説明

拭き取り物品

表面の濡れた/湿った状態での拭き取りのための物品は、その物品の少なくとも1つの表面を提供する水分吸収性ワイプを含み、このワイプは竹繊維を含む。このワイプは、繊維材料で形成されてよい、そして竹繊維の重量基準で少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を拭き取るのに使用するための物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明はかなり長時間にわたって濡れた又は湿った状態にあることが見込まれる仕方で使用されることを意図した拭き取り物品に関わる。本発明は、より具体的には、だがもっぱらではないが、家庭環境における硬質表面、例えば、台所および浴室備品および器具の表面を拭き取るのに使用することを意図した種類の拭き取り物品に関わる。
【0003】
「ワイプ」として知られている形態の拭き取り物品は、作業表面および床などの表面を拭き取るために家庭、工業、病院および食品産業環境を含む様々な環境における消費者により広く使用されている。本明細書で使用するとき、用語「ワイプ」とは、その特性が拭き取り作用を発揮するウェブ材料の両面で表面の拭き取りにそれ自体において効果的であるようなものである(即ち、例えば、別の材料と層をなしたり、又はラミネートされたりしないで表面を拭き取るために取り扱うことができ且つ使用することができる)1枚のウェブ材料を意味する。ペーパタオルからテキスタイル・ディシュクロスおよびフロアクロスまでに及ぶ、多数の異なる種類のワイプが現在入手可能である。
【0004】
ワイプに使用されるウェブ材料の種類は、ワイプが発揮することが要求される洗浄/拭き取り機能、およびその意図される寿命に依存する。ワイプによっては乾燥状態で使用されることが意図されるもの(例えば、こぼれた液体を拭き取るのに使用されるペーパタオル)もあれば、湿った又は濡れた状態で使用されることが意図されるものもある。ワイプは、それらの耐久性に応じて「使い捨て」(ワイプが使用後直ちに廃棄されることが意図される)、「半使い捨て」(ワイプが限られた回数にわたり洗濯でき且つ再利用可能であることを意味する)、若しくは「再利用可能」(ワイプが、それが供されている使用に応じて不定回数にわたり洗濯され且つ再利用されることが意図されることを意味する)に分類することができる。湿った状態において使用されることが意図されていある特定のワイプ材料の望ましい特性は、低い「拭き取り性」測定値(濡れた表面が湿った材料で拭き取られた後に乾燥するのにかかる時間の示度)である。ある特定なワイプ材料のもう一つの望ましい特性は、短い「乾燥時間」(即ち、湿った/濡れた状態において使用された後に比較的に迅速に乾燥する能力)である。
【0005】
現在ワイプに使用されているウェブ材料の例としては、:「使い捨て」の分類に入っているワイプ用のスパンボンド不織材料:「使い捨て」および「半使い捨て」の分類に入っているワイプ用のスパンレース不織材料:並びに「再利用可能」の分類に入っているワイプ用の編物、織物、および熱結合不織材料が挙げられる。
【0006】
消費者によって頻繁に報告されている問題は、湿った又は濡れた状態で家庭環境において使用されることが意図されている「半使い捨て」および「再利用可能」の分類に入っているワイプが、ワイプそれ自身が他の点では依然として良好な状態にあるのに、不快な臭いおよび不快な、ぬるぬるした感触の形態で非衛生的な外観を呈し得ることにある。
【0007】
消費者は、ワイプが耐用期間中に外観を可能な限り衛生的に保持するようにワイプを使用と使用との間に可能な限り乾燥した状態にしておくことにより(物品が概して絶えず使用されているのでこれの機会が極めて限られていることが多いが)又はそれらを漂白剤などの薬品中でリンスすることによって消費者自身でこの問題に取り組もうとしている。しかしながら、ますます、消費者はこのような薬品の使用について環境上の懸念を持っている、そして可能であれば、それらの使用を回避することを好むであろう。消費者はワイプの状態を回復させることに費やせる時間を余りもっていないこともまた分かっており、そしてコストを考慮しているにも関わらず、それらが不快な臭いおよび/又は感触を生じさせるのでそれらの耐用期間が終わる前にそれらを捨ててしまう。
【0008】
