説明

指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法

【課題】 指紋の山部と谷部の伝熱特性を利用して指紋を精度良く検出することができる指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法を提供すること。
【解決手段】 抵抗素子111の上部の窪み部分に突起部114を設けて、検知面11と指紋の山部を確実に接触させ、この突起部114を介して抵抗素子111が発する熱を指紋の山部に伝熱させるようにし、指紋の山部と谷部における温度上昇特性を異ならせることにより、精度良く指紋画像を取得する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋を検出する指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法に関し、特に、指紋の山部と谷部の伝熱特性を利用して指紋を精度良く検出することができる指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、指紋を用いて個人の認証をおこなう際には、光学的に入力指紋画像を取得して、これをあらかじめ登録した参照指紋画像と照合するのが一般的であったが、かかる光学的技術には、塵埃や汚れに脆弱であり、かつ、小型化するのが難しいという欠点がある。
【0003】このため、最近では、指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋画像を検出する技術が注目されている。たとえば、特表平11−503347号公報には、検出部材を熱源で加熱して温度を測定し、各検出部材の温度または温度変化を供給熱量と比較して、該検出部材から熱伝導面への熱損失を測定し、測定した熱損失の変化状態に基づいて画像を形成する指紋検出器が開示されている。
【0004】この従来技術では、指紋の山部は皮膚が検出面と接触しているために皮膚への熱損失が大きく、指紋の谷部は検出面と皮膚の間に断熱体をなす空気が介在するために熱損失が小さいという特性を利用して、指紋の山部と谷部を画像として再構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来技術によれば、コントラストが低くなりがちであり、また測定ごとのばらつきも小さくはないので、十分な検出精度が得られないという問題がある。
【0006】具体的には、この従来技術を用いた場合に得られる画像のコントラストは、シミュレーションなどで予測される値よりも低くなりがちであり、照合精度も低下しがちとなる。その主な原因は、検出面に存在する微細な凹凸にあり、指紋センサの凹部分(窪み部分)には皮膚が直接触れないため、指紋画像のコントラストの低下および照合精度の低下を招くことになる。これらのことから、検出精度の高い指紋センサをいかに実現するかが重要な課題となっている。
【0007】この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、指紋の山部と谷部の伝熱特性を利用して指紋を精度良く検出することができる指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1に係る指紋センサは、複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層して形成し、前記検出面に指が載置された際に指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋画像を検出する指紋センサにおいて、前記基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる前記温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部を備えたことを特徴とする。
【0009】また、請求項2に係る指紋センサは、請求項1の発明において、前記突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて前記温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出する指紋画像検出手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】また、請求項3に係る指紋センサは、請求項1または2の発明において、前記複数の温度センサは、前記配線を通じた通電により発熱して前記検出面を加熱するとともに、所定時間経過後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする。
【0011】また、請求項4に係る指紋センサは、請求項1または2の発明において、前記基板と前記複数の温度センサとの間に配設した前記検出面を加熱する加熱手段をさらに備え、各温度センサは、前記加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする。
