説明

指定席券管理システム及び方法

【課題】指定席券の効率的な発行が可能な指定席券管理システムを提供する。
【解決手段】指定席券180は、指定席券情報を記憶している。乗車情報データベース120は、指定席券ごとに、利用者の状態情報を記憶する。発券情報データベース130は、発行済みの指定席券を記憶する。列車装置160は、利用者が指定席券180を所持して指定座席に着席すると、指定席券180から指定席券情報を読み出し、乗車情報データベース120の状態を、「着席した」旨に更新する。乗車判定装置170は、乗車情報データベース120を参照して、実際に乗車していない利用者の指定席券に対応する情報を、発券情報データベース130から削除し、その指定席券に対応する座席を、空席状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定席券管理システム及び方法に関し、更に詳しくは、指定席券情報を記憶する指定席券を用いた指定席券管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、利用者は、座席指定の新幹線や特急列車に乗車しようとする場合には、事前に、乗車列車を指定して指定席券を購入する。指定席券の発券側では、列車ごとに、販売可能な座席を管理しており、販売可能な座席がなくなるまで、指定席券の発行を行う。利用者は、発券された指定席券に記載された列車の指定座席に乗車し、目的地まで移動する。このような指定席券の購入、指定座席への乗車の流れは、鉄道に限らず、飛行機やバスなどの他の交通機関についても同様である。
【0003】
ここで、列車内で検札を行う技術としては、特許文献1や特許文献2に記載された技術がある。これら技術では、従来の指定席券に代えて、列車番号や座席情報を含む指定席券情報を内部のICに記憶した指定席券(ICカード)を用いる。この指定席券に記憶された指定席券情報を、無線通信などを用いて読み出し、読み出した指定席券情報に基づいて、指定席の利用が正当であるか否かを判断する。特許文献1及び2には、このようにすることで、乗客は、検札のわずらわしさから解放される旨の記載がある。
【特許文献1】特開2004−38418号公報
【特許文献2】特開2004−288125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、指定席券の発行では、指定席券は、発行した時点で予約状態となり、その後、購入者が指定列車に乗車しても乗車しなくても、予約状態が解除されることはない。このため、事前に指定席券が全て売り切れた場合であって、購入者が指定列車に乗車しなかった場合には、実際には空席が存在することになるものの、その座席の指定席券を再度販売することはできず、指定席券購入の機会が奪われるという事態が生じていた。
【0005】
上記各特許文献では、指定席券に記憶させた指定席券情報を、車内における検札に使用しており、これにより、指定席券の購入者が着席すべき座席に着席しているか否かを確認することができる。また、乗客数をカウントすることで、乗車人数を把握することもできる。しかし、特許文献1及び2を含め、従来技術では、車内における検札を、指定席券の販売にリンクさせておらず、実際には乗車しなかったことで空席となっている席がある場合でも、利用者は、駅で、その席の指定席券を購入することはできない。
【0006】
本発明の上記従来技術の問題点を解消し、効率的に指定席券を発行することが可能な指定席券の管理システム及び管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の指定席券管理システムは、利用者からの指定席券発行要求に基づいて、乗車目的物における座席情報を含む指定席券情報を記憶する指定席券を発行する指定席券発行装置と、前記乗車目的物内で、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出して前記利用者による座席の利用が正当であるか否かを判断し、正当であると判断すると、前記発行された指定席券を所持する利用者の状態情報を記憶する乗車情報データベースにおける状態情報を、乗車している旨に更新する乗車目的物内装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の指定席券の管理方法は、乗車目的物における座席情報を含む指定席券情報を記憶する指定席券と、前記乗車目的物内で、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出す乗車目的物内装置とを用いた指定席券の管理方法であって、前記乗車目的物内装置が、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出して前記利用者による座席の利用が正当であるか否かを判断するステップと、前記乗車目的物内装置が、利用が正当であると判断すると、前記発行された指定席券を所持する利用者の状態情報を記憶する乗車情報データベースにおける状態情報を、乗車している旨に更新するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、指定席券に指定席券情報を記憶すると共に、指定席券ごとに、その指定席券を購入した利用者の状態を管理するための乗車情報データベースを用意しておく。