説明

挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップ

【課題】 従来のゴキブリ捕獲器は、挟小部や特殊な環境下、例えば振動等でゴキブリ捕獲器が移動してしまう場所に設置した際、求める場所に捕獲器を載置し続けられなかった。
【解決手段】 害虫捕獲トラップの中で特に害虫捕獲トラップを設置した際に、振動等で害虫捕獲トラップ本体が設置場所から移動してしまうことを防ぐもので、基材1の底部7一端のフラップ部2は上側に折り曲げて形成し、害虫が害虫捕獲トラップの底部7のより中央部に誘導するためのフラップ部2を設け、他端は下側に折り曲げて設置時の位置ズレ防止を目的とする引っ掛け係止部11を形成し、引っ掛け係止部11は下側に折り曲げて形成されているが、折り戻り難くするために略ドーム状に形成した天壁に沿って略3角形状の立ち上げフラップ片12を設けて折り曲げ罫線4を介して基材1の底部7、及び組立時に略ドーム状天壁とを組み合わせる挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリ等の害虫の通り道や、その付近での捕獲条件の整った場所のうち、特に挟小部に本発明の害虫捕獲トラップを設置し、害虫の捕獲後、容易に処分することができるようにした害虫捕獲トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、底壁と側壁と天壁とから捕獲器本体が構成され、前記側壁を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折り畳んで保管状態とし、前記側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てて使用状態とするゴキブリ捕獲器であって、前記底壁の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層を形成し、前記天壁の下面に、前記粘着剤層保護用の剥離紙を接着しており、前記剥離紙の前記天壁に対する接着力を、前記粘着剤層への粘着力よりも強くしているゴキブリ捕獲器(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−325472号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1〜図10を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術で採用されているゴキブリ等の害虫捕獲トラップは、上記に示したような一枚の基材から形成され、折り畳んで本体を形成し、害虫を捕獲するものである。
しかしながら、上記従来技術で示したようなゴキブリ捕獲器では、挟小部や特殊な環境下、例えば風や振動等でゴキブリ捕獲器が移動してしまうような場所等に設置した場合に求める場所にゴキブリ捕獲器を載置し続けることができないという問題がある。
具体的な例を上げると、厨房等にある業務用冷蔵庫内は、ゴキブリの温床になることが多い。そのため、ゴキブリ捕獲器を設置したいが、業務用冷蔵庫の内部にはゴキブリ捕獲器を設置するスペースが限られている。さらに、冷蔵庫は24時間連続で運転をし、微弱ながら振動し続けているため、設置したゴキブリ捕獲器が振動で移動してしまい、求める場所に載置し続けられない、さらにゴキブリ捕獲器が落下してしまい、業務用冷蔵庫のファン部に入り込んでしまい、冷蔵庫の故障につながることもあり得る。
このことを解決するには、ゴキブリ捕獲器を接着剤で接着してしまうことも考えられるが、それではゴキブリ捕獲器を取り換える際に不便であるし、磁石等で設置する方法も考えられるが、必ずしも磁石が付く場所にゴキブリ捕獲器を設置できるとは限らないという問題がある。
本発明の挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップは上記課題を解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップであり、次のようなものである。