【0012】また、請求項5に係る指紋照合装置は、請求項1または2の発明において、前記複数の温度センサと前記絶縁膜との間に配設した前記検出面を加熱する加熱手段をさらに備え、各温度センサは、前記加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする。
【0013】また、請求項6に係る指紋照合装置は、複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層して形成し、前記検出面に指が載置された際に指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋画像を検出する指紋センサにより検出した入力指紋画像をあらかじめ登録した参照指紋画像と比較して指紋照合をおこなう指紋照合装置において、前記基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる前記温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部と、前記突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて前記温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出する指紋画像検出手段と、前記指紋画像検出手段により検出された入力指紋画像を前記参照指紋画像と照合する指紋照合手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】また、請求項7に係る指紋センサの製造方法は、複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に前記複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された絶縁膜層上に熱伝導可能な突起部を層形成する第3の層形成工程とを含んだことを特徴とする。
【0015】また、請求項8に係る指紋センサの製造方法は、複数の温度センサ、配線並びに絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に前記複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に熱伝導可能な突起部を層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第3の層形成工程とを含んだことを特徴とする。
【0016】また、請求項9に係る指紋センサの製造方法は、複数の温度センサ、配線並びに絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に熱伝導可能な突起部を層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第3の層形成工程と、を含んだことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る指紋センサ、指紋照合装置および指紋センサの製造方法の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態1では、指紋センサ自体について説明し、実施の形態2では、この指紋センサを有する指紋照合装置について説明することとする。
【0018】(実施の形態1)この実施の形態1では、本発明に係る指紋センサについて説明する。図1は、本実施の形態1に係る指紋センサ1の外観構成を示す図である。なお、本実施の形態1では、同一の抵抗素子でヒーターと温度センサを兼用する1層式の指紋センサを用いる場合を示すこととする。なお、ヒーター層と温度センサ層を別層とする2層式の指紋センサの説明については後述する。
【0019】同図に示すように、この指紋センサ1は、指紋画像を検出する指紋検出部10と、信号処理をおこなう信号処理部20とからなる。ここで、この指紋センサ1は、熱伝導方式によって指紋画像を取得する指紋センサであり、指紋検出部10の検出面の下部にマトリックス状に複数のヒーターと温度センサとを作り込み、ラインごとに順次加熱して、その直後温度上昇を複数の温度センサで検出して指紋画像を得るようにしたものである。
【0020】特に、この指紋センサ1では、検出面11に存在する微細な凹凸の凹部分(窪み部分)が皮膚に接触しないという従来の問題を解決し、指紋の検出精度を上げることができるようにしている。その詳細は後述するが、指紋センサ上に存在する検出面11の凹部分(窪み部分)に突起部を設け、皮膚が検出面11に接触するようにしている。
【0021】次に、図1に示した指紋センサ1の構造についてさらに具体的に説明する。図2は、図1に示した指紋検出部10の断面構造を示す図である。なお、ここでは説明の便宜上、ヒーターが温度センサを兼ねる1層センサを用いた場合を示すこととする。