そして、利用者が乗車目的物に乗車し、指定座席に着席すると、乗車目的物内装置によって、指定席券から指定席券情報を読み出して座席利用の正当性を照合し、正当であると判断したときには、乗車情報データベースにおける状態情報を、乗車(着席)している旨に更新する。このようにすることで、指定席券を購入した利用者ごとに、利用者が乗車しているか、或いは、乗車していないかを管理することができ、この状態情報を利用して、乗車しなかった利用者の座席を他の利用者に販売可能とすることで、指定席券の効率的な発行が可能となる。
【0010】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、前記利用者が前記乗車目的物に乗車する際に通過するゲート部近傍に設置されたゲート部装置が、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出して、前記乗車情報データベースにおける状態を、ゲートを通過した旨に更新する構成を採用できる。この場合、乗車情報データベースを参照することで、利用者が、現在どの状態にあるか、すなわち、ゲートを通過前であるか、通過後であるかや、乗車したか否かを知ることができる。
【0011】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、前記指定席券発行装置が、前記指定席券発行要求を受け付けると、乗車目的物における座席の空き状態を管理する座席データベースを参照して、販売可能な座席が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記指定席券を発行すると共に、前記座席データベースにおける、発行した指定席券に対応する座席を確保済み座席に更新する構成を採用できる。
【0012】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、乗車判定装置によって、前記発行された指定席券について、前記乗車情報データベースを参照して、前記乗車目的物への乗車時刻を過ぎても乗車している旨の状態に更新されない指定席券が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻す構成を採用することができる。この場合、利用されない座席を、確保状態から空席状態に戻すことで、その座席の指定席券を再び発行することが可能となり、他の利用者に対して指定席券購入の機会を増やすことができる。
【0013】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、前記指定席券での目的地に到達するまでの間に、利用者が下車したことによって、前記乗車情報データベースの状態が、乗車している旨から乗車していない旨に更新されたと判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻す構成を採用することができる。この場合、座席データベースを空席状態とすることで、利用者が下車した以降の区間で、その座席の指定席券を発行することが可能となり、他の利用者に対して指定席券購入の機会を増やすことができる。
【0014】
本発明の指定席券管理システムでは、前記座席データベースが、乗車目的物ごとに、販売可能な座席に関する情報を記憶する列車情報データベースと、発行済みの指定席券に関する情報を記憶する発券情報データベースとを含む構成を採用できる。この場合、指定席券発行装置は、例えば、発行した指定席券に関する情報を発券情報データベースに記憶していくことで、その指定席券に対応する区間で座席を確保状態とする。また、乗車判定装置は、例えば、発券情報データベースから、記憶済みの指定席券に対応する情報を削除することで、確保済みの座席を空席状態に戻す。
【発明の効果】
【0015】
