2)と同様の方法で得られる。このシートに対して、粗面部形状を有するマスタを用いて紫外線硬化樹脂を賦形し、粗面部の凹凸形状を形成することで実施の形態に係る拡散シートを得ることが出来る。
上記2)3)の方法においては、一種類の基底凹凸形状を設けたシート基材を用いて、塗工による平坦部の形成、または賦形による粗面部の形成によって、多種類の拡散シートを得ることが可能となるというメリットがある。
【0053】
また、別の製造方法として、上記の金属電鋳を行う前のサブマスタに対して樹脂を塗布して所望のパターンを得た後、これをサブマスタとして金属電鋳加工し、賦形用マスタとするやり方もある。得られた金属製の賦形用マスタを用いて、前述と同じ方法で、光透過性樹脂層に紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面に光学パターンを転写し、実施の形態に係る拡散シートを得る。
【0054】
なお、上記2)、3)の方法を用いて製造されたシート自身を最終製品の拡散シートとして用いることも可能であり、さらにはこの表面形状をコピーして、マスタとして用いることも可能である。
【0055】
また、金属平板マスタまたは金属ロールマスタによって、基材表面に光学パターンを賦形する方法の他に、上記光学パターンの形状を有する金属金型を製造して、これを用いた射出成形を行うことにより、上記光学パターンが形成された拡散板或いは導光板を製造することも可能である。
【0056】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第2の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シートも含む。
【0057】
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記要件を満たす。
比率であるFWTM/FWHMのより好ましい下限値は1.7以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。またより好ましい上限値は2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。
【0058】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第3の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して60%〜99.5%である拡散シートも含む。
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記式の範囲内である。
より好ましい下限値は70%であり、さらに好ましくは77%、それ以上に好ましくは80%、それ以上に更に好ましいのは85%である。またより好ましい上限値は98%であり、さらに好ましくは95%である。
【0059】
第1の実施の形態に係る拡散シートは、前述の第4の態様に係り、表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たす拡散シートも含む。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
先述のように、図8、9の表面形状を有する拡散シートおよび図12の出光パターンを有する光学シートA,Bはいずれも上記式の範囲内である。
さらに好適なのは、70<x<99.5、1.5<y≦2.5で上記式(1)を充足する範囲である。
【0060】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、前述の第5の態様に係り、図6に示すように、光を放射する2つ以上の光源1と、前記光源と平行に配置された第1の実施の形態に係る拡散シート3と、を備える。光源1としては、図6(a)に示すように、冷陰極管(CCFL)などの線光源を用いることができる。あるいは、線光源1の代わりに、図6(b)に示すように、LED(発光ダイオード)及びレーザーなどの点光源2を用いることができる。図6の例において、光源1は本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3の入光面及び出光面に対して、直下に配列されている。
【0061】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(c)に示すように、光源1と本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3との間に、平面性及び自立性を保持するために、透明な板や拡散板5をさらに備えていてもよい。拡散板5は、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンポリマーなどに、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子等の拡散剤を添加したものを用いることができる。
【0062】
また、拡散板5は、表面に凹凸構造が設けられていてもよい。拡散板5表面の凹凸構造としては、等方性のマイクロレンズ、異方性のプリズム状列或いはレンチキュラーレンズなどが表面に設けられていてもよい。レンチキュラーレンズの断面は厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。これらには、必要に応じて、有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。
【0063】
拡散板5には、例えば、デラグラスDL/DHシリーズ(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、ゼオノア拡散板(日本ゼオン(株)製)、及びMicrolens Brightness Film(Bright View Technologies(株)製)等が使用可能である。また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板を用いてもよい。
【0064】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、光源1に対して本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3の反対側に配置された反射シート4をさらに備えていてもよい。反射シート4は、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、及びポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシートなどを用いることができる。また、反射シート4は、表面に凹凸構造が形成されていてもよい。反射シート4には、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0065】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、本発明の第1の実施の形態に係る拡散シート3から出射する光を受ける拡散シート6をさらに備えていてもよい。拡散シート6は、面内で均一な拡散性能を持つ拡散板が好ましい。また拡散シート6は、複数枚配置されてもよい。拡散シート6としては、表面に拡散剤としての複数のビーズがコートされた拡散シート、表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シート、及び集光拡散シートなどを用いることができる。