【0022】図2に示すように、薄膜のパターニングプロセスを用いてパターンを形成する場合には、基板100上に抵抗素子111を配設し、この抵抗素子111と接するように配線112を設け、その上部を絶縁膜113で覆うことになる。ここでは説明の便宜上、図2に示す基板100上に3つの抵抗素子111のみを設けた場合を示したが、実際にはこの基板100上にたとえば256×256個(合計65536個)の抵抗素子111をマトリクス状に形成することになる。すなわち、かかる場合には、抵抗素子111用の1層と、2次元アレイから配線112を引き出すために必要となる配線112用の2層と、絶縁膜113(配線と配線の絶縁膜、表面保護膜)2層が必要となるので、最低でも5層の膜がパターン形成される。
【0023】このように、パターン形成される膜が多層化すると、検出面11表面の凹凸が複雑化し、膜の構成にもよるが抵抗素子111の上部に凹部が生じる場合が多いので、指への熱伝導性が低下し、結果的に指紋の検出精度が低下する。このため、本実施の形態に係る指紋センサ1では、この抵抗素子111の上部の凹部に突起部114を設け、検出面11表面の凹凸に起因する熱伝導性の低下を防止し、もって指紋の検出精度を向上させている。
【0024】同図に示す基板100は、石英、ガラス、ポリイミド、アルミナ、表面を絶縁化したSiなどが用いられる。ただし、これに限定されるものではなくその他の絶縁性材料を用いることもできる。
【0025】抵抗素子111は、検出面11を加熱するヒーターと、温度を検出する温度センサとしての役割を果たしているので、この抵抗素子111には、発熱素子としての特性と抵抗変化型の温度センサとしての特性が求められる。かかる抵抗素子111の材料としては、たとえばポリシリコン、アモルファスシリコンまたはITOなどの抵抗体材料がある。
【0026】そして、かかる温度の検出は、この抵抗素子111に所定の電圧を印加しその時流れる電流の大きさを検出することによっておこなう(抵抗変化型温度検出素子)。なお、ここでは温度を検出する役割のみを果たす温度検出素子は設けていないので、指紋検出部10の内部構造が単純化され、検出面11の表面状態(凹凸)を所望の状態とすることが容易となる。
【0027】また、ここでは指紋のピッチが数百μm程度であることを考慮して抵抗素子111の配列ピッチを50〜100μm程度にするとともに、抵抗素子111の厚さを0.1〜1μm程度にしている。
【0028】配線112は、抵抗素子111に通電するための配線であり、抵抗素子111は、この配線112を通じて信号処理部20と接続されている。ここで、抵抗素子111との接触を確実にするため、この配線112は抵抗素子111の左右両端付近において抵抗素子111と重なるように形成されている。このような内部構造(抵抗素子111、配線112の具体的形状、積層の仕方)が検出面11の表面形状を決定づけている。
【0029】絶縁膜113は、検出面11を形成する層であり、抵抗素子111および配線112などを保護する。この絶縁膜113は、その特性上できるだけ薄くすることが求められるが、ここでは絶縁膜113自体の厚さを0.5〜2μm程度としている。
【0030】このように、絶縁膜113を薄くしている関係上、この絶縁膜113の表面形状は、抵抗素子111、配線112などの配置(あるいは積層構造)に応じた凹凸が生じている。具体的には、抵抗素子111と配線112とが重なっている部分が盛り上がった状態となっており、抵抗素子111の上部の中央付近は窪んだ状態となっている。この実施の形態では、この窪みは深さが1μm程度である。
【0031】なお、絶縁膜113の材料としては、たとえば、SiO2、Si34、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、Ta25、Al23などの絶縁性材料があげられる。
【0032】突起部114は、抵抗素子111の上部に生ずる絶縁膜113表面の窪みに設けられるものであり、この突起部114により、皮膚が検出面11に接触しやすくなる。
【0033】すなわち、従来の指紋センサでは、この突起部114が設けられていなかったために、たとえ指紋の凸部が抵抗素子111の上部に位置する場合であっても、指紋の凸部が検出面11に接触せず、結果的に指紋の検出精度が低下する原因となっていた。そこで、本実施の形態では、この突起部114を設けることにより、絶縁膜113表面に生ずる窪みの影響を除去している。
【0034】このため、検出面11に指を載せて指紋を検出すると、指紋の凸部が抵抗素子111の上部に位置する場合に、皮膚をこの突起部114に確実に接触させることができ、検出面11から指(特に山部)への熱伝導が良好になる。
【0035】なお、固体の材料は、一般に空気に較べれば熱伝導性が高い。したがって、突起部114の材質がどのようなものであっても、熱伝導性の向上という効果は期待できる。突起部114の材質としては、たとえば、金属、SiNを用いることができ、一般的には熱の不良動体といわれている材料(たとえば、SiO2)を用いることもできる。絶縁膜113との接合強度や加工の容易さなどを考慮して選定すればよい。
【0036】実際の指紋検出部10は、周知の薄膜プロセスを用いて以下のようにして製造可能である。すなわち、基板100のうえに、抵抗素子111、配線112、さらには絶縁膜113を積層形成する。さらに、突起部114を同様に形成する。なお、基板100上に突起部114、抵抗素子111および配線112、絶縁膜113の順に積層形成することもできる。