本発明の指定席券管理システム及び方法では、指定席券に指定席券情報を記憶しておき、利用者が指定席券を所持して乗車目的物に乗車し、指定座席に着席すると、乗車目的物内装置によって、指定席券から指定席券情報を読み出して、指定席券を購入した利用者の状態を管理するための乗車情報データベースにおける状態を、乗車(着席)している旨に更新する。このようにすることで、指定席券を購入した利用者ごとに、利用者が乗車しているか、或いは、乗車していないかを管理することができ、この状態情報を利用して、乗車しなかった利用者の座席を他の利用者に販売可能とすることで、指定席券の効率的な発行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の指定席券管理システムの構成を示している。指定席券管理システム100は、列車情報データベース110、乗車情報データベース120、発券情報データベース130、乗車券発行端末140、改札装置150、列車装置160、及び、乗車判定装置170を備える。指定席券管理システム100の各要素は、インターネット等のネットワーク190を介して相互に接続されている。
【0017】
列車情報データベース110は、各列車についての座席情報を記憶する。乗車情報データベース120は、発券された指定席券単位で、指定席券を購入した購入者の状態情報を記憶する。発券情報データベース130は、既に発券された指定席券に関する情報を記憶する。この情報には、利用者がどの座席の指定席券を購入したかを示す情報や、利用者の乗車区間を示す情報が含まれる。乗車券発行端末140は、例えば駅構内に設置されており、利用者からの求めに応じて、指定席券(乗車券)180を発行する。発行された指定席券180は、ICチップを有しており、このICチップには、列車情報及び座席情報を含む指定席情報が記憶される。
【0018】
改札装置150は、改札(ゲート)に設置されており、利用者が改札を通過する際に、指定席券180から指定席券情報を読み出す。改札装置150は、指定席券情報を読み出すと、乗車情報データベース120内のその指定席券に対応した状態情報を、改札を通過した旨の状態に更新する。列車装置160は、列車内に設置されており、着席した利用者の指定席券180から、指定席券情報を読み出す。列車装置160は、指定席券情報を読み出すと、乗車情報データベース120内のその指定席券に対応した状態情報を、列車に乗車した(着席した)旨の状態に更新する。
【0019】
乗車判定装置170は、乗車情報データベース120を参照して、利用者が、列車に乗車しているか否かを判断する。乗車判定装置170は、例えば、出発時間を過ぎても乗車情報データベース120における状態が着席した旨に更新されない場合には、利用者が、指定列車に乗車していないと判断する。また、例えば、出発駅を過ぎた時点では着席した旨に更新されたが、その後、途中駅を出発した後に着席した旨の状態でなくなった場合に、利用者が途中駅で下車したと判断する。乗車判定装置170は、利用者が出発駅から乗車しなかった、又は、途中駅で下車したと判断すると、発券情報データベース130に記憶された、その利用者の指定席券180に関する情報を削除する。
【0020】
図2は、指定席券管理システム100の動作手順を示している。指定席券発券担当者は、乗車券発行端末140を操作し、各データベースにアクセスするためのID及びパスワードを入力し、ログインを行う(ステップS1)。利用者は、指定席券を購入したい列車の列車名及び乗車区間等を指定して、指定席券発券担当者に対して指定席券の発行を要求する。指定席券発券担当者は、利用者からの求めに応じて、乗車券発行端末140に指定列車及び乗車区間の情報を入力する。乗車券発行端末140は、列車情報データベース110及び発券情報データベース130を検索し、指定席券の発行が可能な座席に関する情報を表示画面上に表示する(ステップS2)。
【0021】
ステップS2では、例えば、列車情報データベース110が記憶する指定列車の座席総数が「400」で、発券情報データベース130に記憶された、利用者の乗車区間を含む区間の発行済みの指定席券での座席総数が「350」であれば、表示画面上には、空き座席が50席である旨が表示される。乗車券発行端末140は、指定席券発券担当者が、表示された空席の中から、所望の座席を選択すると、その座席の指定席券180を発行する(ステップS3)。
【0022】
乗車券発行端末140は、指定席券180を発行する際に、指定席券180に指定席券情報を書き込む。また、発券情報データベース130に、発行する指定席券180の情報を書き込み、その座席を予約状態にすると共に、乗車情報データベース120に、発行する指定席券180に対応したエントリを作成する。この新たに作成されたエントリの初期値は、「改札未通過」を示す状態とする。
【0023】
指定席券180の発券を受けた利用者(乗客)は、列車の発車時刻前に、指定席券180を所持して駅まで移動する。改札装置150は、乗客が改札を通過する際に、乗客が所持する指定席券180から指定席情報を読み出す(ステップS4)。改札装置150と指定席券180との間の通信には、例えば非接触ICカードの技術を用いることができる。改札装置150は、指定席券180から指定席情報を読み出すと、乗車情報データベース120における対応する指定席券の状態を、「改札未通過」から、「改札通過」に更新する(ステップS5)。
