説明

振分装置

【課題】 上流側のコンベアの終端部を下方に揺動する一方、下流側のコンベアの始端部を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分ける振分装置において、コンベアを揺動させる部材との干渉を避けるために、揺動の駆動源を覆うカバーに長穴を形成したり、コンベアの捩れ防止のために、コンベアの重量増加を招いたりすることがない手段を提供する。
【解決手段】二台のコンベア2,3を揺動させる駆動源45がカバーで覆われており、駆動源45に連結される回動軸46の一部が外側に露出しており、露出部分に設けられる揺動部材461をコンベア2,3と連結させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をコンベアで搬送しながら、そのコンベアを上下に揺動して振り分ける振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、品質検査装置(重量選別機、金属検出器、X線検査装置等)の下流に配置される振分装置として、特許文献1に示されるように、物品の搬送方向に二台のコンベア14,16を連続配置し、上流側のコンベア14の終端部を下方に揺動するとともに、下流側のコンベア16の始端部を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分ける振分装置が提案されている。
【0003】
この振分装置では、コンベア14,16の一側面から腕26,28が突出しており、各腕が直線状の揺動部材30の両端に連結している。揺動部材30は、中央部が回動自在に支持されており、中央部と二つの両端の間には、揺動部材30を回動させるための進退駆動部32,36の進退ロッド34,38が連結されている。そして、進退ロッド34,38を上下反対方向に進退させることにより、上流側のコンベア14を下方に揺動し、下流側のコンベア16を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分けるものであるが、各コンベアの揺動距離は、搬送物品の厚みの半分で足りるため、高速処理が可能となる利点がある。
【特許文献1】特公昭62−25466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される振分装置は、以下のような問題点がある。
【0005】
まず、防水等のため進退駆動部32,36をカバーで覆う場合において、上下方向に移動する腕26,28との干渉をさけるために、カバーに上下方向に延びる長穴を形成しなければならず、そこから水等がカバー内部に浸入する。また、腕26,28がカバーに形成される長穴内で往復移動するために、そこに手指を挟む恐れがある。
【0006】
また、腕26,28や揺動部材30が、コンベア14,16の一側面にのみ設けられているので、高速運転するとコンベアの動きに捩れが生じ、コンベアの破損や蛇行の原因となる。これを防止するためにコンベアの剛性を高めると、重量増加により揺動による慣性力が増加して、逆に高速運転することが困難となる。
【0007】
そこで、本発明は、上流側のコンベアの終端部を下方に揺動する一方、下流側のコンベアの始端部を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分ける振分装置において、コンベアを揺動させる部材との干渉を避けるために、揺動の駆動源を覆うカバーに長穴を形成したり、コンベアの捩れ防止のために、コンベアの重量増加を招いたりすることがない手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、物品の搬送方向に連続配置される二台のコンベアについて、上流側のコンベアの終端部を下方に揺動するとともに、下流側のコンベアの始端部を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分ける振分装置であって、前記二台のコンベアを揺動させる駆動源がカバーで覆われており、前記駆動源に連結される回動軸の一部が前記カバーの外側に露出しており、前記回動軸の露出部分に設けられる揺動部材を前記二台のコンベアと連結し、前記駆動源で前記回動軸を回動することにより、前記二台のコンベアを揺動させることを特徴とする振分装置を提供する。
【0009】
請求項2の発明は、前記揺動部材は、前記コンベアの幅方向の内側で、かつ、下方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振分装置を提供する。
【0010】
請求項3の発明は、前記揺動部材は、前記コンベアの幅方向に複数備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振分装置を提供する。
【0011】