プラスチック等の硬質な材料からなる一枚の基材を折り曲げて略ドーム状に形成する少なくとも底部を備えた捕獲トラップ本体からなり、当該底部の上面に粘着部を有する害虫捕獲トラップで、特に害虫捕獲トラップを設置した際に、風や振動等で害虫捕獲トラップ本体が設置場所から移動してしまうことを防ぐためのものであり、基材の底部一端のフラップ部は上側に折り曲げて形成し、害虫が害虫捕獲トラップの底部のより中央部に誘導するためのフラップ部を設け、他端は下側に折り曲げて設置時の位置ズレ防止を目的とする引っ掛け係止部を形成し、該引っ掛け係止部は下側に折り曲げて形成されているが、折り戻り難くするために略ドーム状に形成した天壁に沿って略3角形状の立ち上げフラップ片を設けて折り曲げ罫線を介して前記基材の底部、及び組立時に略ドーム状天壁とを組み合わせる構成である。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップであり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、前記害虫捕獲トラップの略ドーム状を形成する屋根部に日付や害虫の捕獲数などを記載できる表示部を備えて、害虫の生息調査用に利用した構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップは、上記説明のような構成であるので、以下に記載する効果を奏する。
(1)挟小部や特殊な環境下、例えば風や振動等で害虫捕獲トラップが移動してしまうような場所等に設置した場合に求める場所にゴキブリ捕獲器を載置し続けることができる。
(2)単に折り曲げて形成した引っ掛け係止部であるが、引っ掛け係止部に振動等による引っ張り力が加わっても折り戻りが生じないように、底部から連続して略ドーム状の天壁に沿って略三角形状の立ち上げフラップ片を引っ掛け係止部に設けることで折り戻りが起こらないものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の害虫捕獲トラップの一実施例の組み立て状態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の害虫捕獲トラップの一例の組立前の展開状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
プラスチック等の硬質な材料からなる一枚の基材を折り曲げて略ドーム状に形成する少なくとも底部を備えた捕獲トラップ本体からなり、当該底部の上面に粘着部を有する害虫捕獲トラップで、特に害虫捕獲トラップを設置した際に、風や振動等で害虫捕獲トラップ本体が設置場所から移動してしまうことを防ぐためのものであり、基材の底部一端のフラップ部は上側に折り曲げて形成し、害虫が害虫捕獲トラップの底部のより中央部に誘導するためのフラップ部を設け、他端は下側に折り曲げて設置時の位置ズレ防止を目的とする引っ掛け係止部を形成し、該引っ掛け係止部は下側に折り曲げて形成されているが、折り戻り難くするために略ドーム状に形成した天壁に沿って略3角形状の立ち上げフラップ片を設けて折り曲げ罫線を介して前記基材の底部、及び組立時に略ドーム状天壁とを組み合わせる挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップである。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の一実施例を添付図面で詳細に説明する。
図1、図2からも理解できるように、本発明の害虫捕獲トラップは、一枚の基材1、前記基材1は矩形の底部に例えば上下両端に設けられたフラップ部2、そして該フラップ部2に切り込み部9を入れて切り起こすことにより窓部3を形成する。さらに、組み立てる際の案内となる折り曲げ罫線4、そして本発明の特徴である前記基材1の両端に設けられたフラップ部2の少なくとも一方側に、本体組み立て時に底部と略ドーム型に形成される天壁である屋根部8の一部分にストッパ5を、他方側に前記ストッパ5が挿入係止できる切れ目6を形成する。なお、折り曲げ罫線4を介して折り曲げストッパ5と切れ目6とで組み立て構成されている。
また、矩形の底部の例えば左右両端にどちらか一方、または両方に引っ掛け係止部11を形成できるようにフラップ片10を設け、このフラップ片10に連続して折り曲げ罫線4を案内にして折り曲げすることができる略三角形状の立ち上げフラップ片12を設け、底部7の外側に重ねられるように前記フラップ片10とフラップ部2と折り曲げ罫線4を介して連続的に設け、折り曲げて引っ掛け係止部11として振動等による移動を防止するための引っ掛け部にするものである。
【0011】
ここで、図1に基づいてストッパ5を利用する場合の組み立て方法について説明する。
図2に示されている害虫捕獲トラップの一例の組み立て前の展開状態の平面図からも理解できるように、本発明の害虫捕獲トラップは、折り曲げ罫線4を介して粘着部を有する底部7を中心に上下両端にドーム状を形成する側壁部に相当するフラップ部2、屋根部8である天壁部と同様に底部7を中心に左右両端にフラップ片10を折り曲げ罫線4で折り曲げられるようになっており、これらから害虫捕獲トラップ本体が構成されている。