製造業者が、主として拭き取られつつある表面を処理するためにおよび/又は洗浄物品による細菌感染の移動を抑止するために洗浄物品を殺生物剤(例えば、第四級アンモニウム塩)又は他の薬品で含浸させることが知られている。このように処理されたワイプは、ワイプはその耐用年数全体を通じて衛生的外観(臭いおよび感触の観点から)を保持すべきであるという、上述の、消費者要件への対処に成功することは限られていた:場合によっては、この成功の不足は殺生物/化学処理に付随した環境上の懸念に起因してきた、そして、他の場合においては、これらの処理が消費者が望む効果を単純には発揮しなかった。
【0009】
殺生物剤で含浸された洗浄物品は、例えば、EP−A−0 869 216;WO 94/12034;EP−A−358 572およびUS−A−3 018 192に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
湿った状態で包装される洗浄物品内に殺生物剤を含ませることもまた知られている。使い捨て含浸ワイプは、例えば、それらが直ぐに使用できるように「濡れた」状態で包装される、そして包装内のカビの成長を抑制するために殺生物剤で処理されてよい。これらの殺生物剤の存在はまた、環境上の理由で消費者にとって懸念になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、概してワイプの性能の改善、特に表面の濡れた/湿った状態での拭き取りを目的とした水分吸収性ワイプに関わる。より具体的には、本発明は特別な処理(単数又は複数)を必要とせずに濡れた又は湿った状態(使用中、又は使用前の包装内のいずれかで)に放置されても不快な臭い又は感触の形態で非衛生的な外観を生じさせそうにない表面の濡れ/湿り拭き取りを目的とした水分吸収ワイプの提供に関わる。このワイプは、表面の濡れ/湿り拭き取り用の物品としてそれ自体において使用されてもよいし、あるいは別の材料に結合されて、それがこのような物品の拭き取り表面を提供するようになっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、表面の濡れ/湿り拭き取りのための物品であって、この物品がこの物品の少なくとも1つの表面を提供する水分吸収性ワイプを含み、このワイプが竹繊維を含む、物品を提供する。
【0013】
それで水分吸収性ワイプが形成される材料の中に竹繊維を含有することにより、ワイプが濡れた又は湿った状態に放置された場合に衛生的な外観を保持する時間の長さを増加させることが可能であることが分かってきた。竹繊維を含むことによって、特にネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)に関して、バクテリア汚染(bacterial contamination)に対する耐性および静菌性活性(bacteriostatic activity)度を有するある特定のワイプを提供できることがまた注目されてきた。竹繊維を含有することが、ある特定のワイプの「拭き取り性」およびある特定のワイプの「乾燥時間」を改良できることがさらに注目されてきた。
【0014】
繊維素材の中で竹繊維の使用は、既に知られていて、そして衣服、タオル、および医療包帯に使用することを目的とした繊維素材の場合に、竹繊維の含有が、結果的に水分吸収性および抗菌特性の改良をもたらすことが既に認識されてきた(例えば、WO 2005/068697およびJP−A−2001/115347を参照)。
【0015】
MRSAおよび大腸菌などの潜在的に致命的な細菌感染の、このようなクロスによる、伝染を減少させることを目指して伝統的な種類のクリーニングクロスに竹繊維を使用することがまた、CN−A−1446515に、提案されてきた。このクロスは、クロスの所望の特性を実現するように層状にまとめて重ねられている複数の材料を含む:材料の層のいずれもが表面の拭き取りにそれ自体においては効果的でないが材料の両面が拭き取り作用を発揮する。
【0016】
表面の濡れ/湿り洗浄を意図したワイプにおける不快な臭いおよび不快な、ぬるぬるした感触の進行を防止するために竹繊維がまた使用できることが、かねてから認識されてきた。より具体的には、頻繁に、又はほぼ常時に濡れ/湿り状態にあるワイプが、もし竹繊維を組み込んでいれば、不快な臭いおよび/又は感触を生じさせそうにないことがこれまで認識されてこなかった。
【0017】
本発明に従った物品において、水分吸収性ワイプは不織、織り、編み構造を含むワイプに適していることが知られているいかなる構造にもすることができる繊維材料で形成されてよい。好適な織り又は編み材料の製造にあっては、この竹繊維がまず初めに連続ヤーンへ紡糸されるであろう(ないしは別の方法で形成される)。これに対して好適な不織布ウェブ材料の製造にあっては、ステープル又はカット竹繊維が典型的に使用されるであろう。この竹繊維は、他の材料の繊維(マイクロファイバーを含み)と組み合わせてウェブ材料内に存在し得るであろう。