請求項4の発明は、前記コンベアは、前記揺動部材を摺動可能に連結するためのガイド部材を備えており、前記揺動部材は、前記上流側のコンベアが下方に揺動したときに干渉しないための抉り部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の振分装置を提供する。
【0012】
請求項5の発明は、前記ガイド部材は、側面視U字形状に形成されており、前記コンベアの着脱時に回動して、前記揺動部材がU字形状の開口部から分離可能な状態になることを特徴とする請求項4に記載の振分装置を提供する。
【0013】
請求項6の発明は、前記コンベアは、前記幅方向に軸線が延びる揺動軸を備えており、 前記揺動軸の軸受は、前記揺動軸を受け入れる開口部を有するとともに前記揺動軸と共回りする円筒部と、上方に切欠を有するとともに前記円筒部を回動自在に支持する支持部と、を備えており、前記開口部は、前記コンベアの着脱時に前記切欠と一致することを特徴とする請求項5に記載の振分装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の振分装置によれば、以下の優れた効果を奏し得る。物品の搬送方向に連続配置される二台のコンベアを一の駆動源で揺動させることができ、しかも、カバー内側の駆動源と、カバー外側の揺動部材とを回動軸のみで連結するため、回動軸の貫通部分を容易にシールすることができ、また、手を挟み込んだりすることがないものである。
【0015】
請求項2に記載の振分装置によれば、請求項1に記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。揺動部材がコンベアの幅方向の内側で、かつ、下方に設けられるので、コンベア側面とカバーの隙間を詰めることができる。その結果、コンベアとカバーの隙間に搬送物品が落ち込んだり、手指を入れたりする不都合が防止できる。また、揺動部材は、コンベアの下方に配置されるため、コンベアの側方から落下した物品等が当たって故障したり、汚損したりする心配がない。
【0016】
請求項3に記載の振分装置によれば、請求項1又は2に記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。揺動部材をコンベアの幅方向に複数備えるので、上記従来のようにコンベアの一側面のみを支持する片持ち構造と比べて、揺動時のコンベアの捩れを抑えることができる。その結果、コンベアを高剛性化する必要がなく軽量に構成することができ、高速での振分処理が可能となる。
【0017】
請求項4に記載の振分装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。コンベア側に揺動部材を摺動させるガイド部材を備えるので、揺動部材の構造を簡素化することができる。また、静止時における揺動部材の位置・姿勢が一定となり、コンベアの着脱機構を容易に設けられる。
【0018】
請求項5に記載の振分装置によれば、請求項4に記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。コンベア着脱時にのみ、ガイド部材が回動して揺動部材と分離可能となるため、コンベア稼働中にコンベアが外れることがない。
【0019】
請求項6に記載の振分装置によれば、請求項5に記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。コンベア着脱時にのみ、円筒部の開口部を支持部の切欠きと一致させるため、揺動時にコンベアが外れる恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。図1乃至図8は、発明を実施する形態の一例を示す図である。図1は、振分装置が使用される検査システム全体の外観を示す正面図、図2は、平面図である。図3は、振分装置の内部構造を示す背面図(図2のA視)、図4は、平面図である。図5は、図3に対応する図で振分時の様子を示す。図6は、振分装置の揺動部材からコンベアを切り離す際の様子を示す図である。図7は、コンベアを振分装置から取り外す際の様子を示す図であり、図8は、図7の取り外し時における軸受部の作用を示す拡大図である。
【0021】
本実施形態に係る振分装置1は、図1及び図2に示されるように、検査装置Xの下流に配置されて検査システムを構成する。検査装置Xは、ロードセルで支持される計量コンベアX1を備えており、これを通過する物品の重量が所定の重量範囲内に収まるか否かを判定する。検査装置Xは、通過する物品が所定重量範囲に対して過量又は軽量(異常)であると判定したときには、振分装置1に異常信号を送信する。
【0022】
〔振分装置1〕