【0066】
表面に複数のビーズがコートされた拡散シートとしては、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面に光拡散性を有するビーズをウェットコートした光学シートが使用可能であり、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。光拡散性ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、シリカビーズ、硫酸バリウム、酸化チタン、及び珪酸カルシウムなどが用いられる。具体的には、TDF−127(商品名、東レセハン(株)製)、オパルスBS−080(商品名、恵和(株)製)、及びD141(商品名、ツジデン(株)製)等が使用可能である。
【0067】
表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートとしては、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にランダムな凹凸形状を形成したものが使用可能であり、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。詳細な製造方法は特開2002−202508号公報、及び特開2002−148416号公報にも記載されているが、例えばポリカーボネートなどの非結晶性樹脂のシート形成時にロール圧着を行い、その際使用するロールの表面をランダムな凹凸にすることにより得られる。このような拡散シートとしては、例えば、オパルスPC−ES(商品名、恵和(株)製)等が使用可能である。
【0068】
表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートは、例えば、特表2003−525472号公報に記載されている方法で製造可能である。具体的には、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、スペックルパターンを形成させたサブマスタを作製する。次に、作製されたサブマスタに電鋳などの方法で金属を被着し、金属にスペックルパターンを転写してマスタを作製する。その後、光硬化性樹脂層に、マスタを用いて紫外線による賦形を行い、光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。表面にランダムな凹凸形状が設けられた拡散シートとしては、例えば、LSD(Light Shaping Diffuser、Luminit社製)が使用可能である。
【0069】
集光拡散シートとは、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にレンズパターンを設けた光学シートを指し、主にバックライトの光を拡散させ均一化させるとともに、拡散された光を集光するという複合的な目的で用いられる。アレイ状のレンズは、例えば、アクリル系樹脂の球状ビーズをシート上に塗布することによって設けられる。また、他には紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造をポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写することによって得ることもできる。この他に、機械加工やエッチング法によっても製造することができる。厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。集光拡散シートとしては、例えば、PTR733(商品名、シンファインターテック(株)製)、UTE−21(商品名、未来ナノテック(株)製)、及びML13MK(商品名、SKC Haas(株)製)等が使用可能である。
【0070】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(d)に示すように、拡散シート3を出射した光を受けるプリズムシート7をさらに備えていてもよい。プリズムシート7は、例えばPETフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリスチレンなどの基材表面にアレイ状のプリズムパターンを設けた光学シートであり、主にバックライトの光を集光させ輝度を向上させる目的で用いられる。プリズムパターンは厳密にプリズム形状でなくてもよく、頂部にR形状を施したものや、ウェーブフィルム状、又は下向きプリズム状であってもよい。
【0071】
プリズムシート7には、例えば、ビキュイティBEFIII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティBEFII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティRBEF(商品名、3M(株)製)、LES−T2F(商品名、LGケミカル(株)製)、ウェーブフィルムW818(商品名、3M(株)製)、及びダイヤアートC(商品名、三菱レイヨン(株)製)等が使用可能である。プリズムシート7の材料としてはアクリル系フォトポリマーやポリカーボネートなどがよく用いられるが、これに限定されない。
【0072】
第2の実施の形態に係る光源ユニットは、図6(e)に示すように、拡散シート3を出射した光を受ける反射型偏光シート8をさらに備えていてもよい。反射型偏光シート8は、自然光又は偏光から直線偏光を分離する機能を有する。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シート8としては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M(株)製)等が使用可能である。
【0073】
第2の実施の形態に係る光源ユニットの拡散シート6、プリズムシート7、及び反射型偏光シート8の数及び配置は、様々に変更可能である。例えば、図6(f)に示すように、拡散シート3上に、複数の拡散シート6を配置してもよいが、本発明の実施の形態に係る拡散シートの輝度向上機能をより良く発揮するためには、光源側から、拡散板/本発明の実施の形態に係る拡散板/市販の拡散シート2枚/反射型変更シートとなるように光学シートを配置することが好ましい。さらには、本発明の実施の形態に係る拡散シートは、拡散シート面内に入射する光強度に合わせて拡散角度を変化させることが好ましい。光強度に対して正相関で拡散角度を変化させるように拡散シートの光学特性を制御することがより好ましい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る液晶表示装置は、前述の第6の態様に係り、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する第2の実施の形態に係る光源ユニットと、を備える。