尚、前記略ドーム状と形状を表現しているが、これは図面に示されているような屋形形状、その他では三角形状、カマボコ形状等、種々の形状にすることが可能である。
先ず、左右両端のフラップ片10のどちらか一方のフラップ片10を、底部7の外側に重なるように折り曲げ罫線4を介して折り曲げる。さらに、上下両端に設けられたフラップ部2を立ち上げながらドーム状に側壁部、屋根部8を形成し、続けて、切り込み部9を利用して切り起こすことで窓部3を形成し、さらに一方のフラップ部2には切れ目6を形成し、この切れ目6に対応するように他方のフラップ部2に切り込みを利用して切れ目6の長さに適合するフラップを形成して、挿し入れるようにして組み付けるものである。
尚、前記切れ目6については、図2に示されているものは、右半分側に寄せて形成されているが、中央部や左半分側に寄せて形成する等、種々選択することができる。
以上のように組み付けることにより、フラップ部2とフラップ片10に連続して形成されている立ち上げフラップ片12が折り曲げ罫線4で折り曲げられながら立ち上げフラップ片12が折り戻りを防止できるようにし、引っ掛け係止部の強度も、ただ単にフラップ部2を下側に折り曲げた場合と比べて格段に上昇し、さらに、長期間設置していたとしても、曲げ部が戻ったりすることなく、本発明の課題である狭小な特殊な環境下で風や振動等で害虫捕獲トラップ本体が設置場所から移動してしまうのを確実に防ぐことができるものである。
【0012】
また、本発明はプラスチック等の硬質の材料に限定した理由は、本発明の課題である害虫捕獲トラップの位置ズレを確実に防ぐために引っ掛け係止部11の強度を向上させるためである。紙などで作成することも考えられるが、使用場所が厨房等、水が頻繁に使用される場所が多く、紙製では水分を吸収してしまい、長期間使用するには強度的に不安である。
そのため、本発明では、プラスチック等の硬質の材料を採用したものである。
【0013】
なお、前記引っ掛け係止部11として使用する必要なければ、通常は上側に折り曲げ罫線4を介して折り曲げてフラップ片10として利用することができる。
また、上記実施例では、引っ掛け係止部11側の基材1の形状が、フラップ部2側の形状と違う構成を採用しているが、両端共に同様の形状であってもよいし、設置場所によっては、前記実施例のように片側だけを特殊な形に構成することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
種々の害虫捕獲トラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・基材
2・・・・フラップ部
3・・・・窓部
4・・・・折り曲げ罫線
5・・・・ストッパ
6・・・・切れ目
7・・・・底部
8・・・・屋根部
9・・・・切り込み部
10・・・・フラップ片
11・・・・引っ掛け係止部
12・・・・立ち上げフラップ片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック等の硬質な材料からなる一枚の基材を折り曲げて略ドーム状に形成する少なくとも底部を備えた捕獲トラップ本体からなり、当該底部の上面に粘着部を有する害虫捕獲トラップで、特に害虫捕獲トラップを設置した際に、風や振動等で害虫捕獲トラップ本体が設置場所から移動してしまうことを防ぐためのものであり、基材の底部一端のフラップ部は上側に折り曲げて形成し、害虫が害虫捕獲トラップの底部のより中央部に誘導するためのフラップ部を設け、他端は下側に折り曲げて設置時の位置ズレ防止を目的とする引っ掛け係止部を形成し、該引っ掛け係止部は下側に折り曲げて形成されているが、折り戻り難くするために略ドーム状に形成した天壁に沿って略3角形状の立ち上げフラップ片を設けて折り曲げ罫線を介して前記基材の底部、及び組立時に略ドーム状天壁とを組み合わせることを特徴とする挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップ。
【請求項2】
前記害虫捕獲トラップの略ドーム状を形成する屋根部に日付や害虫の捕獲数などを記載できる表示部を備えて、害虫の生息調査用に利用したことを特徴とする請求項1に記載の挟小部や特殊な環境下で使用する害虫捕獲トラップ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−235739(P2012−235739A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107013(P2011−107013)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591262827)株式会社シー・アイ・シー (9)
【Fターム(参考)】