説明

持続性放出製剤における長期作用性分子

クリアランスが低減するように改変された分子を含む持続性放出製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、血漿クリアランスの低減を達成するために改変された分子を含む持続性放出製剤に関する。
【発明の背景】
【0002】
ホルモン、サイトカイン、抗体を含む多数のタンパク質が、治療剤として使用されている。生物薬剤学技術の進歩およびそのマーケットの成功により、その数は次の年には劇的に増加するでしょう。
【0003】
タンパク質薬剤の経口投与は、胃腸管におけるタンパク分解活性のため、および/またはこれら高分子のサイズの大きさによる不十分な吸収のために、一般に不可能である。現在唯一の実行可能なタンパク質の投与ルートは、それに関連した痛みと不便を患者に負わせる非経口ルートである。
【0004】
多くのタンパク質およびペプチド薬剤は、比較的短い血漿半減期を有し、このことは、これら薬剤が体循環から急速に除去されることを意味する。
【0005】
持続性放出製剤は、制御された方法で、投与後に薬剤をたとえば血漿に放出することができる製剤である。典型的に薬剤は、何時間、何日間、何週間または何ヶ月間かけて放出され得る。
【0006】
薬剤は、持続性放出製剤から体循環に一旦放出されると、非持続性放出製剤で注入された場合と同じ速度で血漿から除去される。従って、持続性放出薬剤がその活性を発揮する期間の長さから、持続性放出製剤における薬剤負荷量は大きくなければならないということになる。その負荷は、持続性放出製剤において約5〜15%にしばしば制限される。高い用量を投与するためには、更に大きな体積または更に濃縮された懸濁液が必要であり、しばしば大きな針の使用が必要であるが、これは患者に痛みを伴う。
【0007】
幾つかの薬剤が、持続性放出薬剤で現在販売されているか、または販売されていた。前立腺癌の治療のための性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストは、商標Lupron Depot(登録商標)で市販され、成長ホルモン欠損症の治療のためのヒト成長ホルモンは、商標Nutropin Depot(登録商標)で市販されている。
【0008】
持続性放出製剤において肝クリアランスの低減したEPO類似体が、WO 01/30320に開示される。EPO類似体は、より広範なグリコシル化を起こさせるアミノ酸配列の5つの変化を有する。
【発明の概要】
【0009】
長期作用性分子の持続性放出製剤は、急速にクリアランスされる分子の持続性放出製剤に存在する、非常に高い薬剤負荷量という問題を解決するでしょう。
【0010】
よって、本発明は、クリアランスの低減を提供するために改変されたタンパク質を含む持続性放出製剤であって、前記タンパク質が、メチオニンの側鎖の硫黄が改変されているメチオニンを含まない製剤に関する。
【0011】
一つの態様において、本発明は、治療に効果的な量の本発明の製剤を投与することを含む治療方法に関する。
【0012】
一つの態様において、本発明は、クリアランスの低減を提供するために改変されたタンパク質を含む持続性放出製剤であって、前記タンパク質が、メチオニンの側鎖の硫黄が改変されているメチオニンを含まない製剤を調製する方法であって、
i)タンパク質合成または適切な微生物の発酵の何れかによりタンパク質を得る工程;
ii)クリアランスの低減を達成するために前記タンパク質をex vivoで改変する工程;および
iii)前記改変タンパク質を持続性放出製剤に製剤化する工程
を含む方法を提供する。
【定義】
【0013】
本明細書で使用される「治療に効果的な量」の化合物は、所定の疾患およびその合併症の臨床的症状発現を治癒、軽減または部分的に停止させるのに充分な量を意味する。これを達成するのに充分な量が、「治療に効果的な量」と規定される。各目的のための効果的な量は、疾患または傷害の重症度、並びに被検体の体重および全身状態に依存する。適切な投与量の決定は、ルーチンの実験を用いて、値のマトリクスを構築し、そのマトリクスで種々のポイントを試験することにより達成することができ、これは、すべて熟練した内科医または獣医の通常の技術の範囲内にあることが理解される。
【0014】
本明細書で使用される「治療」および「治療する」の用語は、疾患または障害などの症状に対抗する目的で、患者を管理しケアすることを意味する。この用語は、患者が罹患している所定の症状の全範囲の治療を含み、たとえば、活性な化合物を投与して、症候または合併症を軽減すること、疾患、障害または症状の進行を遅延させること、症候および合併症を軽減または緩和すること、および/または疾患、障害または症状を治癒または除去すること、並びに症状を予防することを含み、ここで予防は、疾患、症状または障害に対抗する目的で、患者を管理しケアすることと理解すべきであり、活性な化合物を投与して、症候または合併症の発症を予防することを含む。治療される患者は、好ましくは哺乳類、とりわけヒトであるが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジおよびブタなどの動物を含んでもよい。
【0015】
タンパク質の用語は、ペプチド結合により連結された、天然または非天然の何れでもよい二以上のアミノ酸残基を示すことを意図する。
【発明の説明】
【0016】
一つの態様において、本発明は、クリアランスの低減を提供するために改変されたタンパク質を含む持続性放出製剤であって、前記タンパク質が、メチオニンの側鎖の硫黄が改変されているメチオニンを含まない製剤に関する。
【0017】
一つの態様において、前記タンパク質は、成長ホルモン化合物である。
【0018】
一つの態様において、成長ホルモン化合物は、ヒト成長ホルモンを示すことを意図する。
【0019】
一つの態様において、成長ホルモン化合物は、そのN末端がメチオニンで伸長されたヒト成長ホルモンを示すことを意図する。
【0020】