【0018】
水分吸収性ワイプに使用される不織材料は、例えば、スパンレース材料;カードされた、クロスラップされたおよびニードルタックされた材料;および熱結合した材料を含むワイプに適していることが知られているいずれの構造にすることができる。この不織材料は、ラテックスコーティングされてよい、そしてマイクロファイバーを含んでよい。
【0019】
この不織材料は、特に、例えば、ウェブ材料がスパンボンド構造のものであるか又はニードルタック又は竹繊維を用いたステッチで強化される場合には、100%竹繊維を含んでよい。そうでなければ、100%竹繊維を含むこの不織材料は、材料の両側にコーティング、例えば、ラテックスコーティングを備えることにより強化されてよい。もう一つの選択肢として、サーモボンディング繊維が竹繊維とともに含まれている熱結合した材料が使用されてよい。
【0020】
この不織材料は、もう一つの選択肢として竹とその他の繊維又はマイクロファイバーの混合物を含んでよい。その場合には、この材料の繊維含有率は好ましくは重量基準で竹繊維の少なくとも10%を含む。その他の繊維/マイクロファイバーは、例えば、ビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール又はこれらの混合物の他の天然繊維又は繊維/マイクロファイバーを含む、ワイプに使用するのに適していることが知られているいずれの種類にしてもよい。ポリエステル繊維は、例えば、コストを低減させ且つもし必要であれば不織材料の磨耗耐性を向上させるために含有させることが可能である。繊維の混合物を含む不織材料はまた、コーティング、例えば、ラテックスコーティングを材料の両側に備えることによりおよび/又はサーモボンディング繊維を含有させることによりニードルタック又はステッチングにより強化されてよい。
【0021】
この不織材料は、典型的には乾燥重量15〜300gm/mの範囲において(この材料がもし該当すればより高い秤量を有することができるであろうが)、ワイプに適していることが知られている範囲の秤量を有してよい。
【0022】
幾つかのヴァージョンにおいて、本発明に従った物品は、それが使用前に濡らされたり/湿めらされたりする必要がないように既に濡らされ形態で包装できるであろう。
【0023】
本発明に従った拭き取り物品の一実施例が、ラテックスコーティングされた不織材料を含むワイプであり、この不織材料は75重量%竹繊維と25重量%ポリエステル繊維の混合物から形成されたカードされた、クロスラップされたおよびニードルタックされた材料である。このラテックスコーティングは、ワイプの総重量の約20%を占める。1つのヴァージョンでは、このワイプは210gm/m前後の秤量を有し、そして床などの大きな表面を洗浄することを意図している(それはモップのような洗浄道具へ取り付けられてもよい)。より小さい表面を洗浄するのにより好適な別のヴァージョンでは、このワイプは約170gm/mの秤量を有する。
【0024】
本発明に従った拭き取り物品の別の実施例は、またカードされた、クロスラップされたおよびニードルタックされた構造の熱結合したワイプであり、これは80重量%竹繊維と20重量%サーモボンディング繊維の混合物から形成されている。このサーモボンディング繊維は、ポリプロピレン繊維である。上述のように、1つのヴァージョンでは、このワイプは約210gm/mの秤量を有し、そして別のヴァージョンでは約170gm/mの秤量を有する。
【0025】
本発明に従ったワイプのさらなる実施例は、またカードされた、クロスラップされたおよびニードルタックされた構造の熱結合したワイプであり、これは75重量%竹繊維、15%ポリエステル繊維および10重量%サーモボンディング繊維の混合物から形成されている。このサーモボンディング繊維は、ポリプロピレン繊維である。このワイプは、約210gm/mの秤量を有する。
【0026】
本発明に従ったその他の拭き取り物品は、以下の非限定的な実施例においてより一層詳細に記載される。引用されるすべての部および百分率は、特に指示がない限り重量%である。
【0027】
これらの実施例は、以下の材料、装置および試験方法を用いた。
【0028】
材料
竹繊維:1.56dtexのデニールおよび38mmの長さを有する押し出し成型した短繊維は、中国、北京のチャイナ・バンブロ・テクスタイル社(China Bambro Textile Co.)から市販されている。