【0037】次に、図1に示した信号処理部20内に設けられる検知回路の回路構成について説明する。図3は、図1に示した信号処理部20内に設けられる検知回路の回路構成の一例を示す図である。
【0038】同図に示す検知回路12は、指紋検出部10内に設けられた温度センサの役割を果たす各抵抗素子111から温度に係るデータを受け取って温度を検知する回路である。具体的には、各抵抗素子111をつなぐ水平方向(行)にのびた256本の配線112と、垂直方向(列)にのびた256本の配線112を介して温度に係るデータを受け取る。なお、図中に示すIVアンプおよび作動アンプなどの回路は、温度信号を変換、増幅、ラッチする回路部分である。
【0039】加熱および温度検出は、信号処理部20によっていずれかの行を選択し、この選択した行の抵抗素子111に所定の定電圧を印加することでおこなう。また、この選択する行を順次切り替え走査してゆくことで、すべての抵抗素子111について同様の加熱、温度検出をおこなうことができる。
【0040】なお、加熱、温度検出を1行ずつおこなっているのは、温度信号をラッチする検出回路12を各列ごとにしか設けていないからである。このラッチする回路部を各行各列ごとに設ければ、すべての抵抗素子111について一斉に加熱し、温度検出することができる。
【0041】信号処理部20は、上記検出回路12以外に指紋のパターンを検出して指紋画像を生成する処理部を有するが、説明の都合上、この信号処理部20の詳細については、実施の形態2において説明する。
【0042】次に、図2に示した突起部114を設けた指紋センサ1を用いた指紋の検出概念について説明する。図4は、図2に示した突起部114を設けた指紋センサ1を用いた指紋の検出概念を説明するための説明図である。
【0043】被認証者が検出面11に指を載置して所定の検出開始操作をおこなうと、信号処理部20は、配線112を通じて抵抗素子111のそれぞれに所定の電圧を印加して該抵抗素子111をそれぞれ発熱させる。これにより、検出面11には指紋の形状(パターン)に対応した温度分布が生じる。
【0044】ここで、指紋の谷部では、皮膚と検出面11との間に断熱体である空気が介在しており、両者が直接接触することはないので、抵抗素子111によって発生された熱が検出面11から皮膚へと熱が逃げにくく、この抵抗素子111周辺の温度が高くなる。
【0045】これに対して、指紋の山部では、皮膚が検出面11と直接的に接触するため、検出面11から皮膚へと熱が逃げやすいので、抵抗素子111周辺の温度が低下する。特に、本実施の形態では、図4(a)に示すように検出面11に突起部114を設けているので、皮膚との接触が確実なものとなり、検出面11から指への熱伝導が良好になる。なお、図4(b)に示すように検出面11に窪み部分が存在すると、抵抗素子111の上部に指紋の山部が所在したとしても皮膚が検出面11に直接接触しないので、熱が指へと逃げにくく、鮮明な指紋画像が得られない結果となる。
【0046】このようにして、検出面11に温度分布を生じさせたならば、引き続きこの温度分布を計測する。具体的には、信号処理部20は配線112を通じて各抵抗素子111に所定の電圧を印加し、その時流れる電流値を計測することによって温度を検出する。さらに、このようにして得た温度分布に基づいて指紋画像を生成する。
【0047】次に、上記指紋センサ1を用いた場合のシミュレーション結果の一例について説明する。図5は、シミュレーションの前提を説明するための説明図である。また、図6は、突起部114を設けた検出面11に指を載置した場合における温度上昇のシミュレーション結果の一例を示す図であり、図7は、突起部114を設けない検出面11に指を載置した場合における温度上昇のシミュレーション結果の一例を示す図である。さらに、図8は、指紋の谷部と山部の検出原理を説明するための説明図である。
【0048】図5に示すように、このシュミレーションは、抵抗素子111上の窪みにより指と指紋センサ1の間に隙間が生じる場合と(同図(b))、突起部114によりかかる隙間が生じない場合(同図(a))についておこなっている。
【0049】具体的には、図5(a)に示すように、ここでは100μmの石英からなる基板上に、0.2μmのSiからなる抵抗素子111を置き、その上部に1.8μmのSiOからなる絶縁膜113および突起部114を被せて指紋センサ1を形成する。すなわち、この指紋センサ1は、SiOからなる突起部114を設けているので、指の表皮が指紋センサ1の表面に接触している。
【0050】これに対して、図5(b)の場合には、SiOからなる突起部114を設けていないので、指の表皮と指紋センサ1の表面との間に空気の隙間(1.0μm)が生じている。
【0051】なお、このシミュレーションの初期条件として、検出位置での窪みの深さを1μmとし、初期温度を0℃としている。また、基板100の厚さを100μmとし、熱伝導率を1.4W/(mK)とし、比熱を0.70J/(gK)とし、比重を2.22としている。また、抵抗素子111の厚さを0.2μmとし、熱伝導率を168W/(mK)とし、比熱を0.68J/(gK)とし、比重を2.34としている。さらに、絶縁膜113と突起部114の厚さを1.8μmとし、熱伝導率を1.4W/(mK)とし、比熱を0.70J/(gK)とし、比重を2.22としている。また、指の表皮の厚さを100μmとし、熱伝導率を0.377W/(mK)とし、比熱を3.39J/(gK)とし、比重を1.2としている。なお、突起部114を設けていない場合における山部と検出面との間の空気層の厚さを1.0μmとし、突起部114を設けた場合は、山部と検出面とが直接接触し、両者間には空気層は存在しないものとしている。谷部と検出面との間の空気層の厚さは100μmとなる。
