説明

振動コンベヤ装置

【課題】必要に応じて被搬送物をトラフの途中位置にも供給できる振動コンベヤ装置を提供する。
【解決手段】被搬送物TAを搬送するトラフ10及びカウンタウエイト20を含み、前記トラフ10を上側、前記カウンタウエイト20を下側として対向配置すると共に、前記カウンタウエイト20を第2のトラフとして前記被搬送物TAを搬送できるように形成してある振動コンベヤ装置1Aであって、前記トラフ10の途中に、前記被搬送物TAを前記カウンタウエイト20へ向けて落下させる開口11が設けてある。トラフ10を長く設定した場合であっても、任意の位置に開口11を設けることで被搬送物TAを供給したい場所に搬送できる。なお、開口11を開閉するシャッタ12を更に設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象とした物体(以下、被搬送物という)に振動を与えながら移動させる振動コンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動コンベヤ装置は、振動しながら被搬送物を所望の方向へ搬送(移送)させるための設備装置である。振動コンベヤ装置は、例えば塊状であった被搬送物を解しながら搬送したり、集合状態にあった複数の被搬送物に間隔を与えながら搬送させることができる。よって、振動コンベヤ装置は種々の分野で広く利用されている。このような振動コンベヤ装置には色々な形態のものがあるが、被搬送物を搬送する搬送路となるトラフとカウンタウエイト(バランスウエイトとも称される)とを上下に対向配置すると共に、これらを互いに回動自在なヒンジアーム(可動レバー)で接続して振動させるようにした構造がよく知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は上記と同様の基本構造を備え、これに改良を加えた振動コンベヤ装置について開示している。特許文献1の振動コンベヤ装置はカウンタウエイトを第2のトラフとして活用し、本来のトラフ(第1のトラフ)とカウンタウエイト(第2のトラフ)とで被搬送物を逆向きに搬送できるように構成してある。この振動コンベヤ装置は、被搬送物を第1トラフで一定方向へ搬送し、端部に設けた移送路を介して第2トラフ側へ落下させ、さらに第2トラフで被搬送物を反対方向へ搬送する。
【0004】
上記振動コンベヤ装置は、カウンタウエイトを第2トラフとして活用し被搬送物を搬送するので設備を有効活用することができる。また、この振動コンベヤ装置は被搬送物を逆方向へ搬送できるようにしているので、搬送中に被搬送物に対して所定の処理(加熱、冷却、殺菌処理など)を行う製造工場などで搬送路を短くできる。よって、この振動コンベヤ装置は占有面積を小さくできるというメリットがある。
【0005】
なお、上記特許文献1では、これより以前において、カウンタウエイトを第2のトラフとして活用し、本来のトラフ(第1のトラフ)及び第2のトラフで被搬送物を同じ方向へ搬送するように構成した振動コンベヤ装置が存在していたことについても開示している。このタイプの振動コンベヤ装置は、同じ方向へ被搬送物を搬送したい場合には搬送能力が2倍となるので占有面積を小さくできるというメリットがある。
【0006】
【特許文献1】2001−192110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で開示している振動コンベヤ装置は、トラフの一端から他端に被搬送物を搬送する場合について開示している。しかしながら、製造工場などでは、振動コンベヤ装置で搬送している被搬送物を搬送途中で複数箇所へ供給したいという場合がある。特許文献1で開示する振動コンベヤ装置は、このような点には配慮していない。よって、このような要求に対処するためには、短い振動コンベヤ装置を複数配置するなどして、対処することが必要になってしまう。これでは設備が複雑化すると共にコストが上昇してしまう。
【0008】
よって、本発明の目的は、上述した従来の課題を解決するもので、必要に応じて被搬送物をトラフの途中位置にも供給できる振動コンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、被搬送物を搬送するトラフ及びカウンタウエイトを含み、前記トラフを上側、前記カウンタウエイトを下側として対向配置すると共に、前記カウンタウエイトを第2のトラフとして前記被搬送物を搬送できるように形成してある振動コンベヤ装置であって、前記トラフの途中に、前記被搬送物を前記カウンタウエイトへ向けて落下させる開口が設けられていることを特徴とする振動コンベヤ装置によって達成できる。