【0029】
ポリエステル繊維:竹繊維とほぼ同じデニールおよび長さ。
【0030】
ビスコース繊維:竹繊維とほぼ同じデニールおよび長さ。
【0031】
サーモボンディング繊維:日本、大阪のユニチカ社(Unitika Ltd.)から商標表示「メルティ」(MELTY)の下で入手可能なポリエステル繊維。
【0032】
装置
開繊・ブレンド装置:従来の装置(例えば、スペイン、ジローナの(MASIAS MAQUINARIA TEXTIL S.A.)から入手可能)。
【0033】
ウェブ製造装置:フィーダー重量制御付き従来式カーディング機(例えば、スペインのジローナのマシアス・マキネリア・テクスティル社(MASIAS MAQUINARIA TEXTIL S.A.)から入手可能)とその後に従来式のクロスラッピング機(例えば、イタリア、ピストイアのオートマテックス・ノンウオーブン社(AUTOMATEX NONWOVEN SRL)から入手可能)および従来式のニードルタッカー(例えば、オーストリア、リンツのフェーラー社(FEHRER GmbH)から入手可能)が続く。
【0034】
オーブン:従来式のオーブン(例えば、ドイツ、エーゲリスバッハのフライスナー社(FLEISSNER GmbH)から入手可能)。
【0035】
試験方法
「通常家庭内使用」試験:ワイプが10日の期間にわたり家庭の台所において通常起こるタイプの使用に供される(即ち、家庭内台所表面を清浄にするためにワイプが濡れた/湿った状態で毎日の経過において繰り返し使用され、そして各使用に続いてきれいな水道水でリンスされ且つ次に必要になるまで放置される)。ワイプの状態は、日常的に観察される。
【0036】
乾燥試験:乾燥ワイプは、重量が測られ、きれいな水道水に浸漬され、マングルのローラー間へ通され、そして再度重量が測られる。このワイプは、次いでドライオーブンセット内で23℃の温度において吊るされて、そして30分毎に重量が測られる。
【0037】
バクテリア汚染の測定:1枚の乾燥ワイプが、ネズミチフス菌の懸濁液がそこへ添加された殺菌袋内に定置された。この袋は、ワイプサンプル全体にわたってこの懸濁液を分配するために繰り返し圧搾された、それに続いてこの袋は封止されかつ20±2℃においてインキュベートされた。懸濁液のサンプルが、袋から間隔を置いて引き抜かれた、そしてバクテリア汚染について試験された。この測定は、バクテリア汚染の無い別のピースの乾燥ワイプを用いて繰り返された。
【0038】
拭き取り性試験:乾燥ワイプが、きれいな水道水内に浸漬され、そして次いでマングルのローラー間に通される。測定された量の水が、試験表面上に置かれ、そして湿ったワイプで拭き取られる。この表面は、次いで乾燥するままに放置され、そしてそれが乾燥状態に達するまで必要とされる時間が記録される。
【0039】
(実施例1)
熱結合した、カードされたおよびクロスラップされた不織布ウェブ材料が、75%竹繊維、15%ポリエステル繊維および10%サーモボンディング繊維から成る繊維混合物を使用して形成された。この繊維ベールは開放された、そしてこの繊維はウェブ製造装置へ送られる前に要求相対量でブレンドされた、そこでカードされたおよびクロスラップされた、ニードルタックされた、不織布ウェブが従来の方法で形成された。このウェブは、サーモボンディング繊維を軟化させ且つそれらをウェブにおいて他の繊維へ結合させ、そしてこれによって後者の安定性を向上させるのに十分な温度において操作されたオーブンを通過させられた。このウェブ製造装置は、約150gm/mの秤量を有する不織布ウェブを生成するよう操作された。約30cm×30cmのサイズを有するワイプサンプルが、次いで不織布ウェブからカットされた。
【0040】
(実施例2)
不織材料が37.5%竹繊維、37.5%ビスコース繊維、15%ポリエステル繊維および10%サーモボンディング繊維から成る繊維混合物を用いて形成されたことを除いて実施例1が繰り返された。
【0041】
(実施例3)
不織材料が75%ビスコース繊維、15%ポリエステル繊維および10%サーモボンディング繊維から成る繊維混合物を用いて形成されたことを除いて実施例1が繰り返された。
【0042】
(実施例4)
サンプルとして、ユニレバー社(Unilever)からバレリーナ(“Ballerina”)の商標名の下でスペインで市販されている、60%セルロース繊維および40%合成繊維から構成される従来式の熱結合した不織布ワイプを使用して実施例1が繰り返された。
【0043】
(実施例5)