振分装置1は、物品の搬送方向に連続配置される二台のコンベア2,3を備えてなり、通常は、検査装置Xから搬送されてくる物品を通過させて次工程(図中の右側)へ搬送する。しかし、検査装置Xからの異常信号の受信したときは、該当物品の通過時に、図1に一点鎖線で示されるように、上流側のコンベア2の終端部2bを下方に揺動する一方、下流側のコンベア3の始端部3aを上方に揺動して、その開いた空間Sに物品を振り分ける。振り分けられた物品は、空間Sの下方に配設される不図示のシューターで回収される。
【0023】
〔コンベア2〕
上流側のコンベア2は、図3及び図4に示されるように、始端部2a側に駆動ローラー21、終端部2b側に従動ローラー22を備える。これらのローラー21,22は、コンベア2のフレーム23に対して回転支持され、コンベアベルト24が巻きかけられる。フレーム23は、ローラー間において、コンベアベルト24を下面から支持するとともに、コンベアベルトの幅方向の両側に延出して振分装置1の本体4との隙間を詰める天板部231を備える。
【0024】
フレーム23には、駆動ローラー21に固定される軸部211,212を支持する軸受部25,26が連結固定される。軸受部25は、中空筒状体で、その外周面がフレーム23にネジで連結固定されており、内側に軸部211を回転支持するベアリング251を備えるとともに、外側の先端部に六角柱形の揺動軸252が一体的に形成されている。軸受部26は、中空筒状体で、その外周面がフレーム23にネジで連結固定されており、内側に軸部212を回転支持するベアリング261を備えている。
【0025】
ベアリング261で支持される軸部211の先端には、後述する駆動軸422と連結するための連結具262が設けられる。従動ローラー22は、その両端にベアリング221,222が備えられており、これらのベアリングにフレーム23の終端部側に架け渡される固定支持軸232を嵌挿することにより、フレーム23に対して回転支持される。
【0026】
フレーム23の下面側で幅方向の内側には、コンベア2を後述する揺動部材461に着脱可能に連結するための連結部27が、幅方向に二個(複数個)備えられている。連結部27は、コンベアの搬送方向に延びるプレート状のガイド部材271と、ガイド部材271を搬送方向に摺動自在に支持する二本(複数本)のガイド軸272,273とを備えてなる。ガイド部材271は、図3に示されるように、揺動部材461の端部に設けられるコロ部461aを摺動可能に保持する長穴状の溝部271aが形成されており、溝部271aにはコロ部461aを着脱可能とするための切欠271bが設けられている。
【0027】
また、ガイド部材271には、ガイド軸272,273を挿通させるとともに、自らをフレーム23に対して搬送方向に摺動可能とするガイド穴271c,271dが形成されている。ガイド部材271は、その上部から延びて天板部231の上面側に貫通する着脱レバー271eを水平方向に摺動操作することにより、図6に示されるように、揺動部材461と連結した状態(一点鎖線)と、揺動部材461に対して着脱可能な状態(実線)とを切り替えることができる。
【0028】
〔コンベア3〕
下流側のコンベア3は、図3及び図4に示されるように、上流側のコンベア2と基本的な構造は同じであるが、始端部3a側に従動ローラー31、終端部3b側に駆動ローラー32を備える点が異なる。これらのローラー31,32は、コンベア3のフレーム33に対して回転支持され、コンベアベルト34が巻きかけられる。フレーム33は、ローラー間において、コンベアベルト34を下面から支持するとともに、コンベアベルトの幅方向の両側に延出して振分装置1の本体4との隙間を詰める天板部331を備える。
【0029】
従動ローラー31は、その両端にベアリング311,312が備えられており、これらのベアリングにフレーム33の終端側に架け渡される固定支持軸332を嵌挿することにより、フレーム33に対して回転支持される。フレーム33の終端側には、駆動ローラー32の軸部321,322を支持する軸受部35,36が連結固定される。軸受部35は、中空筒状体で、その外周面がフレーム33にネジで連結固定されており、内側に軸部321を回転支持するベアリング351を備えるとともに、外側の先端部に六角柱形の揺動軸352が一体的に形成されている。
【0030】
軸受部36は、中空筒状体で、その外周面がフレーム33にネジで連結固定されており、内側に軸部322を回転支持するベアリング361を備えている。ベアリング361で支持される軸部321の先端には、駆動軸423と連結するための連結具362が設けられる。
【0031】
フレーム33の下面側で幅方向の内側には、コンベア3を後述する揺動部材461に着脱可能に連結するための連結部37が、幅方向に二個(複数個)備えられている。連結部37は、コンベアの搬送方向に延びるプレート状のガイド部材371と、ガイド部材371を搬送方向に摺動自在に支持する二本(複数本)のガイド軸372,373とを備えてなる。ガイド部材371は、図4に示されるように、揺動部材461の端部に設けられるコロ部461bを摺動可能に保持する長穴状の溝部371aが形成されており、溝部371aにはコロ部461bを着脱可能とするための切欠371bが設けられている。