以上説明した第2の実施の形態に係る光源ユニットの上方に液晶表示パネルを配置し、液晶表示パネルに輝度ムラのない光を照射することで、高画質の液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0074】
(その他の実施の形態)
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、及び形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【実施例】
【0075】
次に、実施例及び比較例を挙げて実施の形態をより具体的に説明するが、実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(構成例)
光源として、配光特性がランバート(Lambertian)タイプのLEDを、図7に示すような千鳥格子状に配置した。LEDの下方には反射シートを配置した。また、反射シートからの距離が40mmとなるよう、光源の上方に拡散板を配置した。拡散板は、旭化成イーマテリアルズ株式会社製であり、基材のポリスチレン中に平均粒径が2μmで真比重が1.35のシリコーン微粒子を1.3重量%含み、厚さは1.5mmである。
【0076】
さらに、上記拡散板の上に、上記拡散板と接するように、本発明の実施例に係る拡散シートを配置した。本発明の実施例に係る拡散シートの上方には、2枚の拡散シート(本発明の実施例に係る拡散シートとは異なる拡散シート)と、反射型偏光シートと、を配置し、構成例に係る光源ユニットとした。上記2枚の拡散シートには、東レセハン株式会社製のTDF−127を用いた。また、反射型偏光シートには、3M株式会社製のDBEFを用いた。
【0077】
平坦部/粗面部面積割合は次の方法で求めた。株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用いて、任意の箇所に引いた直線を隣接する幅5μmの区間に分割し、それぞれの区間内の測定点の高さを測定してその区間における最大高さ(Ry)を10区間以上測定した。最大高さ(Ry)が2μmより大きい区間は粗面部、Ryが2μm以下の区間を平坦部とし、粗面部となった区間の数aと平坦部となった区間の数bから、前述の式(2)及び式(3)でそれぞれの面積の割合を求めた。
【0078】
(実施例1)
125μm厚PETフィルム表面に、特表2003−525472号公報に記載の干渉露光により形成されたスペックルパターンの基底凹凸形状を有する、拡散角度が80°のシート基材を用意した。次に、上に、メタノールで希釈したウレタンアクリレート系の紫外線硬化樹脂溶液を塗布した。希釈割合は樹脂量5重量%であった。また、希釈した紫外線硬化樹脂溶液の塗工量は0.1ml/cm2であった。塗布後、メタノールを蒸発させ、UV照射で硬化させたところ、不均一な微細凹凸を有する平坦部/粗面部構造がシート基材上に形成された。得られた拡散シートの面内の平均拡散角度は49°であった。また、平坦部:粗面部の面積比は8:92であった。また、FWTM/FWHMは1.6、表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合は84.1%であった。粗面部の幅は平均1.8μmであった。さらに、得られた拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットの輝度は636cd/m2であり、目視での輝度ムラは観察されなかった。
【0079】
(実施例2)
実施例1と同様の製造方法によって、125μm厚PETフィルムの表面に、微細凹凸が不均一に設けられ、拡散角度が25°であり、平坦部:粗面部の面積比が11:89であり、FWTM/FWHM=2.1であり、表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合が94.3%である、実施例2に係る拡散シートを作製した。粗面部の幅は平均3.8μmであった。さらに、実施例2に係る拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットの輝度は646cd/m2であり、目視での輝度ムラは観察されなかった。
【0080】
(実施例3)
厚み250μmのPETシート基材表面に、特表2003−525472号公報に記載の干渉露光法により形成されたスペックルパターンの基底凹凸形状を有する、拡散角度が57°の拡散シートを用意した。この拡散シートのFWTM/FWHM=1.6であり、スペックルパターンの基底凹凸形状においては、粗面部を楕円で近似したときに隣接する粗面部が互いに一部接触しており、粗面部の幅を算出することはできなかった。表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の、出光パターン全体の積分値に対する割合は82.2%であった。SEMによる表面形状を、図13に示す。次に、用意した拡散シートを用いて、構成例に係る光源ユニットを作製した。作製した光源ユニットにおいて、目視での輝度ムラは観察されず、輝度は626cd/m2であった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、電器産業等で利用可能である。具体的には、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、及びノートパソコン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 光源
3 本発明の実施例に係る拡散シート
4 反射シート
5 拡散板
6 本発明の実施例に係る拡散シートとは異なる拡散シート
7 プリズムシート
8 反射型偏光フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、
前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シート。
【請求項2】
前記平坦部の平均高さと、前記粗面部の平均高さとの差が、0.1μm以上20μm未満である、請求項1に記載の拡散シート。
【請求項3】
前記粗面部の幅が1μm以上100μm未満である、請求項1又は2に記載の拡散シート。