【0010】
本発明によると、トラフを長く設定した場合であっても、任意の位置に開口を設けることで被搬送物TAを供給したい場所に搬送できる。そして、設定する開口の大きさを適宜に調整すれば被搬送物の一部を開口で落下させ、他の部分は下流へ搬送できる。よって、1つの振動コンベヤ装置で複数箇所に被搬送物を供給できるので効率良く搬送して、設備を簡素化できる。
【0011】
そして、前記開口を開閉するシャッタが更に設けられた構造とするのがより好ましい。このようにシャッタを設けることで、開口を設けた位置における被搬送物の供給と停止を簡単に切替えることができる。よって、更に効率良く被搬送物を搬送できる。
【0012】
また、落下する被搬送物を前記開口から前記カウンタウエイト側へ導くシュートが周辺構造に干渉しないように設けられており、更に前記カウンタウエイトには落下してきた前記被搬送物を受けると共に振動によって該被搬送物を展開させながら更に落下させる展開受部が設けられている構造としてもよい。この場合には、開口下のカウンタウエイト側に展開受部が設けてあるので、シュートを周辺構造と干渉にないように配置するだけでよい。よって、周辺部との干渉を回避できるコンパクトな構造で、被搬送物を展開させながら落下させることができる。
【0013】
また、前記トラフ及び前記カウンタウエイトの少なくとも一方に、被搬送物を篩い分けるための網が更に設置されている構造を採用してもよい。この場合には、被搬送物が大小の物体を含む場合には、更に選別を行うこともできる。
【0014】
また、前記開口が、前記トラフの幅方向で片側に寄せて設けてある構造を採用してもよい。この場合には、必要に応じて被搬送物の一部を落下させることができる。また、前記開口の上流側に前記被搬送物を堰き止める搬送停止手段が更に設けられている構造を採用してもよい。この場合には、必要に応じて、下流へ流す被搬送物を制限できる。
【0015】
さらに、前記開口が、前記トラフに複数形成してある構造を採用してもよい。このようにすれば、任意の複数箇所に被搬送物を供給できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上で説明したように、本発明によれば、必要に応じて被搬送物をトラフの途中位置にも供給できる振動コンベヤ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る振動コンベヤ装置について説明する。ここでは被搬送物の一例として刻みタバコTAを搬送する場合の振動コンベヤ装置について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1に係る振動コンベヤ装置1Aの外観を示した斜視図である。この振動コンベヤ装置1Aは、上側をトラフ10、下側をカウンタウエイト20とし、互いに対向(対面)するように配置してある。振動コンベヤ装置1Aは基本骨格となるベースフレーム2を備えており、このベースフレーム2に上記トラフ10、カウンタウエイト20及びその他の構成部品が組付けられている。
【0019】
トラフ10は上面が開放された長い受け皿状に形成されている。このトラフ10は、搬送方向(図1では右上から左下向き)CDへ見たときの断面形状が凹状である。この下に、カウンタウエイト20が対向して配置されている。本来、カウンタウエイトはトラフが振動したときの衝撃を打ち消すために配備される部材である。本実施例のカウンタウエイト20もトラフ10と略同等の重量に設定されており、衝撃を打ち消す機能を果している。カウンタウエイト20の本体部21は、トラフ10の下に配置した帯状の錘であり、長方形形状に配置されている。そして、この長方形の内部は空間となっている。よって、この空間内に被搬送物を受けるための底板を配備すれば、第2のトラフとしても機能させることができる。
【0020】
カウンタウエイト20の全面に底板を配備すれば、トラフ10と同様に刻みタバコTAを搬送できることになる。この形態は前述した特許文献1で開示された従前の構造と同様となる。しかし、後述するように、本実施例のトラフ10には開口が設けられている。そして、落下してきた刻みタバコTAをカウンタウエイト20で受けるように形成してある。この振動コンベヤ装置1Aは、所定位置にだけ底板22が形成してある。この点の構造については後に詳述する。