【0032】
また、ガイド部材341には、ガイド軸372,373を挿通させるとともに、自らをフレーム33に対して搬送方向に摺動可能とするガイド穴371c,371dが形成されている。ガイド部材371は、その上部から延びて天板部331の上面側に貫通する着脱レバー371eを水平方向に摺動操作することにより、図6に示されるように、揺動部材と連結した状態(一点鎖線)と、着脱可能な状態(実線)とを切り替えることができる。
【0033】
〔本体4〕
本体4は、コンベア2,3を両側方から挟みこむように配置される箱状の側壁部41,42と、コンベア2の下方で側壁部41,42を連結する箱状の基台部43(図3)からなる。基台部43には、コンベア2,3を搬送駆動するための駆動源となるモーター44、及びコンベア2,3を揺動駆動するための駆動源となるモーター45が搭載される。すなわち、モーター44及びモーター45は、カバーとなる箱状の本体4で覆われている。
【0034】
側壁部41の搬送方向の両端部には、図4に示されるように、軸受部25の先端部に設けられる六角柱形の揺動軸252,352を揺動可能に受止支持する支持軸受411,412)が固定されている。軸受412(411)は、図8(a)(b)に示されるように、揺動軸352(252)を受け入れる開口部414a(413a)を有するとともに揺動軸352(252)と共回りする円筒部414(413)と、上方に切欠416a(415a)を有するとともに円筒部414(413)を回動自在に支持する支持部416(415)を備えてなる。開口部413a,414aは、コンベア2,3を約60度跳ね上げることにより、切欠415a,416aと一致して、揺動軸252,352を支持軸受411,412から取り外すことができるようになっている。
【0035】
側壁部42の搬送方向の両端部には、駆動ローラー21,32に設けられる連結具262,362と連結する駆動軸421,422がベアリング421a,422aで回転自在に支持される。駆動軸421,422は、ベルトプーリー421b,422bを備えており、駆動ベルト441を介してモーター44のベルトプーリー44aと連結される。なお、駆動軸421,422は、その先端に設けられる桿状軸421c,422cが、連結具262,362に形成される切欠262a,362aに係合することにより、モーター44の駆動力を駆動ローラー21,32に伝達できる一方、軸方向への挿抜のみで容易に切り離しできるようになっている。
【0036】
側壁部41,42には、回動軸46が、両端部を側壁部41,42の内側に設けられる回動軸受417、418で回動支持されている。回動軸46は、コンベアの下方で、コンベアの幅方向に延びるように、側壁部41,42に架渡されており、幅方向の中間部が本体4の外側に露出している。回動軸46の中間部(露出部分)には、上方側が抉られるように湾曲するブーメラン状の揺動部材461が、上述した連結部271,371に対応するように、コンベアの幅方向の内側で、かつ、コンベアの下方に二個(複数個)設けられている。揺動部材461の両端部には、コロ部461a,461bが設けられている。
【0037】
コロ部461a,461bは、それぞれガイド部材271,371の溝部271a,371aにはめ込まれており、これによって、複数個の揺動部材461がそれらの両端部をコンベア2,3と摺動可能に連結されることになる。側壁部41の内部に貫通した回動軸46の先端には、側壁部41内を搬送方向に延びるアーム47の一端47aが固定されている。アーム47の他端47bは、モーター45の駆動軸に取り付けられる回転板45aの周縁部と長さ調節可能なコネクティングロッド48で連結されている。コネクティングロッド48は、その両端部が回動可能に連結されている。
【0038】
したがって、モーター45を回転させると、その駆動力が、図3に矢印で示されるように、コネクティングロッド48、アーム47、回動軸46、揺動部材461、連結部27,37を介して、コンベア2,3に伝達される。すなわち、二台のコンベア2,3は、図3と図4に示される状態の間で往復揺動することになる。なお、揺動部材461は、ブーメラン状で抉り部を備えているため、上流側のコンベア2が下方に揺動しても干渉することはない。また、往復回動時において、コンベア3の揺動角度は、60度より十分小さく設定されているため、揺動部材461の揺動軸352は、図8(b)に示すような状態にはならず、運転中に軸受412から不用意に外れることはない。
【0039】