【0024】
乗客は、改札内で列車が到着するのを待ち、列車が到着すると、指定席券180を所持して、列車に乗車する。列車装置160は、乗客が着席すると、乗客が所持する指定席券180から、指定席情報を読み出す(ステップS6)。列車装置160は、読み出した指定席情報に含まれる座席情報と、乗客が実際に着席した座席の情報とに基づいて、乗客が正しい座席に着席したか否かを判断する。列車装置160は、利用者が正しい座席に着席していると判断すると、乗車情報データベース120における対応する指定席券の状態を、「改札通過」から、「着席」に更新する(ステップS7)。
【0025】
ここで、利用者が、列車に乗車しない場合には、列車の発車時刻を過ぎても、乗車情報データベース120における状態は「着席」とならない。この場合、その利用者の座席は、利用されることがなく、空席状態として取り扱うことが可能である。乗車判定装置170は、乗車情報データベース120を参照し、列車の進行状況に合わせて、乗車駅を過ぎても状態が「着席」にならない指定席券が存在するか否かを判断し、存在する場合には、利用者が乗車しなかったとして、発券情報データベース130から、その指定席券の情報を削除して、予約状態を解除する。
【0026】
また、乗車情報データベース120における状態が「着席」となった後に、途中駅で下車した場合にも、その下車駅以降については、空席状態として取り扱うことが可能である。乗車判定装置170は、乗車情報データベース120を参照し、列車の進行状況に合わせて、利用者が指定列車に乗車して状態が「着席」となったのちに、状態が「着席」以外の状態に変化した指定席券が存在するか否かを判断し、存在する場合には、利用者が途中駅で下車したとして、発券情報データベース130から、その指定席券の情報を削除して、予約状態を解除する。列車の進行状況は、例えば、列車の各駅(停車駅)での発着時刻情報を記憶しておき、発着時刻情報と、現時刻とを比較することで判断する。或いは、各駅から、その駅を出発した旨の信号を入力し、それに基づいて判断しても良い。
【0027】
具体例を用いて説明する。ここでは、図3に示すように、列車Zの停車駅として、A駅(始発駅)、B駅、C駅、D駅(終点)の4つの駅があり、利用者Xが、A駅からD駅までの指定席券を購入している場合を考える。また、この列車Zの指定席券は全て売り切れており、満席状態であるとする。利用者Xが改札を通過し、列車Zに乗車して、指定座席に着席すると、乗車情報データベース120の状態は、「改札未通過」から、「改札通過」、「着席」へと更新される。この場合、利用者Xが当初予定したとおり、D駅まで列車Zに乗車し続ける場合には、列車ZがD駅に到着するまで、乗車情報データベース120の状態は「着席」のままであり、発券情報データベース130から乗車券情報は削除されない。従って、新たに指定席券を購入できる者はいない。
【0028】
利用者Xが列車Zに乗車しなかった場合には、列車ZのA駅の発車時刻(10:00)を過ぎても、乗車情報データベース120の状態は「着席」とはならない。この場合、乗車判定装置170は、例えば発車時刻から所定時間を経過しても状態が「着席」とならないときには、利用者Xが列車Zに乗車していないと判断する。この判断における所定時間は、例えば、状態が「改札未通過」であれば20分、「改札通過」であれば30分というように、乗車情報データベース120での状態に応じて異なる時間とすることができる。乗車判定装置170は、指定席券を購入している利用者Xが列車Zに乗車していないと判断すると、発券情報データベース130から、利用者Xの指定席券に対応する情報を削除する。これにより、その時刻以降では、利用者Xが予約状態とした座席が、空き状態として管理されることになる。
【0029】
利用者Xの指定席券の情報が発券情報データベース130から削除された後に、別の利用者Yが、指定席券発券担当者に、C駅からD駅までの指定席券の購入を要求したとする。この場合、指定席券発券担当者が乗車券発行端末140を操作すると、乗車券発行端末140は、列車情報データベース110及び発券情報データベース130を検索して、発券可能な座席を表示する。このとき、発券情報データベース130から利用者Xの指定席券の情報が削除されているため、乗車券発行端末140には、利用者Xが予約していた座席が、発券可能な座席として表示される。したがって、利用者Yは、その座席の指定席券を購入することができる。
【0030】