一つの態様において、成長ホルモン化合物は、ヒト成長ホルモン変異体を示すことを意図する。この文脈において、ヒト成長ホルモン変異体は、ヒト成長ホルモンの活性の少なくとも20%を示すタンパク質であって、ヒト成長ホルモンと少なくとも70%の同一性を示すタンパク質を示すことを意図する。とりわけ、前記タンパク質は、ヒト成長ホルモンの活性の少なくとも40%、たとえば少なくとも50%、たとえば少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、たとえば少なくとも90%、たとえば少なくとも95%を示し、それと共に、ヒト成長ホルモンと少なくとも80%、たとえば少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、たとえば少なくとも97%の同一性を示す。成長ホルモンの活性は、本明細書においてアッセイIIで記載されるとおり測定することができる。
【0021】
当該技術分野で公知の「同一性」の用語は、配列を比較することにより決定される、二以上のタンパク質の配列の間の関係をいう。また、当該技術分野において、「同一性」は、一続きの二以上のアミノ酸残基の間での適合数により決定される、タンパク質の間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち「アルゴリズム」)により処理される、(存在する場合には)ギャップアラインメントを備えた二以上の配列の短い方の間で同一適合パーセントを測定する。関連タンパク質の同一性は、公知の方法により容易に計算することができる。かかる方法には、以下に記載される方法が含まれるがこれらに限定されない:Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991; およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)。
【0022】
同一性を決定する好ましい方法は、テストされる配列の間に最大の適合を与えるようにデザインされる。同一性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータープログラムに記載される。二つの配列の間の同一性を決定する好ましいコンピュータープログラム法には、以下のものが含まれる:GAPを含むGCGプログラムパッケージ (Devereux et al., Nucl. Acid. Res., 12: 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschul et al., J. Mol. Biol., 215: 403-410 (1990))。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information (NCBI) および他の入手源(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., 同上)から公的に入手可能である。また、周知のSmith Watermanアルゴリズムを、同一性を決定するために使用してもよい。
【0023】
たとえば、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を用いて、パーセント配列同一性を決定すべき二つのタンパク質を、それぞれのアミノ酸を最適に適合させるように配置する(アルゴリズムにより決定される「適合スパン(matched span)」)。ギャップオープニングペナルチィ(これは3倍の平均ダイヤゴナルとして計算される;「平均ダイヤゴナル」は、使用される比較マトリクスのダイヤゴナルの平均である;「ダイヤゴナル」は、特定の比較マトリクスによりそれぞれの完全アミノ酸適合に割り当てられたスコアまたは数である)、およびギャップ伸長ペナルティー(これは、通常ギャップオープニングペナルティーの(分数(1/10))倍である)、並びに比較マトリクス、たとえばPAM 250またはBLOSUM 62が、当該アルゴリズムと共に使用される。また、標準の比較マトリクス(PAM 250比較マトリクスに関するDayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp.3 (1978); BLOSUM 62比較マトリクスに関するHenikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89: 10915-10919 (1992) を参照)も、当該アルゴリズムにより使用される。
【0024】
タンパク質の配列比較のための好ましいパラメーターは、以下のものを含む:
アルゴリズム: Needleman et al., J. Mol. Biol, 48: 443-453 (1970); 比較マトリクス: BLOSUM 62 from Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 10915-10919 (1992); ギャップペナルティー: 12, ギャップ長ペナルティー: 4, 類似性の閾値: 0。
【0025】
GAPプログラムは、上記パラメーターを用いて有用である。上述のパラメーターは、GAPアルゴリズムを用いて(末端ギャップのペナルティーなしで)タンパク質を比較するためのデフォルトパラメーターである。
【0026】
成長ホルモン化合物の特定の例には、WO 92/09690 (Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、アミノ酸No 172, 174, 176および178がグループとして以下のアミノ酸グループの何れかにより置換されたヒト成長ホルモンが含まれる:(R, S, F, R); (R, A, Y, R), (K, T, Y, K); (R, S, Y, R); (K, A, Y, R); (R, F, F, R); (K, Q, Y, R); (R, T, Y, H); (Q, R, Y, R); (K, K, Y, K); (R, S, F, S)または(K, S, N, R)。