【0052】図6に示すように、突起部114を設けた場合には、指紋の山部での温度上昇は、谷部の温度上昇に比べてかなり緩やかになっており、指紋の谷部と山部の温度差が大きいため、山部と谷部とを容易かつ確実に判別することができる。これに対して、かかる突起部114を設けない場合には、図7に示すように、指紋の山部においても谷部と同様に温度が上昇するため、山部と谷部を判別することが困難になる。
【0053】このように、突起部114を設けた場合には、指紋の谷部と山部の温度上昇特性が異なるため、この温度上昇特性の違いを利用して指紋の山部と谷部を検出することになる。
【0054】具体的には、図8(a)に示す電圧パルスを抵抗素子111に印加すると、同図(b)に示すように抵抗素子111における温度が上昇し、同図(c)に示すような電流を検出する。すなわち、指紋の山部では熱が指の表皮に逃げるので温度が上昇しにくく、時間の経過とともにその傾向が顕著なものとなるので、印加開始時の検出電流と印加終了時の検出電流の差を各抵抗素子111ごとに測定すると、精度の良い指紋画像が検出することができることになる。
【0055】以上説明したとおり、この実施の形態1に係る指紋センサ1によれば、抵抗素子111の上部の窪み部分に突起部114を設け、抵抗素子111が発する熱を指紋の山部に伝熱させ、指紋の山部と谷部における温度上昇特性を異ならせるよう構成したので、鮮明な指紋画像を得ることができる。
【0056】なお、本実施の形態では、絶縁膜113を覆った後に突起部114を設けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、抵抗素子111の上に突起部114を設け、その上を絶縁膜113で覆うよう構成することもできる。この場合にも、指紋の山部と抵抗素子111上の検出面11とを確実に接触させることができる。
【0057】ところで、本実施の形態では、発熱素子としての役割と、温度センサとしての役割とを抵抗素子111に担わせることとしたが、両者をそれぞれ別個に設け、温度センサをセンサ層とヒーター層の2層構造にした場合に本発明を適用することもできる。
【0058】図9は、センサ層とヒーター層とを別層にした場合の指紋センサの断面構造を示す図である。図9に示すように、センサ層とヒーター層とを別層にする場合には、基板100上にヒーター111aを配設して絶縁膜113で覆い、ヒーター111aの上部にセンサ111bおよび配線112を配設し、その上部を絶縁膜113で覆うことになる。また、図2に示す1層の場合と同様に、このセンサ111bの上部には突起部114を設ける。
【0059】すなわち、センサ層とヒーター層を別層にする場合であっても、これらを抵抗素子111として共用する場合と同様に、センサ111bの上部に凹部が生じるので、1層の場合と同様に突起部114を設けることになる。
【0060】なお、図9では、説明の便宜上図2のものと断面の切り方を変えているので、配線112がセンサ111bに接触していないように見えるが、実際には図2R>2に示すものと同様に両者が接触する。
【0061】図10は、センサ層とヒーター層とを別層にした場合の指紋センサのヒーター回路および検知回路の回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、センサ層とヒーター層を分ける場合には、図3と異なりヒーター回路と検知回路が別層になる。具体的には、同図(a)に示すヒーター回路と、同図(b)に示すセンサ回路が基板上に重畳して配設され、このセンサ回路に検知回路12が接続されることになる。なお、かかるセンサ111bとしては、温度に応じた信号を自ら生成出力する素子、たとえば、焦電型の温度検出素子や熱電対などを用いることができる。また、温度センサと発熱素子の上下の位置関係を逆にしてもよい。
【0062】発熱素子と温度センサとをそれぞれ別個に設けた構造としてはこの他にも発熱素子と温度センサとを同じ平面上(同じ層位置)に配置した構造が上げられる。指紋の山部と谷部との伝熱特性の差を利用した指紋センサでは、検出された温度分布に基づいて指紋画像を生成する。したがって、鮮明な画像を得るためには、温度センサの検知対象部位(つまり、温度センサの周囲)の温度に影響を与える領域(具体的には、検出面における温度センサの真上の領域)に皮膚が確実に接触するようにすることが求められる。したがって、このような構成の指紋センサでは、検出面は、温度センサの真上の領域に突起部114を設けることが必要となる。
【0063】なお、できるだけ温度センサの真上に突起部114を設ける理由は、絶縁膜113がきわめて薄く、絶縁膜113の層方向(図における左右方向)についての熱伝導が小さいからである。