また、利用者Xが、列車ZにA駅から乗車したものの、B駅で下車した場合を考える。この場合には、利用者Xが座席から離れることにより、乗車情報データベース120の状態が「着席」ではなくなる。乗車判定装置170は、例えば、「着席」でなくなった状態が所定時間継続すると、利用者Xが途中下車したと判断して、乗車情報データベース120から、利用者Xの指定席券に対応する乗車情報を削除する。この乗車情報の削除は、駅Bの改札装置150で利用者Xの指定席券から指定席券情報が読み取られたことを契機として実行してもよい。この場合にも、上記と同様に、利用者Xが予約状態としていた座席が空き状態として管理されることになり、利用者Yは、C駅からD駅までの指定席券を購入することができる。
【0031】
本実施形態では、発行した指定席券180に対応するエントリを、乗車情報データベース120に作成し、乗車情報データベース120にて、指定席券180ごとに、その指定席券を購入した利用者の状態を管理する。指定席券180には指定席券情報が記憶されており、改札装置150及び列車装置160は、指定席券180から指定席券情報を読み出すと、乗車情報データベース120の対応する指定席券の状態を、「改札通過」及び「着席」に更新する。このようにすることで、指定席券ごとに、利用者の入退場や、実際の着席状況を管理することができる。
【0032】
また、本実施形態では、乗車判定装置170により、使用者の実際の着席状況を管理し、利用者が乗車していない、又は、途中駅で下車したときには、その座席を空席状態にして、新たな指定席券の発行を可能にする。このようにすることで、最新の状況に基づいて発券業務を行うことができ、指定席券の購入者が乗車しなかった、或いは、途中下車したことで空席が発生した場合に、他の利用者に、その座席の指定席券を購入する機会を与えることができ、顧客満足度を向上させることができる。
【0033】
本実施形態では、利用者が着席することで指定席券180から指定席券情報が読み出され、乗車情報データベース120における状態が着席状態となるため、これを車内での検札の代用とすることできる。この場合には、車内での検札が不要となることで検札業務を簡略化でき、人件費を削減することができる。また、利用者側から見た場合、利用者は、検札が自動化されることで、乗務員による干渉から解放されるという効果もある。
【0034】
なお、上記実施形態では、指定席券の発行対象が列車である例を示したが、これには限定されない。例えば、バスなど、他の乗車目的物であってもかまわない。また、上記実施形態では、座席情報を列車情報データベース110で管理し、発券済みの指定席券、つまり、販売済み座席を発券情報データベース130で管理することで、座席の販売状況(空席状況)を管理する例について示したが、これらデータベースをひとまとめにし、1つのデータベースで、座席情報と、販売済みの座席、又は、空席とを管理してもよい。
【0035】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の指定席券管理システム及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の指定席券管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】指定席券管理システムの動作手順を示すフローチャート。
【図3】指定席券管理システムの利用の具体例を示す模式図。
【符号の説明】
【0037】
100:指定席券管理システム
110:列車情報データベース
120:乗車情報データベース
130:発券情報データベース
140:乗車券発行端末
150:改札装置
160:列車装置
170:乗車判定装置
180:指定席券
190:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からの指定席券発行要求に基づいて、乗車目的物における座席情報を含む指定席券情報を記憶する指定席券を発行する指定席券発行装置と、
前記乗車目的物内で、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出して前記利用者による座席の利用が正当であるか否かを判断し、正当であると判断すると、前記発行された指定席券を所持する利用者の状態情報を記憶する乗車情報データベースにおける状態情報を、乗車している旨に更新する乗車目的物内装置とを備えることを特徴とする指定席券管理システム。
【請求項2】
前記利用者が前記乗車目的物に乗車する際に通過するゲート部近傍に設置され、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出し、前記乗車情報データベースにおける状態を、ゲートを通過した旨に更新するゲート部装置を更に備える、請求項1に記載の指定席券管理システム。