モーター45はサーボ制御されており、180度ずつ回転させられて、図3及び図4のいずれかの状態で停止するように設定されている。但し、各部材の慣性重量によってオーバーランする恐れがあるため、モーター45の駆動軸に、正面視で繭玉に形成される弾性樹脂製のカム体49を取り付け、その凹曲部49aにブレーキローラー49bを嵌り込ませることにより、図3及び図4の状態でコンベア2,3を確実に停止できるように配慮されている。
【0040】
〔上記実施形態の作動〕
上記実施形態の作動について説明する。検査システムの運転時において、振分装置1のコンベア2,3は、図1乃至図4に示されるような状態でモーター44により常時駆動されて、検査装置Xから搬入されてくる物品を中の左側から右側へ連続的に搬送している。そして、検査装置Xで物品重量が予め設定された重量範囲外となる不良品と判定された物品が搬送装置1を通過するときには、検査装置1からの異常信号に基づいて、モーター45の駆動軸を180度回転させ、図5に示されるように、コンベア2の終端部2bを下方に揺動するとともに、コンベア3の始端部3aを上方に揺動する。これにより、振分装置1の下方に、不良品を振り分けることができる。なお、図5に示される状態から、モーター45をさらに180度回転させることにより、コンベア2,3を図3に示される元の状態に戻すことができる。
【0041】
次に、コンベア2,3の着脱について説明する。コンベア2,3を取り外す場合は、振分装置1が図3の状態で停止しているときに、図6及び図7(a)に示されるように、着脱レバー271e,371eを水平方向に摺動操作した後、コンベア2,3を揺動軸252,352の軸線を中心に上方へ引き上げる。これにより、揺動軸252,352が回転して、図7(b)及び図8(b)に示されるように、コンベア2,3を上方に持ち上げることにより、支持軸受411,412から揺動軸252,352を取り外すことができる。さらに、図7(c)及び図8(c)に示されるように、コンベア2,3を側方にずらすことにより、連結具262,362と桿状軸421c,422cの係合を解除して、コンベア2,3を本体4から取り外すことができる。装着するときは、上記操作と逆の操作を行えばよい。
【0042】
〔上記実施形態の特徴点〕
上記実施形態は、上記のように構成されているので、以下のような特徴点を有する。
【0043】
第一に、上記実施形態に係る振分装置1は、物品の搬送方向に連続配置される二台のコンベア2,3を一の駆動源(モーター45)で揺動させることができ、しかも、カバーとなる本体4の内側に設けられるモーター45と、本体4の外側の揺動部材461と、本体4の内外を貫通するように設けられる回動軸46のみで連結するという特徴点を有している。その結果、本体4における回動軸46の貫通部分を容易にシールすることができ、内部の防水処理が簡単で、また、手を挟み込んだりすることがないものである。
【0044】
第二に、上記実施形態に係る振分装置1は、揺動部材461がコンベア2,3の幅方向の内側で、かつ、下方に設けられているという特徴点を有している。したがって、コンベア2,3の側面と、それに隣接して駆動源のカバーとなる本体4、特に側壁部41との隙間を小さく詰めることができる。その結果、コンベア2,3と本体4の隙間に搬送物品が落ち込んだり、手指を入れたりする不都合が防止できる。また、揺動部材461は、コンベア2,3の下方に配置されているため、コンベア2,3の側方から落下した物品等が直接当たって故障したり、汚損したりする心配がない。
【0045】
第三に、上記実施形態に係る振分装置1は、揺動部材461をコンベア2,3の幅方向に二台備えるので、上記従来のようにコンベアの一側面のみを支持する片持ち構造と比べて、揺動時のコンベア2,3の捩れを抑えることができる。その結果、コンベア2,3を高剛性化する必要がなく軽量に構成することができ、高速での振分処理が可能となる。しかも、揺動部材461は、その両端部を本体4で支持されているので、撓んだり、振動したりすることがなく、その点においても高速処理を可能としている。
【0046】
第四に、上記実施形態に係る振分装置1は、コンベア2,3側に揺動部材461を摺動させるガイド部材271,371を備えるので、揺動部材461自体は、摺動する部材を備える必要がなく、構造を簡素化することができる。また、静止時における揺動部材461の位置・姿勢が一定となり、コンベア2,3の着脱機構となる連結部27,37を容易に設けることができる。
【0047】
第五に、上記実施形態に係る振分装置1は、コンベア2,3を大きく上方に跳ね上げる着脱時にのみ、円筒部413,414の開口部413a,414aを、支持部415,416の切欠き415a,416aと一致させる。これにより、振分装置1の運転中に、揺動軸252,352が支持軸受411,412から抜けて、コンベア2,3が外れたりする恐れはない。
【0048】
〔上記実施形態の変形例〕