ラテックスコーティングされたウェブ材料が、75%竹繊維および25%ポリエステル繊維から成る繊維混合物を使用して形成された。この繊維ベールが開放された、そして繊維がウェブ製造装置へ送られる前に要求相対量でブレンドされた、そこでカードされたおよびクロスラップされた、ニードルタックされた、不織布ウェブが従来の方法で形成された。このウェブは次いで両面にラテックスでコーティングされた、そしてラテックスコーティングを硬化させるために十分な温度において操作されたオーブンを通過させられた。総重量の約20%を構成するラテックスコーティングで仕上げられたウェブは、約210gm/mの秤量を有した。約30cm×30cmのサイズを有するワイプサンプルは、次いで不織布ウェブからカットされた。
【0044】
(実施例6)
竹繊維がビスコース繊維により置き換えられたことを除いて実施例5が繰り返された。
【0045】
結果
実施例1および3のワイプサンプルは、「通常家庭内使用」試験を受けた、そして実施例1〜4のサンプルは前述の乾燥試験を受けた。バクテリア汚染の測定は、実施例1および3のサンプルで前述のとおりに実行された、そして実施例5および6のサンプルが拭き取り性試験を受けた。
【0046】
「通常家庭内使用」試験中に、(竹繊維を全く含有しなかった)実施例3のサンプルがわずか数日後に不快な臭いおよび不快なぬるぬるした感触を生じさせることが観察されたのに対して、実施例1のサンプルは試験の全持続時間を通じてこのような影響がないままで終始した。これらのサンプルのすべての吸収特性は、拭き取り性(即ち、拭き取られた表面が乾燥するのにかかった時間の尺度)がそうであったように、ほぼ同じように見えた。
【0047】
乾燥試験の結果は、添付の図1に要約されている。これは乾燥オーブンにおける時間の関数として4つの分類のワイプサンプルによって保持された水の平均量を示す図表である。各分類のサンプルにより保持される水の量は、それらの乾燥重量の百分率として表された、特定の時間におけるサンプルの平均重量により指示される。この図表は、実施例1のサンプルが乾燥オーブン内で90分経過後に実質的に乾燥していたことを示しているのに対して、(竹繊維を全く含有しなかった)実施例3および4のサンプルはほぼ同じ状態に到達するのにほぼさらに1時間を要した。実施例2のサンプルは、特に試験の開始において実施例3および4のサンプルよりも速く乾燥したが、実施例1のサンプルよりもゆっくりであった。
【0048】
バクテリア汚染の測定値は、実施例1のサンプルがネズミチフス菌による汚染を受けたときにバクテリアの成長が3日後に停止したという静菌特性を有したことを示した。このような特性は、実施例3のサンプルでは全く観察されなかった。この測定値はまた、サンプルの汚染が7日の期間にわたって比較的に低いままであったことにおいて実施例1の汚染されていないサンプルがある程度の天然バクテリア汚染に対する耐性を有したことを示した。実施例3のサンプルの天然汚染は、他方において、同一の期間にわたって著しく増加した。
【0049】
この拭き取り性試験は、試験表面として鏡を使用して実行したときに、実施例6のサンプルでほぼ同じ方法で拭き取られたときの約110秒と比べて、表面が実施例5のサンプルで拭き取られたときに約60秒で乾燥したことを示した。試験表面としてテラゾ床および、関わった領域にあっては、表面にわたってより均等に分配された比較的に少ない量の水を使用して実行される場合、試験は実施例6のサンプルでほぼ同じ方法で拭き取られたときの約14分と比べてこの表面が実施例5のサンプルで拭き取られたときに約10分で乾燥したことを示した。
【0050】
結論
この試験は、湿った/濡れた状態で使用されることが意図されている熱結合した不織布ワイプ内に竹繊維を含有することは、結果的にワイプが竹繊維を含有しない同等な従来式のワイプよりも実質的により長い間使用に快適であり且つ衛生的な状態のままに留まっている。それらはまた使用後より速く乾燥されることができ、それらをユーザーにとってより魅力的にさせ且つ悪い臭いおよびいかなるぬるぬるした感触の発生を低減するのに役立つ。この試験はまた、竹繊維の含有がネズミチフス菌によるワイプの汚染に有益な影響を及ぼしたことを示している。編み又は織り構造のものを含み、竹繊維を組み込んだ他のワイプにほぼ同じ影響が、観察されるであろうことが期待されている。
【0051】
この試験はまた、竹繊維の含有がラテックスコーティングされた不織布ワイプがそれらの「拭き取り性」に有益な影響を及ぼしたことを示している。
【0052】