【0021】
図2は、振動コンベヤ装置1Aの一部を拡大して示した図である。この図2も参照して、振動コンベヤ装置1Aが有している基本構造について説明する。上側に位置するトラフ10とカウンタウエイト20とは、複数のヒンジアーム3によって接続されている。このヒンジアーム3の中間部は軸受4で回動自在に支持されている。複数の軸受4は支持部材5に固定されている。この支持部材5はベースフレーム2上に設定した複数の防振バネ6を介して支持されている。そして、各ヒンジアーム3と固定側との間には加振バネ7が配備されている。
【0022】
次に、駆動系について説明する。図2では、構造を確認し易いように駆動部分の一部を手前に取出して示してある。ベースフレーム2に駆動源としてのモータ50が設置されている。モータのプーリ51と偏心軸52に固定されているプーリ53とに張架されたVベルト54によって、モータ50の回転が偏心軸52に伝えられている。偏心軸52に加振ロッド55の根元部が取り付けられており、加振ロッド55の先端部はトラフ10の側面に固定される2枚のゴム板スプリング56で挟持されている。
【0023】
上記構成で、モータ50を駆動すると、その回転は偏心軸52を介して加振ロッド55で往復運動に変換される。よって、上側のトラフ10を搬送方向CDへ振動させることができるので、トラフ10内の刻みタバコTAを振動させながら搬送できる。そして、トラフ10の下側に配置したカウンタウエイト20についてもヒンジアーム3及び加振バネ7を介して振動が加えられるので、刻みタバコTAを同様に搬送できることになる。
【0024】
以上で説明した構造については、従来の振動コンベヤ装置とほぼ同様である。以下、更に本実施例1の振動コンベヤ装置1Aの特徴的な構成を、再度、図1を参照して更に説明する。
【0025】
このトラフ10の底面には開口11が設けてある。この開口11は、アクチュエータ13によって駆動させるシャッタ12よって開閉できるようになっている。よって、必要に応じて、シャッタ12を開くことで刻みタバコTAを落下させることができる。一方、シャッタ12を閉じているときには、刻みタバコTAを継続して下流側へ搬送できる。なお、図1では、トラフ10に1個の開口11を設けた場合を示しているが、必要に応じて2個以上の開口11を設けてもよい。
【0026】
そして、開口11の下から第2のトラフとなるカウンタウエイト20に向けてシュート15が設けられている。刻みタバコTAなどのように小さく、相対的に質量の軽い被搬送物の場合には、このようにシュート15を設けておくことで周辺への飛出しや飛散を防止できる。なお、トラフ10とカウンタウエイト20とは反対の位相で振動するので、このシュート15は可撓性及び適度な耐久性を備えた素材を筒状に形成するのが望ましい。例えば、シュート15はキャンバス地などで形成することができる。
【0027】
また、開口11から刻みタバコTAを垂直に落下させてしまうと、落下位置で塊状化してしまう場合があるので好ましくない。そこで、シャッタ12を斜めに開いて緩やかに刻みタバコTAを落下させるのが望ましい。そこで、図1で示すようにシュート15の配設位置は、開口11より下流側(図1で左側)にずらして設定してある。
【0028】
カウンタウエイト20内に設ける底板22を長く設定すれば、トラフ10から受けた刻みタバコTAを継続して下流側へ搬送できる。ただし、この振動コンベヤ装置1Aは、上記開口11から落下してくる刻みタバコTAを受ける領域だけに、カウンタウエイト20内に底板22が設けてある。すなわち、図1で示すように、本実施例1ではカウンタウエイト20で刻みタバコTAを受けた後に展開しながら更に下に落下させる場合の一例を示している。図1では底板22が三角形状の展開受部として形成され、他の領域が三角形状の開口23になっている。よって、上から落下してきた刻みタバコTAを効率良く展開させながら、更に下へ落下させることができる。なお、図1では底板22を確認し易いようにハッチングを付してある。
【0029】
上記のような構造を採用すると、トラフ10の途中であっても刻みタバコTAを任意の箇所へ落下させることができる。よって、長いトラフを設定したような場合でも、必要に応じて任意の場所に被搬送物を供給できる。
【0030】