【請求項3】
前記指定席券発行装置は、前記指定席券発行要求を受け付けると、乗車目的物における座席の空き状態を管理する座席データベースを参照して、販売可能な座席が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記指定席券を発行すると共に、前記座席データベースにおける、発行した指定席券に対応する座席を確保済み座席に更新する、請求項1又は2に記載の指定席券管理システム。
【請求項4】
前記発行された指定席券について、前記乗車情報データベースを参照して、前記乗車目的物への乗車時刻を過ぎても乗車している旨の状態に更新されない指定席券が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻す乗車判定部を更に有する、請求項3に記載の指定席券管理システム。
【請求項5】
前記乗車判定部は、前記指定席券での目的地に到達するまでの間に、利用者が下車したことによって、前記乗車情報データベースの状態が、乗車している旨から乗車していない旨に更新されたと判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻す、請求項4に記載の指定席券管理システム。
【請求項6】
前記座席データベースが、乗車目的物ごとに、販売可能な座席に関する情報を記憶する列車情報データベースと、発行済みの指定席券に関する情報を記憶する発券情報データベースとを含む、請求項3〜5の何れか一に記載の指定席券管理システム。
【請求項7】
乗車目的物における座席情報を含む指定席券情報を記憶する指定席券と、前記乗車目的物内で、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出す乗車目的物内装置とを用いた指定席券の管理方法であって、
前記乗車目的物内装置が、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出して前記利用者による座席の利用が正当であるか否かを判断するステップと、
前記乗車目的物内装置が、利用が正当であると判断すると、前記発行された指定席券を所持する利用者の状態情報を記憶する乗車情報データベースにおける状態情報を、乗車している旨に更新するステップとを有することを特徴とする指定席券の管理方法。
【請求項8】
前記利用者が前記乗車目的物に乗車する際に通過するゲート部に設置され、前記指定席券から前記指定席券情報を読み出すゲート部装置を用い、
前記ゲート部装置が、利用者が前記ゲート部を通過する際に前記指定席券から前記指定席券情報を読み出すと、前記乗車情報データベースにおける状態を、ゲートを通過した旨に更新するステップを更に有する、請求項7に記載の指定席券の管理方法。
【請求項9】
利用者からの指定席券の発行要求に基づいて指定席券を発行する指定席券発行装置を用い、
前記指定席券発行装置が、前記指定席券発行要求を受け付けると、乗車目的物における座席の空き状態を管理する座席データベースを参照して、販売可能な座席が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記指定席券を発行すると共に、前記座席データベースにおける、発行した指定席券に対応する座席を確保済み座席に更新するステップを更に有する、請求項7又は8に記載の指定席券の管理方法。
【請求項10】
利用者が指定席券に従って前記乗車目的物に乗車しているか否かを判断する乗車判定装置を用い、
前記乗車判定装置が、前記乗車情報データベースを参照し、前記発行された指定席券について、前記乗車目的物への乗車時刻を過ぎても乗車している旨の状態に更新されない指定席券が存在するか否かを判断し、存在すると判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻すステップを更に有する、請求項9に記載の指定席券の管理方法。
【請求項11】
前記乗車判定装置が、前記指定席券での目的地に到達するまでの間に、利用者が下車したことによって、前記乗車情報データベースの状態が乗車している旨から乗車していない旨に更新されたと判断すると、前記座席データベースで確保済みとした座席を空席状態に戻すステップを更に有する、請求項10に記載の指定席券の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−334532(P2007−334532A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164221(P2006−164221)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】