【0064】(実施の形態2)上記実施の形態1では指紋センサ1自体について説明したが、ここでは上記指紋センサ1を有する指紋照合装置について説明する。図11R>1は、ヒーターと温度センサを兼用する1層式の指紋センサを用いた場合の指紋照合装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0065】同図に示すように、この指紋照合装置は、指紋センサ1(指紋検出部10および信号処理部20)と、指紋照合部30とからなる。信号処理部20は、指紋検出部10によって検出された温度信号に基づいて指紋画像を生成する処理部であり、この信号処理部20は、制御部21、電圧パルス出力部22、検知部23、コントラスト判定部24、しきい値記憶部25および画像データ出力部26からなる。これら各部は制御部21による制御の下、以下のように動作する。
【0066】検出面11へ指が圧着された場合、制御部21はこれを検知し、この指の指紋画像を検出すべく、電圧パルス出力部22に測定開始の指示を送る。これを受けた電圧パルス出力部22は、指紋検出部10の各行へ、順次、定電圧パルスを印加することによって、加熱、温度検出をおこなう。
【0067】具体的には、電圧パルス出力部22は、指紋検出部10のいずれかの行を選択し、この選択した行に加熱用の定電圧パルスV1を出力する。これによって、選択された行の抵抗素子111が発熱し検出面11上に温度分布が瞬時に生じる。
【0068】そして、所定時間経過後に、信号処理部20の検知回路12が電流を検出する。すなわち、抵抗素子111の抵抗値はその温度によって変化するため、抵抗素子111には温度に応じた大きさの電流が流れるため、この電流を検出する。その結果、選択された抵抗素子111それぞれの温度に応じた信号(温度信号)が制御部21に出力される。以上述べた加熱、温度測定動作をすべての行について順次おこなう。
【0069】その後、この温度信号を得た制御部21は、該温度信号(温度分布)に基づいて指紋画像(指紋画像)を形成し、コントラスト判定部24が入力された指紋画像のコントラストをしきい値記憶部25に記憶したしきい値と比較し、コントラストがしきい値を越える場合には指紋画像が良好なものであると判定し、画像データ出力部26から指紋画像を出力する。
【0070】指紋照合部30は、信号処理部20から入力された指紋画像を、あらかじめ登録した参照指紋画像と比較して、両者が一致するか否かを照合する処理部である。この指紋照合部30は、画像入力部31、参照画像記憶部32および照合処理部33からなる。
【0071】画像入力部31は、信号処理部20から入力された指紋画像を受け付けて、これを照合処理部33へ出力する処理部であり、参照画像記憶部32には、あらかじめ、入力指紋画像の比較の対象となる指紋画像が記憶されている。照合処理部33は、画像入力部31から入力された指紋画像を、参照画像記憶部32に記憶されている参照指紋画像と照合する。つまり、両者を比較してその一致性を判定して、その照合結果を出力する。
【0072】かかる構成を有する指紋照合装置を用いることにより、本発明に係る1層式の指紋検出部を用いて精度良く指紋画像を取得し、この指紋画像を参照画像と照合して照合結果を出力することができる。
【0073】次に、ヒーター層とセンサ層を別層した2層式の指紋センサを採用した指紋照合装置について説明する。図12は、ヒーター層とセンサ層を別層した2層式の指紋センサを採用した指紋照合装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0074】同図に示すように、この指紋照合装置は、指紋センサ1(指紋検出部10および信号処理部20)と、指紋照合部30とからなる。信号処理部20は、指紋検出部10によって検出された温度信号に基づいて指紋画像を生成する処理部であり、この信号処理部20は、制御部21、電圧パルス出力部22、検知部23、コントラスト判定部24、しきい値記憶部25および画像データ出力部26からなる。これら各部は制御部21による制御の下、以下のように動作する。
【0075】検出面11へ指が圧着された場合、制御部21はこれを検知し、この指の指紋画像を検出すべく、電圧パルス出力部22に測定開始の指示を送る。これを受けた電圧パルス出力部22は、指紋検出部10のヒーター回路101の各行へ、順次、定電圧パルスV1を印加することによって加熱をおこなうとともに、センサ回路12に定電圧パルスV2を出力する。
【0076】センサ回路12に定電圧パルスV2を出力すると、このセンサ回路12の抵抗素子には温度に応じた大きさの電流が流れるため、信号検出部20の検知部23がこの電流を検出し、温度信号を制御部21に出力する。その後、図11に示す場合と同様の手順で指紋画像を作成し、指紋照合部30においてこの指紋画像の照合をおこなう。
【0077】かかる構成を有する指紋照合装置を用いることにより、本発明に係る2層式の指紋検出部を用いて精度良く指紋画像を取得し、この指紋画像を参照画像と照合して照合結果を出力することができる。
【0078】なお、本実施の形態では、指紋センサに指紋検出部10と信号処理部20とを別体とした場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、両者を一体化することもできる。また、指紋照合部30を、信号処理部20と一体化もしくは、信号処理部20と指紋検出部10とを含めて一体化してもよい。