【0027】
成長ホルモン化合物の他の例には、US 6,004931 (Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換G120R、G120K、G120Y、G120FおよびG120Eを備えたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0028】
成長ホルモン化合物の他の例には、US 6,143,523 (Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換のセットを備えたヒト成長ホルモンが含まれる:R167N, D171S, E174S, F176YおよびI179T; R176E, D171S, E174SおよびF176Y; F10A, M14W, H18DおよびH21N; F10A, M14W, H18D, H21N, R167N, D171S, E174S, F176Y, I179T; F10A, M14W, H18D, H21N, R167N, D171A, E174S, F176Y, I179T; F10H, M14G, H18NおよびH21N; F10A, M14W, H18D, H21N, R167N, D171A, T175TおよびI179T; 並びにF10I, M14Q, H18E, R167N, D171SおよびI179T。
【0029】
成長ホルモン化合物の他の例には、US 6,136,536 (Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換セットH18A、Q22A、F25A、D26A、Q29A、E65A、K168A、E174AおよびG120Kを備えたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0030】
成長ホルモン化合物の他の例には、US 6,057,292(Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換セットH18D、H21N、R167N、K168A、D171S、K172R、E174S、I179Tを備え、G120が更にR、K、W、Y、FまたはEの何れかで置換されたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0031】
成長ホルモン化合物の他の例には、US 5,849,535(Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換セットH18D、H21N、R167N、K168A、D171S、K172R、E174SおよびI179Tを備えたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0032】
成長ホルモン化合物の他の例には、WO 97/11178(Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換セットH18D、H21D、R167N、K168A、D171S、K172R、E174SおよびI179T; 並びにH18A、Q22A、F25A、D26A、Q29A、E65A、K168AおよびE174Aを備えたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0033】
成長ホルモン化合物の他の例には、WO 90/04788(Genentech)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、以下の置換セットK168AおよびE174A; R178NおよびI179M; K172AおよびF176A; 並びにH54F、S56E、L58I、E62S、D63NおよびQ66Eを備えたヒト成長ホルモンが含まれる。
【0034】
クリアランスの低減を達成するための成長ホルモン化合物の改変は、典型的には、クリアランス速度の低下を達成する部分(moiety)を成長ホルモン化合物に共有結合させることにより行われる。種々のアプローチを使用して、クリアランスを減少させるかまたは妨害することができる。結合される部分が、腎クリアランスを減少させるかまたは妨害するためにその分子サイズを増大させてもよいし;結合される部分が、血漿タンパク質誘導性の破壊を妨害するために血漿タンパク質から成長ホルモン化合物を遮蔽してもよいし;結合される部分が、たとえばアルブミンなどの血漿タンパク質に結合してもよいし;および/または結合される部分が、レセプター誘導性のクリアランスを妨害するかまたは減少させるためにレセプター結合部分を遮蔽してもよい。所定の化合物が、メカニズムの組合せにより体から除去され得ること、および結合される部分が、二以上のメカニズムに影響を及ぼし得ることを理解すべきである。
【0035】
典型的には、結合される部分は、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG由来のポリマー(PEGおよびPEG由来のポリマーは一般にPEGと称される)、脂肪酸、別のタンパク質、たとえばアルブミン、または血漿タンパク質に結合する部分、たとえばアルブミンである。当該部分は、成長ホルモン化合物に直接結合してもよいし、リンカーを介して結合してもよい。便宜的には、システイン、アミン(N−末端アミノ基またはリジンのε−アミノ)、または成長ホルモンに存在するかまたは導入された他の反応基を、結合ポイントとして使用することができる。
【0036】
成長ホルモン化合物は、メチオニンの側鎖の硫黄が改変されているメチオニンを含む化合物を指すものではない。すなわち、前記側鎖の硫黄は、C-S-Cの形態を有し、たとえば酸化メチオニンのようにC-S(O)2-Cではない。
【0037】
成長ホルモン化合物に部分(moieties)を結合させる方法は公知であり、関連する開示の例を以下に示す。
【0038】