【請求項4】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度が、0.1度以上120度以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項5】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項6】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の光の強度の積分値に対して50%〜99.5%である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項7】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シート。
【請求項8】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50%〜99.5%である拡散シート。
【請求項9】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たすことを特徴とする拡散シート。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
【請求項10】
光を放射する2つ以上の光源と、
前記光源と平行に配置された請求項1乃至9のいずれか1項に記載の拡散シートと、
を備える光源ユニット。
【請求項11】
前記光源及び前記拡散シートの間に配置され、拡散剤を含有する拡散板と、
前記光源に対して前記拡散シートの反対側に配置された反射シートと、
を備える請求項10に記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記拡散シートから出射する前記光を受けるレンズシートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項13】
前記拡散シートから出射する前記光を受けるプリズムシートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項14】
前記拡散シートから出射する前記光を受ける反射型偏光フィルムを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項15】
前記拡散シートから出射する前記光を受ける、拡散剤を含有する第2の拡散シートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項16】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を供給する請求項12乃至15のいずれか1項に記載の光源ユニットと、
を備える、液晶表示装置。
【請求項1】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下である平坦部と、前記微細凹凸の最大高さ(Ry)が2μmより大きい粗面部と、を有しており、
前記平坦部は前記粗面部を取り囲むように存在している拡散シート。
【請求項2】
前記平坦部の平均高さと、前記粗面部の平均高さとの差が、0.1μm以上20μm未満である、請求項1に記載の拡散シート。
【請求項3】
前記粗面部の幅が1μm以上100μm未満である、請求項1又は2に記載の拡散シート。
【請求項4】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度が、0.1度以上120度以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項5】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項6】
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の光の強度の積分値に対して50%〜99.5%である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の拡散シート。
【請求項7】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMが、1.5以上10以下である拡散シート。
【請求項8】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値が、出光パターン全体の積分値に対して50%〜99.5%である拡散シート。
【請求項9】
表面に微細凹凸が不均一に設けられた拡散シートであって、
前記表面から出射する光の出射角度を横軸とし、
前記表面から出射する光の強度を縦軸とする出光パターン分布において、
出光パターン全体の積分値に対する前記表面の法線方向から30°以下の方向に出射する光の強度の積分値の割合(%)をxとし、
前記出射する光の強度がピーク強度の半分となる出射角度の2倍の角度である拡散角度FWHMに対する、強度がピーク強度の1/10となる出射角度の2倍の角度FWTMの比FWTM/FWHMをyとした時、下記の式(1)を満たすことを特徴とする拡散シート。
y>0.011x+0.64(但し50<x<100、1.5<y≦2.5)・・・(1)
【請求項10】
光を放射する2つ以上の光源と、
前記光源と平行に配置された請求項1乃至9のいずれか1項に記載の拡散シートと、
を備える光源ユニット。
【請求項11】
前記光源及び前記拡散シートの間に配置され、拡散剤を含有する拡散板と、
前記光源に対して前記拡散シートの反対側に配置された反射シートと、
を備える請求項10に記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記拡散シートから出射する前記光を受けるレンズシートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項13】
前記拡散シートから出射する前記光を受けるプリズムシートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項14】
前記拡散シートから出射する前記光を受ける反射型偏光フィルムを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項15】
前記拡散シートから出射する前記光を受ける、拡散剤を含有する第2の拡散シートを更に備える、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項16】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を供給する請求項12乃至15のいずれか1項に記載の光源ユニットと、
を備える、液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−81366(P2011−81366A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199897(P2010−199897)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]