【0079】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1の発明によれば、基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部を設けるよう構成したので、指紋の山部が検出面とを確実に接触させ、もって指紋の山部が接触している場合と接触していない場合の温度センサ周辺の温度を明確に異ならせることができる。
【0080】また、請求項2の発明によれば、突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出するよう構成したので、精度の良い指紋画像を取得することができる。
【0081】また、請求項3の発明によれば、温度センサが、配線を通じた通電により発熱して検出面を加熱するとともに、所定時間経過後の温度に応じた電流を配線を通じて出力するよう構成したので、ヒーターと温度センサの役割を一つの抵抗素子に担わせ場合にも、精度の良い指紋画像を取得することができる。
【0082】また、請求項4の発明によれば、基板と複数の温度センサとの間に配設した検出面を加熱する加熱手段を設け、各温度センサが、この加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を配線を通じて出力するよう構成したので、ヒーターと温度センサを別層とした場合であっても、精度の良い指紋画像を取得することができる。
【0083】また、請求項5の発明によれば、複数の温度センサと絶縁膜との間に配設した検出面を加熱する加熱手段を設け、各温度センサは、この加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を配線を通じて出力するよう構成したので、ヒーターを温度センサと絶縁膜との間に設けた場合であっても、精度の良い指紋画像を取得することができる。
【0084】また、請求項6の発明によれば、基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部を設け、この突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出し、検出した入力指紋画像を参照指紋画像と照合するよう構成したので、精度良く指紋照合をおこなうことができる。
【0085】また、請求項7の発明によれば、基板上に前記複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成し、この層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成し、この絶縁膜層上に熱伝導可能な突起部を層形成するよう構成したので、従来の薄膜プロセスを利用して、精度の良い指紋センサを効率良く製造することができる。
【0086】また、請求項8の発明によれば、基板上に複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成し、この層上に熱伝導可能な突起部を層形成し、この層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成するよう構成したので、従来の薄膜プロセスを利用して、精度の良い指紋センサを効率良く製造することができる。
【0087】また、請求項9の発明によれば、基板上に熱伝導可能な突起部を層形成し、この層上に複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成し、この層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成するよう構成したので、従来の薄膜プロセスを利用して、精度の良い指紋センサを効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る指紋検出センサの外観構成を示す図である。
【図2】図1に示した指紋検出部の断面構造を示す図である。
【図3】図1に示した信号処理部内に設けられる検知回路の回路構成の一例を示す図である。
【図4】図2に示した突起部を設けた指紋センサを用いた指紋の検出概念を説明するための説明図である。
【図5】シミュレーションの前提を説明するための説明図である。
【図6】突起部を設けた検出面に指を載置した場合における温度上昇のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図7】突起部を設けない検出面に指を載置した場合における温度上昇のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図8】指紋の谷部と山部の検出原理を説明するための説明図である。
【図9】センサ層とヒーター層とを別層にした場合の指紋センサの断面構造を示す図である。
【図10】センサ層とヒーター層とを別層にした場合の指紋センサのヒーター回路および検知回路の回路構成の一例を示す図である。