US 4,179,337は、成長ホルモンをPEG化(PEGylating)する方法を開示する。
【0039】
EP 458064、WO 95/11987およびWO 00/42175はすべて、成長ホルモンのCysのPEG化を開示し、前記システインは、天然のものであってもよいし、たとえば遺伝子技術により配列に導入されてもよい。
【0040】
WO 03/044056は、成長ホルモンにPEGを結合させるために使用され得る広範囲の技術を開示する。
【0041】
また、Clark et al in J.Biol.Chem., 271, 21969-21977, 1996は、PEGを結合させた成長ホルモンを作成する方法を開示する。
【0042】
US 5,045,312、WO 97/24445およびWO 01/79271などの他の文献は、成長ホルモンをアルブミンなどの別のタンパク質に融合させることにより血漿滞在時間が延長した成長ホルモンを作成することができることを開示する。
【0043】
持続性放出製剤は、滞在時間が増大するように所望の速度で薬剤を放出するようにデザインされた製剤である。薬剤の制御放出または制御投与は、たとえば、埋込型マトリクスデバイス、ポンプ(埋め込まれてもよい)、ゲルまたはヒドロゲル、リポソームまたはミセル、クリスタル、ミクロスフェアおよびリザーバーデバイスにより達成することができることは公知である。ミクロスフェアおよびヒドロゲルは、本発明に特に関連がある。
【0044】
ミクロスフェアは、薬剤がカプセル化された小さな(nm-μm)ポリマー粒子である。これらミクロスフェアは、典型的には皮下または筋内に注入される。かかる放出システムから薬剤を放出することができる3つの主なメカニズムがある:拡散、分解、および膨潤とその後の拡散。これらメカニズムの何れかまたは全てが、所定の放出システムに存在してもよい。
【0045】
ミクロスフェアに適したポリマーの例には、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン−コ−セバシン酸)(p(CPP:SA))、ポリ(脂肪酸ダイマー−コ−セバシン酸)、ポリ(トリメリチルイミドール−1−チロシン−コ−セバシン酸−コ−1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、ポリアミド、ポリアルキルシアノアクリレートおよびポリホスファゼン、ポリ(メタクリル酸)、並びにPLGおよびPEGのトリブロック共重合体が含まれる。
【0046】
薬剤の放出速度およびプロファイルは、ミクロスフェアの特性、およびミクロスフェアと薬剤との相互作用に依存する。親水性ポリマー(たとえばPGLA)は、ミクロスフェア本体への水の吸収を許容し、これにより大規模な侵食が起こる。大規模な侵食は、典型的には、二段階または三段階放出プロファイルにより特徴付けられる;表面近くに位置する薬剤が放出される第一のバースト;水を充填した孔を介して薬剤が拡散する第二段階;最後の侵食およびポリマーの崩壊による第三段階。より疎水性のポリマー(たとえばp(CPP:SA))は、表面から侵食され、これにより更にコンスタントな放出速度が得られる。しかし、侵食が進行すると、表面積は減少し、その結果放出速度も減少する。多くのミクロスフェアは、二つのメカニズムの組合せ(しかし一方が優位であってもよい)により侵食されることを理解すべきである。
【0047】
当然のことながら、ポリマーの性質は、放出速度に多大な影響を及ぼす。しばしば、生分解性ポリマーが使用され、これは、ポリマーの加水分解速度が薬剤の放出速度を決定することを意味する。不安定なポリマーほど、迅速な放出速度が得られる。共重合体を使用した場合、不安定なモノマーの比率が高いほど、放出速度も速くなる。
【0048】
ポリマーと薬剤との特定の相互作用が、薬剤の放出を遅延させることもあり得る。明らかに、ミクロスフェアのサイズは、薬剤の放出速度に影響を及ぼす。ミクロスフェアのサイズが減少すると、体積に対する表面積の比が増大し、放出速度も増大する。分解産物によるミクロスフェアのpHの変化などの他の因子も、分解速度に影響を及ぼし、放出速度およびプロファイルの予測を困難にし得る。
【0049】
ミクロスフェアを作成する種々の方法が公知である。界面重合は、一般的にいえば、モノマーとイニシエーターの混合物を使用し、成長するポリマーが粒子を形成するやり方でモノマーを重合させる。3つの一般的な方法、すなわち懸濁重合、乳化重合、および分散重合が公知である。懸濁重合では、モノマーとイニシエーターを溶媒中に溶解し、その混合物を懸濁媒質に添加し、ここで、モノマー、イニシエーター、溶媒、得られたポリマーのいずれも可溶ではない。たとえば攪拌により溶媒の小滴を形成し、重合が起こるとポリマー(ミクロスフェア)は小滴の形態をとる。
【0050】
乳化重合は、イニシエーターがモノマー溶媒よりも分散媒質で可溶である点を除いて、懸濁重合と同様である。
【0051】
分散重合は、単一の段階のみを使用する点で簡便である。モノマー、イニシエーターおよびポリマー安定化剤を溶媒中に溶解し、ポリマーが成長すると、沈殿、凝集して、安定化剤の吸着により安定化したミクロスフェアを形成する。
【0052】
ミクロスフェアを作成する非常に一般的な方法は、エマルジョン−溶媒抽出/蒸発であり、この方法では予め形成したポリマーを使用する。溶媒中に溶解されたポリマーを、安定化剤を含有する連続相に乳化する。乳化後、溶媒を連続相に抽出し、これによりポリマーを硬化させ、小滴を形成する。とりわけ、水溶性薬剤は、二重エマルジョンプロセスを用いてミクロスフェア中に製剤化することができ、ここでは薬剤の水溶液を、ポリマー含有溶媒にまず乳化し、その後、この油中水状エマルジョンを上述のとおり連続相に乳化する。
【0053】
幾つかの押出し方法も公知であり、この方法ではミクロスフェア成分が、適切な媒質にノズルを介して押出される。
【0054】
ヒドロゲルは、持続性放出製剤のために使用される別の成分である。ヒドロゲルは、水中で膨潤するが溶解しない親水性ポリマーから構成される三次元ポリマーネットワークである。このネットワークは、物理的に完全な状態を達成し、化学的および/または物理的クロスリンクの存在のために不溶性である。