前述の本発明に従ったワイプは、それ自身において、表面の濡れ/湿り拭き取りのための物品を構成している。その場合に、ワイプの両表面は拭き取り作用を発揮する。典型的には、ワイプの両表面は同じ拭き取り作用を発揮するでろうが、それは必ずしも常に当てはまるとは限らない:ウェブ製造プロセスの変更修正、又は仕上げウェブのその後の処置を通して、ワイプの2つの側面が、例えば、それらの吸収特性又はそれらの研磨の性質の点で異なり得る。
【0053】
もう一つの選択肢として、前述の本発明に従ったワイプは、表面の濡れ/湿り拭き取りのための物品を提供するために別の材料に結合されてよい。第二の材料は、単純にワイプのための支持体を提供してよいが、通常では、洗浄表面に使用するのに好適な別の材料となるであろう(例えば、異なる拭き取り作用を発揮する材料)。これらの2種の材料は、例えば、好適な接着剤によってともにラミネートされてよい。この第二の材料は、例えば、繊維材料、スポンジ材料又はスポンジクロス材料で形成されてよい。もう一つの選択肢として、この第二の材料は不織布研磨材料であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】乾燥オーブンにおける時間の関数として4つの分類のワイプサンプルによって保持された水の平均量を示す図表。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の濡れ/湿り拭き取りの物品であって、前記物品が前記物品の少なくとも1つの表面を提供する水分吸収性ワイプを含み、前記ワイプが竹繊維を含む、物品。
【請求項2】
前記ワイプが、竹繊維の重量基準で少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ワイプが、繊維材料で形成されている、請求項1又は請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記繊維材料が、不織材料である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記不織材料が、スパンレース材料、カードされた、クロスラップされたおよびニードルタックされた材料、並びに熱結合した材料から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記不織材料が、ラテックスコーティングされた材料である、請求項4又は請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記繊維材料が、編み物又は織物材料である、請求項3に記載の物品。
【請求項8】
前記繊維材料が、15〜300gm/mの範囲の秤量を有する、請求項3〜7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記繊維材料が、他の天然繊維又はビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、PVA又はそれらの混合物の繊維/マイクロファイバーから選択された繊維をさらに含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記ワイプが、別の材料に結合されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記他の材料が、繊維材料、スポンジ材料又はスポンジクロス材料である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、予め湿らせた状態で包装されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の物品の表面の濡れ/湿りの拭き取りでの使用。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の物品を用いた表面の拭き取り方法であって、前記方法が、前記表面を拭き取るために濡れた又は湿った状態で前記物品を使用する工程を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523486(P2009−523486A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550373(P2008−550373)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/000596
【国際公開番号】WO2007/084296
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】