【図11】ヒーターと温度センサを兼用する1層式の指紋センサを用いた場合の指紋照合装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図12】ヒーター層とセンサ層を別層した2層式の指紋センサを採用した指紋照合装置の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 指紋センサ
10 指紋検出部
11 検出面
12 検知回路
20 信号処理部
21 制御部
22 電圧パルス出力部
26 画像データ出力部
30 指紋照合部
31 画像入力部
32 参照画像記憶部
33 照合処理部
100 基板
111 抵抗素子
112 配線
113 絶縁膜
114 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層して形成し、前記検出面に指が載置された際に指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋画像を検出する指紋センサにおいて、前記基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる前記温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部を備えたことを特徴とする指紋センサ。
【請求項2】 前記突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて前記温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出する指紋画像検出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の指紋センサ。
【請求項3】 前記複数の温度センサは、前記配線を通じた通電により発熱して前記検出面を加熱するとともに、所定時間経過後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする請求項1または2に記載の指紋センサ。
【請求項4】 前記基板と前記複数の温度センサとの間に配設した前記検出面を加熱する加熱手段をさらに備え、各温度センサは、前記加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする請求項1または2に記載の指紋センサ。
【請求項5】 前記複数の温度センサと前記絶縁膜との間に配設した前記検出面を加熱する加熱手段をさらに備え、各温度センサは、前記加熱手段による加熱後の温度に応じた電流を前記配線を通じて出力することを特徴とする請求項1または2に記載の指紋センサ。
【請求項6】 複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層して形成し、前記検出面に指が載置された際に指紋の谷部と山部の伝熱特性の差に基づいて指紋画像を検出する指紋センサにより検出した入力指紋画像をあらかじめ登録した参照指紋画像と比較して指紋照合をおこなう指紋照合装置において、前記基板上に複数の温度センサ、配線および絶縁膜を積層する際に生ずる前記温度センサ上の凹部に配設した熱伝導可能な突起部と、前記突起部を介して指に熱伝導した後の温度に応じて前記温度センサに流れる電流値に基づいて指紋画像を検出する指紋画像検出手段と、前記指紋画像検出手段により検出された入力指紋画像を前記参照指紋画像と照合する指紋照合手段とを備えたことを特徴とする指紋照合装置。
【請求項7】 複数の温度センサ、各温度センサに通電する配線並びに被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に前記複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された絶縁膜層上に熱伝導可能な突起部を層形成する第3の層形成工程とを含んだことを特徴とする指紋センサの製造方法。
【請求項8】 複数の温度センサ、配線並びに絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に前記複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に熱伝導可能な突起部を層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第3の層形成工程とを含んだことを特徴とする指紋センサの製造方法。
【請求項9】 複数の温度センサ、配線並びに絶縁膜を基板上に順次積層した指紋センサを製造する指紋センサの製造方法であって、前記基板上に熱伝導可能な突起部を層形成する第1の層形成工程と、前記第1の層形成工程により形成された層上に複数の温度センサ並びに該温度センサに通電する配線をそれぞれ層形成する第2の層形成工程と、前記第2の層形成工程により形成された層上に被検者が指を載置する検出面をなす絶縁膜を層形成する第3の層形成工程とを含んだことを特徴とする指紋センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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