【0055】
周囲の環境に反応可能なヒドロゲルは、生理的反応性ヒドロゲルと称される。これらヒドロゲルが反応可能な刺激として、温度、イオン強度およびpHの変化が挙げられる。
【0056】
化学的クロスリンクを用いてヒドロゲルを形成するために使用される最も一般的なモノマーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。
【0057】
ヒドロゲルを調製可能な天然ポリマーの例として、アルギン酸、カラゲナン、キトサン、ポリリジン、フィブリン、コラーゲンおよびゼラチンが挙げられる。
【0058】
ミクロスフェアの放出速度およびプロファイルに影響を及ぼす因子の上記議論のほとんどは、ヒドロゲルにも関連がある。
【0059】
薬剤デリバリーに対する魅力的なアプローチは、注入されたポリマー水溶液からin situでポリマーマトリクスを形成すること、および形成されたヒドロゲルを、組込み型治療剤の持続性放出のための貯蔵所として使用することであり、これにより侵襲性外科的配置が回避される。その後、液体前駆体溶液に溶解された任意の薬剤を、ポリマーマトリクスに均一に分散し、引き続き、延長された期間にわたって放出させる。
【0060】
ヒドロゲルポリマーをin situで形成する例は、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(DL-乳酸−コ−グリコール酸)ブロック共重合体である。
【0061】
持続性放出製剤については、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed. Marcel Dekker, New York, 2000); Drug and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Composition and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000); およびVarde et al in Expert Opin. Biol.Ther., 4, 35-51, 2004が一般的に参照され、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
「滞在時間」の用語は、通常の意味で使用され、すなわち、化合物が体/ターゲット器官に存在する時間である。滞在時間は、便宜的には、前記化合物が治療に関連した活性を発揮する時間から決定される。
【0063】
改変された成長ホルモン化合物が、対応する未改変の成長ホルモン化合物と比較して滞在時間が増大したかどうか、すなわちクリアランスが低減したかどうかを決定するために、以下の実験が行われる。適切なバッファー中の二つの化合物を適切な動物、たとえばマウス、ラットまたはヒトに注入する。血液サンプルを時間を追って回収し、本明細書においてアッセイIで記載されるとおり、IGF-1レベルについて分析する。IGFレベルが治療レベルの範囲にある時間をTとする。Tmodifiedが、Tun-modifiedの値の2×より大きい値、たとえば3×より大きい値、たとえば10×より大きい値、たとえば100×より大きい値の場合、改変された成長ホルモン化合物は、滞在時間が増大していると考えられる。Tmodifiedが、Tun-modifiedの値の2時間より大きい値、たとえば4時間より大きい値、たとえば12時間より大きい値、たとえば24時間より大きい値、たとえば3日より大きい値の場合、改変された成長ホルモン化合物は、滞在時間が増大していると考えられる。
【0064】
製剤が持続性放出を生じるかどうかを決定するために、以下の実験が行われる。バッファー中およびテスト製剤中の成長ホルモン化合物(改変または未改変)を、適切な動物、たとえばマウス、ラットまたはヒトに注入する。血液サンプルを時間を追って回収し、本明細書においてアッセイIで記載されるとおり、IGF-1レベルについて分析する。IGFレベルが治療レベルの範囲にある時間をTとする。Ttestが、Tbufferの値の2×より大きい値、たとえば3×より大きい値、たとえば10×より大きい値、たとえば100×より大きい値の場合、テスト製剤は、持続性放出製剤であると考えられる。Tmodifiedが、Tun-modifiedの値の2時間より大きい値、たとえば4時間より大きい値、たとえば12時間より大きい値、たとえば24時間より大きい値、たとえば3日より大きい値の場合、テスト製剤は、持続性放出製剤であると考えられる。
【0065】
上述のとおり、クリアランスの低減を生じるように改変されたタンパク質の持続性放出製剤は、対応する未改変のタンパク質の同様の製剤に付随する問題を解決する。とりわけ、未改変のタンパク質の高いクリアランスは、製剤の高い薬剤負荷を要求する。高い負荷には、高濃縮の製剤を作成することが必要であり、これは必ずしも可能ではない。充分に高い薬剤負荷の製剤を作成することができない状況では、より多量の体積を注入するか、またはより頻繁に注入を行わなければならない。従って、本発明の組成物の投与を伴う治療プログラムは、より少量の注入を含み、これは、付随する利便性および高いコンプライアンスを患者に提供する。
【0066】
更に、高い負荷は、バースト効果、すなわち注入直後の薬剤の大量放出を引き起こす。ある種の副作用は、このバーストと関連することが知られている。一例として、トンネル視および水腫は、成長ホルモンのピーク値に関連しており、これら副作用は、バースト効果を低減すると減らすことができる。本発明の製剤は、低い薬剤負荷を有しているため、低減したバースト効果が得られる。
【0067】
バーストの更に大幅な低減および副作用の更に大幅な低減は、改変分子が製剤マトリクスと相互作用する場合に達成することができる。かかる相互作用の例として、非共有結合の相互作用、たとえばイオン、ファン・デル・ワールス、疎水性、および水素結合の相互作用が挙げられる。かかる相互作用は、簡単なパーティション測定により容易に評価することができる。