なお、図1ではトラフ10に1個の開口11を設けて刻みタバコTAを落下させ、これを受けたカウンタウエイト20側でも直ちに落下させる構造例を示しているが、このような構造に限定する必要なない。すなわち、本振動コンベヤ装置1Aが設置される現場の要求に応じて、トラフ10に複数の開口11を設ければよい。また、カウンタウエイト20側に設ける展開受部(底板22)は開口11と同じ位置に形成することは必須ではない。展開受部は、必要に応じて、開口11より下流側へずらして設定してもよい。
【0031】
ところで、図1で例示している構造はトラフ10の開口11の直ぐ下へ刻みタバコTAを落下させる構造について例示している。刻みタバコTAのような被搬送物は、周辺への飛散防止と共に、特に塊り状態とならないように展開して(広げた状態で)落下させることが好ましい。よって、飛出しや飛散を防止するためのシュート構造と共に、刻みタバコを展開させるための展開構造を合わせて設けることが必要となる。ところが、トラフとカウンタウエイトとの間には上記のようにヒンジアーム3、加振バネ7などの多くの部品が配置されている。そのために、シュート構造と展開構造とを一体に形成しようとすると、一般に周辺構造と干渉してしまう。
【0032】
しかし、本実施例の場合には先に説明したように、トラフ10とカウンタウエイト20との間にはシュート15が配置されるだけであるので、周辺構造と干渉を回避して配置できる。そして、落下してきた刻みタバコTAはカウンタウエイト20に設けた展開受部となる底板22で展開する。よって、本実施例1で示す構造は、開口の直ぐ下へ展開しながら被搬送物を落下させたい場合の好ましい構造を開示していることになる。
【0033】
以上で説明した実施例1の振動コンベヤ装置1Aは、トラフ10に開口11が設けられ、この開口がシャッタ12で開閉されるので、刻みタバコTAを任意の位置に搬送できる。よって、複数の振動コンベヤ装置を配備することなく、1つの振動コンベヤ装置で被搬送物を複数箇所に供給できる。開口11を必要に応じて増やせば、さらに任意の複数箇所に刻みタバコTAを供給できる。また、振動コンベヤ装置1Aは下側に配置したカウンタウエイト20の振動を利用して刻みタバコTAを展開させながら落下させることができるので、開口11の直ぐ下へ塊状とならないようにして刻みタバコTAを供給できる。
【実施例2】
【0034】
図を参照して本発明に係る他の実施例について更に説明する。図3は、実施例2に係る振動コンベヤ装置1Bの外観を示した斜視図である。なお、重複する説明を避けるため実施例1の振動コンベヤ装置1Aと同様の部位には同じ符号付している。
【0035】
この振動コンベヤ装置1Bはトラフ10の上に篩(ふるい)として機能する金網40がセットされている。よって、被搬送物PRが異なる大きさの物体の混合物であるような場合には、金網40の目の大きさを予め所定の大きさに定めておくことで大小を含む物体を選別して搬送できる。
【0036】
図3は、金網40を通過した小さい被搬送物PR−Sをトラフ10の下流端、及び途中で開口11から下に供給する場合を示している。この振動コンベヤ装置1Bによると、大きさの異なる物体が混合している被搬送物を扱うときに、選別しながら搬送できる。図3で例示する構造では、金網40上を下流端部40TEまで搬送された大きな被搬送物PR−B、及び金網40の下を下流端まで搬送された小さい被搬送物PR−Sは、下流端に設けた落とし口41から排出するように形成してある。落とし口41内には、被搬送物PR−B用のシュートと被搬送物PR−S用のシュートとが独立に形成してある。このような構造を採用すれば、金網40上で大きな被搬送物PR−Bを下流端まで搬送でき、また、小さい被搬送物PR−Sについては、図示しているように、シャッタ12を開閉することで途中で落下、或いは下流端まで搬送とすることができる。なお、金網40の下流端部40TEを閉じた構造を採用してもよい。この場合には、選別された大きな被搬送物PR−Bを金網40上に残すことができる。
【0037】
以上で説明した実施例2の振動コンベヤ装置1Bは、トラフ10上に金網40が配置されているので、これを通過した所定以下の大きさの被搬送物PR−2だけを選別して搬送できる。例えば農産物の種に枝や葉などが混ざった被搬送物などを扱う場合に、本振動コンベヤ装置1Bを用いると不要部分を除きながら、必要な種だけを任意位置へ供給できる。もちろん、この振動コンベヤ装置1Bは大小がある被搬送物PRを分離して、それぞれを必要な場所に搬送するような場合にも利用できる。