上記実施形態では、コンベア2,3と揺動部材461の連結及び切り離しをするために、ガイド部材271,371を設けて、これを着脱レバー271e,371eで摺動操作することとしたが、これに代えて、図9に示されるような連結構造38(28)を採用しても良い。なお、ここで、連結構造28は記載を省略しているが、図中において、連結構造38と左右対称に表わされる。図9の連結構造では、コンベア2,3に側面視U字形状のガイド部材281,381をそれぞれ回動支持させる。
【0049】
ガイド部材281,382は、コンベア2,3を引き上げたときに、ストッパ282,382によって回動角を制限され、コンベア2,3を押し下げたときに、揺動部材461のコロ部461a,461bをU字形状の開口部281a,381aで受け入れるよう設定されている。また、ガイド部材281,382は、コンベア2,3を完全に押し下げた状態(運転可能状態)において、係合部材となるプランジャ283,383が開口部281a,381aの内側に係合して、回動しないように設定されている。
【0050】
プランジャ283,383による係合は、コンベア2,3の運転中の揺動によっては解除されないが、コンベア2,3を着脱するために強く引き上げたときには解除される程度に設定されている。上記のように構成される結果、コンベア2,3を強く引き上げるだけで、ガイド部材281,382が回動して、揺動部材461がU字形状の開口部281a,381aから分離可能な状態になるものである。なお、この変形例によれば、上記実施例の連結部27,37で設けられていた着脱レバー271e,371eを廃止できるので、その貫通穴に異物が噛み込んだりする不都合を防止できる。
【0051】
本発明の振分装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態に係る振分装置を使用する検査システムの外観を示す正面図。
【図2】本実施形態に係る振分装置を使用する検査システムの外観を示す平面図。
【図3】振分装置の内部構造を示す正面図。
【図4】振分装置の内部構造を示す平面図。
【図5】図3に対応する図で振分時の様子を示す図。
【図6】振分装置の揺動部材からコンベアを切り離す様子を示す図。
【図7】コンベアを振分装置から取り外す際の様子を示す図。
【図8】取り外し時における軸受部の作用を示す拡大図。
【図9】本実施形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 振分装置
2 コンベア(上流側)
2b 終端部
3 コンベア(下流側)
3a 始端部
4 本体(カバー)
45 モーター(揺動の駆動源)
46 回動軸
461 揺動部材
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向に連続配置される二台のコンベアについて、上流側のコンベアの終端部を下方に揺動するとともに、下流側のコンベアの始端部を上方に揺動して、その開いた空間に物品を振り分ける振分装置であって、
前記二台のコンベアを揺動させる駆動源がカバーで覆われており、
前記駆動源に連結される回動軸の一部が前記カバーの外側に露出しており、
前記回動軸の露出部分に設けられる揺動部材を前記二台のコンベアと連結し、
前記駆動源で前記回動軸を回動することにより、前記二台のコンベアを揺動させることを特徴とする振分装置。
【請求項2】
前記揺動部材は、前記コンベアの幅方向の内側で、かつ、下方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振分装置。
【請求項3】
前記揺動部材は、前記コンベアの幅方向に複数備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振分装置。
【請求項4】
前記コンベアは、前記揺動部材を摺動可能に連結するためのガイド部材を備えており、前記揺動部材は、前記上流側のコンベアが下方に揺動したときに干渉しないための抉り部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の振分装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、側面視U字形状に形成されており、前記コンベアの着脱時に回動して、前記揺動部材がU字形状の開口部から分離可能な状態になることを特徴とする請求項4に記載の振分装置。
【請求項6】
前記コンベアは、前記幅方向に軸線が延びる揺動軸を備えており、
前記揺動軸の軸受は、前記揺動軸を受け入れる開口部を有するとともに前記揺動軸と共回りする円筒部と、上方に切欠を有するとともに前記円筒部を回動自在に支持する支持部と、を備えており、
前記開口部は、前記コンベアの着脱時に前記切欠と一致することを特徴とする請求項5に記載の振分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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