【0068】
一つの態様において、本発明は、クリアランスの低減を提供するために部分(moiety)で改変された分子を含む持続性放出製剤であって、前記製剤と前記部分とが相互作用する製剤に関する。とりわけ、前記相互作用は、ポジティブであり、すなわち、前記部分と前記製剤との間に(非共有)結合が存在する。
【0069】
一つの態様において、分子は、PEGに結合した成長ホルモン化合物であり、持続性放出製剤は、疎水性ポリマー、たとえばPEG、PGLA、ポリ/メタクリル酸または上記ポリマーを構成するモノマーの共重合体、たとえばPLGA-PEG-PLGAなどのトリブロック共重合体を含む。
【0070】
一つの態様において、本発明の製剤においてクリアランスの減少は、タンパク質の改変により得られる減少と持続性製剤により得られる減少の合計より大きい。
【0071】
一つの態様において、本発明は、本発明の製剤を調製する方法に関する。未改変のタンパク質は、当該技術分野で公知の任意の方法により得ることができる。比較的小さいタンパク質は、標準的なタンパク質合成方法を用いて合成してもよい。また、未改変のタンパク質は、タンパク質を発現する適切な微生物の発酵から得てもよい。微生物は、天然にそのタンパク質を発現してもよいし、あるいはそのタンパク質を発現するように遺伝的に改変されていてもよい。タンパク質は、その後、公知の方法により単離、精製されてもよい。
【0072】
タンパク質の改変は、上述のとおり、ex vivoで行われ、典型的には有機部分の結合という形態をとる。
【0073】
一つの態様において、本発明は、以下の治療方法であって、効果的な量の本発明の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する:成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラーダー−ヴィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病;若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けている小児のHIV感染(HIV/HALS小児);短い在胎齢で産まれた背が低い小児(SGA);SGAではなく非常に少ない出生時体重で産まれた小児の低身長(VLBW);骨格形成異常;低軟骨形成症;軟骨形成不全症;特発性低身長(ISS);成人のGHD;長骨、たとえば脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手(metacarpea)、中足(metatarsea)、および指などの骨折;スポンジ状骨、たとえばスカル(scull)、手のベース、および足のベースなどの骨折;たとえば手、膝、または肩の腱または靭帯の手術後の患者;伸延骨形成を行っているかまたは完了している患者;股関節部または円板の置換、半月板の修復、脊椎固定、またはたとえば膝、股関節部、肩、肘、手根または顎などのプロテーゼ固定の後の患者;骨接合材料、たとえば釘、ネジおよびプレートなどを固定した患者;骨折の癒合不能または変形癒合の患者;たとえば脛骨または母趾からの骨解剖(osteatomia)後の患者;移植片移植後の患者;外傷または関節炎により引き起こされる膝の関節軟骨の変性;ターナー症候群の患者の骨粗鬆症;男性の骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);APCDの栄養失調関連の心血管疾患;APCDの悪液質の逆転;APCDの癌;APCDの慢性抽象的肺疾患;APCDのHIV;APCDの高齢者;APCDの慢性肝疾患;APCDの疲労症候群;クローン病;肝機能不全;HIV感染の男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連のリポジストロフィー症候群(HALS);男性不妊症;大きな待機手術、アルコール/ドラッグの解毒または神経外傷後の患者;老化;虚弱な高齢者;変形性関節症;外傷性損傷軟骨;勃起不全;線維筋肉痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;クモ膜下出血;非常に少ない出生時体重;代謝症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児のグルココルチコイド治療による低身長。
【0074】
一つの態様において、本発明は、筋組織、神経組織または創傷の治癒の促進;損傷組織への血流の促進または向上;または損傷組織における感染率の減少のための方法であって、効果的な量の本発明の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0075】
別の態様において、本発明は、上記疾患の一つを治療するための薬剤の製造における、クリアランスの低減を提供するように改変された成長ホルモン化合物を含む持続性放出製剤の使用に関する。
【0076】
本明細書で引用される出版物、特許出願および特許などの参照文献はすべて、あたかも各文献が個々に具体的に表示され参照により組み込まれ、その全体を本明細書に記述しているのと同程度に(法律により許容される最大限に)、その全体を参照により本明細書に組込む。
【0077】
すべてのタイトルおよびサブタイトルは、本明細書において便宜的な目的のためだけに使用され、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0078】
任意のあらゆる実施例の使用、または本明細書で提供される例示的な言語(たとえば「たとえば(such as)」)は、本発明を更に明らかにすることのみを意図し、特にクレームされていない限り、本発明の範囲に限定を加えるものではない。明細書中のいずれの言語も、本発明の実施に必須なものとして、クレームされていない構成要件を示すと解釈してはならない。