【0038】
なお、図1、3ではカウンタウエイト20の底板22に設けた三角形状の開口23を開放状態とした場合について示している。この場合には、全ての被搬送物を落下させるようになる。振動コンベヤ装置1A、1Bを変形して、開口23にトラフ10の場合と同様にシャッタを設けて開閉するようにしてもよい。このようにシャッタを設けることで、必要なときに開いて被搬送物を落下させ、閉じたときには更にトラフで継続して下流へ搬送できるように変更できる。
【0039】
さらに、振動コンベヤ装置1Bの変形例として、底板22上にも金網を配置した構造を採用してもよい。図3で示した構造について底板22上に目の大きさが金網40より小さい金網を追加すると、被搬送物を大中小の3つの大きさに選別することができる。また、振動コンベヤ装置1Aの変形例として、底板22上に金網を配置した構造を採用してもよい。
【実施例3】
【0040】
図4は、実施例3に係る振動コンベヤ装置1Cについて示した図であり、(A)は同装置の平面図、(B)は側面図である。この図4は構成を簡略化して示している。構成の主要部は図1で示す振動コンベヤ装置1Aと同様であり対応する部位には同じ符号を付してある。
【0041】
この振動コンベヤ装置1Cは開口11の上流側に、被搬送物PRを堰き止めることができるように搬送停止手段として堰き止め板45及びこれを回動させるアクチュエータ46が更に設けてある。シャッタ12を開状態として被搬送物PRを開口11から落下させた後に、トラフ10上での搬送に切替えるためにシャッタ12を閉じたいという場合がある。このときにトラフ10とシャッタ12との間に被搬送物PRが挟み込まれてしまう虞がある。
【0042】
この振動コンベヤ装置1Cは、必要に応じて被搬送物PRを堰き止めることができるので被搬送物PRの挟み込みを防止できる。具体的には、シャッタ12を開から閉に切替えるときに、堰き止め板45により被搬送物PRを先に堰き止めてからシャッタ12を閉じる。このようにすれば被搬送物PRの挟み込みを確実に防止できる。さらに、この振動コンベヤ装置1Cによると、供給する被搬送物を切替える場合や清掃を行うときなどに被搬送物を堰き止めれば、下流側を空にすることができる。よって、目的とした作業を効率良く行うことができる。もちろん、本実施例3の構造をトラフ10に金網40を配置した実施例2の振動コンベヤ装置1Bに適用してもよい。
【実施例4】
【0043】
図5は、実施例4に係る振動コンベヤ装置1Dについて示した図であり、(A)は同装置の平面図、(B)は側面図である。この図5も構成を簡略化して示している。構成の主要部は図1で示す振動コンベヤ装置1Aと同様であり対応する部位には同じ符号を付してある。
【0044】
この振動コンベヤ装置1Dは、開口11が幅方向WDで片側に寄せて設けてある。そして、図5で示すように開口11の側部に仕切り板47を配置することで、開口11を通過する側と非通過側とを分離するのがより好ましい。この振動コンベヤ装置1Dは、シャッタ12を開いたときに、搬送中の被搬送物PRの一部を落下させることができる。被搬送物を大よそでトラフ10側とカウンタウエイト20側とに分割したい時などに、シャッタ12を開状態に維持しておけば被搬送物を簡単に選別することができる。この場合にはシャッタ12の開閉動作を頻繁に行う必要がないので駆動電力を低減することができる。
【0045】
なお、実施例4に係る振動コンベヤ装置1Dは好ましい構造例として開口11にシャッタ12を備えているが、シャッタ12を省略した構造としてもよい。例えば、所定の被搬送物を常に分割して所定箇所に供給している工場などで採用されている振動コンベヤ装置では、定常時に開口を閉じることがないのでシャッタを設ける必要がない。その一方でトラフに設ける開口の形状や大きさ、また他の開口との配置関係を調整することで、複数の開口が開いた状態でも被搬送物を搬送しながら各開口へ大よその供給量にて供給できる。そして、この振動コンベヤ装置は前述した実施例の振動コンベヤ装置と比較して構造を簡素できるので低コスト化できる。
【0046】
なお、上記実施例4の振動コンベヤ装置の構造に前述した実施例2の振動コンベヤ装置1Bで採用している金網40を更に適用してもよい。また、同様に実施例3の振動コンベヤ装置1Cで採用している開口11の上流に設ける堰き止め板45を更に適用してもよい。
【0047】