【0079】
本明細書において特許文献の引用および組込みは、便宜的な目的のためだけに為されており、かかる特許文献の有効性、特許性、および/または強制力(enforceability)の見解を表すものではない。
【0080】
本発明は、適用法により許容されるものとして、添付のクレームに記載されるサブジェクトマターを改変したものおよび等価なものをすべて含む。
【実施例】
【0081】
本発明の効果は、5種類の実験で示すことができる。以下の5つの製剤を適切な動物、たとえばマウス、ラットまたはヒトに注入する。
【0082】
1.プラセボ
2.バッファー中の未改変の成長ホルモン化合物
3.持続性放出製剤中の未改変の成長ホルモン化合物
4.バッファー中の改変された成長ホルモン化合物
5.持続性放出製剤中の改変された成長ホルモン化合物
血液サンプルを適切な期間にわたって採取し、サンプルをIGF-1レベルについて分析する。
【0083】
薬理学的方法
アッセイ(I)IGF-1 ELISAアッセイ
ラットまたはマウスの血漿または血清中のIGF-1を、IDS Ltd., Boldon, Englandから入手可能なOCTEIATMキットで、二部位酵素免疫測定(two-site immunoenzymometric)アッセイで測定する。
【0084】
結合タンパク質IGF-BP 1-6を不活性化するためにサンプルを処理する。OCTEIAキットで、精製モノクローナル抗ラットIGF-1を、マイクロタイターウェルの内面にコーティングする。処理され希釈されたサンプルを、ビオチン化ポリクローナルウサギ抗ラットIGF-1とともにウェル中で2時間インキュベートする。その後、ウェルを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アビジンを添加する。更に洗浄した後、色素形成化合物テトラメチルベンジジンを添加して発色させる。停止した反応の色をマイクロタイタープレートリーダーで読み取り、ここで色強度は、サンプル中に存在するラットまたはマウスのIGF-1の量に正比例する。
【0085】
マイナーな改変を加えた同様のアッセイを使用して、ヒトIGF-1を測定することができる。
【0086】
アッセイ(I)成長ホルモン活性を測定するためのBAF-3GHRアッセイ
BAF-3細胞(骨髄由来のマウスpro-Bリンパ系細胞株)は、成長および生存に関して本来IL-3に依存的であった。IL-3は、GHが刺激によって活性化する同じメディエータであるJAK2およびSTATを活性化する。細胞株は、ヒト成長ホルモンレセプターのトランスフェクション後、成長ホルモン依存性細胞株に変化した。このクローンは、BAF-3GHRの生存に対する種々の成長ホルモンサンプルの効果を評価するために使用することができる。
【0087】
BAF-3HGR細胞を、飢餓培地(成長ホルモンを含まない培地)で24時間、37℃、5% CO2で増殖させる。
【0088】
細胞を洗浄し飢餓培地に再懸濁し、プレートに播く。10μlの種々の濃度の成長ホルモン化合物またはヒト成長ホルモンまたはコントロールを細胞に添加し、プレートを68時間、37℃、5% CO2でインキュベートする。
【0089】
AlamarBlue(登録商標)を各ウェルに添加し、その後、細胞を更に4時間インキュベートする。AlamarBlue(登録商標)は、酸化還元指示薬であり、細胞の代謝に本来備わった反応により還元されるため、生存能力のある細胞数の間接的な測定を提供する。
【0090】
最後に、細胞の代謝活性は、蛍光プレートリーダーで測定される。サンプルの吸光度は、成長ホルモン化合物で刺激しなかった細胞またはコントロールの%で表現され、濃度−応答曲線から、活性(細胞を50%刺激する化合物の量)を計算することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリアランスの低減を提供するために改変されたタンパク質を含む持続性放出製剤であって、前記タンパク質が、メチオニンの側鎖の硫黄が改変されているメチオニンを含まない製剤。
【請求項2】
前記タンパク質が成長ホルモン化合物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記成長ホルモン化合物がヒト成長ホルモンである、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤がミクロスフェアまたはヒドロゲルである、請求項1〜3の何れか1項に記載の製剤。
【請求項5】
クリアランスの低減を提供するために一部分(moiety)で改変されたタンパク質を含む持続性放出製剤であって、前記製剤と前記一部分とがポジティブに相互作用する製剤。
【請求項6】
前記タンパク質が、PEGに結合した成長ホルモン化合物であり、前記持続性放出製剤が、疎水性ポリマー、たとえばPEG、PGLA、ポリ/メタクリル酸または上記ポリマーを構成するモノマーの共重合体を含む、請求項1〜4の何れかに記載の製剤。
【請求項7】
成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラーダー−ヴィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病;若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けている小児のHIV感染(HIV/HALS小児);短い在胎齢で産まれた背が低い小児(SGA);SGAではなく非常に少ない出生時体重で産まれた小児の低身長(VLBW);骨格形成異常;低軟骨形成症;軟骨形成不全症;特発性低身長(ISS);成人のGHD;長骨、たとえば脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手(metacarpea)、中足(metatarsea)、および指などの骨折;スポンジ状骨、たとえばスカル(scull)、手のベース、および足のベースなどの骨折;たとえば手、膝、または肩の腱または靭帯の手術後の患者;伸延骨形成を行っているかまたは完了している患者;股関節部または円板の置換、半月板の修復、脊椎固定、またはたとえば膝、股関節部、肩、肘、手根または顎などのプロテーゼ固定の後の患者;骨接合材料、たとえば釘、ネジおよびプレートなどを固定した患者;骨折の癒合不能または変形癒合の患者;たとえば脛骨または母趾からの骨解剖(osteatomia)後の患者;移植片移植後の患者;外傷または関節炎により引き起こされる膝の関節軟骨の変性;ターナー症候群の患者の骨粗鬆症;男性の骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);APCDの栄養失調関連の心血管疾患;APCDの悪液質の逆転;APCDの癌;APCDの慢性抽象的肺疾患;APCDのHIV;APCDの高齢者;APCDの慢性肝疾患;APCDの疲労症候群;クローン病;肝機能不全;HIV感染の男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連のリポジストロフィー症候群(HALS);男性不妊症;大きな待機手術、アルコール/ドラッグの解毒または神経外傷後の患者;老化;虚弱な高齢者;変形性関節症;外傷性損傷軟骨;勃起不全;線維筋肉痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;クモ膜下出血;非常に少ない出生時体重;代謝症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児のグルココルチコイド治療による低身長の治療方法であって、効果的な量の請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項8】
筋組織、神経組織または創傷の治癒の促進;損傷組織への血流の促進または向上;または損傷組織における感染率の減少のための方法であって、効果的な量の請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項9】
成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラーダー−ヴィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病;若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けている小児のHIV感染(HIV/HALS小児);短い在胎齢で産まれた背が低い小児(SGA);SGAではなく非常に少ない出生時体重で産まれた小児の低身長(VLBW);骨格形成異常;低軟骨形成症;軟骨形成不全症;特発性低身長(ISS);成人のGHD;長骨、たとえば脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手(metacarpea)、中足(metatarsea)、および指などの骨折;スポンジ状骨、たとえばスカル(scull)、手のベース、および足のベースなどの骨折;たとえば手、膝、または肩の腱または靭帯の手術後の患者;伸延骨形成を行っているかまたは完了している患者;股関節部または円板の置換、半月板の修復、脊椎固定、またはたとえば膝、股関節部、肩、肘、手根または顎などのプロテーゼ固定の後の患者;骨接合材料、たとえば釘、ネジおよびプレートなどを固定した患者;骨折の癒合不能または変形癒合の患者;たとえば脛骨または母趾からの骨解剖(osteatomia)後の患者;移植片移植後の患者;外傷または関節炎により引き起こされる膝の関節軟骨の変性;ターナー症候群の患者の骨粗鬆症;男性の骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);APCDの栄養失調関連の心血管疾患;APCDの悪液質の逆転;APCDの癌;APCDの慢性抽象的肺疾患;APCDのHIV;APCDの高齢者;APCDの慢性肝疾患;APCDの疲労症候群;クローン病;肝機能不全;HIV感染の男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連のリポジストロフィー症候群(HALS);男性不妊症;大きな待機手術、アルコール/ドラッグの解毒または神経外傷後の患者;老化;虚弱な高齢者;変形性関節症;外傷性損傷軟骨;勃起不全;線維筋肉痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;クモ膜下出血;非常に少ない出生時体重;代謝症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児のグルココルチコイド治療による低身長を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜6の何れか1項に記載の製剤の使用。
【請求項10】
筋組織、神経組織または創傷の治癒の促進;損傷組織への血流の促進または向上;または損傷組織における感染率の減少のための薬剤の製造における、請求項1〜6の何れか1項に記載の製剤の使用。
【請求項11】
請求項1〜6の何れか1項に記載の製剤を製造する方法であって、
i)タンパク質合成または適切な微生物の発酵の何れかによりタンパク質を得る工程;
ii)クリアランスの低減を達成するために前記タンパク質をex vivoで改変する工程;および
iii)前記改変タンパク質を持続性放出製剤に製剤化する工程
を含む方法。

【公表番号】特表2007−508250(P2007−508250A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529652(P2006−529652)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000684
【国際公開番号】WO2005/034988
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】