以上説明した実施例の振動コンベヤ装置は、トラフ10に開口11が形成されているのでトラフ10を配置した途中位置でも被搬送物を供給できる。トラフ10を長く設定したような場合であっても、任意の箇所に開口を設けて被搬送物を供給することができる。また、開口にシャッタ12に設けることで必要に応じて開口を開閉して、被搬送物の搬送形態を切替えることができる。よって、従来において複数の振動コンベヤ装置を配置して複数箇所に被搬送物を供給していた場合より設備を簡素化することができる。また、実施例の振動コンベヤ装置はトラフ10が上、カウンタウエイト20が下となる構造であるので、保守作業を行い易いメインテナンス性にも優れた装置となる。
【0048】
また、トラフの下に配置したカウンタウエイト20が第2のトラフとして機能するので、必要に応じて被搬送物を更に搬送したり、展開させながら落下させたりすることができる。このような振動コンベヤ装置は、種々の分野に適用できる。上記では、刻みタバコの場合、農産物の種を搬送する場合などについて説明したが、お茶やコーヒーなどを搬送する場合、木屑、細かく裁断された紙屑などを搬送する場合などに好適である。さらに、金網を配置することで選別しながら搬送できるので、大小ある被搬送物を選別したい場合や混入した不要物を分離したい場合などにも対応できる。
【0049】
以上、本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1に係る振動コンベヤ装置1Aの外観を示した斜視図である。
【図2】振動コンベヤ装置1Aの一部を拡大して示した図である。
【図3】実施例2に係る振動コンベヤ装置1Bの外観を示した斜視図である。
【図4】実施例3に係る振動コンベヤ装置1Cについて示した図であり、(A)は同装置の平面図、(B)は側面図である。
【図5】実施例4に係る振動コンベヤ装置1Dについて示した図であり、(A)は同装置の平面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1A〜1D 振動コンベヤ装置
2 ベースフレーム
3 ヒンジアーム
6 防振バネ
7 加振バネ
10 トラフ
11 開口
12 シャッタ
15 シュート
20 カウンタウエイト
21 カウンタウエイトの本体
22 底板(展開受部)
40 金網
45 堰き止め板(搬送停止手段)
50 モータ
CD 搬送方向
WD 幅方向
TA 刻みタバコ(被搬送物)
PR 被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送するトラフ及びカウンタウエイトを含み、前記トラフを上側、前記カウンタウエイトを下側として対向配置すると共に、前記カウンタウエイトを第2のトラフとして前記被搬送物を搬送できるように形成してある振動コンベヤ装置であって、
前記トラフの途中に、前記被搬送物を前記カウンタウエイトへ向けて落下させる開口が設けられている、ことを特徴とする振動コンベヤ装置。
【請求項2】
前記開口を開閉するシャッタが更に設けてある、ことを特徴とする請求項1に記載の振動コンベヤ装置。
【請求項3】
落下する被搬送物を前記開口から前記カウンタウエイト側へ導くシュートが周辺構造に干渉しないように設けられており、更に前記カウンタウエイトには落下してきた前記被搬送物を受けると共に振動によって該被搬送物を展開させながら更に落下させる展開受部が設けられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動コンベヤ装置。
【請求項4】
前記トラフ及び前記カウンタウエイトの少なくとも一方に、被搬送物を篩い分けるための網が更に設置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動コンベヤ装置。
【請求項5】
前記開口が、前記トラフの幅方向で片側に寄せて設けてある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動コンベヤ装置。
【請求項6】
前記開口の上流側に前記被搬送物を堰き止める搬送停止手段が更に設けられている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の振動コンベヤ装置。
【請求項7】
前記開口が、前記トラフに複数形成してある、ことを特徴とする請求項1から6のいずかに記載の振動コンベヤ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate